(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
より低い前記移行領域が、前記移行領域を通る前記媒体の流れ方向を横断する方向に、または前記移行領域を通る前記媒体の前記流れ方向を実質的に横断する方向に、直線状の連続部を有する、請求項1または2に記載のセパレータ板。
前記分配/集合領域の前記複数のランドが、前記流れ場のランドに移行し、前記移行領域のランドとして前記移行領域を貫通して延び、かつ前記移行領域内ではより低い、請求項1から4のいずれか一項に記載のセパレータ板。
少なくとも一部がより低い前記移行領域内に延びる、更なるランドが、前記流れ場の領域内において、前記流れ場から前記分配/集合領域に移行するランド間に配置される、請求項5に記載のセパレータ板。
前記セパレータ板の前記平面状表面平面に直交する方向に定められる少なくとも1つの流路の深さが、前記移行領域および/または前記分配/集合領域において前記媒体の前記流れ方向に影響を及ぼすように変化する、請求項1から10のいずれか一項に記載のセパレータ板。
前記第1の貫通開口をシールするように前記第1の貫通開口を完全に包囲するビードを備え、前記ビードが、前記ビードを通して媒体を導通させるための通路を含み、かつ前記分配/集合領域の前記流路が、前記ビードにおける前記通路によって前記第1の貫通開口と流体接続する、請求項1から14のいずれか一項に記載のセパレータ板。
電気化学システム用のバイポーラ板であって、請求項1から15のいずれか一項に記載のセパレータ板である第1のセパレータ板を備えるとともに、少なくとも1つの第2の貫通開口を含む第2のセパレータ板を備え、前記第1のセパレータ板および前記第2のセパレータ板が接合され、かつ前記第1のセパレータ板の少なくとも1つの第1の貫通開口および前記第2のセパレータ板の前記少なくとも1つの第2の貫通開口が、前記バイポーラ板に少なくとも1つの貫通開口を形成するように互いに整合される、
バイポーラ板。
積層された複数の、請求項16から20のいずれか一項に記載のバイポーラ板を備えるとともに、前記積層された複数のバイポーラ板の間に配置された複数の膜電極アセンブリを備え、前記複数の膜電極アセンブリが各々、第1の厚さを有する活性領域と、前記第1の厚さと比較して増加した第2の厚さを有する補強領域とを備え、かつ前記複数の膜電極アセンブリおよび前記バイポーラ板は、それぞれの前記複数の膜電極アセンブリに当接するバイポーラ板のより低い前記移行領域の中に前記複数の膜電極アセンブリのそれぞれの前記補強領域が収められるように配置される、特に燃料電池システム、電気化学圧縮機、電解槽またはレドックスフロー電池である、電気化学システム。
前記複数の膜電極アセンブリが、前記活性領域において、それぞれの膜電極を、好ましくは膜電極と少なくとも1つのガス拡散層とを備え、かつ前記複数の膜電極アセンブリが、前記補強領域において、少なくとも1つの補強層を、好ましくは少なくとも1つの補強層と少なくとも1つの接着剤層とを追加的に備える、請求項21に記載の電気化学システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、本発明の目的は、上で説明した欠点を可能な限り最大限克服する電気化学システム用のセパレータ板を作製することと、動作時には、可能な限り最長の耐用年数と可能な限り最良の効率とを確保することである。加えて、そのようなセパレータ板を含む、バイポーラ板と、複数の対応するセパレータ板またはバイポーラ板を備える電気化学システムとが作製されるべきである。
【0007】
この目的は、請求項1に記載のセパレータ板によって、そのようなセパレータ板を備えるバイポーラ板によって、かつ複数のそのようなセパレータ板またはバイポーラ板を備える電気化学システムによって達成される。具体的な実施形態は、従属クレームで説明される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、板を通して媒体を導通させるための、板における少なくとも1つの第1の貫通開口と、複数のランドと、貫通開口と各々流体接続する、ランド間に形成された流路とを備える分配/集合領域と、分配/集合領域によって貫通開口と流体接続するとともに、流れ場を通して媒体を案内するための案内構造を備える、流れ場であって、流れ場の案内構造が、板の平面状表面平面に直交する方向に定められた平均高さh
1を有する、流れ場と、分配/集合領域の流路の各々について、流路から流れ場内にまたは流れ場から流路内に流れる媒体が移行領域を通って流れるように、分配/集合領域と流れ場との間に配置される、連続したより低い移行領域であって、移行領域が、板の平面状表面平面に直交する方向に定められた最大高さh
maxを有する、移行領域とを備え、h
max≦0.95×h
1が当てはまる、電気化学システム用のセパレータ板が提案される。
【0009】
平均高さh
1は、流れ場の案内構造の平均最大高さを表すことができる。流れ場の案内構造がランドとして設計される場合、例えば、これらのランドの最大高さは、いずれの場合にもこれらのランドの最高部または最高点に沿って定めることができる。高さh
maxおよびh
1は各々、好ましくは、セパレータ板の平面状表面平面に直交する方向に定められるセパレータ板の平面状表面平面に対する距離を表す。セパレータ板の平面状表面平面は、例えば、流れ場の案内構造を形成するおよび/または分配/集合領域のランドを形成する打ち抜きまたは深絞り工程の結果として変形されない、セパレータ板の縁部によってまたはセパレータ板が作製される金属薄板の平坦領域によって与えられる。
