特許第6862706号(P6862706)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6862706固体撮像素子用緑色着色組成物および固体撮像素子用カラーフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862706
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】固体撮像素子用緑色着色組成物および固体撮像素子用カラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20210412BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20210412BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20210412BHJP
   C09B 25/00 20060101ALN20210412BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   G03F7/004 505
   C09B67/20 F
   !C09B25/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2016-147234(P2016-147234)
(22)【出願日】2016年7月27日
(65)【公開番号】特開2018-17856(P2018-17856A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中古 知貴
(72)【発明者】
【氏名】日岐 憲司
【審査官】 本田 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/128233(WO,A1)
【文献】 特開2014−208758(JP,A)
【文献】 特開2014−035351(JP,A)
【文献】 特開2013−186149(JP,A)
【文献】 特開2015−172732(JP,A)
【文献】 特開2014−199308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(A)、バインダー樹脂(B)、光重合性単量体、光重合開始剤および有機溶剤を含有し、着色剤(A)がキノフタロン顔料と、フタロシアニン顔料とを含有し、前記キノフタロン顔料が下記一般式(1A)、(1B)、および(1C)から選ばれる少なくとも一つのキノフタロン顔料と、ピグメントイエロー138とを含有し、
前記キノフタロン顔料中、ピグメントイエロー138を20〜29.4重量%以下含有し、
前記フタロシアニン顔料がピグメントグリーン36、および/またはピグメントグリーン58であり、
前記光重合開始剤がオキシムエステル系化合物を含有することを特徴とする固体撮像素子用緑色着色組成物。
一般式(1A)
【化1】

一般式(1B)
【化2】


一般式(1C)
【化3】

[一般式(1A)〜(1C)中、R14〜R28、R29〜R43、R44〜R60は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SO3H基、−COOH基、−SOH基もしくは−COOH基の金属塩、−SOH基もしくは−COOH基のアルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、または置換基を有しても良いスルファモイル基を示す。]
【請求項2】
14〜R28、R29〜R43、R44〜R60が、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子である請求項1記載の固体撮像素子用緑色着色組成物。
【請求項3】
少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントおよび少なくとも1つの青色フィルタセグメントを備えるカラーフィルタにおいて、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントが、請求項1または2記載の固体撮像素子用緑色着色組成物により形成されてなる固体撮像素子用カラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)などに代表される固体撮像素子に装着される固体撮像素子用カラーフィルタ、該カラーフィルタを備えた固体撮像素子、および固体撮像素子用感光性着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
C−MOS、CCDなどの固体撮像素子は、その受光素子上にB(青)、G(緑)、R(赤)の加法混合の原色のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタをそれぞれ配設して色分解するのが一般的である。近年、固体撮像素子の小型化および高画素化によって1画素当たりの面積が減少する方向にある。その結果、撮像素子に装着されるカラーフィルタの薄膜化ならびに着色成分を高濃度化することが要求されている。
【0003】
カラーフィルタの製造方法には、色材に染料を使った染色法、染料分散法や、色材に顔料を使った顔料分散法、印刷法、電着法などがある。このうち染色法、あるいは染色分散法は色素が染料であることから、耐熱性や耐光性にやや劣る欠点がある。よってカラーフィルタの色材としては耐熱性や耐光性に優れる顔料が用いられ、製造方法としては形成方法の精度や安定性から顔料分散法を用いる場合が多い。
【0004】
顔料分散法は、透明樹脂中に色素である顔料粒子を分散させたものに感光剤や添加剤などを混合・調合することによってカラーレジスト化し、このカラーレジストを基板上にスピンコーターなどの塗布装置により塗膜形成し、アライナーやステッパー等によりマスクを介して選択的に露光を行い、アルカリ現像、熱硬化処理をすることによりパターニングし、この操作を繰り返すことによってカラーフィルタを作製する方法である。
【0005】
近年では、透過率すなわち明度や、色純度の向上、フィルタセグメントを形成する際の塗布均一性、感度、現像性、パターン形状など、カラーフィルタに対する色特性の要求が高まっている。特にビデオカメラやデジタルカメラ、カラースキャナー等に使われている固体撮像素子に用いられているカラーフィルタにおいては、高精細化、高輝度化、高色再現性が要求されており、透過率が高く、色再現性、色分離性の優れたカラーフィルタが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−267792号公報
【特許文献2】特開2008−040404号公報
【特許文献3】特開2006−104243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明は、特定の顔料を用いることで、固体撮像素子用カラーフィルタに要求される、分光特性を制御することを可能とし、色分離性に優れた固体撮像素子用緑色着色組成物、およびそれを用いた固体撮像素子用カラーフィルタの提供を目的とする。
【0008】
すなわち、着色剤(A)、バインダー樹脂(B)、および有機溶剤を含有し、着色剤(A)がキノフタロン化合物と、フタロシアニン顔料とを含有し、前記キノフタロン顔料が下記一般式(1A)、(1B)、および(1C)から選ばれる少なくとも一つのキノフタロン顔料と、ピグメントイエロー138とを含有し、前記フタロシアニン顔料がピグメントグリーン36、および/またはピグメントグリーン58であることを特徴とする固体撮像素子用緑色着色組成物に関する。
【0009】
一般式(1A)
【化1】
【0010】
一般式(1B)
【化2】
【0011】
一般式(1C)
【化3】


[一般式(1A)〜(1C)中、R14〜R28、R29〜R43、R44〜R60は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SOH基、−COOH基、−SOH基もしくは−COOH基の金属塩、−SOH基もしくは−COOH基のアルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、または置換基を有しても良いスルファモイル基を示す。]
【0012】
