特許第6862795号(P6862795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862795
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】造形装置及び造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/218 20170101AFI20210412BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210412BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20210412BHJP
【FI】
   B29C64/218
   B33Y30/00
   B33Y10/00
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-229455(P2016-229455)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2018-83401(P2018-83401A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】木原 信宏
(72)【発明者】
【氏名】近藤 晃
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−221572(JP,A)
【文献】 特開2015−120261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/10,64/106,64/20,64/218,
64/241
B33Y 10/00,30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形物が形成される造形面を有するステージと、
前記ステージに対向する領域である近接領域を含む表面を有し、前記近接領域と前記ステージとの間に材料を保持する保持領域を形成する規制体と、
前記材料を吐出するノズルと、前記ノズルに前記材料を圧送するポンプと、前記ノズルを移動させるノズル移動機構とを有し、前記ステージと前記規制体の間に前記材料を供給する材料供給機構と、
前記規制体の近接領域を介して、前記保持領域に保持された前記材料の領域に選択的にエネルギー線を照射し、前記材料を硬化させる照射ユニットと、
前記造形面に平行な方向に沿って前記ステージと前記規制体とを相対的に移動させる第1移動機構と、前記材料の積層方向に沿って前記ステージと前記規制体とを相対的に移動させる第2移動機構とを有する移動機構と
前記移動機構、前記材料供給機構及び前記照射ユニットを制御して前記材料が硬化した層を積層させる制御部であって、前記ノズル移動機構を制御して前記ノズルを移動させ、前記保持領域に供給される前記材料の量を調整する制御部と
を具備する造形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の造形装置であって、
前記制御部は、前記材料が硬化した層の積層数に応じて前記ノズルを移動させるように前記ノズル移動機構を制御する
造形装置。
【請求項3】
請求項2に記載の造形装置であって、
前記制御部は、前記材料が硬化した層の積層数が増加するにしたがって、前記ノズルを前記規制体に接近させるように前記ノズル移動機構を制御する
造形装置。
【請求項4】
請求項1に記載の造形装置であって、
前記規制体は、水平方向に延伸する中心軸を有する円筒形状であって、鉛直方向における最上の点を頂点としたときに、前記保持領域は前記頂点より下方に位置し、
前記ノズルは、前記規制体の頂点に対して前記保持領域とは反対側に位置し、
前記ノズル移動機構は、前記ノズルを前記規制体の頂点に対して移動させる
造形装置。
【請求項5】
請求項1に記載の造形装置であって、
前記ステージは、前記規制体に対して鉛直上方に位置する
造形装置。
【請求項6】
請求項1に記載の造形装置であって、
前記制御部は、前記ノズルの移動に加え、前記ポンプから圧送される前記材料の流量を制御することにより、前記保持領域に供給される前記材料の量を調整する
造形装置。
【請求項7】
請求項6に記載の造形装置であって、
前記制御部は、前記材料が硬化した層の積層数が増加するにしたがって、前記ポンプから圧送される前記材料の流量を増加させる
造形装置。
【請求項8】
造形物が形成される造形面を有するステージと、
前記ステージに対向する領域である近接領域を含む表面を有し、前記近接領域と前記ステージとの間に材料を保持する保持領域を形成する規制体と、
前記材料を吐出するノズルと、前記ノズルに前記材料を圧送するポンプと、前記ノズルを移動させるノズル移動機構とを有し、前記ステージと前記規制体の間に前記材料を供給する材料供給機構と、
前記規制体の近接領域を介して、前記保持領域に保持された前記材料の領域に選択的にエネルギー線を照射し、前記材料を層状に硬化させる照射ユニットと、
