(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862655
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】偏光ビームスプリッタ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20210412BHJP
G02B 5/04 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B5/04 D
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-459(P2016-459)
(22)【出願日】2016年1月5日
(65)【公開番号】特開2017-122766(P2017-122766A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏和
(72)【発明者】
【氏名】山口 義正
(72)【発明者】
【氏名】小松 耕哉
【審査官】
池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−267203(JP,A)
【文献】
特開2015−169730(JP,A)
【文献】
特表2007−500859(JP,A)
【文献】
特開2003−067968(JP,A)
【文献】
特開2000−162543(JP,A)
【文献】
特開2012−230349(JP,A)
【文献】
特開2006−322835(JP,A)
【文献】
米国特許第05716122(US,A)
【文献】
米国特許第06604828(US,B1)
【文献】
国際公開第2015/004910(WO,A1)
【文献】
特開2013−238850(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102008033199(DE,A1)
【文献】
米国特許第09664909(US,B1)
【文献】
米国特許第05771122(US,A)
【文献】
米国特許第05309188(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0258469(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
G02B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜辺及び該斜辺以外の2本の辺を含む直角三角形の形状を有する上面及び下面と、前記上面及び前記下面の前記斜辺同士を接続している第1の側面と、前記上面及び前記下面の前記斜辺以外の辺同士をそれぞれ接続している第2,第3の側面とを有する、第1のプリズムと、
前記第1のプリズムと同一の形状を有し、前記第1の側面に対応する第4の側面と、前記第2,第3の側面に対応する第5,第6の側面とを有する、第2のプリズムと、
前記第1のプリズムの前記第3の側面と、前記第2のプリズムの前記第6の側面との間に設けられる偏光分離膜とを備え、
前記第2の側面と前記第5の側面が同じ側に位置するように配置した状態で、前記第1のプリズムの前記第3の側面と、前記第2のプリズムの前記第6の側面とが接合されている偏光ビームスプリッタであって、
入射光は、前記第1の側面の入射部を通り、前記第1のプリズム内に入射し、前記偏光分離膜で反射される第1の偏光成分と、前記偏光分離膜を透過する第2の偏光成分に分離され、
前記偏光分離膜で反射された前記第1の偏光成分は、前記第1のプリズム内で前記第1の側面の第1の反射部で反射され、前記第2の側面の第1の出射部から出射し、
前記偏光分離膜を透過した前記第2の偏光成分は、前記第2のプリズム内で前記第4の側面の第2の反射部で反射され、前記第5の側面の第2の出射部から出射するように構成されており、
前記第1の側面に第1の反射防止膜のみが設けられており、
前記第1の反射防止膜が、前記第1の側面の前記入射部の領域に設けられており、かつ前記第1の側面の前記第1の反射部の領域に設けられてない、偏光ビームスプリッタ。
【請求項2】
第2の反射防止膜が、前記第2の側面の前記第1の出射部の領域に設けられており、第3の反射防止膜が、前記第5の側面の前記第2の出射部の領域に設けられている、請求項1に記載の偏光ビームスプリッタ。
【請求項3】
前記第1の側面と前記第3の側面とがなす角度が、25度以上、35度以下である、請求項1または2に記載の偏光ビームスプリッタ。
【請求項4】
