(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記導水路の上記棚部は、上記ボウル部のボウル開口を左右に二等分する前後方向軸線と、上記ボウル開口を前後に二等分する左右方向軸線との交点を原点とし、この原点を中心として、前後方向軸線の左右の領域のうち前後方向軸線に対して上記ボウル部内に形成される旋回流の下流側にある領域且つ前後方向軸線からの中心角20度以上60度以下の範囲の領域内において形成されている、請求項1又は2に記載の水洗大便器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すような水洗大便器においては、ボウル部の前部における導水路が汚物受け面とリム部との間の比較的高い位置に配置されていることから、男性の使用者が座り小便を行う際に、使用者の小便が導水路からリム部をのぼり且つリム部を超えて便器本体外に流出する又は飛び出るという問題が生じることとなった。特に、ほぼ鉛直方向に立ち上がるように形成されたリム部を備えた水洗大便器においては便器に座って使用する使用者の小便が導水路からリム部を超えて便器本体外に流出しやすいという問題が生じることとなった。
【0005】
これに対し、ボウル部の前部における導水路の高さ位置を低い位置に下げることにより、男性の使用者が座り小便を行う際に小便がリム部を超えて便器本体外に流出することを防ぐことが検討された。
しかしながら、ボウル部の前部の導水路を下降させたことで、導水路において高低差が生じ、ボウル部の前部の低い位置に形成されることとなる導水路から上昇する上昇流路が必要となることから、この上昇流路において洗浄水の水勢が落ちるとともに水勢の落ちた洗浄水のほとんどが汚物受け面に流下してしまい、ボウル部内の汚物受け面及び導水路等に不洗浄領域を発生させてしまうという問題が生じることとなった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、洗浄水が導水路の上昇流路の上端部に到達するまでにボウル部の内側の汚物受け面側に流下しすぎてしまうことを抑制でき、洗浄水が上昇流路の上端部まで到達されず且つ上昇流路から汚物受け面側に流下する流れが形成されなくなることによるボウル部内の不洗浄領域が発生することを効果的に抑制することができる水洗大便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、洗浄水源から供給される洗浄水によって洗浄されて汚物を排出する水洗大便器であって、ボウル形状の汚物受け面と、ほぼ上向きに立ち上がる縦壁面を形成するリム部と、を備えたボウル部と、このボウル部の下部に接続され汚物を排出する排水トラップ管路と、リム部に設けられて上記ボウル部内に洗浄水を吐水するリム吐水部と、を有し、ボウル部は、汚物受け面とリム部との間に周状に形成され且つリム吐水部から吐水された洗浄水が周方向に導水されやすくなることによりボウル部内に旋回流を形成させる導水路を形成し、導水路は、導水路の深部から上昇する上昇流路の少なくとも一部においては、ボウル部の内側から外側に向かって下降する傾斜面又はボウル部の内側から外側に向かって水平に形成された水平面を形成する棚部を備え、
上記リム吐水部は上記リム部の1か所に配置され、上記上昇流路は上記導水路の深部から下流側の上記リム吐水部に向けて上昇し、上記導水路の深部から上記上昇流路を上昇する洗浄水が上記棚部に沿って上記リム吐水部に向けて流れやすくできることにより、1か所の上記リム吐水部から吐水された洗浄水が、上記導水路の深部から上昇する上記上昇流路が設けられていても、上記導水路を周回する周回流を形成することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、導水路上で周方向に導水される洗浄水が、導水路の深部から上昇する上昇流路を上昇し、洗浄水の水勢が弱められる場合に、導水路の上昇流路の少なくとも一部において、棚部がボウル部の内側から外側に向かって下降する傾斜面又はボウル部の内側から外側に向かって水平に形成された水平面を形成しているので、洗浄水が上昇流路の上端部に到達するまでにボウル部の内側の汚物受け面側に流下しすぎてしまうことを抑制できる。従って、洗浄水が上昇流路の上端部まで到達する前に全て内側の汚物受け面へ流下してしまうことを抑制し、洗浄水が上昇流路の上端部まで到達されず且つ上昇流路から汚物受け面側に流下する流れが形成されなくなることによりボウル部内の不洗浄領域が発生することを効果的に抑制することができる。
さらに、このように構成された本発明においては、導水路上で周方向に導水される洗浄水が、導水路の深部から上昇する上昇流路を上昇し、洗浄水の水勢が弱められる場合に、導水路の上昇流路の少なくとも一部において、棚部がボウル部の内側から外側に向かって下降する傾斜面を形成しているので、洗浄水が上昇流路の上端部に到達するまでにボウル部の内側の汚物受け面側に流下しすぎてしまうことを抑制できる。従って、洗浄水が上昇流路の上端部まで到達する前に全て内側の汚物受け面へ流下してしまうことを抑制し、洗浄水が上昇流路の上端部まで到達されず且つ上昇流路から汚物受け面側に流下する流れが形成されなくなることによりボウル部内の不洗浄領域が発生することをより効果的に抑制することができる。