前記造形面に平行な方向に沿って前記ステージと前記規制体とを相対的に移動させる第1移動機構と、前記材料の積層方向に沿って前記ステージと前記規制体とを相対的に移動させる第2移動機構とを有する移動機構と
を具備する造形装置を用いる造形物の製造方法であって、
前記移動機構、前記材料供給機構及び前記照射ユニットを制御して前記材料が硬化した層を積層させ、前記ノズル移動機構を制御して前記ノズルを移動させ、前記保持領域に供給される前記材料の量を調整する
造形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、3次元造形による造形が可能な造形装置及び造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光硬化樹脂の性質を利用した三次元光造形機には、自由液面型、規制液面型(2次元規制液面型)などが存在する。自由液面型は光硬化樹脂のプールに上から光ビームを打ち込み、台座をZ軸方向に下げていくことによって三次元造型を実現するものであるが、液面の揺らぎ、硬化時の材料収縮などが問題であり、十分な造型精度が得られなかった。
【0003】
これらの課題を解決するため、規制液面法が開発されている。この方法では、液面をガラス面で蓋をすることで揺らぎなどを抑えつつ、台座をZ軸の上方向に持ち上げていく方法で、光ビームを十分液面(規制面)近くに配置することができ、高精度化を実現することができる。しかしながらこの方法では、ガラス面と硬化物が接着してしまい、剥離するのに時間を要する、大型化が困難などの別の問題が存在した。
【0004】
これを解決するための方法として1次元規制液面法と呼ばれている方法がある(例えば特許文献1参照)。この方法では液面を規制する規制体を曲面(ドラム状)にして、造形基板と接触する直線(一次元)の領域にピンポイントで光ビームを照射することで光硬化樹脂を硬化させ、規制体を回転させて剥離させていく造型方法である。これにより、規制液面法と同レベルの高精度を保ちつつ、剥離問題を解決することで高速化、大型化が容易となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-40757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、1次元規制液面法では規制体の表面において光硬化樹脂の硬化が生じるが、造形基板上に造形体が積層されていくため、造形の進行に伴って造形基板と規制体表面を離間させる必要がある。このため造形基板と規制体表面の間隙に流入させることが可能な光硬化性樹脂の流量は、造形の進行に伴って変動する。したがって、光硬化性樹脂の流量を造形の進行に合わせて調整する必要がある。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、造形材料の流量を適切に調整することが可能な造形装置及び造形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る造形装置は、ステージと、規制体と、材料供給機構と、照射ユニットと、移動機構とを具備する。
上記ステージは、造形物が形成される造形面を有する。上記規制体は、近接領域を含む表面を有し、上記近接領域と上記ステージとの間に材料を保持する保持領域を形成するように、上記ステージに対して配置されることが可能である。
上記材料供給機構は、上記材料を吐出するノズルと、上記ノズルに上記材料を圧送するポンプと、上記ノズルを移動させるノズル移動機構とを有し、上記ステージと上記規制体の間に上記材料を供給する。
上記照射ユニットは、上記規制体の近接領域を介して、上記保持領域に保持された上記材料の領域に選択的にエネルギー線を照射し、上記材料を硬化させる。
上記移動機構は、上記造形面に平行な方向に沿って上記ステージと上記規制体とを相対的に移動させる第1移動機構と、上記材料の積層方向に沿って上記ステージと上記規制体とを相対的に移動させる第2移動機構とを有する。
上記制御部は、上記移動機構、上記材料供給機構及び上記照射ユニットを制御して上記材料が硬化した層を積層させる制御部であって、上記ノズル移動機構を制御して上記ノズルを移動させ、上記保持領域に供給される上記材料の量を調整する。
【0009】
この構成によれば、ステージと規制体の間に形成された保持領域にエネルギー線が照射されることにより材料が硬化した層が形成される。移動機構がステージと規制体の相対位置を移動させることにより、材料が硬化した層が積層され、三次元構造の造形物が形成される。造形が進行して積層数が増加すると、ステージと規制体が離間していくため、ステージと規制体の間の保持領域に流入可能な材料の量は造形の進行に伴って次第に増加する。上記構成によればノズル移動機構によってノズルを移動させることにより、保持領域に供給される材料の量を造形の進行に伴って調整することが可能である。
【0010】
上記制御部は、上記材料が硬化した層の積層数に応じて上記ノズルを移動させるように上記ノズル移動機構を制御してもよい。
【0011】