【0010】
セパレータ板が、提案されたタイプの複数のセパレータ板と、セパレータ板間に配置されたMEAとを備える電気化学システム内に配置されたときに、触媒被覆イオノマーと枠状補強層とガス拡散層(複数可)は、流れ場の周囲に延びる流れ場の縁部において重なることができ、それによって、MEAのこの領域がMEAの残りの領域よりも大きな厚さを有する。そして、より低い移行領域は、セパレータ板に当接するMEAの補強領域を収めるために使用することができる。このようにして、板およびMEAの押圧中に生じるMEAの圧縮を低減でき、したがって、板およびMEAの耐用年数を延ばすことができる。その上、MEAの補強された縁部領域を流れ場の外側にひいてはセパレータ板の電気化学的活性領域の外側に収めることによって流れ場の領域内の媒体流れに及ぶ悪影響を低減または抑制することができる。
【0011】
分配/集合領域のランドは、板の平面状表面平面に直交する方向に定められた平均高さh
2を有することができる。ここでは、h
max≦0.9×h
2が当てはまり得る。平均高さh
2は、例えば、分配/集合領域のランドの最高部または最高点に沿って定められる、これらのランドの平均最大高さを表すことができる。高さh
2は、ここでも好ましくは、セパレータ板の平面状表面平面に直交する方向に定められるセパレータ板の平面状表面平面に対する距離を表す。
【0012】
より低い移行領域は、移行領域を通る媒体の流れ方向を横断する方向に、または移行領域を通る媒体の流れ方向を実質的に横断する方向に、直線状の連続部を有することができる。換言すれば、より低い移行領域は、好ましくは、略矩形状を有し、移行領域が、流れ場の案内構造の方向に延びるよりも更に流れ場の案内構造を横断する方向にかなり延びることが可能である。
【0013】
流れ場の案内構造は、複数のランドと、必要であれば、ランド間に形成された流路とを備えることができる。流れ場のランドは、移行領域内に少なくとも部分的に延びることができる。
【0014】
分配/集合領域のランドは、流れ場の移行領域を貫通して延び、流れ場のランドに移行することができる。そして、移行領域を貫通して延びるこれらのランドは通常、移行領域内においてはより低い。
【0015】
更なるランドが、流れ場のエリア内において、分配/集合領域のランドに移行する流れ場のランド間に配置されてもよい。流れ場のこれらの更なるランドは、より低い移行領域内に延びることができる。例えば、流れ場の少なくとも12個おきのまたは少なくとも6つおきのこれらの更なるランドは、より低い移行領域内に延びることができる。
【0016】
移行領域を貫通しておよび/または移行領域内に延びるランドは、移行領域内に同じ最大高さh
maxを有することができる。
【0017】
流れ場は数n
1の流路を有することができ、かつ分配/集合領域は数n
2の流路を有することができる。n
1≧2×n
2、好ましくはn
1≧3×n
2が当てはまり得る。
【0018】
板の平面状表面平面に直交する方向に定められる分配/集合領域の流路のうちの少なくとも1つの深さは、媒体の流れ方向に影響を及ぼすように変化することができる。しかしながら、分配/集合領域と同様に、媒体導通用の流路もまた、移行領域内に配置されるかあるいは分配/集合領域を貫通して延びる、ランド間に形成することができる。分配/集合領域の流路の代替としてまたはその流路に加えて、移行領域内の流路または移行領域内の流路の少なくとも1つもまた、媒体の流れ方向に影響を及ぼすように変化する深さを有することができ、移行領域内の流路の深さは、ここでも、板の平面状表面平面に直交する方向に定められる。
【0019】
例えば、移行領域および/または分配/集合領域の少なくとも1つの流路の深さは、流路の連続部に沿って変化することができる。代替としてまたは加えて、移行領域および/または分配/集合領域の少なくとも1つの流路の深さはまた、流路内のまたは流路を通る媒体の流れ方向を横断する方向に変化することができる。
【0020】
その上、セパレータ板は、貫通開口をシールするためにセパレータ板における貫通開口を完全に包囲する、ビードを備えることができる。ビードは、ビードを通して媒体を導通させるための通路を含むことができる。そして、分配/集合領域の流路は、ビード内のそれらの通路によって貫通開口と流体接続することができる。
【0021】
更に、上で説明したタイプの第1のセパレータ板と、第2のセパレータ板とを備える、電気化学システム用のバイポーラ板が提案される。通常、第1のセパレータ板および第2のセパレータ板は、好ましくは1つまたは複数の一体継手によって、接合される。一体継手は、例えば、溶接継手として、特にレーザ溶接継手として設計することができる。第1のセパレータ板と同様に、第2のセパレータ板も同じく少なくとも1つの貫通開口を含む。バイポーラ板に少なくとも1つの貫通開口を形成するように、第1のセパレータ板および第2のセパレータ板の貫通開口は、互いに整合される。しかしながら、有利には、バイポーラ板が含む貫通開口の数は、各媒体に対して少なくとも1つの供給開口と1つの排出開口とが存在する、つまり、例えば、燃料、反応ガスおよび冷媒に対してそれぞれ2つの貫通開口が存在するような数である。
【0022】
第1のセパレータ板のみが、上で説明したように設計されるとともに、分配/集合領域と流れ場との間により低い移行領域を含むものとしてもよい。そして、好ましくは、以下、すなわち、h
max≦0.9×h
1が、第1のセパレータ板の移行領域の最大高さh
maxと第1のセパレータ板の流れ場の案内構造の最大高さh
1とに当てはまる。