また、本発明は、R14〜R28、R29〜R43、R44〜R60が、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子である前記固体撮像素子用緑色着色組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、光重合性単量体および/または光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜2いずれか記載の固体撮像素子用緑色着色組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントおよび少なくとも1つの青色フィルタセグメントを備えるカラーフィルタにおいて、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントが、前記固体撮像素子用緑色着色組成物により形成されてなる固体撮像素子用カラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記一般式(1)で表されるキノフタロン化合物と、フタロシアニン顔料とを固体撮像素子用カラーフィルタに用いる着色剤物として用いることで、優れた色分離性を与える固体撮像素子用カラーフィルタを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書における「C.I.」とは、カラーインデックスを意味する。
本発明の着色剤(A)は、一般式(1)で表されるキノフタロン化合物とフタロシアニン顔料とを含有するという特徴がある。
まず、本発明の一般式(1A)〜(1C)で表されるキノフタロン化合物について説明する。
(キノフタロン化合物)
【0017】
一般式(1A)
【化1】


一般式(1B)
【化2】


一般式(1C)
【化3】


[一般式(1A)〜(1C)中、R14〜R28、R29〜R43、R44〜R60は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SOH基、−COOH基、−SOH基もしくは−COOH基の金属塩、−SOH基もしくは−COOH基のアルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、または置換基を有しても良いスルファモイル基を示す。]
【0018】
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0019】
また、置換基を有してもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、プチル基、イソプチル基、tert−プチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基の他、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、ペンジル基、4−メチルペンジル基、4−tert−プチルベンジル基、4−メトキシペンジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基等の置換基を有するアルキル基が挙げられる。
【0020】
また、置換基を有してもよいアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソプチルオキシ基、tert−プチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペントキシ、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基の他、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシ基、2,2−ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等の置換基を有するアルコキシル基が挙げられる。
【0021】
また、置換基を有してもよいアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等のアリール基の他、p−メチルフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−アミノフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、4−ヒドロキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、4,5,8−トリクロロ−2−ナフチル基、アントラキノニル基、2−アミノアントラキノニル基等の置換基を有するアリール基が挙げられる。
【0022】
また、酸性基としては、−SOH、−COOHが挙げられ、これら酸性基の1価〜3価の金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩等が挙げられる。また、酸性基のアルキルアンモニウム塩としては、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン等の長鎖モノアルキルアミンのアンモニウム塩、パルミチルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム塩等の4級アルキルアンモニウム塩が挙げられる。
【0023】
置換基を有してもよいフタルイミドメチル基(C(CO)N−CH−)、および、置換基を有してもよいスルファモイル基(HNSO−)における「置換基」としては、上記のハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有してもよいアリール基等が挙げられる。
【0024】
本発明の着色剤に用いられるキノフタロン化合物は、一般式(1A)〜(1C)のいずれかであることが好ましい。ここで、R14〜R28、R29〜R43、R44〜R60における、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SOH;−COOH;およびこれら酸性基の1価〜3価の金属塩;アルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、または置換基を有しても良いスルファモイル基は、一般式(1)で説明した基と同義である。
【0025】
さらに、本発明の着色剤に用いられるキノフタロン化合物は、一般式(1A)〜(1C)のR14〜R28、R29〜R43、R44〜R60が、水素原子またはハロゲン原子あることがより好ましい。
【0026】
本発明の着色剤に用いられるキノフタロン化合物の具体例として、下記に示すキノフタロン化合物(a)〜(r)等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】

【0030】
【化7】
【0031】
<キノフタロン化合物の製造法>
本発明で使用されるキノフタロン化合物は、例えば、特許公報2930774号記載の方法によって製造することができる。以下、一般式(1)で表されるキノフタロン化合物の一般的な製造法について述べる。下記一般式(3)で表される8−アミノキナルジン1当量に対して、下記一般式(4)で表される無水フタル酸2〜3当量を、安息香酸中、窒素雰囲気下、160〜200℃で加熱して縮合反応させる。反応させる際、反応混合物が160〜200℃に達する前に、140〜160℃で1〜3時間保持しておくことで、2段階工程で、無水フタル酸の縮合を進行させることができる。
【0032】
一般式(2)
【化8】

[式中、R66〜R70は、一般式(1)におけるR〜Rと同義である。]
【0033】
一般式(3)
【化9】

[式中、R71〜R74は、一般式(1)におけるR〜R、R10〜R13と同義である。]
【0034】
反応の際、一般式(3)で表される8−アミノキナルジン1当量に対して、一般式(4)で表される無水フタル酸を1〜2当量添加して140〜160℃で1〜3時間加熱攪拌した後、構造の異なる一般式(4)で表される無水フタル酸を1〜2当量添加して160〜200℃で加熱、縮合反応させることで、8−アミノキナルジンのアミノ基側とメチル基側で構造の異なる無水フタル酸を縮合させることができる。
【0035】
また、8−アミノキナルジンに対して、2種以上の構造的に異なる無水フタル酸を同時に反応させることにより、2種類以上の構造的に異なるキノフタロン化合物を同時に合成することができる(以下、「共合成法」と称す)。例えば、8−アミノキナルジン1当量に対して、テトラクロロ無水フタル酸1.8当量と、それ以外の無水フタル酸1.2当量を縮合させることで、C.I.ピグメントイエロー138と特定のキノフタロン化合物を同時に製造することができる。
【0036】
また、特許文献3に記載の化合物(1)の合成法に従い、一般式(1)で表されるキノフタロン化合物から、一般式(5)の化合物を合成することができる。さらに、一般式(5)と一般式(4)で表される無水フタル酸を安息香酸中、160〜200℃で縮合させることで、一般式(1)で表されるキノフタロン化合物を合成することも可能である。