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明は、洗浄水源から供給される洗浄水によって洗浄されて汚物を排出する水洗大便器であって、ボウル形状の汚物受け面と、ほぼ上向きに立ち上がる縦壁面を形成するリム部と、を備えたボウル部と、このボウル部の下部に接続され汚物を排出する排水トラップ管路と、リム部に設けられて上記ボウル部内に洗浄水を吐水するリム吐水部と、を有し、ボウル部は、汚物受け面とリム部との間に周状に形成され且つリム吐水部から吐水された洗浄水が周方向に導水されやすくなることによりボウル部内に旋回流を形成させる導水路を形成し、導水路は、導水路の深部から上昇する上昇流路の少なくとも一部においては、ボウル部の内側から外側に向かって下降する傾斜面又はボウル部の内側から外側に向かって水平に形成された水平面を形成する棚部を備え、リム吐水部は、ボウル部の前方側領域において後方に向けた吐水を行うように配置され、また、導水路の上昇流路は、ボウル部の前部の深部からリム吐水部までの上昇流路を形成する。
このように構成された本発明においては、導水路上で周方向に導水される洗浄水が、導水路の深部から上昇する上昇流路を上昇し、洗浄水の水勢が弱められる場合に、導水路の上昇流路の少なくとも一部において、棚部がボウル部の内側から外側に向かって下降する傾斜面又はボウル部の内側から外側に向かって水平に形成された水平面を形成しているので、洗浄水が上昇流路の上端部に到達するまでにボウル部の内側の汚物受け面側に流下しすぎてしまうことを抑制できる。従って、洗浄水が上昇流路の上端部まで到達する前に全て内側の汚物受け面へ流下してしまうことを抑制し、洗浄水が上昇流路の上端部まで到達されず且つ上昇流路から汚物受け面側に流下する流れが形成されなくなることによりボウル部内の不洗浄領域が発生することを効果的に抑制することができる。
さらに、このように構成された本発明においては、導水路上で周方向に導水される洗浄水が、ボウル部の前部の深部からリム吐水部まで上昇する上昇流路を上昇し、洗浄水の水勢が弱められる場合に、導水路の上昇流路の少なくとも一部において、棚部がボウル部の内側から外側に向かって下降する傾斜面又はボウル部の内側から外側に向かって水平に形成された水平面を形成しているので、洗浄水が上昇流路の上端部に到達するまでにボウル部の内側の汚物受け面側に流下しすぎてしまうことを抑制できる。従って、洗浄水が上昇流路の上端部まで到達する前に全て内側の汚物受け面へ流下してしまうことを抑制し、洗浄水が上昇流路の上端部まで到達されず且つ上昇流路から汚物受け面側に流下する流れが形成されなくなることによりボウル部内の不洗浄領域が発生することをより効果的に抑制することができる。
また、リム吐水部は、ボウル部の前方側領域において後方に向けた吐水を行うように配置されているので、ボウル部の前方側に立つ使用者から見てリム吐水部が見えにくく且つ目立ちにくくされている。従って、リム吐水部を目立たなくすることにより、使用者がリム吐水部の汚れ等を気にすることを抑制し且つボウル部全体として使用者に美観を与えやすくすることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、導水路の棚部は、上昇流路の中央部分から上端部にわたって形成されている。
このように構成された本発明においては、導水路上で周方向に導水される洗浄水が、ボウル部の前部の深部からリム吐水部まで上昇する上昇流路を上昇し、洗浄水の水勢が弱められる場合に、洗浄水の水勢が特に弱まる導水路の上昇流路の中央部分から上端部にわたって、棚部がボウル部の内側から外側に向かって下降する傾斜面又はボウル部の内側から外側に向かって水平に形成された水平面を形成しているので、洗浄水が上昇流路の上端部に到達するまでにボウル部の内側の汚物受け面側に流下しすぎてしまうことを抑制できる。
【0011】
本発明において、好ましくは、導水路の棚部は、ボウル部のボウル開口を左右に二等分する前後方向軸線と、ボウル開口を前後に二等分する左右方向軸線との交点を原点とし、この原点を中心として、
前後方向軸線の左右の領域のうち前後方向軸線に対して
上記ボウル部内に形成される旋回流の下流側
にある領域且つ前後方向軸線からの中心角20度以上60度以下の範囲の領域内において形成されている。
このように構成された本発明においては、導水路上で周方向に導水される洗浄水が、ボウル部の前部の深部からリム吐水部まで上昇する上昇流路を上昇し、洗浄水の水勢が弱められる場合に、洗浄水の水勢が特に弱まる前後方向軸線からの中心角20度以上60度以下の範囲の領域内において、棚部がボウル部の内側から外側に向かって下降する傾斜面又は上記ボウル部の内側から外側に向かって水平に形成された水平面を形成しているので、洗浄水が上昇流路の上端部に到達するまでにボウル部の内側の汚物受け面側に流下しすぎてしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水洗大便器によれば、洗浄水が導水路の上昇流路の上端部に到達するまでにボウル部の内側の汚物受け面側に流下しすぎてしまうことを抑制でき、洗浄水が上昇流路の上端部まで到達されず且つ上昇流路から汚物受け面側に流下する流れが形成されなくなることによるボウル部内の不洗浄領域が発生することを効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、
