【実施例】
【0094】
実施例1.((2R,5S)−5−{2−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1H−イミダゾ[4,5−d]チエノ[3,2−b]ピリジン−1−イル}テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)アセトニトリル
【化1】
ステップ1.tert−ブチル(4S)−2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−オキサゾリジン−3−カルボキシレート
テトラヒドロフラン(140mL)中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(5.63g、15.8mmol)の懸濁液に、2.5Mのn−ブチルリチウムを含むヘキサン(7.35mL、18.4mmol)を加えた。深赤色の溶液を0℃で1時間撹拌した。次いで、テトラヒドロフラン(7.3mL)中のtert−ブチル(4R)−4−ホルミル−2,2−ジメチル−1,3−オキサゾリジン−3−カルボキシレートの溶液(Aldrichから入手、3.01g、13.1mmol)を0℃で滴加した。赤色の溶液を室温まで温め、12時間撹拌した。ヘキサンを反応混合物に4:1(v/v)の比率で加えた。懸濁液を、セライトを通して濾過し、濾過物を濃縮した。結果生じた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(10%酢酸エチルを含むヘキサンで溶出)によって精製して、所望の化合物を無色の油状物質(1.92g、64%)として得た。
【0095】
ステップ2.tert−ブチル[(1S)−1−(ヒドロキシメチル)プロパ−2−エン−1−イル]カルバメート
メタノール(83mL)中のtert−ブチル(4S)−2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−オキサゾリジン−3−カルボキシレート(1.90g、8.36mmol)の溶液に、p−トルエンスルホン酸一水和物(0.80g、4.2mmol)を0℃で加えた。混合物を一晩ゆっくりと室温まで温めた。反応混合物を飽和NaHCO
3水溶液で希釈し、濃縮し、次いで酢酸エチルで希釈した。有機層を飽和NaHCO
3(2x)及び飽和食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、所望の生成物を無色の油状物質(1.187g、76%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 5.81 (1H, m), 5.25 (2H, m), 4.90 (1H, m), 4.25 (1H, br s), 3.67 (2H, m), 1.45 (9H, s)ppm。
【0096】
ステップ3.tert−ブチル[(1S)−1−({[1−(ヒドロキシメチル)プロパ−2−エン−1−イル]オキシ}メチル)プロパ−2−エン−1−イル]カルバメート
フラスコに、tert−ブチル[(1S)−1−(ヒドロキシメチル)プロパ−2−エン−1−イル]カルバメート(0.401g、2.14mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(59mg、0.064mmol)、N,N’−(1S,2S)−シクロヘキサン−1,2−ジイルビス[2−(ジフェニルホスフィノ)−1−ナフトアミド](150mg、0.19mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジン(78mg、0.64mmol)を充填した。反応混合物をN
2で3回パージし、次いで、塩化メチレン(21.3mL)、及び1.0Mトリエチルボランを含むTHF(130μL、0.13mmol)を順次加えた。10分間撹拌した後、2−ビニルオキシラン(0.150g、2.14mmol)を加え、結果生じた混合物を一晩撹拌した。反応物をジクロロメタン及び飽和NaHCO
3水溶液で希釈した。有機層を分離し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)で精製して、所望の生成物(0.271g、49%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 5.85 (1H, m), 5.67 (1H, m), 5.84〜5.17 (4H, m), 4.83 (1H, m), 4.30 (1H, br s), 3.83 (1H, m), 3.69 (1H, dd, J = 4.5 及び 6.9 Hz), 3.54 (2H, m), 3.36 (1H, dd, J = 4.5 及び 6.9 Hz), 1.45 (9H, s) ppm。
【0097】
ステップ4.2−({(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ブト−3−エン−1−イル}オキシ)ブト−3−エン−1−イル酢酸塩
塩化メチレン(10mL)中のtert−ブチル[(1S)−1−({[1−(ヒドロキシメチル)プロパ−2−エン−1−イル]オキシ}メチル)プロパ−2−エン−1−イル]カルバメート(268mg、1.04mmol)の混合物に、トリエチルアミン(435μL、3.12mmol)を加えた。混合物を0℃まで冷却し、塩化アセチル(150μL、2.1mmol)を滴加した。反応物を室温で2時間撹拌し、次いで水でクエンチした。有機層を濃縮し、結果生じた残渣をシリカゲル(20%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)で精製して、所望の生成物(0.26g、85%)を得た。LCMS C
10H
18NO
3 (M−100+H)
+に対する計測値: m/z = 200.1;実測値: 200.1。
【0098】
ステップ5.{(5S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル}メチル酢酸塩
500mLの2口丸底フラスコに、ベンジリデン(ジクロロ)(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イド−2−イル)(トリシクロヘキシルホスホラニル)ルテニウム(38mg、0.044mmol)を加えた。窒素で3回パージした後、ジクロロメタン(無水物、8mL)を加え、その後2−({(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ブト−3−エン−1−イル}オキシ)ブト−3−エン−1−イル酢酸塩(265mg、0.885mmol)を加えた。反応混合物を室温で15時間撹拌した。混合物を真空濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサンから25%EtOAcを含むヘキサンで溶出)を介して精製して、所望の生成物を褐色油状物質(0.205g、85%)として得た。LCMS C
9H
14NO
5 (M+H−Bu+H)
+に対する計測値: m/z = 216.1;実測値: 216.1。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 5.94 (0.17H, m), 5.84 (0.83H, m), 5.69 (1H, m), 4.89 (0.13H, m), 4.70 (0.83H, m), 4.25 (1H, m), 4.05 (4H, m), 3.56 (0.13H, m), 3.38 (0.87H, m), 2.04 (2.49H, s), 2.03 (0.51H, m), 1.38 (9H, s) ppm(生成物は、トランス異性体及びシス異性体の約5:1混合物であった)。
【0099】
ステップ6.[(5S)−5−アミノ−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル]メチル酢酸塩
塩化メチレン(5.2mL)中の{(5S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル}メチル酢酸塩(205mg、0.756mmol)の溶液に4.0M塩化水素を含むジオキサン(1.5mL、6.0mmol)を加えた。反応溶液を室温で6時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、所望の生成物を白色固体として得た。LCMS C
8H
14NO
3 (M+ H)
+に対する計測値: m/z = 172.1;実測値: 172.1。
【0100】
ステップ7.{(5S)−5−[(6−ニトロチエノ[3,2−b]ピリジン−7−イル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル}メチル酢酸塩
