(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862496
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】偏光構造およびその接合方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20210412BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20210412BHJP
B32B 37/16 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
G02B5/30
B32B7/023
B32B37/16
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-108560(P2019-108560)
(22)【出願日】2019年6月11日
(65)【公開番号】特開2020-16873(P2020-16873A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2019年11月12日
(31)【優先権主張番号】107125775
(32)【優先日】2018年7月25日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512197788
【氏名又は名称】住華科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUMIKA TECHNOLOGY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】能木直安
(72)【発明者】
【氏名】林明賢
(72)【発明者】
【氏名】曾彦維
(72)【発明者】
【氏名】林永泰
(72)【発明者】
【氏名】楊以權
【審査官】
植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−143224(JP,A)
【文献】
特開平9−325335(JP,A)
【文献】
特開平8−201623(JP,A)
【文献】
特開平8−201624(JP,A)
【文献】
特開平8−201625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一偏光板、第二偏光板、第一接合部材および第二保護フィルムを含む偏光構造であって、
前記第一偏光板および前記第二偏光板のそれぞれが、互いに対向する第一表面と第二表面とを有する偏光フィルムと、前記偏光フィルムの前記第一表面に設けられている第一保護フィルムと、を含み、
前記第一接合部材により、前記第一偏光板の前記第一保護フィルムと前記第二偏光板の前記第一保護フィルムとが接合されているか、あるいは、前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面と前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面とが接合されており、
前記第二保護フィルムは、前記第一偏光板と前記第二偏光板との接合箇所にまたがるように前記第一偏光板の前記偏光フィルムの前記第二表面、および、前記第二偏光板の前記偏光フィルムの前記第二表面に形成されており、
前記第一保護フィルムは、表面保護フィルムおよび離型フィルムのうちの一方であり、
前記第二保護フィルムは、表面保護フィルムおよび離型フィルムのうちの、前記第一保護フィルムとは異なるフィルムである、偏光構造。
【請求項2】
前記第二保護フィルムは、前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面全体、および、前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面全体に形成されている、請求項1に記載の偏光構造。
【請求項3】
前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面は、互いに対向する二つの第一長辺を有し、
前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面は、互いに対向する二つの第二長辺を有し、
前記第二保護フィルムは、前記二つの第一長辺および前記二つの第二長辺まで延伸している、請求項1に記載の偏光構造。
【請求項4】
前記第一接合部材により、前記第一偏光板の前記第一保護フィルムと前記第二偏光板の前記第一保護フィルムとが接合されており、
前記偏光構造は、前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面と前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面とを接合する第二接合部材をさらに含み、
前記第二保護フィルムは、前記第二接合部材全体を覆っている、請求項1に記載の偏光構造。