図1〜
図3を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器について説明する。
まず、
図1は本発明の一実施形態による水洗大便器の便器本体部分を斜め後方から見た状態を示す概略斜視図であり、
図2は
図1に示す本発明の一実施形態による水洗大便器の概略平面図であり、
図3は本発明の一実施形態による水洗大便器における左右方向の中央断面を左側から見た断面図であり、便蓋及び便座を下方位置まで回動させた状態を示す。
【0015】
図1〜
図3に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器1は、陶器製の便器本体2と、この便器本体2の上面に上下方向に回動可能に配置された便座4と、この便座4を覆うように上下方向に回動可能に配置された便蓋6と、便器本体2の後方に配置された機能部8とを備えている。
また、
図3に示すように、機能部8は、便器本体2の後方上部に配置されて、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄部として機能する衛生洗浄系機能部10と、この衛生洗浄系機能部10に近接して配置されて、便器本体2への給水機能に関与する給水系機能部12とを備えている。
【0016】
つぎに、
図1〜
図3に示すように、便器本体2は、ボウル形状の汚物受け面14と、この汚物受け面14の上方においてほぼ上向きに立ち上がる縦壁面を形成するリム部18とを備えたボウル部20を備えている。リム部18は、後述する
図4〜
図7においても示すように、そのリム部18の内周面がほぼ鉛直方向に立ち上がるように形成されている。リム部18は、そのリム部の内周面の頂部を内側に大きく突出させるような一般的なオーバーハング形状を省略し、上方に向かってほぼ直線的に延びるようないわゆるオーバーハングの形状を省略したいわゆるフチなし形状を構成している。
また、
図3に示すように、便器本体2は、ボウル部20の下方に入口部22aが接続されて、ボウル部20内の汚物を排出する排水路である排水トラップ管路22を備えている。
【0017】
つぎに、
図2に示すように、ボウル部20は、便器本体2の前方から見てボウル部20の前方側領域内の右側のリム部18の内部には、リム吐水部の一部であるリム通水路24が形成されている。また、このリム通水路24の下流端には、リム吐水部の一部であるリム吐水口26が形成されている。
さらに、
図2に示すように、リム通水路24の上流側は、洗浄水源である水道(図示せず)から供給される洗浄水をリム通水路24に供給する導水管28に接続されている。この導水管28の上流側は、洗浄水源である水道(図示せず)に直結されており、この水道の給水圧力を利用して、導水管28からリム通水路24内に供給された洗浄水は、リム通水路24内で前方へ導かれ、その後、内側且つ後方側に屈曲し、下流側のリム吐水口26まで導かれるようになっている。
そして、リム吐水口26に導かれた洗浄水は、後方に向けて吐水(リム吐水)され、リム吐水口26の下流側近傍の導水路30を経てボウル部20内を旋回することにより、ボウル部20内に旋回流が形成されるようになっている。
【0018】
なお、本実施形態の水洗大便器1においては、リム吐水部であるリム通水路24及びリム吐水口26について、便器本体2の前方から見てボウル部20の前方側領域内の右側のリム部18の内部に配置した形態について説明するが、このような形態に限定されず、リム吐水口を便器本体2の前方から見てボウル部20の前方側領域内の左側、又はボウル部20の後方側領域内の右側、又はボウル部20の後方側領域内の左側のリム部18に配置してもよい。例えば、リム吐水口は、ボウル部20の後方側領域内の左側のリム部18に配置され、前方側に向かって導水路上に吐水するように配置されてもよい。また、リム吐水部であるリム通水路24及びリム吐水口26については、本実施形態のボウル部20内の1か所に配置した形態に限られず、2カ所に配置されていてもよい。例えば、リム吐水口を、ボウル部20の後方側領域内の左側の第一リム吐水口と、ボウル部20の後方側領域内の右側の第二リム吐水口とにより形成してもよい。
また、本実施形態の水洗大便器1においては、リム吐水部であるリム通水路24及びリム吐水口26は、陶器を加工することで便器本体2に一体に形成されているが、例えば、樹脂等で便器本体2とは別体として形成し、樹脂等の通水路を便器本体2内に取り付ける構成としてもよい。
【0019】
さらに、
