(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862481
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】可撓性継手管
(51)【国際特許分類】
F16L 47/03 20060101AFI20210412BHJP
F16L 33/00 20060101ALI20210412BHJP
F16L 33/22 20060101ALI20210412BHJP
F16L 21/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
F16L47/03
F16L33/00 B
F16L33/22
F16L21/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-8783(P2019-8783)
(22)【出願日】2019年1月22日
(65)【公開番号】特開2020-118210(P2020-118210A)
(43)【公開日】2020年8月6日
【審査請求日】2019年5月9日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年10月24日−26日に東京都立産業貿易センター台東館において開催された第50回管工機材・設備総合展で展示して公開
(73)【特許権者】
【識別番号】594203841
【氏名又は名称】タイフレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082083
【弁理士】
【氏名又は名称】玉田 修三
(72)【発明者】
【氏名】小澤 隆治
【審査官】
柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2016−0044766(KR,A)
【文献】
実開昭58−009590(JP,U)
【文献】
特開2007−247699(JP,A)
【文献】
特開2010−196716(JP,A)
【文献】
特開2006−292028(JP,A)
【文献】
特開2002−181267(JP,A)
【文献】
特開2000−205477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 47/03
F16L 21/00
F16L 33/00
F16L 33/22
F16L 25/00
F16L 11/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓管の一端部及び他端部に、相手方配管要素に接続される第1継手及び第2継手が各別に設けられてなる可撓性継手管であって、
上記可撓管が、折曲げ変形可能な金属製の波形管でなり、
上記第1継手及び上記第2継手が上記可撓管に離脱不能に連結されていると共に、上記可撓管の一端部に設けられた上記第1継手が、上記相手方配管要素に具備された樹脂製の挿し口が挿入される受け口と上記可撓管の一端部に連結された筒状の連結口部とを一体に有し、かつ、上記受け口の内周面を上記挿し口の外周面に熱融着可能な樹脂製の熱融着継手でなり、
上記可撓管の一端部と第1継手の上記連結口部との連結箇所において、可撓管を形成している波形管の一端部に具備された直管部が、上記連結口部に挿入状態で水密に結合された金属製のスリーブに挿入されていると共に、このスリーブの内周面と上記直管部の外周面とに摺動可能に密着する水密シール用の弾性リングが、上記直管部に形成された環状の凹入溝に収容されていることを特徴とする可撓性継手管。
【請求項2】
上記可撓管の一端部に第1継手の上記連結口部が水密状態で回転可能に連結されている請求項1に記載した可撓性継手管。
【請求項3】
第1継手の上記連結口部と上記受け口との境界箇所に径内方向に突き出た環状の受け面が形成され、上記直管部の先端部を折り返すことによって形成されて径外方向に突き出た鍔形部が上記受け面に軸方向で対向していると共に、上記受け面と上記鍔形部との対向空間に、上記受け面又は上記鍔形部に対して摺動可能な金属製の環状スペーサが上記直管部に外嵌された状態で収容されている請求項1又は請求項2に記載した可撓性継手管。
【請求項4】