イソプロピルアルコール(1.7mL)中の7−クロロ−6−ニトロチエノ[3,2−b]ピリジン(156mg、0.727mmol)、[(5S)−5−アミノ−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル]メチル酢酸塩(129mg、0.754mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.26mL、1.5mmol)の混合物を、90℃で2時間加熱した。反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物(0.21g83%)を得た。LCMS C
15H
16N
3O
5S (M+ H)
+に対する計測値: m/z = 350.1;実測値: 350.0。
【0101】
ステップ8.{(5S)−5−[(6−アミノチエノ[3,2−b]ピリジン−7−イル)アミノ]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル}メチル酢酸塩
メタノール(4.0mL)中の{(5S)−5−[(6−ニトロチエノ[3,2−b]ピリジン−7−イル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル}メチル酢酸塩(210mg、0.600mmol)及び10%パラジウム炭素触媒(0.21g)の混合物を、室温で2時間H
2のバルーン圧に供した。混合物を濾過し、濾過物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(15%メタノールを含むジクロロメタンで溶出)で精製して、所望の生成物(145mg、75%)を得た。LCMS C
15H
20N
3O
3S (M+ H)
+に対する計測値: m/z = 322.1;実測値: 322.0。
【0102】
ステップ9.(1R)−1−{1−[(3S)−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]−1H−イミダゾ[4,5−d]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−イル}エタノール
THF(2mL)中の(2R)−2−ヒドロキシプロパンアミド(131mg、1.47mmol)及びトリエチルオキソニウムテトラフルオロボラート(263mg、1.38mmol)の混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣をエタノール(0.85mL)中に溶解し、エタノール(3.1mL)中の{(5S)−5−[(6−アミノチエノ[3,2−b]ピリジン−7−イル)アミノ]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル}メチル酢酸塩(145mg、0.451mmol)の懸濁液に加えた。混合物を80℃で1時間撹拌した。反応物を室温まで冷却し、水(1.0mL)で希釈した。水酸化リチウム(32.4mg、1.35mmol)を加え、混合物を2時間撹拌した。反応混合物をメタノールで希釈し、分取LCMS(XBridge C18カラム、0.1%水酸化アンモニウムを含有するアセトニトリル/水のグラジエントで溶出、流速は60mL/分)で精製して、所望の生成物を白色固体(95mg、63%)として得た。LCMS C
16H
20N
3O
3S (M+ H)
+に対する計測値: m/z = 334.1;実測値: 334.0。
【0103】
ステップ10:((2R,5S)−5−{2−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1H−イミダゾ[4,5−d]チエノ[3,2−b]ピリジン−1−イル}テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル4−メチルベンゼンスルホナート及び((2S,5S)−5−{2−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1H−イミダゾ[4,5−d]チエノ[3,2−b]ピリジン−1−イル}テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル4−メチルベンゼンスルホナート
塩化メチレン(3.4mL)及びピリジン(0.146mL、1.80mmol)中の(1R)−1−{1−[(3S)−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]−1H−イミダゾ[4,5−d]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−イル}エタノール(100mg、0.300mmol)の溶液(前のステップ)に、p−トルエンスルホニルクロリド(57.2mg、0.300mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(1.8mg、0.015mmol)を0℃で加えた。反応混合物を室温まで一晩自然に温めた。反応混合物を濃縮し、メタノールで希釈し、分取LCMS(XBridge C18カラム、0.1%水酸化アンモニウムを含有するアセトニトリル/水のグラジエントで溶出、流速は60mL/分)で精製して2つのピークを得た。分析用HPLC(Waters SunFire C18、2.1×50mm、5μM;流速 3mL/分;注入量 2μL;グラジエントは3分間で2〜80%B(A=0.025%TFAを有する水、B=アセトニトリル)):第一ピーク(45.3mg、31%)保持時間 1.81分、LCMS C
23H
26N
3O
5S
2 (M+ H)
+に対する計測値: m/z = 488.1;実測値: 488.1。第二ピーク(8.5mg、5.8%)保持時間 1.88分、LCMS C
23H
26N
3O
5S
2 (M+ H)
+に対する計測値: m/z = 488.1;実測値: 488.1。
【0104】
ステップ11.((2R,5S)−5−{2−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1H−イミダゾ[4,5−d]チエノ[3,2−b]ピリジン−1−イル}テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)アセトニトリル
ジメチルスルホキシド(0.4mL)中の((2R,5S)−5−{2−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1H−イミダゾ[4,5−d]チエノ[3,2−b]ピリジン−1−イル}テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル4−メチルベンゼンスルホナート(前のステップの第一ピークから、27mg、0.055mmol)及びシアン化ナトリウム(4.5mg、0.092mmol)の混合物を、50℃で4時間撹拌した。冷却後、混合物をメタノールで希釈し、分取LCMS(XBridge C18カラム、0.1%水酸化アンモニウムを含有するアセトニトリル/水のグラジエントで溶出、流速は30mL/分)で精製して、所望の生成物(14.5mg、76%)を得た。LCMS C
17H
19N
4O
2S (M+ H)
+に対する計測値: m/z = 343.1;実測値: 343.0。
1H NMR (DMSO−d
6, 500 MHz) δ 9.51 (1H, s), 8.45 (1H, d, J = 5.5 Hz), 7.97 (1H, d, J = 5..5 Hz), 5.31 (1H, m), 5.20 (1H, m), 4.31 (1H, m), 4.23 (1H, m), 4.02 (1H, m), 2.96 (1H, dd, J = 17.0 及び 4.5 Hz), 2.85 (1H, dd, J = 17.0 及び 4.5 Hz), 2.66 (1H, m), 2.26 (1H, m), 2.09 (1H, m), 1.73 (1H, m), 1.69 (3H, d, J = 6.5 Hz) ppm。
【0105】
実施例1a.((2R,5S)−5−{2−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1H−イミダゾ[4,5−d]チエノ[3,2−b]ピリジン−1−イル}テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)アセトニトリル水和物
【化2】
実施例25からの((2R,5S)−5−{2−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1H−イミダゾ[4,5−d]チエノ[3,2−b]ピリジン−1−イル}テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)アセトニトリル(52mg、0.15mmol)をアセトニトリル(8mL)及び水(4mL)の混合物から結晶化した。結果生じた回収された無色プリズム結晶は、X線結晶構造解析に好適であった。
