特許第6862462号(P6862462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6862462フィードバック装置を備えるエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862462
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】フィードバック装置を備えるエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20210412BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20210412BHJP
【FI】
   A24F40/46
   A24F40/465
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-545623(P2018-545623)
(86)(22)【出願日】2017年3月2日
(65)【公表番号】特表2019-510484(P2019-510484A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】EP2017054955
(87)【国際公開番号】WO2017149093
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2020年2月20日
(31)【優先権主張番号】16158320.8
(32)【優先日】2016年3月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】ベルナウアー ドミニク
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/020825(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/283103(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/009202(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/177253(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
A24F 40/465
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
エアロゾル形成基体を加熱するための電気ヒーターと、
少なくとも一つの電源と、
第一の電気コイルと、第二の電気コイルと、前記第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの中の動きのために構成されている磁石とを備える触覚フィードバック装置と、
前記少なくとも一つの電源から前記電気ヒーターおよび前記触覚フィードバック装置への電気エネルギーの供給を制御するように構成されているコントローラーとを備え、かつ前記コントローラーが、前記第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの中の前記磁石の往復する動きを誘発するように、前記少なくとも一つの電源から前記第一の電気コイルおよび前記第二の電気コイルへの前記電気エネルギーの供給を交互に行うように構成されている、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記第一の電気コイルが第一の電気巻線を備え、かつ前記第二の電気コイルが前記第一の電気巻線とは別個の第二の電気巻線を備える、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記触覚フィードバック装置が、
前記第一の電気巻線の第一の端部における第一の電気的接続と、
前記第一の電気巻線の第二の端部における第二の電気的接続と、
前記第二の電気巻線の第二の端部における第三の電気的接続と、
前記第二の電気巻線の第一の端部における第四の電気的接続とをさらに備える、請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記第二の電気的接続および前記第四の電気的接続が、共通の電気的接続によって互いに接続されている、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記触覚フィードバック装置が第一の端部および第二の端部を有する共通の電気巻線を備え、前記第一の電気コイルが前記共通の電気巻線の前記第一の端部と中間部の間に延びる前記共通の電気巻線の第一の部分を備え、かつ前記第二の電気コイルが前記共通の電気巻線の前記中間部と前記第二の端部の間に延びる前記共通の電気巻線の第二の部分を備える、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記触覚フィードバック装置が、
前記共通の電気巻線の前記第一の端部における第一の電気的接続と、
前記共通の電気巻線の前記中間部における共通の電気的接続と、
