(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、自動車のセンサによって間接計測する場合に、自動車の周囲の物体の検出をいかに向上させ得るかに関する解決策を開示することである。
【0006】
本目的
は、本発明に従い、各独立請求項に係る特徴を有する方法によって、コントローラによって、運転者支援システムによって、また自動車によって達成
される。
【0007】
自動車の周囲の少なくとも1つの物体を検出する方法の一態様において、好ましくは、第1のセンサが作動してセンサ信号を発信する。さらに、前記少なくとも1つの物体から反射された前記センサ信号を表すセンサデータを特に第2のセンサから受信する。さらに、好ましくは、前記少なくとも1つの物体を表す物体
(オブジェクト)フィーチャとしての
ファジィフィーチャを前記センサデータから特定し、前記
ファジィフィーチャが、前記少なくとも1つの物体と前記第1のセンサとの間の距離と、前記少なくとも1つの物体と前記第2のセンサとの間の距離とを表すものとする。特に、前記
ファジィフィーチャを楕円として表す。さらに、特に、前記第1のセンサ及び/または前記第2のセンサの少なくとも1つの他の計測のセンサデータに基づいて、前記少なくとも1つの物体を表す他の物体
フィーチャを特定する。特に、イノベーション関数を用いて前記他の物体
フィーチャ及び前記
ファジィフィーチャを共通の状態空間内に移
す。ここで前記イノベーション関数が前記
ファジィフィーチャと前記他の物体
フィーチャとの間の類似性を表す。さらに、好ましくは、前記イノベーション関数に基づいて、前記他の物体
フィーチャから
マージされた物体
フィーチャを特定する。
【0008】
本発明に係る方法は、自動車の周囲の少なくとも1つの物体を検出するように作用する。本方法において、第1のセンサが作動してセンサ信号を発信する。さらに、前記少なくとも1つの物体から反射された前記センサ信号を表すセンサデータを第2のセンサから受信する。前記少なくとも1つの物体を表す物体
フィーチャとしての
ファジィフィーチャを前記センサデータから特定し、前記
ファジィフィーチャが、前記少なくとも1つの物体と前記第1のセンサとの間の距離と、前記少なくとも1つの物体と前記第2のセンサとの間の距離とを表す。この場合に、前記
ファジィフィーチャを楕円として表す。さらに、前記第1のセンサ及び/または前記第2のセンサの少なくとも1つの他の計測のセンサデータに基づいて、前記少なくとも1つの物体を表す他の物体
フィーチャを特定する。イノベーション関数を用いて前記他の物体
フィーチャ及び前記
ファジィフィーチャを共通の状態空間内に移し、前記イノベーション関数が前記
ファジィフィーチャと前記他の物体
フィーチャとの間の類似性を表す。最後に、前記イノベーション関数に基づいて、前記他の物体
フィーチャから
マージされた物体
フィーチャを特定する。
【0009】
本方法を利用して、前記自動車の前記周囲の1つ以上の物体を検出及び/または認識する。例えば、前記自動車のコントローラまたは電子制御ユニットを使用して、本方法を実行し得る。前記コントローラを用い、前記自動車の第1のセンサを作動させて、前記第1のセンサが作動の結果としてセンサ信号を発信するようにすることが可能である。発信されたセンサ信号は、次いで前記少なくとも1つの物体に入射し、前記少なくとも1つの物体から反射される。反射された前記センサ信号、または前記センサ信号のエコーは、次いで前記第2のセンサによって受信される。前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは超音波センサ
とすることができる。前記第2のセンサが反射された超音波信号を受信すると、前記第2のセンサは前記コントローラに送信されるセンサデータを供給する。これらのセンサデータは、例えば、反射された前記センサ信号を表す複数のセンサ値及び/または計測値を含み得る。前記第1のセンサによる前記センサ信号の発信と、前記第2のセンサによる反射された前記センサ信号の受信との間の経過時間に基づき、前記コントローラを使用して経過時間を求めることが可能である。この経過時間に基づいて、前記物体が前記第1のセンサ及び前記第2のセンサからどの程度離れているかを確認することができる。さらに、前記コントローラを利用して、前記物体を表すように作用する
ファジィフィーチャすなわちファジィな物体
フィーチャを特定するものとする。
【0010】
このような
ファジィフィーチャは、前記物体を表す
(記述する)物体
フィーチャを表現する。前記
ファジィフィーチャによって、例えば、前記センサデータ、または前記センサ信号の前記経過時間に基づいて、前記物体に関する距離情報項目のみを得ることができるようになる。前記
ファジィフィーチャは、前記第1のセンサと前記物体との間の距離と、前記第2のセンサと前記物体との間の距離とを表す。前記物体に関する角度情報項目を前記センサデータから得ることはできない。したがって、前記センサと前記物体との相対位置を正確に求めることはできない。前記
ファジィフィーチャを、例えば、前記自動車の前記周囲を表すデジタル周囲マップに取り入れることは可能である。この場合に、前記
ファジィフィーチャを、空間不確定性または曖昧さ
(ファジィ性)を伴い前記周囲マップに取り入れることも可能である。他の物体
フィーチャをこの周囲マップに取り入れることも可能である。これらの物体
フィーチャは、例えば、前記自動車の他のセンサによる計測から特定されたものであり得る。前記他の物体
フィーチャが前記第1のセンサ及び/または前記第2のセンサによって既に特定されたものであるとすることも可能である。
【0011】
本発明によれば、前記
ファジィフィーチャを楕円として表すものとする。さらに、前記第1のセンサ及び/または前記第2のセンサの少なくとも1つの他の計測のセンサデータに基づいて前記少なくとも1つの物体を表す他の物体