【0106】
結晶データは:約0.520×0.180×0.100mm、斜方晶、P212121、a=6.962(3)Å、b=11.531(4)Å、c=20.799(7)Å、体積=1669.6(10)Å
3、Z=4、T=−100.℃、式量=359.42、密度=1.430g/cm
3、μ(Mo)=0.22mm
−1を示す。
【0107】
データ収集は、Bruker SMART APEX−II CCDシステム、MoKalpha放射線、標準の焦点管、アノード出力=50kV×42mA、結晶からプレートまでの距離=5.0cm、512×512ピクセル/フレーム、ビーム中心=(256.13、253.14)、フレーム総数=1151、振動/フレーム=0.50°、露出/フレーム=10.1秒/フレーム、SAINT統合、hkl最小/最大=(−9、9、−15、15、−27、27)、shelxへのデータ入力=17025、固有データ=3975、2シータ範囲=3.92〜55.72°、2シータ55.72に対する完全性=99.80%、R(int−xl)=0.0681、SADABS補正適用で行った。
【0108】
構造を、XS(Shelxtl)を使用して解析し、shelxtlソフトウェアパッケージを使用して精密化、F
2に基づくフルマトリックス最小二乗による精密化、Int.Tab.Vol C 表4.2.6.8及び6.1.1.4からの散乱因子、データ数=3975、制限数=0、パラメータ数=235、データ/パラメータ比=16.91、F
2の適合度=1.04、R指数[I>4シグマ(I)]R1=0.0505、wR2=0.1242、R指数(全データ)R1=0.0769、wR2=0.1401、最大残差ピーク及びホール=0.724及び−0.277e/Å
3、精密化フラックパラメータ=−0.12(13)、CH水素原子の全ては、ライディングモデルを使用して精密化した。OH水素を差異マップから見出し、完全に精密化した。
【0109】
結果は、この非対称ユニットが、50%の確率レベルになった熱楕円体で示される通り、1分子及び1水分子を含有することを示した。3つの立体中心のそれぞれにおける立体化学(上記の化合物の名称及び構造において示されている通り)が確認された。フラックパラメータは0.28(24)まで精密化され、このことは、正確な鏡像異性体設定を示唆している。
【0110】
実施例2.4−[3−(シアノメチル)−3−(3’,5’−ジメチル−1H,1’H−4,4’−ビピラゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]−2,5−ジフルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド
【化3】
ステップ1:2,4,5−トリフルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド
アセトニトリル(50mL)中の2,4,5−トリフルオロ安息香酸(5.00g、28.4mmol)の溶液に、N,N−ジメチルホルムアミド(40μL)を加え、その後塩化オキサリル(3.60mL、42.6mmol)を添加した。90分後、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をアセトニトリル(50mL)と同時蒸発させた。次いで、残渣を塩化メチレン(50mL)に溶解した。この溶液を、トルエン(100mL)中の(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−アミン塩酸塩(5.52g、36.9mmol)(Synquest製、98%ee)と0.5M水酸化ナトリウム水溶液(142mL、71.0mmol)の冷却した(氷浴)混合物へと滴加した。添加後、氷浴を取り除き、反応物を自然に室温まで温めた。反応物を一晩撹拌した。有機層を分離した。水層を塩化メチレン(50mL)で抽出した。合一した有機層を20%飽和食塩水(75mL)及び水(2×75mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望の生成物(6.49g、84%)を得た。これをさらなる精製を行わずに直接次のステップで使用した。
1H NMR (300 MHz, DMSO−d
6) δ 9.01 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.92 − 7.50 (m, 2H), 4.76 (m, 1H), 1.31 (d, J = 7.0 Hz, 3H) ppm。LCMS C
10H
8F
6NO (M+1)
+に対する計測値: m/z = 272.0;実測値: 272.0。
【0111】
ステップ2:2,5−ジフルオロ−4−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド
アセトニトリル(25mL)中の2,4,5−トリフルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド(6.39g、23.6mmol)、アゼチジン−3−オール塩酸塩(3.19g、28.3mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(8.81mL、58.9mmol)の混合物を、80℃で2時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(75mL)で希釈し、1N HCl(50mL)、1N NaHCO
3(60mL)、20%飽和食塩水(50mL)及び水(75mL)で洗浄した。水層をEtOAc(100mL)で抽出した。有機層を合一し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望の生成物(7.59g、91.8%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO−d
6) δ 8.38 (dd, J = 8.9, 1.9 Hz, 1H), 7.27 (dd, J = 12.8, 6.5 Hz, 1H), 6.38 (dd, J = 12.3, 7.5 Hz, 1H), 5.71 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 4.74 (dp, J = 15.3, 7.6 Hz, 1H), 4.62 − 4.46 (m, 1H), 4.30 − 4.15 (m, 2H), 3.71 (m, 2H), 1.29 (d, J = 7.1 Hz, 3H) ppm。LCMS C
13H
14F
5N
2O
2 (M+1)
+に対する計測値: m/z = 325.1;実測値: 325.1。
【0112】
ステップ3:2,5−ジフルオロ−4−(3−オキソアゼチジン−1−イル)−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド
塩化メチレン(93mL)中の2,5−ジフルオロ−4−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド(7.57g、23.3mmol)の溶液に、ヨードベンゼンジアセテート(9.40g、29.2mmol)及び2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンイルオキシ遊離ラジカル(1.82g、11.7mmol)(TEMPO)を室温で加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、0.5N NaHCO
3(2×80mL)、20%飽和食塩水(100mL)及び水(100mL)で洗浄した。水層を酢酸エチル(75mL)で抽出した。有機抽出物を合一し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を0%〜5%酢酸エチルを含む塩化メチレンで溶出するシリカゲルカラムでのフラッシュクロマトグラフィーで精製して、粗生成物を得た。これをMTBE(50mL)及びヘプタン(100mL)から再結晶化させて、所望の生成物(5.44g,72%)を無色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO−d
6) δ 8.52 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.36 (dd, J = 12.5, 6.5 Hz, 1H), 6.63 (dd, J = 12.1, 7.6 Hz, 1H), 4.90 (d, J = 2.1 Hz, 4H), 4.86 − 4.68 (m, 1H), 1.31 (d, J = 7.1 Hz, 3H) ppm。LCMS C
