特許第6862620号(P6862620)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862620
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】婦人用肌着の編成方法及び婦人用肌着
(51)【国際特許分類】
   D04B 15/48 20060101AFI20210412BHJP
   D04B 1/24 20060101ALI20210412BHJP
   D04B 1/00 20060101ALI20210412BHJP
   D04B 1/18 20060101ALI20210412BHJP
   A41B 9/06 20060101ALI20210412BHJP
   A41B 17/00 20060101ALI20210412BHJP
   D04B 9/20 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   D04B15/48
   D04B1/24
   D04B1/00 Z
   D04B1/18
   A41B9/06 D
   A41B17/00 Z
   D04B9/20
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-241763(P2018-241763)
(22)【出願日】2018年12月7日
(65)【公開番号】特開2020-90760(P2020-90760A)
(43)【公開日】2020年6月11日
【審査請求日】2019年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】592205724
【氏名又は名称】サン エース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096275
【弁理士】
【氏名又は名称】草野 浩一
(72)【発明者】
【氏名】長尾 逸人
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−524667(JP,A)
【文献】 特開平07−189090(JP,A)
【文献】 特開2006−152488(JP,A)
【文献】 特表2018−504528(JP,A)
【文献】 特開2004−027459(JP,A)
【文献】 特開2009−144286(JP,A)
【文献】 特開2010−281000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 15/48
A41B 9/06
A41B 17/00
D04B 1/00
D04B 1/18
D04B 1/24
D04B 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編針シリンダの外側に交互に複数口の胸部以外の編糸供給装置と複数口の胸部編糸供給装置とを配設し、胸部以外の編地を編成するときは前記複数口の胸部以外の編糸供給装置のみを作動させ、胸部の編地を編成するときは前記胸部以外の編糸供給装置と前記胸部編糸供給装置の双方を作動させ、前記胸部編糸供給装置が胸部の編成を終了する際には、胸部編糸供給装置で編成された編成された糸をカッタで切断することを特徴とする婦人用肌着の編成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、婦人用肌着の編成方法及び前記編成方法により編成された婦人用肌着に係り、更に詳しくは、胸部のみ膨らまして容量を確保しながら胸部の容量を確保しながら背中等の胸部以外の部分を伸縮性のある組織とした婦人用ニット製肌着に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、婦人用肌着は、シュミーズ等のアンダーウエアとブラジャー等のファンデーションとスリップ等のランジェリーとに分類される。
しかしながら、最近は、アンダーウエアとブラジャー等のファンデーションとを兼用したインナウエアーの要望が多く、胸部回り及び背中にパワーの強い編組織を入れることが多い。
【先行技術文献】
婦人用肌着として、本発明の出願人が先に出願した実用新案文献等の先行技術がある。
【特許文献1】登録実用新案第3039099号公報。
特許文献1は胸部回り及び背中に伸縮性のあるパワーの強い編組織を入れた婦人用肌着である。
【0003】
また、編針シリンダの外側に選針装置を設け、編針を選針しながら編目を増減して編地を編成する編成方法も公知である。
【特許文献2】特開平7−189090号公報
【0004】
特許文献1に記載された婦人用肌着は、胸部円周に伸縮性のあるパワーの強い組織を用いても円周の伸びが確保できず胸部に延びる組織を用いても胸部の容量を確保できないという問題を生じる。
また、特許文献2に記載された編み針を選針しながら編目を増減して編地を編成する編成方法では、編成開始と編成終了に上げスティッチカム又は下げスティッチカム等のユニット、ピッカーユニット等が編機テーブルに占めるため、これらの取り付け面積が大きくなり、ピッカーユニット等を編機テーブルに設置することは困難である。
