(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862783
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】除菌機能付き給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20060101AFI20210412BHJP
F24H 9/20 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
F24H9/00 Z
F24H9/20 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-224109(P2016-224109)
(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公開番号】特開2018-80885(P2018-80885A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107445
【弁理士】
【氏名又は名称】小根田 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002088
【氏名又は名称】特許業務法人プロイスIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】玉井 彰太
(72)【発明者】
【氏名】木下 孝司
(72)【発明者】
【氏名】藤本 剛生
【審査官】
西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】
実開平04−098297(JP,U)
【文献】
特開平10−085734(JP,A)
【文献】
特開2015−011831(JP,A)
【文献】
実開平01−145091(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F24H 9/20
C02F 1/32
H05B 41/00 − 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯路と、該給湯路の途中に設けられた除菌灯と、除菌灯駆動指令信号が供給されているときに前記除菌灯を駆動するための駆動電力を生成して前記除菌灯に出力する除菌灯駆動回路と、前記除菌灯駆動指令信号を出力する制御部と、前記除菌灯駆動指令信号を前記制御部から前記除菌灯駆動回路へ伝送する指令信号伝送手段とを備え、該指令信号伝送手段は、前記制御部と前記除菌灯駆動回路とを電気的に絶縁しつつ前記除菌灯駆動指令信号を前記制御部側から前記除菌灯駆動回路側へ伝送する絶縁部位を有し、
前記制御部は制御基板上に実装され、前記除菌灯駆動回路は、前記制御基板とは別の除菌灯駆動基板上に実装され、前記制御基板は制御用電源ラインを有し、前記絶縁部位は前記除菌灯駆動基板上に実装されたフォトカプラにより構成され、該フォトカプラの内蔵発光素子の駆動電圧は前記制御用電源ラインから供給されるよう構成されていることを特徴とする除菌機能付き給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除菌機能付き給湯装置において、前記制御部用の第1の電源部と、前記除菌灯用の第2の電源部とをさらに備え、第2の電源部は、商用交流電力から直流電力を生成する絶縁型コンバータを備え、前記除菌灯駆動回路は、前記絶縁型コンバータが生成する直流電力から前記駆動電力を生成するインバータと、除菌灯ON/OFF回路とを備え、前記インバータを構成するスイッチング素子用の電源電圧は前記絶縁型コンバータから前記除菌灯ON/OFF回路を介して供給されるよう構成され、前記除菌灯駆動指令信号は前記除菌灯ON/OFF回路を導通動作させるものであることを特徴とする除菌機能付き給湯装置。
【請求項3】