13H
12F
5N
2O
2 (M+1)
+に対する計測値: m/z = 323.1;実測値: 323.0。
【0113】
ステップ4:4−[3−(シアノメチレン)アゼチジン−1−イル]−2,5−ジフルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド
ジエチルシアノメチルホスホネート(1.95mL、11.8mmol)を、テトラヒドロフラン(12mL)で希釈されたTHF(11.8mL、11.8mmol)中の1.0Mカリウムtert−ブトキシドの冷却した(氷浴)溶液に滴加した。氷浴を取り除き、反応物を室温まで温め、90分間撹拌した。反応溶液を氷浴で再度冷却した。次いで、上記の調製溶液を、テトラヒドロフラン(50mL)中の2,5−ジフルオロ−4−(3−オキソアゼチジン−1−イル)−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド(4.00g、12.4mmol)の冷却(氷浴)溶液に12分間にわたって加えた。反応混合物を30分間撹拌した。氷浴を取り除き、反応物を室温で一晩撹拌し、次いで20%飽和食塩水(75mL)及び酢酸エチル(75mL)の添加によりクエンチした。有機層を分離した。水層を酢酸エチル(50mL)で抽出した。合一した有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチルを含むヘキサン(0%〜30%)を用いたシリカゲルカラムでフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(2.6g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 8.59 − 8.37 (m, 1H), 7.33 (dd, J = 12.5, 6.4 Hz, 1H), 6.59 (dd, J = 12.0, 7.4 Hz, 1H), 5.88 (m, 1H), 4.94 − 4.75 (m, 4H), 4.76 (m, 1H), 1.31 (d, J = 7.1 Hz, 3H) ppm。LCMS C
15H
13F
5N
3O (M+1)
+に対する計測値: m/z = 346.1;実測値: 346.1。
【0114】
ステップ5:4−{3−(シアノメチル)−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−1−イル}−2,5−ジフルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド
アセトニトリル(20.2mL)中の4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(1.00g、5.15mmol)、4−[3−(シアノメチレン)アゼチジン−1−イル]−2,5−ジフルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド(1.78g、5.15mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(0.31mL、2.1mmol)の混合物を、50℃で一晩加熱した。冷却後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をさらなる精製を行わずに次のステップに使用した。LCMS C
24H
28BF
5N
5O
3 (M+1)
+に対する計測値: m/z = 540.2;実測値: 540.1。
【0115】
ステップ6:4−[3−(シアノメチル)−3−(3’,5’−ジメチル−1H,1’H−4,4’−ビピラゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]−2,5−ジフルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド
1,4−ジオキサン(10mL)/水(5mL)中の4−{3−(シアノメチル)−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−1−イル}−2,5−ジフルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド(329mg、0.610mmol)、4−ブロモ−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール(206mg、1.18mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(110mg、0.098mmol)及び炭酸ナトリウム(320mg、3.0mmol)の混合物を、窒素でパージし、110℃で1時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水及び飽和食塩水で洗浄し、濃縮した。残渣をまずシリカゲル(0〜100%EtOAc/ヘキサン、その後10%メタノール/ジクロロメタンで溶出)で、次いで、分取LCMS(XBridge C18カラム、0.1%水酸化アンモニウムを含有するアセトニトリル/水のグラジエントで溶出、流速は60mL/分)で精製して、所望の生成物(30mg、9.7%)を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO−d
6) δ 12.17 (1H, s), 8.45 (1H, d, J = 8.0 Hz), 8.10 (1H, s), 7.70 (1H, s), 7.34 (1H, m), 6.61 (1H, s), 4.77 (1H, m), 4.62 (2H, d, J = 9.0 Hz), 4.39 (1H, d, J = 9.0 Hz), 3.64 (2H, s), 2.22 (6H, s), 1.31 (6H, d, J = 7.0 Hz) ppm。LCMS C
23H
23F
5N
7O (M+H)
+に対する計測値: m/z = 508.2;実測値: 508.0。
【0116】
実施例A:インビトロでのJAKキナーゼアッセイ
本明細書の化合物を、Parkら、Analytical Biochemistry1999,269,94−104に記載された以下のインビトロアッセイに従ってJAK標的の阻害活性について試験した。ヒトJAK1(a.a.837−1142)、JAK2(a.a.828−1132)及びJAK3(a.a.781−1124)の触媒ドメインを、昆虫細胞中でバキュロウイルスを用いて発現させ、精製した。JAK1、JAK2またはJAK3の触媒活性を、ビオチン化ペプチドのリン酸化を測定することにより評価した。そのリン酸化ペプチドは、均一系時間分解蛍光法(HTRF)によって検出した。化合物のIC
50は、100mMのNaCl、5mMのDTT、及び0.1mg/mL(0.01%)のBSAを有する50mMのTris(pH7.8)バッファー中に酵素、ATP及び500nMのペプチドを含有する40μLの反応において各キナーゼについて測定した。1mMのIC
50測定については、反応におけるATP濃度は1mMであった。反応を室温で1時間実施し、次いで、アッセイバッファー(Perkin Elmer、マサチューセッツ州ボストン)中の20μLの45mM EDTA、300nM SA−APC、6nM Eu−Py20で停止させた。ユーロピウム標識抗体に対する結合は、40分間起こり、HTRFシグナルを、PHERA starプレートリーダー(BMG、ノースカロライナ州ケーリー)上で測定した。JAK1及び/またはJAK2阻害剤についてのデータは、1mM ATPで実施例Aアッセイにおいて化合物を試験することにより獲得した。
【0117】
実施例B:PI3Kδシンチレーション近接アッセイ
材料
[γ−
33P]ATP(10mCi/mL)をPerkin−Elmer(マサチューセッツ州ウォルサム)から購入した。脂質キナーゼ基質、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール4,5−二リン酸(PtdIns(4,5)P2)D(+)−sn−1,2−ジ−O−オクタノイルグリセリル、3−O−リン結合(PIP2)、CAS 204858−53−7を、Echelon Biosciences(ユタ州ソルトレイクシティ)から購入した。PI3Kδ(p110δ/p85α)をMillipore(マサチューセッツ州べドフォード)から購入した。ATP、MgCl
2、DTT、EDTA、MOPS及びCHAPSを、Sigma−Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から購入した。Wheat Germ Agglutinin(WGA)YSi SPAシンチレーションビーズをGE healthcare life sciences(ニュージャージー州ピスカタウェイ)から購入した。