【請求項5】
前記第一接合部材により、前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面と前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面とが接合されており、
前記第二保護フィルムは、前記第一接合部材全体を覆っている、請求項1に記載の偏光構造。
【請求項6】
偏光構造の接合方法であって、
互いに対向する第一表面と第二表面とを有する偏光フィルムと、当該偏光フィルムの前記第一表面に設けられている第一保護フィルムとを含む、第一偏光板および第二偏光板を提供するステップと、
第一接合部材により、前記第一偏光板における前記第一保護フィルムと前記第二偏光板における前記第一保護フィルムとを接合するか、あるいは、前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面と前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面とを接合するステップと、
第二保護フィルムを、前記第一偏光板と前記第二偏光板との接合箇所にまたがるように前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面、および、前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面に形成するステップと、
を含み、
前記第一保護フィルムは、表面保護フィルムおよび離型フィルムのうちの一方であり、
前記第二保護フィルムは、表面保護フィルムおよび離型フィルムのうちの、前記第一保護フィルムとは異なるフィルムである、接合方法。
【請求項7】
前記第二保護フィルムを形成するステップにおいて、前記第二保護フィルムを、前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面全体、および、前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面全体に形成する、請求項6に記載の接合方法。
【請求項8】
前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面は、互いに対向する二つの第一長辺を有し、
前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面は、互いに対向する二つの第二長辺を有し、
前記第二保護フィルムを形成するステップにおいて、前記第二保護フィルムは、前記二つの第一長辺および前記二つの第二長辺に延伸している、請求項6に記載の接合方法。
【請求項9】
前記第一接合部材による接合ステップにおいて、前記第一接合部材によって前記第一偏光板の前記第一保護フィルムと前記第二偏光板の前記第一保護フィルムとを接合し、
前記偏光構造は、前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面と前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面とを接合する第二接合部材をさらに含み、
前記第二保護フィルムを形成するステップにおいて、前記第二保護フィルムは、前記第二接合部材全体を覆っている、請求項6に記載の接合方法。
【請求項10】
前記第一接合部材による接合ステップにおいて、前記第一接合部材によって前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面と前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面とを接合し、
前記第二保護フィルムを形成するステップにおいて、前記第二保護フィルムは、前記第一接合部材全体を覆っている、請求項6に記載の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、偏光構造およびその接合方法に関する。特に、接合してなる偏光構造およびその接合方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
従来の偏光板の裁断工程は、連続的に延伸している一つの偏光板を複数の偏光板ユニットユニットに裁断するが、一つの偏光板の裁断が完了した後、新たな偏光板に取り替えなければ、引き続き裁断をすることができない。しかしながら、新たな偏光板に取り替えるためには作業時間がかかり、裁断される偏光板ユニットが多いほど、取り替えるための作業時間が長くなる。
【0003】