前記共通の電気巻線の前記第二の端部における第三の電気的接続とをさらに備える、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの電源が、第一の端子および第二の端子を有するDC電源を備え、かつ前記装置が前記第一の端子と前記共通の電気的接続の間に電気的接続を提供するように構成されている、請求項4または6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記コントローラーが、前記第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの中の前記磁石の前記往復する動きを誘発するように、前記第二の端子の電気的接続を前記第一の電気的接続および前記第三の電気的接続の各々へと交互に行うように構成されている、請求項7に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記コントローラーが、前記少なくとも一つの電源から前記第一の電気コイルおよび前記第二の電気コイルへの前記電気エネルギーの供給を20Hz〜250Hzの周波数で交互に行うように構成されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記磁石が鉄、ニッケル、およびネオジムのうちの少なくとも一つを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記磁石が前記第一の電気コイルおよび第二の電気コイル内の第一の方向に沿った動きのために構成されており、かつ前記磁石が前記第一の方向に1ミリメートル〜5ミリメートルの長さを有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記磁石の質量が30ミリグラム〜70ミリグラムである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
エアロゾル形成基体と、
請求項1〜12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記エアロゾル形成基体がたばこを含む、請求項13に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記エアロゾル形成基体が液体ニコチン供与源を含む、請求項13に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚フィードバックを備えるエアロゾル発生装置、およびこのエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムに関する。本発明は、電気的に作動する喫煙装置として特定の用途がある。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの一つのタイプは、電気的に作動する喫煙システムである。周知の手持ち式の電気的に作動する喫煙システムは一般に、電池と、制御電子回路と、エアロゾル発生装置で使用するために特別に設計されたエアロゾル発生物品を加熱するための電気ヒーターとを備えるエアロゾル発生装置を備える。一部の例において、エアロゾル発生物品は、たばこロッドまたはたばこプラグなどのエアロゾル発生基体を備え、エアロゾル発生装置内に収容されるヒーターは、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の中に挿入される時に、エアロゾル発生基体の中に、またはその周りに挿入される。代替の電気的に作動する喫煙システムでは、エアロゾル発生物品は、容器に入っていないたばこなどのエアロゾル発生基体を収容するカプセルを備えてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、ユーザーにフィードバックを提供するためのフィードバック装置を有するエアロゾル発生装置を提供することが望ましい。例えば、エアロゾル発生装置は加熱サイクルの開始および終了をユーザーに示すためのフィードバック装置を備えてもよい。周知のエアロゾル発生装置と比べて、改善されたフィードバック装置を有するエアロゾル発生装置を提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル形成基体を加熱するための電気ヒーターと、少なくとも一つの電源と、触覚フィードバック装置と、コントローラーとを備えるエアロゾル発生装置が提供されている。触覚フィードバック装置は、第一の電気コイルと、第二の電気コイルと、第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの中での動きのために構成された磁石とを備える。コントローラーは、少なくとも一つの電源から電気ヒーターおよび触覚フィードバック装置への電気エネルギーの供給を制御するように構成されており、コントローラーは、第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの中の磁石の往復する動きを誘発するために、少なくとも一つの電源から第一の電気コイルおよび第二の電気コイルへの電気エネルギーの供給を交互に行うように構成されている。
【0005】
