特許第6862724号(P6862724)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862724
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】易開封性カートン
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   B65D5/54 311A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-172652(P2016-172652)
(22)【出願日】2016年9月5日
(65)【公開番号】特開2018-39516(P2018-39516A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】香山 充
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−296917(JP,A)
【文献】 特開2005−041581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙を材料としてなる6面体のカートンであって、
天面には開口部が、少なくとも左右2本の切れ目で囲まれて設けてあり、
該カートンの手前側の側面は、天面から連続する手前側の側面と、底面から連続する手前側の側面とが、前者を外側にして重ねて設けられており、
天面から連続する手前側の側面には、天面の左右2本の切れ目からそれぞれ連続する切れ目が設けられており、
該切れ目は、天面から連続する手前側の側面の、下部中央に設けられたつまみに連続しており、
底面と、底面から連続する手前側の側面との間には、左右両側の直線と、中央部において上に向かって凸の円弧形状の折目線とから形成される、折目線が設けられており、
底面において、該円弧形状の折目線の凹側に対向する位置であって、この円弧形状の折目線から離れた位置に、全体的に折目線と平行な罫線が設けてあることを特徴とする、
易開封性カートン。
【請求項2】
前記罫線は、該折目線の直線部分に平行な直線であることを特徴とする、請求項1に記載の易開封性カートン。
【請求項3】
前記罫線は、波形の罫線であることを特徴とする、請求項1に記載の易開封性カートン。
【請求項4】
前記罫線は、ジグザグの折れ線の罫線であることを特徴とする、請求項1に記載の易開封性カートン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易開封性カートンに関するものである。とくに、板紙を用いたカートンで、手指を用いて容易に開封することが可能な、易開封性カートンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、板紙を用いたカートンは、様々な用途において、紙容器として用いられてきた。たとえば食品や菓子を収納するカートンとして、使われる例などは、生活に密着した用途例である。
【0003】
このような用途においては、開封は手指を用いて行なうことが一般的であり、開封部には手指を用いて容易に開封するためのつまみ部、また必要な大きさの開口部を設けるための切れ目などが設けられている。
【0004】
この場合、つまみ部は容易に開封のきっかけが得られる必要があって、また確実に切れ目に連続するよう設けられている必要がある。特許文献1あるいは特許文献2には、つまみ部が近接するカートンの折り目線の一部に円弧状の折り目部分を設けて、つまみ部との間隙を設けることが提案されている。
【0005】
しかしながら、カートンの折り目線の一部に円弧状の折り目部分があることによって、カートンの底面全体の平面性が損なわれ、歪みが生じるという、問題を抱えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭61−17019号公報
【特許文献2】特開2008−296917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、底面と、底面から連続する手前側の側面との間に、左右両側の直線と、中央部において上に向かって凸の円弧形状とから形成される折目線を設けて、底面から連続する手前側の側面と、つまみ部との間に間隙を生じせしめ、開封を容易にする場合においても、カートンの底面全体の平面性が損なわれたり、歪みが生じることのない、易開封性カートンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
板紙を材料としてなる6面体のカートンであって、
天面には開口部が、少なくとも左右2本の切れ目で囲まれて設けてあり、
該カートンの手前側の側面は、天面から連続する手前側の側面と、底面から連続する手
前側の側面とが、前者を外側にして重ねて設けられており、
天面から連続する手前側の側面には、天面の左右2本の切れ目からそれぞれ連続する切れ目が設けられており、
該切れ目は、天面から連続する手前側の側面の、下部中央に設けられたつまみに連続しており、
底面と、底面から連続する手前側の側面との間には、左右両側の直線と、中央部において上に向かって凸の円弧形状の折目線とから形成される、折目線が設けられており、
底面において、該円弧形状の折目線の凹側に対向する位置であって、この円弧形状の折目線から離れた位置に、全体的に折目線と平行な罫線が設けてあることを特徴とする、
易開封性カートンである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、
前記罫線は、該折目線の直線部分に平行な直線であることを特徴とする、請求項1に記載の易開封性カートンである。
【0010】
