(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記絶縁体層(39)が、SiOおよび/もしくはSiO2を含むか、またはSiOおよび/もしくはSiO2で構成されている、請求項1に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
前記第1の表面(41)と前記第2の表面(42)は距離(D)だけ離れており、前記ノズル(31)の長手方向の長さ(L)は、前記距離(D)と、前記中央部分(43)の前記高さ(H)との間の差によって規定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
前記ノズル(31)の各々は、上部(32)と、前記上部(32)と軸方向に整列した底部(33)とを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
前記実質的に円筒形のキャビティ(50)の長手方向の長さが、前記基部(44)の厚さに実質的に等しい、請求項9に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
前記上部エッチング工程のマスキング工程は、前記第1の表面(41)上の第1のマスクを用いて行われ、前記底部エッチング工程のマスキング工程は、前記第2の表面(42)上の第2のマスクを用いて行われる、請求項8〜12のいずれか一項に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
前記底部エッチング工程と前記上部エッチング工程との位置合わせが、前記基準キャビティ(60)を基準として使用することによって行われる、請求項12を引用する請求項15に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2011/154394号パンフレットには、上記技術分野のインクジェットプリントヘッドの製造方法が開示されている。本出願人は、シリコンオリフィスプレートの使用が、国際公開第2011/154394号パンフレットの前に一般的であったニッケル製のオリフィスプレートよりも多くの利点を有することを立証した。
【0003】
しかしながら、オリフィスプレートを作成するためにシリコンを使用することは、いくつかのさらなる問題を提起する。実際、15.24cm(6インチ)以上のウェハ直径の市販されているものより薄いシリコンウェハは、通常約200μmの厚さを有する。しかし、この厚さは、既知の技術によってオリフィスプレートを得るためにウェハが使用されるには大きすぎる。
【0004】
ウェハの所望の厚さは、10μmと100μmとの間(例えば、約50μm)である。しかしながら、そのように薄いシリコンウェハは、通常、製造が非常に困難であり、したがって非常に高価である。さらに、このような薄いシリコンウェハは、脆弱性の観点から、手作業と自動システムによるとの両方で取り扱うことが非常に困難である。国際公開第2011/154394号パンフレットでは、著者は、このようなシリコンオリフィスプレートを実現するためのいくつかの方法を提案した。
【0005】
国際公開第2011/154394号パンフレットによれば、インクジェットプリントヘッドの製造方法は、市販のシリコンウェハ(例えば、厚さ200μm〜250μm)の中央部分を除去することによって開始し、それによって、残りの構造は、平坦な延
長部を有する基部と、上記基部から上記基
部に対して横方向に延
びる周辺部とを有する。ノズルは、中央部分が除去される前および/または後に基部に形成される。周辺部は、シリコンウェハを、自動化された製造ラインで自動ロボットによって容易に取り扱うことを可能にする。
【0006】
最後に、シリコンウェハが切断されて、複数のオリフィスプレートが得られ、その各々は、インクジェットプリントヘッドを得るために、それぞれのシリコン基板および液圧構造層と組み付けることができる。
【0007】
代替的に、オリフィスプレートを有するシリコンウェハは、ウェハボンディングプロセスによってプリントヘッドウェハに直接接合することができる。このウェハボンディングは、直接ボンディングまたは接着層による間接ボンディングとすることができる。
【0008】
オリフィスプレートの厚さは、吐出チャンバの液滴質量およびインク再充填段階に強く影響し、一方で、オリフィスプレート形状およびオリフィスプレートの表面品質は、液滴吐出挙動に影響する。したがって、プレート全体にわたって良好な厚さ均一性を得ることが強く望まれている。
【0009】
国際公開第2011/154394号パンフレットに示された方法は、ウェハ制御手順に非常に問題のある厚さを導入し、その結果、プロセス時間が長くなり、非常に脆弱なウェハを取り扱うことが困難になる。例えば、中央部領域のエッチングを、固定プロセス時間で、プロセス終端近く、すなわち、ほぼエッチング端部から50マイクロメートル未満の距離で停止させ、エッチングされた部分の厚さを検証することが必要となる。検証は、所望のオリフィスプレートの厚さで完全な様態でエッチングを完了するために最終的に必要とされるプロセス時間を正確に示す。これにより、オリフィスプレートの製造に非常に時間がかかる。
【0010】
さらに、第2の表面を薄化する工程は、例えばウェットエッチング溶液組成物および浴温度があまり良好に制御されていない場合、またはウェハ表面全体にわたって均一に保たれていない場合に、最終的なシリコン表面上に表面欠陥を導入する可能性がある。これは、例えば、ダイシングまたは熱圧着のような次の製造方法ステップの多くの間に問題を引き起こす可能性がある。薄化した表面は、外部ノズル表面に対応することがあり、欠陥が多すぎると、印刷品質に著しい影響を及ぼす可能性がある。
【0011】
上記によれば、国際公開第2011/154394号パンフレットから知られている方法は、プリントヘッドの製造時間、および、薄化工程から得られる表面の表面品質に改善の余地を残す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の技術分野のプリントヘッドの概略断面図である。
【
図2】ノズルの形状に関する
図1の詳細を概略的に示す図である。
【
図3a】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第1の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す図である。
【
図3b】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第1の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図3aの拡大領域の図である。
【
図3c】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第1の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図3aの拡大領域の図である。
【
図3d】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第1の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図3aの拡大領域の図である。
【
図3e】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第1の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図3aの拡大領域の図である。
【
図3f】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第1の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図3aの拡大領域の図である。