可撓管の一端部及び他端部に、相手方配管要素に接続される第1継手及び第2継手が各別に設けられてなる可撓性継手管であって、
上記可撓管が、折曲げ変形可能な金属製の波形管でなり、
上記第1継手及び上記第2継手が上記可撓管に離脱不能に連結されていると共に、上記可撓管の一端部に設けられた上記第1継手が、上記相手方配管要素に具備された樹脂製の挿し口が挿入される受け口と上記可撓管の一端部に連結された筒状の連結口部とを一体に有し、かつ、上記受け口の内周面を上記挿し口の外周面に熱融着可能な樹脂製の熱融着継手でなり、
上記可撓管の一端部と第1継手の上記連結口部との連結箇所において、可撓管を形成している波形管の一端部に具備された直管部が上記連結口部に挿入されていると共に、この連結口部の内周面と上記直管部の外周面とに摺動可能に密着する水密シール用の弾性リングが、上記直管部に形成された環状の凹入溝に収容され、
第1継手の上記連結口部と上記受け口との境界箇所に径内方向に突き出た環状の受け面が形成され、上記直管部の先端部を折り返すことによって形成されて径外方向に突き出た鍔形部が上記受け面に軸方向で対向していると共に、上記受け面と上記鍔形部との対向空間に、上記受け面又は上記鍔形部に対して摺動可能な金属製の環状スペーサが上記直管部に外嵌された状態で収容されていることを特徴とする可撓性継手管。
【請求項5】
上記可撓管の一端部に第1継手の上記連結口部が水密状態で回転可能に連結されている請求項4に記載した可撓性継手管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性継手管、特に、狭い配管スペース内においても相手方配管要素との接続を熱融着などによって容易に行うことができるだけでなく、管路の引き廻しの自由度を向上させることのできる対策が講じられた可撓性継手管に関する。
【背景技術】
【0002】
導水・送水・排水などの配水管路の耐震性を向上させ得る管体として可撓性に優れたポリエチレン管が知られている。また、ポリエチレン管は、高い耐震性を発揮し得るだけでなく、耐久性や耐食性に優れ、切断加工などが容易で軽量であるために施工性にも優れていると云った多くの長所を有している。さらに、ポリエチレン管は、ポリエチレン樹脂などの樹脂製の継手との熱融着による接続が可能であるので、ポリエチレン管を採用した配管系では、ポリエチレン管と樹脂製の継手とを熱融着によって接続することが多く行われている。
【0003】
図9はポリエチレン管を採用した従来例による配管系を例示した説明図である。同図は、マンションなどの中高層建築物のパイプスペース(PS)と呼ばれる配管スペース内で立て管100と水道メータ200とを接続している配管系を示している。同図のように、この配管系では、立て管100に介在されたT形分岐継手111の横向き接続口112とT形分岐継手111よりも低位に設置された水道メータ200の横向き接続口201とが、複数個の継手113,114,115、116や複数本の直管でなる接続短管117、118,119などを用いて接続されている。また、立て管100や接続短管117〜119にはポリエチレン管が採用され、T形分岐継手111や他の継手113〜116にポリエチレン製の熱融着継手が採用されている。熱融着継手とは、接合面に電熱線を埋め込んだ継手(受け口)に管(挿し口)をセットした後、コントローラから通電して電熱線を発熱させ、受け口の内周面と挿し口の外周面とを加熱溶融して融着して一体化させるという接合方式を採用した継手のことであり、EF(エレクトロフュージョン)継手とも称されている。
【0004】
一方、上記の配管系では、T形分岐継手111の横向き接続口112と水道メータ200の横向き接続口201とを管路で接続するのに、他の継手113〜116などの複数個の継手類と、複数本の接続短管117〜119とを使用している。また、この配管系では、T形分岐継手111の横向き接続口112と接続短管117とを熱融着継手でなる継手113を介して略水平に接続して管路を横向きに伸ばし、
接続短管117と接続短管118とをエルボ形の熱融着継手でなる継手114を介して接続して管路を下向きに伸ばし、さらに、接続短管118と接続短管119とをエルボ形の熱融着継手でなる継手115を介して接続して管路を横向きに伸ばすといった施工が行われている。