【0118】
キナーゼ反応を、25μLの最終容量で、Thermo Fisher Scientific製のポリスチレンの384ウェルマトリックスの白色のプレートにおいて実行した。阻害剤をまずDMSO中に連続的に希釈し、プレートウェルに添加した後、他の反応成分を添加した。アッセイにおけるDMSOの最終濃度は、0.5%であった。PI3Kアッセイを20mM MOPS、pH6.7、10mM MgCl
2、5mM DTT及びCHAPS 0.03%で、室温で行った。ATPの添加により反応を開始し、最終反応混合物は、20μM PIP2、20μM ATP、0.2μCi[γ−
33P]ATP、4nM PI3Kδから成った。反応物を210分間インキュベートし、反応停止緩衝液:150mMのリン酸カリウム pH8.0、20%グリセロール、25mM EDTA、400μM ATPに懸濁した40μL SPAビーズの添加によって終了させた。SPAビーズの最終濃度は、1.0mg/mLであった。プレート密閉後、プレートを室温で一晩振とうし、1800rpmで10分間遠心分離し、生成物の放射能をTopCount(Perkin−Elmer)でのシンチレーション計数によって判定した。GraphPad Prism 3.0ソフトウェアを用いて、阻害剤濃度のログに対する制御活性率(%)の曲線に適合させることによって、IC
50決定を行った。PI3Kδ阻害剤についてのデータは、実施例Bアッセイにおいて化合物を試験することにより獲得した。
【0119】
実施例C:リンパ腫のファイファーモデル
方法:
雌SCIDマウス、(5〜8週齢、Charles River Laboratories、マサチューセッツ州ウィルミントン)に、1×107個の腫瘍細胞(ファイファー、ATCC番号CRL−2632、バージニア州マナサス)及びマトリゲル(BD Biosciences番号354234)を0.2mLの滅菌食塩水中で接種した。接種は、側腹部皮下に行った。腫瘍組織断片(おおよそ3mm×3mm)を培養細胞の接種の3〜6週間後に回収し、細胞接種の代わりに皮下に移植した。組織断片を、鈍先端鉗子(blunt−tip forcep)を使用して固体欠片として移植した。腫瘍を有するマウスの処置は、腫瘍接種の15〜25日後に開始され、これは腫瘍のサイズに依存した。動物を、各群において大体等しい平均腫瘍体積となるように分類した。全群における最小平均腫瘍体積は、処置の初日で150mm3であり、群は7動物から成った。実験治療薬、実施例347、をマウスに経口(PO)投与した。処置頻度は、有効性のために最小14日間にわたる1日2回とした。皮下腫瘍のサイズは、デジタルキャリパーを使用して週に2〜3回測定した。腫瘍体積は、腫瘍を2次元で測定し、式:体積=[長さ×(幅2)]/2(大きい数字が長さ、小さい数字が幅)を利用することにより算出された。複数の腫瘍が形成された場合、最終体積は、同じ式に当てはめられた個々の腫瘍の合計とした:例えば、2腫瘍;体積={[L1×(W1)2]/2}+{[L2×(W2)2]/2}。腫瘍成長への効果は、腫瘍成長阻害率(%)(TGI率(%))として報告された。TGI率(%)は、式:(1−(Tx体積/対照体積))×100(式中、対照体積は、所与の日のビヒクルまたは未処置腫瘍体積とし、Tx体積は、同じ日の任意の処置群の腫瘍体積とした)を用いて算出した。処置とビヒクル対照との間の統計学的差異は、一元配置分散分析を用いて評価した。
【0120】
結果:
化合物32c(上の表2)を、NHLのサブタイプである、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のファイファーヒト腫瘍異種移植モデルにおける単剤として評価した。ファイファー癌細胞は、インビトロで実施例347の抗増殖作用に感受性であると示された。それゆえ、腫瘍モデルは、ビヒクルまたは0.3、1、3、もしくは10mg/kgでの化合物32cを、14日間にわたり1日2回の経口投薬を受けた、免疫無防備SCIDマウス及び腫瘍を有するマウスへの腫瘍細胞の皮下接種に基づいて確立された。化合物32c処置は、腫瘍成長を用量の増加とともに、22%、24%、36%、及び58%(腫瘍成長阻害率(%))阻害した。
【0121】
実施例D.ウエスタンブロット分析
以下の材料及び方法を、下記のウエスタンブロット分析において使用した。細胞(500万個)を300μl容量の溶解バッファーに溶解した。可溶性画分を遠心分離により回収した。25μlの細胞ライセートを、トリス−グリシンポリアクリルアミドゲルにロードし、電気泳動に供した。タンパク質をニトロセルロース膜へと転写し、以下のタンパク質:ホスホ−Stat3 Y705、ホスホ−Akt S473、pim1、pim2、pim3、c−myc、ホスホ−p70S6K、ホスホ(phosho)−S6、ホスホ−Bad S112及びアクチンについて、Cell Signaling Technologyからの抗体でプローブした。
【0122】
実施例E.細胞系統におけるIL6及びIL10のレベル
高いレベルのIL6及びIL10が、種々のDLBCL細胞系統において見られた(
図1A)。IL6及びIL10は、JAK/STATシグナル伝達を活性化するとも示され、IL10は、DLBCL細胞系統のパネルにわたってIL6よりも強いJAK/STATシグナル伝達のアクチベータ―であった(
図1B)。高いレベルのIL6及びIL10が、DLBCL患者からの血清内に存在し、無事象生存期間の短さ及び国際予後指数スコアの高さと相関した。
【0123】
実施例F.IL10により、ファイファー細胞はPI3Kδ阻害に対して耐性となり、JAK1/2またはJAK1遮断により逆転されることができる。
細胞増殖アッセイ
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞を、10ng/mlのIL10の不在下または存在下で、2000細胞/ウェルで96ウェル培養プレートに播種した。化合物を、まずDMSOで希釈した後にこれらの細胞に加え、その後培養培地で希釈(4倍濃度)した。細胞を、5%CO
2で、3日間インキュベーターで培養した。細胞増殖を、細胞力価増殖アッセイ(cell titer−glow assay)(Promega、ウィスコンシン州マディソン)を使用して評価した。細胞増殖アッセイは、まず、ファイファー細胞(胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB−DLBCL)細胞)及びHBL−1細胞(活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL))において実行された。
【0124】
図2Aは、ビヒクル(DMSO)、DMSO+IL10、及びDMSO+IL10+ルクソリチニブ(JAK1/JAK2阻害剤)と化合物28(PI3Kδ阻害剤)の濃度の関数としてファイファー細胞での細胞増殖アッセイにおける阻害率(%)を示す。
図2Bは、ビヒクル(DMSO)、DMSO+IL10、及びDMSO+IL10+化合物7(選択的JAK1阻害剤)と化合物28(PI3Kδ阻害剤)の濃度の関数としてファイファー細胞での細胞増殖アッセイにおける阻害率(%)を示す。結果は、IL10によりファイファー細胞がPI3Kδ阻害に耐性となるが、この耐性はJAK1及び/またはJAK2シグナル伝達を遮断することによって逆転され得ることを示す。従って、PI3Kδ阻害剤及びJAK1及び/JAK2阻害剤が併用された時にファイファー細胞増殖への相乗効果。相乗作用は、IL10無しでも観察された。アポトーシスの誘発は、この組み合わせでも観察された。
【0125】
同様の結果が、ルクソリチニブを用いたHBL−1細胞において観察された。従って、
図3は、ビヒクル(DMSO)、DMSO+IL10、及びDMSO+IL10+ルクソリチニブ(JAK1/JAK2阻害剤)と化合物28(PI3Kδ阻害剤)の濃度の関数としてHBL−1細胞での細胞増殖アッセイにおける阻害率(%)を示す。
【0126】
実施例G.Pim2のIL10誘発性発現は、JAK1/2阻害剤により遮断される
ファイファー細胞を、IL10を伴ってまたは伴わずに、ビヒクル(DMSO)、ルクソリチニブ(18424)、化合物28、または化合物28及びルクソリチニブ(18424)で24時間処置し、次いでウエスタンブロット分析に供して、以下のタンパク質:ホスホ−Stat3 Y705、ホスホ−Akt S473、Pim2、c−Myc、ホスホ−p70S6K、ホスホ(phosho)−S6、ホスホ−Bad S112及びアクチンについてプローブした。
図4は、Pim2のIL10誘発性発現が、ルクソリチニブ(JAK1/JAK2阻害剤(inhibitior))により遮断されることを示す。IL6及びIL10は、JAK1活性に依存する、Pim2の発現を通して細胞生存を促進する。
図4は、組み合わされた化合物28及びルクソリチニブ処置の存在下でc−Myc及びP−S6の相乗的減少も示す。c−Mycタンパク質の減少は、併用処置の相乗効果に関与し得る。
