特許第6862539号(P6862539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6862539オルガノポリシロキサンを含む消泡配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862539
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】オルガノポリシロキサンを含む消泡配合物
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/04 20060101AFI20210412BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20210412BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20210412BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20210412BHJP
   C08L 83/12 20060101ALI20210412BHJP
   C08G 77/48 20060101ALI20210412BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   B01D19/04 A
   C08L83/07
   C08L83/04
   C08K3/013
   C08L83/12
   C08G77/48
   C11D7/22
【請求項の数】15
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2019-512894(P2019-512894)
(86)(22)【出願日】2017年6月6日
(65)【公表番号】特表2019-537497(P2019-537497A)
(43)【公表日】2019年12月26日
(86)【国際出願番号】EP2017063736
(87)【国際公開番号】WO2018224131
(87)【国際公開日】20181213
【審査請求日】2019年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブレーム,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ブルガー,ビリバルト
(72)【発明者】
【氏名】ジッケ,ボルフガング
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−522401(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02846891(EP,A1)
【文献】 特開平03−188905(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00434060(EP,A1)
【文献】 特開平05−184814(JP,A)
【文献】 特開平05−194861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/04
C08G 77/48
C08L 83/07
C11D 3/37、7/22
D21H 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)1分子当たり以下の一般式の少なくとも1つの構造単位

1/2Si−Y−SiRO2/2 (I)

及び以下の一般式の少なくとも2単位

SiO1/2 (II)

及び以下の一般式の単位

SiO2/2 (III)

[式中、
Rは、同一でも異なっていてもよく、1個以上の隣接していないO原子を含んでいてもよく、脂肪族炭素−炭素多重結合を含まない1〜30個の炭素原子を有する一価のSiC−結合した炭化水素基を表し、
は、R又は2〜30個の炭素原子を有するアルケニル基であり、ここで1分子当たり少なくとも1個のアルケニル基が存在し、
は、2〜30個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を表し、
ただし、オルガノポリシロキサンは以下の式の構造要素を含む。

SiO−(SiRO)x1−SiRYO−(SiRO)x2−SiR (IV)

式中、
R及びRは、上記で定義した通りであり、
は、式SiR1/2を有する基に結合している、2〜30個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を表し、
は、式SiRO2/2を有する基に結合している、2〜30個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を表し、
及びxは、0又は整数であり、
ただし、x+xの合計はxであり、
式中、xは平均して5より大きく、及び100未満である。]
を含むオルガノポリシロキサン
(2)充填剤及び
(3)以下の一般式の単位から構成されるオルガノポリシロキサン樹脂

(RO)SiO(4−e−f)/2 (V)

[式中、
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1〜30個の炭素原子を有する非置換又は置換一価のSiC結合した炭化水素基を表し、
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する非置換又は置換一価の炭化水素基を表し、
eは、0、1、2又は3であり、
fは、0、1、2、又は3であり、
ただし、e+fの合計は3以下であり、オルガノポリシロキサン樹脂中の式(V)の全単位の50%未満においてe+fの合計は2である。]
を含む消泡剤配合物。
【請求項2】
Y及びY及びYが、それぞれ式−CHCH−の基であることを特徴とする、請求項1に記載の消泡剤配合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のオルガノポリシロキサン(1)が、
(A)以下の一般式の単位

SiO1/2 (II)、

以下の一般式の単位

SiO2/2 (III)、

及び以下の一般式の単位

HRSiO2/2 (VII)

[式中、
R及びRは請求項1で定義した通りであり、
ただし、1分子当たり少なくとも1個のアルケニル基Rが存在し、
単位HRSiO2/2及び単位RSiO1/2の合計は平均して2.0より大きく、
アルケニル基Rの数は平均してSi結合した水素原子の数よりも多い。]
を含むオリゴマー又はポリマー有機ケイ素化合物、或いは、
当該オリゴマー又はポリマー有機ケイ素化合物(A)
(B)以下の一般式の単位

SiO1/2 (VIII)

及び以下の一般式の単位

SiO2/2 (III)

[式中、
Rは請求項1に定義された通りであり、
は、2〜30個の炭素原子を有するアルケニル基である]
を含むオリゴマー又はポリマー有機ケイ素化合物が
肪族二重結合へのSi結合した水素の付加を促進する触媒
の存在下で反応し、成分(A)中のSi結合した水素に対する成分(A)中の又は成分(A)び成分(B)中の脂肪族二重結合の使用比は1.2〜10である場合に製造されることを特徴とする、請求項1に記載の消泡剤配合物。
【請求項4】
使用される有機ケイ素化合物(A)が、以下の式

SiO−(SiRO)−(HSiR−SiR (IX)

[式中、
R、R及びxは請求項1で定義した通りであり、
yは平均して少なくとも0.5及び平均して1.5以下であり、
ただし、1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基Rが存在し、
単位HRSiO2/2及び単位RSiO1/2の合計は、平均して2.0より大きく、
アルケニル基Rの数は平均してSi結合した水素原子の数より多い。]
のものであることを特徴とする、請求項3に記載の消泡剤配合物。
【請求項5】
使用される有機ケイ素化合物(B)が、以下の式

SiO−(SiRO)−O−SiR (X)

[式中、
R及びRは請求項3で定義した通りであり、
zは平均して5より大きく及び1000未満である。]のものであることを特徴とする、請求項3又は4に記載の消泡剤配合物。
【請求項6】
4)以下の一般式のポリオルガノシロキサン

SiO(SiRO)SiR (VIa)又は
【化1】
[式中、
Rは、同一でも異なっていてもよく、請求項1で定義した通りであり、
は、同一でも異なっていてもよく、R又は−ORであることができ、
は、水素原子又は1〜25個の炭素原子を有する置換されていてもよい一価の炭化水素基を表し、
mは、1〜2500の整数であり、
nは、2〜20の整数であり、
ポリオルガノシロキサンが少量の分枝も含むことができる。
5)水不溶性有機化合物
6)直鎖状でも分岐状でもよく、少なくとも1個のポリエーテル基を含むポリエーテル変性ポリシロキサン
7)アルカリ性若しくは酸性の触媒又はそれらと成分(1)〜(6)との反応生成物、並びに(4)から(7)の混合物からなる群から選択される、さらなる成分
を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の消泡剤配合物。
【請求項7】
消泡剤配合物が、1.0〜5.0の間の100rad/秒での損失係数(タンデルタ)を有し、ここで1〜100rad/秒の考慮された周波数範囲にわたって、損失係数の差(Δタンデルタ)は、1.5未満であり、消泡剤が、25℃で測定して、100rad/秒で1000mPas〜300000mPasの間の粘度を有し、損失係数及び粘度が、DIN 53019−4に従って決定されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の消泡剤配合物。
【請求項8】
使用されるオルガノポリシロキサン樹脂(3)が、以下の式

SiO(Q単位)及び

SiO1/2(M単位)

[式中、R及びRは請求項1で定義した通りであり、Q単位に対するM単位のモル比は、0.5〜2.0の範囲である]の単位から構成されるMQ樹脂である
或いは、
単位及びQ単位に加えて、少量のRSiO3/2単位又は(RO)SiO3/2(T)単位又はRSiO2/2(D)単位を、全シロキサン単位の合計に基づいて、0.01〜20モル%の量で含む、MQ樹脂であって、
MQ樹脂はまた、最大10重量%の遊離のSi結合したヒドロキシル基又はアルコキシ基を含むことができる、ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の消泡剤配合物。
【請求項9】
使用される水不溶性有機化合物(5)が、900〜1100hPaで100℃より高い沸点を有するもの、或いは、鉱油、天然油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、オキソアルコール合成からの残留物、低分子量の合成カルボン酸のエステル、ペンタンジオール−1,3−ジイソブチレート、脂肪酸エステル、オクチルステアレート、ドデシルパルミテートイソプロピルミリステート、脂肪アルコール、低分子量アルコールのエーテル、フタル酸エステル、リン酸のエステル及びワックスから選択されるものであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の消泡剤配合物。
【請求項10】
消泡剤配合物が、
(1)少なくとも30重量%及び98重量%以下の請求項1又は2に記載のオルガノポリシロキサン又は請求項3から5のいずれか一項に記載されたように製造されたオルガノポリシロキサン、
(2)少なくとも1重量%及び15重量%以下の充填剤、
(3)少なくとも1重量%及び15重量%以下の式(V)の単位から構成される又は請求項8に記載されたオルガノポリシロキサン樹脂
(4)少なくとも0重量%及び40重量%以下の一般式(VIa)又は(VIb)のポリオルガノシロキサン、
(5)少なくとも0重量%、及び15重量%以下の水不溶性有機化合物、
(6)少なくとも0重量%、及び15重量%以下の直鎖又は分岐であってもよく、少なくとも1つのポリエーテル基を有するポリエーテル変性ポリシロキサン、及び
(7)少なくとも0重量%及び1重量%以下のアルカリ性若しくは酸性の触媒又はそれらの成分(1)〜(6)との反応生成物
を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の消泡剤配合物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の消泡剤配合物、
乳化剤及び