請求項2に記載の除菌機能付き給湯装置において、第1の電源部は前記制御部及び前記除菌灯駆動回路のいずれとも異なる基板上に実装され、第2の電源部は前記除菌灯駆動回路と同じ基板上に実装されていることを特徴とする除菌機能付き給湯装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の除菌機能付き給湯装置において、前記除菌灯駆動回路は、前記除菌灯の通電状態に応じた断線検知信号を出力する断線検知回路をさらに備え、前記断線検知信号は、検知信号伝送手段を介して前記断線検知回路から前記制御部へ伝送されるよう構成され、前記検知信号伝送手段は、前記制御部と前記除菌灯駆動回路とを電気的に絶縁しつつ前記断線検知信号を前記断線検知回路側から前記制御部側へ伝送する絶縁部位を有することを特徴とする除菌機能付き給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌機能付き給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記の特許文献1にも開示されているように、従来より、風呂追い焚き機能付き給湯装置において、追い焚き循環給湯路の途中にUVランプ等の除菌灯(殺菌灯)を設け、追い焚き運転中に除菌灯を点灯することによって、追い焚き循環給湯路を流れる湯水の除菌を行うものがある。すなわち、特許文献1の
図2に開示された実施例では、給湯制御を行う制御マイコン(CPU)に入出力インターフェース(I/O)を介して殺菌灯駆動回路が接続され、制御マイコンからの指令によって殺菌灯を点灯動作可能であるとともに、殺菌灯の断線を殺菌灯駆動回路が検知して制御マイコンに断線検知信号を出力する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−126556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、除菌灯の駆動電力をインバータ回路によって生成出力する構成も従来よりよく知られているが(例えば特許第3741491号公報)、給湯制御を行う制御部と同じ基板上にインバータ回路を実装して、その動作指令を制御マイコンから行う構成とすると、インバータ回路における高周波スイッチングに伴うノイズが制御マイコンに伝搬されて、給湯制御動作に悪影響を与えるおそれがある。
【0005】
また、除菌機能を搭載する機種もあれば除菌機能を搭載しない機種もあるところ、制御基板や電源基板上に除菌灯用のインバータ回路を実装すると、除菌機能を搭載しない機種においては不要な基板面積を占めてしまい、基板の共通化を図れば除菌機能を搭載しない機種の装置小型化に支障が出るし、一方、各機種毎に個別に基板を設計すれば共通化によるコスト低減等を図ることができなくなる。
【0006】
そこで、本発明は、除菌灯駆動回路を搭載した場合でも除菌灯駆動回路の動作に伴って発生するノイズによる制御動作への影響を抑制することを第1の目的とする。さらに本発明は、除菌機能を柔軟に機能追加できる装置構成とすることを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。
【0008】
すなわち、本発明の除菌機能付き給湯装置は、給湯路と、該給湯路の途中に設けられた除菌灯と、除菌灯駆動指令信号が供給されているときに前記除菌灯を駆動するための駆動電力を生成して前記除菌灯に出力する除菌灯駆動回路と、前記除菌灯駆動指令信号を出力する制御部と、前記除菌灯駆動指令信号を前記制御部から前記除菌灯駆動回路へ伝送する指令信号伝送手段とを備え、該指令信号伝送手段は、前記制御部と前記除菌灯駆動回路とを電気的に絶縁しつつ前記除菌灯駆動指令信号を前記制御部側から前記除菌灯駆動回路側へ伝送する絶縁部位を有することを特徴とするものである(請求項1)。
【0009】
かかる本発明の除菌機能付き給湯装置によれば、制御部と除菌灯駆動回路とを電気的に絶縁しつつ除菌灯駆動指令信号を制御部から除菌灯駆動回路へ伝送可能に構成したので、除菌灯駆動回路における除菌灯駆動電力の生成に起因して生じる電気的ノイズが制御部に伝搬されることを抑制でき、制御部におけるその他の種々の制御動作への影響を低減できる。
【0010】