【0023】
同様に、バイポーラ板の第1のセパレータ板に加えて、バイポーラ板の第2のセパレータ板もまた、上で説明したように設計されることが考えられる。そして、この場合、バイポーラ板の第2のセパレータ板はまた、以下、すなわち、複数のランドと、バイポーラ板の貫通開口と各々流体接続する、ランド間に形成された流路とを備える分配/集合領域と、第2のセパレータ板の分配/集合領域によってバイポーラ板の貫通開口と流体接続するとともに、流れ場を通して媒体を案内するための案内構造を備える、流れ場であって、第2のセパレータ板の流れ場の案内構造が、第2のセパレータ板の平面状表面平面に直交する方向に定められる平均高さh
12を有する、流れ場と、第2のセパレータ板の分配/集合領域の流路の各々について、流路から第2のセパレータ板の流れ場内にまたは第2のセパレータ板の流れ場から流路内に流れる媒体が第2のセパレータ板の移行領域を通って流れるように、第2のセパレータ板の分配/集合領域と第2のセパレータ板の流れ場との間に配置される、連続したより低い移行領域であって、第2のセパレータ板の移行領域が、第2のセパレータ板またはバイポーラ板の平面状表面平面に直交する方向に定められた最大高さh
max,2を有する、移行領域とを備えることができ、h
max,2≦0.95×h
12が当てはまる。
【0024】
特に、以下、すなわち、0.85×h
11≦h
max,1≦0.95×h
11もまた、第1のセパレータ板の移行領域の最大高さh
max,1と、第1のセパレータ板の流れ場の案内構造の最大高さh
11とに当てはまることができる。そして、同時に、以下、すなわち、0.85×h
12≦h
max,2≦0.95×h
12が、第2のセパレータ板の移行領域の最大高さh
max,2と、第2のセパレータ板の流れ場の案内構造の最大高さh
12とに当てはまることができる。
【0025】
バイポーラ板の第1のセパレータ板および第2のセパレータ板は、冷媒導通用の中間空間を包囲するように設計し接合することができる。移行領域および/または分配/集合領域の少なくとも1つの流路の深さの、流路の連続部に沿ったまたは連続部を横断する方向における上で説明した変化は、特に、冷媒の分配に良い影響を及ぼすことができる。原則として、そのような変化は、徐々にまたは段階的に生じることができる。特に、流路の底部は、流路の延在方向を横断する方向に、斜めに延びることができる。流路の深さの減少によって、冷媒導通用に利用できる空間が増大する。
【0026】
更に、上で説明したタイプの積層された複数のバイポーラ板を備えるとともに、積層されたバイポーラ板間に配置された複数のMEAを備える、電気化学システム、特に燃料電池システム、電気化学圧縮機、電解槽またはレドックスフロー電池が提案される。MEAは各々、第1の厚さを有する活性領域と、第1の厚さと比較して増加した第2の厚さを有する補強領域とを備える。MEAおよびバイポーラ板は、それぞれのMEAに当接するバイポーラ板のより低い移行領域内にMEAのそれぞれの補強領域が収められるように配置される。
【0027】
典型的には、膜電極アセンブリは、活性領域内に、イオノマーと少なくとも1つの触媒層とを備えるそれぞれの膜電極を、好ましくは膜電極と少なくとも1つのガス拡散層(GDL)とを備える。補強領域内では、膜電極または膜電極とGLD(複数可)との組み合わせは、少なくとも1つの特に枠状補強層を、好ましくは少なくとも1つの補強層と少なくとも1つの接着剤層とを追加的に備える。接着剤層はまた、他の層に浸透し得る。通常、膜電極とガス拡散層(複数可)と補強層は一緒になって、膜電極アセンブリ(MEA)を形成する。
【0028】
本発明の例示的な実施形態が、図に示され、以下の説明に基づいてより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、z方向7に沿って積層されて2つの端板3、4間に挟持される、複数の同一のバイポーラ板を含むスタック2を備える電気化学システム1を示している。バイポーラ板の各々は、本文書ではセパレータ板とも称される、2つの相互に接続された個々の板を備える。本例では、システム1は燃料電池スタックである。スタック2の隣接する2つのバイポーラ板はまた、いずれの場合にも、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するために使用される、電気化学セルを包囲する。電気化学セルは各々、例えば、膜電極アセンブリ(MEA)とガス拡散層(GDL)とを含む。代替的な実施形態では、システム1はまた、電解槽として、圧縮機としてまたはレドックスフロー電池として設計することもできる。バイポーラ板はまた、これらの電気化学システムにおいて使用することもできる。これらのバイポーラ板の設計は、バイポーラ板にまたはバイポーラ板を通して導通させる媒体が異なり得るとしても、ここでより詳細に説明するバイポーラ板の設計に相当する。
【0031】
z軸線7は、x軸線8およびy軸線9と共に、右手系直交座標系を張る。端板4は複数のポート5を含み、これらのポート5を介して、媒体をシステム1に供給できかつシステム1から媒体を排出することができる。システム1に供給しかつシステム1から排出できるこれらの媒体としては、例えば、分子状水素もしくはメタノールなどの燃料、空気もしくは酸素などの反応ガス、水蒸気などの反応生成物、または水および/もしくはグリコールなどの冷媒を挙げることができる。
【0032】
図2は、例えば、