【0005】
他方、先行例には、可撓性樹脂で形成された主管と分岐管とを熱融着継手を使用して接続することが示されている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−45684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図9を参照して説明した従来例の配管系では、高さの異なるT形分岐継手111の横向き接続口112と水道メータ200の横向き接続口201とを接続するのに、個々に独立した配管要素である複数個の継手113〜116や複数本の
接続短管117〜119が必要になるだけでなく、熱融着継手でなる継手113〜116の融着箇所の数が多くなって熱融着に多くの手間及び時間と労力が必要になるという問題があり、この問題点は、狭い配管スペース内での作業を余儀なくされる場合に特に顕著に現れる傾向があった。また、従来例では、
接続短管117〜119に一定の可撓性を備える直管でなるポリエチレン管が採用されているとしても、直管でなるポリエチレン管による曲がり性能はそれほど大きくなく、狭い配管スペース内で用い得る長さのポリエチレン管では地震などの振動を吸収し得る程度に過ぎない。したがって、1本のポリエチレン管を湾曲状やループ状に曲げて施工(曲げ施工)することには無理があり、適切ではない。このため、他の配管やガスメータといった機器などの配管要素が混在する狭い配管スペース内で、それらの配管要素を迂回する管路を構成することが要求される場合に従来例に準じた配管系を採用すると、さらに多くの接続短管や多くの種類の継手類が必要になるだけでなく、管路の取り回し(引き回し)も複雑になり、熱融着にもさらに多くの手間及び時間と労力が必要になるという問題が生じる。
【0008】
また、中高層建築物の区画壁などを貫通する管路の施工にポリエチレン管を用いると、壁貫通箇所で防火区画専用の処理材をポリエチレン管に巻き付けてポリエチレン管の熱による溶融を回避させることが必要になる。そのため、管路の壁貫通箇所にポリエチレン管を用いると、防火区画専用の処理材をポリエチレン管に巻き付けることに伴う多くの手間と労力を要するという問題もあった。
【0009】
本発明は以上の状況に鑑みてなされたものであり、高さだけでなく向きの異なる接続口同士を、他の配管要素が混在する狭い配管スペース内で接続する際に、継手や接続短管といった配管要素の必要数を最少限度に抑え、かつ、融着箇所の数も可及的少なく抑えることが可能であり、しかも、施工に要する手間及び時間と労力を可及的少なくすることのできる可撓性継手管を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、中高層建築物の区画壁などを貫通する管路を施工する際に、防火区画専用の処理材を用いることの必要性を無くして多くの手間と労力を不要にすることが可能な可撓性継手管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る可撓製継手管は、可撓管の一端部及び他端部に、相手方配管要素に接続される第1継手及び第2継手が各別に設けられてなる。そして、上記可撓管が、折曲げ変形可能な金属製の波形管でなり、上記第1継手及び上記第2継手が上記可撓管に離脱不能に連結されていると共に、上記可撓管の一端部に設けられた上記第1継手が、上記相手方配管要素に具備された樹脂製の挿し口が挿入される受け口と上記可撓管の一端部に連結された筒状の連結口部とを一体に有し、かつ、上記受け口の内周面を上記挿し口の外周面に熱融着可能な樹脂製の熱融着継手でなる。
【0012】
また、上記可撓管の一端部と第1継手の上記連結口部との連結箇所において、可撓管を形成している波形管の一端部に具備された直管部が、上記連結口部に挿入状態で水密に結合された金属製のスリーブに挿入されていると共に、このスリーブの内周面と上記直管部の外周面とに摺動可能に密着する水密シール用の弾性リングが、上記直管部に形成された環状の凹入溝に収容されている。
【0013】