を含む消泡剤配合物のエマルジョン。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の消泡剤配合物及び
担体材料
を含む粉末。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載の消泡剤配合物又は請求項11に記載のそのエマルジョン、又は請求項12に記載のその粉末を含む洗浄又は洗濯組成物。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか一項に記載の消泡剤配合物又は請求項11に記載のそのエマルジョン又は請求項12に記載のその粉末を媒体と混合することによって、媒体の消泡及び/又は発泡の防止を行う方法。
【請求項15】
化学パルプ製造において生成される水性媒体が使用されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノポリシロキサンを含む消泡剤配合物、及び特に水性界面活性剤系における消泡剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
所望の界面活性化合物又は望ましくない成分を含む多くの液体の、特に水性の系では、これらの系が、例えば、廃水のガス処理中、液体の激しい攪拌中、蒸留工程、こすり洗い工程又は染色工程において、あるいは充填手順においてガス状物質と多かれ少なかれ集中的に接触すると、泡の形成により問題が生じるおそれがある。
【0003】
この泡は、機械的手段又は消泡剤の添加によって制御することができる。シロキサン系消泡剤が特に有用であることが証明されている。
【0004】
シロキサン系消泡剤の性能を向上させることは絶えず続く作業である。多数の科学論文(例えば、Denkovら、Langmuir、1999年、15、8514;Langmuir、1999年、15、8530;又は要約では、P. Garrett、The science of defoaming、CRC Press、2014年、第4.5章「Oil Bridges and Antifoam Mechanism」、v.a. P. 152 ff)が消泡機構に関係しており、シロキサン系消泡剤の場合には、いわゆる架橋−伸張機構が好ましい。この機構は、最初に泡のラメラ内に架橋を形成するシロキサン系消泡剤をベースとしており、その分裂により次に泡のラメラの破壊がもたらされる。したがって、泡のラメラ内に架橋を形成できるようにするためには、消泡剤の十分に低い粘度及び良好な展延性が必要である。
【0005】
シロキサン系消泡剤の改良方法の過程で、多くの論文がこの消泡剤架橋の形成速度の増加、ひいては消泡剤の瞬間性能(泡ノックダウンとしても知られる)の向上に焦点を当ててきた。疎水性充填剤、特にシリカを配合すると、著しい効率向上が達成された。例えば、DE2925722Aに従って、ポリジメチルシロキサン中に(予備)疎水化シリカを分散することによりこの配合を行うことができる。あるいは、例えば、US3,383,327A号に従ってポリジメチルシロキサン中に分散された、親水性シリカを、例えば、加熱することにより、又は塩基性触媒を使用することにより(US3,560,401A号)、(その場で)疎水化を行うこともできる。
【0006】
シロキサン系消泡剤がポリジアルキルシロキサン及びシリカだけでなく、例えば、US4,145,308A号に記載されているような(CHSiO1/2構成単位及びSiO構成単位から構成されたコポリマーも含む場合、さらなる性能向上が達成され得る。
【0007】
同様に、シリコーン系消泡剤の性能向上は、ポリエーテル−ポリシロキサンコポリマーの添加によっても可能である。US7,105,581B1号は、ポリエチレン−ポリシロキサンコポリマーをベースとする消泡剤を記載する。これらの添加されたコポリマーは界面活性剤である。
【0008】
したがって、典型的なシリコーン系消泡剤組成物は、ポリシロキサン、疎水化シリカのような充填剤、(CHSiO1/2構成単位及びSiO構成単位から構成されたコポリマー、及びポリエーテル−ポリシロキサンコポリマーを含むことができる。
【0009】
近年の主な焦点は、シロキサン系消泡剤の長期性能の向上である。この側面は、一連の科学論文(例えば、Denkovら、Langmuir、2000、16、2515又はMarinovaら、及びLangmuir、2003、19、3084)で調べられた。一定の使用時間後の性能の喪失は、その中で「消泡の消耗」又は「消泡の失活」として記載されており、例えば、消泡小球の粒径の減少又は表面上に存在する消泡剤の乳化又は消泡小球の2つの異なる集団(シリカ枯渇及びシリカ富化)へのポリジメチルシロキサン及びシリカの分離のような一連の効果に起因する。
【0010】
消泡剤に弾性モーメントを付与するために、消泡剤の一部として初期架橋された又は場合によってはゴム様でさえあるポリジメチルシロキサンを使用することが、これらの影響に対抗し、それにより長期性能を向上させるために、ここ数十年提案されてきた。
【0011】
そのような初期架橋された又は場合によってはゴム様でさえあるポリジメチルシロキサンは、例えば、ポリジメチルシロキサンへのシルセスキシロキサン単位の導入(共加水分解による)(US2,632,736A号))によって、ポリジメチルシロキサンへのアルコキシシラン又は(CHSiO1/2構成単位及びSiO構成単位から構成されたコポリマーの導入(平衡化及び/又は縮合による)(EP163541A2号及びEP217501A2号)によって、又はポリジメチルシロキサンのフリーラジカル架橋(例えば、DE3805661A1号及びEP273448A2号)によって製造されてきた。ヒドロシリル化に関連して末端ビニル含有シロキサンとSi−H官能性シロキサンとの反応による初期架橋され、分岐されたシロキサンの製造が代替法として提案された(例えば、EP434060A2号、EP516109A1号、DE4444175A1号及びGB2257709A1号)。
【0012】
しかし、これらの方法は非常に非特異的であり、しばしば再現性に乏しく、ゲル化点近くで操作されるので取扱いが困難な生成物を生じることが多い。したがって、これらの方法も、不活性ポリシロキサン中で、又は溶媒として大過剰の1つの反応相手(一般にビニル含有成分)の存在下で行われる。意図的に高度に架橋された、又はさらにはゲル化された生成物(しかし、取り扱い性のために比較的大過剰の線状ポリシロキサンと混合されている)が提案された(例えば、EP499364A1号)。
【0013】
初期架橋された、場合によってはゴム様でさえあるポリジメチルシロキサンの特性決定は、例えば、侵入深さ(EP434060A2号)、Weissenberg効果(DE38050661号)のようなエラストマーの特性決定又はその他の流動学的特性決定から既知の方法によってしばしば行われる。例えば、EP499364A1号では、消泡剤はゲル化され、又はエマルジョン中でゲル化されて、エラストマー特性は、10Hzの周波数及び25℃及び<2%の振幅での損失係数(タンデルタ)及び動的弾性率(G’)により特性決定される。WO2011/069868A2によれば、非常に高い粘度(>1 Mio mPas)のポリシロキサンの組み込みにより、1Hz及び1%の振幅での損失係数(タンデルタ)によって記述される弾性モーメントがシロキサン系消泡剤に付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】独国特許出願公開第2925722号明細書
【特許文献2】米国特許第3,383,327号明細書
【特許文献3】米国特許第3,560,401号明細書
【特許文献4】米国特許第4,145,308号明細書
【特許文献5】米国特許第7,105,581号明細書
【特許文献6】米国特許第2,632,736号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第163541号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第217501号明細書
【特許文献9】独国特許出願公開第3805661号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第273448号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第434060号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第516109号明細書
【特許文献13】独国特許出願公開第4444175号明細書
【特許文献14】英国特許出願公開第2257709号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開第499364号明細書
【特許文献16】国際公開第2011/069868号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Denkovら、Langmuir、1999年、15、8514
【非特許文献2】Langmuir、1999年、15、8530
【非特許文献3】P. Garrett、The science of defoaming、CRC Press、2014年、第4.5章「Oil Bridges and Antifoam Mechanism」、v.a. P. 152 ff
【非特許文献4】Denkovら、Langmuir、2000、16、2515
【非特許文献5】Marinovaら、Langmuir、2003、19、3084
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
対処された課題は、特に高い消泡性能、特に良好な長期性能を有し、容易に取り扱い可能であるシロキサンをベースとする消泡剤配合物を提供することであった。
【0017】
この問題は本発明によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、
(1)1分子当たり以下の一般式の少なくとも1つの構造単位

1/2Si−Y−SiRO2/2 (I)

及び以下の一般式の少なくとも2単位

SiO1/2 (II)

及び以下の一般式の単位

SiO2/2 (III)
[式中、
Rは、同一でも異なっていてもよく、1個以上の隣接していないO原子を含んでいてもよく、脂肪族炭素−炭素多重結合を含まない1〜30個の炭素原子を有する一価のSiC−結合した炭化水素基を表し、
は、R又は2〜30個の炭素原子を有するアルケニル基、好ましくはメチル基又はビニル基であり、ここで1分子当たり少なくとも1個のアルケニル基が存在し、
Yは、2〜30個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を表し、
ただし、オルガノポリシロキサンは以下の式の構造要素を含む。

SiO−(SiRO)x1−SiRYO−(SiRO)x2−SiR (IV)

式中、
R及びRは、上記で定義した通りであり、
は、式SiR1/2を有する基に結合している、2〜30個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を表し、
は、式SiRO2/2を有する基に結合している、2〜30個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を表し、
及びxは、0又は整数であり、
ただし、x+xの合計はxであり、
式中、xは平均して5より大きく、好ましくは10より大きく、及び100未満であり、好ましくは80未満、好ましくは60未満である。]
を含むオルガノポリシロキサン
(2)充填剤及び
(3)以下の一般式の単位から構成されるオルガノポリシロキサン樹脂

(RO)SiO(4−e−f)/2 (V)

[式中、
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1〜30個の炭素原子を有する置換されていてもよい一価のSiC結合した炭化水素基を表し、
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する置換されていてもよい一価の炭化水素基を表し、
eは、0、1、2又は3であり、
fは、0、1、2、又は3であり、
ただし、e+fの合計は3以下であり、オルガノポリシロキサン樹脂中の式(V)の全単位の50%未満においてe+fの合計は2である。]
を含む消泡剤配合物を提供する。
【0019】
本発明による消泡剤配合物は、さらなる成分として、
任意選択的に、
(4)以下の一般式のポリオルガノシロキサン