キノフタロン化合物の製造方法はこれらの方法に限定されるものではない。
【0037】
一般式(4)
【化10】

[式中R75〜R83は、一般式(1)におけるR〜R13と同義である]
【0038】
本発明の着色剤は、2種類以上のキノフタロン化合物を含有していてもよい。
このとき別々に製造したキノフタロン化合物同士を混合しても良いし、同時に2種類以上のキノフタロン化合物を共合成法によって製造して、着色剤に使用しても良い。
これら別々に製造したキノフタロン化合物を使用する場合は、2種の顔料を分散する前に単純に混合してもよいし、ソルトミリング処理により粉砕混合してもよい。
特に着色剤としてC.I.ピグメントイエロー138を含有する場合、共合成法あるいはソルトミリング処理により粉砕混合して使用することが望ましい。キノフタロン骨格を持つピグメントイエロー138と、一般式(1)で表されるキノフタロン化合物を、一緒に粉砕混合することで、それぞれを単独にソルトミリング処理したときに比べ、微細な粒子が得られる。
【0039】
本発明の着色組成物は、色相の調整の目的で、本発明の効果を損なわない範囲で、キノフタロン化合物以外の黄色着色剤を含有してもよい。
本発明の着色組成物に使用可能な黄色着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214等の黄色顔料を用いることができる。
【0040】
特にフィルタセグメントの耐熱性、耐光性、および透過率の観点からC.I.ピグメントイエロー138、139、150、185が好ましく、中でもC.I.ピグメントイエロー138が特に好ましい。
【0041】
(フタロシアニン顔料)
次に、フタロシアニン顔料について説明する。
【0042】
本発明の着色剤に用いられるフタロシアニン顔料の具体例として、C.I.ピグメント グリーン7、10、36、37、58、59、62、63等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。高透過率の観点からC.I.ピグメント グリーン36、C.I.ピグメント グリーン58が最も好ましい。
【0043】
<着色組成物の濃度>
また、カラー撮像素子は2.0μm以下の薄膜化が求められるため、本発明の着色剤の固形分中の顔料濃度は、35重量%以上であることが好ましい。
【0044】
<顔料の微細化>
本発明の着色組成物に用いる着色剤で使用するキノフタロン化合物は、その置換基の種類によって顔料の性質を示すことがある。キノフタロン化合物が顔料の性質を示す場合やフタロシアニン顔料は、ソルトミリング処理等の方法により、顔料粒子の微細化を施すことにより、着色剤として好適に使用することができる。顔料の一次粒子径は、10nm以上であることが好ましいが、コントラストの高いフィルタセグメントを形成するためには、80nm以下であることが好ましい。特に好ましい範囲は、20〜60nmの範囲である。
【0045】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0046】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料の全重量を基準(100重量%)として、50〜2000重量%用いることが好ましく、300〜1000重量%用いることが最も好ましい。
【0047】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料の全重量を基準(100重量%)として、5〜1000重量%用いることが好ましく、50〜500重量%用いることが最も好ましい。
【0048】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料の全重量を基準(100重量%)として、2〜200重量%の範囲であることが好ましい。
【0049】
<固体撮像素子用着色組成物>
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、前記で説明した着色剤の他に、バインダー樹脂、有機溶剤から構成される。
<バインダー樹脂>
本発明の着色組成物に含まれるバインダー樹脂としては、従来公知の熱可塑性樹脂、および熱硬化性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0050】
着色組成物として用いる場合には、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。また、アルカリ現像型着色レジストの形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0051】
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0052】
エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂が用いられる。又、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0053】
熱可塑性樹脂として、アルカリ可溶性能とエネルギー線硬化性能とを併せもつものも、
着色組成物として好ましい。
【0054】
上記熱可塑性樹脂を構成するモノマーとして以下のものが挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類、スチレン、又はα−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。
あるいは、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2−ビスマレイミドエタン1,6−ビスマレイミドヘキサン、3−マレイミドプロピオン酸、6,7−メチレンジオキシ−4−メチル−3−マレイミドクマリン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−(4−アミノフェニル)マレイミド、N−(4−ニトロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ブロモメチル−2,3−ジクロロマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオナート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチラート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドヘキサノアート、N−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9−マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類が挙げられる。
【0055】
特に、N-置換マレイミド由来の構成単位を有することが好ましく、なかでも耐熱性の点からシクロヘキシルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2−ビスマレイミドエタンが好ましく、特にシクロヘキシルマレイミドが好ましい。
【0056】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。
本発明の着色組成物は、熱硬化性樹脂を含むとさらに耐熱性の面で好ましく、例えば、なかでも、エポキシ樹脂、メラミン樹脂がより好適に使用出来、特にメラミン樹脂がより好ましく、なかでも、メチロールイミノ基を有するメラミン化合物またはその縮合物がさらに好ましい。
【0057】
熱硬化性樹脂は、着色剤100重量部に対し、5〜60重量部の範囲で添加することが好ましい。10重量部未満であると耐熱性・耐光性向上への効果が小さくなり、60重量部を超えるとアルカリ現像の際の現像性悪化のため好ましくない。
【0058】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、5,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは8,000〜50,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は2,500〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