上記のように、造形が進行して造形物の積層数が増加するとステージと規制体が離間していくため、積層数に応じてノズルを移動させることにより、保持領域に供給される材料の量を調整することが可能である。
【0012】
上記制御部は、上記材料が硬化した層の積層数が増加するにしたがって、上記ノズルを上記規制体に接近させるように上記ノズル移動機構を制御してもよい。
【0013】
この構成によれば、材料が硬化した層の積層数が増加し、ステージと規制体の距離が増加するにしたがって、保持領域に供給される材料の量を増加させることができる。
【0014】
上記規制体は、水平方向に延伸する中心軸を有する円筒形状であって、鉛直方向における最上の点を頂点としたときに、上記保持領域は上記頂点より下方に位置し、
上記ノズルは、上記規制体の頂点に対して上記保持領域とは反対側に位置し、
上記ノズル移動機構は、上記ノズルを上記規制体の頂点に対して移動させてもよい。
【0015】
この構成によれば、ノズルから吐出される材料がドラムの頂点に対して保持領域側に流れ落ちるか保持領域とは反対側に流れ落ちるかをノズルの位置によって制御することが可能であり、保持領域に供給される材料の量をノズルの位置によって調整することが可能である。
【0016】
上記ステージは、上記規制体に対して鉛直上方に位置してもよい。
【0017】
この構成によれば、保持領域に保持されなかった材料は規制体から流れ落ちて速やかに除去される。
【0018】
上記制御部は、上記ノズルの移動に加え、上記ポンプから圧送される上記材料の流量を制御することにより、上記保持領域に供給される上記材料の量を調整してもよい。
【0019】
保持領域に供給される材料の量はポンプから圧送される材料の流量によっても調整することができるが、ノズルの移動による調整と組み合わせることによって迅速かつ高精度な調整が可能となる。
【0020】
上記制御部は、上記材料が硬化した層の積層数が増加するにしたがって、上記ポンプから圧送される上記材料の流量を増加させてもよい。
【0021】
この構成によれば、材料が硬化した層の積層数が増加し、ステージと規制体の距離が増加するにしたがって、保持領域に供給される材料の量を増加させることができる。
【0022】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る造形物の製造方法は、造形物が形成される造形面を有するステージと、近接領域を含む表面を有し、上記近接領域と上記ステージとの間に材料を保持する保持領域を形成するように、上記ステージに対して配置されることが可能な規制体と、上記材料を吐出するノズルと、上記ノズルに上記材料を圧送するポンプと、上記ノズルを移動させるノズル移動機構とを有し、上記ステージと上記規制体の間に上記材料を供給する材料供給機構と、上記規制体の近接領域を介して、上記保持領域に保持された上記材料の領域に選択的にエネルギー線を照射し、上記材料を層状に硬化させる照射ユニットと、上記造形面に平行な方向に沿って上記ステージと上記規制体とを相対的に移動させる第1移動機構と、上記材料の積層方向に沿って上記ステージと上記規制体とを相対的に移動させる第2移動機構とを有する移動機構とを具備する造形装置を用いる造形物の製造方法であって、
上記移動機構、上記材料供給機構及び上記照射ユニットを制御して上記材料が硬化した層を積層させ、上記ノズル移動機構を制御して上記ノズルを移動させ、上記保持領域に供給される上記材料の量を調整する。
【0023】
以上、本技術によれば、造形材料の流量を適切に調整することが可能な造形装置及び造形方法を提供することができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本技術の実施形態に係る造形装置の模式図である。
図2】同造形装置を他の方向からみた模式図である。
図3】同造形装置の拡大図である。
図4】同造形装置による造形の態様を示す模式図である。
図5】同造形装置による造形の態様を示す模式図である。
図6】同造形装置におけるノズルの移動態様を示す模式図である。
図7】同造形装置における、ノズル位置と材料の供給量を示す模式図である。
図8】同造形装置におけるノズルの他の移動態様を示す模式図である。
図9】同造形装置におけるノズルの他の移動態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[造形装置の構成及び動作]
図1は、本技術の実施形態に係る造形装置を示す模式的な側面図である。図2は、図1に示す造形装置100の正面図である。造形装置100は、ステージ10、規制体としてのドラム30、材料供給機構20、照射ユニット40、ステージ移動機構60、照射ユニット移動機構45及び制御部50を主に備える。
【0026】
以下、造形装置100が配置される3次元空間において、高さ方向に沿う鉛直軸をz軸とし、z軸に垂直な水平面に沿う2軸をx、y軸とする。
【0027】
ステージ10は、造形物が形成される側の表面である造形面12を有する。ステージ10は、ドラム30より上方に配置され、造形面12をドラム30がある側に向けて配置されている。水平面であるx−y平面に対して、y軸を中心とする回転方向に特定の傾斜角度で造形面12が傾斜するように、ステージ10が配置されている。x−y平面に対するその傾斜角度は任意に設定される。