SiO(SiRO)SiR (VIa)又は
【化1】
[式中、
Rは、同一でも異なっていてもよく、上記で定義した通りであり、
は、同一でも異なっていてもよく、R又は−ORであることができ、
は、水素原子又は1〜25個の炭素原子を有する置換されていてもよい一価の炭化水素基を表し、
mは整数、好ましくは1〜2500であり、mは、好ましくは、式(VIa)のポリオルガノシロキサンが25℃及び101.425kPaで10〜1000000mPasの粘度を有するように選択され、
nは整数、好ましくは2〜20であり、好ましくは式(Vb)のポリオルガノシロキサンが25℃及び101.425kPaで2〜15mPasの粘度を有するように選択され、
ポリオルガノシロキサンは少量の分枝、好ましくはT単位(RSiO3/2)及びQ単位(SiO)も含むことができる。]
任意選択的に、
(5)水不溶性有機化合物、
任意選択的に、
(6)直鎖状でも分岐状でもよく、少なくとも1個のポリエーテル基を含むポリエーテル変性ポリシロキサン、及び
任意選択的に、
(7)アルカリ性若しくは酸性の触媒又はそれらの成分(1)〜(6)との反応生成物
を含んでいてもよい。
【0020】
本発明による消泡剤配合物は、好ましくは、1.0〜5.0の間、好ましくは1.5〜3.0の間の100rad/秒での損失係数(タンデルタ)を有し、ここで1〜100rad/秒の考慮された周波数範囲にわたって、損失係数の差(Δタンデルタ)は、好ましくは1.5未満、好ましくは1.0未満であり、
消泡剤は、好ましくは、いずれの場合も25℃で測定して、1000mPas〜300000mPasの間、好ましくは2000〜100000mPasの間の100rad/秒での粘度を有し、損失係数及び粘度は、DIN 53019−4に従って決定される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
消泡剤の効率を向上させる(ノックダウン及び長期性能の両方の観点から)ための実験の過程で、驚くべきことに、特定の頻度での消泡剤の流動学的特性決定は、効率的な消泡剤及び効率がより悪い消泡剤を区別するのに十分ではないことがわかった。それどころか、流動学的特性決定は広い周波数範囲にわたって行われなければならず、弾性成分(例えば、損失係数(タンデルタ)の考慮)及び粘性成分(例えば、粘度)の両方を含んでいなければならない。この知見の考えられる説明は、泡の発生及び泡の破壊は非常に動的な過程であり、多数の異なる過程を含み、非常に広い範囲の速度を有する過程(例えば、泡のラメラの排出、ラメラ中又はバルク中での消泡過程等)も含むということである。可能な限り最高の効率を有する消泡剤は、理想的には全ての過程において優れた性能を示さなければならず、したがって、低周波数及び高周波数の両方を考慮しなければならない。広範囲の実験において、1〜100rad/秒の周波数範囲が、消泡剤を特性決定するための最適条件として確認された。
【0022】
弾性成分と粘性成分の両方が広い周波数範囲にわたって考慮されなければならないという事実は、前述の架橋−伸張機構によって説明される。考えられる最大限の効率のためには、消泡剤は全周波数範囲にわたって流動性も示すべきである。
【0023】
ゲル化生成物の従来技術の例に記載されているように、流動性が線状、すなわち、非弾性の成分を用いる「希釈」によって達成される場合、これも消泡剤効率に転嫁される。特に高周波数では(したがって非常に速い過程では)、これは損失弾性率(タンデルタ)の上昇を、ひいては弾性特性の低下をもたらす。
【0024】
それ故、理想的なポリシロキサンは、考えられる最大限の弾性の基準が満たされ、最大限の長期の性能が得られるようにするために、最大限の密度の網目結合部又は分岐を有さなければならない。
【0025】
しかし、より優れた取扱い性のために、この高い網目結合部密度はゲル化を生じてはならない。これは、架橋が泡のラメラ中に形成され得るために存在しなければならない流動性の基準をもたらす。さらに、これら2つの基準は、使用される消泡方法内のあらゆる接合時点においても満たされるべきであり、すなわち、いずれの接合時点においても、一方ではゲル状態が存在しないはずであり(したがって、過度に低い損失係数(タンデルタ)はないが、他方で過度に低い弾性率もない(それゆえに過度に高い損失係数(タンデルタ)もない)はずである。したがって、それは全周波数範囲にわたって、低い損失係数(タンデルタ)のみならず良好な流動性も示すべきである。
【0026】
したがって、消泡剤は、理想的には、主成分として、不活性溶媒、例えば、不活性シロキサンが存在せずに、又はポリシロキサンが、溶媒としての大過剰の1つの反応相手の存在下で生成されなければならないこともなく、上記基準を満たすポリシロキサンを含まなければならない。
【0027】
驚くべきことに、本発明による消泡剤配合物は水性界面活性剤系に対して特に高い効率を示すことが今や見出された。
【0028】
本発明によるオルガノポリシロキサン(1)は、本発明による消泡剤配合物中の主成分であり、それ故、いずれのさらなる成分(2)〜(7)よりも多い量で存在する。
【0029】
消泡剤配合物は以下のものを含むことが好ましい。
(1)少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、特に好ましくは少なくとも50重量%、及び好ましくは98重量%以下、好ましくは90重量%以下、特に好ましくは85重量%以下の記オルガノポリシロキサン、
(2)少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも2重量%、特に好ましくは少なくとも3重量%、及び好ましくは15重量%以下、好ましくは12重量%以下、特に好ましくは10重量%以下の充填剤、
(3)少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも2重量%、特に好ましくは少なくとも3重量%、及び好ましくは15重量%以下、好ましくは12重量%以下、特に好ましくは10重量%以下の式(V)の単位から構成されるオルガノポリシロキサン、
(4)少なくとも0重量%、好ましくは少なくとも3重量%、特に好ましくは少なくとも5重量%、及び好ましくは40重量%以下、好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20 以下の一般式(VIa)又は(VIb)のポリオルガノシロキサン、
(5)少なくとも0重量%、及び好ましくは15重量%以下、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは7.5重量%以下の水不溶性有機化合物、
(6)少なくとも0重量%、及び好ましくは15重量%以下、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは7.5重量%以下の直鎖又は分岐であってもよく、少なくとも1つのポリエーテル基を有するポリエーテル変性ポリシロキサン、及び
(7)少なくとも0重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特に好ましくは少なくとも0.1重量%、及び好ましくは1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下のアルカリ性若しくは酸性の触媒又はそれらと成分(1)〜(6)との反応生成物。
【0030】
消泡剤配合物は、成分(1)〜(3)並びに任意選択的に(4)及び任意選択的に(5)及び任意選択的に(6)及び任意選択的に(7)からなる場合が好ましい。
【0031】
消泡剤配合物に使用されるオルガノポリシロキサン(1)が、
(A)以下の一般式の単位

SiO1/2 (II)、

以下の一般式の単位

SiO2/2 (III)、

及び以下の一般式の単位

HRSiO2/2 (VII)

[式中、
R及びRは上記で定義した通りであり、
ただし、1分子当たり少なくとも1個のアルケニル基Rが存在し、
単位HRSiO2/2及び単位RSiO1/2の合計は平均して2.0より大きく、
アルケニル基Rの数は平均してSi結合した水素原子の数よりも多い。]
を含むオリゴマー又はポリマー有機ケイ素化合物、
及び任意選択的に
(B)以下の一般式の単位

SiO1/2 (VIII)

及び以下の一般式の単位

SiO2/2 (III)

[式中、
Rは上記の通りであり、
は、2〜30個の炭素原子を有するアルケニル基、好ましくはビニル基である]
を含むオリゴマー又はポリマー有機ケイ素化合物が
(C)脂肪族二重結合へのSi結合した水素の付加を促進する触媒
の存在下で反応し、成分(A)中のSi結合した水素に対する成分(A)中の及び任意選択的に成分(B)中の脂肪族二重結合の使用比は1.2〜10、有利には1.5〜5.0、有利には1.7〜3.0である場合に製造可能なオルガノポリシロキサンである場合が好ましい。
【0032】
消泡剤配合物中に使用されるオルガノポリシロキサン(1)を製造するために使用されるオリゴマー又はポリマー有機ケイ素化合物(A)が以下の式のものである場合が好ましい。

SiO−(SiRO)−(HSiR)−O−SiR (IX)

[式中、
R、R及びxは上記で定義した通りであり、
yは平均して少なくとも0.5、好ましくは少なくとも0.6、特に好ましくは少なくとも0.7、及び平均して1.5以下、好ましくは1.2以下、特に好ましくは1.0以下であり、
ただし、1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基Rが存在し、
単位HRSiO2/2及び単位RSiO1/2の合計は、平均して2.0より大きく、
アルケニル基Rの数は平均してSi結合した水素原子の数より多い。]
【0033】
消泡剤配合物中に使用されるオルガノポリシロキサン(1)を製造するために任意選択的に使用されるオリゴマー又はポリマー有機ケイ素化合物(B)が以下の式のものである場合が好ましい。

SiO−(SiRO)−O−SiR (X)

