特許第6862613号(P6862613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドイッチェ テレコム アーゲーの特許一覧

<>
  • 特許6862613-無線アクセスネットワークスライス 図000002
  • 特許6862613-無線アクセスネットワークスライス 図000003
  • 特許6862613-無線アクセスネットワークスライス 図000004
  • 特許6862613-無線アクセスネットワークスライス 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862613
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】無線アクセスネットワークスライス
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/11 20180101AFI20210412BHJP
   H04W 76/18 20180101ALI20210412BHJP
   H04W 80/10 20090101ALI20210412BHJP
【FI】
   H04W76/11
   H04W76/18
   H04W80/10
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-534877(P2020-534877)
(86)(22)【出願日】2018年10月24日
(65)【公表番号】特表2021-507635(P2021-507635A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(86)【国際出願番号】EP2018079187
(87)【国際公開番号】WO2019120695
(87)【国際公開日】20190627
【審査請求日】2020年6月22日
(31)【優先権主張番号】17210124.8
(32)【優先日】2017年12月22日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597149146
【氏名又は名称】ドイッチェ テレコム アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】ラウスター,ラインハルト
【審査官】 ▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2017/0303259(US,A1)
【文献】 国際公開第2017/063708(WO,A1)
【文献】 3rd Generation Partnership Project,Technical Specification Group Radio Access Network; Study on New Radio Access Technology; Radio Acce,3GPP TR 38.801 V1.0.0 (2016-12),2016年12月 8日,Pages 1-2,24-46
【文献】 ITRI,RAN Slicing in NR[online],3GPP TSG RAN WG2 adhoc_2017_01_NR R2-1700262,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_AHs/2017_01_NR/Docs/R2-1700262.zip>,2017年 1月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー機器(102)に通信ネットワークへの無線アクセスを提供する無線アクセスネットワーク(RAN)スライス(100)であって、該RANスライスは、RANスライス識別子によって一意に識別され、
前記ユーザー機器(102)に該RANスライス(100)へのアクセスを提供する基地局(101)と、
該RANスライスを識別する前記RANスライス識別子をハンドリングするように構成されたアクセス及びモビリティ管理機能(AMF)エンティティ(103)と、
該RANスライスを介した前記ユーザー機器のデータ通信をハンドリングするように構成されたセッション管理機能(SMF)エンティティ(105)と、
を備え、
前記基地局(101)は、該RANスライス(100)に接続するための、前記ユーザー機器(102)を発信元とするアタッチ要求を受信し、該アタッチ要求が前記RANスライス識別子を含まない場合、該RANスライス(100)へのアクセスを拒否するように構成される、RANスライス。
【請求項2】