なお、前記制御部は、好ましくはマイクロコンピュータ(マイコン)により主構成され、給湯路からの給湯動作を制御するものであってよく、給湯動作を行う場合に所定の出力ポートから除菌灯駆動指令信号を出力するよう構成することができる。また、本発明における給湯路は、浴槽内湯水を追い焚き加熱するための追い焚き給湯路であることが好ましいが、給湯栓への給湯路や、浴槽内への湯水の落とし込み用の給湯路であってもよい。また、除菌灯は好ましくはUVランプにより構成され、その駆動電力は高周波乃至低周波の交流電力であってよく、除菌灯駆動回路は典型的にはインバータ回路により主構成される。
【0011】
上記本発明の除菌機能付き給湯装置において、前記制御部は制御基板上に実装され、前記除菌灯駆動回路は、前記制御基板とは別の除菌灯駆動基板上に実装され、前記制御基板は制御用電源ラインを有し、前記絶縁部位は前記除菌灯駆動基板上に実装されたフォトカプラにより構成され、該フォトカプラの内蔵発光素子の駆動電圧は前記制御用電源ラインから供給されるよう構成されていてよ
い。これによれば、上記フォトカプラの内蔵発光素子に駆動電圧を供給するか否かという態様で除菌灯駆動指令信号を制御基板から除菌灯駆動基板へ伝達でき、フォトカプラの内蔵発光素子並びに該素子に接続された駆動電圧供給ラインは、除菌灯駆動基板上でフォトカプラによって除菌灯駆動回路とは電気的に絶縁されるため、除菌灯駆動電力の生成に起因して生じる電気的ノイズが制御基板に伝搬されることを抑制できる。さらに、除菌機能が不要な場合には、除菌灯駆動基板を設けなければよく、除菌機能を追加するか否かを柔軟に装置構成できるとともに、除菌灯駆動基板を設けない場合には、上記フォトカプラの内蔵発光素子への駆動電圧出力部を、別の基板乃至機器への電圧出力部として流用することもでき、装置設計の柔軟性を一層向上できる。
【0012】
また、前記制御部用の第1の電源部と、前記除菌灯用の第2の電源部とをさらに備え、第2の電源部は、商用交流電力から直流電力を生成する絶縁型コンバータを備え、前記除菌灯駆動回路は、前記絶縁型コンバータが生成する直流電力から前記駆動電力を生成するインバータと、除菌灯ON/OFF回路とを備え、前記インバータを構成するスイッチング素子用の電源電圧は前記絶縁型コンバータから前記除菌灯ON/OFF回路を介して供給されるよう構成され、前記除菌灯駆動指令信号は前記除菌灯ON/OFF回路を導通動作させるものであってよ
い。これによれば、除菌灯用の第2の電源部を制御部用の第1の電源部とは別に設けることにより、電源部を介して除菌灯駆動回路で発生するノイズが制御部に伝搬されることを回避できる。また、除菌灯ON/OFF回路は、除菌灯駆動指令信号が供給されると上記電源電圧の供給路を導通させ、除菌灯駆動指令信号が供給されないときは上記電源電圧の供給路を遮断するものであって、除菌灯の駆動電力用の直流電力供給路ではなく、インバータを構成するスイッチング素子用の電源電圧供給路に除菌灯ON/OFF回路を設けることで、除菌灯の駆動電力用の直流電力が100Vなどの比較的大きな電圧である場合であっても、スイッチング素子用の電源電圧は10〜20V程度の比較的小さな電圧であるため、絶縁部分の耐圧性能を低くすることができ、これにより一層の信頼性向上を図るとともに部品コスト低減を図ることができる。
【0013】
さらに、第1の電源部は前記制御部及び前記除菌灯駆動回路のいずれとも異なる基板上に実装され、第2の電源部は前記除菌灯駆動回路と同じ基板(除菌灯駆動基板)上に実装されていてよ
い。これによれば、除菌機能の追加若しくは削除を、除菌灯駆動基板を設けるか否かによって柔軟かつ容易に行うことができる。
【0014】
また、前記除菌灯駆動回路は、前記除菌灯の通電状態に応じた断線検知信号を出力する断線検知回路をさらに備え、前記断線検知信号は、検知信号伝送手段を介して前記断線検知回路から前記制御部へ伝送されるよう構成され、前記検知信号伝送手段は、前記制御部と前記除菌灯駆動回路とを電気的に絶縁しつつ前記断線検知信号を前記断線検知回路側から前記制御部側へ伝送する絶縁部位を有することができ