【0127】
実施例H.Pim2のIL10誘発性発現は、選択的JAK1阻害剤により遮断される
ファイファー細胞を、IL10を伴ってまたは伴わずに、ビヒクル(DMSO)、化合物7、化合物28、または化合物28及び化合物7で24時間処置し、次いでウエスタンブロット分析に供して、以下のタンパク質:ホスホ−Stat3 Y705、ホスホ−Akt S473、Pim2、c−Myc、ホスホ−p70S6K、ホスホ(phosho)−S6、ホスホ−Bad S112及びアクチンについてプローブした。
図5は、Pim2のIL10−誘発性発現が、選択的JAK1阻害剤(化合物7)により遮断されることを示す。
【0128】
実施例I.選択的JAK1阻害剤によるPI3Kδ阻害剤の作用強度の増大
細胞成長及びBCR経路阻害に対する感受性に及ぼすIL−10の効果を試験するため、ファイファー細胞系統をDLBCLのモデル系として使用した。ファイファー細胞は、DLBCLの胚中心B細胞(GCB)サブタイプのものであり、PI3Kδを発現し、PI3Kδ阻害に感受性であり、上述のように複数のサイトカインに反応してJAK/STAT経路を活性化させると示されている。ファイファー細胞を、IL−10及び1μMの化合物16の存在下または不在下で、様々な濃度の化合物28で3日間処置し、細胞成長を、ATP読み取りを使用して測定した(下記の表を参照されたい)。
図6に示すように、IL−10の存在は、化合物28の作用強度を約10倍変えた(IC
50=0.67μM、−IL−10;IC
50=6.36μM、+IL−10)。JAK1阻害剤である、化合物16の添加は、この効果を逆転させ、ゆえに併用は約50倍より強力であった。この系では、JAK1阻害剤単独は効果を有さなかった(IC
50>1μM)。さらに、
図7に示すように(10%FBS+IL10中で3日間処置されたファイファー細胞のアネキシン−V染色を示す;化合物16は、1μMで試験された)、JAK1シグナル伝達と一緒となったPI3Kδの阻害は、アポトーシスの増加をもたらしが、どちらの薬剤も単独では有意な効果を有さなかった。
【表3】
【0129】
実施例J.STAT3リン酸化及びpAKT阻害に及ぼすJAK1及びPI3Kδ併用処置の効果
下流シグナル伝達経路に及ぼす効果を評価するために、ファイファー細胞を化合物28+/−化合物16で4時間処置し、次いで、IL−10で15分間刺激した。抽出物をpAKT及びpSTAT3についてウエスタンブロット法により分析した。
図8に示すように、AKT経路は、ファイファー細胞において恒常的に活性化された。PI3Kδシグナル伝達の遮断は、pAKTの完全な阻害をもたらし、一方でJAK1阻害剤での処置は効果を有さなかった。対照的に、化合物16は、STAT3リン酸化の阻害をもたらし、一方でPI3Kδ阻害剤はもたらさなかった。両化合物の併用は、両方の経路を遮断するために必要とされた。
【0130】
上記に参照した全ての特許、特許公報、及び雑誌論文は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
また、本発明は、下記のものを包含する。
[発明1]
それを必要とする患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫、毛髪様細胞白血病、マントル細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、前リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄線維症、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、脾辺縁帯リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞白血病、髄外形質細胞腫、くすぶり型骨髄腫(無症候性骨髄腫として公知)、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL)、及び胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB−DLBCL)から選択される疾患を処置する方法であって、前記患者に:(a)JAK1及び/またはJAK2の阻害剤;及び(b)PI3Kδの阻害剤を投与することを含み;
(a)JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が:
3−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル;
3−[1−(6−クロロピリジン−2−イル)ピロリジン−3−イル]−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル;
3−(1−[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルピロリジン−3−イル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル;
4−[(4−{3−シアノ−2−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロピル}ピペラジン−1−イル)カルボニル]−3−フルオロベンゾニトリル;
4−[(4−{3−シアノ−2−[3−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−1−イル]プロピル}ピペラジン−1−イル)カルボニル]−3−フルオロベンゾニトリル;
{1−{1−[3−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン−4−イル}−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−3−イル}アセトニトリル;
4−{3−(シアノメチル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−1−イル}−N−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−1−カルボキサミド;
[3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]−1−(1−{[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]カルボニル}ピペリジン−4−イル)アゼチジン−3−イル]アセトニトリル;
[トランス−1−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−(4−{[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]カルボニル}ピペラジン−1−イル)シクロブチル]アセトニトリル;
{トランス−3−(4−{[4−[(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)メチル]−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−1−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス−3−(4−{[4−{[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]メチル}−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−1−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス−3−(4−{[4−{[(2R)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]メチル}−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−1−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]シクロブチル}アセトニトリル;
4−(4−{3−[(ジメチルアミノ)メチル]−5−フルオロフェノキシ}ピペリジン−1−イル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ブタンニトリル;
5−{3−(シアノメチル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−1−イル}−N−イソプロピルピラジン−2−カルボキサミド;
4−{3−(シアノメチル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−1−イル}−2,5−ジフルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド;