請求項1に記載のRANスライス(100)であって、前記基地局(101)は、前記アタッチ要求が前記RANスライス識別子を含む場合、前記ユーザー機器(102)に対して前記RANスライス(100)へのアクセスを許可するように構成される、RANスライス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のRANスライス(100)であって、前記アタッチ要求は、送信スライス識別子を含み、基地局(101)は、前記送信スライス識別子が前記RANスライス識別子に対応するか否かを特定するために、前記送信スライス識別子を前記RANスライス識別子と比較するように構成され、前記基地局(101)は、前記送信スライス識別子が前記RANスライス識別子とは異なる場合、前記RANスライスへのアクセスを拒否するように構成される、RANスライス。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のRANスライス(100)であって、前記アタッチ要求は、送信スライス識別子を含み、基地局(101)は、前記送信スライス識別子又は前記アタッチ要求を、前記AMFエンティティに向けて転送するように構成され、前記AMFエンティティ(103)は、前記送信スライス識別子が前記RANスライス識別子に対応するか否かを特定するために、前記送信スライス識別子を前記RANスライス識別子と比較するように構成され、前記AMFエンティティ(103)は、前記送信スライス識別子が前記RANスライス識別子とは異なる場合、前記基地局(101)に向けて拒否信号を送信するように構成され、前記基地局(101)は、前記拒否信号に応答して前記ユーザー機器(102)による前記RANスライス(100)へのアクセス要求を拒否するように構成される、RANスライス。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のRANスライス(100)であって、前記基地局(101)は、前記RANスライス(100)のみへのアクセスを提供するように構成される、RANスライス。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のRANスライス(100)であって、前記アタッチ要求は、前記RANスライス識別子と、前記ユーザー機器(102)についてのターゲットネットワークスライスを識別するターゲットネットワークスライス識別子とを含み、前記基地局(101)は、前記ユーザー機器(102)に対して前記RANスライス(100)へのアクセスを許可するように構成され、前記基地局(101)は、前記ターゲットネットワークスライス識別子を有する前記アタッチ要求を、前記AMFエンティティ(103)に向けて転送するように構成され、前記AMFエンティティ(103)は、前記ターゲットネットワークスライスに向けた前記ユーザー機器(102)の通信の転送を管理するように構成される、RANスライス。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のRANスライス(100)であって、前記RANスライス(100)から通信ネットワーク、特にターゲットネットワークスライスに向けられた前記ユーザー機器(102)の通信をルーティングするように構成されたルーターを更に備える、RANスライス。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のRANスライス(100)であって、前記基地局(101)は、前記アタッチ要求が別のネットワーク識別子を含む場合、該アタッチ要求を、該別のネットワーク識別子によって識別される別の通信ネットワークの別の基地局に向けて転送するように構成される、RANスライス。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のRANスライス(100)であって、前記基地局(101)は、前記アタッチ要求を、前記ユーザー機器(102)から、又は、該アタッチ要求を受信した別の基地局(106)から受信するように構成される、RANスライス。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のRANスライス(100)であって、前記基地局(101)は、該RANスライス(100)の通信容量を示すRANスライスコネクティビティパラメーター、特に、周波数帯域、アクセス通信技術を前記ユーザ機器(102)に送信するように構成される、RANスライス。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のRANスライス(100)であって、前記基地局(101)及び/又は前記AMFエンティティ(103)は、前記RANスライス(100)を介した前記ユーザー機器(102)の通信のための通信リソース、特に、通信帯域幅、信号処理リソース及びメモリを提供するように構成される、RANスライス。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のRANスライス(100)であって、前記アタッチ要求は、ユーザー優先度インジケーションを更に含み、該ユーザー優先度インジケーションは、前記ユーザー機器(102)に割り当てられた通信リソースを示し、前記基地局(101)及び/又は前記AMF(103)は、前記ユーザー優先度インジケーションに従って、通信のための前記RANスライス(100)の通信リソース、特に、通信帯域幅、信号処理リソース及びメモリを割り当てるように構成される、RANスライス。