【
図3g】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第1の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図3aの拡大領域の図である。
【
図4a】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第2の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す図である。
【
図4b】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第2の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図4aの拡大領域の図である。
【
図4c】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第2の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図4aの拡大領域の図である。
【
図4d】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第2の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図4aの拡大領域の図である。
【
図4e】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第2の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図4aの拡大領域の図である。
【
図4f】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第2の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図4aの拡大領域の図である。
【
図4g】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第2の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図4aの拡大領域の図である。
【
図5a】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第3の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す図である。
【
図5b】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第3の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す図である。
【
図5c】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第3の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図5bの拡大領域の図である。
【
図5d】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第3の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図5bの拡大領域の図である。
【
図5e】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第3の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図5bの拡大領域の図である。
【
図5f】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第3の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図5bの拡大領域の図である。
【
図5g】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第3の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図5bの拡大領域の図である。
【
図6a】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第4の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す図である。
【
図6b】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第4の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図6aの拡大領域の図である。
【
図6c】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第4の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図6aの拡大領域の図である。
【
図6d】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第4の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図6aの拡大領域の図である。
【
図6e】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第4の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図6aの拡大領域の図である。
【
図6f】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第4の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図6aの拡大領域の図である。
【
図6g】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第4の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図6aの拡大領域の図である。
【
図6h】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第4の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図6aの拡大領域の図である。
【
図6i】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第4の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図6aの拡大領域の図である。
【
図7a】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第5の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す図である。
【
図7b】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第5の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図7aの拡大領域の図である。
【