【0005】
即ち、編針を選針しながら編目を増減して編地を編成しながら胸部以外の部分を密着性の良い婦人用ニット製肌着を迅速に編成するには、上げカム、下げカム上げピッカー、下げピッカー等を配設することなく、選針装置を制御する自動制御装置を設けて胸部と胸部以外の部分を迅速に切り替えて婦人用ニット製肌着等を編成することが必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、胸部のみ膨らませて胸部容量を確保でき構造が簡単な婦人用肌着の編成方法と前記方法により編成された婦人用肌着等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、編針シリンダの外側に交互に複数口の胸部以外の編糸供給装置と複数口の胸部編糸供給装置とを配設し、胸部以外の編地を編成するときは前記複数口の胸部以外の編糸供給装置のみを作動させ、胸部の編地を編成するときは前記胸部以外の編糸供給装置と前記胸部編糸供給装置の双方を作動させ、前記胸部編糸供給装置が胸部の編成を終了する際には、胸部編糸供給装置で編成された糸をカッタで切断することを特徴とする婦人用肌着の編成方法を構成するものである。
【0008】
複数口の編糸供給装置は、8口以下の編糸供給装置が交互に配設されることが好ましい。
【0009】
前記胸部がその他の編地部の2倍の編目を有するように編成させ、前記胸部がその他の編地部の2倍の編目を有するように編成されると好適である。
【0010】
前記胸部がその他の編地部の2倍の編目を有するように編成させてもよい。
【0011】
前記胸部がシングルカバリング糸、ダブルルカバリング糸又はウーリーナイロン糸とからなるように編成されると好適である。
【0012】
婦人用肌着等はプレーン編で編成され、胸部を編成するときは複数口の編糸供給装置を作動させ、前記胸部以外の編地を編成するときは前記複数口の1/2口の編糸供給装置を作動させるように選針作用をさせこれらの組み合わせによって編成され、編地はカットボス編のように、地糸の上に別の糸を重ねて編成する場合に、地糸からなる編地の部分的な領域に別の糸を編み込んで編成するように、胸部が他の編地部の複数倍の編目を有するように編成される。
【0013】
本発明の糸使いは自由に選択しうるものである。例えば、胸部以外の編地を編成するときは芯糸の20〜140デニールのポリウレタン弾性糸に10〜70デニールのナイロンフィラメント糸をカバリングしたシングルカバリングヤーンとウーリーナイロン双糸とのプレーティング(表裏糸)、胸部の編地を編成するときは、前記シングルカバリングヤーンとウーリーナイロン双糸とのプレーティング(表裏糸)糸にシングルカバリングヤーンを加えて編成する組み合わせで構成される。
【0014】
このような組織を編成する丸編機は、図1に示すように、編針を備えたシリンダ1の周囲に給糸口を有する複数、例えば8口の編糸供給装置が設けられ、各編糸供給装置には複数、例えば8本の編針をそれぞれ作動、非作動位置に上下動させるカムから構成されている。そして8本の編針をそれぞれ作動、非作動位置に上下動させるカムを作動する編成制御装置がリード線を通して接続されている。
【0015】
婦人用肌着において、部位により同一の糸使いの糸を使用しながら、胸部の編地を編成するときは胸部以外の編地を編成するときに比べて編目数を多くして胸部と胸部以外の部糸の着圧が等しくし、胸部と胸部以外の部分との着圧(締め付け圧)を等しくなるように編目数を変化させ、着圧を等しくすることができる。
【0016】
普通の婦人用肌着は、肌着の形状にあわせて編目の大きさを変更しながら編成される、いわゆるファッショニングと称し、編目も段階的に変化させながら編成されるが、本願発明の場合、編地に強い伸縮力を有する弾性糸を給糸しても正確な割合で送りこまれる編糸によってプログラム制御される。
【0017】
このために、編地の編成に伴って、編目を変化させるファッショニング装置、給糸時の解除テンションを一定に保つテンション装置、コンピュータ制御によって弾性糸の送りこみ量を制御する積極給糸装置を装備した編機によって編成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のニット製婦人用肌着は、胸部と胸部以外の部分を構造が簡単で大量生産ができ、胸部はプレーン編で最も伸びが良いが、胸部のふくらみがカバーでき、容量が確保できる婦人用肌着の編成方法と前記方法により婦人用肌着等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明でいう婦人用ニット製肌着等とは、ガードル、スパッツ、タイツ、インナーに限らず、その他同効の肌着も含むものである。以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明に使用する丸編機の概略平面図、図2(イ)は編成位置の編針とシンカーとの関係位置の一実施例を示す斜視図、(ロ)は非編成位置の編針とシンカーとの関係位置の一実施例を示す斜視図、図3(イ)は編成位置の編針と供糸との関係位置の一実施例を示す表、(ロ)は非編成位置の編針と供糸との関係位置の一実施例を示す表である。