図1のシステム1のタイプの電気化学システムにおいて使用できる、従来技術で知られているバイポーラ板10の一部分を示している。ここでおよびこれ以降、繰り返し現れる特徴は同じ参照符号によって表される。バイポーラ板10は、第2のセパレータ板10bを覆い隠す、第1のセパレータ板10aのみが
図2では視認可能である、一体に接合された2つの個々の板またはセパレータ板10a、10bで形成される。セパレータ板10a、10bは、ステンレス鋼薄板などの、金属薄板で作製することができる。セパレータ板10a、10bは、バイポーラ板10の貫通開口11a、11b、11cを形成する、相互に整合された貫通開口を有する。バイポーラ板10のタイプの複数のバイポーラ板が積層されたときに、貫通開口11a〜cは、スタック2を積層方向7(
図1参照)に貫通して延びるダクトを形成する。典型的には、貫通開口11a〜cによって形成されたダクトの各々は、システム1の端板4におけるポート5の1つと流体接続する。例えば、貫通開口11a、11bによって形成されたダクトは、燃料電池スタック2の電気化学セルに燃料と反応ガスとを供給するために使用される。それに対して、冷媒は、貫通開口11cによって形成されたダクトを介して、スタック2内に導入するかまたはスタック2から除去することができる。
【0033】
貫通開口11a〜cをスタック2の内部に対しておよび周囲エリアに対してシールするために、第1のセパレータ板10aは、各々貫通開口11a〜cの周囲に配置されかつ各々貫通開口11a〜cを完全に包囲する、ビード12a、12b、12cを備える。第2のセパレータ板10bは、
図2の観察者から離れる方向に面するバイポーラ板10の後側に、貫通開口11a〜c(図示せず)をシールするのに適切なビードを備える。
【0034】
バイポーラ板10の電気化学的活性領域13内では、第1のセパレータ板10aは、
図2の観察者に面する第1のセパレータ板10aの前側に、複数のランド14、15aと、ランド14、15a間に延びかつランド14、15aによって境界が画定された流路16とを含む流れ場17を備える。
図2は、バイポーラ板10の前側の活性領域13の一部分のみを示している。加えて、第1のセパレータ板10aは、
図2の観察者に面するバイポーラ板10の前側に、ランド15bと、ランド15b間に延びかつランド15bによって境界が画定された流路18とを備える、分配/集合領域20を含む。分配/集合領域20のランド15bは、流れ場17のランド15aの連続したものである。このことは、流れ場17のランド15aが分配/集合領域20のランド15bに移行していることを意味する。分かり易くするために、
図2の流路16、18のランド14、15a、15bのごく少数のみが参照符号によって表されている。
【0035】
ビード12aを通る通路13aによって、第1のセパレータ板10aの分配/集合領域20の流路18は、貫通開口11aと、またはスタック2を通る貫通開口11aによって形成されたダクトと流体接続する。ここでも分かり易くするために、
図2のビード12aを通る通路13aのごく少数のみが参照符号によって表されている。同様に、分配/集合領域20の流路18は、流れ場17の流路16と流体接続する。このようにして、貫通開口11aを通して導通させた媒体は、ビード12a内の通路13aによって、および分配/集合領域20の流路18によって、バイポーラ板10の活性領域13内の流れ場17の流路16内に導通させることができる。
【0036】
よって、スタック2を貫通する貫通開口11b、すなわち貫通開口11bによって形成されたダクトは、分配/集合領域20と流体接続し、かつこの領域を介して、
図2の観察者から離れる方向に面するバイポーラ板10の後側の流れ場と流体接続する。対照的に、スタック2を貫通する貫通開口11c、すなわち貫通開口11cによって形成されたダクトは、セパレータ板10a、10bによって包囲されるかまたは取り囲まれるとともに、バイポーラ板10を通して冷媒を導通させるように設計される、中間空間22と流体接続する。
【0037】
最後に、第1のセパレータ板10aは、流れ場17と分配/集合領域20と貫通開口11a、11bの周囲に延びるとともに、これら、すなわち、ガス区画を貫通開口11cに対して、すなわち、冷媒回路に対して、およびシステム1の周囲エリアに対してシールする、更なるビード12dを備える。ランド14、15a、15bおよびビード12a〜dは、セパレータ板10aとの一体品として設計され、例えば、打ち抜き工程または深絞り工程で、セパレータ板10aに一体に形成される。
【0038】
また、
図2には、流れ場17の矩形縁部領域19が強調表示されており、この領域は、分配/集合領域20に面する流れ場17の端部に配置され、流れ場17全体にわたって長手方向に、ここでは流れ場17の流路16の連続部を横断する方向に延びる。システム1のスタック2において、この縁部領域19は、スタック2の隣接する2つのバイポーラ板10間に各々配置される、膜電極アセンブリ(MEA)のそれぞれの補強領域を収めるために使用される。MEAはここでは明らかではない。この理由から、流れ場の縁部領域19は、区切り線によって強調され特定される。したがって、既知のバイポーラ板10では、MEA(ここでは明らかではない)およびランド15aの圧縮の増大ならびに流路16の流れ断面の減少が、通常は、流れ場17のこの縁部領域19内で生じる。このことによって、例えば、分配/集合領域20の流路18と流れ場17の流路16との間に不必要に激しい圧力損失が生じる可能性がある。
【0039】
本発明は主に、流れ場17の縁部領域19内における既知のセパレータ板10aまたはバイポーラ板10またはMEAの上で説明した圧縮の増大に関連し得る欠点を減らすかまたは排除できる、改良に関する。
