特許第6862625号(P6862625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6862625-インストルメントパネルの支持構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862625
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】インストルメントパネルの支持構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20210412BHJP
   B60K 37/04 20060101ALI20210412BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   B60N3/10 A
   B60K37/04
   B60R7/06 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-220913(P2018-220913)
(22)【出願日】2018年11月27日
(65)【公開番号】特開2020-83081(P2020-83081A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】土田 佳史
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−113068(JP,A)
【文献】 特開2016−084040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
B60K 37/04
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルコアと、当該インストルメントパネルコアに設けた開口に嵌め込まれたカップホルダと、を備えたインストルメントパネルの支持構造であって、
上記インストルメントパネルコアの上記開口が設けられた領域は、ブラケットを介して車体構造部材に支持されており、
上記ブラケットは、ボックス部と、当該ボックス部の外周から延出するフランジ部とを有し、
上記ボックス部の底部が上記車体構造部材に連結されるとともに上記フランジ部が上記インストルメントパネルコアに連結されており、
上記ボックス部には、重力により液体を誘導して排出する液体誘導手段が設けられていることを特徴とする、インストルメントパネルの支持構造。
【請求項2】
上記ブラケットの上記ボックス部には、上記底部と当該底部以外の壁とをつなぐリブ部を有するハーネスクランプ部が設けられている、請求項1に記載のインストルメントパネルの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストルメントパネルの支持構造に関し、詳しくは、飲料容器を保持するカップホルダが組み込まれたインストルメントパネルの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されているように、車両のインストルメントパネルには、カップホルダが組み込まれることがある。同文献に示されたものは、ベンチレータの吹き出し口を開閉するリッドの動きに連動してリング状のホルダ部材が所定の姿勢をとり、当該ホルダに保持される飲料容器の底部を水平な開位置をとるリッドが支える構成である。
【0003】
同文献の構成では、飲料容器は、水平な姿勢のリッドに載せられた状態でリング状のホルダ部材により倒れないように保持されるだけであるため、飲料容器の保持状態が不安定であり、飲料容器からこぼれ出た液体がインストルメントパネルの表面部や内部を伝い、電装品やハーネス、あるいはコネクタを濡らす恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−195937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、カップホルダに飲料容器を安定保持できるとともに、飲料容器からの液体漏れ対策を施したインストルメントパネルの支持構造を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0007】
すなわち、本発明によって提供されるインストルメントパネルの支持構造は、インストルメントパネルコアと、当該インストルメントパネルコアに設けた開口に嵌め込まれた有底状カップホルダと、を備えたインストルメントパネルの支持構造であって、上記インストルメントパネルコアの上記開口が設けられた領域は、ブラケットを介して車体構造部材に支持されており、上記ブラケットは、ボックス部と、当該ボックス部の外周から延出するフランジ部とを有し、上記ボックス部の底部が上記車体構造部材に連結されるとともに上記フランジ部が上記インストルメントパネルコアに連結されており、上記ボックス部には、重力により液体を誘導して排出する液体誘導手段が設けられていることを特徴とする。
【0008】
好ましい実施の形態では、上記ブラケットの上記ボックス部には、上記底部と当該底部以外の壁とをつなぐリブ部を有するハーネスクランプ部が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
ブラケットは、ボックス部とフランジ部とを有し、構造上高剛性を有する。インストルメントパネルにおけるカップホルダ用開口が設けられた領域は、このような高剛性を有するブラケットを介してピラー・ツー・ピラーメンバなどの車体構造部材に支持されるので、その支持剛性は強固なものとなる。また、ボックス部に所定のリブ部を有するハーネスクランプ部を設けることにより、ブラケットの剛性がより高まり、当該ブラケットによるインストルメントパネルの支持剛性をより高めることができるとともに、カップホルダの設置領域に近い部位に設けたスイッチ類へのハーネスの配索を適正に行うことができる。
【0010】
ブラケットのボックス部には重力により液体を誘導して排出する液体誘導手段が設けられているので、カップホルダ用開口からブラケット内に滴下した液体を電装品の水濡れを避ける部位に誘導して排出することができる。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明が適用されるインストルメントパネルを示し、図2のI方向矢視図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】ブラケットの全体斜視図であり、車室側から視た図に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
図1および図2に示すように、車両のインストルメントパネル100は、樹脂で成形されたインストルメントパネルコア200に、メータ類、各種スイッチ類、エアコン用吹き出し口240、カーオーディオ、飲料容器Bを収容保持するカップホルダ300等の各種部品を組み込んで構成される。本発明は、通常、左右部に設けられるカップホルダ300を有するインストルメントパネル100の支持構造に関する。以下においては、右方に設けられるカップホルダ300付近のインストルメントパネル100の支持構造の一例を代表して説明する。
