特許第6862482号(P6862482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6862482差異化されたP型及びN型領域構造を有する太陽電池エミッタ領域の製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862482
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】差異化されたP型及びN型領域構造を有する太陽電池エミッタ領域の製造
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0745 20120101AFI20210412BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   H01L31/06 450
   H01L31/04 260
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-18220(P2019-18220)
(22)【出願日】2019年2月4日
(62)【分割の表示】特願2016-560623(P2016-560623)の分割
【原出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2019-110309(P2019-110309A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2019年3月6日
(31)【優先権主張番号】14/136,751
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505379467
【氏名又は名称】サンパワー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リム、スン バム
(72)【発明者】
【氏名】スミス、デーヴィッド ディー.
(72)【発明者】
【氏名】キウ、タイキン
(72)【発明者】
【氏名】ウェスターバーグ、スタファン
(72)【発明者】
【氏名】トレーシー、キエラン マーク
(72)【発明者】
【氏名】バル、ベンカタスブラマニ
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/093329(WO,A1)
【文献】 特表2011−517120(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/096500(WO,A1)
【文献】 特表2006−523025(JP,A)
【文献】 特開2011−061020(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0056545(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックコンタクト型太陽電池を製造する方法であって、
受光表面及び裏面を有する基板を設ける段階と、
前記基板の前記裏面に第1の薄い誘電体層を形成する段階と、
前記第1の薄い誘電体層に、第1導電型の第1多結晶シリコンエミッタ領域を形成する段階と、
前記基板の前記裏面に陥没部を形成する段階と、
前記陥没部に第2の薄い誘電体層を形成する段階と、
前記陥没部の前記第2の薄い誘電体層に、異なる第2導電型の第2多結晶シリコンエミッタ領域を形成する段階と、
前記第1多結晶シリコンエミッタ領域の側面及び前記第2多結晶シリコンエミッタ領域の側面間に直接、第3の薄い誘電体層を形成する段階と、
前記第1多結晶シリコンエミッタ領域に第1導電接点構造体を形成する段階と
前記第2多結晶シリコンエミッタ領域に第2導電接点構造体を形成する段階と
を備え、
前記第1多結晶シリコンエミッタ領域は、前記第2多結晶シリコンエミッタ領域と重なり合う、
方法。
【請求項2】
前記第1多結晶シリコンエミッタ領域に絶縁層を形成する段階をさらに備え、
前記第1導電接点構造体は、前記絶縁層を貫通して配置され、
前記第2多結晶シリコンエミッタ領域の一部は、前記絶縁層と重なり合うが、しかし前記第1導電接点構造体から分離されている、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1多結晶シリコンエミッタ領域に絶縁層を形成する段階と、
前記絶縁層に、前記第2導電型の多結晶シリコン層を形成する段階と
をさらに備え、
前記第1導電接点構造体は、前記第2導電型の前記多結晶シリコン層を貫通して、前記絶縁層も貫通して配置される、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記陥没部を形成する段階は、
テクスチャ化された表面を有する陥没部を形成する段階を備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1多結晶シリコンエミッタ領域及び前記第1の薄い誘電体層は、前記基板の前記裏面の平坦な部分に形成され、
前記第2多結晶シリコンエミッタ領域及び前記第2の薄い誘電体層は、前記基板の前記裏面のテクスチャ化された部分に形成される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1導電接点構造体及び前記第2導電接点構造体を形成する段階は、
前記第1多結晶シリコンエミッタ領域及び前記第2多結晶シリコンエミッタ領域のそれぞれに、アルミニウムベースの金属シード層を形成する段階と、
前記アルミニウムベースの金属シード層に金属層を形成する段階と
を備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1導電接点構造体及び前記第2導電接点構造体を形成する段階は、
前記第1多結晶シリコンエミッタ領域及び前記第2多結晶シリコンエミッタ領域のそれぞれに、金属シリサイド層を形成する段階と、
前記金属シリサイド層に金属層を形成する段階と
を備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属シリサイド層は、チタニウムシリサイド(TiSi)と、コバルトシリサイド(CoSi)と、タングステンシリサイド(WSi)と、ニッケルシリサイド(NiSiまたはNiSi)とからなる、グループから選択される材料で形成される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基板の前記受光表面に、第4の薄い誘電体層を形成する段階と、
前記第4の薄い誘電体層に、前記第2導電型の多結晶シリコン層を形成する段階と、
前記第2導電型の前記多結晶シリコン層に、反射防止コーティング(ARC)層を形成する段階と
をさらに備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記基板は、N型単結晶シリコン基板であり、
前記第1導電型はP型であり、
前記第2導電型はN型である、
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記基板は、P型単結晶シリコン基板であり、
前記第1導電型はN型であり、