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のRANスライス(100)であって、前記アタッチ要求は、ユーザー機器識別情報、特にIMSIを更に含み、前記AMF(103)及び/又は前記基地局(101)は、前記ユーザー機器識別情報に割り当てられた通信のための通信リソース、特に、通信帯域幅、信号処理リソース及びメモリを割り当てるように構成される、RANスライス。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のRANスライス(100)であって、前記基地局(101)及び/又は前記AMF(103)は、前記RANスライス(100)の外部に配置された共有データバンクに前記通信リソースの送信を要求するように構成される、RANスライス。
【請求項15】
無線アクセスネットワーク(RAN)スライス(100)を用いてユーザー機器(102)に通信ネットワークへの無線アクセスを提供する通信方法であって、前記RANスライス(100)は、RANスライス識別子によって一意に識別され、前記ユーザー機器(102)に前記RANスライス(100)へのアクセスを提供する基地局(101)と、前記RANスライス(100)を識別する前記RANスライス識別子をハンドリングするように構成されたアクセス及びモビリティ管理機能(AMF)エンティティ(103)と、前記RANスライス(100)を介した前記ユーザー機器(102)のデータ通信をハンドリングするように構成されたセッション管理機能(SMF)エンティティ(105)とを備え、該通信方法は、
前記RANスライス(100)に接続するための、前記ユーザー機器(102)からのアタッチ要求を前記基地局(101)が受信することと、
前記アタッチ要求が前記RANスライス識別子を含まない場合、前記RANスライス(100)へのアクセスを前記基地局(101)が拒否することと、
を含む、通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザー機器に通信ネットワークへの無線アクセスを提供する無線アクセスネットワークスライス、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動電話等のユーザー機器の移動通信ネットワークへのアクセスは、無線アクセスネットワーク(RAN:radio access network)を介して実行され、RANは、基地局、特に5GネットワークのgNodeBと、機能エンティティ、例えばアクセス及びモビリティ管理機能(AMF:access and mobility management function)エンティティ及びセッション管理機能(SMF:session management function)エンティティとを備える。通信ネットワークに接続するための要求を受信するRANは、ユーザー機器に通信コネクションを提供する役割を担う。
【0003】
異なるRANは、推定リソース要件に応じて異なる量の通信リソースを含み得る。それにもかかわらず、このような推定値は、常に適合するわけではなく、何らかのユーザー機器は、通信ネットワークコネクションに接続するやむを得ない必要性、例えば緊急電話の必要性を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、通信ネットワークへの無線アクセスを提供するための改善された概念を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項の特徴部によって達成される。更なる実施態様の形式は、従属請求項、説明及び図面から明らかである。
【0006】
第1の態様によれば、この目的は、ユーザー機器に通信ネットワークへの無線アクセスを提供する無線アクセスネットワーク(RAN)スライスによって解決される。RANスライスは、RANスライス識別子によって一意に識別される。RANスライスは、ユーザー機器にRANスライスへのアクセスを提供する基地局と、RANスライスを識別するRANスライス識別子をハンドリングするように構成されたアクセス及びモビリティ管理機能(AMF)エンティティと、RANスライスを介したユーザー機器のデータ通信をハンドリングするように構成されたセッション管理機能(SMF)エンティティとを備える。基地局は、RANスライスに接続するための、ユーザー機器を発信元とするアタッチ要求を受信し、このアタッチ要求がRANスライス識別子を含まない場合、RANスライスへのアクセスを拒否するように構成される。
【0007】