図3に示すように、ボウル部20の下部において、排水トラップ管路22の入口部22aに向けて差し向けられるように開口されたゼット吐水部32が形成されている。ゼット吐水部32は、ジェット噴流を吐水する吐水口部を形成している。ゼット吐水部32は、貯水タンク34(或いは給水源)とボウル部20の下部の流路とを接続するゼット導水路31の下流端部に形成されている。ゼット導水路31の上流側が加圧ポンプ36を介して貯水タンク34に接続されている。ゼット導水路31は、このような流路形状が陶器により形成されている。このゼット吐水部32による吐水(ジェット吐水)に関しては、給水系機能部12に設けられている貯水タンク34に貯水された洗浄水が、給水系機能部12の加圧ポンプ36によって加圧されて、ゼット吐水部32から吐出されるようになっている。
【0020】
また、ゼット吐水部32から吐出された洗浄水は、排水トラップ管路22の入口部22aから、この入口部22aの後方側の上昇管路22b内に流入した後、この上昇管路22b内を排水トラップ管路22の頂部22cから下降管路22dに流出するようになっている。
なお、ゼット導水路31に洗浄水を給水する給水源としては、貯水タンク34の他に、水道又は設備の給水圧力を利用する水道等であってもよい。給水系機能部12の加圧ポンプ36は省略されてもよい。例えば、水道直圧式の給水方式を採用する場合には、水道の給水圧力により加圧された水が供給されるため、加圧ポンプ36は省略されてもよい。
【0021】
ここで、衛生洗浄系機能部10及び給水系機能部12のそれぞれの具体的な構造については、従来のものと同様であるため、詳細な説明については省略するが、衛生洗浄系機能部10には、ボウル部20の上方の使用者に向けて洗浄水を噴射するノズル装置(図示せず)を含む局部洗浄装置(図示せず)が設けられている。
その他、衛生洗浄系機能部10には、局部洗浄装置(図示せず)に供給される洗浄水を貯水する貯水部(図示せず)、この貯水部(図示せず)内の洗浄水を適温に温めて温水にする加熱器(図示せず)、換気ファン(図示せず)、脱臭ファン(図示せず)、温風ファン(図示せず)、及び、これらの機器の作動を制御するコントローラ(図示せず)等が設けられている。
一方、給水系機能部12の給水路(図示せず)は、その上流側が給水源である水道(図示せず)に接続されており、貯水タンク(図示せず)の上流側の給水路には、定流量弁(図示せず)、電磁弁(図示せず)、貯水タンク(図示せず)への給水とリム吐水口26への吐水とを切り替える切替弁(図示せず)等が設けられている。また、給水系機能部12には、これら以外にも、電磁弁(図示せず)の開閉操作、切替弁(図示せず)の切替操作、及び、加圧ポンプ(図示せず)の回転数や作動時間等を制御するコントローラ(図示せず)等が設けられている。
【0022】
なお、本実施形態による水洗大便器1においては、リム吐水口26によるリム吐水について水道の給水圧力を利用して行い、ゼット吐水部32によるジェット吐水について加圧ポンプ(図示せず)を制御することにより貯水タンク(図示せず)内の洗浄水を供給する、いわゆる、ハイブリット式の水洗大便器の形態について説明するが、このような形態に限られず、他の形態についても適用可能である。すなわち、他の形態として、水道のみから直接的に供給される洗浄水について、バルブを切り替えることによってリム吐水口26によるリム吐水とゼット吐水部32によるジェット吐水とを切り替えるような形態であってもよいし、貯水タンク内の洗浄水について、ポンプのみを切り替えることによって、リム吐水口26によるリム吐水とゼット吐水部32によるジェット吐水とを切り替えるような形態であってもよい。
【0023】
つぎに、
図2乃至
図7を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器1の導水路の詳細について説明する。
図4は
図2のIV−IV線に沿った断面図であり、
図5は
図2のV−V線に沿った断面図であり、
図6は
図2のVI−VI線に沿った断面図であり、
図7は
図2のVII−VII線に沿った断面図である。
【0024】
ボウル部20は、汚物受け面14とリム部18との間に周状(例えば一周にわたる帯状)に形成され且つリム吐水口26から吐水された洗浄水が周方向に導水されやすくなることによりボウル部20内に旋回流を形成させる導水路30を形成している。
導水路30は、汚物受け面14の外縁の汚物受け面上端部14aと接続され、且つリム部18の内縁のリム下端部18aと接続されている。導水路30は、上面視で、汚物受け面14及びリム部18の形状に合わせた卵型の周回流路を形成している。導水路30は、環状の流路を構成している。導水路30は、その高さ位置が全周の大部分にわたって同じ高さ位置となるように形成されているが、ボウル部20の前部においては、他の部分の導水路の高さ位置よりも深い位置を形成する深部30aを形成している。導水路30の深部30aにおけるリム下端部18aは、他の領域のリム下端部18aよりも低い位置に形成され、最も低い位置のリム下端部18aを形成している。このように、深部30aは、導水路30中において一段下がった谷状の底部を形成している。
【0025】
図4乃至