前記第2導電型はP型である、
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は再生可能エネルギの分野におけるものであり、特に、差異化されたP型及びN型領域構造を有する太陽電池エミッタ領域の製造方法、及びそれによって得られる太陽電池である。
【背景技術】
【0002】
太陽電池として公知の光起電力電池は、太陽放射を電気エネルギに直接変換させるための装置として周知である。一般に、太陽電池は、半導体処理技術を用いて半導体ウェハ上又は基板上に製造され、基板の表面近くにp−n接合を形成する。基板の表面に衝突し、これに進入する太陽放射は、基板のバルク内に電子−正孔対を生じる。電子−正孔対は、基板内のpドープ領域及びnドープ領域に移動し、それによって、ドープ領域の間に電位差を発生させる。ドープ領域は、太陽電池の導電性領域に接続され、電流を太陽電池からそれと連結された外部回路へと方向付ける。
【0003】
効率は、太陽電池の発電能力に直接関連するために、太陽電池の重要な特性である。同様に、太陽電池を生産する上での効率は、そのような太陽電池の費用効果に直接関係する。したがって、太陽電池の効率を向上させるための技術、又は太陽電池の製造における効率を向上させるための技術が、一般的に望ましい。本開示のいくつかの実施形態は、太陽電池構造体を製造するための新規なプロセスを提供することによって、太陽電池の製造効率の向上を可能にする。本開示のいくつかの実施形態は、新規な太陽電池構造体を提供することによって、向上した太陽電池効率を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の実施形態によるバックコンタクト型太陽電池の一部分の断面図を例示する。
【0005】
図2】本開示の別の実施形態によるバックコンタクト型太陽電池の一部分の断面図を例示する。
【0006】
図3】本開示の実施形態による図5A図5Fに対応する太陽電池の製造方法における操作を列挙したフローチャートである。
【0007】
図4】本開示の実施形態による図5A図5E及び図6A図6Bに対応する太陽電池の製造方法における操作を列挙したフローチャートである。
【0008】
図5A】本開示の実施形態による太陽電池の製造における様々な段階の断面図を例示する。
図5B】本開示の実施形態による太陽電池の製造における様々な段階の断面図を例示する。
図5C】本開示の実施形態による太陽電池の製造における様々な段階の断面図を例示する。
図5D】本開示の実施形態による太陽電池の製造における様々な段階の断面図を例示する。
図5E】本開示の実施形態による太陽電池の製造における様々な段階の断面図を例示する。
図5F】本開示の実施形態による太陽電池の製造における様々な段階の断面図を例示する。
【0009】
図6A】本開示の別の実施形態による太陽電池の製造における様々な段階の断面図を例示する。
図6B】本開示の別の実施形態による太陽電池の製造における様々な段階の断面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、本質的には単なる例示に過ぎず、本主題の実施形態、又はそのような実施形態の応用及び用途を限定することを意図されない。本明細書で使用する場合、「例示の」という語は、「例、事例、または実例としての役割を果たすこと」を意味する。本明細書で例示として説明されているいずれかの実施態様は、必ずしも他の実施態様よりも好ましい又は有利であると解釈すべきではない。更には、前述の技術分野、背景技術、概要、若しくは以下の詳細な説明で提示される、明示又は示唆されるいずれの理論によっても、拘束されることを意図するものではない。
【0011】
本明細書は、「一実施形態」又は「実施形態」への言及を含む。「一実施形態において」又は「実施形態において」という語句の出現は、必ずしも、同じ実施形態を指すものではない。特定の特徴、構造、又は特性を、本開示と矛盾しない任意の好適な方式で組み合わせることができる。
【0012】
用語について、以下のパラグラフは、本開示(添付の請求項を含む)で見出される用語に関する、定義及び/又はコンテキストを提供する。
【0013】
「備える」というこの用語は、オープンエンド型である。添付の請求項で用いられるとき、この用語は、更なる構造又は工程を排除するものではない。
【0014】
「〜ように構成された」というのは、様々なユニット又は構成要素は、1つのタスクまたは複数のタスクを実行する「ように構成された」として、説明又は特許請求される場合がある。そのようなコンテキストでは、「〜ように構成された」は、それらのユニット/構成要素が、動作中にそれらのタスクまたは複数のタスクを実行する構造を含むことを示すことによって、その構造を含意するために用いられる。それゆえ、それらのユニット/構成要素は、たとえ指定のユニット/構成要素が現時点で動作可能ではない(例えば、オン/アクティブではない)場合であっても、そのタスクを実行するように構成されていると言うことができる。ユニット/回路/構成要素が、1つ以上のタスクを実行する「ように構成された」と記載することは、そのユニット/構成要素に関して、米国特許法第112条第6項が適用されないことを、明示的に意図するものである。
【0015】
「第1の」、「第2の」などについて、本明細書で使用するとき、これらの用語は、それらが前に置かれる名詞に関する指標として使用されるものであり、いずれのタイプの(例えば、空間的、時間的、論理的などの)順序付けも暗示するものではない。例えば、「第1の」太陽電池への言及は、必ずしもこの太陽電池が順序として最初の太陽電池を意味するものではなくて、「第1の」という用語はこの太陽電池を別の太陽電池(例えば「第2の」太陽電池)と区別するために用いられている。
【0016】
「結合された」−以下の説明では、共に「結合された」素子又はノード若しくは特徴について言及する。本明細書で使用するとき、明示的に別段の定めがある場合を除き、「結合された」とは、1つの素子/ノード/特徴が、別の素子/ノード/特徴に、直接的又は間接的に連結される(又は、直接的若しくは間接的に連通する)ことを意味するものであり、これは、必ずしも機械的なものではない。
【0017】
更には、特定の用語法もまた、参照のみを目的として、以下の説明で使用される場合があり、それゆえ、それらの用語法は、限定的であることを意図するものではない。例えば、「上」、「下」、「上方」、及び「下方」などの用語は、参照される図面内での方向を指す。「前部」、「後方」、「後部」、「側部」、「外側」、及び「内側」などの用語は、論考中の構成要素を説明するテキスト及び関連図面を参照することによって明確にされる、一貫性はあるが任意の基準フレームの範囲内での、構成要素の諸部分の向き及び/又は位置を説明するものである。そのような用語法は、具体的に上述された語、それらの派生語、及び類似の意味の語を含み得る。
【0018】