【0028】
以下、(x、y、z)座標系をy軸周りで、ステージ10の傾斜角分回転させた座標系を、(x'、y'、z')座標系と定義する。
【0029】
ドラム30は、円筒形状を有し、円筒の中心軸がy軸に沿うように配置されている。ドラム30は、照射ユニット40から出射されるエネルギー線(図中L)を透過する材料、例えばガラスまたはアクリル等で構成されている。
【0030】
材料供給機構20は、ノズル21、ノズル移動機構22及びポンプ23を備え、樹脂材料をドラム30とステージ10との間に供給可能に構成される。樹脂材料は例えば紫外線硬化樹脂である。ノズル21は、ドラム30とステージ10との間に配置され、ドラム30の円筒形状の表面と、ステージ10の造形面12との間に樹脂材料R(図3参照)を供給するように構成される。ノズル21は、y方向に沿って設けられた複数の吐出口を有するか、または、y方向に沿って長い形状の吐出スリットを有して構成される。
【0031】
ポンプ23は、配管を介してノズル21に接続され、樹脂材料をノズル21に圧送する。ノズル移動機構22はノズル21をドラム30に対して移動させる。この詳細については後述する。
【0032】
図3は、ステージ10とドラム30を拡大して示す図である。ドラム30の表面32はステージ10に近接する近接領域Kを有する。ドラム30は、その近接領域Kと造形面12との間に、樹脂材料Rを保持する保持領域Hを形成するように、ステージ10に対して配置される。樹脂材料Rは、主に表面張力により保持される。
【0033】
ドラム30がステージ10の造形面12の下方に配置され、かつ、ステージ10が傾斜していることにより、造形面12のx'方向に沿って斜め下方へ未硬化の樹脂材料Rが流れて除去されやすくなる。
【0034】
図3に示すように保持領域Hは、近接領域Kのうちステージ10に最も近い位置に最狭部Hcを有する。保持領域Hは、最狭部Hcから、ドラム30の表面の円周方向に沿って数mm〜数cm程度の範囲における、ドラム30とステージ10との間の空間領域である。なお、保持領域Hの、ドラム30の円周方向での範囲は、樹脂材料R、ドラム30の材料、および/または、ドラム30の大きさにより変わる値であり、上記のような数mm〜数cmの範囲に限られない。
【0035】
造形装置100は、図3に示すようにy方向に沿う円筒中心軸Pを中心にドラム30を回転させるモータ(図示を省略)をさらに備える。例えば、1層または複数層ごとの露光の都度、ドラム30を所定角度回転させることにより、ステージ10に対する近接領域Kを変更する時、あるいはメンテンナンス時に、モータはドラム30を回転する。
【0036】
照射ユニット40は、ドラム30の円筒の内部に配置される。照射ユニット40は、ドラム30を介して、保持領域Hに保持された樹脂材料Rの領域に選択的にエネルギー線Lを照射する。エネルギー線Lは、樹脂材料を硬化させることが可能なものであればよく、例えば紫外レーザーである。照射ユニット40は、図示しないレーザー光源、ポリゴンミラー、およびレンズ系を備え、これらの部品が例えば1つの筐体内に収容されて構成されている。ポリゴンミラーの代わりに、ガルバノミラーが用いられてもよい。
【0037】
図1に示すように、ステージ移動機構60は、第1移動機構61および第2移動機構62を有する。第1移動機構61は、所定の傾斜角度で配置されたステージ10の造形面12に沿うx'方向にステージ10を移動させるように構成される。第2移動機構62は、樹脂材料Rの積層方向、すなわちドラム30に対してステージ10が離接する方向(z'方向)に、ステージ10を移動させるように構成されている。
【0038】
これら第1移動機構61および第2移動機構62は、ボールネジ駆動、ラックアンドピニオン駆動、またはベルト駆動等の各種の公知の駆動機構により構成される。
【0039】
照射ユニット移動機構45は、照射ユニット40に接続されており、照射ユニット40を少なくともx'方向に移動させるように構成されている。その駆動方式としては、上記公知の駆動機構が用いられる。
【0040】
レーザー光源から出射されたレーザービームが、ポリゴンミラーの駆動により、図2に示すようにy'方向の1ラインに沿ってスキャンされる(図中L1からL2の間)。1ライン分のスキャンの間、レーザー光源は、造形物の断面データ(のy'方向の1ライン分のデータ)に基づいて照射のON/OFFを繰り返す。これにより、そのy'方向の1ライン分に沿う樹脂材料Rの領域が選択的に露光される。
【0041】
図4は、露光によって形成される造形物Tを示す模式図であり、図4(a)はy'方向から見た図、図4(b)はx'方向から見た図である。これらの図に示すように、エネルギー線Lがドラム30の表面32において樹脂材料Rに照射され、表面32の近傍に位置する樹脂材料Rが露光されることにより硬化し、造形物Tが形成される。
【0042】