フィーチャを特定し、前記
ファジィフィーチャを当該物体
フィーチャと
マージする。このような物体
フィーチャは、例えば、空間における前記物体または前記物体の一部の位置を表す点
すなわち点
フィーチャとすることができる。前記物体
フィーチャは、前記物体または前記物体の一部の境界を表す線
すなわち線
フィーチャとすることができる。前記周囲の前記物体をより詳細に特徴付けることができるように、このような物体
フィーチャを前記
ファジィフィーチャすなわち前記楕円と
マージする。さらに、イノベーション関数を用いて前記他の物体
フィーチャ及び前記
ファジィフィーチャを共通の状態空間に移し、前記イノベーション関数が前記物体
フィーチャと前記
ファジィフィーチャとの間の類似性を表し、イノベーション関数に基づいて、前記物体
フィーチャから、前記
マージされた物体
フィーチャを特定する。前記他の物体
フィーチャ及び前記
ファジィフィーチャを、共通の状態空間に移し、及び/または変換し得る。この状態空間は、例えば、前記他の物体
フィーチャと前記
ファジィな物体
フィーチャとに対する共通の座標系を表現し得る。特に、前記状態空間は前記周囲マップと異なる。前記状態空間において、前記他の物体
フィーチャの状態と前記
ファジィフィーチャの状態とを表し得る。前記他の物体
フィーチャと前記
ファジィフィーチャとの間の類似性を特定する類似度を表現し得る前記イノベーション関数を、この状態空間において決定することも可能である。特に、前記イノベーション関数は、前記他の物体
フィーチャの前記状態がいかに前記
ファジィフィーチャの前記状態に類似するかを表し得る。前記イノベーション関数を利用して、前記他の物体
フィーチャと前記
ファジィフィーチャとのそれぞれの前記状態を、前記類似性の特定の対象でもある前記状態及び/またはディメンションのみを考慮するように表現することが可能である。例えば、前記イノベーション関数は、前記他の物体
フィーチャと前記
ファジィフィーチャとの間の距離、または前記他の物体
フィーチャと前記
ファジィフィーチャとの方向に関する差を表し得る。まず、前記イノベーション関数に基づいて、前記
ファジィフィーチャが前記他の物体
フィーチャに関連し得るか否かを判定することが可能である。関連性が生じる場合に、前記
マージされた物体
フィーチャを前記他の物体
フィーチャから得る目的で、前記イノベーション関数を用いることが可能である。したがって、一方では前記第1のセンサ及び/または前記第2のセンサにより実行される少なくとも1つの直接計測によって、他方では前記第1のセンサ及び前記第2のセンサにより実行される間接計測によって、前記物体を検出することが可能である。例えば、まず複数の直接計測及び/または間接計測に基づいて前記物体を特定し、デジタル周囲マップに取り入れる。その後、このような物体を間接計測と融合することによって良化することが可能である。前記イノベーション関数によって計測の結果を統合することが可能であり、これにより前記物体の認識を向上させることが可能である。
【0012】
好ましくは、前記楕円の焦点を前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの位置に基づいて決定し、前記センサ信号の経過時間に基づいて前記楕円の
長半径の長さを決定し、前記焦点と前記
長半径の前記長さとに基づいて前記楕円の
短半径の長さを決定する。前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの前記位置または設置位置は既知である。前記位置
すなわち設置位置は、例えば、前記コントローラのメモリに記憶され得る。前記第1のセンサ及び前記第2のセンサのそれぞれの前記位置が前記楕円の2つの前記焦点に関連付けられるように、前
記楕円を決定する。さらに、前記センサ信号の前記経過時間に基づいて前記楕円の前記
長半径の前記長さを決定する。この目的で、前記センサ信号が反射された前記物体は前記楕円上に位置するものとする。前記センサ信号の前記経過時間は、第1の焦点から前記楕円上の前記物体を表す点までの経路に、当該点から第2の焦点までの経路を加えたものを表す。したがって、前記経過時間に関連付けられ得る経路は、前記楕円の前記
短半径または前記
長半径の2倍に相当する。前記焦点の前記位置と前記
短半径の前記長さとから、前記
短半径の前記長さを導出することが可能である。したがって、前記センサの既知の位置と前記センサ信号から求まる前記経過時間とに基づいて、前記楕円を容易に確定することができる。前記
ファジィフィーチャは、前記間接計測の場合に、前記センサを使用して円としてではなく楕円として表されるため、前記物体の前記位置に関するより正確な情報項目
を与えることができる。これにより、全体として、前記少なくとも1つの物体の、より正確でより信頼性の高い検出が可能になる。
【0013】
好ましくは、前記焦点の距離と前記
短半径の前記長さとに基づいて前記楕円の離心率を決定し、前記
長半径の前記長さと前記離心率とから前記
短半径の前記長さを決定する。2つの前記センサのそれぞれの前記位置
すなわち設置位置は既知であるため、前記第1のセンサと前記第2のセンサとの間の距離を決定することも可能である。この距離の半分は前記楕円の離心率とも称する。次いで、この離心率と前記楕円の前記
長半径の前記長さとから、前記楕円の前記
短半径の前記長さを決定することが可能である。前記楕円の前記
短半径の前記長さは、前記
長半径の前記長さの2乗から前記離心率の2乗を引いたものの平方根から得られる。したがって、前記
ファジィフィーチャを表す、前記楕円の前記
短半径の前記長さを、容易に、かつ短い計算時間の範囲で決定することが可能である。
【0014】
他の態様において、前記他の物体
フィーチャを特定して、前記自動車の前記周囲を表すデジタル周囲マップに取り入れ、次いで、前記
ファジィフィーチャを特定して前記デジタル周囲マップに取り入れる。前記物体