本明細書においては、差異化されたP型及びN型領域構造を有する太陽電池エミッタ領域の製造方法、及びそれによって得られる太陽電池が説明される。以下の説明では、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定のプロセスフロー操作などの多数の具体的な詳細が記載される。これらの具体的な詳細なしに、本開示の実施形態を実践することができる点が、当業者には明らかとなるであろう。他の場合には、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、リソグラフィ及びパターニング技術などの、周知の製造技術は詳細に説明されない。更に、図に示された様々な実施形態は、例示的な表示であって、必ずしも原寸に比例して描写されたものではないことを理解されるべきである。
【0019】
太陽電池が本明細書に開示されている。一実施形態において、バックコンタクト型太陽電池が受光表面と裏面を有する基板を含む。第1導電型の第1多結晶シリコンエミッタ領域が、基板の裏面上に配設された第1の薄い誘電体層上に配設される。異なる第2導電型の第2多結晶シリコンエミッタ領域が、基板の裏面上に配設された第2の薄い誘電体層上に配設される。第3の薄い誘電体層が、第1及び第2多結晶シリコンエミッタ領域の間に直接側方に配設される。第1導電接点構造体が第1多結晶シリコンエミッタ領域上に配設される。第2導電接点構造体が第2多結晶シリコンエミッタ領域上に配設される。
【0020】
本明細書には、太陽電池の製造方法も開示される。一実施形態において、太陽電池の交互のN型及びP型エミッタ領域の製造方法が、基板の裏面上の第1の薄い誘電体層上への第1導電型の第1シリコン層の形成を含む。絶縁層が第1シリコン層上に形成される。絶縁層と第1シリコン層は、その上に絶縁キャップを有する第1導電型の第1シリコン領域を形成するように、パターニングされる。第2の薄い誘電体層が第1シリコン領域の露出した側面上に形成される。異なる第2導電型の第2シリコン層が、基板の裏面上に形成された第3の薄い誘電体層上、並びに第1シリコン領域の第2の薄い誘電体層及び絶縁キャップ上に、形成される。第2シリコン層は、第2導電型の分離された第2シリコン領域を形成するように、及び第1シリコン領域の絶縁キャップの上方の第2シリコン層の領域内に接点開口部を形成するように、パターニングされる。絶縁キャップは、第1シリコン領域の部分を露出させるように、接点開口部を貫通してパターニングされる。マスクが、第1シリコン領域の露出した部分及び分離された第2シリコン領域のみを露出するように形成される。金属シード層が、第1シリコン領域の露出した部分上及び分離された第2シリコン領域上に、形成される。金属層は、第1シリコン領域及び分離された第2シリコン領域のための導電接点を形成するように、金属シード層上にめっきされる。
【0021】
別の実施形態において、太陽電池の交互のN型及びP型エミッタ領域の製造方法が、基板の裏面上に形成された第1の薄い誘電体層上への第1導電型の第1シリコン層の形成を含む。絶縁層が第1シリコン層上に形成される。絶縁層と第1シリコン層は、絶縁キャップを有する第1導電型の第1シリコン領域を形成するように、パターニングされる。第2の薄い誘電体層が、第1シリコン領域の露出した側面上に形成される。異なる第2導電型の第2シリコン層が、基板の裏面上に形成された第3の薄い誘電体層上、並びに第1シリコン領域の第2の薄い誘電体層及び絶縁キャップ上に、形成される。第2シリコン層は、第2導電型の分離された第2シリコン領域を形成するように、及び第1シリコン領域の絶縁キャップの上方の第2シリコン層の領域内に接点開口部を形成するように、パターニングされる。絶縁キャップは、第1シリコン領域の部分を露出させるように、接点開口部を貫通してパターニングされる。第2シリコン領域と絶縁キャップのパターニングに続いて、金属シリサイド層が、第2シリコン領域から及び第1シリコン領域の露出した部分から、形成される。金属層が、第1シリコン領域及び分離された第2シリコン領域のための導電接点を形成するように、金属シリサイド層上にめっきされる。
【0022】
第1の態様において、本明細書で説明される1つ又は複数の実施形態が、太陽電池のためにP+及びN+ポリシリコンエミッタ領域を形成することに方向付けられるが、そこでP+及びN+ポリシリコンエミッタ領域それぞれの構造は互いに異なっている。そのようなアプローチは、太陽電池製造工程を簡単にするために実装することができる。更に、それによって得られる構造は、他の太陽電池構造と比較して、より低いブレークダウン電圧とそれに関連するより低い電力損失をもたらすことがある。
【0023】
第2の態様において、本明細書で記載する、1つまたは複数の実施形態が、太陽電池製造のためのシリサイド形成に方向付けられる。シリサイド材料は、バックコンタクト型あるいはフロントコンタクト型太陽電池構造といった最終の太陽電池構造体に組み込まれることができる。太陽電池のポリシリコンエミッタ領域の金属化のためにシリサイド材料を用いることで、そのような太陽電池の金属化工程をより簡単にすることができる。例えば、以下により詳細に述べるように、シリサイド技術は、接点形成のための金属シード層工程からマスキング操作を事実上取り除くのに用いられる。更に、シリサイド工程は自己整合工程であるため、アライメントの問題は低減することができる。
【0024】
第1の例において、図1は、本開示の実施形態によるバックコンタクト型太陽電池100の一部分の断面図を例示する。太陽電池100は、受光表面104及び裏面106を有する基板102を含む。第1導電型の第1多結晶シリコンエミッタ領域108が、基板102の裏面106上に配設された第1の薄い誘電体層110上に配設される。異なる第2導電型の第2多結晶シリコンエミッタ領域112が、基板102の裏面106上に配設された第2の薄い誘電体層114上に配設される。第3の薄い誘電体層116が、第1多結晶シリコンエミッタ領域108と第2多結晶シリコンエミッタ領域112との間に直接側方に配設される。第1導電接点構造体118が第1多結晶シリコンエミッタ領域108上に配設される。第2導電接点構造体120が第2多結晶シリコンエミッタ領域112上に配設される。
【0025】
再び図1を参照すると、実施形態において、太陽電池100は、第1多結晶シリコンエミッタ領域108上に配設された絶縁層122を更に含む。第1導電接点構造体118は絶縁層122を貫通して配設される。加えて、第2多結晶シリコンエミッタ領域112の一部分は、絶縁層122と重なり合っているが、第1導電接点構造体118とは離れている。実施形態において、図1に図示されているように、付加された第2導電型の多結晶シリコン層124が絶縁層122上に配設されていて、第1導電接点構造体118は第2導電型の多結晶シリコン層124を貫通及び絶縁層122を貫通して配設されている。以下により詳細を説明されるように、そのような一実施形態において、付加された多結晶シリコン層124及び第2多結晶シリコンエミッタ領域112は、ブランケット堆積されその後その中にスクライブライン126を設けるように彫られた同じ層から形成されている。
【0026】