【0040】
図3Aおよび
図3Bは、本発明による相応に改良されたセパレータ板100aの一部分を各々上面図で図示する、2つのサブ画像を示している。いずれの場合にも、セパレータ板100aは、ここでは本発明によるバイポーラ板100の2つの個々の板の一方である。既知のセパレータ板10aと同様に、セパレータ板100aはまた、金属薄板で作製され、例えば、金属薄板から打ち抜き加工または深絞り加工される。例えば、この金属薄板は、150μm以下、好ましくは100μm以下、好ましくは90μm以下、特に好ましくは80μm以下の厚さを有することができる。
【0041】
図3Aは、特に、セパレータ板100aの流れ場17および分配/集合領域20を示している。前述同様に、繰り返し現れる特徴は同じ参照符号によって表される。流れ場17は、複数のランド14a'、14b、15aと、これらのランド間に配置されかつこれらのランドによって境界が定められた流路16とを備える。分配/集合領域20は、ランド15bと、ランド15b間に配置されかつこれらのランド15bによって境界が定められた流路18とを備える。分配/集合領域20のランド15bは、流れ場17のランド15aの連続したものである(またはその逆も同様である)。このことは、流れ場17のランド15aが分配/集合領域20のランド15bに連続して移行していることを意味する。従来技術で知られている
図2に示すセパレータ板10aと同様に、セパレータ板100aの分配/集合領域20の流路18は、例えば、セパレータ板100aまたはバイポーラ板100の貫通開口11a(
図3Aには図示せず)と流体接続し、かつセパレータ板100aの流れ場17の流路16は、セパレータ板100aの分配/集合領域18の流路18と流体接続する。流れ場17の領域内では、ランド14a'、14b、15aは、互いに平行に整合される。同様に、ランド15bは、分配/集合領域20のエリア内で互いに平行に整合される。
図3Aでは、流れ場17のランド14a'、14b、15aの連続方向が、分配/集合領域20のランド15bの連続方向と共に約70度の角度αを形成する。
【0042】
図2に記載の既知のセパレータ板10aと比較して、
図3Aに記載の本発明によるセパレータ板100aは、分配/集合領域20と流れ場17との間に連続した移行領域21を含む。連続した移行領域21によって、流れ場17の流路16は、分配/集合領域20の流路18と流体接続する。特に
図4Aおよび
図4Bならびに
図6〜
図8に基づいて、より詳細に説明するように、連続した移行領域21は、その最大高さh
maxが流れ場17のランド14a'、14b、15aの平均高さh
1と比較して低いことを特徴とする。ここでは、移行領域21の最大高さh
maxは、分配/集合領域20のランド15bの平均高さh
2と比較して更に低い。
【0043】
平均高さh
1は、いずれの場合にもランド14a、14b、15aの最高部または最高点に沿って定められる、流れ場17のランド14a'、14b、15aの平均最大高さを表す。同様に、平均高さh
2は、ランド15bの最高部または最高点に沿って定められる、分配/集合領域20のランド15bの平均最大高さを表す。高さh
max、h
1およびh
2は各々、セパレータ板100aの平面状表面平面に直交する方向に定められるセパレータ板100aの平面状表面平面に対する距離を表す。セパレータ板100aの平面状表面平面は、例えば、ランド14a'、14b、15a、15b、およびビード12a〜dを形成する前述の打ち抜きまたは深絞り工程の結果として変形されない、セパレータ板100aの縁部によってまたはセパレータ板100aが形成される金属薄板の平坦領域によって与えられる。典型的には、以下、すなわち、0.75×h
1≦h
max≦0.95×h
1が、高さh
maxおよびh
1に当てはまる。そして、典型的には、以下、すなわち、0.5×h
2≦h
max≦0.75×h
2が、高さh
maxおよびh
2に当てはまる。
【0044】
図2に記載の既知のセパレータ板10aの流れ場17の縁部領域19から逸脱して、
図3Aに記載の本発明によるセパレータ板100aの連続したより低い移行領域21は、座面として使用されるだけでなく、スタック2において、セパレータ板100aのタイプの隣接するセパレータ板間またはバイポーラ板100のタイプの隣接するバイポーラ板間に配置される、MEAの補強領域を収めるためにも使用される。そして、移行領域21のより低い性質に起因して、セパレータ板100aまたはバイポーラ板100およびMEAは、既知のセパレータ板10aと比較してまたは既知のバイポーラ板10と比較してスタック2内でより少ない圧縮を受ける。
【0045】
分配/集合領域20のランド15bが、流れ場17内のランド15bの連続したもの15aに連続して移行することが
図3Aから明確に明らかである。流れ場17のランド15aへの分配/集合領域20のランド15bの連続した移行部は、移行領域21内のランド部分15cの最大高さh
maxが、上で説明したように、流れ場17のランド15aの最大高さh
1に対して、および分配/集合領域のランド15bの最大高さh
2に対してより低い、移行領域21内のランド部分15cによって提供される。ランド部分15cが、互いに対して角度の付いた連続方向を有する、ランド15aとランド15bとの接続を確立するので、ランド部分15cは、移行領域21内に湾曲状の連続部を有する。
【0046】
流れ場17の4つおきのランド14a'、14b、15aが、流れ場17から来て、ランド部分15cの形態で移行領域21内にかつ移行領域21を完全に貫通して延びる、ランド15aのうちの1つであることが