[式中、
R及びRは上記で定義した通りであり、
zは平均して5より大きく、好ましくは10より大きく、及び1000未満、好ましくは500未満、特に好ましくは250未満である。]
【0034】
炭化水素Rの例はアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、例えば、n−ヘキシル基、ヘプチル基、例えば、n−ヘプチル基、オクチル基、例えば、n−オクチル基及びイソオクチル基、例えば、2,2,4−トリメチルペンチル基及び2−エチルヘキシル基、ノニル基、例えば、n−ノニル基、デシル基、例えば、n−デシル基、ドデシル基、例えば、n−ドデシル基、テトラデシル基、例えば、n−テトラデシル基、ヘキサデシル基、例えば、n−ヘキサデシル基、及びオクタデシル基、例えば、n−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘキシル基及び4−エチルシクロヘキシル基;アリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えば、o−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基;並びにアラルキル基、例えば、ベンジル基及びα−及びβ−フェニルエチル基である。
【0035】
炭化水素基Rはエーテル基又はポリエーテル基を含有していてもよい。
【0036】
Rの好ましい例は、メチル基、エチル基及びフェニル基である。特に好ましい例はメチル基である。
【0037】
がRの定義を有する場合、Rについて与えられた例及び好ましい例は、Rにあてはまる。
【0038】
がアルケニル基である場合、アルケニル基Rの例は、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、9−デセニル基及び11−ドデセニル基であり、ビニル基及び5−ヘキセニル基が好ましく、ビニル基が特に好ましい。
【0039】
オルガノポリシロキサン(1)が平均して2個より多いアルケニル基Rを含む場合が好ましい。
【0040】
Yが1〜12個の炭素原子、特に好ましくは2個の炭素原子を有する二価の炭化水素基である場合が好ましく、式−CHCH−の基が特に好ましい。
【0041】
及びYが、いずれの場合も、1〜12個の炭素原子、特に好ましくは2個の炭素原子を有する二価の炭化水素基である場合が好ましく、式−CHCH−の基が特に好ましい。
【0042】
構造単位(I)中のY及び構造単位(IV)中のY及びYの例は、式−CHCH−、−CH(CH)−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−(CH12−であり、式−CHCH−、−CH(CH)−、−(CH−及び−(CH−の基が好ましく、式−CHCH−の基が特に好ましい。
【0043】
Y及びY及びYは不飽和であってもよい。その例は、式−CH=CH−(シス又はトランス)及び−C(=CH)−の基である。
【0044】
本発明によるオルガノポリシロキサン(1)では、式(II)の単位の好ましい例は、トリメチルシロキサン単位又はビニルジメチルシロキサン単位であり、特に1分子当たり少なくとも1つのビニルジメチルシロキサン単位が存在する。
【0045】
式(III)の単位の好ましい例は、ジメチルシロキサン単位である。
【0046】
は、好ましくは、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基を表す。
【0047】
炭化水素基Rについて与えられた例は、全体として炭化水素基Rにあてはまる。
【0048】
基Rの好ましい例は、メチル基、エチル基及びフェニル基である。
【0049】
基Rの例は、水素原子及びアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基及びn−ブチル基である。
【0050】
基Rが水素原子又はメチル基若しくはエチル基である場合が好ましい。
【0051】
基Rの例は、水素原子及びアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基及びn−ブチル基及びイソトリデシル、n−オクチル基、ステアリル基、4−エチルヘキサデシル基、2−オクチル−1−ドデシル基又はエイコサニル基である。
【0052】
基Rが水素原子又はC−C25−アルキル基、例えば、メチル基、エチル基又は2−オクチル−1−ドデシル基である場合が好ましい。
【0053】
基Rの好ましい例は、メチル基、エチル基及びフェニル基並びにヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基及び2−オクチル−1−ドデシルオキシ基である。
【0054】
が基−ORである式(VIa)の任意選択的に使用されるポリオルガノシロキサンは、例えば、シラノール末端ポリジメチルシロキサンと脂肪族アルコール、例えば、イソトリデシルアルコール、n−オクタノール、ステアリルアルコール、4−エチルヘキサデカノール、2−オクチル−1−ドデカノール又はエイコサノールのアルカリ触媒縮合により得ることができる。
【0055】
基Rの例は、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、9−デセニル基及び11−ドデセニル基であり、ビニル基及び5−ヘキセニル基が好ましく、ビニル基が特に好ましい。
【0056】
本発明による消泡剤配合物に使用されるオルガノポリシロキサン(1)の粘度は、いずれの場合も25℃及び101.425kPaにおいて、好ましくは少なくとも50mPa.s、好ましくは少なくとも500mPa.s、及び好ましくは10000mPa.s以下、好ましくは5000mPa.s以下である。
【0057】
オルガノポリシロキサン(1)はまた、全シロキサン単位の合計に基づいて、少量の、好ましくは0〜1モル%、特に0〜0.02モル%の他のシロキサン単位、例えば、RSiO3/2(T)単位又はSiO(Q)単位(式中、Rは上記で定義した通りである)を含んでもよい。
【0058】
オルガノポリシロキサン(1)及びその製造方法は、例えば、US6,258,913B1号、特に第11欄第6行〜第12欄第50行(参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0059】
1種類のオルガノポリシロキサン(1)又は少なくとも2種類のオルガノポリシロキサン(1)の混合物を使用することが可能である。
【0060】
本発明による消泡剤配合物中に使用されるオルガノポリシロキサン(1)を製造するために使用される有機ケイ素化合物(A)の場合、式(II)の単位の好ましい例は、トリメチルシロキサン単位又はビニルジメチルシロキサン単位であり、特に1分子当たり少なくとも1個のビニルジメチルシロキサン単位が存在する。
【0061】
式(III)の単位の好ましい例は、ジメチルシロキサン単位である。
【0062】
式(VII)の単位の好ましい例は、水素メチルシロキサン単位である。
【0063】
式(IX)のもののような有機ケイ素化合物(A)は、例えば、式RSiO1/2の末端単位を有するオルガノポリシロキサンと、HRSiO2/2単位中にSi−結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサン(R及びRは上記で定義された通りである)との平衡によって製造される。
【0064】
有機ケイ素化合物(A)は、好ましくは25℃で5〜150mPasの粘度を有する。
【0065】
本発明による消泡剤配合物に使用されるオルガノポリシロキサン(1)を製造するために任意選択的に使用される有機ケイ素化合物(B)の場合、式(VIII)の単位の好ましい例は、ビニルジメチルシロキサン単位である。
【0066】
式(III)の単位の好ましい例は、ジメチルシロキサン単位である。
【0067】
特に式(X)の有機ケイ素化合物(B)は知られており、式RSiO1/2の末端単位を有するオルガノポリシロキサンと、環状オルガノポリシロキサン又は式RSiOの単位を有するHO末端オルガノポリシロキサン若しくはアルコキシ末端オルガノポリシロキサン(R及びRは上記で定義された通りである)との平衡により製造される。
【0068】
有機ケイ素化合物(B)は、好ましくは25℃で5〜100000mPasの粘度を有する。
【0069】
本発明による方法において脂肪族二重結合へのSi−結合した水素の付加を促進する使用可能な触媒(C)は、脂肪族二重結合へのSi−結合した水素の付加を促進するために以前に使用されたものと同じ触媒を含む。
【0070】
触媒(C)は、好ましくは、白金金属の基からの金属、又は白金金属の基からの化合物若しくは錯体から選択される。そのような触媒の例は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム又は活性炭のような支持体上に存在していてもよい金属白金及び微粉白金、白金の化合物又は錯体、例えば、ハロゲン化白金、例えば、PtCl、HPtCl・6HO、NaPtCl・4HO、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金−アルコキシド錯体、白金−エーテル錯体、白金−アルデヒド錯体、HPtCl・6HOとシクロヘキサノンとの反応生成物をはじめとする白金−ケトン錯体、白金−ビニル−シロキサン錯体、例えば、検出可能な無機結合ハロゲンの含有量の有無にかかわらず白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、ビス(ガンマ−ピコリン)白金二塩化物、トリメチレンジピリジン白金二塩化物、ジシクロペンタジエン白金二塩化物、ジメチルスルホキシドエチレン白金(II)二塩化物、シクロオクタジエン白金二塩化物、ノルボルナジエン白金二塩化物、ガンマ−ピコリン−白金二塩化物、シクロペンタジエン白金二塩化物、及びUS4,292,434号による四塩化白金とオレフィンン及び第一級アミン及び第二級アミンとの反応生成物、例えば、1−オクテンに溶解した四塩化白金とsec−ブチルアミンとの反応生成物、又はEP−B110370号による、又はアンモニウム−白金錯体である。
【0071】
触媒(C)は、いずれの場合も元素状白金として計算され、成分(A)及び任意選択的に(B)の総重量に基づいて、有利には1〜100ppmw(100万重量部当たりの重量部)、好ましくは4〜20ppmwの量で使用される。
【0072】
本発明による消泡剤配合物に使用されるオルガノポリシロキサン(1)の製造方法は、より高い又はより低い圧力でも実施できるが、好ましくは周囲雰囲気の圧力、すなわち約1020hPa(絶対)で実施される。
【0073】
さらに、本方法は、好ましくは50℃〜180℃、好ましくは60℃〜140℃の温度で実施される。
【0074】
不活性有機溶媒を本製造方法において併用することができるが、不活性有機溶媒の併用は好ましくない。不活性有機溶媒の例は、トルエン、キシレン、オクタン異性体、酢酸ブチル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン及びシクロヘキサンである。
【0075】
任意選択的に併用される不活性有機溶媒は続いて蒸留により除去される。高分子量生成物は、不活性溶媒に溶解したままであることが好ましい。
【0076】
本発明による消泡剤配合物に使用される充填剤(2)は、好ましくは20〜1000m/gのBET比表面積を有する。充填剤(2)は、好ましくは10μm未満の粒径及び100μm未満のアグロメレート径を有する。
【0077】
充填剤(2)の例は、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、金属石鹸、石英粉、PTFE粉末、脂肪酸アミド、例えば、エチレンビスステアラミド、及び微粉疎水性ポリウレタンである。
【0078】
充填剤(2)としては、好ましくは、20〜1000m/gのBET比表面積を有する二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン又は酸化アルミニウムが使用される。これらの充填剤は、好ましくは10μm未満の粒径及び100μm未満のアグロメレート径を有する。
【0079】
充填剤(2)として好ましいのはシリカ、特に50〜800m/gのBET比表面積を有するものである。これらのシリカは、焼成シリカ又は沈降シリカであることができる。前処理されたシリカ、すなわち、疎水性シリカ、及び親水性シリカの両方が充填剤(2)として使用可能である。本発明に従って使用することができる市販の疎水性シリカの例は、(ドイツのワッカー・ケミー社から市販されている)HDK(R) H2000、すなわち、ヘキサメチルジシラザンで処理され、140m/gのBET比表面積を有する焼成シリカ及びポリジメチルシロキサンで処理され、90m/gのBET比表面積を有するシリカ(ドイツのデグサ社から「Sipernat D10」の商品名で市販されている)である。
【0080】
これが消泡剤配合物の所望の性能にとって有利であるならば、親水性シリカはその場で疎水化することもできる。シリカを疎水化する方法はよく知られている。親水性シリカのその場での疎水化は、例えば、成分(1)若しくは(4)中又は成分(1)、(3)及び任意選択的に(4)及び任意選択的に(5)の混合物中に分散されたシリカを100℃〜200℃の温度まで数時間加熱することにより行われる。反応は、KOH等の触媒、及び短鎖OH末端ポリジメチルシロキサン、シラン又はシラザン等の疎水化剤を添加することによって促進することができる。
【0081】
本発明による消泡剤配合物に使用される成分(3)は、好ましくは、樹脂中の単位の30%未満、好ましくは5%未満において、e+fの合計が2である式(V)の単位から構成されるシリコーン樹脂から選択される。
【0082】
式(V)の単位から構成されるオルガノポリシロキサン樹脂(3)は、好ましくは、以下の式

SiO(Q単位)及び

SiO1/2(M単位)