また請求項3に記載の発明は、
前記罫線は、波形の罫線であることを特徴とする、請求項1に記載の易開封性カートンである。
【0011】
また請求項4に記載の発明は、
前記罫線は、ジグザグの折れ線の罫線であることを特徴とする、請求項1に記載の易開封性カートンである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カートンの折目線の一部に円弧形状の折目線があることによって、つまみ部との間隙を設ける場合においても、カートンの底面全体の平面性が損なわれたり、歪みが生じることのない、易開封性カートンを提供することが可能である。
【0013】
すなわち、円弧形状の折目線によって、つまみ部との間隙を設けることができ、手指によりつまみ部を引っ張って開封することの容易性を損なうことなく、底部に設けた、全体的に折目線と平行な罫線によって、底面全体に発生する歪みを抑制し、歪みを部分的に封じ込めることが可能になる。
【0014】
すなわち底面全体の平面性が損なわれたり、歪みが生じることのない易開封性カートンは、外観面においても、6面体を損なうことがなく、また積み重ねなどにおいても、傾斜するなどの不具合を起こすおそれがない。
【0015】
また請求項2に記載の発明によれば、カートンの底面に設けた罫線が、折目線の直線部分に平行な直線であることによって、底面全体に発生する歪みの抑制、封じ込めをより確実にすることができる。
【0016】
また請求項3に記載の発明によれば、カートンの底面に設けた罫線が、波形の罫線であることによって、底面全体に発生する歪みの抑制、封じ込めをより確実にすることができる。
【0017】
また請求項4に記載の発明によれば、カートンの底面に設けた罫線が、ジグザグの折れ線の罫線であることによって、底面全体に発生する歪みの抑制、封じ込めをより確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明に係る易開封性カートンの、一実施態様を説明するための、平面展開図である。
図2図2は本発明に係る易開封性カートンの、一実施態様を説明するための、斜視模式図である。
図3図3は本発明に係る易開封性カートンの、一実施態様を説明するための、部分断面模式図である。
図4図4は本発明に係る易開封性カートンの、底面に設けた罫線の他の実施態様を説明するための、部分平面模式図である。
図5図5は本発明に係る易開封性カートンの、底面に設けた罫線の他の実施態様を説明するための、部分平面模式図である。
図6図6は本発明に係る易開封性カートンの 、底面に設けた罫線の更に他の実施態様を説明するための、部分平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図1図6を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって限定されるものである。
【0020】
図1は本発明に係る易開封性カートンの、一実施態様を説明するための、平面展開図である。ここに示す図においては、カートンの内側を見る形となっている。
【0021】
本発明は、板紙を材料としてなる6面体のカートンであって天面(1)、底面(8)のほか、手前側、後ろ側、左側、右側の4面の側面を有してなる。手前側は、天面から連続する手前側の側面(2)、および底面から連続する手前側の側面(9)とが、重なり合って構成される。
【0022】
6面体の後ろ側は、後ろ側の側面(6)である。また左側側面は、天面から連続する左側側面(21)、および底面から連続する左側側面(23)とが重なり合って構成される。同様に、右側側面は、天面から連続する右側側面(22)、および底面から連続する右側側面(24)とが重なり合って構成される。
【0023】
カートンの開封においては、天面から連続する手前側の側面に設けられた、つまみ(5)を手指でつまんで引っ張り、つまみ(5)に連続する切れ目(3)を切り裂くことによってカートンの開封が行われる。
【0024】
切れ目(3)は天面に連続しており、少なくとも左右2本の切れ目(3)で囲まれて、開口部が設けてある。2箇所の、切れ目の終点(14)において、切れ目の終点(14)同士をつなぐことができる。
【0025】
図1に示す例では罫線(4)でつなぐ例であって、この場合には、開口部を罫線で折り返して天面(1)と開口部を繋がったままにしておくことができる。開口部を繋がったままにしておく場合には、再封が可能であり、内容物によっては使い勝手が良い利点を有する。
【0026】
あるいは、切れ目の終点(14)同士を、さらに切れ目線でつなぐこともでき、この場合には、開口部全体を切り取って、取り去ることも可能である。開口部全体を切り取る場合には、再封などは困難であるが、内容物を取り出しやすい利点を有する。
【0027】
つまみ(5)は、天面から連続する手前側の側面(2)の、カートンに組み立てたときの中央下部に設けられており、手指を用いてカートンを開封する際のきっかけとなる部分であって、切れ目(3)に連続している。
【0028】
つまみ(5)は、たとえば天面から連続する手前側の側面(2)の端部からの、2箇所の切り込み(13)によって形成することができる。
【0029】
底面(8)と、底面から連続する手前側の側面(9)との間には、左右両側の直線(11)と、中央部において上に向かって凸の円弧形状(10)とから形成される、折目線(15)が設けられている。
【0030】
また、底面(8)において、該円弧形状(10)の凹側に対向する位置に、全体的に折目線と平行な罫線を設ける。図1に示す例においては、直線の罫線(12)が設けてある。この直線の罫線(12)は、円弧形状(10)の長さに、ほぼ等しい長さで設けてある。
【0031】