ここで重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、東ソー株式会社製ゲルパーミエイションクロマトグラフィー「HLC−8120GPC」において、分離カラムを4本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー株式会社製「TSK−GEL SUPER H5000」、「H4000」、「H3000」、及び「H2000」を用い、移動相にテトラヒドロフランを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
【0059】
バインダー樹脂を着色組成物として使用する場合には、顔料分散性、現像性、及び耐熱性の観点から、顔料吸着基及び現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、顔料担体及び溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、顔料分散性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる。
【0060】
バインダー樹脂は、着色剤の全重量を基準として、20〜500重量%の量で用いることができる。30重量%未満では、成膜性及び諸耐性が不十分となり、500重量%より多いと顔料濃度が低く、色特性を発現できない。
【0061】
<有機溶剤>
本発明の着色組成物には、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために有機溶剤を含有している。
【0062】
有機溶剤としては、例えば乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ−ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0063】
中でも、本発明の着色剤の分散が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
【0064】
有機溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。また溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成できることから、着色剤の全重量を基準(100重量%)にして、500〜4000重量%の量で用いることが好ましい。
【0065】
<分散助剤>
着色剤を着色剤担体中に分散する際には、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、着色剤の分散に優れ、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、分光透過率の高いカラーフィルタが得られる。
【0066】
<色素誘導体>
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特開2001−335717号公報、特開2003−128669号公報、特開2004−091497号公報、特開2007−156395号公報、特開2008−094873号公報、特開2008−094986号公報、特開2008−095007号公報、特開2008−195916号公報、特許第4585781号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。色素誘導体を使用する場合、キノフタロン骨格を有するものが明度、分散性の観点から好ましい。
【0067】
色素誘導体の配合量は、添加着色剤の分散性向上の観点から、添加着色剤の全量を基準(100重量%)として、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上、最も好ましくは3重量%以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、添加顔料の全量を基準(100重量%)として、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下である。
【0068】
<樹脂型分散剤>
樹脂型分散剤は、添加着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0069】
上記分散剤のうち少量の添加量で分散体の粘度が低くなり高いコントラストを示すという理由から、塩基性官能基を有する高分子分散剤が好ましく、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体およびウレタン系高分子分散剤などが好ましい。
樹脂型分散剤は、顔料全量に対して5〜200重量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
【0070】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDsperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、BASF社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0071】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0072】
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合の配合量は、添加着色剤の全量を基準(100重量%)として、好ましくは0.1〜55重量%、さらに好ましくは0.1〜45重量%である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1重量%未満の場合には、添加した効果が得られ難く、配合量が55重量%より多いと、過剰な分散剤により分散に悪影響を及ぼすことがある。
【0073】
<着色組成物の製造方法>
本発明の着色組成物は、少なくとも一般式(1)で表されるキノフタロン化合物を含有する着色剤、バインダー樹脂、および有機溶剤を混合したものを、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、またはアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、本発明の着色組成物は、着色剤等を別々にバインダー樹脂および有機溶剤中に微細に分散したものを混合して製造することもできる。
【0074】
このようにして平均一次粒子径が100nm以下に微細化された着色剤をサンドミル等の分散機を用いて透明樹脂に分散すると、一次粒子が複数個集まった二次粒子からなる分散粒子の状態で分散され、分散状態の進行によりこの分散粒子は徐々に小さくなり、最終的には一次粒子の状態で分散されているようになるものであるが、分散状態を分散粒子の大きさで制御し、分散粒子の平均径が50nmから150nmの範囲内となるように分散させたものである。
【0075】
分散が進むにつれ分散粒径は小さくなり、透明性が増すため、分散粒径は小さくなるほどよい。一方、分散が進行し、分散粒径が小さくなると分散体の粘度が上昇し、かつチキソトロピック性が大きくなる傾向がみられる。固体撮像素子用着色組成物として用いる場合には、薄膜塗布されかつ塗膜表面が平滑であることが要求されるため、低粘度でかつニュートニアンフローであることが要求される。このため、通常の使用に好ましい粘度やチキソトロピック性を考慮すると、分散粒径を100nm程度に抑えることが好ましい。このように、平均一次粒子径が100nm以下の着色剤を用い、分散粒子の平均粒径を50nmから150nmの範囲内となるように分散度合いを制御することにより、粘度上昇およびチキソトロピック性が最小限に抑えられ、透明性が高い顔料分散体を得ることができる。
【0076】
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0077】
本発明の着色組成物は、さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を添加し、着色組成物として使用することができる。
【0078】
<光重合性単量体>
光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。モノマーの配合量は、着色剤の全重量を基準(100重量%)として、5〜400重量%であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜300重量%であることがより好ましい。
【0079】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0080】