フィーチャが既に前記周囲マップに取り込まれている場合
もありうる。それに続いて、次に前記
ファジィフィーチャを特定
してもよい。まず、前記物体
フィーチャ及び前記
ファジィフィーチャが前記周囲の同じ物体を表すか否かを確認し得る。したがって、前記
ファジィフィーチャと前記物体
フィーチャとを互いに融合することが可能であるか否かを確認し得る。そうである場合には、まず
関連付けが行われるとともに、
これに基づき前記
ファジィフィーチャと前記他の物体
フィーチャとの融合
すなわちマージが妥当であるか否かを確認する。この
マージ時に、前記物体
フィーチャから移行した、
マージまたは更新された物体
フィーチャを特定し得る。前記
ファジィな物体
フィーチャに基づいて、この
マージされた物体
フィーチャを特定する。したがって、前記物体をより高い信頼性で検出することができる。
【0015】
一態様において、前記他の物体
フィーチャから、前記
マージされた物体
フィーチャを特定するために、前記イノベーション関数と前記イノベーション関数に対する増幅因数とを含む線形マッピングルールであって、前記増幅因数が前記他の物体
フィーチャの空間不確定性と前記
ファジィフィーチャの空間不確定性とに依存する線形マッピングルールを決定する。前記
マージされた物体
フィーチャを特定するために、前記線形マッピングルールを確定する。このマッピングルールはフィルタとも称
される。原理的に、前記マッピングルールをカルマンフィルタのように定義し得る。前記マッピングルールは、前記イノベーション関数と、前記イノベーション関数を乗算する前記増幅因数とを含み得る。前記増幅因数はカルマン増幅度とも称
される。前記増幅因数を、前記他の物体
フィーチャ及び前記
ファジィフィーチャのそれぞれの空間不確定性の関数として求め得る。前記空間不確定性を、それぞれの状態または
フィーチャの共分散または共分散行列を利用して求め得る。したがって、前記空間不確定性を考慮して、前記
マージされた物体
フィーチャを特定することができる。
【0016】
さらに、前記
マージされた物体
フィーチャの空間不確定性が最小となるように前記増幅因数を決定すれば、有利である。前記
マージされた物体
フィーチャを極力信頼性が高くなるように決定することを可能とするために、前記
マージされた物体
フィーチャの前記空間不確定性が極力小さくなるように、前記増幅因数を決定し得る。したがって、前記
マージされた物体
フィーチャの前記共分散行列が最小となるように、前記増幅因数を最小にし得る。例えば、前記共分散行列の固有値を最小にすることで、前記共分散行列を最小にし得る。この場合に、任意の単位ベクトルを用いて前記共分散行列を変換し得るとともに、次いで、このスカラー射影を最小にし得る。したがって、前記増幅因数を信頼性高く決定することができる。
【0017】
前記イノベーション関数に基づいて限界を決定し、前記イノベーション関数が前記限界を超える場合に、前記
マージされた物体
フィーチャの決定に際して前記
ファジィフィーチャを考慮しないままにするものとすることも可能である。前記イノベーション関数を用いて、前記
ファジィフィーチャと前記物体
フィーチャとを
マージすべきか否かを決定し得る。特に、前記イノベーション関数の期待値、及び/または前記イノベーション関数の共分散を求め得る。これから、マハラノビス距離とも称される限界を導出し得る。イノベーション関数のマハラノビス距離がこの限界より小さければ、前記
マージされた物体
フィーチャを特定することができる。イノベーションは、この場合にイノベーション関数の出力を表す。イノベーションがこの限界より大きい場合には、前記
ファジィフィーチャを考慮することができない。
【0018】
好ましくは、前記他の物体
フィーチャとして点
フィーチャまたは線
フィーチャを特定する。このような点
フィーチャは、例えば、経時的に複数の時系列に連続する点において、または複数の時系列的に連続する計測において、前記第1のセンサ及び/または前記第2のセンサにより前記物体を検出することで特定され得る。例えば、前記物体に対する前記第1のセンサ及び/または前記第2のセンサ間の相対位置は、三角測量を利用して特定され得る。前記他の物体
フィーチャはまた、物体または物体の一部の境界を表す線または線
フィーチャからなり得る。例えば、自動車が前記物体を通過するとともに前記自動車が通過しながら継続して計測を実行する場合に、このような線
フィーチャが取得される。次いで、前記物体までの距離を表すそれぞれの計測値またはセンサデータを結合して線
フィーチャを形成し得る。前記線
フィーチャを取得するために、複数の計測値を求め、前記計測値を亘る線を配置するものとし得る。
【0019】
さらに、前記イノベーション関数を決定するために、前記
ファジィフィーチャと前記点
フィーチャとの間の距離と、前記
ファジィフィーチャと前記線
フィーチャとの間の距離とを表す計測モデルを決定すると、有利である。前記計測モデルは、特に計測空間をマップし得る。前記他の物体
フィーチャが前記点
フィーチャである場合に、特に、生成される楕円を決定して、前記点
フィーチャが前記楕円上に存在するように前記計測モデルを決定する。したがって、計測楕円とも称し得る、生成される楕円を決定して、前記計測モデルを決定する。前記生成される楕円は、前記
ファジィフィーチャ及び/または前記計測を表す楕円に基づいて決定される。この場合に、前記生成される楕円及び前記楕円は、好ましくは同じ焦点を有する。前記生成される楕円を、前記点
フィーチャが前記生成される楕円上に存在するように決定する。したがって、この楕円を用いて前記点
フィーチャを前記物体として計測する場合に、
ファジィフィーチャが楕円の形態でどのように現れなければならないかを確認する。前記楕円及び前記生成される楕円は同じ焦点を有するため、前記イノベーションは、前記
長半径の長さどうしの差を表す。前記計測モデルは、前記第1のセンサの位置から前記点