この発明に係る可撓性継手管は、第1継手及び第2継手が可撓管に離脱不能に連結されていることにより独立した単一の配管要素として取り扱われる。この点で、第1継手及び第2継手が可撓管にただ単に設けられている配管要素とは区別される。ここで、「第1継手及び第2継手が可撓管にただ単に設けられている」の意味は、第1継手又は第2継手と可撓管との連結構造が、ねじ合わせによる連結構造、抜き差し可能な嵌合による連結構造などのように、第1継手及び第2継手が可撓管に対して着脱可能になっている連結構造のことである。
【0014】
また、この発明に係る可撓性継手管は、可撓管として、管路が座屈による閉塞を起こすことなく湾曲状やループ状に曲げることが容易で、かつ、許容される曲げ角度の大きなものとして周知されている金属製の波形管を採用している。このため、当該可撓性継手管による管路の取り回しの自由度が格段に向上し、可撓管を所要形状に曲げることによって、可撓管の一端部及び他端部に各別に設けられている第1継手や第2継手の向きを、それらを接続する相手方配管要素の向きに応じて適切にかつ容易に定めることが可能である。したがって、高さや向きの異なる2箇所の相手方配管要素に第1継手及び第2継手を無理なく接続することが可能になる。しかも、高さや向きの異なる2箇所の相手方配管要素に第1継手及び第2継手を接続するときに、可撓管を曲げて他の配管要素を迂回させることも容易に可能になる。さらに、第1継手に熱融着継手を採用したことにより、第1継手を相手方配管要素の挿し口に熱融着するだけで、第1継手と相手方配管要素とを接続することが可能である。したがって、高さや向きの異なる2箇所の相手方配管要素を接続する管路の施工に要する手間及び時間や労力を可及的少なくすることが可能になる。
【0015】
さらに、中高層建築物の区画壁などを貫通する管路を施工する際には、当該可撓性継手管の金属製の波形管でなる可撓管によってその管路を形成すると、可撓管自体が防火性を備える金属製であるために、防火区画専用の処理材を用いる必要性が無くなり、防火区画専用の処理材を用いることに伴う多くの手間と労力が不要になる。
【0016】
この発明では、上記可撓管の一端部と第1継手の上記連結口部との連結箇所において、可撓管を形成している波形管の一端部に具備された直管部が、上記連結口部に挿入状態で水密に結合された金属製のスリーブに挿入されていると共に、このスリーブの内周面と上記直管部の外周面とに摺動可能に密着する水密シール用の弾性リングが、上記直管部に形成された環状の凹入溝に収容されている、という構成を
採用している。これによると、水密シール用の弾性リングが、金属製のスリーブの内周面及び金属製の波形管の直管部の外周面に密着しているので、熱融着継手でなる第1継手に施された融着処理の影響が上記弾性リングの密着箇所に及ばない。そのため、弾性リングによる水密シール性や摺動性の信頼性が損なわれない。また、水密シール用の弾性リングが波形管の一端部に具備された直管部の環状の凹入溝に収容されているために、この弾性リングが位置ずれすることなく定位置で確実な水密シール性を発揮する。
【0017】
さらにこの発明では、水密シール用の弾性リングが波形管の一端部に具備された直管部の環状の凹入溝に収容されているために、この弾性リングが位置ずれすることなく定位置で確実な水密シール性を発揮する。
【0018】
本発明では、上記可撓管の一端部に第1継手の上記連結口部が水密状態で回転可能に連結されていることが望ましい。本発明に係る可撓性継手管がこの構成を有していると、上記した管路の取り回しの自由度がいっそう向上する。特に、熱融着継手である第1継手に具備される電極ピンの向きを、コントローラに接続しやすいように容易に選択することができるようになる。
【0019】
本発明では、第1継手の上記連結口部と上記受け口との境界箇所に径内方向に突き出た環状の受け面が形成され、上記直管部の先端部を折り返すことによって形成されて径外方向に突き出た鍔形部が上記受け面に軸方向で対向していると共に、上記受け面と上記鍔形部との対向空間に、上記受け面又は上記鍔形部に対して摺動可能な金属製の環状スペーサが上記直管部に外嵌された状態で収容されている、という構成を採用することが望ましい。これによると、可撓管を形成している波形管の直管部に具備された鍔形部が、第1継手の受け面と鍔形部との対向空間に収容されている金属製の環状スペーサに軸方向で係合することにより、第1継手の連結口部からの上記直管部の脱落が確実に防止されるため、第1継手が可撓管に離脱不能に連結される。また、金属製の環状スペーサによって上記受け面と上記鍔形部とが直接に接触することが回避されるため、受け面に鍔形部が擦れて受け面が損傷するという事態が起こらない。