再び図1を参照すると、実施形態において、太陽電池100は、基板102の裏面106に配設された陥没部128を更に含む。第2多結晶シリコンエミッタ領域112及び第2の薄い誘電体層114は陥没部128内に配設される。そのような一実施形態において、図1に図示されているように、陥没部128はテクスチャ化された表面を有し、第2多結晶シリコンエミッタ領域112及び第2の薄い誘電体層114はテクスチャ化された表面と共形である。実施形態において、また、図1に図示されているように、第1多結晶シリコンエミッタ領域108及び第1の薄い誘電体層110は、基板102の裏面106の平坦部分上に配設されていて、第2多結晶シリコンエミッタ領域112及び第2の薄い誘電体層114は基板の裏面106のテクスチャ化された部分上に配設されている。しかし、他の実施形態は、テクスチャ化された表面を含まなくてもよい、又は陥没部をまったく含まなくてもよいと理解されるべきである。
【0027】
再び図1を参照すると、実施形態において、太陽電池100は、基板102の受光表面104上に配設された第4の薄い誘電体層130を更に含む。第2導電型の多結晶シリコン層132が第4の薄い誘電体層132上に配設される。窒化ケイ素層などの反射防止コーティング(ARC)層134が多結晶シリコン層132上に配設される。そのような一実施形態において、以下により詳細に説明されるように、第4の薄い誘電体層132は、第2の薄い誘電体層114を形成するのに用いられるのと本質的に同じ工程により形成され、多結晶シリコン層132は、第2多結晶シリコンエミッタ領域112を形成するのに用いられるのと本質的に同じ工程により形成される。
【0028】
実施形態において、第1多結晶シリコンエミッタ領域108はP型多結晶シリコンエミッタ領域である。第2多結晶シリコンエミッタ領域112はN型多結晶シリコンエミッタ領域である。基板はN型単結晶シリコン基板である。実施形態において、第1の薄い誘電体層110、第2の薄い誘電体層114及び第3の薄い誘電体層116は二酸化ケイ素を含む。しかし別の実施形態において、第1の薄い誘電体層110及び第2の薄い誘電体層114は二酸化ケイ素を含み、第3の薄い誘電体層116は窒化ケイ素を含む。実施形態において、絶縁層122は二酸化ケイ素を含む。
【0029】
実施形態において、第1導電接点構造体118及び第2導電接点構造体120は各々、第1多結晶シリコンエミッタ領域108及び第2多結晶シリコンエミッタ領域112上にそれぞれ配設されたアルミニウムベースの金属シード層を含む。一実施形態において、第1導電接点構造体118及び第2導電接点構造体120は各々、アルミニウムベースの金属シード層上に配設された、銅層などの金属層を更に含む。
【0030】
第2の例において、図2は、本開示の別の実施形態によるバックコンタクト型太陽電池200の一部分の断面図を例示する。太陽電池200は、受光表面204及び裏面206を有する基板202を含む。第1導電型の第1多結晶シリコンエミッタ領域208が、基板202の裏面206上に配設された第1の薄い誘電体層210上に配設される。異なる第2導電型の第2多結晶シリコンエミッタ領域212は、基板202の裏面206上に配設された第2の薄い誘電体層214上に配設される。第3の薄い誘電体層216が、第1多結晶シリコンエミッタ領域208と第2多結晶シリコンエミッタ領域212との間に直接側方に配設される。第1導電接点構造体218が第1多結晶シリコンエミッタ領域208上に配設される。第2導電接点構造体220が第2多結晶シリコンエミッタ領域212上に配設される。
【0031】
本開示の実施形態により、第1導電接点構造体218及び第2導電接点構造体220は各々、第1多結晶シリコンエミッタ領域208及び第2多結晶シリコンエミッタ領域212上にそれぞれ配設された金属シリサイド層を含む。そのような一実施形態において、シリサイド化工程中に、第1多結晶シリコンエミッタ領域208及び第2シリコンエミッタ領域212の露出領域を消費することにより、金属シリサイド層は形成される。そのようにして、図2に図示されるように、第1多結晶シリコンエミッタ領域208及び第2多結晶シリコンエミッタ領域212のすべての露出した上部表面並びにあらゆる他の露出したシリコン表面が金属化される。実施形態において、第1導電接点構造体218及び第2導電接点構造体220は各々、金属シリサイド層上に配設された、(銅層などの)金属層を更に含む。特定の実施形態においては、金属シリサイド層は、チタンシリサイド(TiSi)、コバルトシリサイド(CoSi)、タングステンシリサイド(WSi)、あるいはニッケルシリサイド(NiSi又はNiSi)などであってこれに限定されない材料を含む。
【0032】
再び図2を参照すると、実施形態において、太陽電池200は、第1多結晶シリコンエミッタ領域208上に配設された絶縁層222を更に含む。第1導電接点構造体218は絶縁層222を貫通して配設される。加えて、第2多結晶シリコンエミッタ領域212の一部分は、絶縁層222と重なり合っているが、第1導電接点構造体218とは離れている。実施形態において、図2に図示されているように、付加された第2導電型の多結晶シリコン層224は絶縁層222上に配設されていて、第1導電接点構造体218は第2導電型の多結晶シリコン層224を貫通及び絶縁層222を貫通して配設されている。しかし、図1とは対照的に、多結晶シリコン層224の上部表面全体が金属化されている。以下により詳細に説明されるように、かかる一実施形態において、付加された多結晶シリコン層224及び第2多結晶シリコンエミッタ領域212は、ブランケット堆積されその後その中にスクライブライン226を設けるように彫られた同じ層から形成されている。
【0033】
再び図2を参照すると、実施形態において、基板202の裏面206は本質的に全面的に平坦である。しかし、別の実施形態において、図1に関連して述べたように、第2多結晶シリコンエミッタ領域212及び第2の薄い誘電体層214は陥没部内に配設される。そのような一実施形態において、陥没部はテクスチャ化された表面を有し、第2多結晶シリコンエミッタ領域212及び第2の薄い誘電体層214はテクスチャ化された表面と共形である。
【0034】
再び図2を参照すると、実施形態において、太陽電池200は、基板202の受光表面204上に配設された第4の薄い誘電体層230を更に含む。第2導電型の多結晶シリコン層232が第4の薄い誘電体層232上に配設される。図示されていないが、実施形態において、窒化ケイ素層などの反射防止コーティング(ARC)層が、多結晶シリコン層232上に配設される。そのような一実施形態において、以下により詳細に説明されるように、第4の薄い誘電体層232は、第2の薄い誘電体層214を形成するのに用いられるのと本質的に同じ工程により形成され、多結晶シリコン層232は、第2多結晶シリコンエミッタ領域212を形成するのに用いられるのと本質的に同じ工程により形成される。
【0035】
実施形態において、基板202、第1多結晶シリコンエミッタ領域208、第2多結晶シリコンエミッタ領域212、及び様々な誘電体層は、基板102、第1多結晶シリコンエミッタ領域108、第2多結晶シリコンエミッタ領域112、及び様々な誘電体層に対して、図1に関連して上述したようになっている。
【0036】
本明細書には、太陽電池の製造方法も開示される。第1の例示的なプロセスフローでは、図5A図5Fは、本発明の実施形態による、太陽電池の製造における様々な段階の断面図を例示する。図3は、本開示の実施形態による図5A図5Fに対応する太陽電池の製造方法における操作を列挙したフローチャート300である。
【0037】