フィーチャを介して前記第2のセンサの位置へ至る経路の半分を表す。この経路の半分は、
長半径に相当する。これにより、前記物体
フィーチャが前記点
フィーチャである場合についての前記計測モデルの容易な決定が可能になる。
【0020】
前記他の物体
フィーチャが前記線
フィーチャである場合には、特に、生成される楕円を決定して、前記線
フィーチャが前記生成される楕円に接して延在するような前記計測モデルを決定する。原理的には、前記生成される楕円を決定して、前記生成される楕円が前記線
フィーチャと交差するように前記計測モデルを決定し得る。ただし、それから2つの交点が得られる場合には、一意の解を求めることができない。したがって、前記線
フィーチャに対して単一の交点のみを有するように、前記生成される楕円を決定する。このことは、前記線
フィーチャが前記生成される楕円に接して延在する場合に当てはまる。したがって、前記物体
フィーチャが前記線
フィーチャである場合には、前記計測モデルを容易に決定することもできる。
【0021】
好ましくは、前記楕円の前記
長半径の前記長さと前記計測モデルとの差に基づいて、前記イノベーション関数の出力を表すイノベーションを決定し得る。既述のように、前記計測モデルは、前記生成される楕円の前記
長半径の前記長さを表す。これを、
ファジィフィーチャとして特定された前記楕円の前記
長半径の前記長さと比較し得る。したがって、前記
ファジィフィーチャとしての前記楕円、または計測された前記楕円が前記生成される楕円とどのように異なるかを特定することができる。したがって、前記
ファジィフィーチャまたは前記楕円と、前記物体
フィーチャ、前記点
フィーチャ、または前記線
フィーチャとの間の類似性を、容易に特定することができる。
【0022】
自動車の運転者支援システムに供される、本発明に係るコントローラは、本発明に係る方法を実行するように設計されている。前記コントローラは、コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサなどを備え得る。前記コントローラは、好ましくは、前記自動車の電子制御ユニットによって形成されている。
【0023】
自動車に供される、本発明に係る運転者支援システムは、本発明に係るコントローラと、さらに、特に超音波センサからなる第1のセンサ及び第2のセンサとを備える。前記コントローラは、データ伝送のために前記第1のセンサ及び前記第2のセンサに接続されている。前記第1のセンサは、この場合に前記センサ信号を発信する送信機として作用する。前記第2のセンサは、前記少なくとも1つの物体から反射された前記センサ信号を受信する受信機として作用する。前記運転者支援システムが、超音波センサ、カメラ、レーダセンサ、ライダーセンサ、レーザスキャナなどからなり得る他のセンサを有するものとすることも可能である。
【0024】
他の態様は、自動車の周囲の少なくとも1つの物体を検出する方法に関する。この場合に、好ましくは、第1のセンサが作動してセンサ信号を発信する。さらに、特に、前記少なくとも1つの物体から反射された前記センサ信号を表すセンサデータを、第2のセンサによって受信する。さらに、好ましくは、前記センサデータから、前記少なくとも1つの物体を表す物体
フィーチャとして
ファジィフィーチャを特定し、前記
ファジィフィーチャは、前記少なくとも1つの物体と、前記第1のセンサの位置及び/または前記第2のセンサの位置との間の距離を表すものとする。特に、前記
ファジィフィーチャを楕円として表し、前記第1のセンサの位置及び前記第2のセンサの位置に基づいて前記楕円の焦点を決定する。さらに、好ましくは、前記センサ信号の経過時間に基づいて前記楕円の
長半径を決定し、特に、前記焦点及び前記
長半径の前記長さに基づいて前記楕円の
短半径の長さを決定する。
【0025】
本発明に係る自動車は、本発明に係る運転者支援システムを備える。前記自動車は、特に乗用車として設計されている。
【0026】
本発明に係る方法に関連して提供される好ましい態様とその利点とは、本発明に係るコントローラ、本発明に係る運転者支援システム、及び本発明に係る自動車に同様に当てはまる。
【0027】
請求項、図面、及び図面の説明から、本発明の他の特徴が得られる。本説明において上述した特徴及び特徴の組み合わせと、さらに、図面の説明において後述する、及び/または図面に示されるのみである特徴及び特徴の組み合わせとは、個別に特定される組み合わせのみならず、本発明の範囲から逸脱せずに、他の組み合わせで、または単独で利用可能である。したがって、さらに、図面に明示されずに説明されるが所在している本発明の実施形態であって、説明された実施形態とは別の特徴の組み合わせによって作ることができる本発明の実施形態が構成及び開示されているとみなせる。さらに、最初に定められた独立請求項の全ての特徴を同様には有していない特徴の態様及び組み合わせが開示されているとみなせる。さらに、特に上述の実施形態によって、請求項に関連して提示される特徴の組み合わせを超える、または逸脱する特徴の態様及び組み合わせが開示されているとみなせる。
【0028】
ここで、好ましい例示的な実施形態に基づいて、また添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図中、同一の要素もしくは機能上同一の要素には同一の参照符号を付している。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態に係る自動車1を平面図で示す。自動車1は、本例において乗用車として設計されている。自動車1は運転者支援システム2を備え、運転者支援システム2を使用して自動車1の周囲4の少なくとも1つの物体3を検出することが可能である。
【0032】
運転者支援システム2は、例えば自動車1の電子制御ユニット(ECU)によって構成され得