【0020】
本発明に係る別の可撓製継手管は、
可撓管の一端部及び他端部に、相手方配管要素に接続される第1継手及び第2継手が各別に設けられてなる可撓性継手管であって、上記可撓管が、折曲げ変形可能な金属製の波形管でなり、上記第1継手及び上記第2継手が上記可撓管に離脱不能に連結されていると共に、上記可撓管の一端部に設けられた上記第1継手が、上記相手方配管要素に具備された樹脂製の挿し口が挿入される受け口と上記可撓管の一端部に連結された筒状の連結口部とを一体に有し、かつ、上記受け口の内周面を上記挿し口の外周面に熱融着可能な樹脂製の熱融着継手でなり、上記可撓管の一端部と第1継手の上記連結口部との連結箇所において、可撓管を形成している波形管の一端部に具備された直管部が上記連結口部に挿入されていると共に、この連結口部の内周面と上記直管部の外周面とに摺動可能に密着する水密シール用の弾性リングが、上記直管部に形成された環状の凹入溝に収容され、第1継手の上記連結口部と上記受け口との境界箇所に径内方向に突き出た環状の受け面が形成され、上記直管部の先端部を折り返すことによって形成されて径外方向に突き出た鍔形部が上記受け面に軸方向で対向していると共に、上記受け面と上記鍔形部との対向空間に、上記受け面又は上記鍔形部に対して摺動可能な金属製の環状スペーサが上記直管部に外嵌された状態で収容されている。
【0021】
この発明の構成は、上記したスリーブを省略した上で、可撓管の一端部と第1継手の連結口部との連結箇所において、可撓管を形成している波形管の一端部に具備された直管部が連結口部に挿入され、この連結口部の内周面と直管部の外周面とに摺動可能に密着する水密シール用のOリングを、直管部に形成された環状の凹入溝に収容した、ものに相当している。この発明においても、上記可撓管の一端部に第1継手の上記連結口部が水密状態で回転可能に連結されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係る可撓性継手管によると、高さや向きの異なる接続口同士を他の配管要素が混在する狭い配管スペース内で接続する際に、継手や接続短管といった配管要素の必要数を最少限度に抑えられ、しかも、熱融着継手の受け口と相手方配管要素の挿し口との融着箇所の数も可及的少なく抑えることが可能になる。また、中高層建築物の区画壁などを貫通する管路を施工する際に、防火区画専用の処理材を用いることの必要性を無くすることが可能である。このため、防火区画専用の処理材を用いることに伴う多くの手間と労力が不要になるという効果も奏される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る可撓性継手管の一部省略側面図である。
【
図2】
図1の可撓性継手管を曲げた状態の一例を示した一部省略側面図である。
【
図3】
図1の可撓管と第1継手との連結構造を示した部分縦断側面図である。
【
図4】
図1の可撓管と第2継手との連結構造を示した部分縦断側面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る可撓性継手管Aの一部省略側面図である。
【
図6】
図5の可撓性継手管に採用されている可撓管と第1継手との連結構造を示した部分縦断側面図である。
【
図7】
図1の可撓性継手管Aを採用した配管系を例示した説明図である。
【
図8】
図1の可撓性継手管を採用した他の配管系を例示した説明図である。
【
図9】従来例による配管系を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明の実施形態に係る可撓性継手管Aの一部省略側面図、
図2は
図1の可撓性継手管Aを曲げた状態の一例を示した一部省略側面図である。
【0025】