図7c】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第5の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図7aの拡大領域の図である。
【
図7d】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第5の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図7aの拡大領域の図である。
【
図7e】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第5の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図7aの拡大領域の図である。
【
図7f】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第5の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図7aの拡大領域の図である。
【
図7g】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第5の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図7aの拡大領域の図である。
【
図7h】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第5の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図7aの拡大領域の図である。
【
図7i】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第5の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図7aの拡大領域の図である。
【
図7j】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第5の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図7aの拡大領域の図である。
【
図7k】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第5の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図7aの拡大領域の図である。
【
図7l】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第5の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図7aの拡大領域の図である。
【
図8a】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第6の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す図である。
【
図8b】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第6の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図8aの拡大領域の図である。
【
図8c】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第6の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図8aの拡大領域の図である。
【
図8d】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第6の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図8aの拡大領域の図である。
【
図8e】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第6の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図8aの拡大領域の図である。
【
図8f】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第6の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図8aの拡大領域の図である。
【
図8g】インクジェットプリントヘッドの製造方法の第6の実施形態において実行される例示的なステップの1つを概略的に示す、
図8aの拡大領域の図である。
【
図9】インクジェットプリントヘッドの製造方法の実施形態によって実施される薄化工程後のシリコンウェハ、および、単一のノズルプレートの拡大図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面を参照して、本発明の方法によって製造されたプリントヘッドが、一般的にプリントヘッド1として示されている。
【0029】
本発明による方法は、能動吐出要素11を含むシリコン基板10を用意するステップを含む。好ましくは、能動吐出要素11は、加熱要素であり、インク滴を発生させ、ノズル31を通してインク滴を吐出するためにインクを加熱する。この場合、プリントヘッド1はサーマルインクジェットプリントヘッドである。代替的な実施形態では、能動吐出要素11は、膜を変位させ、結果としてノズル31からインクを押し出し、これを吐出されるようにするために電気的に作動される圧電要素である。そのような実施形態では、プリントヘッド1は圧電インクジェットプリントヘッドである。
【0030】
シリコン基板10はまた、能動吐出要素11に、予め設定されたパターンによって、印刷されるべく決定された媒体上にインクが吐出されるように、適切かつ選択的に指令するように構成された電気回路(図示せず)を含んでもよい。しかし、電気回路は他の場所に配置することもできる。
【0031】
本発明による方法は、インクが流れる液圧回路を形成するための液圧構造層20を設けるステップをさらに含み、これは、当該層がインクの流れを誘導できるように構成されていることを意味する。
【0032】
好ましくは、液圧構造層20は、その厚さが10μmと200μmとの間に含まれ得るポリマーフィルムである。
【0033】
さらに好ましくは、液圧構造層20は、インクが能動吐出要素11の作用を受ける吐出チャンバと、吐出チャンバにインクを誘導する供給チャネルとを形成する。好ましくは、インクはリザーバに貯蔵され、インク供給スロット(図示せず)を介して供給チャネルに到達する。
【0034】
本発明による方法は、インク液滴の吐出のための複数のノズル31を有するシリコンオリフィスプレート30を用意するステップをさらに含む。
【0035】
好ましくは、複数のシリコンオリフィスプレート30が1つのシリコンウェハ40から得られる(
図9参照)。ノズル形成後、オリフィスプレート30は、好ましくはダイシング工程によって互いに分離される。続いて、各オリフィスプレート30は、それぞれのシリコン基板10と位置合わせされ、それぞれのシリコン基板10上に取り付けられる。
【0036】
本明細書の文脈では、オリフィスプレート30は、好ましくは、上に簡単に示されているように得られる。
図1に示すように、シリコン基板10と、液圧構造層20と、ノズル31を備えるオリフィスプレート30とが組み立てられて、プリントヘッド1が形成される。好ましくは、組み立て工程は、液圧構造層20がシリコン基板10とシリコンオリフィスプレート30との間に位置するように実行される。
【0037】