図5A及びフローチャート300の対応する操作302を参照すると、太陽電池の交互のN型及びP型エミッタ領域の製造方法は、基板502の裏面上に形成された第1の薄い誘電体層504上への第1導電型の第1シリコン層506の形成を含む。
【0038】
実施形態において、基板502は単結晶シリコン基板、例えばバルク単結晶のN型ドープシリコン基板である。しかし、基板502は、大域的太陽電池基板上に配設された多結晶シリコン層などの層でもよいことを理解されるべきである。実施形態において、第1の薄い誘電体層504は、厚み約2ナノメートル以下のトンネル誘電体酸化ケイ素層などの薄い酸化物層である。
【0039】
実施形態において、第1シリコン層506は、原位置(in situ)ドーピング又は堆積後注入若しくはこれらの組み合わせのいずれかにより、第1導電型を有するようにドープされた多結晶シリコン層である。別の実施形態において、第1シリコン層506は、アモルファスシリコン層の堆積の後で第1導電型のドーパントが注入される、a−Si:Hと表現される水素化シリコン層などの、アモルファスシリコン層である。そのような一実施形態において、第1シリコン層506は、最終的に多結晶シリコン層を形成するように、その後に(少なくともプロセスフローのその後に続くある段階で)アニールされる。実施形態において、多結晶シリコン層又はアモルファスシリコン層いずれかに対して、堆積後注入が実行される場合は、注入はイオンビーム注入又はプラズマ浸漬注入を用いて実行される。かかる一実施形態において、シャドーマスクが注入のために使われる。具体的な実施形態において、第1導電型はP型(例えば、ボロン不純物原子を用いて形成される)である。
【0040】
再び図5A及び今度はフローチャート300の対応する操作304を参照すると、絶縁層508が第1シリコン層506上に形成される。実施形態において、絶縁層508は二酸化ケイ素を含む。
【0041】
図5B及びフローチャート300の対応する操作306を参照すると、絶縁層508及び第1シリコン層506は、絶縁キャップ512をその上に有する第1導電型の第1シリコン領域510を形成するように、パターニングされる。実施形態において、絶縁層508及び第1シリコン層506をパターニングするのに、リソグラフィ又はスクリーン印刷マスキング及びその後のエッチング工程が用いられる。別の実施形態において、絶縁層508及び第1シリコン層506をパターニングするのに、レーザアブレーション工程(例えば、直接描画)が用いられる。いずれの場合も、一実施形態において、第1の薄い誘電体層504も、図5Bに図示されているように、この工程中にパターニングされる。
【0042】
図5Cを参照すると、陥没部514は、任意に、絶縁層508及び第1シリコン層506のパターニング中(又はその後)に基板502において形成されてもよい。更に、一実施形態において、陥没部514の表面516はテクスチャ化されている。同じ又は同様の工程において、図5Cに図示されるように、基板502の受光表面501もテクスチャ化されてもよい。実施形態において、陥没部514の少なくとも一部分を形成するため及び/又は基板502の露出した部分をテクスチャ化するために、水酸化物をベースとしたウェットエッチング液が用いられる。テクスチャ化された表面は、入射光を散乱させることによって太陽電池の受光表面及び/又は露出した表面から反射される光の量を減少させる、規則的又は不規則的な形状の表面を有するものであってよい。しかし、裏面のテクスチャ化及び陥没部の形成すらもプロセスフローから省略してもよいと理解されるべきである。
【0043】
図5D及びフローチャート300の対応する操作308を参照すると、第2の薄い誘電体層518は、第1シリコン領域518の露出した側面上に形成される。実施形態において、第2の薄い誘電体層510は、酸化工程中に形成され、厚み約2ナノメートル以下のトンネル誘電体酸化ケイ素層などの薄い酸化物層である。別の実施形態において、第2の薄い誘電体層518は、堆積工程中に形成され、薄い窒化ケイ素層又は酸窒化ケイ素層である。
【0044】
再び図5D及び今度はフローチャート300の対応する操作310を参照すると、異なる第2導電型の第2シリコン層520は、基板502の裏面上に形成された第3の薄い誘電体層522上、並びに第1シリコン領域510の第2の薄い誘電体層518及び絶縁キャップ512上に、形成される。対応する薄い誘電体層522'及び第2導電型の第2シリコン層520'も、図5Dに図示されるように、基板502の受光表面501上に、同じ又は同様の工程操作中において形成されてもよい。加えて、図示されていないが、図1に関連して説明されたように、ARC層が、対応する第2シリコン層520'上に形成されてもよい。
【0045】
実施形態において、第3の薄い誘電体層522は、酸化工程中に形成され、厚み約2ナノメートル以下のトンネル誘電体酸化ケイ素層などの薄い酸化物層である。実施形態において、第2シリコン層520は、原位置ドーピング又は堆積後注入又はそれらの組み合わせのいずれかにより、第2導電型を有するようにドープされた多結晶シリコン層である。別の実施形態において、第2シリコン層520は、アモルファスシリコン層の堆積の後で第2導電型のドーパントが注入される、a−Si:Hと表現される水素化シリコン層などの、アモルファスシリコン層である。そのような一実施形態において、第2シリコン層520は、最終的に多結晶シリコン層を形成するように、その後に(少なくともプロセスフローの後に続くある段階で)アニールされる。実施形態において、多結晶シリコン層又はアモルファスシリコン層いずれかに対して、堆積後注入が実行される場合は、注入はイオンビーム注入又はプラズマ浸漬注入を用いて実行される。そのような一実施形態において、シャドーマスクが注入のために用いられる。具体的な実施形態において、第2導電型はN型(例えば、リン原子又はヒ素不純物原子を用いて形成される)である。
【0046】
図5E及びフローチャート300の対応する操作312を参照すると、第2シリコン層520は、第2導電型の分離された第2シリコン領域524を形成するように、及び第1シリコン領域510の絶縁キャップ512の上方の第2シリコン層520の領域内に接点開口部526を形成するように、パターニングされる。実施形態において、シリコンの分離された領域525が、パターニング工程の所産として残ることがある。実施形態において、レーザアブレーション工程が、第2シリコン層520をパターニングするのに用いられる。
【0047】
再び図5Eと今度はフローチャート300の対応する操作314を参照すると、絶縁キャップ512は、第1シリコン領域510の複数の部分を露出するように、接点開口部526を貫通してパターニングされる。実施形態において、絶縁キャップ512は、レーザアブレーション工程を用いてパターニングされる。例えば、一実施形態において、第1のレーザーパスが、接点開口部526の形成を含めた、第2シリコン層520のパターニングに用いられる。接点開口部526と同じ位置の第2のレーザーパスが、絶縁キャップ512をパターニングするのに用いられる。
【0048】