図3Aから更に明らかである。更なるランド14a'、14bは、流れ場17内のランド15a間に配置される。流れ場17の2つおきのランド14a'、14b、15aは、移行領域21内に延びないかまたは移行領域21の幅の範囲の長さにわたってのみ移行領域21内に延びるランド14a'のうちの1つである。ここでも、流れ場17の4つおきのランド14a'、14b、15aは、移行領域21のより低いランド部分14cに連続して移行するランド14bのうちの1つである。したがって、流れ場17のランド14bは、より低いランド部分14cの形態でより低い移行領域21内に少なくとも部分的に延びる。しかしながら、移行領域21のランド部分15cとは対照的に、移行領域21のランド部分14cは、分配/集合領域20のランドに移行しないが、移行領域21と分配/集合領域20との間の移行部で終端する。
【0047】
ランド部分14c、15cは移行領域21内に交互に配置され、その結果、ランド部分14cのうちの1つがいずれの場合にも2つのランド部分15c間に配置され、これらランド部分15cは、移行領域21を貫通して延びるとともに、移行領域21の両側では、流れ場17のランド15aにかつ分配/集合領域20のランド15bに連続して移行する。移行領域21のランド部分14c、15cは各々、同じ最大高さh
maxを有する。このことは、例えば、スタック2の圧縮中に、より低い移行領域21が収めるように設計される、膜電極アセンブリの補強領域がその進路に沿って略一定の厚さを有する場合に移行領域21のランド部分14c、15cへの均一な力の導入を確実にする。
【0048】
ランド部分14c、15cによって境界が画定される流路23は、移行領域21内における移行領域21のより低いランド部分14c、15c間に形成される。移行領域21内においてランド部分15cの形態で分配/集合領域20のランド15bに移行する、流れ場17の隣接する2つのランド15a間には、3つの更なるランド、すなわち、移行領域21内にかろうじて延びるランド14a'のうちの2つと、ランド部分14cの形態で移行領域21内に延びるランド14bのうちの1つが、いずれの場合にも流れ場17の領域内に配置される。移行領域21内の隣接する2つのランド部分15c間には、1つの更なるランド部分14cのみが配置される。そして、分配/集合領域20内の隣接する2つのランド15b間には、これ以上ランドは配置されない。
【0049】
換言すれば、
図3Aに記載のセパレータ板100aに関して、以下、すなわち、n
S=2×n
Uおよびn
U=2×n
VSが、流れ場17内のランドの数n
Sと、移行領域21内のランドの数n
Uと、分配/集合領域21内のランドの数n
VSとに当てはまる。このことは、流れ場17内のランド14a'、14b、15aの総数が移行領域21内のランドまたはランド部分14c、15cの総数よりも多く、かつ移行領域21内のランドまたはランド部分14c、15cの総数が分配/集合領域20内のランド15bの総数よりも多いことを意味する。したがって、特に、いずれの場合にも、流れ場17の流路16のうちの2つが移行領域21の流路23のうちの1つに移行し、かつ移行領域21の流路23のうちの2つが分配/集合領域20の流路18のうちの1つに移行する。
【0050】
よって、流れ場17の直接隣接するランド14a'、14b、15a間の距離および移行領域21の直接隣接するランドまたはランド部分14c、15c間の距離は、ランド14a'が終端するエリア内では異なる。よって、流れ場17の流路16の幅および移行領域21の流路23の幅もまた、ランド14a'が終端するエリア内では異なる。移行領域21の流路23の幅は、流れ場17の流路16の幅よりも広い。特に、移行領域21の全ての流路23の全流れ断面は、流れ場17の全ての流路16の全流れ断面よりも大きい。有利には、セパレータ板100aでは、分配/集合領域20の流路18と流れ場17の流路16との間に大きな圧力損失が生じないか、またはいずれにせよ、そのような圧力損失が
図2に記載の既知のセパレータ板10aの場合に比べてかなり少ない。
【0051】
その上、流路23の幅が分配/集合領域20から流れ場17への移行領域21内で変わることが
図3Aから明らかである。同様に、流路23およびランド14c、15cの延在方向も変わる。このようにして、ガスを流れ場17の流路16にできるだけ均等に分配できるように分配/集合領域20から流れ場17へのガス流れの目的とする案内を達成することが可能である。
【0052】
図2に記載の既知のセパレータ板10aの縁部領域19と同様に、
図3Aに記載のセパレータ板100aの移行領域21は、例えば、矩形状を有するとともに、流れ場17の延在部全体にわたって、移行領域21の長手方向に、すなわち、流れ場17のランド14a'、14b、15aの連続方向を横断する方向に延びる。流れ場17のランド14a'、14b、15aの連続方向に平行に定められた移行領域21の幅は、例えば、流れ場17の直接隣接する2つのランド間の距離の少なくとも2倍または少なくとも3倍に相当する。
【0053】
図3Bは、本発明による代替的なセパレータ板100aの一部分、すなわち、流れ場17の一部分と移行領域21の一部分と分配/集合領域20の一部分とを上面図で示している。例示的な実施形態は、ランド14aが、ランド14a'とは対照的に、流れ場17と移行領域21との間の分離線で終端する点において、
図3Aに示す先行する実施形態と異なる。