前記第1の側面と前記第3の側面とがなす角度が、30度である、請求項3に記載の偏光ビームスプリッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光ビームスプリッタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、偏光ビームスプリッタが光通信機などに広く用いられている。例えば、下記の特許文献1では、2個のプリズムが貼り合わされた偏光ビームスプリッタが開示されている。2個のプリズムは同一形状であり、かつ直角三角形の断面形状を有する。該直角三角形の内角は、それぞれ、90度、30度未満、60度以上の角度とされている。2個のプリズムは、偏光ビームスプリッタが二等辺三角形の断面形状を有するように貼り合わされている。2個のプリズムが貼り合わされている面に、偏光分離膜が形成されている。
【0003】
入射光は入射面から入射し、偏光分離膜により偏光分離される。偏光分離された各偏光は、それぞれプリズムの内面において反射され、出射面から出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−306314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、光の利用効率をより一層高めることが求められている。特許文献1に記載の偏光ビームスプリッタにおいては、2個のプリズムが上記のような形状を有するため、プリズムの内面において偏光が全反射され易いとしている。しかしながら、光の利用効率を充分に高めることは困難であった。
【0006】
本発明の目的は、光の利用効率を高めることができる、偏光ビームスプリッタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る偏光ビームスプリッタは、斜辺及び該斜辺以外の2本の辺を含む直角三角形の形状を有する上面及び下面と、上面及び下面の斜辺同士を接続している第1の側面と、上面及び下面の斜辺以外の辺同士をそれぞれ接続している第2,第3の側面とを有する、第1のプリズムと、第1のプリズムと実質的に同一の形状を有し、第1の側面に対応する第4の側面と、第2,第3の側面に対応する第5,第6の側面とを有する、第2のプリズムと、第1のプリズムの第3の側面と、第2のプリズムの第6の側面との間に設けられる偏光分離膜とを備える。第2の側面と第5の側面が同じ側に位置するように配置した状態で、第1のプリズムの第3の側面と、第2のプリズムの第6の側面とが接合されている偏光ビームスプリッタであって、入射光は、第1の側面の入射部を通り、第1のプリズム内に入射し、偏光分離膜で反射される第1の偏光成分と、偏光分離膜を透過する第2の偏光成分に分離され、偏光分離膜で反射された第1の偏光成分は、第1のプリズム内で第1の側面の第1の反射部で反射され、第2の側面の第1の出射部から出射し、偏光分離膜を透過した第2の偏光成分は、第2のプリズム内で第4の側面の第2の反射部で反射され、第5の側面の第2の出射部から出射するように構成されている。第1の反射防止膜が、第1の側面の入射部の領域に設けられており、かつ第1の側面の第1の反射部の領域に設けられていない。
【0008】
第2の反射防止膜が、第2の側面の第1の出射部の領域に設けられており、第3の反射防止膜が、第5の側面の第2の出射部の領域に設けられていることが好ましい。
【0009】
第1の側面と第3の側面とがなす角度が、25度以上、35度以下であることが好ましい。第1の側面と第3の側面とがなす角度が、30度であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る偏光ビームスプリッタによれば、光の利用効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る偏光ビームスプリッタの平面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における第1のプリズムの斜視図である。
【
図3】第1の側面と第3の側面とがなす角度が小さい場合の偏光ビームスプリッタの平面図である。
【
図4】第1の側面と第3の側面とがなす角度が大きい場合の偏光ビームスプリッタの平面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態の変形例に係る偏光ビームスプリッタの平面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る偏光ビームスプリッタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る偏光ビームスプリッタの平面図である。
図2は、第1の実施形態における第1のプリズムの斜視図である。
【0014】