好ましくは、組み立て工程は、シリコン基板10、液圧構造層20およびオリフィスプレート30が圧縮され(例えば圧力は1バールと10バールとの間を含む)、同時に加熱される(例えば、温度は150℃と200℃との間を含む)熱圧縮部分工程を含む。熱圧縮部分工程の持続時間は、数分から数時間まで変化し得る。より詳細には、以下のようにしてオリフィスプレート30を得ることができる。
【0038】
ウェハ40の両側において第1の表面41および第2の表面42によって形成される実質的に平坦な延
長部を有するシリコンオンインシュレータウェハ40が用意される。実質的に平坦な延
長部は、本出願の文脈において、ウェハの厚さ方向において、その最大横方向寸法の5%を超える程度まで数学的平面から外れていない延
長部である。好ましくは、第1の表面41および第2の表面42は、100nmと数ミクロンまでの間の厚さの酸化ケイ素を含むか、または好ましくはそれから構成されるが、第1の表面41および第2の表面42を形成するために、窒化ケイ素、炭化ケイ素などのような材料、または適切なフォトレジスト材料のような他の材料も適宜使用されてもよい。好ましくは、第1の表面41と第2の表面42とは互いに実質的に平行であり、これは、第1の表面41と第2の表面42との間の角度が5°以下、好ましくは1°以下であることを意味する。
【0039】
第1の表面41および第2の表面42は、距離Dだけ離れている。シリコンオンインシュレータウェハ40は、例えば、100μmをわずかに上回り、380μmまでの厚さを有することができる。好ましくは、シリコンオンインシュレータウェハ40は200μmの厚さとすることができる。
【0040】
一般に、シリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハは、3つの異なる層、すわなち、その厚さHが通常100μm〜1000μmに及ぶ、シリコンからなるハンドル層37と、ハンドル層37よりもはるかに薄く、1μmまたはそれよりわずかに小さい厚さを有することができる、シリコンからなるデバイス層38とを備える。さらに、SOIは、その間に、通常数ミクロンまでの厚さの埋め込み絶縁層39を備える。絶縁体層39は、通常、酸化ケイ素からなることができるが、窒化ケイ素または炭化ケイ素のような他の絶縁材料も絶縁体層39として選択することができる。
【0041】
本発明によれば、シリコンウェハ40の第2の表面42で薄化工程が実行される。このようにして、予め設定された高さHを有する中央部分43が除去される。予め設定された高さHは、SOIウェハ40のハンドル層37の厚さまたは高さに等しい。好ましくは、高さHは100μmと360μmとの間に含まれ得る。特に好ましくは、高さHは120μmと160μmとの間に含まれ得る。
【0042】
延
長部を有する基部44と、基部44から同基部4
4に対して横方向に延
びる周辺部45とによって形成される。この段階でのシリコンウェハ40の形状が
図9に概略的に示されている。周辺部45の外面は、基部44から、基部4
4に対して垂直に延
びることが好ましい。
【0043】
実際には、薄化工程の後、シリコンオンインシュレータウェハ40は、例えば
図3fおよび
図9に示されるようなリング構造を有する。言い換えれば、薄化工程によって、シリコンオンインシュレータウェハ40の厚さは、厚さがシリコンオンインシュレータウェハ40の初期厚さに対して実質的に変化しないままである周辺部45とは別に、低減する。このように成形されたシリコンオンインシュレータウェハ40は、比較的厚い周辺部45に起因して、手動でかつ/または自動製造ラインの自動システムによって容易に取り扱うことができ、同時に、十分に薄いオリフィスプレート30をウェハ40の内側部分から得るために使用することができる。これにより、周辺部45を「ハンドリング部分」として用いることができる。
【0044】
ウェハ40には、インクを吐出するノズル31を各々が形成する複数の貫通孔が形成されている。
【0045】
上述したように、オリフィスプレート30は、ノズル31を形成した後にシリコンオンインシュレータウェハ40を切断して複数のオリフィスプレートを得るダイシング工程によって得られることが好ましい。
図9は、シリコンオンインシュレータウェハ40が複数のオリフィスプレート30をどのように含むかを概略的に示している。代替的に、オリフィスプレート30を有するウェハ40は、ウェハボンディングプロセスによって液圧構造層およびシリコン基板に直接接合することができる。このウェハボンディングは、直接ボンディングまたは接着層による間接ボンディングとすることができる。
【0046】
代替的に、オリフィスプレートを得るためのシリコンオンインシュレータウェハ40のシリコンデバイス層38は、デバイス層38を、ウェハ、テープまたは同様の手段のようなさらなるハンドル基板に仮接合した後にウェハを薄化することによって、ハンドル層37から分離することができる。シリコンオンインシュレータウェハ40とハンドル基板との間の仮接合は、熱放出型または溶剤放出型のものである仮接合用接着剤によって得られ得る。最終的な薄化工程は、シリコンウェットエッチングとシリコンドライエッチングの両方によって、または最終的にはシリコンドライもしくはウェットエッチングによって完了させることができる研削もしくは化学機械研磨によっても実現することができる。絶縁体層39は最終的なノズルプレートの厚さを保証する。
【0047】
特に、基部44の一部としてオリフィスプレート30が得られる。ダイシング工程によって、オリフィスプレート30は、同じシリコンオンインシュレータウェハ40上に形成された他の可能なオリフィスプレートから分離され、周辺部すなわちハンドリング部45から分離されることが好ましい。
【0048】
シリコンオンインシュレータウェハ40のデバイス層から開始する、提案されたプロセスフローを適用すると、デバイス層の厚さD1が、得られるオリフィス板の最終的な厚さを直接的に決定することができる。より詳細には、上記距離D、すなわち第1の表面41と第2の表面42との間の距離と中央部分43の高さHとの差に相当するデバイス層の厚さD1、すなわち、薄化工程によって除去される部分が、オリフィスプレート30のノズル31の長手方向の長さLを規定する。
【0049】
換言すれば、ノズル31の長手方向の長さLは、SOIウェハ40のデバイス層の厚さD1に等しい、基部44の厚さと実質的に等しい。シリコンオンインシュレータウェハを使用しない場合には、これは、薄化工程の後で、シリコンウェハ40の残りの基部44がノズル31の長手方向の長さLを規定する厚さを有するように、中央部分43の高さHが決定されるべきであることを意味する。提案された方法を適用している間、シリコンオンインシュレータウェハ40のデバイス層の厚さD1が、得られるオリフィスプレートの最終厚さを直接決定することができ、したがって従来技術の長時間の厚さチェック手順が回避される。実際、SOIウェハ40の絶縁体層39は、絶縁体材料、特に酸化ケイ素または二酸化ケイ素に対するエッチング選択性のために、薄化プロセスに対する停止層として働く。
【0050】
さらに、絶縁体層39を除去する好ましい後続の工程の後に、結果として得られるシリコン表面は、酸化物エッチングプロセスがシリコンに対して選択的であり、それによって、シリコンデバイス層の表面が絶縁体を除去する機構に対する停止層として働くので、欠陥がない。
【0051】
薄化工程はエッチングによって行うことができることが有効である。薄化エッチング工程はウェットエッチング工程であることが好ましい。代替的に、反応性イオンエッチングプロセスまたはドライエッチングプロセスを薄化工程に適用してもよい。両方の場合において、酸化ケイ素材料に対するエッチング選択性により、絶縁体層プロセス。
【0052】