【0021】
入力装置は編針の本数や設定する編目数を入力し、各センサから信号を受信し、設定値データと比較し、補正信号を発信するものであり、フロッピーディスクROM等公知のパソコンを使用することができる。
【0022】
図4に示すような組織を編成する丸編機は、編針を備えたシリンダ1の周囲に給糸口を有する8口の編糸供給装置1F,2F,3F,4F,5F,6F.7F,8Fが設けられている。まず、センサにより編糸供給装置1Fで編針2が作動され、制御装置により所定数の編目を編成し、図4のAに示す編目YAが編成され、編糸供給装置2Fにシリンダが回動すると、制御装置によりセンサにより編糸供給装置2Fで編針2が作動され、所定数の編目YBを編成する。編針2が作動され、制御装置により所定数の編目を編成した後、センサにより編糸供給装置3Fに回転すると、編糸供給装置2Fで編成された糸YBがカッタで切断され、除去される。編糸供給装置3Fにシリンダが回動すると、制御装置によりセンサにより編糸供給装置3Fで編針2が作動され、所定数の編目を編成する。以後図4のAに示す編目と同様な編地Cが編成され、以下同様な編成が繰り返される。
【0023】
図4にAに示す編目YAが編成される編糸は、編糸供給装置1F,3F,5F,7FではSCY17/22とウーリーナイロン56/2の100%プレーティングであり、編糸供給装置2F,4F,6F,8FではSCY22/78である。
【0024】
上記実施例では、図4に示すように、バスト部コース数12(432コース)、バスト部ウェール数13(400ウェール)、バスト部以外の円周ウェール数15(752ウェール)の1単位が編成される。
【実施例2】
【0025】
図4に示すような組織を編成する丸編機は、編針を備えたシリンダ1の周囲に給糸口を有する8口の編糸供給装置1F,2F,3F,4F,5F,6F.7F,8Fが設けられている。まず、センサにより編糸供給装置1Fで編針2が作動され、制御装置により所定数の編目を編成し、図4のAに示す編目YAが編成され、編糸供給装置2Fにシリンダが回動すると、制御装置によりセンサにより編糸供給装置2Fで編針2が作動され、所定数の編目YBを編成する。編針2が作動され、制御装置により所定数の編目を編成した後、センサにより編糸供給装置3Fに回転すると、編糸供給装置2Fで編成された糸YBがカッタで切断され、除去される。編糸供給装置3Fにシリンダが回動すると、制御装置によりセンサにより編糸供給装置3Fで編針2が作動され、所定数の編目を編成する。以後図4のAに示す編目と同様な編地Cが編成され、以下同様な編成が繰り返される。
【0026】
図4にAに示す編目YAが編成される編糸は、編糸供給装置1F,3F,5F,7FではSCY17/22とウーリーナイロン56/2の100%プレーティングであり、編糸供給装置2F,4F,6F,8FではDCY22/78である。
【0027】
上記実施例では、図5に示すように、バスト部コース数12(432コース)、バスト部以外の円周コース数14(バストサイド〜背中〜バストサイド216コース)、バスト部ウェール数13(400ウェール)、バスト部以外の円周ウェール数15(バストサイド〜背中〜バストサイド752ウェール)の1単位が編成され、点線16に沿って裁断すれば婦人用肌着が製作される。
【0028】
この編地の糸使いは、20デニールのポリウレタン弾性糸に、50デニールのナイロンフィラメント糸をカバリングした、SCY(シングルカバリングヤーン)を使用してもよい。また、60番手の綿糸の代わりに綿、レーヨンからなる混紡糸を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のニット製肌着等は、理想的な着圧分布を形成し、靴下・ガードル・インナ−等に広く利用しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】 本発明に使用する丸編機の概略平面図である。
図2】 (イ)は編成位置の編針とシンカーとの関係位置の一実施例を示す斜視図、(ロ)は非編成位置の編針とシンカーとの関係位置の一実施例を示す斜視図である。
図3】 (イ)は編成位置の編針と供糸との関係位置の一実施例を示す表、(ロ)は非編成位置の編針と供糸との関係位置の一実施例を示す表である。
図4】 本発明の胸部と胸部以外の編地と編成位置との関係を示す一部拡大組織図である。
図5】 (イ)は本発明の実施例2のコース数とウェール数を示す婦人用肌着の正面図、(ロ)は(イ)の側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 シリンダ
2 編針
3 シンカー
4 制御装置
5 導線
A乃至C 編地
1F乃至8F 編糸供給装置
図1
図2
図3
図4
図5