る。これによれば、除菌灯の断線検知回路を設けた場合においても、断線検知信号を制御部に伝送する検知信号伝送手段を介して除菌灯駆動回路から制御部にノイズが伝搬されることを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本願発明によれば、除菌灯駆動回路を搭載した場合でも除菌灯駆動回路の動作に伴って発生するノイズによる制御動作への影響を抑制することができるとともに、除菌機能を柔軟に機能追加できる装置構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る除菌機能付き給湯装置の作動原理図である。
【
図2】同給湯装置の制御部、除菌灯駆動回路及び電源部の要部を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係る除菌機能付き給湯装置1を示しており、該給湯装置1は、水道水等の浄水を給水源として給湯栓への給湯機能を実現する主給湯路2、浴槽内湯水を給水源として浴槽内湯水を追い焚き加熱した後に浴槽に戻す追い焚き給湯機能を実現する追い焚き給湯路3、浴槽への湯張りや足し湯等のために主給湯路2から追い焚き給湯路3へ湯水を供給する注湯用給湯路4を備えている。これら主給湯路2及び注湯用給湯路4の構成並びに動作は従来周知であるので詳細説明を省略する。
【0019】
追い焚き給湯路3は、追い焚き機能を実現するために、浴槽(図示せず)の循環アダプタと追焚用熱交換器5との間に配管された戻り路6及び往き路7から主構成される循環回路により構成され、浴槽内に湯張りされた浴槽湯水を所定温度まで追い焚き加熱し得るようになっている。すなわち、循環ポンプ8の作動により浴槽から戻り路6を通して追焚用熱交換器5に浴槽湯水が供給され、かかる浴槽湯水が燃焼バーナ9で発生する燃焼熱により追焚用熱交換器5で熱交換加熱されて追い焚きされ、追い焚き後の湯水が往き路7を介して浴槽に戻されるよう構成され、戻り路6を通過する湯水の温度が所定の目標温度となるまで追い焚きされるようになっている。循環ポンプ8は戻り路6及び往き路7のいずれか一方(図例では戻り路6)に介装されている。戻り路6には、流れを検知して後述のマイコン20(制御部)に検知信号を出力する水流スイッチ10や、戻り路6内を通過する浴槽湯水の温度を検出する戻り温度センサ11が設けられている。往き路7には、追い焚き後の湯水の温度を検出する往き温度センサ12が設けられている。
【0020】
また、戻り路6の途中には、UVランプ18(除菌灯)を内蔵するUVユニットが設けられており、UVユニット内を浴槽湯水が通過する際にUVランプ18が照射する紫外線によって浴槽湯水の除菌を行えるようになっている。
【0021】
なお、
図1中の符号13は、給湯用燃焼バーナ14や追焚用燃焼バーナ9に燃料ガスを供給するためのガス供給管路であり、該ガス供給管路13には、元ガス電磁弁SV、ガス比例弁15、追焚用燃焼バーナ9への燃料ガスの供給を行うか否かを切り替える追い焚き用電磁弁16、給湯用燃焼バーナ14の燃焼能力の切り替えを行うための複数の能力切替弁17が設けられている。
【0022】
また、本実施形態の給湯装置1は、主給湯路2、追い焚き給湯路3及び注湯用給湯路4による各給湯動作を制御するための制御部としてのマイコン20(マイクロコンピュータ)を備えている。マイコン20は制御基板B1上に実装されており、制御基板B1上には図示しないが上記水流スイッチ10、戻り温度センサ11、往き温度センサ12を含む各種センサや、循環ポンプ8、元ガス電磁弁SV、比例弁15、追い焚き用電磁弁16、能力切換弁17を含む各種アクチュエータに対する入出力インターフェース回路が実装されている。
【0023】
さらに、給湯装置1は、電源ユニットP1(第1の電源部)と、UVランプ18を駆動するための駆動電力を生成してUVランプ18にワイヤーハーネスWを介して出力するUVコントローラ基板B2(除菌灯駆動基板)とを、制御基板B1とは別個のユニットとして備えており、電源ユニットP1及びUVコントローラ基板B2には、漏電ブレーカ19を介して商用交流電力が元電源として供給されている。
【0024】
図2は、電源ユニットP1、制御基板B1及びUVコントローラ基板B2の回路構成の要部を示している。電源ユニットP1は従来公知の適宜の電源回路構成であってよいが、典型的には絶縁型コンバータによって構成される。図示例では、定電圧制御された15V直流電圧が制御用電源電圧として電源ユニットP1から制御基板B1上の制御用電源ラインVC15に供給されている。この電源ユニットP1の電源基板は、制御基板B1及びUVコントローラ基板B2のいずれとも別個の構成とすることができる。