図6に示すように、導水路30は、後述するように大部分の領域において、リム部18のリム下端部18aから汚物受け面14の汚物受け面上端部14aまで、わずかに内側向きに下降する比較的平坦な平面を形成している。導水路30は、後述する深部30a及びこの深部30aへの傾斜流路を除く大部分はリム吐水口26の高さと同じ高さに形成されている。導水路30は、リム部18のリム下端部18aから汚物受け面14の汚物受け面上端部14aまで、比較的水平に近い面を形成している。導水路30は、リム部18と汚物受け面14との間において棚状(段状)の平坦な表面を形成している。従って、洗浄水は、全周にわたって平坦面が連続している導水路30上を周回するように流れることができる。洗浄水は、導水路30上を周回しようとする中で、洗浄水が徐々に内側の汚物受け面14に流下することにより、汚物受け面14の中心に向かって螺旋状に集束するような旋回流を形成することができる。
なお、リム吐水口26は、導水路30のリム吐水口近傍部30bの接線に沿わせるような向きでリム吐水口近傍部30bに接続される。よって、リム吐水口26から吐水された洗浄水が、導水路30上を周回するような向きで導水路30上に周回流(旋回流)を形成する。
【0026】
ボウル部20の前部においては、導水路30は、リム吐水口26の高さより深い位置の深部30aを形成している。導水路30の深部30aは、導水路30の他の位置、例えばリム吐水口近傍部30b、後部30f、左前方部30g等における導水路30の高さ位置よりも低い高さ位置に配置されている。よって、導水路30の深部30aは、導水路30のうち深い部分、例えば最深部を形成するようになっている。
ボウル部20の前部において、導水路30の深部30aの高さ位置を比較的低い位置に形成することにより、使用者が便座4に座った状態で小便をする場合に、この小便が導水路30に衝突し、比較的高い位置から上方に真っ直ぐ立ち上がるリム部18に沿って便器本体2外に流出する又は飛び出ることを抑制することができる。さらに、導水路30の深部30aを比較的低い高さ位置に形成することにより、小便が導水路30によって跳ね上げられ使用者にかかることを抑制することができる。
このように、特にリム部18がオーバーハングの形状を省略してほぼ上向きに立ち上がる縦壁面を形成している場合においては、ボウル部20の前部、例えば、汚物受け面14の前端近傍における導水路30の高さ位置を比較的低い位置に形成することにより、小便の飛び出し又は流出を抑制することができる。
【0027】
導水路30が深部30aを有するので、例えば、導水路30の周回に沿って、左前方部30g側から深部30aに向かって周回方向Dの下降流路部分が一部に形成され、深部30aからリム吐水口近傍部30bに向かってその一部に周回方向Dの上昇流路30c部分が形成される。
【0028】
導水路30は、リム吐水口26から、リム吐水口26の吐水方向(周回方向)に沿って、ボウル部20の前部の導水路30の深部30aに至るまでの領域においては、概ねボウル部20の外側から内側に向かって下降する順傾斜面又は水平面を形成している。導水路30のこのような順傾斜面の垂線は便器本体2の内側に向かって延びる。順傾斜面は内向きの面を形成している。導水路30のうち、後述する逆傾斜面以外の部分は基本的には順傾斜面を形成している。例えばリム吐水口近傍部30b、後部30f、左前方部30gにおいては、導水路30は、順傾斜面を形成している。導水路30が順傾斜面を形成していることにより、洗浄水は、導水路30上を周回するに従って、その一部が徐々に下方側の汚物受け面14に向かって流下することとなる。
【0029】
導水路30は、深部30aを有することから、ボウル部20の前方側領域内の前端領域から右側領域まで、例えば、深部30aからリム吐水口近傍部30bまで、の全部又は一部にわたり、リム吐水口26から吐水される洗浄水の周回方向Dに沿って流路面の高さ位置が上昇する上昇流路30cを形成する。本実施形態においては、導水路30の上昇流路30cは、深部30aからリム吐水口近傍部30bまで、徐々に上昇する。導水路30の上昇流路30cは、導水路30の前端部30dから右側部分30e、例えばリム吐水口26近傍まで延びている。導水路30のリム吐水口近傍部30bは、リム吐水口26の高さ位置に配置され、且つ後部30f、左前方部30g等の高さ位置と同じ高さ位置に配置されている。上昇流路30cは、その下端部が深部30aと接続され、且つその上端部がリム吐水口近傍部30bと接続されている。
【0030】
導水路30は、その深部30aから上昇する上昇流路30cの少なくとも一部、例えば上部側部分においては、ボウル部20の内側から外側に向かって下降する傾斜面又はボウル部20の内側から外側に向かって水平に形成された水平面を形成する棚部30hを備えている。
【0031】