台湾特許公告第I461760号には、保護フィルムを有する偏光フィルム原反を提供するステップ(1)、偏光フィルム原反における裁断領域およびその対応する検出領域をアライメントするステップ(2)、検出領域の保護フィルムを取り除くステップ(3)、検出領域の吸収軸の角度を測定し、複数の吸収軸の角度情報を取得するステップ(4)、吸収軸の角度情報を情報処理装置に送信するステップ(5)、情報処理装置によって吸収軸の角度情報を分析して裁断情報に変換し、裁断情報を裁断制御装置に送信するステップ(6)、裁断情報に基づき、裁断装置における各カッターダイスの角度を調整するステップ(7)、および、裁断領域に沿って偏光フィルム原反を裁断することで、複数の偏光板を形成するステップ(8)を含む、偏光フィルムの裁断方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、台湾特許公告第I461760号には、裁断するための作業時間を短縮させることが明確に示唆されていない。
【0005】
〔発明の内容〕
前記従来の問題を解決するために、本発明の実施例は、偏光構造およびその接合方法を提供する。
【0006】
本発明の一実施例は、偏光構造を提供する。偏光構造は、第一偏光板、第二偏光板、第一接合部材および第二保護フィルムを含む。前記第一偏光板および前記第二偏光板のそれぞれは、偏光フィルムおよび第一保護フィルムを含む。前記偏光フィルムは、互いに対向する第一表面と第二表面とを有する。前記第一保護フィルムは、前記偏光フィルムの前記第一表面に設けられている。前記第一接合部材は、前記第一偏光板の前記第一保護フィルムと前記第二偏光板の前記第一保護フィルムとを接合するか、あるいは、前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面と前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面とを接合する。前記第二保護フィルムは、前記第一偏光板と前記第二偏光板との接合箇所にまたがるように前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面、および、前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面に形成されている。
【0007】
本発明の一実施例は、偏光構造の接合方法を提供する。接合方法は以下のステップ、すなわち、
互いに対向する第一表面と第二表面とを有する偏光フィルムと、当該偏光フィルムの前記第一表面に設けられている第一保護フィルムとを含む、第一偏光板および第二偏光板を提供するステップと、
第一接合部材によって、前記第一偏光板における前記第一保護フィルムと前記第二偏光板における前記第一保護フィルムとを接合するか、あるいは、前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面と前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面とを接合するステップと、
前記第二保護フィルムを、前記第一偏光板と前記第二偏光板との接合箇所にまたがるように前記第一偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面、および、前記第二偏光板における前記偏光フィルムの前記第二表面に形成するステップと、を含む。
【0008】
本発明の前記態様およびその他の態様がよりよく理解されるように、以下、実施例を挙げ、図面を参照しながら詳しく説明する。
【0009】
〔図面の簡単な説明〕
図1Aは、本発明の一実施例にかかる偏光構造の底面図である。
【0010】
図1Bは、
図1Aの偏光構造の1B−1B’線矢視断面図である。
【0011】
図1Cは、
図1Aの偏光構造の折り曲げ状態を示す模式図である。
【0012】
図2は、本発明の別の実施例にかかる偏光構造の断面図である。
【0013】
図3は、本発明の別の実施例にかかる偏光構造の断面図である。
【0014】
図4A〜4Cは、
図1の偏光構造の接合手順を示す図である。
【0015】
〔実施形態〕
図1A〜1Cを参照する。
図1Aは、本発明の一実施例にかかる偏光構造100の底面図であり、
図1Bは、
図1Aの偏光構造100の1B−1B’線矢視断面図であり、
図1Cは、
図1Aの偏光構造100の折り曲げ状態を示す模式図である。
【0016】
図1Bに示されるように、偏光構造100は、第一偏光板110、第二偏光板120、第一接合部材130、第二保護フィルム140および粘着部材150を含む。第一偏光板110は、偏光フィルム111、第一保護フィルム112および粘着層113を含む。偏光フィルム111は、互いに対向する第一表面111uと第二表面111bとを有する。第一保護フィルム112は、偏光フィルム111の第一表面111uに設けられている。第二偏光板120は、偏光フィルム121、第一保護フィルム122および粘着層123を含む。偏光フィルム121は、互いに対向する第一表面121uと第二表面121bとを有する。第一保護フィルム122は、偏光フィルム121の第一表面121uに設けられている。第一接合部材130は、第一偏光板110の第一保護フィルム112と、第二偏光板120の第一保護フィルム122とを接合する。
【0017】
図1Aおよび1Bに示されるように、第二保護フィルム140は、第一偏光板110と第二偏光板120との接合箇所にまたがるように、第一偏光板110の偏光フィルム111の第二表面111b、および、第二偏光板120の偏光フィルム121の第二表面121bに形成される。これにより、偏光構造100全体の強度を向上させることができる。したがって、