5−{3−(シアノメチル)−3−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−1−イル}−N−イソプロピルピラジン−2−カルボキサミド;
{1−(シス−4−{[6−(2−ヒドロキシエチル)−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル]オキシ}シクロヘキシル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−3−イル}アセトニトリル;
{1−(シス−4−{[4−[(エチルアミノ)メチル]−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}シクロヘキシル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−3−イル}アセトニトリル;
{1−(シス−4−{[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}シクロヘキシル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−3−イル}アセトニトリル;
{1−(シス−4−{[4−{[(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]メチル}−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}シクロヘキシル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−3−イル}アセトニトリル;
{1−(シス−4−{[4−{[(3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]メチル}−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}シクロヘキシル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−3−イル}アセトニトリル;
{トランス−3−(4−{[4−({[(1S)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アミノ}メチル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−1−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス−3−(4−{[4−({[(2R)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−1−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス−3−(4−{[4−({[(2S)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−1−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{トランス−3−(4−{[4−(2−ヒドロキシエチル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−1−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]シクロブチル}アセトニトリル;
((2R,5S)−5−{2−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1H−イミダゾ[4,5−d]チエノ[3,2−b]ピリジン−1−イル}テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)アセトニトリル;
4−[3−(シアノメチル)−3−(3’,5’−ジメチル−1H,1’H−4,4’−ビピラゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]−2,5−ジフルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド;
及び前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩から選択され;
(b)PI3Kδの前記阻害剤が:
7−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−6−(3−フルオロフェニル)−3−メチル−5H−チアゾロ[3,2−a]ピリミジン−5−オン;
(S)−7−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−6−(3−フルオロフェニル)−3−メチル−5H−チアゾロ[3,2−a]ピリミジン−5−オン;
4−[1−(4−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)エチル]−6−クロロ−2−{1−[(2S)−2−ヒドロキシプロピル]アゼチジン−3−イル}−3−メトキシベンゾニトリル;
4−[1−(4−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)エチル]−6−クロロ−2−[1−(2−ヒドロキシエチル)アゼチジン−3−イル]−3−メトキシベンゾニトリル;
5−{3−[1−(4−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)エチル]−6−シアノ−2−エトキシ−5−メチルフェニル}−N,N−ジメチルピリジン−2−カルボキサミド;
4−{3−[1−(4−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)エチル]−5−クロロ−2−エトキシ−6−フルオロフェニル}ピロリジン−2−オン;及び
N−{1−[5−クロロ−8−(3−フルオロフェニル)シンノリン−7−イル]エチル}−9H−プリン−6−アミン;
4−クロロ−3’−フルオロ−3−メチル−6−[1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル]ビフェニル−2カルボニトリル;
及び前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩から選択される、前記方法。
[発明2]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が:
(R)−3−[1−(6−クロロピリジン−2−イル)ピロリジン−3−イル]−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル;
(R)−3−(1−[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルピロリジン−3−イル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル;
(R)−4−[(4−{3−シアノ−2−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロピル}ピペラジン−1−イル)カルボニル]−3−フルオロベンゾニトリル;
(R)−4−[(4−{3−シアノ−2−[3−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−1−イル]プロピル}ピペラジン−1−イル)カルボニル]−3−フルオロベンゾニトリル;
(R)−4−(4−{3−[(ジメチルアミノ)メチル]−5−フルオロフェノキシ}ピペリジン−1−イル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ブタンニトリル;
(S)−3−[1−(6−クロロピリジン−2−イル)ピロリジン−3−イル]−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル;
(S)−3−(1−[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルピロリジン−3−イル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル;
(S)−4−[(4−{3−シアノ−2−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロピル}ピペラジン−1−イル)カルボニル]−3−フルオロベンゾニトリル;