【0015】
インストルメントパネルコア200には、カップホルダ用開口210が設けられ、このカップホルダ用開口210に上方から嵌合させるようにしてカップホルダ300が設けられる。カップホルダ300は上向き開口310を有する有底筒状の部材である。本実施形態では、インストルメントパネルコア200におけるカップホルダ用開口210の上方にはエアコン用吹き出し口240が設けられている。このカップホルダ300には、たとえばペットボトルなどの飲料容器Bを挿入保持することができる。インストルメントパネルコア200におけるカップホルダ用開口210が設けられた部位の下方には、スイッチベース110が配置され、当該スイッチベース110には、フォグランプスイッチやエアコンスイッチ等のスイッチ類111が配置されている。
【0016】
インストルメントパネルコア200の左右部、すなわち上記カップホルダ300が設けられる領域は、以下の構成を有するブラケット500を介して車体構造部材としてのピラー・ツー・ピラー・メンバ400に支持されている。
【0017】
ブラケット500は、たとえば樹脂成型により形成され、図2および図3に示すように、ボックス部510と、当該ボックス部510の外周から延出するフランジ部520とを有する。ボックス部510は、上部壁511と、左右側部壁513,514と、下部壁512と、底部壁515とで矩形断面の内部空間540を形成しており、取付け状態において、後方斜め上方を向いて開口している。
【0018】
下部壁512は、前方に向かうほど下位となるように傾斜しており、かつ、底部壁515の下部には、下部壁512の前端と隣接する排水口516が貫通形成されており、これら傾斜状の下部壁512と排水口516とが本発明における液体誘導手段600を構成している。また、下部壁512の後端部には、インストルメントパネルコア200におけるカップホルダ用開口210の後縁から前方傾斜しながら下方に延びる下垂部230の一部がオーバラップさせられている。
【0019】
フランジ部520は、ボックス部510の上部壁511から左右側部壁513,514にかけて、それらから外方に起立するようにして設けられている。
【0020】
本実施形態ではまた、ブラケット500には、ハーネスクランプ部530が設けられている。このハーネスクランプ部530は、ボックス部510の下部壁512と底部壁515とにつながり、側部壁513と平行なリブ部531と、当該リブ部531と側部壁513とをつなぐ後壁部532と、当該後壁部532の上端とリブ部531の上端と側部壁513と底部壁515とをつなぐ棚壁部533とを有し、ボックス部510の前方下部コーナ部を矩形ボックス状に凹入させたような形態を有する。図示しないハーネスは、後壁部532に設けられた孔534を利用して取り付けられたクランプ部材(図示略)に保持される。
【0021】
ブラケット500は、ボックス部510の底部壁515がピラー・ツー・ピラー・メンバ400に対してインパクトねじ410を用いた固定手段を用いるなどして連結され、フランジ部520がインストルメントパネルコア200の裏面に設けた複数のボス部220に対してタッピングねじ521をねじ込むことによって、インストルメントパネルコア200に対して連結されている。その結果、インストルメントパネルコア200におけるカップホルダ用開口210を設けた左右領域は、ブラケット500を介してピラー・ツー・ピラー・メンバ400に支持されていることになる。
【0022】
次に、上記構成のインストルメントパネルの支持構造A1の作用について説明する。
【0023】
ブラケット500は、ボックス部510とフランジ部520とを有し、構造上高剛性を有する。インストルメントパネルコア200におけるカップホルダ用開口210が設けられた領域は、このような高剛性を有するブラケット500を介してピラー・ツー・ピラーメンバ400などの車体構造部材に支持されるので、その支持剛性は強固なものとなる。また、ボックス部510にリブ部531を含むボックス状のハーネスクランプ部530が設けられているので、ブラケット500の剛性がより高まり、当該ブラケット500によるインストルメントパネルコア200の支持剛性をより高めることができるとともに、カップホルダ300の設置領域に近い部位に設けたスイッチ類111へのハーネスの配索を適正に行うことができる。
【0024】
ブラケット500のボックス部510には、傾斜状の下部壁512と、底部壁515に設けた排水口516とを含む、重力により液体を誘導して排出する液体誘導手段600が設けられているので、カップホルダ300に保持させた飲料容器Bからこぼれた飲料がカップホルダ用開口210の隙間から侵入するなどしてブラケット500の内部空間540内に滴下進入したとしても、飲料が電装品、たとえばスイッチ類111が水濡れを受けることがないように誘導して排出することができる。
【0025】
もちろん、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されることはなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる設計変更は、すべて本発明の範囲に含まれる。
【0026】
たとえば、ブラケット500の具体的形態は問われず、特にボックス部510は実施形態のように矩形断面である必要はなく、内部空間540の断面形態は問われない。重要な点は、ボックス部510の底部壁515が直接または間接にピラー・ツー・ピラー・メンバ400などの車体構造部材に連結され、フランジ部520がインストルメントパネルコア200に連結されていることである。
【0027】
また、ハーネスクランプ部530についても、ボックス部510の剛性を高めるリブ部531を有することが重要なのであって、それ以外の具体的構成は問われない。
【0028】
さらに、ボックス部510に形成する液体誘導手段600についても具体的構成は実施形態に限られない。ボックス部510の内部空間540に滴下進入した液体が傾斜面を伝い、内部空間540の最底部に形成した排水口516から排出されるようにすればよい。
【符号の説明】
【0029】
A1 インストルメントパネルの支持構造
B 飲料容器
100 インストルメントパネル
110 スイッチベース
111 スイッチ類
200 インストルメントパネルコア
210 カップホルダ用開口
220 ボス部
230 下垂部
240 エアコン用吹き出し口
300 カップホルダ
310 上向き開口
400 ピラー・ツー・ピラー・メンバ
410 インパクトねじ
500 ブラケット
510 ボックス部
511 上部壁
512 下部壁
513 側部壁
514 側部壁
515 底部壁
516 排水口
520 フランジ部
521 タッピングねじ
530 ハーネスクランプ部
531 リブ部
532 後壁部
533 棚壁部
534 孔
540 内部空間
600 液体誘導手段
図1
図2
図3