薄化工程は、以下の部分工程を含むことが好ましい:少なくとも第2の表面42のマスキング材料の堆積。マスキングは、シリコンオンインシュレータウェハ40全体に対して実行される酸化プロセスによって実行されることが好ましい。したがって、少なくとも第2の表面42、好ましくはシリコンウェハ40全体に、酸化物の層が形成される;得られるべき周辺部45に対応する第2の表面42に対する、特に周辺ゾーンに対する外部リングの保護;この保護は、フォトリソグラフィマスキングプロセス、保護テープ、またはウェハホルダを使用することによって得ることができる。ウェハホルダは、マスキング材量のエッチング中に、言及した外部リングだけでなく、ウェハ裏面も保護することができることに留意されたい。したがって、このようなエッチングは、必ずしも乾式である必要はないが、これらの状況下では、湿式であってもよい;
保護によって覆われていないマスキング材料の部分の除去;
中央部分43、すなわちマスキング層によって覆われていないシリコンウェハの部分の、好ましくはウェットエッチング作用による除去;
マスキング材料層の少なくとも部分的な除去;
埋め込み酸化物、すなわち、絶縁体層39の少なくとも部分的な除去。
【0053】
代替的に、薄化工程は、反応性イオンエッチング、ドライエッチング、機械研削または化学機械研磨によって行うことができる。研削の場合、研削機械によって操作される砥石が、いかなる保護および/または酸化物層をも必要とせずに中央部分43を除去することを可能にする。研磨工程は、通常、研削工程の後に行われ、研削工程中に生成された研削痕および表面下クラックを除去する。
【0054】
好ましい方法は、シリコンオンインシュレータウェハ40のデバイス層38に複数の貫通孔を形成する工程をさらに含み、各貫通孔はインクの吐出のためのそれぞれのノズル31を形成する。貫通孔は基部44に形成されることが好ましい。
【0055】
記載された好ましい実施形態では、薄化工程の前に各ノズル31が形成されることに留意されたい。ノズルの幾何形状は、インクの流れに対する抵抗を低減するとともに、微小電気機械デバイスにわたるノズルの均一性を改善するために選択されるべきである。
【0056】
ノズルの幾何形状によって、空気のトラッピングを低減または除去することもできる。各ノズル31は、上部32と底部33とを備えることが好ましく、後者は上部32と軸方向に整列している。本明細書において、「上」および「底」は、ノズルプレートが取り付けられるプリントヘッドウェハに対するノズルの部分の位置を指し、「底」部は液圧構造層20により近く、直に面しており、一方で「上」部は液圧構造層20からより遠い。
【0057】
上部32の上部断面は、正方形、円形または異なる形状とすることができる。
【0058】
底部33は、長方形または円形の上部断面を有することができる。各ノズル31の上部32は、実質的に円筒形の形状を有することが好ましい。各ノズル31の底部33は、実質的に円錐台の形状を有することが好ましい。
【0059】
ノズル31の長手方向の長さLは、上部32の長手方向の長さに底部33の高さを加えた寸法によって規定される。オリフィスプレート30のノズル31の上部32は、上部エッチング工程と呼ばれるエッチング工程によって得られることが好ましい。上部エッチング工程はドライエッチング工程であることが好ましい。
【0060】
記載された好ましい実施形態では、シリコンオンインシュレータウェハ40のデバイス層38内に、その第1の表面41において、複数の実質的に円筒形のキャビティ50が形成される、上部エッチング工程、好ましくはドライエッチング工程が実行される。実質的に円筒形のキャビティ50の各々の少なくとも一部は、それぞれのノズル31の上部32を形成する。実質的に円筒形のキャビティ50の各々は、シリコンオンインシュレータウェハ40の第1の表面41に第1の長手方向端部51を有し、第1の長手方向端部51とは反対側にある第2の長手方向端部52を有する。
【0061】
オリフィスプレート30のノズル31の底部33は、底部エッチング工程と呼ばれるエッチング工程によって得られることが好ましい。
【0062】
底部エッチング工程は異方性ウェットエッチング工程であることが好ましい。
【0063】
図3,
図4,および
図5の実施形態では、好ましくは円錐台形状を有する複数の底部33が、
図2に示すように、実質的に円筒状のキャビティ50の各々の第2の端部52において形成され、それによって、オリフィスプレート30のノズル31が得られる、底部エッチング工程、好ましくは異方性ウェットエッチング工程が実行される。
【0064】
図6および
図7の実施形態では、好ましくは円錐台形状を有する複数の底部33が、例えば、
図2および
図7hに示すように、実質的に円筒状のキャビティ50の各々の第1の端部51において形成され、それによって、オリフィスプレート30のノズル31が得られる、底部エッチング工程、好ましくは異方性ウェットエッチング工程が実行される。代替的に、
図8の実施形態で説明するように、ノズル31は、単一の部分34のみを含むにすぎない。そのような場合、ノズル31は、底部エッチング工程に関して上述したような円錐台形状を有することが好ましい。ノズルエッチング工程は異方性ウェットエッチング工程であることが好ましい。
【0065】
上部エッチング工程、底部エッチング工程およびノズルエッチング工程はいずれも、酸化、マスキング、特にフォトレジスト膜の堆積、フォトレジスト膜によって覆われていない酸化物の除去、酸化物によって覆われていないシリコンの除去、ならびに、残留するフォトレジスト膜および酸化物の除去、の部分工程を含むことが好ましい。この方法はまた、第1のマスクを用いた上部エッチング工程のマスキング工程と、第2のマスクを用いた底部エッチング工程のマスキング工程とをも含むことができ、第1のマスキング工程と第2のマスキング工程は両方とも、第1の表面上で実行される。上部エッチング工程と底部エッチング工程との位置合わせが、第1の表面上の単一のマスクを用いて行われることも可能である。
【0066】
これらの種類のプロセスは、当技術分野で公知であり、したがって、さらに詳細には開示されない。
【0067】
図3,
図4および
図5の実施形態では、薄化工程は、上部エッチング工程の後で、かつ底部エッチング工程の前に実行される。
【0068】
図6および
図7の実施形態では、薄化工程は、上部エッチング工程および底部エッチング工程の後に実行される。
図8の実施形態では、薄化工程は、ノズルエッチング工程の後に実行される。
【0069】
より詳細には、
図3に示す第1の実施形態では、実質的に円筒形のキャビティ50の長手方向の長さは、それぞれのノズル31の上部32の長さと実質的に等しい。したがって、実質的に円筒形のキャビティ50の長手方向の長さは、基部44の厚さよりも短く、言い換えれば、デバイス層38の厚さよりも短い。
【0070】
図4、
図6および
図7にそれぞれ示される第2の実施形態、第4の実施形態および第5の実施形態では、実質的に円筒形のキャビティ50の長手方向の長さは、基部44の厚さに等しく、換言すれば、デバイス層38の厚さに等しい。特に、第2の実施形態では、上部エッチング工程がSOIウェハ40の第1の表面41で行われ、底部エッチング工程がSOIウェハの第2の表面42で行われるので、この特徴は有利である。このように、薄化工程の後に第2の表面42から絶縁体層を介して見える実質的に円筒形のキャビティ50の第2の端部52は、底部エッチング工程のマスキング工程のための位置基準として使用することができ、それによって、それぞれの上部32との適切な整列に従って底部33を形成することができる。
【0071】
図6に示す第4の実施形態では、この特徴は、底部エッチング工程で使用されるマスクが同じ第1の表面41上に存在する特徴を用いて位置合わせされるので有利である。したがって、実質的に円筒形のキャビティ50は、実際の貫通孔を得るために、基部44の厚さに等しいように、言い換えれば、デバイス層38の厚さに等しいように、十分に長くなければならない。
【0072】