図3Aとは対照的に、相互に隣接する6つのランド14a、14b、15aのうちの1つは、分配/集合領域内に連続するランド15aとして設計され、かつ6つのランド14a、14b、15aのうちの2つは、移行領域21内で終端する。これらのランドの群は、異なる長さを有するランド、すなわち、移行領域内に短い距離のみにわたって延びる、ランド14c'と、移行領域21内に僅かに大きな延在部を有する、ランド14cとを含む。ここでも、2つおきのランド14a、14b、15a、すなわちランド14aは、流れ場17内にのみ延びる。
【0054】
その一方で、流れ場17のランド15aと分配/集合領域20のランド15bとの間の角度αは、図示の部分において変わる。角度α1は角度α2よりも大きい。流路18の幅もまた、図示の部分において変わる。全ての流路18は、右上から左下に、すなわち、流れ場17の方向に幅広になる。加えて、更に上部に向かって延びる流路18は、更に底部に向かって延びる流路18よりも広い幅を有する。流路の角度が変わることと幅が変わることの両方によって、ここでは示しておらずかつ図示の部分の右上に位置する、貫通開口から流れ場17にできるだけ効率的に媒体を分配することが可能となる。
【0055】
図4Aは、本発明によるバイポーラ板200の個々の板である、本発明によるセパレータ板200aの一部分を示している。セパレータ板200aに一体に接合される、バイポーラ板200の更なるセパレータ板200bは、
図4Aではセパレータ板200aによって覆い隠されている。
図4Aに記載のセパレータ板200aは、
図3Aおよび
図3Bに記載のセパレータ板100aの変形実施形態であり、その部分は、点線によって特定される、
図2に記載のセパレータ板10aの部分Cと機能の点でほぼ同等である。
図4Aに記載のセパレータ板200aもまた、セパレータ板100aに関して上で説明したように、流れ場17と分配/集合領域20との間に配置される、移行領域21と、流れ場17のランドの平均高さh
1と比較してかつ分配/集合領域20の平均高さh
2と比較して低い移行領域21の最大高さh
maxとを有する。したがって、以下、すなわち、0.75×h
1≦h
max≦0.95×h
1および0.5×h
2≦h
max≦0.75×h
2もまた、セパレータ板200aの高さ、h
max、h
1およびh
2に当てはまることができる。
【0056】
図4Aに記載のセパレータ板200aは、移行領域21内に部分的にのみ延びるかまたは移行領域21と分配/集合領域20との間の移行部で終端する、2つのランドまたはランド部分14cが、移行領域21を完全に貫通して延びる隣接する2つのランドまたはランド部分15c間に移行領域21内に配置される点において、
図3Aおよび
図3Bに記載のセパレータ板100aと異なる。
【0057】
図4Bは、
図4Aに描かれている直線状の切断線24(B−B)に沿った、
図4Aのセパレータ板200aの断面図を示している。切断線24は、分配/集合領域20を部分的に貫通して延び、かつ分配/集合領域20の直線状ランド15bおよび流路18と共に、約60度の角度を形成する。切断平面は、セパレータ板200aの平面状表面平面に直交する方向に向けられる。
【0058】
図4Bの断面図は、分配/集合領域20の流路18の少なくとも1つが、参照符号24によって表される領域内のこの流路18を通る媒体の流れ方向に影響を及ぼすように様々な深さを有することを示しており、流路18の深さは、セパレータ板200aの平面状表面平面に直交する方向に定められる。したがって、その深さは、接触平面Eに対する距離に相当し、この接触平面Eでは、図示のセパレータ板が、設置されたときに隣接するセパレータ板に接触する。したがって、同時に、領域24における流路18の様々な深さはまた、
図4Aの観察者から離れる方向に面するセパレータ板200aの後側の中間空間22内へのまたは中間空間22を通る冷媒の流れ方向にも影響を及ぼす。流路18の深さは、流路18の連続部に沿っておよび/または流路18の連続部を横断する方向に領域24において変化することができる。同様に、移行領域21の流路23のうちの少なくとも1つの深さは、移行領域21を通る媒体の流れ方向に沿っておよび/または移行領域21を通る媒体の流れ方向を横断する方向に変化することができる。
【0059】
図5は、
図4Bに示す断面図と同様の断面図を図示しているが、4つのランド15bを含む部分が示されている。ここでは流路の深さを更に変化させ、結果として、流路18'、特に18''の流路深さが流路18の深さよりもかなり小さい。これによって、後側に、すなわち、平面Eに面するセパレータ板200aの側に、設置状態においてそこに延びる冷媒導通用の中間空間22のための、より大きな空間が作成される。その上、流路18'、18''の底部は、平面Eに対して斜めに延び、冷媒の目的とする導通を可能にするが、流路18'、18''内に導通させる媒体の目的とする導通も可能にし、結果として、好ましく低い圧力損失をもたらす。原則として、平面Eに対して平行にずらされる流路底部もまた可能である。
【0060】
また、
図4Aには、流れ場17、より低い移行領域21および分配/集合領域20を部分的に貫通して延びる、切断線25(A−A)が強調表示されており、切断線25は、流れ場17の、移行領域21のおよび分配/集合領域20のランドおよび流路を横断する方向に少なくとも部分的に延びる。
【0061】
図6は、本発明による電気化学システム1、例えば
図1のシステム1のスタック2の一部分の断面図を示している。スタック2は、
図4Aおよび
図4Bに記載のバイポーラ板200のタイプの複数の同一のバイポーラ板200を備える。切断平面は、バイポーラ板200またはセパレータ板200a、200bの平面状表面平面に直交する方向に向けられ、かつ