第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの各々に電気エネルギーが供給されるたびに磁界が発生し、磁界は磁石と相互作用する。第一の電気コイルと第二の電気コイルとが交互に通電されるように電気エネルギーの供給を交互に行うことによって、発生した磁界は第一の電気コイルと第二の電気コイルの間で交互になる。発生した磁界が第一の電気コイルと第二の電気コイルの間で交互になると、第一の電気コイルによって発生した磁界が第二の電気コイルによって発生した磁界と反対になるようにエアロゾル発生装置が構成されている時に、結果として第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの中に磁石の往復する動きがもたらされる。
【0006】
有利なことに、本発明によるエアロゾル発生装置の触覚フィードバック装置は、周知のエアロゾル発生物品で使用される周知の触覚フィードバック装置を超える多くの利点を提供する。例えば、多くの周知のエアロゾル発生装置は、非対称な質量がブラシ付き直流(DC)モーターによって駆動される偏心回転質量モーターを備える触覚フィードバック装置を使用する。経時的に、偏心回転質量モーター内のブラシによって提供される電気機械結合は故障しうる。本発明によるエアロゾル発生装置の触覚フィードバック装置は、電気機械整流の必要性をなくすことによって、こうした問題を克服する。
【0007】
多くの代替的な周知のエアロゾル発生装置は、交流電流(AC)が電磁コイルを励起するリニア共振アクチュエータを備える触覚フィードバック装置を使用し、これはその結果、バネ上に取り付けられた磁気質量を駆動する。経時的に、バネは故障しうる。本発明によるエアロゾル発生装置の触覚フィードバック装置は、こうした機械的構成要素の必要性をなくすことによって、こうした問題を克服する。すなわち、磁石は、こうした往復動を提供するためのバネを必要とすることなく、第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの中で自由に往復移動するように構成されてもよい。
【0008】
リニア共振アクチュエータを駆動するためのACの要件では、インバータと組み合わせたAC電源またはDC電源のいずれかを必要とし、これらのどちらもリニア共振アクチュエータフィードバック装置を備える周知のエアロゾル発生装置の複雑性を増大させる。本発明によるエアロゾル発生装置の触覚フィードバック装置は、第一の電気コイルと第二の電気コイルの間で交互になるDC電源のみを使用して本発明による触覚フィードバック装置を実装することができるので、こうした問題を克服する。
【0009】
リニア共振アクチュエータは、磁石とバネとの組み合わせの共振周波数と一致する周波数にて動作するAC電源を用いて電磁コイルを駆動することによって機能する。従って、リニア共振アクチュエータフィードバック装置を備える周知のエアロゾル発生装置は、単一の周波数のみにてリニア共振アクチュエータを動作するように構成されている。本発明による触覚フィードバック装置は、触覚フィードバック効果を作り出すために機械的共振に依存しないので、本発明によるエアロゾル発生装置の触覚フィードバック装置は、こうした問題を克服する。このように、本発明による触覚フィードバック装置は、より広い範囲の周波数にて動作することができる。
【0010】
第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの各々は、非磁性導電体で形成されることが好ましい。第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの各々を非磁性の導電体から形成することは、磁石と第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの各々を形成する材料との間のあらゆる磁気相互作用をなくすことによって、第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの中の磁石の動きを容易にしうる。第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの各々は、銅で形成されることが好ましい。
【0011】
第一の電気コイルは第一の電気巻線を備えてもよく、また第二の電気コイルは第一の電気巻線とは別個の第二の電気巻線を備えてもよい。
【0012】
触覚フィードバック装置は、第一の電気巻線の第一の端部における第一の電気的接続と、第一の電気巻線の第二の端部における第二の電気的接続と、第二の電気巻線の第二の端部における第三の電気的接続と、第二の電気巻線の第一の端部における第四の電気的接続とをさらに備えてもよい。第一の電気巻線および第二の電気巻線の各々の端部において電気的接続を提供することは、エアロゾル発生装置の中の他の電気回路への触覚フィードバック装置の電気的接続を容易にする。
【0013】
第二の電気的接続および第四の電気的接続は、共通の電気的接続によって互いに接続されていることが好ましい。すなわち、触覚フィードバック装置は、第一の電気巻線の第二の端部および第二の電気巻線の第一の端部へと接続された共通の電気的接続を備えることが好ましい。共通の電気的接続を提供することは、エアロゾル発生装置の中の他の電気回路への触覚フィードバック装置の電気的接続を単純化しうる。
【0014】
触覚フィードバック装置は第一の端部および第二の端部を有する共通の電気巻線を備えてもよく、第一の電気コイルは共通の電気巻線の第一の端部と中間部の間に延びる共通の電気巻線の第一の部分を備え、また第二の電気コイルは共通の電気巻線の中間部と第二の端部の間に延びる共通の電気巻線の第二の部分を備える。第一の電気コイルおよび第二の電気コイルを共通の電気巻線から形成することは、触覚フィードバック装置の製造を単純化しうる。
