【実施例】
【0030】
以下、
図2を用いて3枚のSGプレートからなるスライディングノズルを説明した後、
図1を用いて本発明のSGプレートについて詳細に説明する。
【0031】
1a〜1cは耐火煉瓦製のSGプレートであり、このうちのスライドさせるSGプレート(以下、スライドプレートという。)1bを両側から挟むように、固定のSGプレート(以下、固定プレートという)1a,1cが配置されている。これら固定プレート1a,1cに設けた孔1aa,1caが、例えば取鍋2の底部に取り付けた底ノズル3の孔3aと同軸芯となるように取付けられている。
【0032】
そして、前記スライドプレート1bを駆動シリンダー(図示省略)で
図1の紙面左右方向にスライドさせることで、固定プレート1a,1cに設けた孔1aa,1caとスライドプレート1bに設けた孔1baの位置を調節して溶鋼の通過面積を調整する。
【0033】
なお、
図2中の4は下流側の固定プレート1cに設けた孔1caと同軸芯となるように取付けられた接続用ノズル、5はこの接続用ノズル4に取付けた接続用金物6によって保持したロングノズルである。
【0034】
本発明は、前記固定プレート1a,1c、スライドプレート1bとして使用するSGプレートに関するものであり、以下のような構成を採用している。
【0035】
すなわち、本発明のSGプレート11は、溶鋼が通過する孔12aを中央部分に設けた内挿体12と、この内挿体12の外周に配置する外装体13からなり、例えば、プレス成型した外装体13にプレス成型した内挿体12を嵌め込むことで一体構造体としたものである。
【0036】
そして、本発明では、内挿体12の厚みtと内挿体12の長辺長さbの比(厚みt/長辺長さb)が0.04以上となるようにしている。加えて、外装体13を形成する耐火煉瓦の熱膨張率が内挿体12を形成する耐火煉瓦の熱膨張率よりも小さいもの、例えば500〜1000℃における熱膨張率が7.5×10
-6/℃未満のものを使用している。
【0037】
また、本発明では、内挿体12の長辺長さbは、外装体13の長辺長さaの50〜75%の範囲となるようにすることが望ましい。また、溶鋼が通過する孔12aを含む内挿体12の面積が、外装体13に内挿体12を嵌め込んで一体としたSGプレート11の前記孔12aを含む面積の30〜45%の範囲とすることが望ましい。
【0038】
上記構成の本発明では、SGプレート11の反りに起因する地金差しを抑制でき、また、内挿体12が外装体13の表面から浮き上がるのを防止できるので、SGプレート11の寿命延長が図れるとともに、漏鋼も防止することができる。
【0039】
以下、本発明の効果を確認するために行った実験結果について説明する。
下記表
1に本発明の実施例を、
下記表2に本発明の参考例を、また下記表3に本発明の比較例を示す。下記表1〜3には、SGプレートの材質、内挿体の厚みt/内挿体の長辺長さb、外装体の長辺長さaに対する内挿体の長辺長さbの割合、外装体に内挿体を嵌め込んで一体としたSGプレートの孔を含む面積に対する前記孔を含む内挿体の面積の割合、外装体と内挿体の500〜1000℃における熱膨張率、内挿体、外装体がプレス成型品であるか否か、内挿体の外装体からの浮き上がりの有無、地金差し発生の有無などを示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
実施例1〜3,5は請求項1〜
3を全て満たす実施例、実施例4は請求項1
,2を満たす実施
例である。
【0044】
実施例1〜3,5は、請求項1〜
3を全て満たすので、SGプレートの反りに起因するSGプレート同士の接触面間の隙間からの地金差しを抑制でき、また、熱間での点検時にも内挿体が外装体の表面から浮き上がるのを防止することができた。従って、内挿体の浮き上がりや地金差しの発生は全く発生しなかった。
【0045】
また、実施例4は請求項1
,2を満たすが請求項
3を満たさないので、内挿体の設置位置に若干のずれが発生したが、内挿体の浮き上がりや地金差しの発生は発生しなかった。
【0046】
一方、参考例1〜5は請求項1〜3で規定された構成の一部を満たさない参考例であり、
参考例1は、外装体の長辺長さaに対する
内挿体の長辺長さbの割合が49%、外装体の前記熱膨張率が7.7×10
-6/℃
である点が請求項
1,3で規定された構成を満たさないので、外装体への内挿体の嵌め込み部から若干の漏鋼が発生し、内挿体の設置位置に若干のずれが発生した
。但し、内挿体の浮き上がりや地金差しの発生は発生しなかった。
【0047】
また、
参考例4も、外装体に内挿体を嵌め込んで一体としたSGプレートの孔を含む面積に対する前記孔を含む内挿体の面積の割合が46%、外装体の前記熱膨張率が7.9×10
-6/℃
である点が請求項
1,3を満たさないので、外装体の強度が若干不足し、内挿体の設置位置に若干のずれが発生した
。但し、内挿体の浮き上がりや地金差しの発生は発生しなかった。
【0048】
また、
参考例2は、外装体の長辺長さaに対する
内挿体の長辺長さbの割合が76%
である点が請求項
1を満たさないので、外装体の強度が不足
した。但し、内挿体の浮き上がりや地金差しの発生は発生しなかった。
【0049】
また、
参考例3は、外装体に内挿体を嵌め込んで一体としたSGプレートの孔を含む面積に対する前記孔を含む内挿体の面積の割合が29%
である点が請求項
1を満たさないので、外装体への内挿体の嵌め込み部から若干の漏鋼が発生した
。但し、内挿体の浮き上がりや地金差しの発生は発生しなかった。
【0050】
また、
参考例5は、外装体の長辺長さaに対する内挿体の長辺長さbの割合が45%である点が請求項1を
満たさず、かつ、請求項2
,3の構成も満たさないので、内挿体の浮き上がりや地金差しの発生は発生しなかったものの、外装体への内挿体の嵌め込み部からの若干の漏鋼が発生した。
【0051】
一方、比較例1は、外装体の前記熱膨張率が内挿体の前記熱膨張率よりも低く、外装体の前記熱膨張率は7.3×10
-6/℃で、請求項
3を満たすが、内挿体の厚みt/長辺長さbが0.03で請求項1を満たさない。また、外装体の長辺長さaに対する内挿体の長辺長さbの割合が40%と請求項
1を満たさない。従って、内挿体の浮き上がりや地金差しが発生した。
【0052】
また、比較例2,3は、内挿体の厚みt/長辺長さbは0.07であるが、外装体の前記熱膨張率が内挿体の前記熱膨張率よりも大きく請求項1を満たさないのに加えて、外装体の前記熱膨張率が9.0×10
-6/℃、8.4×10
-6/℃と大きい。
【0053】
また、比較例2は、外装体に内挿体を嵌め込んで一体としたSGプレートの孔を含む面積に対する前記孔を含む内挿体の面積の割合が25%と請求項
1を満たさない。一方、比較例3は、外装体の長辺長さaに対する内挿体の長辺長さbの割合が80%、外装体に内挿体を嵌め込んで一体としたSGプレートの孔を含む面積に対する前記孔を含む内挿体の面積の割合が55%と請求項
1を満たさない。
【0054】
従って、比較例2,3は、どちらも地金差しは発生しなかったが、内挿体の浮き上がりが発生した。
【0055】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。