図7に示す第5の実施形態では、このような実施形態は、同じ第1の表面41上に上部および底部を形成するために1つのマスクのみを使用するというさらなる利点を有するので、同様に有利である。したがって、実質的に円筒形のキャビティ50は十分に長くなければならない。その長さは、実際の貫通孔を得るために、基部44の厚さに等しい、言い換えれば、デバイス層38の厚さに等しい。
【0073】
好ましくは、
図5に概略的に示されているように、第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの製造方法は、基部44の厚さに等しい、言い換えれば、デバイス層38の厚さに等しい長さを有する1つまたは複数の基準キャビティ60が、第1の表面41に形成される形成工程(
図5b)を含む。特に、形成工程は、薄化工程の前に行われる。同様に、実質的に円筒形のキャビティ50の長手方向の長さは、ノズル31の上部32の長さに実質的に等しくすることができる。底部エッチング工程に含まれるマスキング工程の位置基準は、薄化工程が実行された後で、かつ底部エッチング工程が実行される前に、SOIウェハ40の第2の表面42から酸化ケイ素層を介して見える基準キャビティ60によって提供される。
【0074】
ノズル31が形成され、薄化工程が実行された後、シリコンウェハ40は、各々がそれぞれのオリフィスプレートを形成する別々の部分で切断されることが好ましい。プリントヘッド1のオリフィスプレート30は、シリコンオンインシュレータウェハ40から得られるオリフィスプレートの1つである。
【0075】
代替的に、ノズルプレートを有するシリコンウェハは、ウェハボンディングプロセスによってプリントヘッドウェハに直接接合することができる。このウェハボンディングは、直接ボンディングまたは接着層による間接ボンディングとすることができる。
【0076】
多くの図において、ノズル31とシリコンウェハ40の半径方向外側部分45との間の距離が図示されたものよりもはるかに大きくなり得ることを示すために、2つの中断記号70が存在することに留意されたい。実際には、シリコンウェハ40には多数のノズル31が形成されており、明確にするために、それらのうちの2つだけが図面に示されている。
【0077】
第1の実施形態
図3a〜
図3gは、好ましいプロセス選択による第1の実施形態の基本的な方法ステップを概略的に示す。第1の実施形態では、酸化ケイ素が、SOIウェハ40の両面41,42上のマスキング層として使用される。
図3aの方法ステップにおいて、シリコンオンインシュレータウェハ40が用意され、酸化ケイ素層46が、好ましくは熱酸化によって、シリコンオンインシュレータウェハ40の外面上に形成される。
【0078】
図3aのある領域の拡大図を示す
図3bの方法ステップでは、第1のリソグラフィプロセスおよびその後のエッチング、好ましくはドライエッチングによって、酸化ケイ素の複数の部分が第1の表面41から除去される。酸化物が除去される各領域は、それぞれのノズルに対応する。
【0079】
図3cの方法ステップでは、実質的に円筒状のキャビティ50が形成されるように、上記で「上部エッチング工程」と呼ばれているシリコンドライエッチングプロセスが実行される。
【0080】
この実施形態では、実質的に円筒形のキャビティ50の長手方向の長さは、ノズル31の、実質的に円筒形の形状を有することが好ましい上部32の長手方向の長さと実質的に等しい。次に、実質的に円筒状のキャビティ50の表面も酸化ケイ素の層で覆うように、別の酸化プロセスが実行される。
図3dの方法ステップでは、第2の表面42から酸化物の中央部分を除去するために酸化物エッチングが行われる。フォトリソグラフィマスキングプロセス、保護テープ、またはウェハホルダを使用することによって、外部リングの保護を得ることができる。この酸化物エッチングプロセスは、ウェットエッチングによって行われることが好ましい。
【0081】
図3eの方法ステップでは、シリコンオンインシュレータウェハ40の中央部分43が、第2の表面42に作用して、シリコンウェットエッチングによって、代替的に研削またはドライエッチングによって除去される「薄化工程」が実施される。結果として、シリコンオンインシュレータウェハ40は、この時点で、基部44および周辺部45によって形成される。
【0082】
周辺部45の傾斜面71が酸化ケイ素の層で覆われるように、別の酸化プロセスが実行される。
図3fの方法ステップでは、リソグラフィプロセスと酸化物ドライエッチングとの組み合わせによって、ノズル31が形成されることになっているところで、すなわち、すでに形成されている実質的に円筒形のキャビティ50に対応する位置において、SOIの絶縁体層39が除去される。
【0083】
図3gの方法ステップにおいて、シリコン異方性ウェットエッチングプロセス、すなわち、上述の「底部エッチング工程」が、ノズル31の、好ましくは円錐台形状を有する底部33を形成するように、酸化物、すなわち絶縁体層39が除去されている、シリコンの円錐台部分を除去する。その後、実質的に円筒形のキャビティ50の各々を、好ましくは円錐台形状を有するそれぞれの底部33と分離する酸化物層を除去するために、酸化物ウェットエッチングが実施され、ノズル31の形成を完了する。最後に、必要に応じて、酸化物の層で構造全体を覆うために、別の酸化工程を行うことができる。
【0084】
第2の実施形態
図4a〜
図4gは、第2の実施形態の基本的な方法ステップを概略的に示す。第2の実施形態では、酸化ケイ素が、SOIウェハの両面上のマスキング層として使用される。
【0085】
図4aの方法ステップでは、シリコンオンインシュレータウェハ40が用意される。酸化ケイ素層46が、好ましくは熱酸化によって、シリコンオンインシュレータウェハ40の外面上に形成される。
【0086】
図4aのある部分の拡大図を示す
図4bの方法ステップでは、第1のリソグラフィプロセスおよびその後のエッチング、好ましくはドライエッチングによって、酸化ケイ素の複数の部分が第1の表面41から除去される。酸化物が除去される各領域は、それぞれのノズルに対応する。
【0087】
図4cの方法ステップでは、実質的に円筒状のキャビティ50が形成されるように、上記で「上部エッチング工程」と呼ばれているシリコンドライエッチングプロセスが実行される。この実施形態では、円筒形キャビティ50の長手方向の長さは、基部44の厚さに実質的に等しく、言い換えれば、デバイス層38の厚さに等しい。次に、実質的に円筒状のキャビティ50の表面も酸化ケイ素の層49で覆うように、別の酸化方法が実行される。
【0088】
図4dの方法ステップでは、第2の表面42から酸化物の中央部分を除去するために酸化物エッチングが行われる。フォトリソグラフィマスキング方法によって、保護テープによって、またはウェハホルダを使用することによって、外部リングの保護を代替的に得ることができる。この酸化物エッチングプロセスは、ウェットエッチングによって行われることが好ましい。
【0089】
図4eの方法ステップでは、シリコンオンインシュレータウェハ40の中央部分43が、第2の表面42に作用して、シリコンウェットエッチングによって、代替的に研削またはドライエッチングによって除去される「薄化工程」が実施される。結果として、シリコンオンインシュレータウェハ40は、この時点で、基部44および周辺部45によって形成される。さらに、周辺部45の傾斜面71が酸化ケイ素の層で覆われるように、別の酸化プロセスが実行される。
【0090】
実質的に円筒形のキャビティは、この時点で、絶縁体層39の埋め込み酸化物を介して第2の表面42からも見える貫通孔であることに留意されたい。この特徴は、裏側から、すなわち第2の表面42の側から始まるノズルの円錐台部分の形成のための明瞭、正確で信頼できる視覚的基準を提供するので有利である。
【0091】