【0015】
触覚フィードバック装置は、共通の電気巻線の第一の端部における第一の電気的接続と、共通の電気巻線の中間部における共通の電気的接続と、共通の電気巻線の第二の端部における第三の電気的接続とをさらに備えてもよい。第一の電気的接続、共通の電気的接続、および第三の電気的接続を提供することは、エアロゾル発生装置の中の他の電気回路への触覚フィードバック装置の電気的接続を容易にしうる。第一の電気コイルと第二の電気コイルの両方に共通な、共通の電気的接続を提供することは、エアロゾル発生装置の中の他の電気回路への触覚フィードバック装置の電気的接続を単純化しうる。
【0016】
少なくとも一つの電源はDC電源を備えることが好ましい。上述のように、DC電源を使用することは有利なことに、エアロゾル発生装置の構造および動作を単純化しうる。コントローラーは、第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの中の磁石の往復する動きを誘発するために、DC電源からの電気エネルギーの供給を第一の電気コイルと第二の電気コイルの間で交互に行うように構成されていることが好ましい。
【0017】
DC電源は、第一の端子および第二の端子を備えることが好ましい。触覚フィードバック装置が第一の電気的接続と、共通の電気的接続と、第三の電気的接続とを備える本明細書で説明される実施形態において、この装置は第一の端子と共通の電気的接続の間に電気的接続を提供するように構成されていることが好ましい。第一の端子と共通の電気的接続の間に電気的接続を提供することは、エアロゾル発生装置の構造および動作を単純化しうる。例えば、コントローラーがDC電源からの電気エネルギーの供給を第一の電気コイルおよび第二の電気コイルへと交互に行う間、DC電源の第一の端子は共通の電気的接続に接続されたままであってもよい。
【0018】
DC電源の第一の端子は、触覚フィードバック装置の共通の電気的接続へと恒久的に接続されてもよい。
【0019】
エアロゾル発生装置は、DC電源の第一の端子および共通の電気的接続に接続された共通の電気的スイッチを備えてもよく、コントローラーは、触覚フィードバック装置が起動した時に共通の電気的スイッチを閉じるように構成されている。共通の電気的スイッチは、パワー半導体デバイスであることが好ましい。
【0020】
コントローラーは、第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの中の磁石の往復する動きを誘発するために、DC電源の第二の端子の電気的接続を第一の電気的接続および第三の電気的接続の各々へと交互に行うように構成されてもよい。第一のおよび第三の電気的接続の各々への第二の端子の電気的接続を交互に行うことは、DC電源からの電気エネルギーの供給を第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの各々へと交互に行うための単純かつ好都合な配置を提供しうる。
【0021】
エアロゾル発生装置は、DC電源の第一の端子および第一の電気的接続へと接続された第一の電気的スイッチと、DC電源の第一の端子および第三の電気的接続へと接続された第二の電気的スイッチとを備えてもよく、コントローラーは、DC電源からの電気エネルギーの供給を第一の電気コイルおよび第二の電気コイルへと交互に行うために、第一の電気的スイッチおよび第二の電気的スイッチを交互に開閉するように構成されている。第一の電気的スイッチおよび第二の電気的スイッチの各々は、パワー半導体デバイスであることが好ましい。
【0022】
好ましい実施形態において、少なくとも一つの電源は電池である。例えば、少なくとも一つの電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウムベースの電池(例えば、リチウムコバルト、リン酸鉄リチウム、またはリチウムポリマー電池)であってもよい。別の方法として、少なくとも一つの電源はコンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。少なくとも一つの電源は再充電を必要とすることがあり、またエアロゾル発生装置を一つ以上のエアロゾル形成基体とともに使用するために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有しうる。
【0023】
コントローラーは、少なくとも一つの電源からの電気エネルギーの供給を第一の電気コイルおよび第二の電気コイルへと少なくとも約20Hzの周波数にて交互に行うように構成されていることが好ましく、少なくとも約50Hzで行うように構成されていることがより好ましく、少なくとも約75Hzで行うように構成されていることがより好ましく、少なくとも約100Hzで行うように構成されていることがより好ましい。コントローラーは、少なくとも一つの電源からの電気エネルギーの供給を第一の電気コイルおよび第二の電気コイルへと約250Hz未満の周波数にて交互に行うように構成されていることが好ましく、約200Hz未満で行うように構成されていることがより好ましい。コントローラーは、少なくとも一つの電源からの電気エネルギーの供給を第一の電気コイルおよび第二の電気コイルへと約20Hz〜約250Hzの周波数にて交互に行うように構成されていることが好ましく、約50Hz〜約200Hzで行うように構成されていることがより好ましい。