るコントローラ5を備える。また、運転者支援システム2は複数のセンサ6、7を備える。センサ6、7は、例えば、超音波センサ、カメラ、レーダセンサ、ライダーセンサ、レーザスキャナなどからなり得る。本実施形態において、運転者支援システム2は12個の超音波センサ6を備え、そのうちの6つが自動車1の前部領域8に配置されており、またそのうちの6つが自動車1の後部領域9に配置されている。超音波センサ6は、例えば、自動車1のバンパ上に配置され得る。各超音波センサ6によって、超音波信号を発信し得るとともに、物体3から反射された超音波信号を受信し得る。間接計測も実行され、間接計測においては、超音波センサ6のうちの1つが超音波信号を発信し、近接する超音波センサ6が物体3から反射された超音波信号を受信する。
【0033】
また、運転者支援システム2はカメラ7を備え、カメラ7によって物体3を検出することが可能である。カメラ7の後段に解析ユニットを接続することが可能であり、当該解析ユニットによってカメラ7の画像を解析することが可能である。物体3は、例えば、対応する物体認識アルゴリズムを用いて認識され得る。超音波センサ6及びカメラ7はそれぞれコントローラ5に接続されて、データ送信に供される。本例においては、理解しやすいように、対応するデータ線を図示しない。センサ6、7の各々によって計測を実行することが可能であり、これにより計測センサデータを生成する。これらのセンサデータは、次いでそれぞれのセンサ6、7によって、コントローラ5に送信され得る。
【0034】
コントローラ5は、センサ6、7のうちの1つから受信したセンサデータに基づいて、物体3を表す物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uを特定し得る。センサ6、7自体が物体
フィーチャを特定し、次いで当該物体
フィーチャをコントローラ5に送信するものとすることも可能である。物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uの特定は、いわゆる
フィーチャ抽出段階において行われ得る。この目的で、類似のセンサのセンサデータの計測値
の組み合わせ
すなわちマージを行うことができる。物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uを、例えば、自動車1の周囲4を表すデジタル周囲マップに取り入れることが可能である。異なるセンサから生じる、抽出された物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uを、まず周囲マップまたは
フィーチャ抽出段階において融合し得る。物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uは、点
フィーチャx
P、線
フィーチャx
L、
ファジィフィーチャx
Uからなり得る。
【0035】
これらの物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uを、周囲マップにおいて更新し得る。この目的で、新たな物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uを特定し得る。周囲マップに物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uが既に存在していて、新たな物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uを特定する場合に、まず、新たな物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uが周囲マップの物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uに関連し得るか否かを確認し得る。物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uが互いに関連する場合には、物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uを
マージし得る。関連性が生じない場合には、新たな物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uを周囲マップに格納し得る。
【0036】
物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uは、超音波センサ6のセンサデータから特定され得る。超音波センサ6のセンサデータに基づいて、物体3までの距離を求めることが可能である。この目的で、超音波センサ6は、超音波信号を発信し、物体3から反射された超音波信号を受信する。次いで、超音波信号の発信と物体3から反射された超音波信号の受信との間の経過時間に基づいて、当該距離を求め得る。
図1の例に示されるように、運転者支援システム2が複数の超音波センサ6を有する場合には、超音波センサ6を用いて直接計測及び間接計測を実行し得る。
【0037】
ここでは
図2に、超音波センサ6の直接計測を概略的に示す。直接計測の場合に、超音波センサ6は超音波信号またはセンサ信号を発信し、さらに、物体3から反射された超音波信号または超音波信号のエコーを受信する。次いで、超音波信号の経過時間から、物体3が超音波センサ6の周りの円x
Kまたは半円上に存在することを特定し得る。円x
Kの半径は、超音波信号の経過時間の半分から得られる。矢印10は、この場合におけるセンサ信号または超音波信号の信号経路を表す。
【0038】
図3に、超音波センサ6の間接計測を概略的に示す。この場合に、第1の超音波センサ6は送信機として動作する。この超音波センサ6は位置x
s1に配置されており、超音波信号を発信する。位置x
s2に配置された第2の超音波センサ6または近接する超音波センサ6は受信機として動作し、第1の超音波センサ6によって発信されて物体3から反射された超音波信号を受信する。この場合に、物体3は楕円x