<光重合開始剤>
本発明の着色組成物は、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成する場合、光重合開始剤等を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調製することができる。光重合開始剤を使用する際の配合量は、着色剤の全量を基準として、0.5〜200重量%であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から1〜150重量%であることがより好ましい。
【0081】
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。また、カラー撮像素子は薄膜化が求められるため、固形分組成中の顔料濃度が高くなる。そのため、これら光重合開始剤は、オキシムエステル系化合物などの高感度のものがより好ましい。
【0082】
これらの光重合開始剤は1種または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0083】
<増感剤>
さらに、本発明の着色組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、またはミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’または4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0084】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0085】
増感剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上用いても構わない。増感剤を使用する際の配合量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤の全重量を基準(100重量%)として、3〜60重量%であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量%であることがより好ましい。
【0086】
<アミン系化合物>
また、本発明の着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0087】
<レベリング剤>
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性を良くするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全重量を基準(100重量%)として、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
【0088】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有する、いわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0089】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0091】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0092】
<硬化剤、硬化促進剤>
また本発明の着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。前記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂全量に対し、0.01〜15重量%が好ましい。
【0093】
<その他の添加剤成分>
本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0094】
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤の全量を基準(100重量%)として、0.1〜10重量%の量で用いることができる。
【0095】
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着色剤の全量を基準(100重量%)として、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%の量で用いることができる。
【0096】
<カラーフィルタ>
次に、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、本発明の固体撮像素子用緑色着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを具備するものである。カラーフィルタとしては、赤色フィルタセグメントおよび青色フィルタセグメントを具備するものが挙げられる。
【0097】
本発明の固体撮像素子用緑色着色組成物は、主に緑色フィルタセグメントの形成に用いられ、それ以外の各色のフィルタセグメントは、従来用いられる赤色着色組成物、青色着色組成物を用いて形成することができる。本発明の着色組成物以外の各色の着色組成物は、各色顔料、前記バインダー樹脂、前記光重合性組成物等を含有する各着色組成物を用いて形成することができる。
【0098】
<赤色フィルタセグメントを形成する顔料>
赤色フィルタセグメントを形成する赤色着色組成物用の赤色顔料としては、
C.I.ピグメントレッド7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、149、166、168、169、176、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、221、224、242、246、254、255、264、268、269、270、272、273、274、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、特表2011−523433号公報に記載のジケトピロロピロール顔料、または特開2013−161025号公報に記載のナフトールアゾ顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0099】
また赤色着色組成物には、C.I.ピグメント オレンジ 43、71、又は73等の橙色顔料及び/またはC.I.ピグメント イエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、又は214等の黄色顔料を併用することができる。
【0100】
<青色フィルタセグメントを形成する顔料>
青色フィルタセグメントを形成する青色着色組成物用の青色顔料としては、
C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、特開2004−333817号公報、または特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、または50等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0101】
<固体撮像素子>
本発明にかかるカラーフィルタセグメントの形成は特に制限なく公知の方法を用いて形成することができるが、撮像素子のフィルタセグメントはサブミクロンから十数ミクロン程度と微細であることから光リソグラフィを用いるのが好適である。
本発明の実施形態は、上述の着色組成物を硬化してなるカラーフィルタセグメントを持つことを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。上述した本発明の実施形態に係る着色組成物を硬化して得たカラーフィルタセグメントを含むものである。
本実施形態に係るカラーフィルタは、上述の緑色フィルタセグメントと赤色フィルタセグメントおよび青色フィルタセグメントを含む。本発明に関わる着色フィルタセグメント以外は、色顔料を含有する、色染料を含有する、もしくは、色顔料及び色染料の両方を含有する、公知の着色組成物を用いて形成して構わない。着色フィルタセグメントの形成方法は特に制限はないが、ネガ型レジストである感光性着色組成物を用いるのが一般的である。
カラーフィルタセグメントを、所定の対応する光電変換素子上に形成する場合には、ネガ型感光性緑色組成物により形成されたネガ型緑色膜により ネガ型カラーレジスト層を構成し、この場合のネガ型カラーレジスト層の厚さは0.1μm〜3.0μmの範囲に設定される。