図1Cに示されるように、偏光構造100を折り曲げるとき、第一偏光板110と第二偏光板120との接合箇所C1は滑らかな弧形を呈し、尖った折り曲げ外形とはならない(尖った折り曲げ外形では、偏光構造100が破断しやすい)。つまり、偏光構造100は、曲げ力に耐えるのに十分な強度を有し、偏光構造100の破断を避けることができる。
【0018】
また、
図1Aおよび1Bに示されるように、第一偏光板110および第二偏光板120における、互いに対向する二つの側面(図示していない)は、互いに離れていて(例えば、接触していなくて)もよく、または、互いに接触していてもよい。
【0019】
一実施例において、第一保護フィルム112は表面保護フィルムであり、第二保護フィルム140は離型フィルムである。別の実施例において、第一保護フィルム112は離型フィルムであり、第二保護フィルム140は表面保護フィルムである。
【0020】
表面保護フィルムおよび離型フィルムは、加工、運搬等のときに偏光フィルム111および121をダメージまたは汚染等から保護する。偏光フィルム111、121を保護する必要がない場合、例えば、偏光フィルム111、121を光学部材(図示していない)に貼り合わせようとするとき、表面保護フィルムまたは離型フィルムのいずれか一つを剥離した後、粘着部材150または粘着層113、123を介して偏光フィルム111、121を光学部材に貼り合わせればよい。
【0021】
一実施例において、第一偏光板110および第二偏光板120のそれぞれが、連続した原反である。
【0022】
本発明では、実施例における複数の偏光板(例えば第一偏光板110および第二偏光板120)を全部接合して偏光構造100とした後に、後続の裁断工程を行う。つまり、長尺の偏光構造100を複数の偏光板ユニットに裁断する。偏光板ユニットは、後に光学部材に貼り合わせてもよい。偏光構造100に含まれる偏光板の数は二つであってもよく、それ以上の数、例えば、三つ、四つまたはそれ以上であってもよい。一つの偏光板を裁断する場合に比べ、複数の偏光板を接合してなる偏光構造100は、より多くの偏光板ユニットを切り出すことができ、生産効率を向上させることができる。さらに、裁断前に、複数の偏光板を全部接合して既に偏光構造100としているため、裁断工程中に偏光構造を交換する回数および作業時間を短縮させることができる。例えば、裁断機構への偏光構造100の設置、および/または、裁断機構に設置した偏光構造100の校正等の作業時間を短縮させることができる。したがって、一定の作業時間内に、より多くの偏光板ユニットを切り出すことができると共に、無駄な校正時間を無くすことができ、生産効率の向上やコストの節約を実現することができる。また、本発明は、裁断前に(例えば、接合工程において)偏光板の品質を予め検査し、品質が規定を満たさない(例えば欠陥の)偏光板を見つけたとき、その接合を行わなくてもよい。これにより、接合後の偏光構造100における全ての偏光板の品質が保証される。したがって、裁断後の偏光板ユニットの品質検査が不要となり、または、品質検査の項目を減らして、生産効率を向上させることができる。
【0023】
偏光フィルム111は、第一被覆層1111、偏光層1112および第二被覆層1113を含む。第一被覆層1111および第二被覆層1113の材料は、透明性、機械的強度、熱安定性、水分バリア性等が優れる熱可塑性樹脂であってもよい。当該材料としては、例えば、セルロース系樹脂、アクリル酸系樹脂、非結晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、および、これらの組み合わせが挙げられ、具体的にはポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate, PMMA)であってもよい。セルロース系樹脂とは、セルロースにおける一部の水酸基が酢酸によってエステル化された樹脂、または、一部の水酸基が酢酸によってエステル化され、別の一部の水酸基が他の酸によってエステル化された複合エステルである。セルロース系樹脂は、好ましくはセルロースエステル系樹脂である。より好ましくは、当該材料は、アセチルセルロース系樹脂(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等(十分にエステル化されたセルロースは、トリアセテートセルロース(triacetate cellulose, TAC)と称される)、アクリル酸樹脂フィルム、ポリ芳香族炭化水素樹脂フィルム、ポリエーテル樹脂フィルム、シクロポリオレフィン樹脂フィルム(例えば、ポリノルボルネン樹脂フィルム)、炭酸とジオールもしくはビスフェノールとから形成されたポリエステル等のようなポリカーボネート系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate, PET))、ポリプロピレン(polypropylene, PP)、ポリエチレン(polyethylene, PE)、非結晶性ポリオレフィン系樹脂(例えば、ノルボルネン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン等の開環重合体からなり、または、それらとオレフィン類との共重合体からなるシクロオレフィン単独(共)重合体(cyclo olefin (co)polymers, COC/COP))、ポリカーボネート(polycarbonate, PC)、および、これらの任意の組み合わせからなる群である。