図1の可撓性継手管Aは、可撓管10の一端部及び他端部に、相手方配管要素(不図示)に接続される第1継手20及び第2継手50が各別に離脱不能に設けられてなる。このように第1継手20及び第2継手50が可撓管10に離脱不能に連結されていると、当該可撓性継手管Aが独立した単一の配管要素として取り扱われる。この点で、第1継手及び第2継手が可撓管にただ単に設けられている配管要素とは区別される。第1継手20及び第2継手50を可撓管10に対して離脱不能にするために採用されている具体的構成については後述する。
【0026】
可撓管10は折曲げ変形可能な金属製、具体的には、耐食性に富むステンレス製の波形管壁を備える波形管でなる。この種の波形管は、フレキシブルパイプとも称されていて、リング状の凹部と凸部が交互に並んで形成された波形管壁を持つものや、螺旋状に連続する凹部又は凸部を有する波形管壁をもつもの、などが知られている。ステンレス製の波形管壁を備える波形管によって形成された可撓管10は、当該可撓管10によって形成される管路が座屈による閉塞を起こすことなく湾曲状やループ状に人力等で曲げることが容易であり、許容される曲げ角度を大きく確保することも容易である。可撓管10の長さは、施工箇所で要求される管路の長さに応じて、たとえば10〜50cm程度に定められている。中高層建築物の配管スペース内や区画壁の貫通孔に配備される水用配管に用いられる可撓性継手管Aの可撓管10では、たとえば、管壁厚さが1mm以内の波形管の山部外径が20〜30mm、谷部外径が20〜25mm、山部外径と谷部外径との寸法差が2〜4mm程度に定まっているものが多い。長さ、管壁厚さ、波形管の山部外径、谷部外径、山部外径と谷部外径との寸法差が上記の範囲に収まっている可撓管10では、
図2に例示したように、180度を超える角度に湾曲状又はループ状に曲げた状態でも、可撓管10によって形成されている管路(内部空間)が座屈して閉塞されるという事態が起こらず、また、管路の口径が縮小することもほとんどない。可撓管10のの長さは上記した範囲に限定されるものではなく、必要に応じて上記範囲より長くされる場合もある。また、可撓管10の管壁厚さや山部外径、谷部外径、山部外径と谷部外径との寸法差も上記各範囲に限定されないことは勿論である。
【0027】
図3は可撓管10と第1継手20との連結構造を示した部分縦断側面図、
図4は可撓管10と第2継手50との連結構造を示した部分縦断側面図である。
【0028】
図3のように、第1継手20は、ソケット型の受け口21と筒状の連結口部22とを同軸上に一体に有していて、これらが熱可塑性樹脂であるポリエチレンによって一体に成形されている。この第1継手20は熱融着継手(EF継手)である。そのため、受け口21には、電熱線23が埋め込まれていると共に、この電熱線23に通電するための電極ピン24,24や溶融状態を検出するためのインジケータ25などが備わっている。また、連結口部22の外周には、熱融着時の膨張を抑制することに役立つ締付け用リング26が巻き付けられている。
【0029】
可撓管10の一端部と第1継手20の連結口部22との連結箇所には、連結口部22に挿入状態で水密に離脱不能に結合された金属製のスリーブ30が設けられている。また、可撓管10を形成している波形管の一端部に直管部11が具備されていて、この直管部11がスリーブ30に挿入されていると共に、このスリーブ30の内周面と上記直管部11の外周面とに摺動可能に密着する水密シール用の弾性リングであるOリング40が、上記直管部11に形成された環状の凹入溝13に収容されている。凹入溝13の溝形面は直管部11の外周面でもある。この構成により、第1継手20が可撓管10に対して水密に結合され、しかも、第1継手20が可撓管10に対して軸線周りで回転可能になっている。図例では、2つの水密シール用のOリング40が、スリーブ30の内周面と直管部11の外周面とに軸方向2箇所で摺動可能に密着しているけれども、1つの水密シール用のOリング40を、スリーブ30の内周面と直管部11の外周面とに1箇所で摺動可能に密着させておいてもよい。
【0030】
さらに、
図3に併記した部分拡大図によって判るように、第1継手20の連結口部22と受け口21との境界箇所には、スリーブ30の端面に密着した環状の突出部27が設けられていて、この突出部27の片面が、径内方向に突き出た環状の受け面28として形成されている。これに対して、上記直管部11の一端側の先端部を折り返すことによって形成されて径外方向に突き出た鍔形部14が上記受け面28に軸方向で対向している。そして、上記受け面28と上記鍔形部14との対向空間に、それらの受け面28と鍔形部14とに対して摺動可能な金属製の環状スペーサ15が、上記直管部11に外嵌された状態で収容されている。