Eまたは半楕円上に存在し、超音波センサ6の位置x
s1、x
s2は、楕円x
Eのそれぞれの焦点x
F1、x
F2に関連付けられる。
【0039】
既述のように、点
フィーチャx
Pまたは線
フィーチャx
Lは、超音波センサ6による複数の計測において生成されたセンサデータの組み合わせによって、物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uとして特定され得る。ただし、明確な空間位置を用いて物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uを特定することができない場合がある。このことは、例えば、十分なセンサデータが得られない場合に当てはまる。この場合に、物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uとして
ファジィフィーチャx
Uを与えるものとする。直接計測の場合には、このことを、センサ位置からの計測距離を有するセンサ軸上に点が配置される、と表す。間接計測の場合には、中心点x
Cが2つのセンサ位置x
s1、x
s2の平均値からなる円によって楕円を近似する。この中心点x
Cを仮想センサ位置とも称する。当該円の半径は、楕円の
短半径bの長さに相当する。これを次のように表すことができる。
【0041】
同様に、計算された半径を用いて、仮想センサの軸上に
ファジィフィーチャx
Uを生成する。センサデータに基づいて点
フィーチャx
Pも線
フィーチャx
Lも特定することができない場合でも、点
フィーチャx
Pまたは線
フィーチャx
Lを
ファジィフィーチャx
Uと
マージするものとすることが可能である。
【0042】
点
フィーチャx
P、線
フィーチャx
L、及び
ファジィフィーチャx
Uは、期待値
【数2】
を有するガウス確率変数
【数3】
と、共分散行列
【数4】
として表される。したがって、点
フィーチャ
【数5】
は、空間内に二次元座標によって表される。線
フィーチャ
【数6】
は、二次元空間内の基点または回転中心と、当該線の角度
【数7】
とによって表される。本例の場合に、線の長さは確率論的にモデル化されない。最後に、
ファジィフィーチャx
Uは、スカラーの確率変数
【数8】
によって表され、ここで、
【数9】
は、実際または仮想のセンサ位置
【数10】
からの、
ファジィフィーチャのユークリッド距離である。
【0043】
物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uを
マージするために、包括的な線形推定器の形式のマッピング関数を用いる。
【数11】
【0044】
この場合に、
【数12】
及び
【数13】
に、上述の物体
フィーチャx
P、x
L、x
U、すなわち、点
フィーチャx
P、線
フィーチャx
L、及び
ファジィフィーチャx
Uが代入され得る。この目的で、特に、点
フィーチャx
Pと
ファジィフィーチャx
Uとの
マージ、または線
フィーチャx
Lと
ファジィフィーチャx
Uとの
マージを以降で説明する。マッピングルールによって2つの物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uを結合して、既に存在する物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uに関する他の情報項目を取得する。マッピングルールを利用して、第1の状態
【数14】
または第1の物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uから
マージされた物体
フィーチャ、または
マージされた状態
【数15】
を特定することができる。この目的で、確率論的イノベーション関数
【数16】
を用いる。
【0045】
イノベーション関数hは、物体
フィーチャx
P、x
L、x
U及び/または物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uの状態の間の類似性を表す。マッピングルールまたはイノベーション関数hは、また、非線形であり得る。この場合に、次いでイノベーション関数hを線形化し得る。これは、一次のテーラー級数を利用して行うことが可能である。
【数17】
【0046】
この場合に、因数H
1及び因数H
2はヤコビ行列である。さらに、マッピングルールは増幅因数Kまたは増幅行列を含む。増幅因数Kは、
【数18】
が任意の単位ベクトルからなり得るとして、射影
【数19】
を最小にするように決定される。増幅因数Kを次のように表し得る。
【数20】
【0047】
本例の場合には、
【数21】
と、
【数22】
とは相関していないことを考慮する。したがって、
【数23】
が得られる。よって、
マージされた結果と更新された共分散行列とは、
【数24】
となる。
【0048】
物体
フィーチャx
P、x
L、x
U及び/または状態が互いに関連するか否かを確認するために、いわゆるマハラノビス距離を定義する。
【数25】
【0049】
マハラノビス距離によって限界が特定される。限界に達しなければ、状態または物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uの関連性は尤もらしい。さらに、他の幾何学的検討を用いて尤もらしさを確認することが可能である。
【0050】
物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uを互いに関連付けて
マージすべきか否かを確認するために、物体
フィーチャx
P、x
L、x
U及対して適切なイノベーション関数hを決定する。点
フィーチャx
Pと
ファジィフィーチャx
Uとの
マージに対するモデルと、線
フィーチャx
Lと
ファジィフィーチャx
Uとの
マージに対するモデルとについて、以下に説明する。両方のモデルは、計測モデルa