また、第一保護フィルムの材料は、例えば、(メタ)アクリル酸系、カルバメート系、アクリル酸カルバメート系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂であってもよい。また、前記第一被覆層1111および第二被覆層1113は、少なくとも一つの添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、潤滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核形成剤、静電気防止剤、顔料、または着色剤等であってもよい。
【0024】
偏光層1112は、配向された二色性色素を吸着させたポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol, PVA)フィルムであってもよく、あるいは、吸収性の染料分子が浸透された液晶材料であってもよい。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを鹸化することによって形成されてもよい。いくつかの実施例において、ポリ酢酸ビニルは、酢酸ビニルの単独重合体、または、酢酸ビニルと他の単量体との共重合体等であってもよい。前記他の単量体は、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、不飽和スルホン酸類またはビニルエーテル類等であってもよい。別のいくつかの実施例において、ポリビニルアルコールは、改質されたポリビニルアルコール(例えば、アルデヒド類により改質されてなるポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールまたはポリビニルブチラール等の重合体(cyclo Olefin Polymer, COP))、ポリカーボネート(polycarbonate, PC)、または、これらの任意の組み合わせからなる群であってもよい。
【0025】
偏光フィルム121は、第一被覆層1211、偏光層1212および第二被覆層1213を含む。第一被覆層1211の材料は第一被覆層1111の材料に類似し、第二被覆層1213の材料は第二被覆層1113の材料に類似し、偏光層1112の材料は偏光層1212の材料に類似する。ここでその説明を省略する。
【0026】
第一保護フィルム112、122および第二保護フィルム140の材料は、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分バリア性等に優れた熱可塑性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂は、セルロース樹脂(例えば、トリアセテートセルロース)、アクリル酸樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、定方向延伸性のポリプロピレン、ポリエチレン(polyethylene, PE)、ポリプロピレン、シクロオレフィン重合体、シクロオレフィン共重合体、または、これらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0027】
一実施例において、第一保護フィルム112、122の材料は、例えば、(メタ)アクリル酸系、カルバメート系、アクリル酸カルバメート系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂であってもよい。
【0028】
一実施例において、第二保護フィルム140は、例えば、表面に離型剤が塗布されているポリエチレンテレフタレートフィルムであり、離形剤は、例えば、シリコーン樹脂であってもよいが、これに限定されない。
【0029】
図1Aに示されるように、第一偏光板110の偏光フィルム111(
図1Aには示していない)の第二表面111bは、互いに対向する二つの第一長辺111e1および111e2を有する。また、第二偏光板120の偏光フィルム121(
図1Aには示していない)の第二表面121bは、互いに対向する二つの第二長辺121e1および121e2を有する。第二保護フィルム140は、二つの第一長辺111e1、111e2、および、二つの第二長辺121e1、121e2まで連続的に延伸している。言い換えれば、偏光構造100全体の強度を増加させるように、第二保護フィルム140は、第一偏光板110の偏光フィルム111の第二表面111b全体、および、第二偏光板120の偏光フィルム121の第二表面121b全体を覆っている。