RANスライスは、通信ネットワークのサブネットワークとすることができる。RANスライスは、基地局、特にgNodeBと、AMF及びSMFとを備える。RANスライスは、ユーザープレーン機能(UPF:user plane function)のような、通信ネットワーク、特に5Gネットワークの更なる機能エンティティを備えることができる。
【0008】
ユーザー機器は、コンピューターシステム、特に、移動電話、スマートフォン、タブレットコンピューター、ラップトップコンピューター等とすることができる。ユーザー機器は、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)デバイス、特にセンサーとすることもできる。
【0009】
RANスライス識別子は、RANスライスに一義的に割り当てることができる一意コードを含むことができる。RANスライス識別子は、RANスライスを識別する。
【0010】
AMFエンティティは、RANスライス識別子をハンドリングするように構成される。AMFエンティティは、RAN制御プレーンインターフェースの終端、モビリティ管理、アクセス認証、アクセス認可等のような1つ以上の機能を更にハンドリングすることができる。
【0011】
SMFエンティティは、RANスライスを介したユーザー機器のデータ通信をハンドリングするように構成される。SMFは、ローミング機能、セッション管理、ユーザープレーン機能(UPF)エンティティの選択及び制御等を1つのみ又は組み合わせてハンドリングするように更に構成することができる。
【0012】
ユーザー機器は、通信ネットワークへのアクセスを要求するために、通信ネットワーク、すなわち基地局に向けてアタッチ要求信号を送信するように構成される。基地局は、AMFエンティティにアタッチ要求をハンドオーバーすることができる。RANスライスは、優先ユーザー機器のために予約されるRANスライスとすることができ、したがって、優先RANスライスとすることができる。
【0013】
一実施形態では、基地局は、アタッチ要求がRANスライス識別子を含む場合、ユーザー機器に対してRANスライスへのアクセスを許可するように構成される。
【0014】
ユーザー機器は、優先ユーザー機器として登録することができ、したがって、そのRANスライスに関係付けられたRANスライス識別子を含むことができる。
【0015】
一実施形態では、アタッチ要求は、送信スライス識別子を含む。基地局は、送信スライス識別子がRANスライス識別子に対応するか否かを特定するために、送信スライス識別子をRANスライス識別子と比較するように構成される。基地局は、送信識別子がRANスライス識別子とは異なる場合、RANスライスへのアクセスを拒否するように構成される。
【0016】
ユーザー機器は、所定のRANスライスを選択するためにスライス識別子を有することができ、アタッチ要求内のこのスライス識別子を送信する。スライス識別子は、ユーザー機器に対して、優先RANスライスへのアクセスを許可するために、ユーザー機器にハンドオーバーされている場合がある。
【0017】
一実施形態では、コネクション要求は、送信スライス識別子を含む。基地局は、送信スライス識別子又はアタッチ要求をAMFエンティティに向けて転送するように構成される。AMFエンティティは、送信スライス識別子がRANスライス識別子に対応するか否かを特定するために、送信スライス識別子をRANスライス識別子と比較するように構成される。AMFエンティティは、送信識別子がRANスライス識別子とは異なる場合、基地局に向けて拒否信号を送信するように構成される。基地局は、拒否信号に応答して、ユーザー機器によるRANスライスへのアクセス要求を拒否するように構成される。
【0018】
基地局は、RANスライスへのアクセスを許可する判断をAMFエンティティにハンドオーバーする。これは、基地局のリソースが解放されるので、有利であり得る。
【0019】
一実施形態では、基地局は、RANスライスのみへのアクセスを提供するように構成される。
【0020】
一般に、基地局は、複数のアクセス要求をハンドリングするとともに、複数のRANスライスへのアクセスを提供することができる。1つのRANスライスのみへのアクセスを提供するために基地局を予約することによって、有利に基地局のリソースを用いることができ、したがって、優先ユーザー機器のための使用が更に高まる。
【0021】
一実施形態では、アタッチ要求は、RAN識別子と、ユーザー機器についてのターゲットスライスを識別するターゲットネットワークスライス識別子とを含む。基地局は、ユーザー機器に対してRANスライスへのアクセスを許可するように構成される。基地局は、ターゲットネットワークスライス識別子を有するアタッチ要求を、AMFエンティティに向けて転送するように構成される。AMFエンティティは、ターゲットネットワークスライスに向けたユーザー機器の通信の転送を管理するように構成される。
【0022】
基地局及びAMFに対するアクセス及び割り当て機能の機能上の分割は、エンティティの各々のリソースを節約する。
【0023】