図1に示すように、偏光ビームスプリッタ1は、第1,第2のプリズム2,3を備える。第1,第2のプリズム2,3は実質的に同一の形状を有する。なお、本発明において、「実質的に同一の形状」とは、第1のプリズム2と第2のプリズム3が完全に同一の形状でなくともよく、本発明の作用効果を発揮することができる範囲で、第1のプリズム2と第2のプリズム3は異なる形状であってもよいことを意味している。
【0015】
図2に示すように、第1のプリズム2は、直角三角形の形状である上面2aを有する。上面2aは、斜辺2a1及び該斜辺以外の2本の辺を有する。本実施形態では、該2本の辺の内の一方の辺は長辺2a3であり、他方の辺は短辺2a2である。斜辺2a1の長さは、特に限定されないが、本実施形態では2.3mmである。
【0016】
第1のプリズム2は、上面2aと同じ形状の下面2bも有する。上面2a及び下面2bを、第1〜第3の側面2c1〜2c3が接続している。
【0017】
第1の側面2c1は、上面2aの斜辺2a1と下面2bの斜辺とを接続している。第2の側面2c2は、上面2aの短辺2a2と下面2bの短辺とを接続している。第3の側面2c3は、上面2aの長辺2a3と下面2bの長辺とを接続している。第1の側面2c1と第3の側面2c3とがなす角度θ1は、特に限定されないが、本実施形態では、30度である。
【0018】
第2のプリズムも、直角三角形の形状を有する上面及び下面を有する。
図1に示すように、第2のプリズム3は、第1のプリズム2の第1の側面2c1に対応する第4の側面3c4と、第2,第3の側面2c2,2c3に対応する第5,第6の側面3c5,3c6とを有する。より具体的には、第4の側面3c4は、上面及び下面の斜辺同士を接続している。第5の側面3c5は、上面及び下面の短辺同士を接続している。第6の側面3c6は、上面及び下面の長辺同士を接続している。
【0019】
偏光ビームスプリッタ1においては、第2の側面2c2と第5の側面3c5とが同じ側に位置するように配置した状態で、第1のプリズム2の第3の側面2c3と、第2のプリズム3の第6の側面3c6とが接合されている。偏光ビームスプリッタ1は略二等辺三角形の平面形状を有する。
【0020】
偏光ビームスプリッタ1は、第3の側面2c3と第6の側面3c6との間に設けられている偏光分離膜4を備える。偏光分離膜4は、例えば、第1のプリズム2の第3の側面2c3に成膜されており、第2のプリズム3の第6の側面3c6に接着剤などにより接合されていてもよい。あるいは、偏光分離膜4は、第6の側面3c6に成膜されており、第3の側面2c3に接着剤などにより接合されていてもよい。
【0021】
偏光分離膜4は、例えば、誘電体多層膜からなる。偏光分離膜4は、第1の偏光成分を反射し、第2の偏光成分を透過する。本実施形態では、第1の偏光成分はS偏光であり、第2の偏光成分はP偏光である。なお、第1の偏光成分がP偏光であり、第2の偏光成分がS偏光であってもよい。
【0022】
第1のプリズム2の第1の側面2c1は、光が入射する入射部2c1Aを有する。入射部2c1Aの領域には、第1の反射防止膜5aが設けられている。第1の側面2c1は、第1のプリズム2内における光を反射する第1の反射部2c1Bを有する。第1の反射部2c1Bの領域には、第1の反射防止膜5aは設けられていない。
【0023】
第2のプリズム3の第4の側面3c4も、第2のプリズム3内における光を反射する第2の反射部3c4Bを有する。
【0024】
第1のプリズム2の第2の側面2c2は、光が出射される第1の出射部2c2Cを有する。第2のプリズム3の第5の側面3c5は第2の出射部3c5Cを有する。第2の側面2c2には、少なくとも第1の出射部2c2Cの領域に第2の反射防止膜5bが設けられていることが好ましい。第2のプリズム3の第5の側面3c5にも、少なくとも第2の出射部3c5Cの領域に第3の反射防止膜5cが設けられていることが好ましい。もっとも、本実施形態のように、第2の側面2c2の全面に第2の反射防止膜5bが設けられていてもよい。同様に、第5の側面3c5の全面に第3の反射防止膜5cが設けられていてもよい。
【0025】
図1に示すように、入射光としての光A1は、入射部2c1Aを通り、第1のプリズム2に入射する。光A1は、偏光分離膜4において、P偏光である偏光P1と、S偏光である偏光S1とに分離される。偏光S1は、偏光分離膜4において反射される。反射された偏光S1は、第1のプリズム2内で第1の側面2c1の第1の反射部2c1Bにおいて反射され、第2の側面2c2の第1の出射部2c2Cから出射される。
【0026】
他方、偏光P1は、偏光分離膜4を透過して、第6の側面3c6から第2のプリズム3に入射する。偏光P1は、第2のプリズム3内で第4の側面3c4の第2の反射部3c4Bにおいて反射され、第5の側面3c5の第2の出射部3c5Cから出射される。