ネガ型着色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層の表面は、形成したい複数の光電変換素子に対応する 複数の部分を、フォトマスクを使用してパターン露光する。
フォトマスクは、実際に形成するパターンの寸法の4〜5倍の寸法を 有していて、パターン露光時に1/4〜1/5に縮小してパターン露光を行なう。
このフォトマスクは、4〜5倍レチクルであり、ネガ型カラーレジスト層の表面に露光されるパターンの寸法の4〜5倍の大きさの 寸法のパターンを有している。そして、図示しないステッパー露光装置を使用し、フォトマスクのパターンを1/4〜1/5に縮小してネガ型カラー レジスト層の表面に露光している。
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、露光後の未硬化部を現像液に溶出させ、光硬化した部分を残存させる。この現像工程により、カラーフィルタセグメントからなるパターン状皮膜を形成することができる。
現像方式は、デイップ方式、シャワー方式、スプレー方式、パドル方式などいずれでもよく、これらにスウィング方式、スピン方式、超音波方式などを組み合わせてもよい。
現像液に触れる前に、被現像面を予め水等で湿しておいて、現像むらを防ぐこともできる。現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては、通常20℃〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
現像液が含むアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシ ド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ 性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機化合物等が挙げられる。
現像液としては、これらのアルカリ剤を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように、純水で希釈したアルカリ性水溶液が好ましく使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後、純水で洗浄(リンス)して余剰の現像液 を洗浄除去し、乾燥を施す。
最後に、このように形成されたフィルタセグメントは硬膜化処理される。
本発明の製造方法においては、上述した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを後加熱(ポス トベーク)や後露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常 100℃〜270℃の熱硬化処理を行う。光を用いる場合には、g線、h線、i線、KrFやArFなどのエキシマレーザ、電子線、X線等により行うことができるが、既存の高圧水銀灯で20〜50℃ 程度の低温で行うことが好ましく、照射時間としては、10秒〜180秒、好ましくは30秒〜60秒である。後露光と後加熱との併用の場合、後露光を先に実施することが好ましい。
以上説明した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により硬化工程)を所望の色相数だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタが作製される。
<撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備える。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の固体撮像素子用のカラーフィルタが備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
基板上に、固体撮像素子(CCD センサ、CMOSセンサ、有機CMOSセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダ イオード及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光 部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを有する構成である。
更に、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
なお、有機CMOSセンサは、光電変換層として薄膜のパンクロ感光性有機光電変換膜とCMOS信号読み出し基板を含んで構成され、光を捕捉しそれを電気信号に変換する役割を有機材料が担い、電気信号を外部に取り出す役割を無機材料が担う2層構成のハイブリッド構造であり、原理的には入射光に対して開口率を 100%にすることができる。有機光電変換膜は構造フリーの連続膜でCMOS信号読みだし基板上に敷設できるので、高価な微細加工プロセスを必要とせず、 フィルタセグメント微細化に適している。
カラーフィルタセグメントの配置は特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
【実施例】
【0102】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。
また、顔料の平均一次粒子径、および樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定方法は以下の通りである。
【0103】
(顔料の平均一次粒子径)
顔料の平均一次粒子径は、透過型(TEM)電子顕微鏡を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料一次粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
【0104】
(樹脂の重量平均分子量(Mw))
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0105】
以下、実施例および比較例に用いた色素誘導体と、樹脂溶液の製造方法と、顔料のソルトミリング処理方法と、顔料分散体の製造方法と、緑色着色組成物の製造方法と、カラーフィルタの作製方法とについて説明する。
【0106】
<樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂溶液)
反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
スチレン 60.0部
メタクリル酸 60.0部
メチルメタクリレート 65.0部
ブチルメタクリレート 65.0部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0部
滴下後さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量が約40000のアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0107】
<顔料のソルトミリング処理方法>
(黄色着色剤1(Y−1)の製造)
特開2008−81566号公報に記載の合成方法に従い、化合物(1)を得た。
【0108】
化合物(1)
【化18】
【0109】
安息香酸メチル300部に、化合物(1)100部、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物70部、および安息香酸143部を加え、180℃に加熱し、4時間反応させた。TOF−MSにより、キノフタロン化合物(a)の生成、および原料の化合物(1)の消失を確認した。さらに、室温まで冷却後、反応混合物をアセトン3130部に投入し、室温下にて1時間攪拌した。生成物を濾別し、メタノールにて洗浄、乾燥を行い、120部のキノフタロン化合物(a)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、キノフタロン化合物(a)であることを同定した。
【0110】
次に、上記キノフタロン化合物(a)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の黄色着色剤1(Y−1)を得た。平均一次粒子径は31.3nmであった。
【0111】
(黄色着色剤2(Y−2)の製造)
安息香酸メチル200部に、8−アミノキナルジン40部、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物150部、安息香酸154部を加え、180℃に加熱し、4時間攪拌を行った。さらに、室温まで冷却後、反応混合物をアセトン5440部に投入し、室温下にて1時間攪拌した。生成物を濾別し、メタノール洗浄、および乾燥を行い、116部のキノフタロン化合物(c)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、キノフタロン化合物(c)であることを同定した。