図4Aに強調表示された切断線25、すなわち線A−Aに沿っている。特に、セパレータ板200aの流れ場17、移行領域21、および分配/集合領域20が強調表示されている。
【0062】
イオノマーと少なくとも1つの触媒層とを含む膜電極26と、膜電極26の両側に配置されたガス拡散層27と、膜電極26の両側に配置された補強層28とを備える、それぞれの膜組み合わせ29は、スタック2の隣接する2つのバイポーラ板200間に配置される。膜電極26とガス拡散層(複数可)27と補強層28は一緒になって、膜電極アセンブリ(MEA)39を形成する。単に分かり易くするために、
図6は、バイポーラ板200および膜組み合わせ29がz方向7、すなわちバイポーラ板200またはセパレータ板200a、200bの平面状表面平面に直行する方向に沿って完全に圧縮されない状態のスタック2を示している。
【0063】
流れ場17のエリア内では、すなわち、バイポーラ板200の電気化学的活性領域内では、膜組み合わせ29は、膜電極26と、膜電極の両側に配置されたガス拡散層27とのみを備える。冒頭で既に述べたように、膜電極26は、両側に触媒被覆を含む。分配/集合領域20のエリア内では、膜組み合わせ29は、膜電極26と、膜電極の両側に配置された補強層28とのみを備える。セパレータ板200aの移行領域21内にのみ、膜組み合わせ29は、それぞれの補強領域30であって、膜電極26と、膜電極26の両側に配置された補強層28と、膜電極26の両側にかつ補強層28の両側に配置されたガス拡散層27とを包含する、補強領域を含む。典型的には、膜組み合わせ29の補強領域は、膜組み合わせ29の縁部を形成する。膜組み合わせ29は、積層方向に沿ってまたはz方向7に沿って定められる増加した厚さをその補強領域30に有する。例えば、膜組み合わせ29の厚さは、活性領域と比較して補強領域30では少なくとも10パーセントまたは少なくとも25パーセント増加させることができる。
【0064】
バイポーラ板200のそれぞれの第1のセパレータ板200aのみが、連続した移行領域21を含み、上で説明したように、流れ場のランドの平均高さh
1と比較してかつ分配/集合領域20のランドの平均高さh
2と比較して低い最大高さh
maxを有することが
図6において明らかである。第2のセパレータ板200bの対応する領域は、
図6に示すバイポーラ板200の実施形態では、少なくとも流れ場17に対しては低くない。
【0065】
しかしながら、膜組み合わせの補強領域30は、少なくとも一方の側(
図6では下側)において、当接するそれぞれのセパレータ板200aのより低い移行領域21内に収められる。z方向7に沿ったスタック2の圧縮中に、領域19での
図2に記載の既知のセパレータ板100の場合に比べて、膜電極アセンブリのかなり少ない圧縮および移行領域21のランドのより小さな変形が、
図6に記載の本発明によるセパレータ板200に対して生じる。上で説明したように、
図6に記載のバイポーラ板200を備える、本発明によるシステム1は、圧縮された状態でさえ、膜組み合わせ29のそれぞれの補強領域30が収められる、移行領域21に、領域19(
図2参照)における既知のシステムの流れ断面よりもかなり大きい流れ断面を有し、これによって、この領域での望ましくない圧力損失を本発明によるシステムにおいて大幅に低減するかまたは完全に抑制することができる。しかしながら、
図6に記載の本発明によるシステム1でも、補強領域30における膜組み合わせ29の厚さの増加が、セパレータ板200aの移行領域21における高さの減少よりも僅かに大きくてもよい。
【0066】
図7は、
図6に記載の本発明による電気化学システム1の変形実施形態を、より詳細には、
図5の切断線25に沿った既に
図6に示した断面図で再び示している。
図7に記載のシステム1は、ここでも、積層された複数のバイポーラ板200と、バイポーラ板200間に配置された膜組み合わせ29とを備え、膜組み合わせ29の補強領域30は、それぞれの膜組み合わせ29に当接するセパレータ板200a、200bのより低い移行領域21内に収められる。
【0067】
図7に記載のシステム1の実施形態は、
図7では、バイポーラ板200の第2のセパレータ板200bがまた、第1のセパレータ板200aに対応する形で設計されるとともに、上で説明したように、流れ場17に対しておよび/または分配/集合領域20に対してより低い移行領域21を含む点において、
図6に記載のシステム1の実施形態と異なる。
【0068】
図8は、
図7に記載の本発明による電気化学システム1の変形実施形態を、より詳細には、
図5の切断線25に沿った既に
図6に示した断面図で再び示している。
図8に記載のシステム1は、ここでも、積層された複数のバイポーラ板200と、バイポーラ板200間に配置された膜組み合わせ29とを備え、膜組み合わせ29の補強領域30は、それぞれの膜組み合わせ29に当接するセパレータ板200a、200bのより低い移行領域21内に収められる。
【0069】
図8に記載のシステム1の実施形態は、
図8では、ガス拡散層27が、バイポーラ板200またはセパレータ板200a、200bの平面状表面平面に平行に分配/集合領域20のランド15bから離間して配置され、かつランド15bまで延びないという点においてのみ、
図7に記載のシステム1の実施形態と異なる。例えば、ガス拡散層27とランド15bとの間の距離は、基本的に流路幅18に相当することができる。このようにして、ガス拡散層27と凝縮水を受け入れかつ除去するための分配/集合領域20のランド15bとの間にそれぞれの容積部31が作成される。