【0025】
制御基板B1上には、5V直流電圧が供給される制御用電源ラインVC5も実装されており、該制御用電源ラインVC5に供給する5V直流電圧は、上記15V直流電圧を三端子レギュレータ21によって電圧変換することによって制御基板B1上で生成しているが、電源ユニットP1が5V直流電圧をも生成して制御用電源ラインVC5に供給するよう構成することもできる。また、制御基板B1のグラウンドC−GNDは、電源ユニットP1のグラウンド端子に配線接続されている。
【0026】
UVコントローラ基板B2上には、商用交流電力から定電圧制御された100V直流電力を生成する絶縁型コンバータ(好適にはフライバックコンバータ)からなる第2の電源部P2と、上記100V直流電力から除菌灯駆動電力を生成出力する除菌灯駆動回路22とが実装されている。
【0027】
第2の電源部P2を構成する絶縁型コンバータは、トランス23と、トランス23の一次側に設けられたノイズフィルタ24、整流平滑回路25及びスイッチング回路26と、トランス23の二次側に設けられた二次側回路27とを備えている。二次側回路27は出力の定電圧制御機能を有しており、定電圧制御された100V直流電力を出力する。また、二次側回路27から一次側のスイッチング回路26にフィードバック信号がフォトカプラ28を介して電気的に絶縁しつつ伝送されるよう回路構成されている。また、二次側回路27は、定電圧制御されていないDC15V電圧を出力する。このDC15V電圧は、トランス23の巻線途中の出力電圧をそのまま出力したものであってよい。なお、UVコントローラ基板B2上には、絶縁型コンバータP2の一次側のグラウンドとなるP−GNDと、二次側のグラウンドとなるS−GNDとが別に設けられ、二次側回路27の出力電圧は、二次側グラウンドS−GNDを基準電位とする電圧として出力される。
【0028】
除菌灯駆動回路22は、上記100V直流電力から高周波乃至低周波の除菌灯駆動電力(交流電力)を変換出力するインバータ30により主構成される。該インバータ30は、典型的には、複数のスイッチング素子をブリッジ接続してなるインバータブリッジと、該インバータブリッジの出力側に設けられたインダクタと、上記スイッチング素子にPWM制御された駆動パルス信号を出力する変換制御部とを備えて構成される。インバータ30の変換制御部の動作用の電源電圧(インバータを構成するスイッチング素子用の電源電圧)も上記100V直流電力とは別に必要となるが、本実施形態では、二次側回路27のDC15V出力を除菌灯ON/OFF回路31及び定電圧制御回路32(三端子レギュレータなど)を介して12V電源電圧に変換出力し、該12V電源電圧をインバータ30に変換制御動作用の電源電圧として供給するよう構成している。
【0029】
除菌灯ON/OFF回路31は、トランジスタなどの適宜のスイッチング素子によって構成でき、制御基板B1上のマイコン20から除菌灯駆動指令信号が供給されているときは導通動作し、除菌灯駆動指令信号が供給されていないときは遮断動作するよう構成される。
【0030】
マイコン20は、外部から除菌運転の指令が入力されており、追い焚き給湯路3の湯水循環が行われている間は、所定の出力ポートより除菌灯を駆動させるための除菌灯駆動指令信号を出力するよう構成されており、該除菌灯駆動指令信号は、指令信号伝送手段を介して除菌灯駆動回路22の除菌灯ON/OFF回路31へ伝送される。指令信号伝送手段は、指令内容を保持し得るのであれば信号伝送途中で信号の状態が変化してもよい。例えば、除菌灯を駆動するか否かの二者択一の指令信号は、(駆動する=High信号,駆動しない=Low信号)、(駆動する=Low信号,駆動しない=High信号)、(駆動する=パルス信号,駆動しない=定電位)、(駆動する=電圧供給する,駆動しない=電圧供給しない)、(駆動する=LED点灯,駆動しない=LED消灯)など、種々の信号状態で指令内容を示すものであってよい。
【0031】