【0030】
図1Bに示されるように、第一偏光板110の粘着層113が偏光フィルム111と第一保護フィルム112との間に形成されることにより、第一保護フィルム112は、粘着層113を介して偏光フィルム111に貼り付けられている。また、第二偏光板120の粘着層123が偏光フィルム121と第一保護フィルム122との間に形成されることにより、第一保護フィルム122は、粘着層123を介して偏光フィルム121に貼り付けられている。また、粘着層113および/または粘着層123は、圧感性接着剤(pressure sensitive adhesive, PSA)であってもよい。その材料は、(メタ)アクリル酸共重合体を含み、例えば、官能基(但し、官能基に限定されない)を含んでいてもよい材料(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート等の材料)である。
【0031】
図1Bに示されるように、第一接合部材130は、接合層131および粘着層132を含む。第一接合部材130によって第一偏光板110と第二偏光板120とを接合する前に、粘着層132を接合層131に予め形成することで第一接合部材130を形成してもよい。第一接合部材130は、粘着層132を介して第一保護フィルム112および122上に接着されることにより、第一偏光板110と第二偏光板120とを接合する。粘着層132の材料は粘着層113の材料と同様か、類似する。ここでその説明を省略する。一実施例において、粘着層132は、シリコーン粘着剤(silicon adhesive)であってもよく、厚さは約0.03μm〜約0.06μmであってもよい。
【0032】
接合層131は、透光層または非透光層であってもよい。非透光層の色は、例えば、白、黒または他の色である。また、非透光層の色は、第一偏光板110と第二偏光板120との接合箇所を示し、接合箇所の位置を速やかに識別可能な色である。一実施例において、接合層131の厚さは粘着層132よりも小さい。一実施例において、接合層131の厚さは約0.01μm〜約0.03μmであってもよい。
【0033】
図1Bに示されているように、粘着部材150は、第二保護フィルム140と偏光フィルム111との間、および、第二保護フィルム140と偏光フィルム121との間に形成されることにより、第二保護フィルム140と、偏光フィルム111および121とを接着する。具体的には、第二保護フィルム140は、粘着部材150を介して、偏光フィルム111の第二表面111b、および、第二偏光板120の偏光フィルム121の第二表面121bに形成されている。さらに、第二保護フィルム140は粘着面140sを有し、粘着部材150は、第二保護フィルム140の粘着面140sの少なくとも一部(例えば粘着面140s全体)を覆っていてもよい。
【0034】
図1Aに示されるように、粘着部材150は、偏光フィルム111の二つの第一長辺111e1、111e2、および、偏光フィルム121の二つの第二長辺121e1、121e2まで連続的に延伸している。言い換えれば、粘着部材150は、第一偏光板110の偏光フィルム111の第二表面111b全体、および、第二偏光板120の偏光フィルム121の第二表面121b全体を覆っている。粘着部材150の材料は粘着層113の材料と同様か、類似する。ここでその説明を省略する。
【0035】
以上をまとめると、
図1Aに示されるように、平面視において、第一偏光板110の境界および第二偏光板120の境界により画定されている領域が、粘着部材150の領域と少なくとも部分的に(例えば、完全に)重なっており、および/または、平面視において、第一偏光板110の境界および第二偏光板120の境界により画定されている領域が、第二保護フィルム140の領域と少なくとも部分的に(例えば、完全に)重なっている。また、平面視において、第二保護フィルム140の領域が、粘着部材150の領域と少なくとも部分的に(例えば、完全に)重なっている。
【0036】
図2は、本発明の別の実施例にかかる偏光構造200の断面図である。
図2を参照する。偏光構造200は、第一偏光板110、第二偏光板120、第一接合部材130、第二保護フィルム140、粘着部材150および第二接合部材260を含む。
【0037】
本発明の実施例にかかる偏光構造200は、偏光構造200が第二接合部材260をさらに含むという相違点を除き、偏光構造100と類似または同様の特徴および技術的効果を有する。第二接合部材260は、第一偏光板110の偏光フィルム111の第二表面111b、および、第二偏光板120の偏光フィルム121の第二表面121b上に接着されることにより、第一偏光板110と第二偏光板120とを接合する。また、粘着部材150および第二保護フィルム140は、第二接合部材260全体を覆っている。第二接合部材260に厚みがあるため、第二保護フィルム140および粘着部材150における、第二接合部材260に対応する箇所には突起部P1が形成されている。また、第二接合部材260は、接合層261および粘着層262を含む。接合層261および粘着層262の構造および/または材料は、それぞれ、接合層131および粘着層132と類似または同様である。ここでその説明を省略する。本実施例において、第二接合部材260を設けることにより、第一接合部材130と共に、上下側からより好適な支持力を与えることができる。