導水路30の棚部30hは、上昇流路30cの中央部分30iから上端部のリム吐水口近傍部30bにわたって形成されている。なお、導水路30の棚部30hは、上昇流路30cの全部又は一部に形成されることができ、例えば、上端部のリム吐水口26近傍においてのみ形成されていてもよい。導水路30の棚部30hは、特に導水路30がリム吐水口26と合流されるリム吐水口近傍部30bのリム吐水口26の内側の領域を含むように形成されている。なお、上昇流路30cの下端部の深部30aから中央部分30iまでにおいては棚部30hが形成されていないので、上昇流路30cは、ボウル部20の外側から内側に向かって下降する順傾斜面を形成している。
【0032】
図7に示すように、導水路30の棚部30hは、ボウル部20の内側から外側に向かって下降する逆傾斜面を形成している。すなわち、棚部30hの逆傾斜面は、例えば、左前方部30g側のボウル部20の外側から内側に向かって下降する順傾斜面とは逆の向きに向けられる。棚部30hの逆傾斜面は、その棚部30hの開始部から上昇するにつれて外側への傾斜が大きくなり、その上端部近傍においては逆傾斜が上昇するにつれ徐々に小さくなって水平に戻るように形成されている。逆傾斜面は便器本体2の外向きの面を形成している。逆傾斜面の垂線は便器本体の外側に向かって延びる。棚部30hは、汚物受け面14とは反対側(便器本体2の外側)に向かって傾斜している。よって、汚物受け面上端部14aは、リム下端部18aよりも高い位置に配置されている。この棚部30h上を流れる洗浄水は、便器本体2の外側、すなわちリム部18側に向かって寄りやすく(流れやすく)なっている。上昇流路30cの周回方向Dに上昇する流路の上部側において、洗浄水の水勢が弱まってくる場合においても、洗浄水を汚物受け面14側に流下させにくくすることができ、洗浄水を棚部30h上に留めるようにしながら下流側に導くことができる。
【0033】
導水路30の棚部30hは、ボウル部20の内側から外側に向かってほぼ水平に形成された水平面を形成していてもよい、この場合、棚部30hの水平面の垂線は、例えば、順傾斜面とは異なる鉛直方向上向きに向けられる。棚部30hは、汚物受け面14に向かった傾斜を形成していない。よって、汚物受け面上端部14aは、リム下端部18aと同じ高さ位置に配置されている。導水路30の棚部30hが水平面を形成している場合には、この棚部30h上を流れる洗浄水は、便器本体2の内側又は外側に向かって寄りにくく、自身の流れの向き及び速度等を維持する。よって、上昇流路30cの周回方向Dに上昇する流路の上部側において、洗浄水の水勢が弱まってくる場合においても、洗浄水を汚物受け面14側に流下させにくくすることができ、洗浄水を棚部30h上に留めるようにしながら下流側に導くことができる。
【0034】
ボウル部20の棚部30hは、ボウル部20のボウル開口を左右に二等分する前後方向軸線A1と、ボウル開口を前後に二等分する左右方向軸線A2との交点を原点(中心点)Cとし、この原点Cを中心として、前後方向軸線A1に対して下流側且つ前後方向軸線A1からの中心角α1度以上α2度以下の範囲の領域E内において形成されている。例えばα1度は20度であり、例えばα2度は60度である。
【0035】
なお、導水路30の上昇流路30cの上端部はリム吐水口近傍部30bに形成されているので、リム吐水口26からの吐水の終了後において、リム吐水口26及び/又はリム通水路24等から少量の残水が漏れ出るように流出する場合においても、流出した少量の洗浄水が導水路30の上昇流路30cに流下し、上昇流路30c内の棚部30hに沿って深部30aに向かって流下することができ、深部30aは内側向きの順傾斜面を形成しているので、この洗浄水が深部30aから汚物受け面14に流下することができる。
また、リム吐水口26からの吐水の終了後等の洗浄水の水勢が弱まってくる場合において、上昇流路30cを上りきれない洗浄水が生ずるとき、これらの洗浄水が棚部30hの逆傾斜面に沿って外側に集められ且つ導水路30の上昇流路30cに沿って深部30aに向かって流下することができる。このようにして、上昇流路30cを上りきれない洗浄水が生ずる場合においても、洗浄水を棚部30hにおいて溜めることなく、上昇流路30cに沿って深部30aに向かって流下させることができる。さらに、深部30aは内側向きの順傾斜面を形成しているので、この洗浄水が深部30aから汚物受け面14に流下することができる。
【0036】
つぎに、
図1〜
図5を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器の動作(作用)について説明する。
使用者が、便器使用後に、例えば、大洗浄用の操作ボタン(図示せず)を押すと、この操作ボタン(図示せず)からの信号がコントローラ(図示せず)に送信され、水洗大便器1の大洗浄用の洗浄動作が開始される。
使用者が操作ボタン(図示せず)を操作すると、コントローラは洗浄水を水道等の給水源から導水管28、リム通水路24を通過させ、リム吐水口26から吐出させる。
リム吐水口26から吐出された洗浄水は、ボウル部20内を旋回しながら下方へ流下し、ボウル部20の内壁面が洗浄される。
【0037】