指令信号伝送手段は、その中途部に、マイコン20と除菌灯駆動回路22とを電気的に絶縁しつつ除菌灯駆動指令信号を制御部側から除菌灯駆動回路側へ伝送する絶縁部位を有しており、本実施形態では、絶縁部位は、UVコントローラ基板B2上に実装されたフォトカプラ33により構成されている。該フォトカプラ33の内蔵発光素子33aの駆動電圧は、制御基板B1の制御用電源ラインVC15から供給されるよう構成されている。すなわち、制御基板B1には、制御用電源ラインVC15に接続された電圧外部出力端子aと、スイッチング素子Q1を介して制御基板B1のグラウンドC−GNDに接続されたグラウンド外部接続端子bとを備え、スイッチング素子Q1は除菌灯駆動指令信号としてHigh信号がマイコン20から出力されると導通して上記端子a−b間に電圧供給し、除菌灯駆動指令信号が出力されないとき(マイコン20出力がLow出力のとき)は、スイッチング素子Q1が遮断して上記端子bがオープン状態となるため上記端子a−b間の電圧供給もなされなくなる。
【0032】
一方、UVコントローラ基板B2には、フォトカプラ33の内蔵発光素子33aの正極側に接続された接続端子cと、内蔵発光素子33aの負極側に接続された接続端子dとが設けられ、制御基板B1の端子aとUVコントローラ基板B2の端子c、及び、制御基板B1の端子bとUVコントローラ基板B2の端子dとがそれぞれ配線接続されている。
【0033】
したがって、マイコン20が除菌灯駆動指令信号としてのHigh信号を出力すると、スイッチング素子Q1が導通してフォトカプラ33の内蔵発光素子33aに駆動電圧が供給され、これによりフォトカプラ33の内蔵受光素子33b(フォトトランジスタ)が導通して、除菌灯ON/OFF回路31の除菌灯駆動指令信号入力部がUVコントローラ基板B2の二次側グラウンドS−GNDに導通され、これによりLow信号が除菌灯駆動指令信号(除菌灯を駆動することを示す信号)として除菌灯ON/OFF回路31に入力される。また、マイコン20が、除菌灯を駆動しないことを指令するLow信号を出力すると、スイッチング素子Q1が遮断してフォトカプラ33の内蔵発光素子33aへの駆動電圧供給がなされなくなり、これによりフォトカプラ33の内蔵受光素子33bが遮断して、除菌灯ON/OFF回路31の除菌灯駆動指令信号入力部をプルアップ抵抗を介してDC15Vラインに接続することで、該入力部にHigh信号が除菌灯を駆動しないことを示す信号として入力される。
【0034】
また、本実施形態の除菌灯駆動回路22は、UVランプ18の通電状態に応じた断線検知信号を出力する断線検知回路34をさらに備えている。この断線検知回路34は、例えばインバータ30からUVランプ18に供給される電流を検出するカレントトランス(CT)によって主構成されるものとすることができ、UVランプ18に通電されている場合はHigh信号が通電されていることを示す断線検知信号として出力され、UVランプ18が断線して通電されなくなった場合にはLow信号が断線されていることを示す断線検知信号として出力されるようになっている。
【0035】
断線検知信号は、検知信号伝送手段を介して断線検知回路34からマイコン20の所定の入力ポートへ伝送されるよう構成されている。この検知信号伝送手段は、上記指令信号伝送手段と同様の構成とすることができ、本実施形態では、マイコン20と除菌灯駆動回路22とを電気的に絶縁しつつ断線検知信号を断線検知回路34側からマイコン20側へ伝送する絶縁部位として、UVコントローラ基板B2上に実装されたフォトカプラ35を備えている。フォトカプラ35の内蔵発光素子35aの正極側端子には断線検知信号が供給され、負極側端子は二次側グラウンドS−GNDに接続されている。また、UVコントローラ基板B2には、フォトカプラ35の内蔵受光素子35bの正極側に接続された接続端子gと、内蔵受光素子35bの負極側に接続された接続端子hとが設けられている。
【0036】
一方、制御基板B1のマイコン20の検知信号入力ポートは、スイッチング素子Q2を介して制御基板B1のグラウンドC−GNDに接続されている。また、制御基板B1には、スイッチング素子Q2の制御信号入力端子(図示例ではベース)に接続された接続端子eと、グラウンドC−GNDに接続された接続端子fとが設けられ、制御基板B1の端子eとUVコントローラ基板B2の端子g、及び、制御基板B1の端子fとUVコントローラ基板B2の端子hとがそれぞれ配線接続されている。マイコン20の検知信号入力ポートはプルアップ抵抗を介して制御用電源ラインVC15に接続され、スイッチング素子Q2の制御信号入力端子はプルアップ抵抗を介して制御用電源ラインVC5に接続されている。