図5Fを参照すると、金属シード層528が、第1シリコン領域510の露出した部分上及び分離された第2シリコン領域524上に、形成される。金属層530が、第1シリコン領域510及び分離された第2シリコン領域524のための各々の導電接点532及び534を形成するように、金属シード層上にめっきされる。実施形態において、金属シード層528は、アルミニウムベースの金属シード層であり、金属層530は銅層である。実施形態において、金属シード層528の形成を制限された位置に方向付けるために、第1シリコン領域510及び分離された第2シリコン領域524の露出した部分のみを露出するように、マスクが最初に形成される。
【0049】
第2の例示的なプロセスフローでは、図6A図6Bは、本開示の別の実施形態による、別の太陽電池の製造における様々な段階の断面図を例示する。図4は、本開示の実施形態による、図5A図5E及び図6Aから図6Bに対応する太陽電池の製造方法における操作を列挙したフローチャート400である。したがって、第2のプロセスフローの例は、図5Eの構造から図6Aの構造へ移動する。
【0050】
図6Aを参照すると、第2シリコン層520と絶縁キャップ512のパターニングに続いて(図5Eに関連して説明されているように)、金属シリサイド層628は、パターニングされた第2シリコン層の露出した表面から及び第1シリコン領域510の露出した部分から、形成される。実施形態において、図5Eの構造全体にわたってブランケット金属層を形成し、露出したシリコンと反応して金属シリサイドを形成するようにブランケット金属層を加熱することにより、金属シリサイド層は形成される。ブランケット金属層の反応しなかった部分は、例えば形成されたシリサイド材料に合わせて選択される湿式化学洗浄工程を用いて、その後除去される。一実施形態において、金属シリサイド層628は、チタンシリサイド(TiSi)、コバルトシリサイド(CoSi)、タングステンシリサイド(WSi)、又はニッケルシリサイド(NiSi又はNiSi)などであるが、これに限定されない材料を含む。実施形態において、急速熱処理(RTP)アニールが、シリサイドを形成するために用いられる。その実施形態において、エミッタ領域のシリコン層中のドーパントは、同じRTP工程中にアクティブ化される。一実施形態において、RTP工程は、シリサイド金属の酸化を低減するために、無酸素又は低酸素環境中で実行される。しかし、別の実施形態において、シリサイド工程の温度は、ドーパントのアクティブ化のために用いられる別個のアニールの温度より低い。
【0051】
図6Bを参照すると、金属層630が、第1シリコン領域510及び分離された第2シリコン領域524のためのそれぞれの導電接点632及び634を形成するように、金属シリサイド層上にめっきされる。一実施形態において、金属層630は銅層である。一実施形態において、金属シリサイド層は、その上に金属をめっきする前に化学的にアクティブ化される。別の実施形態において、金属をめっきする代わりに、接点形成を完了するためにアルミニウム(Al)箔溶接工程が用いられる。
【0052】
図5Fに関連して説明された接点形成に対照して、図6A及び図6Bに関連して説明された接点形成のためのシリサイド化工程は、一枚少ないマスクを用いることを理解されるべきである。特に、すでにパターニングされている露出したシリコンの領域上にのみシリサイドは形成されるため、シード層は、シリサイド化工程中にマスクにより方向付けされる必要がない。そのように、実施形態において、シリサイド化工程は、アライメントの問題を軽減するために実装されることができる自己整合工程であり、おそらく、電池接点製造のために達成可能なピッチを低減する。
【0053】
全体的に、特定の材料が具体的に上述されたが、いくつかの材料は、他のこのような実施形態が本開示の実施形態の趣旨及び範囲内にとどまる形で、他のものと容易に置換され得る。例えば、実施形態において、III−V族材料基板などの異なる材料基板を、シリコン基板の代わりに用いることができる。更に、N+及びP+型のドーピングが具体的に説明されている所では、企図されている他の実施形態は、反対の導電型、例えば、P+及びN+型のドーピングをそれぞれ含むことを理解されるべきである。更に、接点形成のためのアルミニウムシード層の代わりに用いることができるシリサイド化のアプローチは、フロントコンタクト型太陽電池にも適用可能であることを理解されるべきである。
【0054】
更に、実施形態において、クラスタープラズマ化学気相成長法(PECVD)ツールを、上述した多数の工程操作を工程ツールの中のシングルパスの中にまとめるために、用いることができる。例えば、かかる一実施形態において、四つまでの別個のPECVD操作とひとつのRTP操作を、クラスターツールの中のシングルパスの中で実行されることができる。PECVD操作は、上述した裏側P+ポリシリコン層、表側及び裏側両面のN+ポリシリコン層、及びARC層などの、層の堆積を含むことができる。
【0055】
つまり、差異化されたP型及びN型領域構造を有する太陽電池エミッタ領域の製造方法、及びそれによって得られる太陽電池が開示された。
【0056】
具体的な実施形態が上述されてきたが、これらの実施形態は、特定の特徴に関して単一の実施形態のみが説明される場合であっても、本開示の範囲を限定することを意図されない。開示で提供される特徴の実施例は、別段の定めがある場合を除き、制約的であることよりも、むしろ例示的であることを意図するものである。上記の説明は、本開示の利益を有する当業者には明らかとなるような、変更、修正、及びなど価物を包含することを意図するものである。
【0057】
本開示の範囲は、本明細書で対処される問題のいずれか又はすべてを軽減するか否かにかかわらず、本明細書で(明示的又は暗示的に)開示される、あらゆる特徴又は特徴の組み合わせ、若しくはこれらのあらゆる一般化を含む。したがって、本出願(又は、本出願に対する優先権を主張する出願)の実施の間に、任意のそのような特徴の組み合わせに対して、新たな請求項を形式化することができる。具体的には、添付の請求項を参照して、従属請求項からの特徴を、独立請求項の特徴と組み合わせることができ、それぞれの独立請求項からの特徴を、任意の適切な方式で、単に添付の請求項で列挙される具体的な組み合わせのみではなく、組み合わせることができる。
【0058】
実施形態において、バックコンタクト型太陽電池が受光表面と裏面を有する基板を含む。第1導電型の第1多結晶シリコンエミッタ領域が、基板の裏面上に配設された第1の薄い誘電体層上に配設される。異なる第2導電型の第2多結晶シリコンエミッタ領域が、基板の裏面上に配設された第2の薄い誘電体層上に配設される。第3の薄い誘電体層が、第1及び第2多結晶シリコンエミッタ領域の間に直接側方に配設される。第1導電接点構造体が第1多結晶シリコンエミッタ領域上に配設される。第2導電接点構造体が第2多結晶シリコンエミッタ領域上に配設される。
【0059】
一実施形態において、バックコンタクト型太陽電池は、第1多結晶シリコンエミッタ領域上に配設された絶縁層を更に含んでおり、ここで、第1導電接点構造体は絶縁層を貫通して配設されており、第2多結晶シリコンエミッタ領域の一部分は絶縁層と重なり合っているが、第1導電接点構造体とは離れている。
【0060】