【0031】
図3を参照して説明した可撓管10と第1継手20との連結構造によると、水密シール用のOリング40が、金属製のスリーブ30の内周面及び金属製の波形管の直管部11の外周面(溝形面)に密着しているので、熱融着継手でなる第1継手20に施された融着処理に伴う膨張又は収縮の影響がOリング40の密着箇所に及ばない。そのため、Oリング40による水密シール性や摺動性の信頼性が損なわれない。また、水密シール用のOリング40が波形管の一端部に具備された直管部11の環状の凹入溝13に収容されているために、このOリング40が位置ずれすることなく定位置で確実な水密シール性を発揮する。さらに、可撓管10を形成している波形管の直管部11に具備された鍔形部14が、第1継手20の受け面28と鍔形部14との対向空間に収容されている金属製の環状スペーサ15に軸方向で係合することにより、第1継手20の連結口部22からの上記直管部11の脱落が確実に防止され、しかも、可撓管10に対して第1継手20が離脱不能になる。また、金属製の環状スペーサ15によって、上記受け面28と上記鍔形部14とが直接に接触することが回避されるため、第1継手20を回転させても、合成樹脂製である受け面28に鍔形部14が擦れたり、噛み付いたりして受け面28が損傷するという事態が起こらず、スムーズに回転させることが可能となる。さらに、第1継手20に相手方配管要素である挿し口を(不図示)を差し込んで熱融着処理を行うと、挿し口は、その端面が上記鍔形部14に突き合わされた状態で受け口21と溶融して一体化する。この場合、受け面28と鍔形部14との相互間の隙間が溶融樹脂によって埋まることにより、水密性能が高まるという利点がある。
【0032】
さらに、
図3に示した連結構造では、可撓管10を形成している波形管の一端側の1つの山形部16と鍔形部14とによって上記したスリーブ30と環状スペーサ15とが挟まれている。このため、第1継手20が可撓管10に対して軸方向に位置ずれするという事態が起こらない。
【0033】
図4のように、第2継手50は金属製で、テーパ雄ねじ51を有している。可撓管10の他端部と第2継手50との連結箇所では、可撓管10を形成している波形管の他端部に具備された直管部17が第2継手50に挿入されていると共に、直管部17の他端側の先端部を折り返すことによって形成されて径外方向に突き出た鍔形部18が第2継手50の先端面に対峙している。この構成により、第2継手50が可撓管10に離脱不能に連結される。また、直管部17に形成された環状の凹入溝19に収容されているOリング61が第2継手50の内周面と直管部17の外周面とに摺動可能に密着し、さらに、直管部17に形成された環状の膨出部19aと第2継手50の内周面に形成された環状の凹入溝56との対向空間にもOリング62が収容されていて、このOリング62が直管部17の外周面と第2継手50の内周面とに摺動可能に密着している。凹入溝56の溝形面や膨出部19aの外周面も直管部17の外周面である。
【0034】
図4に示した連結構造では、直管部17に形成された環状の膨出部19aと第2継手50の内周面に形成された環状の凹入溝56とが嵌合し、かつ、可撓管10を形成している波形管の他端側の直管部17に形成されている鍔形部18が第2継手50の先端面に対峙していることにより、第2継手50が可撓管10に対して軸方向に位置ずれするという事態が抑制されている。
【0035】
図5は本発明の他の実施形態に係る可撓性継手管Aの一部省略側面図、
図6は
図5の可撓性継手管Aに採用されている可撓管10と第1継手20との連結構造を示した部分縦断側面図である。
【0036】
図5に示した他の実施形態に係る可撓性継手管Aにおいて、
図1に示した可撓性継手管Aと異なる点は、第2継手50に熱融着継手を採用している点だけである。また、
図6に示した可撓管10と第1継手20との連結構造では、