円弧形状(10)となった部分があることにより、折目線(15)を、図1において谷折りとすることによって、底面から連続する手前側の側面(9)には弓形の凹みができ、つまみ(5)とのあいだに間隙が形成され、この間隙の部分をきっかけとして、手指によってつまみ(5)を引っ張ることが容易になる。
【0032】
このとき、底面から連続する手前側の側面(9)が弓形に凹むことによって、底面(8)もその影響を受け、底面(8)全体が歪む結果をもたらすが、本発明による易開封性カートンの場合には、円弧形状(10)の凹側に対向する位置に、全体的に折目線と平行な罫線が設けてある。すなわちここに示す例においては、直線の罫線(12)が設けてあることにより、歪みの、底面(8)全体への伝播を食い止めることができる。
【0033】
全体的に折目線と平行な罫線は、直線であるだけでなく、折目線の直線部分に平行な直線とすることができる。この場合にはより効果的に、歪みの伝播を食い止めることができる。またその長さは、円弧形状(10)の長さに、ほぼ等しい長さで設けてもよく、円弧形状(10)の長さより長くてもよい。
【0034】
図2は本発明に係る易開封性カートンの、一実施態様を説明するための、斜視模式図である。
【0035】
本発明による易開封性カートン(100)は6面体であって、天面(1)には開口部(7)を有する。開口部(7)は、少なくとも左右2本の切れ目(3)で囲まれて設けてあり、切れ目(3)は、つまみ(5)に連続しているために、つまみ(5)を手指でつまんで引っ張ることによって切れ目(3)を切り裂いてカートン(100)を開封することが可能である。
【0036】
2箇所の、切れ目の終点(14)を罫線(4)でつないであることによって、開口部(7)を罫線で折り返して天面(1)と開口部を繋がったままにしておくこともでき、あるいは、切れ目の終点(14)同士を、切れ目線でつないである場合には、開口(7)全体を切り取って取り去ることも可能である。切れ目(3)は、カートン(100)の板紙にミシン目を形成して設けるのでもよく、あるいは連続した貫通孔を形成して設けるのでもよい。
【0037】
図3は本発明に係る易開封性カートンの、一実施態様を説明するための、部分断面模式図である。ここで示す断面図は、図2に示すA点およびB点を結んだ直線を通る、垂直断面である。
【0038】
底面から連続する手前側の側面(9)には、左右両側の直線(11)と、中央部において上に向かって凸の円弧形状(10)の折目線(15)が設けてあるために、中央部においては、折目線(15)が湾曲して、底面から連続する手前側の側面(9)と、天面から連続する手前側の側面(2)に設けられた、つまみ(5)とのあいだに、間隙(6)を生じる。
【0039】
易開封性カートン(100)の開封に当たっては、この間隙(6)をきっかけとしてつまみ(5)を手指でつまんで、矢印(20)の方向に引っ張って、切れ目を切り裂いて開
封することが可能である。
【0040】
すなわち、天面から連続する手前側の側面(2)に設けられた、つまみ(5)に連続して、切れ目(3)が天面(1)に至るまで設けてあるために、天面(1)には開口部(7)が出現し、内容物(16)の取出しが可能になる。
【0041】
空隙(6)ができることによって、底面(8)には歪み(19)が生じ平面性が失われるおそれがあるが、全体的に折目線と平行な罫線(17)が設けられているために、底面(8)全体へのひずみ(19)の伝播を止め、封じ込めることが可能である。
【0042】
したがって、全体的に折目線と平行な罫線(17)によって、歪み(19)は底面(8)のごく限られた場所のみに封じ込められるのであって、易開封性カートン(100)に与える影響も限定的である。
【0043】
図4は本発明に係る易開封性カートンの、底面に設けた罫線の他の実施態様を説明するための、部分平面模式図である。図5は本発明に係る易開封性カートンの、底面に設けた罫線の他の実施態様を説明するための、部分平面模式図である。図6は本発明に係る易開封性カートンの 、底面に設けた罫線の更に他の実施態様を説明するための、部分平面模式図である。
【0044】
全体的に折目線と平行な罫線(17)は、図1に示すように直線の罫線(12)であってもよく、あるいは図4に示す長い直線の罫線(25)であってもよい。また図5に示す波形の罫線(26)の形状であってもよく、図6に示すジグザグの折れ線の罫線(27)の形状でも良い。長さは、おおよそ折目線(15)の中央部に設けたれた、円弧形状(10)の長さでもよく、それより長くてもよい。
【0045】
このように、底面と、底面から連続する手前側の側面との間に、左右両側の直線と、中央部において上に向かって凸の円弧形状とから形成される折目線を設けて、底面から連続する手前側の側面と、つまみ部との間に間隙を生じせしめ、開封を容易にする場合においても、カートンの底面全体の平面性が損なわれたり、歪みが生じることのない、易開封性カートンを提供することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1・・・天面
2・・・天面から連続する手前側の側面
3・・・切れ目
4・・・罫線
5・・・つまみ
6・・・間隙
7・・・開口部
8・・・底面
9・・・底面から連続する手前側の側面
10・・・円弧形状
11・・・左右両側の直線
12・・・直線の罫線
13・・・切り込み
14・・・切れ目の終点
15・・・折目線
16・・・内容物
17・・・全体的に折目線と平行な罫線
19・・・歪み
20・・・矢印
21・・・天面から連続する左側側面
22・・・天面から連続する右側側面
23・・・底面から連続する左側側面
24・・・底面から連続する右側側面
25・・・長い直線の罫線
26・・・波形の罫線
27・・・ジグザグの折れ線の罫線
100・・・易開封性カートン
図1
図2
図3
図4
図5
図6