【0027】
本実施形態の特徴は、第1の側面2c1の入射部2c1Aの領域に第1の反射防止膜5aが設けられており、かつ第1の反射部2c1Bの領域に第1の反射防止膜5aが設けられていないことにある。それによって、第1のプリズム2に入射する光A1が、入射部2c1Aにおいて反射され難い。よって、光の利用効率を効果的に高めることができる。加えて、第1の反射部2c1Bの領域には第1の反射防止膜5aが設けられていないため、偏光S1を好適に反射することができる。よって、第1の反射部2c1Bにおいて偏光S1が出射され難く、光の利用効率をより一層高めることができる。
【0028】
第2の側面2c2の第1の出射部2c2Cの領域には第2の反射防止膜5bが設けられているため、偏光S1が第2の側面2c2において反射され難い。第5の側面3c5の第2の出射部3c5Cの領域にも第3の反射防止膜5cが設けられているため、偏光P1も第5の側面3c5において反射され難い。よって、光の利用効率をより一層高めることができ、かつ偏光P1と偏光S1とが出射される強度のずれが生じ難い。
【0029】
ところで、
図3に示すように、第1のプリズム32の第1の側面32c1と第3の側面32c3とがなす角度θ3が小さい場合、第1の側面32c1と第3の側面32c3との間の距離が短くなる。そのため、偏光分離膜4において反射された偏光S3は、第1の側面32c1における、光A3が入射した部分により近い位置に至る。このとき、偏光S3が、第1の反射防止膜5aが設けられている部分に至ると、偏光S3は第1の側面32c1から出射される。第1の側面32c1からの偏光S3の出射は、光A3の径が大きいほど生じ易い。よって、光A3の径が大きい場合、光の利用効率を高めることが困難である。
【0030】
さらに、偏光分離膜4を透過した偏光P3は、第2のプリズム33の第4の側面33c4において反射される。よって、第2の側面32c2から出射される偏光S3と、第5の側面33c5から出射される偏光P3との強度において、大きいずれが生じるおそれがある。
【0031】
図1に示す本実施形態の偏光ビームスプリッタ1のように、第1の側面2c1と第3の側面2c3とがなす角度θ1は、25度以上であることが好ましい。それによって、光A1の径が大きい場合も、光の利用効率を効果的に高めることができる。加えて、第2の側面2c2及び第5の側面3c5から出射される偏光S1及び偏光P1の強度のずれがより一層生じ難い。
【0032】
より好ましくは、角度θ1は、30度以上であることが望ましい。それによって、光の利用効率をより一層高めることができ、かつ第2の側面2c2及び第5の側面3c5から出射される偏光S1及び偏光P1の強度のずれがより一層生じ難い。
【0033】
他方、
図4に示すように、第1のプリズム42の第1の側面42c1と第3の側面42c3とがなす角度θ4が大きい場合、第1の側面42c1と第2のプリズム43の第4の側面43c4との距離が長くなる。そのため、偏光分離膜4を透過した偏光P4が、第4の側面43c4において反射されずに、第5の側面43c5から出射されるおそれがある。偏光P4が第4の側面43c4に至らずに第5の側面43c5から出射されることは、光A4の径が大きいほど生じ易い。
【0034】
同様に、偏光分離膜4において反射された偏光S4が、第1の側面42c1において反射されずに、第2の側面42c2から出射されるおそれがある。上記のような偏光S4,P4の出射を生じ難くするためには、第1,第2のプリズム42,43の上面及び下面の斜辺を充分に長くする必要がある。
【0035】
図1に示す本実施形態の偏光ビームスプリッタ1のように、角度θ1は35度以下であることが好ましい。それによって、光A1の径が大きい場合も、光の利用効率を効果的に高めることができる。加えて、偏光ビームスプリッタ1の小型化を進めることができる。
【0036】
より好ましくは、角度θ1は30度であることが望ましい。偏光ビームスプリッタ1においては、第2の側面2c2から偏光S1が出射される方向と、第5の側面3c5から偏光P1が出射される方向とが互いに平行となるように光A1を入射する。角度θ1を30度とすることにより、第1の側面2c1に垂直な角度から光A1を入射することができる。この場合には、光A1に含まれる偏光P1と偏光S1との第1の側面2c1における反射率は同じである。従って、上記偏光P1及び偏光S1の強度のずれがより一層生じ難い。
【0037】