P、a
Lと
ファジィフィーチャx
Uの計測された物体距離d
uとの差分として決定される。計測モデルa
P、a
Lは、既知の物体
フィーチャx
P、x
Lを計測空間内に移し得る。この計測空間において、次いで、物体
フィーチャx
P、x
L、x
Uを現計測値と比較し得る。
【0051】
点
フィーチャx
Pを
ファジィフィーチャx
Uと
マージする場合に、計測モデルa
Pは、点
フィーチャx
Pとセンサ位置x
Sとの間のユークリッド距離d
Pである。イノベーション関数hは、
【数26】
となる。
【0052】
線
フィーチャx
Lを
ファジィフィーチャx
Uと
マージする場合に、計測モデルa
Lは、線
フィーチャx
Lとセンサ位置x
Sとの間の最短距離d
Lの絶対値である。イノベーション関数hは、
【数27】
となる。
【0053】
2つのイノベーション関数hの図式的表記について、以下でより詳細に説明する。
【0054】
上述のように、
ファジィフィーチャx
Uは、センサ位置
【数28】
から距離
【数29】
を有する円の距離計測値として表される。本モデルを、
ファジィフィーチャを生成する計測の種類に関わらず用いる。超音波センサ6による直接計測の場合には、本モデルは信号経路に関して存在する情報項目を表す。超音波センサ6による間接計測については、このようなモデルは近似を表すにすぎず、その精度は、楕円がいかに円に近いかに依存する。この制約を取り除くために、まず、さらに間接計測からの情報項目を記憶することができるように、
ファジィフィーチャx
Uの表記を拡張する。さらに、楕円距離計測値の形式で点
フィーチャx
P及び線
フィーチャx
Lを
ファジィフィーチャx
Uと結合することができるように、イノベーション関数hを決定する。
【0055】
図4は、
ファジィフィーチャx
Uとしての楕円x
Eの概略図を示す。様々な方法で楕円x
Eを数学的に表すことが可能である。典型的な表記は、楕円x
Eを点の集合とみなすものであり、点から2つの焦点
【数30】
及び
【数31】
までのユークリッド距離に相当する距離の合計が、長軸の長さ2aからなる。
【数32】
【0056】
この表記の利点は、デカルト座標系に依存しないことである。また、楕円x
Eを、
長半径a及び
短半径bを用いた陰関数表示の楕円方程式によって表し得る。
【数33】
【0057】
この方程式は楕円x
Eの座標系で表され、当該座標系においてx軸は
長半径aの方向を向き、y軸は
短半径bの方向を向く。本例において、楕円x
Eは角度αで傾斜している。いわゆる線形離心率eは、楕円x
Eの他の特性である。
【数34】
線形離心率eは、楕円x
Eの各焦点x
F1、x
F2と中心点
【数35】
との間の距離を表す。線形離心率eは、
【数36】
によって範囲が定められる。
【数37】
すなわち離心率が0である場合に、楕円x
Eは円となる。
【数38】
の場合に、楕円x
Eは直線に縮退する。
【0058】
ファジィフィーチャx
Uの拡張された表記を得るために、超音波センサ6の間接計測に関するすべての取得可能な情報項目を、
フィーチャ抽出層
(レイヤ)からデジタル周囲マップに転送する必要がある。例えば、2つの超音波センサ6の位置x
Sと、超音波センサの経過時間に関する情報項目とを知る必要がある。次いで、
長半径の長さaを、経過時間から、
【数39】
として求めることが可能である。離心率eは、超音波センサ6の距離から、
【数40】
として求めることが可能である。次いで、
短半径bの長さを、これから、
【数41】
として求めることが可能であり、この場合に、融合時に
短半径の長さbは必要でない。
【0059】
この場合に、超音波センサ6間の距離、すなわちセンサ距離は完全に既知であるものとする。これは、例えばコントローラ5のメモリに記憶され得る。計測の不確かさは、
長半径aの長さと
短半径bの長さとに反映される。
長半径および短半径の長さa,bは互いに異なるとともに線形離心率eに依存することから、楕円x
Eの不確かさは、
長半径および短半径に対する単一のスカラーの確率変数aまたはbを考慮することによって完全に反映される。超音波センサ
【数42】
を使用して直接計測することから、
ファジィフィーチャx
Uは、
長半径aの長さによって確率論的に特定される。これから、
【数43】
が得られ、この場合に、
【数44】
はガウス曲線としてモデル化される。さらに、
ファジィフィーチャを一意に特定するには、楕円の焦点x
F1及び焦点x
F2、または中心点
【数45】
との
マージによって表される両方のセンサ位置x
Sのいずれかと、線形離心率eと、楕円x
Eの方向αとが必要である。
【0060】
関連付け及び
マージを
決定するために、2つのイノベーション関数
【数46】
及び
【数47】
を決定する必要があり、それらを用いて、点
フィーチャx
P及び線
フィーチャx
Lを
ファジィフィーチャx
Uと
マージすることが可能である。イノベーション関数hは、イノベーション関数hが計測モデル
【数48】
と、計測された楕円x
Eの
長半径aとの差を考慮するように、決定される。
【数49】
【0061】
この場合に、状態
【数50】
に、点
フィーチャx
Pの状態、または線
フィーチャx
Lの状態を代入し得る。計測モデル
【数51】
によって、生成される楕円x’
Eの
長半径aの長さを決定することが可能であり、点
フィーチャx
Pは、
1つの超音波センサ6または複数の超音波センサ6を用いて計測されるとすれば楕円x’
E上に存在することになる。線
フィーチャx
Lを
ファジィフィーチャx
Uと
マージする場合には、計測モデル
【数52】
によって、生成される楕円x
Eの
長半径aの長さを、線
フィーチャx
Lが楕円x
Eに接するように決定する。この場合に、線
フィーチャx
Lが、
ファジィフィーチャx
Uを特定する基となった計測と同じ超音波センサ6を用いた計測を基にして特定されたことを考慮し得る。