一実施形態では、RANスライスは、RANスライスから通信ネットワーク、特にターゲットネットワークスライスに向けられたユーザー機器の通信をルーティングするように構成されたルーターを備える。
【0024】
ユーザー機器の通信ネットワークに排他的に向けられた通信をルーティングするための、RANスライスにおける専用ルーターは、ユーザー機器の利益を高め、特に、共通ネットワークコネクションに対して速度及び/又は可能な送信データレートを高める。
【0025】
一実施形態では、基地局は、アタッチ要求が別のネットワーク識別子を含む場合、アタッチ要求を、当該別のネットワーク識別子によって識別される別の通信ネットワークの別の基地局に向けて転送するように構成される。
【0026】
当該別の基地局は、一意RANスライス識別子に関係付けられたネットワークコンテンツをハンドリングするために排他的に予約された、所定数の基地局の中の所定の1つの基地局とすることができる。
【0027】
一実施形態では、基地局は、アタッチ要求を、ユーザー機器から、又は、アタッチ要求を受信した別の基地局から受信するように構成される。
【0028】
ユーザー機器は、そのRANスライスに割り当てられた基地局に直接コンタクトすることもできるし、そのアタッチ要求がそのRANスライスのためのアタッチ要求であることを判断し、そのアタッチ要求を、そのRANスライスに関係付けられた基地局にハンドオーバーする別の基地局にコンタクトすることもできる。
【0029】
一実施形態では、基地局は、RANスライスの通信容量を示すRANスライスコネクティビティパラメーター、特に、周波数帯域、アクセス通信技術を送信するように構成される。
【0030】
優先RANスライスは、公衆陸上移動体ネットワーク(PLMN:public land mobile network)選択を実行するコネクティビティパラメーターを選ぶことができる。コネクティビティパラメーターは、端末からRANスライスへのコネクティビティ速度を高めるために所定のものとすることができる。さらに、送信RANスライスコネクティビティパラメーターを選ぶことは、それぞれのコアネットワークへのコネクションも改善することができる。RANスライスは、適切な周波数帯及びそれぞれの無線アクセス技術(RAT:radio access technology)を求めて探索する必要がない。ブートストラップサーバーへのリンクコネクションの場合、リンクコネクションを高速化することができるRANスライスの予約リソースを用いることができる。
【0031】
一実施形態では、基地局及び/又はAMFエンティティは、RANスライスを介したユーザー機器の通信のための通信リソース、特に、通信帯域幅、信号処理リソース及びメモリを提供するように構成される。
【0032】
RANスライスを介した通信のためにリソースを提供することにより、エンティティが、優先RANスライスを提供するとともに、加えて、優先されていない他のユーザー機器のための共通ネットワーク動作を実行することが可能になる。
【0033】
一実施形態では、アタッチ要求は、ユーザー優先度インジケーションを更に含む。ユーザー優先度インジケーションは、ユーザー機器に割り当てられた通信リソースを示す。基地局及び/又はAMFは、ユーザー優先度インジケーションに従って、通信のためのRANスライスの通信リソース、特に、通信帯域幅、信号処理リソース及びメモリを割り当てるように構成される。
【0034】
有効なRANスライスインジケーターを送信するユーザー機器は、RANスライスへのアクセスを許可される。ユーザー優先度インジケーションを用いることは、有効なユーザー機器の優先度ヒエラルキーを提供する。
【0035】
一実施形態では、アタッチ要求は、ユーザー機器識別情報、特に国際移動体加入識別子(IMSI:international mobile subscriber identity)を更に含む。AMF及び/又は基地局は、ユーザー機器識別情報に割り当てられた通信のための通信リソース、特に、通信帯域幅、信号処理リソース及びメモリを割り当てるように構成される。
【0036】
特定のユーザー機器をRANスライスへのアクセスを許可するように優先させることができる。特定のユーザー機器とは、例えば、所定の人物、特に、政治家、ボディーガード、消防士等の移動電話である。
【0037】
一実施形態では、基地局及び/又はAMFは、RANスライスの外部に配置された共有データバンクからの通信リソースの送信を要求するように構成される。
【0038】
基地局又はAMFが追加のリソースを要求した場合、RANスライスに向けて追加の送信リソースを分配することができる。これは、RANスライスの自身のリソースが不足する場合に有用であり得る。
【0039】