[式中、Rは上記で定義した通りである。]の単位から構成されるMQ樹脂である。
【0083】
Q単位に対するM単位のモル比は、好ましくは0.5〜2.0の範囲、好ましくは0.6〜1.0の範囲である。M単位及びQ単位に加えて、MQ樹脂は任意選択的に少量のRSiO3/2単位又は(RO)SiO3/2(T)単位又はRSiO2/2(D)単位を、全シロキサン単位の合計に基づいて、好ましくは0.01〜20モル%、好ましくは0.01〜5モル%の量で含んでもよく、ここでRは上記で定義した通りである。これらのMQ樹脂はまた、最大10重量%の遊離のSi結合したヒドロキシル基又はアルコキシ基、例えば、メトキシ又はエトキシ基を含むことができる。
【0084】
これらのオルガノポリシロキサン樹脂(3)は、好ましくは1000mPa.sより大きい粘度を有するか、又は25℃及び101.425kPaで固体である。これらの樹脂のゲル浸透クロマトグラフィー(ポリスチレン標準に基づく)により決定される重量平均分子量は、好ましくは200〜200000、特に1000〜20000g/molである。
【0085】
本発明による消泡剤配合物中に任意選択的に使用されるポリオルガノシロキサン(4)の例は、いずれの場合も粘度は25℃及び101.425kPaにおいて、10〜1000000mPa・sの粘度を有する式(VIa)のポリジメチルシロキサン又は2〜15mPa・sの粘度を有する式(VIb)の環状ポリジメチルシロキサンである。
【0086】
式(VI)には示されていないが、これらのポリオルガノポリシロキサン(4)はまた、全シロキサン単位の合計に基づいて、0〜1モル%、好ましくは0〜0.02モル%の他のシロキサン単位、例えば、RSiO3/2(T)単位又はSiO(Q)単位(式中、Rは上記で定義した通りである)を含んでもよい。
【0087】
水不溶性有機化合物(5)を本発明の消泡剤配合物に使用することができる。本発明の関連で、「水不溶性」という用語は、25℃の温度及び101.425kPaの圧力で3重量%以下の水への溶解度を意味すると理解されるべきである。
【0088】
任意選択的に使用される成分(5)は、好ましくは周囲雰囲気の圧力、すなわち、900〜1100hPaで100℃より高い沸点を有する水不溶性有機化合物、特に鉱油、天然油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、オキソアルコール合成からの残留物、低分子量の合成カルボン酸のエステル、例えば、ペンタンジオール−1,3−ジイソブチレート、脂肪酸エステル、例えば、オクチルステアレート、ドデシルパルミテート又はイソプロピルミリステート、脂肪アルコール、低分子量アルコールのエーテル、フタル酸エステル、リン酸のエステル及びワックスから選択される。
【0089】
直鎖状でも分岐状でもよく、少なくとも1個のポリエーテル基を有するポリエーテル変性ポリシロキサン(6)を本発明の消泡剤配合物に使用することができる。
【0090】
このようなポリエーテル変性ポリシロキサンは知られており、例えばEP1076073A1号、特に第2頁第35行〜第4頁第46行(参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0091】
アルカリ触媒(7)の例は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、例えば、NaOH、KOH、CsOH、LiOH及びCa(OH)である。酸性触媒(7)の例は、塩酸、硫酸及び塩化ホスホニトリルである。
【0092】
(7)と成分(1)〜(6)との反応生成物は、例えば、充填剤(2)として好ましいシリカとアルカリ金属水酸化物との生成物、例えば、ケイ酸カリウム又はケイ酸ナトリウムである。
【0093】
触媒の投与は典型的な有機溶媒、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)又はエステル(例えば、酢酸エチル)中で実施することができる。
【0094】
本発明による消泡剤配合物中に使用される成分(2)〜(7)は、いずれの場合もそのような成分の1種類又は少なくとも2種類のそれぞれの成分の混合物であることができる。
【0095】
本発明による消泡剤配合物は、いずれの場合も25℃及び101.425kPaにおいて、好ましくは100〜2000000mPa・s、特に好ましくは10000〜80000mPa・sの粘度を有する。
【0096】
本発明による消泡剤配合物の製造は、例えば、コロイドミル、溶解機又はローター−ステーターホモジナイザー中で高剪断力を使用して全ての成分を混合するような、既知の方法により実施することができる。混合手順は、例えば、高度に分散された充填剤中に存在する空気の混入を防ぐために減圧で実施することができる。必要に応じて、充填剤のその場での疎水化が続いてもよい。
【0097】
成分(1)を最初に充填し、任意選択的に加熱し、その後成分(2)、(3)、任意選択的に(4)及び任意選択的に(5)及び任意選択的に(6)及び任意選択的に(7)を連続して添加することも可能である。
【0098】
好ましい実施態様では、成分(3)は溶解した形で成分(4)中又は成分(4)の一部中の溶液として、又は成分(5)中又は成分(5)の一部中の溶液として添加される。
【0099】
本発明はさらに、本発明による消泡剤配合物、乳化剤及び水を含むエマルジョンを提供する。
【0100】
本発明による消泡剤配合物がエマルジョンである場合、シリコーンエマルジョンを製造するための当業者に知られている任意の乳化剤、例えば、非イオン性、アニオン性又はカチオン性の乳化剤を使用することができる。
【0101】
乳化剤混合物を使用することが好ましく、少なくとも1種の非イオン性乳化剤が存在すべきである。
【0102】
使用される非イオン性乳化剤の例(非限定的)は、
1. アルキルポリグリコールエーテル、好ましくは3〜30個のEO単位及び8〜20個の炭素原子のアルキル基を有するもの。
2. カルボン酸ポリグリコールエステル、特に脂肪酸ポリグリコールエステル、好ましくは6個より多いEO単位及び8〜20個の炭素原子のカルボン酸基を有するもの。
3. エトキシル化又は非エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル。
4. エトキシル化ひまし油又は水素添加変種。
5. ポリグリセリンカルボン酸エステル。
6. 一般式R−O−Zのアルキルポリグリコシド、ここで、Rは平均8〜24個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和アルキル基を表し、Zは平均o=1〜10個のヘキソース単位若しくはペントース単位又はそれらの混合物を有するオリゴグリコシド基を表す。
7. アルキルアリールポリグリコールエーテル、好ましくは5〜30個のEO単位及びアルキル基及びアリール基中に8〜20個の炭素原子を有するもの。
8. エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー、好ましくは8〜30個のEO/PO単位を有するもの。
9. 500〜3000の重合度を有する、5〜50%、好ましくは8〜20の酢酸ビニル単位をさらに含むポリビニルアルコール。
10. 8〜22個の炭素原子のアルキル基を有するアルキルアミンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加生成物。
11. 天然物質及びその誘導体、例えば、レシチン、ラノリン、サポニン、セルロース;アルキル基がそれぞれ4個までの炭素原子を含むセルロースアルキルエーテル及びカルボキシアルキルセルロース。
12. 特に元素O、N、C、S、P、Siを含む、極性基を含む特に直鎖状のオルガノ(ポリ)シロキサン、特に最大24個の炭素原子を有するアルコキシ基及び/又は最大40個のEO基及び/又はPO基を有するものである。
【0103】
好ましい非イオン性乳化剤は、
1. アルキルポリグリコールエーテル、好ましくは3〜30個のEO単位及び8〜20個の炭素原子のアルキル基を有するもの、例えば、セテアレス−20、オレス−10、オレス−20、ラウレス−4、ラウレス−20、ラウレス−23、トリデセス−5、トリデセス−6、トリデセス−8、トリデセス−10、トリデセス−12、トリデセス−16、トリデセス−20、ステアレス−20、又はステアレス−21(INCIによる)。
2. カルボン酸ポリグリコールエステル、特に脂肪酸ポリグリコールエステル、好ましくは6個より多いEO単位及び8〜20個の炭素原子のカルボン酸基を有するもの、例えば、PEG−20ステアレート、PEG−20ラウレート、PEG−7オリーヴェート(olivate)、PEG−8オレエート、PEG−8ラウレートHLB、PEG−6ステアレート、PEG−20ステアレート又はPEG−100ステアレート(INCIによる)。
3. エトキシル化又は非エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ソルビタンラウレート、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80又はポリソルベート85(INCIによる)。
4. エトキシル化ヒマシ油又は水素化変種、例えば、PEG 200ヒマシ油又はPEG−60水素化ヒマシ油(INCI命名法による)。
5. ポリグリセリンカルボン酸エステル、例えば、ポリグリセリン−10オレエート、ポリグリセリン−10ラウレート又はポリグリセリン−10ステアレート。
6. 一般式R−O−Zのアルキルポリグリコシド、ここでRは平均8〜24個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和アルキル基を表し、Zは平均o=1〜10個のヘキソース単位若しくはペントース単位又はそれらの混合物を有するオリゴグリコシド基を表し、例えば、グルコポン215、グルコポン225、グルコポン600(商品名)である。
【0104】
アニオン性乳化剤の例(非限定的)は、
1. アルキルサルフェート、特に8〜18個の炭素原子の鎖長を有するもの、疎水性基中に8〜18個の炭素原子及び1〜30個のエチレンオキシド(EO)/プロピレンオキシド(PO)単位を有するアルキルエーテルサルフェート及びアルカリールエーテルサルフェート。
2. スルホネート、特に8〜18個の炭素原子を有するアルキルスルホネート、8〜18個の炭素原子を有するアルキルアリールスルホネート。
3. アルキル基、アリール基、アルカリール基又はアラルキル基中に8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、特に脂肪酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、好ましくは8〜20個の炭素原子のカルボン酸基を有するもののアルカリ金属塩及びアンモニウム塩である。
【0105】
好ましいアニオン性乳化剤は、アルキル基、アリール基、アルカリール基又はアラルキル基中に8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、特に好ましいアニオン性乳化剤は、脂肪酸のアルカリ金属及びアンモニウム塩、好ましくは8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸基を有するものアルカリ金属塩及びアンモニウム塩であり、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はオレイン酸のナトリウム塩、カリウム塩、トリメチルアンモニウム塩である。