【0112】
続いて、得られたキノフタロン化合物(c)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、この混練物を温水に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状として、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、黄色着色剤2(Y−2)97部を得た。平均一次粒子径は34.1nmであった。
【0113】
(黄色着色剤3(Y−3)の製造)
キノフタロン化合物(c)を原料として、特開2008−81566号公報に記載の合成方法に従い、化合物(1)の合成と同様の方法で、化合物(2)を得た。
【0114】
化合物(2)
【化19】
【0115】
安息香酸メチル300部に、化合物(2)100部、テトラクロロ無水フタル酸108部、および安息香酸143部を加え、180℃に加熱し、4時間反応させた。TOF−MSにより、キノフタロン化合物(b)の生成、および原料の化合物(2)の消失を確認した。さらに、室温まで冷却後、反応混合物をアセトン3510部に投入し、室温下にて1時間攪拌した。生成物を濾別し、メタノール洗浄、および乾燥を行い、120部のキノフタロン化合物(b)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、キノフタロン化合物(b)であることを同定した。
【0116】
続いて、得られたキノフタロン化合物(b)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、この混練物を温水に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状として、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、黄色着色剤3(Y−3)98部を得た。平均一次粒子径は31.1nmであった。
【0117】
(黄色着色剤4(Y−4)の製造)
2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物70部を、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物70部に変えた以外は、黄色着色剤1(Y−1)の製造と同様に行い、キノフタロン化合物(d)である黄色着色剤4(Y−4)を得た。平均一次粒子径は31.6nmであった。
【0118】
(黄色着色剤5(Y−5)の製造)
安息香酸メチル300部に、化合物(2)100部、テトラブロモ無水フタル酸176部、および安息香酸143部を加え、180℃に加熱し、6時間反応させた。TOF−MSにより、キノフタロン化合物(h)の生成、および原料の化合物(2)の消失を確認した。さらに、室温まで冷却後、反応混合物をアセトン7190部に投入し、室温下にて1時間攪拌した。生成物を濾別し、メタノール洗浄、および乾燥を行い、138部のキノフタロン化合物(h)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、キノフタロン化合物(h)であることを同定した。
【0119】
続いて、得られたキノフタロン化合物(h)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、この混練物を温水に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状として、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、黄色着色剤5(Y−5)97部を得た。平均一次粒子径は28.3nmであった。
【0120】
<色素誘導体[B]の製造方法>
色素誘導体[B]の製造方法としては、市販のスルホ基を有するキノフタロン化合物、または(i)母体となるキノフタロン化合物を合成した後にスルホ基を導入する方法、(ii)スルホ基を有するジカルボン酸類を2−メチルキノリン類と縮合させる方法、または(iii)スルホ基を有する2−メチルキノリン類にジカルボン酸類を縮合させる方法、等によって得られたスルホ基を有するキノフタロン化合物を用いて、長周期型周期表の1B〜7B族および8族の金属元素のイオンとカウンター交換する製造方法が考えられる。下記に色素誘導体の各製造法を挙げるが、本発明に使用される色素誘導体はこれらの製造方法によって限定されるものではない。
【0121】
色素誘導体の製造に先だって、本発明に用いた色素誘導体の同定方法について説明する。
【0122】
(色素誘導体および顔料の同定方法)
本発明に用いた色素誘導体、および顔料の同定には、MALDI TOF−MSスペクトルを用いた。MALDI TOF−MSスペクトルは、ブルカー・ダルトニクス社製MALDI質量分析装置autoflexIIIを用い、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物の同定を行った。
【0123】
(キノフタロン化合物(QL−c−0)の製造)
安息香酸メチル200部に、8−アミノキナルジン47.5部、テトラクロロ無水フタル酸90.1部、安息香酸183.2部を加え、120℃に加熱し、水を留去しながら4時間攪拌を行った。次いで、反応混合物にさらに2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物62.4部を加え、180℃に加熱し、水を留去しながら4時間撹拌を行った。室温まで冷却後、反応混合物をエタノール1200部に投入し、室温下にて1時間攪拌した。析出した結晶を濾別した後、さらにエタノールで洗浄を行い、減圧下で乾燥させ、キノフタロン化合物(QL−c−0)174.6部(収率:96%)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、キノフタロン化合物(QL−c−0)であることを同定した。
【0124】
【化20】
キノフタロン化合物(QL−c−0)
【0125】
(キノフタロン化合物(QL−c−1)の製造)
上記で得られたキノフタロン化合物(QL−c−0)50部を101%硫酸500部中に溶解し、70℃にて8時間攪拌し、スルホン化反応を行った。反応の終点は、硫酸溶液の分光スペクトルを測定し、スペクトルの変化が見られなくなる点とした。次いで、この反応溶液を撹拌した氷水5000部中に注入し、析出物を濾別、水洗してキノフタロン化合物(QL−c−1)の水ペースト376部(水分:85.1%、収率:99%)を得た。得られた水ペーストをごく少量乾燥し、TOF−MSによる質量分析を行った結果、キノフタロン化合物(QL−c−1)であることを同定した。
【0126】
【化21】
キノフタロン化合物(QL−c−1)
【0127】
色素誘導体(B−1)の製造)
キノフタロン化合物(QL−c−1)の水ペースト67.1部(水分:85.1%)を、水500部に加えて撹拌し再分散した後、26%アンモニア水を用いてpH10に調整して溶解させた。この溶液中に、8%塩化ニッケル(II)水溶液14.2部を徐々に添加した。滴下した箇所から析出物が次々に現れ、添加と共に徐々にpHが低下した。添加終了後にはブリードは見られなかった。スラリーから析出物を濾別した後、水洗して、80℃で乾燥し、色素誘導体(B−1)9.9部(収率:95%)を得た。
【0128】
色素誘導体(B−2)の製造)
特開2007−156395号公報に記載の合成方法に従い、色素誘導体(B−2)を得た。
【0129】
色素誘導体(B−2)
【化22】
【0130】
<顔料分散体の製造方法>
(黄色顔料分散体1(YP−1)の製造例)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで10時間分散した後、1.0μmのフィルタで濾過し、黄色顔料分散体1(YP−1)を作製した。
黄色着色剤1(Y−1) 9.0部
色素誘導体(B−1) 1.0部
分散剤 1.0部
(ゼネカ社製「ソルスパーズ20000」)
アクリル樹脂溶液 45.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 44.0部
【0131】
(黄色顔料分散体2(YP−2)の製造例)
黄色顔料分散体1(YP−1)の製造例の黄色着色剤1(Y−1)を黄色着色剤2(Y−2)に変更した以外は、黄色顔料分散体1と同様にして、黄色顔料分散体2(YP−2)を作製した。