一実施形態において、バックコンタクト型太陽電池は、第1多結晶シリコンエミッタ領域上に配設された絶縁層及び絶縁層上に配設された第2導電型の多結晶シリコン層を更に含んでおり、ここで、第1導電接点構造体は第2導電型の多結晶シリコン層を貫通、及び絶縁層を貫通して、配設されている。
【0061】
一実施形態において、第2多結晶シリコンエミッタ領域及び第2の薄い誘電体層は、基板内に配設された陥没部内に配設される。
【0062】
一実施形態において、陥没部はテクスチャ化された表面を有する。
【0063】
一実施形態において、第1多結晶シリコンエミッタ領域及び第1の薄い誘電体層は、基板の裏面の平坦部分上に配設されていて、第2多結晶シリコンエミッタ領域及び第2の薄い誘電体層は、基板の裏面のテクスチャ化された部分上に配設されている。
【0064】
一実施形態において、第1及び第2導電接点構造体は、各々、第1及び第2多結晶シリコンエミッタ領域上にそれぞれ配設されたアルミニウムベースの金属シード層を含み、各々は、アルミニウムベースの金属シード層上に配設された金属層を更に含む。
【0065】
一実施形態において、第1及び第2導電接点構造体は、各々、第1及び第2多結晶シリコンエミッタ領域上にそれぞれ配設された金属シリサイド層を含み、各々は、金属シリサイド層上に配設された金属層を更に含む。
【0066】
一実施形態において、金属シリサイド層は、チタンシリサイド(TiSi)、コバルトシリサイド(CoSi)、タングステンシリサイド(WSi)、及びニッケルシリサイド(NiSi又はNiSi)からなる群から選択された材料を含む。
【0067】
一実施形態において、バックコンタクト型太陽電池は、基板の受光表面上に配設された第4の薄い誘電体層、第4の薄い誘電体層上に配設された第2導電型の多結晶シリコン層、及び第2導電型の多結晶シリコン層上に配設された反射防止コーティング(ARC)層を更に含む。
【0068】
一実施形態において、基板は、N型単結晶シリコン基板であり、第1導電型はP型であり、第2導電型はN型である。
【0069】
一実施形態において、第1、第2及び第3の薄い誘電体層はすべて、二酸化ケイ素を含む。
【0070】
実施形態において、太陽電池の交互のN型及びP型エミッタ領域の製造方法が、基板の裏面上に形成された第1の薄い誘電体層上への第1導電型の第1シリコン層の形成を伴う。絶縁層が第1シリコン層上に形成される。絶縁層と第1シリコン層は、その上に絶縁キャップを有する第1導電型の第1シリコン領域を形成するように、パターニングされる。第2の薄い誘電体層が第1シリコン領域の露出した側面上に形成される。異なる第2導電型の第2シリコン層が、基板の裏面上に形成された第3の薄い誘電体層上、並びに第1シリコン領域の第2の薄い誘電体層及び絶縁キャップ上に、形成される。第2シリコン層は、第2導電型の分離された第2シリコン領域を形成するように、及び第1シリコン領域の絶縁キャップの上方の第2シリコン層の領域内に接点開口部を形成するように、パターニングされる。絶縁キャップは、第1シリコン領域の部分を露出させるように、接点開口部を貫通してパターニングされる。マスクが、第1シリコン領域の露出した部分及び分離された第2シリコン領域のみを露出するように形成される。金属シード層が、第1シリコン領域の露出した部分上及び分離された第2シリコン領域上に、形成される。金属層が、第1シリコン領域及び分離された第2シリコン領域のための導電接点を形成するように、金属シード層上にめっきされる。
【0071】
一実施形態において、第1及び第2シリコン層は、アモルファスシリコン層として形成され、方法は、第1及び第2多結晶シリコン層をそれぞれ形成するように、第1及び第2シリコン層をアニールすることを更に含む。
【0072】
一実施形態において、絶縁層及び第1シリコン層のパターニングは、第1の薄い誘電体層のパターニングを更に含み、絶縁層、第1シリコン層及び第1の薄い誘電体層のパターニング、第2シリコン層のパターニング、及び絶縁キャップのパターニングは、すべてレーザアブレーションの使用を伴う。
【0073】
実施形態において、太陽電池の交互のN型及びP型エミッタ領域の製造方法が、基板の裏面上に形成された1の薄い誘電体層上への第1導電型の第1シリコン層の形成を含む。絶縁層が第1シリコン層上に形成される。絶縁層と第1シリコン層は、その上に絶縁キャップを有する第1導電型の第1シリコン領域を形成するように、パターニングされる。第2の薄い誘電体層が、第1シリコン領域の露出した側面上に形成される。異なる第2導電型の第2シリコン層が、基板の裏面上に形成された第3の薄い誘電体層上、並びに第1シリコン領域の第2の薄い誘電体層及び絶縁キャップ上に、形成される。第2シリコン層は、第2導電型の分離された第2シリコン領域を形成するように、及び第1シリコン領域の絶縁キャップの上方の第2シリコン層の領域内に接点開口部を形成するように、パターニングされる。絶縁キャップは、第1シリコン領域の部分を露出させるように、接点開口部を貫通してパターニングされる。第2シリコン領域と絶縁キャップのパターニングに続いて、金属シリサイド層が、第2シリコン領域から及び第1シリコン領域の露出した部分から、形成される。金属層が、第1シリコン領域及び分離された第2シリコン領域のための導電接点を形成するように、金属シリサイド層上にめっきされる。
【0074】
一実施形態において、金属シリサイド層の形成は、ブランケット金属層の形成、ブランケット金属層の加熱、及びブランケット金属層の反応しなかった部分の除去を伴う。
【0075】
一実施形態において、第1及び第2シリコン層は、アモルファスシリコン層として形成され、方法は、第1及び第2多結晶シリコン層をそれぞれ形成するように、第1及び第2シリコン層をアニールすることを更に含む。
ここで、本実施形態に係る発明の例を項目として記載する。
[項目1]
バックコンタクト型太陽電池であって、
受光表面及び裏面を有する基板と、
前記基板の前記裏面上に配設された第1の薄い誘電体層上に配設された、第1導電型の第1多結晶シリコンエミッタ領域と、
前記基板の前記裏面上に配設された第2の薄い誘電体層上に配設された、異なる第2導電型の第2多結晶シリコンエミッタ領域と、
前記第1及び第2多結晶シリコンエミッタ領域の間に直接側方に配設された第3の薄い誘電体層と、
前記第1多結晶シリコンエミッタ領域上に配設された第1導電接点構造体と、
前記第2多結晶シリコンエミッタ領域上に配設された第2導電接点構造体と、
を備える
バックコンタクト型太陽電池。
[項目2]
前記第1多結晶シリコンエミッタ領域上に配設された絶縁層を更に備え、
前記第1導電接点構造体は前記絶縁層を貫通して配設され、前記第2多結晶シリコンエミッタ領域の一部分は前記絶縁層と重なり合っているが、前記第1導電接点構造体とは離れている、
項目1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
[項目3]
前記第1多結晶シリコンエミッタ領域上に配設された絶縁層と、
前記絶縁層上に配設された前記第2導電型の多結晶シリコン層と、を更に備え、
前記第1導電接点構造体は前記第2導電型の前記多結晶シリコン層を貫通及び前記絶縁層を貫通して配設されている、
項目1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
[項目4]