【0106】
カチオン性乳化剤の例(非限定的)は、
1. 8〜24個の炭素原子を有する第一級、第二級及び第三級脂肪族アミンと、酢酸、硫酸、塩酸及びリン酸との塩。
2. アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩及びアルキルオキシアゾリニウム(alkyloxazolinium)塩、特にそのアルキル鎖が18個までの炭素原子を有するもの、特にハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩。
3. 第四級アルキルアンモニウム塩及びアルキルベンゼンアンモニウム塩、特にそのアルキル基が6〜24個の炭素原子を有するもの、特にハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩である。
【0107】
増粘剤として知られている化合物、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、セルロースエーテル、例えば、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース、ポリウレタン、天然増粘剤、例えば、キサンタンガム、及び防腐剤及び当業者に知られている他の慣用の添加剤も添加することができる。
【0108】
しかし、本発明によるエマルジョンの連続相は好ましくは水である。しかし、連続相が成分(1)、(2)及び(3)並びに任意選択的に(4)及び任意選択的に(6)及び任意選択的に(7)により形成されるか、又は成分(5)により形成されるエマルジョンの形態で本発明による消泡剤配合物を製造することも可能である。
【0109】
多重エマルジョンもまた関係し得る。
【0110】
シリコーンエマルジョンを製造する方法は知られている。製造は、典型的には全ての成分を単純に攪拌し、任意選択的にジェットディスペンサー、ローター−ステーターホモジナイザー、コロイドミル又は高圧ホモジナイザーによる後続の均質化によって実施される。
【0111】
本発明による組成物がエマルジョンから選択される場合、好ましいのは、下記のものを含む水中油型エマルジョンである。
成分(1)〜(3)及び任意選択的に(4)及び任意選択的に(5)及び任意選択的に(6)及び任意選択的に(7)を含む、5〜50重量%の本発明による消泡剤配合物
1〜20重量%の乳化剤及び任意選択的に増粘剤及び
30〜94重量%の水。
【0112】
本発明による組成物は、流動性の良い粉末として配合することもできる。これらは、例えば、粉末洗剤組成物に使用するのに好ましい。成分(1)〜(3)及び任意選択的に(4)及び任意選択的に(5)及び任意選択的に(6)及び任意選択的に(7)を含む本発明の消泡剤配合物からのこれらの粉末の製造は当業者に知られている方法、例えば、噴霧乾燥又はビルドアップ造粒によって、当業者に知られている添加剤を用いて実施される。
【0113】
本発明はさらに、本発明による消泡剤配合物及び支持体を含む粉末を提供する。
【0114】
本発明による粉末は、好ましくは、成分(1)〜(3)及び任意選択的に(4)及び任意選択的に(5)及び任意選択的に(6)及び任意選択的に(7)を含む、2〜20重量%の本発明による消泡剤配合物を含む。
【0115】
使用される支持体は、例えば、ゼオライト、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、セルロース誘導体、尿素及び尿素誘導体及び糖である。
【0116】
本発明による粉末は、80〜98重量%の支持体を含む。本発明による粉末のさらに可能な構成成分は、例えば、EP−A887097号及びEP−A1060778号に記載されているようなワックス又は有機ポリマーである。
【0117】
本発明による消泡剤配合物及びそのエマルジョン又は粉末は、有機ケイ素化合物をベースとする消泡剤配合物がこれまで使用されてきたところならどこでも使用することができる。
【0118】
これは、特に、水性界面活性剤系における泡の制御、洗浄及び洗濯組成物での使用、廃水プラント、織物染色方法、天然ガス洗浄、ポリマー分散液における泡の制御、及び化学パルプ製造で発生する水性媒体の消泡に適用される。
【0119】
タール蒸留又は原油処理等の非水性系における本発明による消泡剤配合物の使用は排除される。
【0120】
したがって、本発明はさらに、本発明による消泡剤配合物又はそのエマルジョン若しくは粉末を媒体と混合することによって媒体の消泡及び/又は発泡防止のための方法を提供する。
【0121】
また、本発明による消泡剤配合物は、化学パルプ製造で発生する水性媒体中での消泡及び/又は発泡防止のために使用するのが好ましい。
【0122】
本発明による消泡剤配合物はさらに、洗浄及び洗濯組成物及び手入れ用組成物、例えば、仕上げ剤において使用することができ、ここで本発明による消泡剤配合物はそのようなものとして、又はエマルジョン又は粉末の形態で使用することができる。
【0123】
したがって、本発明はさらに、本発明の消泡剤配合物又はエマルジョンの形態又は粉末の形態の本発明の消泡剤配合物を含む洗浄及び洗濯組成物を提供する。
【0124】
発泡媒体への本発明による消泡剤配合物の添加は、粉末として又はエマルジョンとして、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン又はtert−ブタノール等の適切な溶媒に溶解させて直接実施することができる。所望の消泡剤性能を達成するのに必要な量は、例えば、媒体の性質、温度及び生じる乱流に依存する。
【0125】
本発明による消泡剤配合物は、消泡されるべき媒体の総重量に基づいて、好ましくは0.1ppmw〜1重量%の量、特に1〜100ppmwの量で発泡媒体に添加される。
【0126】
驚くべきことに、本発明による消泡剤配合物の性能及び取扱い性は本発明による方法によって実質的に改善されることが見出された。本発明による消泡剤配合物は、特に、非常に良好な取扱い性及び投与量性(dosability)、並びにまた瞬間的な泡の崩壊及び長期性能の両方に関して高い性能を特徴とする。
【0127】
本発明による消泡剤配合物は、それらが少ない添加量で非常に広い範囲の媒体中で高い長期持続性能を特徴とするという利点を有する。これは経済的にも生態学的にも非常に有利である。
【実施例】
【0128】
以下の実施例において、他に記載がない限り、全ての部及び百分率は重量による。以下の実施例は、他に記載しない限り、周囲雰囲気の圧力、すなわち、約1000hPa、及び室温、すなわち、約20℃又は追加の加熱又は冷却なしで室温で反応物を一緒に添加した結果として確立される温度で実施する。
【0129】
動粘度は、2°の開放角を有するコーンプレートシステム(コーンCP50−2)を使用して、DIN EN ISO 3219:1994及びDIN 53019に従ったAnton Paar「MCR
302」レオメーターを使用して測定した。機器は、National Metrology Institute製のNormalol 10000を用いて較正した。測定温度は25.00℃±0.05℃であり、測定時間は3分である。報告した粘度(mPasで報告した)は、独立して行われた3回の個々の測定値の相加平均である。動的粘度測定における不確実性は1.5%である。剪断速度勾配は粘度に応じて選択し、報告した各粘度について別々に報告する。
【0130】
動粘度は、DIN 51562−1部又はISO/DIS 3105(その較正を含む)に従って、定数(例えば、Windaus又はVWRから)を有するUbbelohde粘度計管を使用するSchottのViscoSystem(R)AVS 350粘度測定システムによって決定する。測定は25.0℃(±0.1℃)の温度で行う。報告した粘度(mm/秒で報告した)は、独立して行われた3回の個々の測定値の相加平均である。動粘度の不確実性は1.05%である。測定範囲に応じて、対応する方向性定数を有する異なる粘度計管を使用する。
【0131】
【表1】
【0132】
報告した測定範囲、対応する毛細管番号及び定数は、VWR−Laborkatalog、2011−2013、645.8頁の通りである。
【0133】
H−NMRスペクトルは、500.13MHzの測定周波数で、Bruker Avance III HD NMR分光計(ATMA及びZ勾配を用いる5mm広帯域プローブ)においてCDClの溶液として記録する。29Si−NMRスペクトルは、90.34MHzの測定周波数で、Bruker Avance III HD NMR分光計(ATMA及びZ勾配を用いる5mm広帯域プローブ)においてC−トルエンの溶液として記録する。
【0134】
評価は、当業者に知られており、以下の文献に記載されているように行われる:「Uber H−、13C− und 29Si−NMR chemischen Verschiebungen einiger linearer, verzweigter und cyclischer Methyl−Siloxan−Verbindungen」、G. Engelhardt、H.Jancke;
J.Organometal.Chem.28(1971)、293−300;「第8章−NMR spectroscopy of organosilicon compounds」、Elizabeth A.Williams、The Chemistry of Organic Silicon Compounds、1989、John Wiley and Sons Ltd、511−533。
【0135】
Wijsヨウ素価の決定は、53241−1:1995−05に従って行われる。ヨウ素価は、100gの物質に結合しているヨウ素のグラム数で定義される。物質中に存在する二重結合のヨウ素化及び未消費ヨウ素のチオ硫酸ナトリウム溶液による逆滴定により、オレフィン含有量の程度についての測定基準が与えられる。この決定では、ケイ素に結合している水素も捕捉されることに注意する必要がある。
【0136】
[実施例1]
<有機ケイ素化合物(A)の製造>:
a)有機ケイ素化合物A1:
500mLの三口フラスコ中で、22.0のヨウ素価を有する、ジメチルシロキシ単位及びビニルジメチルシロキシ単位との平衡化物(equilibrate)101.0gと、トリメチルシロキシ単位で終端され、約55Si単位の鎖長を有する水素メチルジクロロシランの加水分解物2.7gと、62mm/秒の粘度を有するOH末端ポリジメチルシロキサン(25.0℃;毛細管番号II)120.0g及び35mm/秒の粘度を有するジメチルシロキシ単位及びトリメチルシロキサン単位の平衡化物(25.0℃;毛細管番号II)28.6gを、120℃及び20ミリバールの減圧で250ppmのPNClで2時間平衡化する。触媒を、NaHCOの添加により失活させる。濾過及び160℃及び40ミリバールの減圧での揮発性成分の除去の後に、81mm/秒の粘度(25.0℃;毛管管番号II)、13.3のヨウ素価及び0.016重量%のH含有率を有するポリシロキサンA1が得られる。29Si−NMR決定により、52というジメチルシロキシ単位の含有率(指数xに相当する)が明らかになる。
【0137】
b)有機ケイ素化合物A2:
4リットルの三つ口フラスコ中で、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン197g、トリメチルシロキシ単位で終端され、約55Si単位の鎖長を有する水素メチルジクロロシランの加水分解物75g、オクタメチルシクロテトラシロキサン2745g及びヘキサメチルジシロキサン55gを、120℃で250ppmのPNClで2.5時間平衡化する。触媒を、MgOの添加により失活させる。濾過及び135℃及び10ミリバールの減圧での揮発性成分の除去の後、23mm/秒の粘度(25.0℃;毛細管番号II)、26.6のヨウ素価及び0.038重量%のH含有率を有するポリシロキサンA2が得られる。29Si−NMR決定により、26というジメチルシロキシ単位の含有率(指数xに相当する)が明らかになる。
【0138】
c)有機ケイ素化合物A3:
1000mLの三口フラスコ中で、24.7のヨウ素価を有する、ジメチルシロキシ単位及びビニルジメチルシロキシ単位の平衡化物497.4gと、トリメチルシロキシ単位で終端され、約55Si単位の鎖長を有する水素メチルジクロロシランの加水分解物17.1gと、34mm/秒の粘度(25.0℃;毛細管番号II)を有する、ジメチルシロキシ単位とトリメチルシロキサン単位との平衡化物192.0gを、120℃及び20ミリバールの減圧で250ppmのPNClで2時間平衡化する。触媒をMgOの添加により失活させる。濾過後、24mm/秒の粘度(25.0℃;毛細管番号II)、25.7のヨウ素価及び0.037重量%のH含有率を有するポリシロキサンA3が得られる。揮発性成分は生成物中に残っている。分析目的のために、少量の得られた生成物から135℃及び10ミリバールの減圧下で揮発性成分を除去する。この分析試料の29Si−NMR決定により、27というジメチルシロキシ単位の含有率(指数xに相当する)が明らかになる。
【0139】
d)有機ケイ素化合物VA4:
1000mLの三つ口フラスコ中で、25.0のヨウ素価を有する、ジメチルシロキシ単位及びビニルジメチルシロキシ単位の平衡化物164.0gと、トリメチルシロキシ単位で終端され、約55Si単位の鎖長を有する水素メチルジクロロシランの加水分解物4.8g、オクタメチルシクロテトラシロキサン676.0gと、34mm/秒/秒の粘度(25.0℃;毛管管番号II)を有する、ジメチルシロキシ単位とトリメチルシロキサン単位との平衡化物46.5gを、120℃で250ppmのPNClで2時間平衡化する。触媒を、MgOの添加により失活させる。濾過後、163mm/秒の粘度(25.0℃;毛管管番号IIc)、4.6のヨウ素価及び0.008重量%のH含有率を有するポリシロキサンVA4が得られる。揮発性成分は生成物中に残っている。分析目的のために、少量の得られた生成物から135℃及び10ミリバールの減圧下で揮発性成分を除去する。この分析試料の29Si−NMR決定により、117というジメチルシロキシ単位の含有率(指数xに相当する)が明らかになる。
【0140】
[実施例2]:
<オルガノポリシロキサン(1)の製造>:
a)オルガノポリシロキサン(1−1):
250mlの三口フラスコ中で、0.2gのカルステットPt触媒のトルエン溶液(Pt含有率:0.3重量%)と共に50mlのキシレンに溶解した100.0gのポリシロキサンA1を、90℃に3.5時間加熱する。最終冷却中に、0.3gのジアリルマレエートを添加する。キシレンを90℃で32ミリバールの減圧下で除去する。425mPasの粘度(25℃及び1L/秒の剪断速度で測定)を有するポリシロキサン(1−1)が得られる。
【0141】
このように、オルガノポリシロキサン(1−1)の製造は、ポリシロキサンA1のみを使用し、したがって、主成分はx=52である構造要素(IV)である。(1−1)はゲル化する傾向がない流動性化合物の形態である。したがって、不活性溶媒を使用する必要はない。
【0142】
b)オルガノポリシロキサン(1−2):
250mLの三口フラスコ中で、100.0gのポリシロキサンA2を、1.99のヨウ素価を有する55.0gの線状ビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンと、0.08gのカルステットPt触媒の線状ビニルジメチルシロキサン末端ポリジメチルシロキサン溶液(Pt含有率:1.0重量%)と一緒に135℃にゆっくりと加熱し、この温度で1時間保持する。冷却後、粘度2020mPas(25℃及び1L/秒の剪断速度で測定)を有するオルガノポリシロキサン(1−2)が得られる。
【0143】
オルガノポリシロキサン(1−2)の製造は、大過剰のポリシロキサンA2を使用し、したがってx=26である構造要素(IV)が優勢に存在する。Si−Hに対するビニルの比は2.37である。線状ビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン(成分(B))は、このようにして優勢な程度で反応により組み込まれており、それ故に最小限の過剰量で存在する。それにもかかわらず、(1−2)はゲル化する傾向がない流動性化合物の形態である。
【0144】
c)オルガノポリシロキサン(1−3):
500mLの三口フラスコ中で、150.0gのポリシロキサンA3を、6.6のヨウ素化を有する、ジメチルシロキシ単位とビニルジメチルシロキシ単位との平衡化物30.0gと、0.09gのカルステットPt触媒の線状ビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン溶液(Pt含有率:1.0重量%)と一緒に90℃にゆっくりと加熱し、この温度で2時間保持する。冷却後、130℃及び10ミリバールの減圧下で揮発性成分を除去し、粘度1692mPas(25℃及び1L/秒の剪断速度で測定)を有するオルガノポリシロキサン(1−3)が得られる。
【0145】
オルガノポリシロキサン(1−3)の製造はまた、大過剰のポリシロキサンA3を使用し、したがってx=27である構造要素(IV)が優勢な程度で存在する。Si−Hに対するビニルの比は1.87である。このようにして線状ビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン(成分(B))が優勢な程度で反応により組み込まれており、それ故同様に最小限の過剰量で存在する。それにもかかわらず、(1−3)はゲル化する傾向がない流動性化合物の形態である。
【0146】
d)オルガノポリシロキサンV(1−4)(本発明ではない):
500mLの三口フラスコ中で、180.0gのポリシロキサンA4を、6.6のヨウ素化を有する、ジメチルシロキシ単位とビニルジメチルシロキシ単位との平衡化物36.0gと、0.09gのカルステットPt触媒の線状ビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン溶液(Pt含有率:1.0重量%)と一緒に90℃にゆっくりと加熱し、この温度で2時間保持する。冷却後、130℃及び10ミリバールの減圧で揮発性成分を除去して、3617mPasの粘度(25℃及び1L/秒の剪断速度で測定)を有するオルガノポリシロキサンV(1−4)が得られる。
【0147】
オルガノポリシロキサンV(1−4)の製造は、大過剰のポリシロキサンVA4を使用し、したがってx=117である構造要素(IV)が優勢な程度で存在する。Si−Hに対するビニルの比は2.61である。このようにして線状ビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン(成分(B))が優勢な程度で反応により組み込まれており、それ故同様に最小限の過剰量で存在する。
【0148】
<比較例V2a、V2b及びV2cの製造>:
a)構造単位O2/2RSi−Y−SiR1/2を介して架橋したオルガノポリシロキサン(V2a)(本発明ではない)の製造:
1000mLの三口フラスコ中に、組成MeSi−(OSiMe310−(OSiHMe)14−OSiMe(鉱油中の70重量%溶液)を有する有機ケイ素化合物24.5gを、0.89モル%のビニル含有率を有する、ジメチルシロキシ単位及びビニルジメチルシロキシ単位の平衡化物482.1g及び200mm2/秒の粘度(25.0℃;毛細管番号IIc)を有するトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンと一緒に最初に仕込んだ。ビニル基とSi−H基の比は6.5:1である。カルステットPt触媒の線状ビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン溶液(Pt含有率:1.0重量%)0.45gを添加し、反応混合物を80℃にゆっくり加熱して、この温度で2時間保持する。冷却後、4280mPasの粘度(25℃及び25L/秒の剪断速度で測定)を有するオルガノポリシロキサンV2aが得られる。
【0149】
Si基に対するビニル基の比のために、使用されたジメチルシロキシ単位とビニルジメチルシロキシ単位の平衡化物の大部分は未反応の形で(溶媒として)残る。鉱油及びまたトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンはさらに不活性溶媒を有し、このためゲル化を防止する。
【0150】
b)EP434060B2号に従って構造単位O2/2RSi−Y−SiR1/2を介して架橋したオルガノポリシロキサン(V2b)の製造(本発明でない):
2リットルの三つ口フラスコ中に、組成MeSi−(OSiMe−(OSiHMe)−OSiMeを有する有機ケイ素化合物7.3gを、1.23モル%のビニル含有率を有する、ジメチルシロキシ単位とビニルジメチルシロキシ単位の平衡化物900.0gと一緒に最初に仕込む。ビニル基とSi−H基の比は3.4:1である。カルステットPt触媒の線状ビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン溶液(Pt含有率:1.0重量%)0.28gを添加し、反応混合物を80℃にゆっくり加熱して、この温度で1時間保持する。冷却後、7000mPasの粘度(25℃;毛細管番号IV)を有するオルガノポリシロキサンV2bが得られる。
【0151】
Si基に対するビニル基の比のために、使用されたジメチルシロキシ単位とビニルジメチルシロキシ単位の平衡化物の大部分は未反応の形で(溶媒として)残り、このためゲル化を防止する。
【0152】
ビニル基とSi−H基の比が3.0:1に減少する(組成MeSi−(OSiMe−(OSiHMe)−OSiMeを有する3.3gの上記有機ケイ素化合物及びジメチルシロキシとビニルジメチルシロキシ単位の362.1gの上記平衡化合物に相当する)場合、記載された条件下での反応は、ゲル化され、もはや取扱い不可能な生成物をもたらす。
【0153】
c)EP217501A2号に従って構造単位O2/2RSi−Y−SiR1/2を介して架橋したオルガノポリシロキサン(V2c)の製造(本発明でない):