図4fの方法ステップでは、リソグラフィプロセスと酸化物ドライエッチングとの組み合わせによって、ノズル31が形成されることになっているところで、すなわち、すでに形成されている実質的に円筒形のキャビティ50に対応する位置において、酸化物の一部、すなわち絶縁体層39の酸化物が除去される。さらに、シリコン異方性ウェットエッチングプロセス、すなわち、上述の「底部エッチング工程」が、好ましくは円錐台形状を有する、ノズル31の底部33を形成するように、酸化物、すなわち絶縁体層39の酸化物が除去されている、シリコンの円錐台部分を除去する。
【0092】
図4gの方法ステップでは、例えばノズル31に残っている酸化物のような不要な酸化物を除去するために、酸化物ウェットエッチングが行われる。最後に、所望に応じて、酸化物の層で構造全体を覆うために、さらなる酸化工程を行うことができる。
【0093】
第3の実施形態
図5a〜
図5gは、第3の実施形態の基本的な方法ステップを概略的に示す。 第3の実施形態では、酸化ケイ素が、SOIウェハの両面上のマスキング層として使用される。
図5aの方法ステップでは、シリコンオンインシュレータウェハ40が用意される。酸化ケイ素層46が、好ましくは熱酸化によって、シリコンオンインシュレータウェハ40の外面上に形成される。
【0094】
図5bの方法ステップでは、第1のリソグラフィプロセスおよびその後の酸化物エッチング、好ましくはドライエッチングを通じて、および、第1の表面41上で実施されるシリコンエッチング法によって、複数の基準キャビティ60が形成される。
【0095】
その後、酸化プロセスが実行される。基準キャビティ60は、それぞれのノズルの一部にならず、ノズル31の形成のための位置基準として使用される。
【0096】
図5bのある部分の拡大図を示す
図5cの方法ステップでは、第1のリソグラフィプロセスと位置合わせされる第2のリソグラフィプロセスおよびその後のエッチング、好ましくはドライエッチングによって、酸化ケイ素の複数の部分47が第1の表面41上の酸化ケイ素層から除去される。酸化物が除去される各領域は、それぞれのノズルに対応する。
【0097】
図5dの方法ステップでは、シリコンドライエッチングプロセス、すなわち上述の「上部エッチング工程」が実行され、それによって、第1の表面41に、それぞれのノズル31の、好ましくは実質的に円筒形の形状を有する、それぞれの上部32を形成する実質的に円筒形のキャビティ50が形成される。この実施形態では、実質的に円筒形のキャビティ50の長手方向の長さは、ノズル31の、実質的に円筒形の形状を有することが好ましい上部32の長手方向の長さと実質的に等しい。次に、実質的に円筒状のキャビティ50の表面も酸化ケイ素の層49で覆うように、別の酸化プロセスが実行される。
【0098】
図5eの方法ステップでは、第2の表面42から酸化物の中央部分を除去するために酸化物エッチングが行われる。フォトリソグラフィマスキングプロセス、保護テープ、またはウェハホルダを使用することによって、外部リングの保護を得ることができる。この酸化物エッチングプロセスは、ウェットエッチングによって行われることが好ましい。
【0099】
図5fの方法ステップでは、シリコンオンインシュレータウェハ40の中央部分43が、第2の表面42に作用して、シリコンウェットエッチングプロセスによって、代替的に研削またはドライエッチングによって除去される「薄化工程」が実施される。結果として、シリコンオンインシュレータウェハ40は、この時点で、基部44および周辺部45によって形成される。
【0100】
図5gの方法ステップにおいて、周辺部45の傾斜面が酸化ケイ素の層で覆われるように、別の酸化プロセスが実行される。前の工程の酸化物ウェットエッチングの後、基準キャビティ60は、この時点で、第1の表面41および第2の表面42の両方から見える貫通孔であることに留意されたい。したがって、基準キャビティ60は、ノズル31の形成のために実行される残りのステップのための位置基準として使用することができる。
【0101】
第2の実施形態について説明したように、リソグラフィプロセスと酸化物ドライエッチングとの組み合わせによって、ノズル31が形成されることになっているところで、すなわち、すでに形成されている実質的に円筒形のキャビティ50に対応する位置において、酸化物の一部、すなわち絶縁体層39の酸化物が除去される。その後、第1の表面41とは反対側の基部44の下面44aにおいて、一連のリソグラフィプロセス、酸化膜ドライエッチングおよびシリコン異方性ウェットエッチングが実施される。
【0102】
同様に、好ましくは円錐台形状のノズル31の底部33が形成され、それらの各々はそれぞれの実質的に円筒形のキャビティ50に対応する。
【0103】
最後に、酸化物ウェットエッチングプロセスが、例えばノズル31に残っている酸化物などの不要な酸化物を除去し、必要に応じて、酸化物の層で構造全体を覆うために別の酸化工程を行うことができる。
【0104】
第4の実施形態
図6a〜
図6iは、第4の実施形態の基本的な方法ステップを概略的に示す。第4の実施形態では、酸化ケイ素が、SOIウェハの両面上のマスキング層として使用される。
図6aの方法ステップでは、シリコンオンインシュレータウェハ40が用意される。酸化ケイ素層46が、好ましくは熱酸化によって、シリコンオンインシュレータウェハ40の外面上に形成される。
【0105】
図6aに対する拡大領域を示す
図6bの方法ステップでは、第1のリソグラフィプロセスおよびその後のエッチング、好ましくはドライエッチングによって、酸化ケイ素の複数の部分が第1の表面41から除去される。酸化物が除去される各領域は、それぞれのノズルに対応する。
【0106】
図6cの方法ステップでは、実質的に円筒状のキャビティ50が形成されるように、上記で「上部エッチング工程」と呼ばれているシリコンドライエッチングプロセスが実行される。この実施形態では、円筒形キャビティ50の長手方向の長さは、基部44の厚さに実質的に等しく、言い換えれば、デバイス層38の厚さに等しい。
【0107】
次に、実質的に円筒状のキャビティ50の表面も酸化ケイ素の層49で覆うように、酸化プロセスが実行される。
【0108】
図6dの方法ステップでは、一連のリソグラフィプロセスおよび酸化物ドライエッチングによって、実質的に円筒形のキャビティ50の周りの酸化物の部分が除去される。円筒形キャビティ50は、本明細書において上述したリソグラフィプロセス中に被着されたレジストマスク48によって、この酸化ケイ素ドライエッチングプロセス中に保護される。
【0109】
図6eの方法ステップにおいて、レジスト除去の後、異方性シリコンウェットエッチングプロセス、すなわち、上述の「底部エッチング工程」が、第1の表面41上に、好ましくは円錐台形状を有する底部33を形成し、ここで、前のステップにおいて、酸化物が除去されている。
【0110】
図6fの方法ステップにおいて、酸化物ウェットエッチングプロセスが、例えばノズル31に残っている酸化物などの不要な酸化物を除去し、新たな酸化物の層91で構造全体を覆うために別の酸化工程が行われる。
【0111】
図6gの方法ステップでは、第2の表面42から酸化物の中央部分を除去するために酸化物エッチングが行われる。フォトリソグラフィマスキングプロセス、保護テープ、またはウェハホルダを使用することによって、外部リングの保護を得ることができる。この酸化物エッチングプロセスは、ウェットエッチングによって行われることが好ましい。
【0112】
図6hの方法ステップでは、シリコンオンインシュレータウェハ40の中央部分43が、第2の表面42に作用して、シリコンウェットエッチングによって、代替的に研削またはドライエッチングによって除去される「薄化工程」が実施される。結果として、シリコンオンインシュレータウェハ40は、この時点で、基部44および周辺部45によって形成される。
【0113】