前記第2多結晶シリコンエミッタ領域及び前記第2の薄い誘電体層は、前記基板内に配設された陥没部内に配設されている、項目1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
[項目5]
前記陥没部はテクスチャ化された表面を有する、項目4に記載のバックコンタクト型太陽電池。
[項目6]
前記第1多結晶シリコンエミッタ領域及び前記第1の薄い誘電体層は、前記基板の前記裏面の平坦部分上に配設され、前記第2多結晶シリコンエミッタ領域及び前記第2の薄い誘電体層は前記基板の前記裏面のテクスチャ化された部分上に配設されている、項目1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
[項目7]
前記第1及び前記第2導電接点構造体は、各々、前記第1及び前記第2多結晶シリコンエミッタ領域上にそれぞれ配設されたアルミニウムベースの金属シード層を備え、各々は、前記アルミニウムベースの金属シード層上に配設された金属層を更に備える、項目1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
[項目8]
前記第1及び前記第2導電接点構造体は、各々、前記第1及び前記第2多結晶シリコンエミッタ領域上にそれぞれ配設された金属シリサイド層を備え、各々は、前記金属シリサイド層上に配設された金属層を更に備える、項目1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
[項目9]
前記金属シリサイド層は、チタンシリサイド(TiSi2)、コバルトシリサイド(CoSi2)、タングステンシリサイド(WSi2)、及びニッケルシリサイド(NiSi又はNiSi2)からなる群から選択された材料を含む、項目8に記載のバックコンタクト型太陽電池。
[項目10]
前記基板の前記受光表面上に配設された第4の薄い誘電体層と、
前記第4の薄い誘電体層上に配設された、前記第2導電型の多結晶シリコン層と、
前記第2導電型の前記多結晶シリコン層上に配設された反射防止コーティング(ARC)層と、
を更に備える
項目1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
[項目11]
前記基板は、N型単結晶シリコン基板であり、前記第1導電型はP型であり、前記第2導電型はN型である、項目1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
[項目12]
前記第1、前記第2、及び前記第3の薄い誘電体層のすべては、二酸化ケイ素を含む、項目1に記載のバックコンタクト型太陽電池。
[項目13]
太陽電池の交互のN型及びP型エミッタ領域の製造方法であって、
基板の裏面上に形成された第1の薄い誘電体層上に、第1導電型の第1シリコン層を形成することと、
前記第1シリコン層上に絶縁層を形成することと、
前記絶縁層及び前記第1シリコン層をパターニングして、絶縁キャップを有する、前記第1導電型の複数の第1シリコン領域を形成することと、
前記複数の第1シリコン領域の露出した複数の側面上に第2の薄い誘電体層を形成することと、
前記基板の前記裏面上に形成された第3の薄い誘電体層上、並びに前記複数の第1シリコン領域の前記第2の薄い誘電体層及び前記絶縁キャップ上に、異なる第2導電型の第2シリコン層を形成することと、
前記第2シリコン層をパターニングして、前記第2導電型の分離された複数の第2シリコン領域を形成し、及び前記複数の第1シリコン領域の前記絶縁キャップの上方の前記第2シリコン層の複数の領域内に複数の接点開口部を形成することと、
前記複数の接点開口部を貫通して前記絶縁キャップをパターニングして、前記複数の第1シリコン領域の複数の部分を露出させることと、
前記複数の第1シリコン領域の前記露出した複数の部分及び前記分離された複数の第2シリコン領域のみを露出させるようにマスクを形成することと、
前記複数の第1シリコン領域の前記露出した複数の部分上及び前記分離された複数の第2シリコン領域上に、金属シード層を形成することと、
前記金属シード層上に金属層をめっきして、前記複数の第1シリコン領域及び前記分離された複数の第2シリコン領域のための複数の導電接点を形成することと、
を備える
方法。
[項目14]
前記第1及び前記第2シリコン層はアモルファスシリコン層として形成され、
前記方法は、前記第1及び前記第2シリコン層をアニールして、第1及び第2多結晶シリコン層をそれぞれ形成すること、を更に備える、
項目13に記載の方法。
[項目15]
前記絶縁層及び前記第1シリコン層をパターニングすることは、前記第1の薄い誘電体層をパターニングすることを更に含み、前記絶縁層、前記第1シリコン層及び前記第1の薄い誘電体層のパターニング、前記第2シリコン層のパターニング、及び前記絶縁キャップのパターニングは、すべてレーザアブレーションの使用を含む、項目13に記載の方法。
[項目16]
項目13に記載の方法により製造される太陽電池。
[項目17]
太陽電池の交互のN型及びP型エミッタ領域の製造方法であって、
基板の裏面上に形成された第1の薄い誘電体層上に、第1導電型の第1シリコン層を形成することと、
前記第1シリコン層上に絶縁層を形成することと、
前記絶縁層及び前記第1シリコン層をパターニングして、絶縁キャップを有する、前記第1導電型の複数の第1シリコン領域を形成することと、
前記複数の第1シリコン領域の露出した複数の側面上に第2の薄い誘電体層を形成することと、
前記基板の前記裏面上に形成された第3の薄い誘電体層上、並びに前記複数の第1シリコン領域の前記第2の薄い誘電体層及び前記絶縁キャップ上に、異なる第2導電型の第2シリコン層を形成することと、
前記第2シリコン層をパターニングして、前記第2導電型の分離された複数の第2シリコン領域を形成し、及び前記複数の第1シリコン領域の前記絶縁キャップの上方の前記第2シリコン層の複数の領域内に複数の接点開口部を形成することと、
前記複数の接点開口部を貫通して前記絶縁キャップをパターニングして、前記複数の第1シリコン領域の複数の部分を露出させることと、
前記複数の第2シリコン領域と前記絶縁キャップのパターニングに続いて、前記第2シリコン層から及び前記複数の第1シリコン領域の前記露出した複数の部分から、金属シリサイド層を形成することと、
前記金属シリサイド層上に金属層をめっきして、前記複数の第1シリコン領域及び前記分離された複数の第2シリコン領域のための複数の導電接点を形成することと、
を備える
方法。
[項目18]
前記金属シリサイド層を形成することは、ブランケット金属層を形成すること、前記ブランケット金属層を加熱すること、及び前記ブランケット金属層の複数の反応しなかった部分を除去することを含む、項目17に記載の方法。
[項目19]
前記第1及び前記第2シリコン層はアモルファスシリコン層として形成され、
前記方法は、前記第1及び前記第2シリコン層をアニールして、第1及び第2多結晶シリコン層をそれぞれ形成することを更に備える、
項目17に記載の方法。
[項目20]
項目17に記載の方法により製造される太陽電池。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B