【0024】
コントローラーは、振幅変調によって少なくとも一つの電源から第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの各々への電気エネルギーの供給を変化させるように構成されてもよく、これによって磁石が第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの中を往復移動する距離は振幅変調に比例して変化する。
【0025】
コントローラーは、周波数変調によって少なくとも一つの電源からの電気エネルギーの供給が第一の電気コイルと第二の電気コイルの間で交互に行われる周波数を変化させるように構成されてもよく、これによって磁石が第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの中を往復移動する周波数は周波数変調に比例して変化する。
【0026】
磁石は任意の適切な磁性材料で形成されてもよい。磁石は鉄、ニッケル、およびネオジムのうちの少なくとも一つを含んでもよい。磁石はネオジムを含むことが好ましい。磁石はネオジム、鉄、およびホウ素の合金を含むことが最も好ましい。
【0027】
磁石は、第一の電気コイルおよび第二の電気コイルの中の第一の方向に沿った動きのために構成されてもよく、第一の方向での磁石の長さは少なくとも約1ミリメートルであり、少なくとも約2ミリメートルであることが好ましい。第一の方向での磁石の長さは約5ミリメートル未満であってもよく、約4ミリメートル未満であることが好ましい。第一の方向での磁石の長さは約1ミリメートル〜約5ミリメートルであってもよく、約2ミリメートル〜約4ミリメートルであることが好ましい。
【0028】
磁石の質量は少なくとも約30ミリグラムであってもよく、少なくとも約40ミリグラムであることが好ましい。磁石の質量は約70ミリグラム未満であってもよく、約60ミリグラム未満であることが好ましい。磁石の質量は約50ミリグラムであることが好ましい。
【0029】
電気ヒーターは、抵抗ヒーターおよび誘導ヒーターのうちの少なくとも一つを備えてもよい。
【0030】
エアロゾル発生装置は携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生装置は従来型の葉巻たばこまたは紙巻たばこと匹敵するサイズであってもよい。エアロゾル発生装置の全長は、およそ30mm〜およそ150mmであってもよい。エアロゾル発生装置の外径は、およそ5mm〜およそ30mmであってもよい。
【0031】
本発明の第二の態様によると、上述の実施形態のうちのいずれかによる、本発明の第一の態様によるエアロゾル形成基体とエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。
【0032】
電気ヒーターはエアロゾル形成基体を間接的に加熱してもよい。電気ヒーターは誘導ヒーターであってもよく、またエアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体と熱的に連通するサセプタをさらに備えてもよい。使用中にサセプタは誘導ヒーターによって加熱され、かつエアロゾル形成基体はサセプタによって加熱される。サセプタは、伝導熱伝達、対流熱伝達、放射熱伝達、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも一つによってエアロゾル形成基体を加熱するように構成されてもよい。
【0033】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生システムを形成するようにエアロゾル発生装置と組み合わせられる、エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生カートリッジの一部を形成してもよい。エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生カートリッジは使い捨てであってもよい。
【0034】
エアロゾル形成基体はエアロゾル発生装置の一部を備えてもよい。
【0035】
エアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分と、液体貯蔵部分の中に保存された液体エアロゾル形成基体とを備えてもよい。液体貯蔵部分はエアロゾル発生物品の一部、エアロゾル発生カートリッジ、またはエアロゾル発生装置の一部を形成してもよい。
【0036】
使用中に電気ヒーターは、液体エアロゾル形成基体の小さい部分を気化するために、液体エアロゾル形成基体の小さい部分を加熱する。液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴い液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含むことが好ましい。別の方法として、または追加的に、液体エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物エキス、および天然の風味または人工の風味を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含むことが好ましい。
【0037】