第2の態様によれば、目的は、無線アクセスネットワーク(RAN)スライスを用いてユーザー機器に通信ネットワークへの無線アクセスを提供する通信方法によって解決される。RANスライスは、RANスライス識別子によって一意に識別され、ユーザー機器にRANスライスへのアクセスを提供する基地局を備える。RANスライスは、RANスライスを識別するRANスライス識別子をハンドリングするように構成されたアクセス及びモビリティ管理機能(AMF)エンティティと、RANスライスを介したユーザー機器のデータ通信をハンドリングするように構成されたセッション管理機能(SMF)エンティティとを備える。通信方法は、
RANスライスに接続するための、ユーザー機器からのアタッチ要求を受信することと、
アタッチ要求がRANスライス識別子を含まない場合、基地局によって、RANスライスへのアクセスを拒否することと、
を含む。
【0040】
以下の図面に対して、本発明の実施態様が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の一実施形態による配置構成の概略図である。
図2図1の実施形態による方法の概略的なフローチャート図である。
図3】本発明の別の実施形態による配置構成の概略図である。
図4図3の実施形態による方法の概略的なフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の詳細な説明において、本開示の一部をなす添付図面に対して参照がなされ、図面において、図示によって、本発明を配置することができる特定の態様が示される。他の態様を利用することができ、本発明の範囲から逸脱することなく、構造上の変更又は論理的変更を行うことができることが理解される。したがって、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定されるので、以下の詳細な説明は、限定の意味で解釈されるべきものではない。
【0043】
例えば、説明される方法に関する本開示は、その方法を実行するように構成された対応するデバイス又はシステムについても成立することができ、その逆も然りであることが理解される。例えば、特定の方法ステップが説明される場合、対応するデバイスが、その説明される方法ステップを実行するユニットが明示的に説明されることも図面に示されることもない場合であっても、そのようなユニットを含むことができる。さらに、別段に指定されない限り、本明細書において説明される種々の例示の態様の特徴を互いに組み合わせることができることが理解される。
【0044】
図1は、一実施形態による配置構成の概略図を示している。
【0045】
この配置構成は、通信ネットワークのRANスライス100を備える。RANスライス100は、優先ユーザー及びそのユーザー機器のためのリソースを予約する優先RANスライスである。RANスライス100は、通信ネットワークへの優先アクセスを提供するように構成される。RANスライス100は、優先ユーザー機器のために予約される排他的なリソースを含む。RANスライス100のリソースは、基地局101、特に5GネットワークのgNodeBと、アクセス及びモビリティ管理機能(AMF)エンティティ103と、セッション管理機能(SMF)エンティティ105とを備える。RANスライス100は、ユーザープレーン機能(UPF)エンティティ104も備える。別の実施形態では、UPFは、RANスライス100の一部ではない。
【0046】
基地局101は、信号、特に、制御信号及び/又はユーザーデータを含む信号を送受信するネットワークインターフェースを備える。基地局101は、プロセッサを備える。プロセッサは、受信信号を処理するとともに、送信すべき信号を生成するように構成される。ネットワークインターフェース及びプロセッサ(双方とも、わかりやすくするために図面には示されていない)は、プロセッサがネットワークインターフェースによって受信された信号を処理することができ、かつネットワークインターフェースがプロセッサによって生成された信号を送信することができるように、互いに機能的に通信する。
【0047】
この配置構成は、ユーザー機器102を備える。ユーザー機器は、移動電話である。別の実施形態では、ユーザー機器102は、別のコンピューターシステム、特に、ノートブック、スマートウォッチ、タブレットコンピューター又はIoTデバイスである。
【0048】
ユーザー機器102は、通信ネットワークに接続するネットワークインターフェース(図示せず)を備える。ネットワークインターフェースは、ユーザー機器102をRANに接続する無線アクセスネットワーク(RAN)インターフェースである。
【0049】
ユーザー機器102は、優先ユーザー機器である。ユーザー機器102は、優先及び選好されたハンドリングを得る(特に、より高いデータレート、及び/又はより低いレイテンシー及び/又はより高いサービス品質を得ることを含む)ために、通信ネットワークのRANスライス100にアクセスすることを許可される。RANスライス100に接続するために、ユーザー機器は、ユーザー機器102のメモリ、又は、ユーザー機器102がアクセスを有するオンラインメモリに記憶されたRANスライス識別子を有する。ユーザー機器102は、通信ネットワークに向けて、すなわち、基地局101にアタッチ要求信号を送信し、アタッチ要求にRANスライス識別子を含める。