図3の連結構造に採用されているスリーブ30を省略した上で、可撓管10の一端部と第1継手20の連結口部22との連結箇所において、可撓管10を形成している波形管の一端部に具備された直管部11が連結口部22に挿入され、この連結口部22の内周面と直管部11の外周面とに摺動可能に密着する水密シール用のOリング40が、直管部11に形成された環状の凹入溝13に収容されている、という点で相違している。また、この実施形態では、連結口部22の外周に巻き付けられている締付け用リング26の巻き付け箇所が、上記した水密シール用のOリング40の設置箇所の外側に定められている。締付け用リング26の巻き付け箇所をこのように定めておくと、締付けリング26が熱融着時の連結口部22の膨張を抑制することに役立つために、水密シール用のOリング40と連結口部22の内周面との密着性が熱融着処理よって妨げられにくくなるという利点がある。その他の点は、
図1に示したものとほぼ同一であるので、同一又は相応する要素に同一符号を付すことによって説明が重複することを回避する。
【0037】
次に、
図1を参照して説明した可撓性継手管Aを採用した配管系を説明する。
図7は同配管系を例示した説明図である。同図は、マンションなどの中高層建築物のパイプスペース(PS)と呼ばれる配管スペース内で立て管100と水道メータ200とを接続している配管系を示している。同図のように、この配管系では、立て管100に介在されたT形分岐継手111の横向き接続口112とT形分岐継手111よりも低位に設置された水道メータ200の横向き接続口201とが、上記可撓性継手管Aを用いて接続されている。すなわち、この配管系では、T形分岐継手111の横向き接続口112によって形成されている挿し口が、可撓性継手管Aの熱融着継手でなる第1継手20の受け口21に挿入されていて、それらの挿し口と受け口21とが融着により一体化されている。また、第2継手50が、水道メータ200の横向き接続口201にねじ結合によって接続されている。さらに、可撓管10を曲げることによって、第1継手20や第2継手50の向きを、相手方配管要素であるT形分岐継手111の横向き接続口112によって形成されている挿し口や水道メータ200の横向き接続口201の向きに合わせている。このため、高さや向きの異なる2箇所の相手方配管要素であるT形分岐継手111の横向き接続口112(挿し口)や水道メータ200の横向き接続口201が、独立した単一の可撓性継手管Aによって無理なく接続されている。
【0038】
図8は可撓性継手管Aを採用した他の配管系を例示している。この事例では、他の配管要素(配管、枠組み、機器など)120,121を迂回するように可撓管10を曲げて可撓性継手管Aを施工している。このように、可撓性継手管Aを用いることによって他の配管要素120,121を迂回させることも容易に可能になる。さらに、第1継手50に熱融着継手を採用したことにより、第1継手20を相手方配管要素であるT形分岐継手111の横向き接続口112によって形成されている挿し口に熱融着するだけで、第1継手20とT形分岐継手111とを接続しているので、管路の施工に要する手間及び時間や労力が可及的少なくて済む。
【0039】
この実施形態のように、第1継手20が可撓管10に対して回転可能になっていると、熱融着継手でなる第1継手20の電極ピン24(
図3参照)を、熱融着のためのコントローラに接続しやすい向きに容易に定めることができるという利点もある。
【0040】
ところで、中高層建築物の区画壁などを貫通する管路を施工する際には、当該可撓性継手管Aの金属製の波形管でなる可撓管10によってその管路を形成することが可能であるので、そのようにすることにより、金属製の波形管でなる可撓管10自体が備える防火性が有効に利用される。したがって、防火区画専用の処理材を用いる必要性が無くなり、防火区画専用の処理材を用いることに伴う多くの手間と労力が不要になる。
【0041】
図5を参照して説明した他の実施形態に係る可撓性継手管Aについても上記に準じた施工が可能である。
【符号の説明】
【0042】
A 可撓性継手管
10 可撓管
11,17 直管部
13,19 凹入溝
14,18 鍔形部
15 環状スペーサ
20 第1継手
21 受け口
22 連結口部
28 受け面
30 スリーブ
50 第2継手
40 Oリング