1000mLの三口フラスコ中に、5790mPasの粘度(25℃及び25L/秒の剪断速度で測定)を有するヒドロキシジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン163.9g、40mol%のCHSiO1/2単位、50mol%のSiO4/2単位、8mol%のCOSiO3/2単位及び2mol%のHOSiO3/2単位からなるケイ素樹脂18.6g(29Si−NMR及びIR分析による)、及び344mm/秒の粘度(25℃;毛細管番号III)を有する544.2gのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンを最初に仕込む。反応混合物を80℃にゆっくり加熱し、80重量%のKOHのメタノール溶液1.24gと混合する。この混合物をさらに100℃に加熱して、この温度で3時間保持する。0.33gの酢酸(80%)を添加し、冷却すると、1860mm/秒の粘度(25.0℃;毛管管番号IIIc)を有するオルガノポリシロキサンV2cが得られる。
【0154】
生成物は溶媒として約73重量%のトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンを含むので、未だ流動性である生成物が得られる。
【0155】
[実施例3]:
<オルガノポリシロキサン(1)を含む本発明の消泡剤配合物C1〜C4の製造及び本発明でない消泡剤配合物VC5〜VC9の製造>:
消泡剤配合物を製造するために、表1に記載した物質を溶解機で混合し、1500ppmのKOH(20%のメタノール溶液)の存在下で4時間150℃に加熱し、冷却後に溶解機で再均質化する。
【0156】
【表2】
【0157】
<使用した物質>:
D1:300m/gのBET比表面積を有する親水性焼成シリカ(ドイツ、ワッカー・ケミー社からHDK(R) T30の商品名で入手可能)
E1:室温で固体であり、(29Si−NMR及びIR分析により)40mol%の(CHSiO1/2単位、50mol%のSiO4/2単位、8mol%のCOSiO3/2単位及び2mol%のHOSiO3/2単位からなる、7900g/molの重量平均分子量(ポリスチレン標準に基づく)を有するシリコーン素樹脂
F1:0.0001m/秒の粘度を有するトリメチルシロキサン末端ポリジメチルシロキサン
F2:0.008m/秒の粘度を有するトリメチルシロキサン末端ポリジメチルシロキサン
F3:15.0m/秒の粘度を有するトリメチルシロキサン末端ポリジメチルシロキサン
G1:KOHの20%メタノール溶液
G2:構造(HC)Si−[Si(CHO]−[GSi(CH)O)−Si(CH[ここで、G=(CH−(O−CHCH−(O−CH(CH)−CH−OH、ここで、u、v、w及びxは、ポリマーが1100mPa.sの粘度及び25℃の曇り点(DIN EN 1890による)を有するように選択される。]のポリエーテル変性シリコーンコポリマー
【0158】
[実施例4]:
<オルガノポリシロキサン(1)を含む本発明の消泡剤配合物C1〜C4及び本発明でない消泡剤配合物VC5〜VC9の流動学的特性決定>:
消泡剤配合物の流動学的特性決定は、一般に、DIN 53019−4に記載されているような条件下で行う。
【0159】
特性決定は、サーモスタット(25℃の温度)に接続されたAnton Paar空気搭載回転レオメーター(Rheometer MCR 301)において所定の角周波数を用いた振動測定を用いて特に実施される。使用した測定要素は、50mmの直径及び2°の角度を有するコーン/プレートシステムである(Paar CP50−2測定コーン)。試料容量1.6mLを注射器を用いて適用する。測定は1%の変形で行う。角周波数を100rad/秒から1rad/秒まで対数走査し、11個のデータ点DP(勾配=5DP/10進)を記録する。
【0160】
評価はソフトウェア支援(評価ソフトウェアRHEOPLUS32/Multi32 V3を使用)を用いて自動的に行い、ここで損失係数(タンデルタ)(損失弾性率及び貯蔵弾性率の商)を100rad/秒の角周波数で決定し、粘度は100rad/秒の角周波数で決定する。
【0161】
対照的に、損失係数を、1rad/秒から100rad/行の間の全周波数範囲にわたって考慮し、最大損失係数と最小損失係数との間の差を、Δタンデルタとして決定する。
【0162】
【表3】
【0163】
本発明のオルガノポリシロキサン(1)を使用して製造した消泡剤配合物C1〜C4は、考慮した全周波数範囲にわたって低いより低い損失係数(タンデルタ)を示す。
【0164】
この低い損失係数は、x <100である構造要素(IV)の鎖長によって確保されるより高い網目構造の接合密度の結果である。
【0165】
同時に、全ての消泡剤配合物は、溶媒の使用を避けながらも非常に良好な流動性(低粘度)を示す。
【0166】
したがって、損失係数が低いにもかかわらず、これらの消泡剤配合物はそのようなものとして取り扱うことができ、例えば、EP0499364A1号にあるような乳化形態に変換する必要はない。
【0167】
本発明でない消泡剤配合物VC5(x=117)のように網目の接合密度が低下すると、損失係数及び損失係数の周波数依存性の両方が増加する(Δタンデルタ>1.5)。
【0168】
(流動性を維持するために)大過剰のビニル成分(溶媒として)の存在下又は大量の不活性オルガノポリシロキサンの存在下で製造したオルガノポリシロキサンをベースとする(本発明ではない)消泡剤配合物VC6、VC7及びVC9を検討すると、損失係数への影響は非常に明らかである。特に損失係数(Δタンデルタ)の周波数依存性は非常に著しく増加する。
【0169】
非常に高い粘度のオルガノポリシロキサンを使用することによって弾性モーメントが達成される(本発明ではない)消泡剤配合物VC8も同様に損失係数の高い周波数依存性を示す。
【0170】
[実施例5]:
<廃棄された黒液の消泡におけるオルガノポリシロキサン(1)を含む本発明の消泡剤配合物C1〜C4及び本発明でない消泡剤配合物VC5〜VC9の消泡剤性能の試験>:
このようにして得られた本発明の消泡剤配合物及び本発明でない消泡剤配合物を黒液中での試験に関して試験した。これらの試験の結果を表3〜6にまとめる。
【0171】
より良好な(より正確な)投与のために、表1に記載の40部の消泡剤配合物と60部の3mm/秒の粘度及び>100℃の引火点を有する脂肪族炭化水素の混合物との混合物を、1000rpmで実験室溶解機で製造した。
【0172】
化学パルプ法からの廃棄された黒液400mlを、80℃に温度調節された1000mlの再循環装置中で1.5リットル/分の再循環速度で再循環させる。泡の高さが75mmの高さに達するとすぐに、消泡剤を投入し、泡の崩壊時間と消泡剤の添加及び泡の崩壊の開始後に達成された最低の泡の高さとを記録する。
【0173】
泡の崩壊時間t1が短いほど、泡の高さh1が低いほど、消泡剤の応答はより迅速である。
【0174】
これに続いて、最も低い泡の高さから元の泡の高さ(75mm)に戻るのに必要な時間間隔t2によって表される消泡剤の長期性能を決定する。
【0175】
【表4】
【0176】
比較配合物VC7と比較した硬材の廃棄された黒液の消泡のこの試験では、発明例は、従来技術により製造した配合物よりも同じ泡の高さでのより短い泡の崩壊時間及びより良好な長期性能を有する。
【0177】
この優れた消泡剤活性は、実施例C1及びC2の両方において明らかであり、両方の消泡剤は低い損失係数(100rad/秒で)、特に事実上周波数に依存しない損失係数(Δタンデルタ<1.5)を示す。
【0178】
2.84のΔタンデルタを有する比較例VC7は、ビニル成分を過剰に使用した結果として、著しく劣った消泡剤性能を示す。
【0179】
【表5】
【0180】
軟剤の廃棄された黒液の消泡においても同じ状況が明らかである。ここでもまた、本発明の消泡剤C1及びC3は、低い損失係数(タンデルタ)及び低いΔタンデルタによって比較例VC7より優れていることが分かった。
【0181】
【表6】
【0182】
この試験シリーズから2つの側面が明らかである。
【0183】
VC5(本発明でない)とC1との間の比較により、損失係数(タンデルタ)及びΔタンデルタに及ぼす接合密度の影響を明らかになる(x=117のVC5では2.94及び1.8であるのに対し、x=52のC1では1.83及び0.23)。結合部のより高い密度により、著しくより良好な消泡剤性能、特に長期性能がもたらされる。
【0184】
VC6、VC7(両方とも本発明でない)及びC1の間の比較により、損失係数(タンデルタ)及びΔタンデルタに及ぼす使用された溶媒/過剰なビニル成分の影響が示される。
− C1(過剰なビニル成分なし):タンデルタ=1.83;Δタンデルタ=0.23、
− VC6(ビニル基:Si−H基の比=6.8:1及び溶媒としての不活性ポリシロキサンの使用):タンデルタ=3.01;Δタンデルタ=2.0、
− VC7(ビニル基:Si−H基の比=3.4:1):タンデルタ=2.66;Δタンデル=2.84。
【0185】
ここでも、長期間の消泡剤性能の著しい改善が明らかである。
【0186】
<(本発明の)消泡剤配合物C2及びC4の(本発明の)エマルジョンF1及びF2並びに(本発明でない)消泡剤配合物VC7及びVC9の(本発明でない)エマルジョンVF3及びVF4の製造>:
エマルジョンF1及びF2並びにVF3及びVF4(比較例)を製造するために、15部の消泡剤配合物C2、C4、VC7又はVC9、2部のソルビタンモノステアレート(CrodaからSpan 60の名称で市販されている)、2部のポリオキシエチレン(40)ステアレート(KolbからSympatens−BS/400Gの名称で市販されている)、3.2部のポリエーテル変性シリコーンコポリマーG2を70℃で混合する。カルボキシメチルセルロースナトリウムの1%水溶液(DowからWalocel CRT 30000の名称で市販されている)50部をパドルスターラーで600rpmで撹拌する。3分以内に27部の水を少しずつ加え、混合物を1000rpmでさらに15分間撹拌した。
【0187】
【表7】
【0188】
エマルジョンとしての本発明の消泡剤の配合は、乳化されていない消泡剤の場合と同様に、軟材の廃棄された黒液の消泡において類似の結果をもたらす。ここでもまた、本発明の消泡剤F1及びF2は、低い損失係数(タンデルタ)及び低いΔタンデルタによって比較例VF3及びVF5より優れていることが分かった。
【0189】
[実施例6]:
<洗浄組成物の消泡におけるオルガノポリシロキサン(1−2)を含む本発明の消泡剤配合物C2の消泡剤性能の試験>:
<(本発明の)粉末消泡剤配合物F5>:
ガラスビーカーに、56.3gの重炭酸ナトリウム、56.3gの硫酸ナトリウム及び15.0gの天然セルロース、例えば、Arbocel UFC M8(Rettenmaier & Sohneから市販されている)を最初に仕込み、パドルスターラーで激しく混合することによって互いに混合する。22.5gの消泡剤配合物C2を激しく攪拌しながらゆっくり加える。白色の流動性の良い粉末が得られた。
【0190】
<洗濯機における消泡剤性能の試験>
一定量(表7参照)の消泡剤配合物C2又はF5をWFKからの130gの洗浄粉末ECE−2に添加した。次いで、洗浄粉末を3500gのきれいな綿の洗濯物と一緒にドラム式洗濯機(ファジー理論なしのMiele Novotronik W918)に入れた。次いで、洗浄プログラムを開始する。プログラムは40℃の温度と3°GHの水の硬度で進行する。泡の高さを55分間にわたって記録する。平均の泡の評点は、全期間にわたって確認された泡の評点から決定する(0%(測定可能な泡なし)から100%(過発泡)まで)。前記評点が低いほど、全期間にわたって消泡剤配合物の性能が高い。
【0191】
【表8】
【0192】
消泡剤配合物C2及びF5は、全洗浄期間にわたって優れた消泡性能を示す。