【0050】
基地局101は、RANスライス識別子を求めて、基地局101のネットワークインターフェースによって受信されたアタッチ要求をチェックするように構成される。アタッチ要求内で特定されたRANスライス識別子がRANスライス100に割り当てられたRANスライス識別子に対応しない場合、基地局101は、それぞれのユーザー機器のアタッチ要求を拒否するか、又は、単に、通常の方法で、すなわち、優先RANスライス100へのアクセスを提供することなく、通信ネットワークへのアクセスを提供する。
【0051】
受信アタッチ要求内で送信されたRANスライス識別子が優先RANスライス100のRANスライス識別子に対応する場合、基地局101は、アタッチ要求が送信された元のユーザー機器102に対して、RANスライス100へのアクセスを許可する。
【0052】
別の実施形態では、アタッチ要求信号は、付加的又は代替的に、RAN識別子及びターゲットネットワーク識別子を含む。この実施形態では、基地局101は、RAN識別子及びターゲットネットワーク識別子をチェックし、RAN識別子及びターゲットネットワーク識別子がRANスライス100に関係付けられたそれぞれの識別子に対応する場合、これらの識別子を、AMFエンティティ103に向けて、RANスライス100へのアクセスを許可するために転送する。AMFエンティティ103は、RAN識別子及びターゲットネットワーク識別子がRANスライス100に関係付けられたそれぞれの識別子に対応しない場合、基地局101に拒否制御信号を送信する。
【0053】
RANスライス100は、ユーザー機器102から、通信ネットワーク、特にターゲットネットワークスライスに向けられた通信をルーティングするルーター(図示せず)を備える。別の実施形態では、RANスライス100は、このルーターを備えず、それぞれの通信手順自体を管理する。
【0054】
基地局101は、ユーザー機器102の識別情報、特にIMSIをチェックするとともに、ユーザー機器102のこの識別情報がRANスライス100に関係付けられたメモリ、特にデータベースにデポジットされた場合、ユーザー機器102にRANスライス100の排他的なリソースを提供するように構成される。したがって、RANスライス100は、特定のユーザー機器102に対して実行される通信のためのみに予約される、このユーザー機器102用の排他的なリソースを提供する。別の実施形態では、ユーザー機器102の識別情報に関係付けられたリソースの制御は、付加的又は代替的にAMFエンティティ103によって実行される。
【0055】
付加的には、基地局101及び/又はAMFエンティティ103は、RANスライス100のみに関係付けられているのではない共有リソース、特に、共有データベースへのアクセスを有する。基地局101又はAMFエンティティ103は、それぞれ、共有リソースからRANスライス100への通信リソースの送信を要求するように構成される。
【0056】
図2は、図1に記載された実施形態による方法の概略的なフローチャート図200を示している。ステップ201において、通信ネットワークに接続するためのアタッチ要求が、基地局101によって受信される。この要求は、アタッチ要求信号を、通信ネットワークに向けて、したがって、基地局101に向けて送信することによって、ユーザー機器102によって以前に送信されたものである。
【0057】
ステップ202において、基地局101のプロセッサは、スライス識別子を求めてアタッチ要求をチェックする。
【0058】
送信されたアタッチ要求のスライス識別子がRANスライス100のRANスライス識別子に対応する場合、ステップ203において、基地局101は、ユーザー機器102に対して、RANスライス100へのアクセスを許可する。
【0059】
基地局101は、ユーザー機器102のための通信セッションを生成するようにAMFエンティティ103を制御する。この通信セッションは、RANスライス100の排他的なリソースの利益を得るとともに、ユーザー機器102に、優先通信、特に、通常の通信セッションに対して高いデータレート、及び/又は低いレイテンシー及び/又は高いサービス品質に関係付けられた通信を提供する。
【0060】
ステップ202において基地局101が、送信スライス識別子がRANスライス100のRANスライス識別子であると特定しない場合、基地局101は、ユーザー機器102に対して、RANスライス100へのアクセスを許可しない。基地局101は、RANスライス100へのアクセスを拒否する。この事例では、基地局は、このアタッチ要求を別の基地局にハンドオーバーすることもできるし、別のRANスライスへのアクセスを提供することもできる。
【0061】
図3は、別の実施形態による配置構成300の概略図を示している。
【0062】