本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を促進する任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を記述するために使用される。適切なエアロゾル形成体は、エアロゾル発生物品の作動温度で熱分解に対して実質的に耐性があることが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0038】
エアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分と連通する毛細管芯をさらに備えてもよい。毛細管芯は、液体貯蔵部分の中の液体エアロゾル形成基体と接触するように配置される。使用中に液体エアロゾル形成基体は毛管作用によって毛細管芯に沿って液体貯蔵部分から移動され、そこで電気ヒーターによって加熱される。電気ヒーターが誘導ヒーターを備える実施形態において、エアロゾル発生システムはサセプタをさらに備えてもよい。使用中に誘導ヒーターはサセプタを加熱し、また液体エアロゾル形成基体は毛細管芯を介して液体貯蔵部分からサセプタに移動される。
【0039】
エアロゾル形成基体は液体ニコチン供与源を含んでもよい。
【0040】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生カートリッジの一部を形成しうることが好ましい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこ含有材料および非たばこ含有材料を含んでもよい。
【0041】
エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。適切なエアロゾル形成体には例えば、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノ−、ジ−またはトリアセテートなど)、およびモノ−、ジ−またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(例えばプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールおよび最も好ましくはグリセリン)である。
【0043】
エアロゾル形成基体は単一のエアロゾル形成体を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含んでもよい。エアロゾル形成基体のエアロゾル形成体の含有量は、乾燥重量基準で5パーセントを超えてもよい。
【0044】
エアロゾル形成基体のエアロゾル形成体の含有量は、乾燥重量基準でおよそ5パーセント〜およそ30パーセントであってもよい。
【0045】
エアロゾル形成基体のエアロゾル形成体の含有量は、乾燥重量基準でおよそ20パーセントであってもよい。
【0046】
エアロゾル形成基体は、ニコチン供与源を含む第一のエアロゾル形成基体と、酸供与源を含む第二のエアロゾル形成基体とを備えてもよい。第一のエアロゾル形成基体および第二のエアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生カートリッジの一部を形成することが好ましい。使用時に電気ヒーターは、ニコチンおよび酸が気相で一緒に反応してニコチン塩粒子のエアロゾルを形成するように、第一のエアロゾル形成基体および第二のエアロゾル形成基体を加熱してニコチンおよび酸を揮発する。
【0047】
ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩(ニコチン−HCl、ニコチン酒石酸塩、またはニコチン二酒石酸塩など)、またはニコチン誘導体のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0048】
ニコチン供与源は天然ニコチンまたは合成ニコチンを含んでもよい。
【0049】
ニコチン供与源は純粋なニコチン、水性溶媒もしくは非水性溶媒中のニコチン溶液、または液体たばこ抽出物を含んでもよい。
【0050】
ニコチン供与源は電解質形成化合物をさらに含んでもよい。電解質形成化合物はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。
【0051】
例えば、ニコチン供与源は水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化バリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸アンモニウムおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される電解質形成化合物を含んでもよい。
【0052】
ある特定の実施形態において、ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩、またはニコチン誘導体および電解質形成化合物の水溶液を含んでもよい。
【0053】
ニコチン供与源は他の構成成分をさらに含んでもよく、構成成分には例えば天然風味、人工風味、酸化防止剤などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0054】
酸供与源は有機酸または無機酸を含んでもよい。酸供与源は有機酸を含むことが好ましく、カルボン酸を含むことがより好ましく、乳酸またはα−ケト酸もしくは2−オキソ酸を含むことが最も好ましい。