【0038】
図3は、本発明の別の実施例にかかる偏光構造300の断面図である。
図3を参照する。偏光構造300は第一偏光板110、第二偏光板120、第一接合部材130’、第二保護フィルム140および粘着部材150を含む。
【0039】
本発明の実施例にかかる偏光構造300は、第一偏光板110の偏光フィルム111の第二表面111bと、第二偏光板120の偏光フィルム121の第二表面121bとが偏光構造300の第一接合部材130’によって接合され、且つ、粘着部材150および第二保護フィルム140が第一接合部材130’の全体を覆っているという相違点を除き、偏光構造100と類似または同様の特徴および技術的効果を有する。第一接合部材130’に厚みがあるため、第二保護フィルム140および粘着部材150における、第一接合部材130’に対応する箇所には突起部P1が形成されている。本実施例において、第一接合部材130’と、後に貼り合わされる第二保護フィルム140とを同じ側に設けることにより、加工側を統一している。これにより、製造プロセスにおける接着方向の設定や巻取り機構の設置が容易となり、効率がより向上する。また、本実施例の第一接合部材130’は、前記第一接合部材130と類似または同様の構造および/または材質を有する。ここでその説明を省略する。
【0040】
図4A〜4Cは、
図1の偏光構造100の接合プロセスを示す図である。
図4A〜4Cを参照する。
【0041】
図4Aに示されるように、第一偏光板110および第二偏光板120を提供する。第一偏光板110は、偏光フィルム111、第一保護フィルム112および粘着層113を含む。偏光フィルム111は、互いに対向する第一表面111uと第二表面111bとを有する。第一保護フィルム112は、偏光フィルム111の第一表面111uに設けられている。粘着層113は、偏光フィルム111と第一保護フィルム112との間に形成されることにより、偏光フィルム111と第一保護フィルム112とを接着する。第二偏光板120は、偏光フィルム121、第一保護フィルム122および粘着層123を含む。偏光フィルム121は、互いに対向する第一表面121uと第二表面121bとを有する。第一保護フィルム122は、偏光フィルム121の第一表面121uに設けられている。粘着層123は、偏光フィルム121と第一保護フィルム122との間に形成されることにより、偏光フィルム121と第一保護フィルム122とを接着する。
【0042】
図4Bに示されるように、接合装置(図示していない)または手動で、第一接合部材130によって第一偏光板110の第一保護フィルム112と第二偏光板120の第一保護フィルム122とを接着することで、第一偏光板110と第二偏光板120とを接合する。
図4Bの構造は接合構造100’と称する。なお、該接合工程または
図4Aのステップの前に偏光板の品質を予め検査し、品質が規定を満たさない(例えば欠陥の)偏光板を見つけたとき、その接合を行わなくもよい。これにより、接合後の偏光構造100における全ての偏光板の品質が保証される。したがって、
図4Cのステップ以降の裁断工程において、裁断後の偏光板ユニットの品質検査が不要となり、または、品質検査の項目を減らして、生産効率を向上させることができる。
【0043】
続いて、
図4Cに示す押し合わせ機構10を用いて、粘着部材150と、
図4Bに示される接合構造100’とを押し合わせることにより、
図1Bに示される偏光構造100を形成する。
図4Cに示されるように、本実施例において、粘着部材150は、第二保護フィルム140の粘着面140sの少なくとも一部(例えば、粘着面140s全体)に予め塗布され、または設けられてもよい。押し合わせた後、第二保護フィルム140は、粘着部材150を介して接合構造100’に接着されている。例えば、第二保護フィルム140は、粘着部材150を介して、第一偏光板110の偏光フィルム111の第二表面111b全体、および、第二偏光板120の偏光フィルム121の第二表面121b全体に接着されている。
【0044】
また、押し合わせ機構10は、接合構造100’を伝送するための第一伝送ローラセット11と、互いに結合された粘着部材150および第二保護フィルム140を伝送するための第二伝送ローラセット12と、を少なくとも含む。第一伝送ローラセット11および第二伝送ローラセット12は、それぞれが第一押し合わせローラ11aおよび第二押し合わせローラ12aを含む。接合構造100’と、互いに結合された粘着部材150および第二保護フィルム140とは、第一押し合わせローラ11aおよび第二押し合わせローラ12aからの押圧を受けながら、第一押し合わせローラ11aと第二押し合わせローラ12aとの間で伝送される。これにより、