【0062】
点
フィーチャx
P及び線
フィーチャx
Lに対する計測モデルの決定について、以下に説明する。点
フィーチャx
Pと楕円x
Eとの
マージに対する計測モデルa
Pの決定について、点
フィーチャx
P及び楕円x
Eの概略図を示した
図5に基づいて説明する。点
フィーチャx
Pの場合に、計測モデルは次の定義から導出される。
【数53】
【0063】
本例の場合に計測モデルa
Pを決定するために、生成される楕円x’
Eを決定する。点
フィーチャx
Pが生成される楕円x’
E上に存在するように、生成される楕円x’
Eを決定する。楕円x’
Eから、生成される楕円x’
Eの
長半径aの長さを求めることが可能である。
【数54】
【0064】
このことは、
【数55】
について当てはまる。条件
【数56】
が満たされるならば、点
フィーチャx
Pは、焦点x
F1、x
F2を互いに接続する線上に存在する。この場合に、点
フィーチャx
Pから有効な計測値を得ることはできない。すべての他の点
フィーチャx
Pについて、有効な楕円を決定することが可能である。計測モデルa
Pは、第1の焦点x
F1から点
フィーチャx
Pを経由して第2の焦点x
F2まで延在する経路の半分から得られる。
【0065】
本モデルをイノベーション関数hに用いる。
【数57】
【0066】
イノベーション関数hの線形化後に、ヤコビ行列
【数58】
及び
【数59】
を求め得る。
【0067】
【数60】
点
【数61】
または点
【数62】
を除くすべての点について、ヤコビ行列
【数63】
を定義する。ただし、
【数64】
であれば、これを行うことはできない。
【0068】
線
フィーチャx
Lと楕円x
Eとの
マージに対する計測モデルa
Lの決定について、線
フィーチャx
L及び楕円x
Eの概略図を示した
図6に基づいて説明する。生成される楕円x’
Eに線
フィーチャx
Lを交差させることによって、線
フィーチャx
Lについての計測モデルa
Lを決定することが可能である。線の形態をなす実際の物体を超音波センサ6によって間接計測することにより、当該線に接して延在する楕円の計測値が得られる。このことは、線または線
フィーチャx
Lが、生成される楕円x’
Eに接して延在しなければならないことを意味する。第1のステップにおいて、生成される楕円x’
Eの局所座標系に存在する線
フィーチャx
Lから解を導出する。次いで、あらゆるデカルト座標系において線
フィーチャx
Lを用いることができるように、計測モデルa
Lを拡張し得る。
【0069】
交点を求めるために、線または線
フィーチャx
Lを陽関数表示のパラメータ形式で表す。
【数65】
これを陰関数表示の楕円方程式に挿入する。
【0070】
【数66】
当該方程式をパラメータtについて解き、そこから交点を導出することができるようにする。当該方程式は二次であるため、当該方程式を一般の二次方程式の形式に変形する。次いで、その二次方程式を解く。
【0072】
固有解を得るためには、判別式が0でなければならない。
【数68】
【数69】
及び
【数70】
を挿入し、
【数71】
の代入を行うことによって、この特性式をaについて解くことが可能である。
【数72】
【0073】
長半径aの長さを計算するためのこの解は、楕円x
Eの局所座標系で定義される線
フィーチャx
Lに当てはまる。したがって、一般に、線
フィーチャx
Lを楕円x
Eの局所座標系に変換する必要がある。
【数73】
【0074】
当該変形を解に挿入することにより、次の結果が得られる。
【数74】
【0075】
最後に、並んでいるベクトルを、
【数75】
と書き直して、さらに挿入する。この結果は、
【数76】
となる。
【0076】
なお、第1項において線
フィーチャx
Lの傾き位置の回転は完全に消失し、第2項における角度変換のみが必要となる。第1式は線
フィーチャx
Lと楕円x
Eの中心点x
Cとの間の最短距離の二乗であってこれは不変であることから、点
フィーチャx
Pの回転は必要ない。得られる解は、
【数77】
の場合にのみ有効である。この条件が当てはまらない場合には、線
フィーチャx
Lは2つの焦点x
F1、x
F2間の線分と交差する。この場合には、線
フィーチャx
Lから正しい楕円x
Eを得ることができない。
【0077】
幾何学的な見地では、計測モデルa
Lは、線
フィーチャx
L上の焦点x
F1、x
F2のうちの一方の射影と、当該焦点のうちの一方から楕円x
Eの中心点x
Cまでのユークリッド距離dの計算とによって決定される。この手法によって、線
フィーチャx
Lが焦点x
F1、x
F2のうちの一方または両方の上に存在する場合に、条件
【数78】
が維持されることを容易に示すことができる。
【0078】
上述の解を、次のように表されるイノベーション関数hに用いる。
【数79】
【0079】
さらに、ヤコビ行列
【数80】
を求める。
【0080】
ヤコビ行列
【数81】
は、
【数82】
のケースを除くすべての場合について定義される。当該ケースの場合に、線
フィーチャx
Lは楕円x
Eの主軸に垂直であって、楕円x
Eの中心点x
Cを通って延在する。このケースは、特性
【数83】
によって除外済みである。
【0081】
最後に、楕円x
Eについて求まったイノベーション関数hが、円についての既存のモデルの一般形であることを示す。
【数84】
または
【数85】
である、円の特別の場合について、上述の計測モデルは数学的に等価である。
【数86】
【数87】
【0082】
なお、線についての既存の計測モデルの垂線は、反対方向を指す。
【0083】
本例では、超音波センサ6に基づく間接計測について説明した。自動車1の他のセンサのセンサデータを用いるものとすることが可能である。例えば、カメラ7の計測から物体
フィーチャを生成して、周囲マップに取り入れることが可能である。この方法によって、物体3を高い信頼性で検出することが可能である。