【0132】
(黄色顔料分散体3(YP−3)の製造例)
黄色顔料分散体1(YP−1)の製造例の黄色着色剤1(Y−1)を黄色着色剤3(Y−3)に変更した以外は、黄色顔料分散体1(YP−1)と同様にして、黄色顔料分散体3(YP−3)を作製した。
【0133】
(黄色顔料分散体4(YP−4)の製造例)
黄色顔料分散体1(YP−1)の製造例の黄色着色剤1(Y−1)を黄色着色剤4(Y−4)に変更した以外は、黄色顔料分散体1(YP−1)と同様にして、黄色顔料分散体4(YP−4)を作製した。
【0134】
(黄色顔料分散体5(YP−5)の製造例)
黄色顔料分散体1(YP−1)の製造例の黄色着色剤1(Y−1)を黄色着色剤5(Y−5)に変更した以外は、黄色顔料分散体1(YP−1)と同様にして、黄色顔料分散体5(YP−5)を作製した。
【0135】
(黄色顔料分散体6(YP−6)の製造例)
黄色顔料分散体1(YP−1)の製造例の色素誘導体(B−1)を色素誘導体(B−2)に変更した以外は、黄色顔料分散体1(YP−1)と同様にして、黄色顔料分散体6(YP−6)を作製した。
【0136】
(黄色顔料分散体7(YP−7)の製造例)
黄色顔料分散体1(YP−1)の製造例の黄色着色剤1(Y−1)をC.I.ピグメントエロー138(トーヨーカラー(株)製「CF−Y−1010」)に変更した以外は、黄色顔料分散体1(YP−1)と同様にして、黄色顔料分散体7(YP−7)を作製した。
【0137】
(緑色顔料分散体1(GP−1)の製造例)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで10時間分散した後、1.0μmのフィルタで濾過し、緑色顔料分散体1(GP−1)を作製した。
C.I.ピグメントグリーン58 12.0部
(DIC社製「FASTOGEN GREEN A110」)
分散剤 1.0部
(ゼネカ社製「ソルスパーズ20000」)
アクリル樹脂溶液 35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.0部
【0138】
(緑色顔料分散体2(GP−2)の製造例)
緑色顔料分散体1の製造例のC.I.ピグメントグリーン58(DIC社製「FASTOGEN GREEN A110」)をC.I.ピグメントグリーン36(トーヨーカラー株式会社製「CF−G−6YK」)に変更した以外は、緑色顔料分散体1(GP−1)と同様にして、緑色顔料分散体2(GP−2)を作製した。
<緑色着色組成物の製造>
[実施例1]
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、0.6μmのフィルタで濾過して、緑色着色組成物1(R−1)を得た。
黄色顔料分散体1(YP−1) 21.1部
黄色顔料分散体1(YP−7) 5.3部
緑色顔料分散体1(GP−1) 61.6部
アクリル樹脂溶液 2.0部
光重合性モノマー1 0.9部
(東亞合成社製 アロニックスM402)
光重合性モノマー2 0.9部
(東亞合成社製 アロニックスM350)
光重合開始剤 0.2部
(BASF社製「OXEー01」)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 8.0部
【0139】
[実施例2〜32および比較例1〜8]
(レジスト材(R−2〜32))
以下、顔料分散体を表1に示す種類および配合量に変えた以外はレジスト材(R−1)と同様にしてアルカリ現像型レジスト材(R−2〜32)を得た。レジスト材では顔料分散体を併用しているが顔料分散体の全量は全てのレジスト材において88.0部である。なお、本明細書において実施例7、8、15、16、23、24、31および32は、参考例である。
【0140】
【表1】
【0141】
得られた緑色着色組成物をスピンコーターでガラス基板に塗布し、乾燥、露光後、現像し、230℃でベークし、435nmの透過率が6%になるように塗膜を形成した。得られた塗膜の透過率を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて、分光透過率を測定した。
【0142】
短波長側の分光透過率50%となる波長を50%半値と定義したとき、50%半値が478nm〜482nmの波長領域の間を満たすとき、色分離性に優れると判断できる。結果を表2に示す。
【0143】
【表2】
【0144】
[実施例1]〜[実施例32]の着色組成物で得られた緑色塗膜は、50%半値が478nm〜482nmの波長領域の間を満たしており、色分離性に優れていた。
【0145】
[比較例1]〜[比較例8]の着色組成物で得られた緑色塗膜は、50%半値が478nm〜482nmの波長領域の間を満たしておらず、色分離性に劣っていた。
【0146】
<カラーフィルタの作製>
まず、カラーフィルタの作製に使用する赤色レジスト材と青色レジスト材の作製を行った。
【0147】
(赤色レジスト材(RR−1)の作製)
下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)にて5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、赤色顔料分散体1を作製した。
赤色顔料(C.I.ピグメントレッド254) 9.6部
赤色顔料(C.I.ピグメントレッド177) 2.4部
樹脂型分散剤(BASF社製「EFKA4300」) 1.0部
アクリル樹脂溶液 35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.0部
【0148】
続いて、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、赤色レジスト材(RR−1)を作製した。
赤色顔料分散体1 42.0部
アクリル樹脂溶液 13.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 2.8部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 39.6部
【0149】
(青色レジスト材(RB−1)の作製)
下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)にて5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し、青色顔料分散体1を作製した。
青色顔料 (C.I.ピグメント ブルー 15:6) 9.6部
紫色顔料 (C.I.ピグメント バイオレット 23) 2.4部
アクリル樹脂溶液 35.0部
樹脂型分散剤溶液(BASF社製「EFKA4300」) 5.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 49.0部
【0150】
続いて、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、青色レジスト材(RG−1)を作製した。
青色顔料分散体1 50.0部
アクリル樹脂溶液 7.5部
光重合性単量体 2.0部
(東亞合成社製「アロニックスM−402」)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
光重合開始剤(BASF社製「OXE−02」) 1.5部
シクロヘキサノン 39.0部
【0151】
(カラーフィルタの作製)
あらかじめヘキサメチルジシラザンを噴霧した8インチのデバイス形成済みシリコンウエハ(固体撮像素子基板)基板のデバイス形成面側にスピンコーターで赤色レジスト材(RR−1)を塗布し着色被膜を形成した。次いで、100℃のホットプレートを用いて180秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長で1.0μm四方の赤色画素を形成するためのフォトマスクを通して露光量150mJ/cmにてパターン露光を行った。
次いで0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で12分加熱して、赤色フィルタセグメントを形成した。ここで、赤色フィルタセグメントは、230℃での熱処理後で、C光源において(以下、緑色、青色にも用いる)x=0.640、y=0.330の色度に合うようにした。また、同様の方法により、緑色フィルタセグメントは、緑色レジスト材(RG−1)を用いてx=0.290、y=0.600の色度に合うようにし、青色フィルタセグメントは、本発明の青色レジスト材(RB−1)を用いてx=0.150、y=0.060の色度に合うようにし、各フィルタセグメントを形成して、撮像素子用カラーフィルタを得た。