(S)−4−[(4−{3−シアノ−2−[3−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−1−イル]プロピル}ピペラジン−1−イル)カルボニル]−3−フルオロベンゾニトリル;
(S)−4−(4−{3−[(ジメチルアミノ)メチル]−5−フルオロフェノキシ}ピペリジン−1−イル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ブタンニトリル;
及び前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩から選択される、発明1に記載の方法。
[発明3]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が、(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明4]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が、(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリルリン酸塩である、発明1に記載の方法。
[発明5]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が、{1−{1−[3−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン−4−イル}−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−3−イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明6]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が、{1−{1−[3−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン−4−イル}−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−3−イル}アセトニトリルアジピン酸塩である、発明1に記載の方法。
[発明7]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤が、4−{3−(シアノメチル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−1−イル}−2,5−ジフルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明8]
PI3Kδの前記阻害剤が:
(S)−4−(3−((S)−1−(4−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)エチル)−5−クロロ−2−エトキシ−6−フルオロフェニル)ピロリジン−2−オン;
(R)−4−(3−((S)−1−(4−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)エチル)−5−クロロ−2−エトキシ−6−フルオロフェニル)ピロリジン−2−オン;
(S)−4−(3−((R)−1−(4−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)エチル)−5−クロロ−2−エトキシ−6−フルオロフェニル)ピロリジン−2−オン;
(R)−4−(3−((R)−1−(4−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)エチル)−5−クロロ−2−エトキシ−6−フルオロフェニル)ピロリジン−2−オン;
(N−{(1S)−1−[5−クロロ−8−(3−フルオロフェニル)シンノリン−7−イル]エチル}−9H−プリン−6−アミン;
及び前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩から選択される、発明1に記載の方法。
[発明9]
PI3Kδの前記阻害剤が、(S)−7−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−6−(3−フルオロフェニル)−3−メチル−5H−チアゾロ[3,2−a]ピリミジン−5−オン、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明10]
PI3Kδの前記阻害剤が、4−[1−(4−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)エチル]−6−クロロ−2−[1−(2−ヒドロキシエチル)アゼチジン−3−イル]−3−メトキシベンゾニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明11]
PI3Kδの前記阻害剤が、5−{3−[1−(4−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)エチル]−6−シアノ−2−エトキシ−5−メチルフェニル}−N,N−ジメチルピリジン−2−カルボキサミド、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明12]
PI3Kδの前記阻害剤が、(N−{(1S)−1−[5−クロロ−8−(3−フルオロフェニル)シンノリン−7−イル]エチル}−9H−プリン−6−アミン、またはその医薬的に許容され得る塩である、発明1に記載の方法。
[発明13]
前記疾患が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、発明1に記載の方法。
[発明14]
前記疾患が、活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC−DLBCL)または胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB−DLBCL)である、発明1に記載の方法。
[発明15]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤及びPI3Kδの前記阻害剤が同時投与される、発明1に記載の方法。
[発明16]
JAK1及び/またはJAK2の前記阻害剤及びPI3Kδの前記阻害剤が逐次投与される、発明1に記載の方法。
[発明17]
それを必要とする患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を処置する方法であって、前記患者に(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩;及び(7−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−6−(3−フルオロフェニル)−3−メチル−5H−チアゾロ[3,2−a]ピリミジン−5−オン、またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む、前記方法。
[発明18]
それを必要とする患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を処置する方法であって、前記患者に{1−{1−[3−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン−4−イル}−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−3−イル}アセトニトリル、またはその医薬的に許容され得る塩;及び7−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−6−(3−フルオロフェニル)−3−メチル−5H−チアゾロ[3,2−a]ピリミジン−5−オン、またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む、前記方法。
[発明19]
それを必要とする患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を処置する方法であって、前記患者に4−{3−(シアノメチル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]アゼチジン−1−イル}−2,5−ジフルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ベンズアミド、またはその医薬的に許容され得る塩;及び7−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−6−(3−フルオロフェニル)−3−メチル−5H−チアゾロ[3,2−a]ピリミジン−5−オン、またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む、前記方法。