リム吐水口26から吐出される洗浄水は、矢印F1に示すように、リム吐水口26から導水路30のリム吐水口近傍部30b上に吐水される。矢印F2に示すように、リム吐水口26から吐水された洗浄水は、導水路30上を周回するような向き(周回方向Dの向き)で導水路30上に周回流(旋回流)を形成する。このとき、矢印F3に示すように、洗浄水が徐々に内側の汚物受け面14に流下することにより、汚物受け面14の中心に向かって螺旋状に集束するような旋回流を形成することができる。
【0038】
矢印F4に示すように、導水路30の深部30aを通過した洗浄水は、導水路30の上昇流路30c上を周回方向Dの向きに上昇する。このとき、洗浄水は、上昇流路30c上を上昇するので洗浄水の水勢及び流速は徐々に弱まる。上昇流路30cの深部30aから中央部分30iまでの領域においては順傾斜面が形成されているので、矢印F5に示すように、このような領域においては、導水路30上を旋回する洗浄水のうち一部が内側の汚物受け面14上に流下しやすくなっている。
【0039】
矢印F6に示すように、洗浄水が上昇流路30cの棚部30hに到達するとき、棚部30hがボウル部20の内側から外側に向かって下降する傾斜面又はボウル部20の内側から外側に向かって水平に形成された水平面を形成しているので、洗浄水がボウル部20の前部の上昇流路30cの棚部30hからボウル部20の内側の汚物受け面14側に流下することを抑制できる。
具体的には、棚部30hが逆傾斜面を形成しているので、棚部30h上を流れる洗浄水は、リム部18に寄らせるような力Pを受ける。従って、棚部30h上を流れる洗浄水は、洗浄水の水量が低下したり、水勢が弱まったり、水流の流速が低下したりする場合においても、汚物受け面上端部14a側から流下しにくく且つ流下することを抑制される。このように棚部30h上から汚物受け面上端部14a側に流下される洗浄水の水量は抑制されるので、棚部30h上から汚物受け面上端部14a側に流下される洗浄水の水量を比較的少量に抑制することができる。よって、洗浄水が上昇流路30cの上端部に到達するまでに汚物受け面14側に流下しすぎてしまうことを抑制でき、洗浄水が上昇流路30cの上端部まで到達する前に全て内側の汚物受け面14へ流下してしまうことを抑制し、洗浄水を上昇流路30cの上端部まで到達させるとともに上昇流路30cから汚物受け面14側に流下する流れを上昇流路30cのほぼ全体にわたって比較的広範囲に形成することができる。よって、洗浄水が上昇流路30cの上端部まで到達されず且つ上昇流路30cから汚物受け面14側に流下する流れが形成されなくなることによるボウル部20内の不洗浄領域が発生することをより効果的に抑制することができる。
【0040】
このように、上昇流路30cを通過した上部の導水路30から、又は上昇流路30cを通過する途中の部分からも比較的広範囲にわたって導水路から汚物受け面14側に流下する流れを形成することができる。また、導水路30上を周回してきた洗浄水の水勢及び流速が最も弱まる傾向にある上昇流路30cの上端部(リム吐水口近傍部30bのリム吐水口26の直前の導水路部分)においても洗浄水が汚物受け面上端部14a側に流下することを抑制し、上端部から汚物受け面上端部14a側に流下する洗浄水量を比較的少量に抑制し、洗浄水を導水路30上でリム吐水口近傍部30bまで周回させることができる。
【0041】
よって、周方向に導水される洗浄水が上昇流路30cの上端部まで到達する前にこれらの洗浄水のうちの全てが内側の汚物受け面14へ流下してしまうことを抑制することができる。よって、導水路30上を周回方向Dに流れている洗浄水が上昇流路30cの上端部まで到達できずに流下してしまうことにより導水路30の不洗浄領域が発生すること、及び/又はこの洗浄水が上昇流路30cの上端部まで到達できずに、汚物受け面14上に形成される旋回流の流れに偏りが生じ、汚物受け面14上に不洗浄領域が発生すること、又はこの洗浄水が上昇流路30cの上端部まで到達した状態から汚物受け面14上に流下して汚物受け面14上に形成される旋回流の流れが形成されないことにより汚物受け面14上に不洗浄領域が発生すること、等のボウル部20内において不洗浄領域が発生することをより効果的に抑制することができる。
【0042】
洗浄水がリム吐水口近傍部30bのリム吐水口26の正面側まで到達するとき、リム吐水口26から吐水された洗浄水の流れ(矢印F1参照)と相俟って、さらに導水路30上を周回しようとする流れが形成される。
【0043】
洗浄水は、導水路30上を周回しようとする中で、徐々に内側の汚物受け面14に流下し、汚物受け面14の中心に向かって集束するような旋回流を形成する。洗浄水の水勢が弱められ、汚物受け面14側に流下しやすくなる上昇流路30cの棚部30hの領域において洗浄水を流下させにくくすることができる。よって、洗浄水が上昇流路30cの上端部に到達するまでに汚物受け面14側に流下しすぎてしまうことを抑制することができるので、導水路30の全周から比較的均等に流下される洗浄水により、汚物受け面14全体を不洗浄領域を発生させないように均等に洗浄することができる。
【0044】
汚物受け面14を流下した洗浄水は、溜水部17に流下され、排水トラップ管路22内に流入する。前後して、コントローラにより作動された加圧ポンプ36によりゼット吐水部32から吐出された洗浄水が排水トラップ管路22内に流入し、排水トラップ管路22を満水にしてサイホン現象を引き起こす。このサイホン現象により、ボウル部20内の溜水及び汚物は、排水トラップ管路22に吸引され、下流側の排水管(図示せず)から排出される。