【0055】
酸供与源は乳酸、3−メチル−2−オキソペンタン酸、ピルビン酸、2−オキソペンタン酸、4−メチル−2−オキソペンタン酸、3−メチル−2−オキソブタン酸、2−オキソオクタン酸、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される酸を含むことが好ましい。酸供与源は乳酸またはピルビン酸を含むことが好ましい。
【0056】
添付図面を参照しながら、例証としてのみ、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムを示す。
図2図2は、本発明による触覚フィードバック装置の第一の実施形態を示す。
図3図3は、本発明による触覚フィードバック装置の第二の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システム10を示す。エアロゾル発生システム10は、内部区画16を画定するハウジング14を備えるエアロゾル発生装置12を備える。
【0059】
エアロゾル発生装置12は、電源18と、触覚フィードバック装置20と、コントローラー22と、電気ヒーター24とを備え、これらのすべては内部区画16の中に位置付けられている。使用時、コントローラー22は電源18から触覚フィードバック装置20および電気ヒーター24への電力の供給を制御する。電気ヒーター24は環状誘導ヒーターである。
【0060】
エアロゾル発生システム10は、使用中にエアロゾル発生装置12のくぼみ34の中に受けられるエアロゾル発生物品40をさらに備える。エアロゾル発生物品40は、エアロゾル形成基体42、中空のアセテート管44、高分子フィルター46、マウスピース48、外側ラッパー50を備える。エアロゾル形成基体42は、たばこのプラグの中に分散されたサセプタを備え、またマウスピース48は酢酸セルロース繊維のプラグを備える。
【0061】
使用中にコントローラー22は、電源18から電気ヒーター24へと電流を供給して、エアロゾル形成基体42の中のサセプタを誘導的に加熱する。サセプタが加熱されるにつれて、エアロゾル形成基体42の中のたばこは加熱され、またユーザーへの送達のために揮発性化合物がたばこから放出される。コントローラー22はまた、電源18から触覚フィードバック装置20に電流を供給し、ユーザーに触覚フィードバックを提供し、加熱サイクルの開始および終了を示す。
【0062】
図2は触覚フィードバック装置20の構造をさらに詳細に示す。触覚フィードバック装置20は、第一の電気巻線62から形成される第一の電気コイル60と、別個の第二の電気巻線66から形成される第二の電気コイル64とを備える。明確にするために、第二の電気巻線66は破線を用いて表されている。第一の電気コイルおよび第二の電気コイル60、64は互いに軸方向で整列して配置され、かつ磁石68は第一の電気コイルおよび第二の電気コイル60、64の中に位置付けられている。触覚フィードバック装置20は、第一の電気巻線62の第一の端部における第一の電気的接続70と、第一の電気巻線62の第二の端部における第二の電気的接続72と、第二の電気巻線66の第二の端部における第三の電気的接続74と、第二の電気巻線66の第一の端部における第四の電気的接続76とをさらに備える。共通の電気的接続78は第二の電気的接続および第四の電気的接続72、76を互いに電気的に接続する。触覚フィードバック装置20の動作中、コントローラー22は電源18の第一の端子を共通の電気的接続78へと電気的に接続し、また電源18の第二の端子の接続を第一の電気的接続70と第三の電気的接続74の間で交互に行う。電源18の第二の端子の接続を第一の電気的接続70と第三の電気的接続74の間で交互に行うことは、電源18から第一の電気コイル60および第二の電気コイル64への電気エネルギーの供給を交互に行い、これは第一の電気コイル60および第二の電気コイル64の各々の中に磁界を交互に発生させる。交互に発生した磁界は互いに対向し、従って第一の方向80に沿った、かつ第一の電気コイル60および第二の電気コイル64の中の磁石68の往復する動きを誘発する。
【0063】
図3は、触覚フィードバック装置の代替的な配置を示す。図3に示される代替的な触覚フィードバック装置200は、図2を参照して説明される触覚フィードバック装置20と類似しており、また同様の参照符号が同様の部分を指すために使用されている。別個の電気巻線から形成された第一の電気コイル60および第二の電気コイル64の代わりに、図3に示される触覚フィードバック装置200は共通の電気巻線262を備える。第一の電気的接続70は共通の電気巻線262の第一の端部において提供されており、また第三の電気的接続74は共通の電気巻線262の第二の端部において提供されている。共通の電気的接続78は、共通の電気巻線262の中間点201において共通の電気巻線262に直接接続されている。第一の電気コイル60は、共通の電気巻線262の第一の端部と共通の電気巻線262の中間点201との間に共通の電気巻線262の第一の部分を備える。第二の電気コイル64は、共通の電気巻線262の中間点201と共通の電気巻線262の第二の端部との間に共通の電気巻線262の第二の部分を備える。図3に示される触覚フィードバック装置200の動作は、図2を参照して説明された触覚フィードバック装置20の動作と同じである。
図1
図2
図3