図1Bの偏光構造100を形成することができる。また、第一伝送ローラセット11は、接合構造100’を伝送するための第一ローラ11bをさらに含み、第二伝送ローラセット12は、互いに結合された粘着部材150および第二保護フィルム140を伝送するための第二ローラ12bをさらに含む。
【0045】
最後に、同一の押し合わせ機構10または異なる機構を用いて、偏光構造100をカッターダイス(図示していない)に伝送し、偏光構造100を少なくとも一つの偏光板ユニット(図示していない)に裁断してもよい。一つの偏光板を裁断する場合に比べ、複数の偏光板を接合してなる偏光構造100は長尺であるため、より多くの偏光板ユニットを切り出すことができ、生産効率を向上させることができる。さらに、裁断前に、複数の偏光板を全部接合して、既に長尺の偏光構造100としたため、裁断工程中に偏光構造を交換する回数および作業時間を短縮させることができる。例えば、裁断機構への偏光構造100の設置、および/または、裁断機構に設置した偏光構造100の校正等の作業時間を短縮させることができる。したがって、一定の作業時間(例えば、同様の作業時間)内に、より多くの偏光板ユニットを切り出すことができると共に、無駄な校正時間を無くすことができ、生産効率の向上やコストの節約を実現することができる。
【0046】
別の実施例において、
図4Cの粘着部材150は、
図4Bの接合構造100’の第二表面111b全体、および、第二表面121b全体に予め塗布され、または設けられてもよい。該例において、第一伝送ローラセット11は、互いに結合された接合構造100’および粘着部材150を伝送し、第二伝送ローラセット12は、第二保護フィルム140を伝送する。第二保護フィルム140と、互いに結合された接合構造100’および粘着部材150とは、第一押し合わせローラ11aおよび第二押し合わせローラ12aからの押圧を受けながら、第一押し合わせローラ11aと第二押し合わせローラ12aとの間で伝送される。これにより、同様に
図1Bの偏光構造100を形成することができる。
【0047】
偏光構造200の製造方法は、さらに、第二接合部材260によって
図4Bの接合構造100’の第二表面111bと第二表面121bとを接着することで、第一偏光板110と第二偏光板120とを接合するという相違点を除き、偏光構造100の製造方法に類似する。この相違点により、第一偏光板110および第二偏光板120の全体的強度を向上させることができる。偏光構造200の他の製造ステップは偏光構造100の対応するステップと類似または同様である。ここでその説明を省略する。
【0048】
偏光構造300の製造方法は、第一接合部材130によって
図4Bの接合構造100’の第二表面111bと第二表面121bとを接着することで、第一偏光板110と第二偏光板120とを接合するという相違点を除き、偏光構造100の製造方法に類似する。偏光構造300の他の製造ステップは偏光構造100の対応するステップと類似または同様である。ここでその説明を省略する。
【0049】
以上をまとめると、本発明は実施例を挙げて以上のように説明したが、これらの実施例は本発明を限定するためのものではない。本発明の技術分野の当業者は、本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、様々な変更および修飾をすることができる。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定されるものに準ずるべきである。
【0050】
〔符号の説明〕
10:押し合わせ機構
11:第一伝送ローラセット
11a:第一押し合わせローラ
11b:第一ローラ
12:第二伝送ローラセット
12a:第二押し合わせローラ
12b:第二ローラ
100、200、300:偏光構造
100’:接合構造
110:第一偏光板
111、121:偏光フィルム
111u、121u:第一表面
111b、121b:第二表面
111e1、111e2:第一長辺
1111、1211:第一被覆層
1112、1212:偏光層
1113、1213:第二被覆層
112、122:第一保護フィルム
113、123:粘着層
120:第二偏光板
121e1、121e2:第二長辺
130、130’:第一接合部材
131、261:接合層
132、262:粘着層
140:第二保護フィルム
140s:粘着面
150:粘着部材
260:第二接合部材
P1:突起部
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1A】本発明の一実施例にかかる偏光構造の底面図である。
【
図1B】
図1Aの偏光構造の1B−1B’線矢視断面図である。
【
図1C】
図1Aの偏光構造の折り曲げ状態を示す模式図である。
【
図2】本発明の別の実施例にかかる偏光構造の断面図である。
【
図3】本発明の別の実施例にかかる偏光構造の断面図である。
【
図4A】
図1の偏光構造の接合手順を示す図である。
【
図4B】
図1の偏光構造の接合手順を示す図である。
【
図4C】
図1の偏光構造の接合手順を示す図である。