【0037】
したがって、UVランプ18に駆動電力が通電されてUVランプ18が点灯しているときは、フォトカプラ35の発光素子35aに電流が流れて発光し、これにより受光素子35bが導通する。すると、スイッチング素子Q2の制御信号入力端子がグラウンドC−GNDに導通されてスイッチング素子Q2がオフし、マイコン20の検知信号入力ポートがプルアップされて該入力ポートにHigh信号が通電されていることを示す断線検知信号として入力される。
【0038】
また、UVランプ18が断線しているときは、フォトカプラ35の発光素子35aに電流が流れず、受光素子35bが非導通となるので、スイッチング素子Q2の制御信号入力端子がプルアップされてオンし、マイコン20の検知信号入力ポートがグラウンドC−GNDに導通されるため、該入力ポートにはLow信号が断線されていることを示す断線検知信号として入力される。
【0039】
マイコン20におけるUVランプ18の断線判定は、UVランプ18を点灯駆動させるための除菌灯駆動指令信号を出力しているにもかかわらず、断線検知信号としてLow信号が入力されている場合に、UVランプ18が断線していると判定し、かかる断線判定がなされた場合にはUVランプの断線報知を行うよう構成できる。
【0040】
本実施形態に係る給湯装置によれば、UVランプ18用の第2の電源部P2、並びに、該第2の電源部P2が出力する直流電力からUVランプ18を駆動する駆動電力を生成する除菌灯駆動回路22をUVコントローラ基板B2上に設け、第2の電源部P2の二次側及び除菌灯駆動回路22のグラウンドS−GNDを、制御基板B1のグラウンドC−GNDとも、第2の電源部P2の一次側のグラウンドP−GNDとも絶縁するとともに、制御基板B1上のマイコン20から除菌灯駆動回路22に対する除菌灯駆動指令信号の信号伝送手段、並びに、除菌灯駆動回路22からマイコン20に送出される断線検知信号の信号伝送手段のいずれも、フォトカプラ33,35によって電気的に絶縁しつつ信号伝送可能に構成したので、インバータ30におけるスイッチング動作によって生じるノイズが制御基板B1に伝送されることを抑制することができ、マイコン20がノイズによって異常動作したり、マイコン20の入出力信号にノイズが乗ることによって給湯動作が不安定になるなどの影響が生じることを回避できる。
【0041】
さらに、除菌機能が不要な場合にはUVコントローラ基板B2を設けなければ良く、これにより装置の小型化を図ったり、他の付加機能のための回路基板に置き換えたりすることが可能であり、かかる場合でも制御基板B1の上記端子a,b,e,fを流用可能である。
【0042】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、基板上で絶縁を行うのであればマイコン20と除菌灯駆動回路22とを同じ基板上に実装しても良い。また、指令信号伝送手段及び検知信号伝送手段の絶縁部位の構成も種々のものであってよく、例えば、制御基板B1とUVコントローラ基板B2とを光ファイバーケーブルで接続して、一方の基板に発光ダイオードを、他方の基板にフォトトランジスタを設ける構成とすることもできる。また、除菌灯ON/OFF回路は、100V直流電力をインバータ30に供給するか否かを切り替えるよう構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 給湯装置
3 給湯路(追い焚き給湯路)
18 UVランプ(除菌灯)
20 マイコン(制御部)
22 除菌灯駆動回路
30 インバータ
31 除菌灯ON/OFF回路
33 指令信号伝送手段の絶縁部位としてのフォトカプラ
35 検知信号伝送手段の絶縁部位としてのフォトカプラ
B1 制御基板
VC15 制御基板上の制御用電源ライン
B2 UVコントローラ基板(除菌灯駆動基板)
P1 第1の電源部
P2 第2の電源部