配置構成300は、ユーザー機器102と、別の基地局106とを備える。配置構成300は、基地局101と、AMF103と、UPF104と、SMF105とを備えるRANスライス100を更に備える。別の実施形態では、UPF104は、RANスライス100の一部ではない。
【0063】
この実施形態におけるRANスライス100の基地局101は、RANスライス100のみに関係付けられた排他的な基地局である。別の実施形態では、基地局101は、通信ネットワークの他の部分、特に、優先RANスライス100とは異なる他のRANスライスへのアクセスも許可する。
【0064】
他の基地局106は、RANスライス100の一部ではなく、したがって、RANスライス100へのアクセスを直接提供することができない。他の基地局106は、RANスライス識別子を求めてアタッチ要求をチェックするように構成される。他の基地局106が、アタッチ要求信号内でRANスライス100のRANスライス識別子を検出した場合、他の基地局106は、このアタッチ要求を、RANスライス100の基地局101に向けて転送する。
【0065】
アタッチ要求をRANスライス100の基地局101にハンドオーバーした後、RANスライス100の基地局101は、上記で説明された方法で、ユーザー機器102のRANスライス100への接続を実行する。基地局101は、RANスライス100へのアクセスを許可することができるAMFエンティティ103に、アタッチ要求を転送することができる。
【0066】
別の実施形態では、アタッチ要求信号は、RAN識別子及びターゲットネットワーク識別子を含む。この実施形態では、基地局101は、RAN識別子及びターゲットネットワーク識別子をチェックし、RAN識別子及びターゲットネットワーク識別子がRANスライス100に関係付けられたそれぞれの識別子に対応する場合、これらの識別子を、AMFエンティティ103に向けて、RANスライス100へのアクセスを許可するために転送する。
【0067】
RANスライス100は、ユーザー機器102から、通信ネットワーク、特にターゲットネットワークスライスに向けられた通信をルーティングするルーター(図示せず)を備える。別の実施形態では、RANスライス100は、このルーターを備えず、それぞれの通信手順自体を管理する。
【0068】
基地局101は、ユーザー機器102の識別情報、特にIMSIをチェックするとともに、ユーザー機器102のこの識別情報がRANスライス100に関係付けられたメモリ、特にデータベースにデポジットされた場合、ユーザー機器102にRANスライス100の排他的なリソースを提供するように構成される。したがって、RANスライス100は、特定のユーザー機器102に対して実行される通信のためのみに予約される、このユーザー機器102用の排他的なリソースを提供する。別の実施形態では、ユーザー機器102の識別情報に関係付けられたリソースの制御は、付加的又は代替的にAMFエンティティ103によって実行される。
【0069】
付加的には、基地局101及び/又はAMFエンティティ103は、RANスライス100のみに関係付けられているのではない共有リソース、特に、共有データベースへのアクセスを有する。基地局101又はAMFエンティティ103は、それぞれ、共有リソースからRANスライス100への通信リソースの送信を要求するように構成される。
【0070】
図4は、図3に記載された実施形態による方法の概略的なフローチャート図400を示している。
【0071】
ステップ401において、通信ネットワークに接続するためのアタッチ要求が、他の基地局106によって受信される。他の基地局106は、RANスライス100へのアクセスを許可するように構成されていない。
【0072】
ステップ402において、他の基地局106は、アタッチ要求のスライス識別子をチェックする。
【0073】
他の基地局106が、送信スライス識別子がRANスライス100のRANスライス識別子に対応すると判断した場合、ステップ401においてアタッチ要求信号を受信する他の基地局101は、ユーザー機器102のための優先セッションを作成するように構成されていない。したがって、ステップ401において制御信号を受信した他の基地局106は、ユーザー機器102が、RANスライス100のRANスライス識別子に対応するスライス識別子を含むアタッチ要求を送信したと判断した後、ステップ403において、アタッチ要求を基地局101にハンドオーバーする。
【0074】
ステップ404において、基地局101は、上記で記載された方法で、ユーザー機器102に対して、通信ネットワークのRANスライス100への優先アクセスを提供する。
【符号の説明】
【0075】
100 RANスライス
101 基地局
102 ユーザー機器
103 AMFエンティティ
104 UPFエンティティ
105 SMFエンティティ
106 他の基地局
200、400 フローチャート図
300 配置構成
201〜203 ステップ
401〜404 ステップ
図1
図2
図3
図4