便器本体2に洗浄水が供給されてから所定時間経過後、コントローラ(図示せず)は、リム吐水口26からの吐水を終了させ、加圧ポンプ36の作動を停止させ、ゼット吐水部32からの吐水も停止させ、一連の洗浄動作が終了する。
【0045】
つぎに、上述した本発明の一実施形態による水洗大便器1における作用について説明する。
まず、本実施形態による水洗大便器1によれば、導水路30上で周方向に導水される洗浄水が、導水路30の深部30aから上昇する上昇流路30cを上昇し、洗浄水の水勢が弱められる場合に、導水路30の上昇流路30cの少なくとも一部において、棚部30hがボウル部20の内側から外側に向かって下降する傾斜面又はボウル部20の内側から外側に向かって水平に形成された水平面を形成しているので、洗浄水が上昇流路30cの上端部に到達するまでにボウル部20の内側の汚物受け面14側に流下しすぎてしまうことを抑制できる。従って、洗浄水が上昇流路30cの上端部まで到達する前に全て内側の汚物受け面14へ流下してしまうことを抑制し、洗浄水が上昇流路30cの上端部まで到達されず且つ上昇流路30cから汚物受け面14側に流下する流れが形成されなくなることによりボウル部20内の不洗浄領域が発生することをより効果的に抑制することができる。
【0046】
つぎに、本実施形態による水洗大便器1によれば、導水路30上で周方向に導水される洗浄水が、導水路30の深部30aから上昇する上昇流路30cを上昇し、洗浄水の水勢が弱められる場合に、導水路30の上昇流路30cの少なくとも一部において、棚部30hがボウル部20の内側から外側に向かって下降する傾斜面を形成しているので、洗浄水が上昇流路30cの上端部に到達するまでにボウル部20の内側の汚物受け面14側に流下しすぎてしまうことを抑制できる。従って、洗浄水が上昇流路30cの上端部まで到達する前に全て内側の汚物受け面14へ流下してしまうことを抑制し、洗浄水が上昇流路30cの上端部まで到達されず且つ上昇流路30cから汚物受け面14側に流下する流れが形成されなくなることによりボウル部20内の不洗浄領域が発生することをより効果的に抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態による水洗大便器1によれば、導水路30上で周方向に導水される洗浄水が、ボウル部20の前部の深部30aからリム吐水口26まで上昇する上昇流路30cを上昇し、洗浄水の水勢が弱められる場合に、導水路30の上昇流路30cの少なくとも一部において、棚部30hがボウル部20の内側から外側に向かって下降する傾斜面又はボウル部20の内側から外側に向かって水平に形成された水平面を形成しているので、洗浄水が上昇流路30cの上端部に到達するまでにボウル部20の内側の汚物受け面14側に流下しすぎてしまうことを抑制できる。従って、洗浄水が上昇流路30cの上端部まで到達する前に全て内側の汚物受け面14へ流下してしまうことを抑制し、洗浄水が上昇流路30cの上端部まで到達されず且つ上昇流路30cから汚物受け面14側に流下する流れが形成されなくなることによりボウル部20内の不洗浄領域が発生することをより効果的に抑制することができる。
また、リム吐水口26は、ボウル部20の前方側領域において後方に向けた吐水を行うように配置されているので、ボウル部20の前方側に立つ使用者から見てリム吐水口26が見えにくく且つ目立ちにくくされている。従って、リム吐水口26を目立たなくすることにより、使用者がリム吐水口26の汚れ等を気にすることを抑制し且つボウル部20全体として使用者に美観を与えやすくすることができる。
【0048】
さらに、本実施形態による水洗大便器1によれば、導水路30上で周方向に導水される洗浄水が、ボウル部20の前部の深部30aからリム吐水口26まで上昇する上昇流路30cを上昇し、洗浄水の水勢が弱められる場合に、洗浄水の水勢が特に弱まる導水路30の上昇流路30cの中央部分から上端部にわたって、棚部30hがボウル部20の内側から外側に向かって下降する傾斜面又はボウル部20の内側から外側に向かって水平に形成された水平面を形成しているので、洗浄水が上昇流路30cの上端部に到達するまでにボウル部20の内側の汚物受け面14側に流下しすぎてしまうことを抑制できる。
【0049】
さらに、本実施形態による水洗大便器1によれば、導水路30上で周方向に導水される洗浄水が、ボウル部20の前部の深部30aからリム吐水口26まで上昇する上昇流路30cを上昇し、洗浄水の水勢が弱められる場合に、洗浄水の水勢が特に弱まる前後方向軸線A1からの中心角20度以上60度以下の範囲の領域内において、棚部30hがボウル部20の内側から外側に向かって下降する傾斜面又はボウル部20の内側から外側に向かって水平に形成された水平面を形成しているので、洗浄水が上昇流路30cの上端部に到達するまでにボウル部20の内側の汚物受け面14側に流下しすぎてしまうことを抑制できる。