図5に示す第1の実施形態の変形例のように、第2のプリズム3の第4の側面3c4に、第4の反射防止膜25dが設けられていてもよい。第4の反射防止膜25dは、第1の反射防止膜5aと同じ反射防止膜であることが好ましい。第2の反射防止膜5bは、第3の反射防止膜5cと同じ反射防止膜であることが好ましい。この場合には、第1のプリズム2及び第1,第2の反射防止膜5a,5bと、第2のプリズム3及び第3,第4の反射防止膜5c,25dは同様に構成されている。よって、生産性を効果的に高めることができる。また、第2のプリズム3の第4の側面3c4に設けた第4の反射防止膜25dの方向から光を入射しても光の利用効率を高めた状態で偏光分離が可能である。
【0038】
図6は、第2の実施形態に係る偏光ビームスプリッタの平面図である。
【0039】
偏光ビームスプリッタ11は、第1のプリズム2に接合された第3のプリズム16を備える点及び第1の反射防止膜5aが設けられている位置が第1の実施形態と異なる。上記以外の点においては、偏光ビームスプリッタ11は、第1の実施形態の偏光ビームスプリッタ1と同様の構成を有する。
【0040】
第3のプリズム16は、第1のプリズム2の第1の側面2c1に設けられた入射部である。第3のプリズム16は、第7〜第9の側面16c7〜16c9を有する。第7の側面16c7は入射面であり、第8の側面16c8は反射面である。第9の側面16c9が第1のプリズム2の第1の側面2c1に接合されている。
【0041】
本実施形態では、第1,第2のプリズム2,3が貼り合わされた略二等辺三角形の平面形状と、第3のプリズム16の平面形状とが相似の関係を有する。なお、偏光ビームスプリッタ11においては、第1,第2のプリズム2,3が貼り合わされた平面形状は略正三角形であり、第3のプリズム16の平面形状も略正三角形である。第1のプリズム2の上面における斜辺の長さは3.5mmである。第3のプリズム16の上面における一辺の長さは1.7mmである。なお、第1,第2のプリズム2,3及び第3のプリズム16の大きさは、特に限定されない。
【0042】
第1のプリズム2と第3のプリズム16とは、例えば、接着剤により接合されている。該接着剤の屈折率は、第1,第3のプリズム2,16の屈折率とほぼ同じであることが好ましい。なお、上記接着剤の屈折率は、第1,第3のプリズム2,16の屈折率と、本発明の作用効果を発揮することができる範囲で同程度であればよい。
【0043】
本実施形態では、第1の反射防止膜5aは第1の側面2c1には直接設けられていない。第1の側面2c1に設けられた入射部としての第3のプリズム16の第7の側面16c7に、第1の反射防止膜5aが設けられている。
【0044】
光A2は、第7の側面16c7から第3のプリズム16に入射し、第3のプリズム16内で第8の側面16c8において反射される。反射された光A2は、第9の側面16c9から出射され、第1のプリズム2の第1の側面2c1から第1のプリズム2に入射する。光A2は、第1の実施形態と同様に偏光分離され、偏光S2及び偏光P2が、第2の側面2c2及び第5の側面3c5から出射される。
【0045】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、光の利用効率を高めることができる。
【0046】
本実施形態のように、第1,第2のプリズム2,3が貼り合わされた略二等辺三角形の平面形状と、第3のプリズム16の平面形状とが相似の関係を有することが好ましい。このとき、第7の側面16c7と第2,第5の側面2c2,3c5とが平行になるように、第3のプリズム16が配置されていることが好ましい。それによって、第7の側面16c7に垂直な方向から光A2を入射させたときに、偏光S2及び偏光P2が出射する方向を第2の側面2c2及び第5の側面3c5に垂直な方向とすることができる。よって、光A2が入射する方向と偏光S2及び偏光P2が出射される方向とを容易に揃えることができる。
【0047】
さらに、光A2を第7の側面16c7に垂直に入射するため、出射される偏光S2と偏光P2との強度にずれが生じ難い。
【符号の説明】
【0048】
1…偏光ビームスプリッタ
2…第1のプリズム
2a…上面
2a1…斜辺
2a2…短辺
2a3…長辺
2b…下面
2c1〜2c3…第1〜第3の側面
2c1A…入射部
2c1B…第1の反射部
2c2C…第1の出射部
3…第2のプリズム
3c4〜3c6…第4〜第6の側面
3c4B…第2の反射部
3c5C…第2の出射部
4…偏光分離膜
5a〜5c…第1〜第3の反射防止膜
11…偏光ビームスプリッタ
16…第3のプリズム
16c7〜16c9…第7〜第9の側面
25d…第4の反射防止膜
32…第1のプリズム
32c1〜32c3…第1〜第3の側面
33…第2のプリズム
33c4,33c5…第4,第5の側面
42…第1のプリズム
42c1〜42c3…第1〜第3の側面
43…第2のプリズム
43c4,43c5…第4,第5の側面