図6iの方法ステップにおいて、酸化物ウェットエッチングプロセスが、例えばノズル31に残っている酸化物などの不要な酸化物を除去し、必要に応じて、新たな酸化物の層92で構造全体を覆うために別の酸化工程を行うことができる。
【0114】
第5の実施形態
図7a〜
図7lは、第5の実施形態の基本的な方法ステップを概略的に示す。第5の実施形態では、酸化ケイ素が、SOIウェハの両面上のマスキング層として使用される。
【0115】
図7aの方法ステップでは、シリコンオンインシュレータウェハ40が用意される。1,400nmの厚さを有することが好ましい酸化ケイ素層46が、好ましくは熱酸化によって、シリコンオンインシュレータウェハ40の外面上に形成される。
【0116】
図7aのある部分の拡大図を示す
図7bの方法ステップでは、第1のリソグラフィプロセスおよびその後のエッチングによって、酸化ケイ素の複数の部分47が第1の表面41から除去される。単一のマスクが利用されて、ノズルの底部および上部の縁部が規定される。酸化物が除去される各領域は、それぞれのノズルに対応する。酸化ケイ素層の厚さの約半分、例えば、この方法のステップでは約700nmが除去される。
図7bの方法ステップにおける酸化物エッチングは、ドライエッチングによって行われることが好ましい。
【0117】
図7cの方法ステップでは、第2のリソグラフィプロセスによって、酸化ケイ素層がポジティブフォトレジスト48で覆われ、これは次に露光され、現像され、ノズル90の上部に対応する酸化物の被覆されていない部分が露出される。
【0118】
図7dの方法ステップでは、ステップ7cの後に露出した酸化ケイ素部分のエッチングが行われ、ノズルに対応する領域の酸化ケイ素が完全に除去され、その周囲の領域において、厚さが例えば、約700nmに低減される。ステップ7dにおける酸化物エッチングは、ドライエッチングによって行われることが好ましい。
【0119】
図7eの方法ステップでは、実質的に円筒状のキャビティ50が形成されるように、上記で「上部エッチング工程」と呼ばれているシリコンドライエッチングプロセスが実行される。使用中のシリコンオンインシュレータウェハ40の絶縁体層39の酸化物は、円筒形キャビティドライエッチング工程の間にエッチング停止層として作用する。
【0120】
実質的に円筒形のキャビティ50の長手方向の長さは、将来の基部44の厚さに実質的に等しく、言い換えれば、デバイス層38の厚さに等しい。その後、140nmの厚さを有することが好ましい酸化ケイ素層49が、好ましくは熱酸化によって、実質的に円筒形のキャビティ50の壁上に形成される。
【0121】
図7fの方法ステップでは、第3のリソグラフィプロセスによって、酸化ケイ素層がネガティブフォトレジスト53で覆われ、これは、実質的に円筒形のキャビティ50に対応する部分を被覆し、酸化ケイ素層の残りの部分を被覆されていないままにするために、次に露光され、現像される。コーティングは、ネガティブフォトレジストドライフィルムの蒸着によって、または液体ネガティブフォトレジストのスプレーコーティングによって提供することができる。
【0122】
図7gの方法ステップでは、前のステップにおいて露出した酸化ケイ素部分のエッチングが行われ、ノズル底部33の縁部に対応する領域54の酸化ケイ素が完全に除去され、その周囲の領域において、厚さが例えば、約700nmに低減される。ステップ7gにおいて説明されている酸化物エッチングは、ドライエッチングによって行われることが好ましい。その後、フォトレジストが除去される。
【0123】
図7hの方法ステップにおいて、異方性シリコンウェットエッチングプロセス、すなわち、上述の「底部エッチング工程」が、好ましくは円錐台形状を有する底部33を形成し、ここで、前のステップにおいて、酸化物が除去されている。
【0124】
元のウェハ領域にズームアウトされている
図7iの方法ステップでは、酸化ケイ素のエッチングが実行され、ノズル31の内部に残っている酸化物も含めて、ウェハの前後の酸化ケイ素層が完全に除去される。この酸化物エッチング方法は、ウェットエッチングによって行われることが好ましい。その後、140nmの厚さを有することが好ましい新たな酸化ケイ素層91が、好ましくは熱酸化によって、表面全体に形成される。
【0125】
図7jの方法ステップでは、第2の表面42から酸化物の中央部分を除去するために酸化物エッチングが行われる。フォトリソグラフィマスキングプロセス、保護テープ、またはウェハホルダを使用することによって、外部リングの保護を得ることができる。この酸化物エッチングプロセスは、ウェットエッチングによって行われることが好ましい。
【0126】
図7kの方法ステップでは、シリコンオンインシュレータウェハ40の中央部分43が、第2の表面42に作用して、シリコンウェットエッチングによって(代替的に研削またはドライエッチングによって)除去される「薄化工程」が実施される。結果として、シリコンオンインシュレータウェハ40は、この時点で、基部44および周辺部45によって形成される。
【0127】
図7lの方法ステップにおいて、酸化物湿式エッチングプロセスが、シリコンオンインシュレータウェハ40上の全ての酸化物層を完全に除去する。特に、これは絶縁体層39の酸化物も除去し、したがって、ノズル上部に開口部を形成する。最後に、必要に応じて、新たな酸化物層92を提供するために最終的な酸化プロセスを行うことができる。
【0128】
第6の実施形態
図8a〜
図8gは、第6の実施形態の基本的な方法ステップを概略的に示す。第6の実施形態では、酸化ケイ素が、SOIウェハの両面上のマスキング層として使用される。
【0129】
図8aの方法ステップでは、シリコンオンインシュレータウェハ40が用意される。酸化ケイ素層46が、好ましくは熱酸化によって、シリコンオンインシュレータウェハ40の外面上に形成される。
【0130】
図8aのある部分の拡大図を示す
図8bの方法ステップでは、リソグラフィプロセスおよびその後のエッチング、好ましくはドライエッチングによって、酸化ケイ素の複数の部分47が第1の表面41から除去される。酸化物が除去される各領域は、それぞれのノズルに対応する。
【0131】
図8cの方法ステップにおいて、異方性シリコンウェットエッチングプロセスが、好ましくは実質的に円錐台形状を有する単一の部分34を形成し、ここで、前のステップにおいて、酸化物が除去されている。このステップでは、ピラミッド基部幅は、ピラミッドまたは切頭ピラミッドの最終高さがシリコンデバイスの厚さ38に等しくなるように選択される。
【0132】
図8dの方法ステップ(元のウェハ領域にズームアウトされている)において、第1の表面41および第2の表面42の両方から酸化ケイ素を除去するために、酸化物ウェットエッチングが実行される。その後、140nmの厚さを有することが好ましい新たな酸化ケイ素層91が、好ましくは熱酸化によって、表面全体に形成される。
【0133】
図8eの方法ステップでは、第2の表面42から酸化物の中央部分を除去するために酸化物エッチングが行われる。フォトリソグラフィマスキングプロセス、保護テープ、またはウェハホルダを使用することによって、外部リングの保護を得ることができる。この酸化物エッチングプロセスは、ウェットエッチングによって行われることが好ましい。
【0134】
図8fの方法ステップでは、シリコンオンインシュレータウェハ40の中央部分43が、第2の表面42に作用して、シリコンウェットエッチングによって、代替的に研削またはドライエッチングによって除去される「薄化工程」が実施される。結果として、シリコンオンインシュレータウェハ40は、この時点で、基部44および周辺部45によって形成される。
【0135】
図8gの方法ステップでは、酸化物ウェットエッチングプロセスが不要な酸化物を除去し、最後に、所望に応じて、さらなる酸化工程を実行して新たな酸化物層92を提供することができる。