第1移動機構61がステージ10をx'方向に移動させながら、上記1ライン分の露光が繰り返されることにより、1層分の造形物Tが形成される。1層分の造形物Tが形成された後、第2移動機構62がステージ10をz'方向に移動させて1層目の造形物Tとドラム30の間に間隙を形成する。この間隙に材料供給機構20から供給された樹脂材料Rが流入する。
【0043】
レーザー光源は1層目と同様に造形物の2層目の断面データに基づいて照射のON/OFFを繰り返し、表面32において2層目の造形物Tを形成する。以降同様に、第2移動機構62がステージ10をz'方向に移動させると、レーザー光源によって各層の露光が行われる。
【0044】
図5は、複数層の造形物Tが形成された状態の造形物Tを示す模式図であり、図5(a)はy'方向から見た図、図5(b)はx'方向から見た図である。同図に示すように、造形の進行に伴ってステージ10とドラム30が離間しつつ、造形物Tの層数が増加する。このようにして3次元の造形物が形成される。
【0045】
制御部50は、ステージ移動機構60、照射ユニット40、照射ユニット移動機構45、材料供給機構20及びドラム30を制御するように構成されている。制御部50は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を搭載したコンピュータにより構成される。制御部50は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)により構成されていてもよい。
【0046】
[樹脂材料供給量の調整について]
造形装置100は上述のように、ステージ移動機構60を移動させながら、材料供給機構20から樹脂材料Rを保持領域Hに供給し、照射ユニット40からレーザー光を照射することにより樹脂材料Rを硬化させ、層状に造形物を造形する。
【0047】
ここで、造形装置100は、造形物の層数に応じてノズル21を移動させる。図6は、ノズル21の移動を示す模式図である。同図に示すようにノズル21は、ドラム30に最も接近した位置(図中21A)とドラム30から最も離間した位置(図中21B)の間で移動可能に構成されている。位置21Aと位置21Bは、x'方向に沿って離間しているものとすることができるが、これに限られない。
【0048】
具体的には制御部50がノズル移動機構22を制御し、ノズル移動機構22がノズル21を位置21Aと位置21Bの間で移動させる。図6においてドラム30の表面のうち最も鉛直上方に位置する点をドラム30の頂点Pとして示す。
【0049】
同図に示すように、保持領域Hは頂点Pより鉛直下方に位置しており、位置21A及び位置21Bは、頂点Pを介して保持領域Hとは反対側に位置している。位置21Aは頂点Pに近接した位置であり、位置21Bは位置21Aよりも頂点Pから離間した位置とすることができる。
【0050】
図7は、ノズル21の位置と、ノズル21から吐出される樹脂材料Rを示す模式図である。図7(a)に示すように、ノズル21が位置21Aに位置している場合、ノズル21から吐出された樹脂材料Rは頂点Pより保持領域H側に流れ落ち、保持領域H側により多く流れる。一方、図7(b)に示すようにノズル21が位置21Bに位置している場合、ノズル21から吐出された樹脂材料Rは頂点Pより保持領域Hとは反対側に流れ落ち、保持領域Hとは反対側により多く流れる。
【0051】
なお、図3では保持領域Hに保持されている樹脂材料Rのみを示し、保持領域Hに保持されていない樹脂材料Rは図示を省略している。また、ドラム30から流れ落ちた樹脂材料Rは図示しない回収トレイによって回収され、ポンプ23によって再度ノズル21に圧送される。
【0052】
このように造形装置100はノズル21の位置によって保持領域Hに流れる樹脂材料Rの流量を調整することができる。なお、保持領域Hに流れる樹脂材料Rの流量は、樹脂材料Rの粘度や吐出圧力、ノズル21の角度、ドラム30の回転速度、z方向におけるノズル21とドラム30の距離等によっても異なるが、ノズル21の位置によって容易に調整することが可能である。
【0053】
図4に示すように、造形の開始直後の場合、造形物Tの層数が少なく、ステージ10とドラム30の間隙は小さい。このため、制御部50は、ノズル21が位置21Bに位置するようにノズル移動機構22を制御する。この状態で樹脂材料Rの供給量が多すぎると、樹脂材料Rがステージ10とドラム30の間に溜まり、ドラム30の側面等からあふれるおそれがあるためである。
【0054】
一方、図5に示すように造形が進行すると造形物Tの層数が増加し、ステージ10とドラム30の間隙は大きくなる。このため、制御部50は、ノズル21が次第に位置21Aに位置するようにノズル移動機構22を制御する。この状態ではステージ10とドラム30の間隙が大きいため、十分な量の樹脂材料Rを供給する必要があるためである。
【0055】
したがって、制御部50が造形物Tの層数に応じてノズル21の位置を移動させることにより、保持領域Hに流れる樹脂材料Rの流量を造形に適した量に調整することが可能である。
【0056】
なお、ノズル21の移動方向は上記のようなx'方向に限られない。図8及び図9はノズル21の他の移動方向を示す模式図である。ノズル移動機構22は図8に示すように、ドラム30の表面32に沿った円周方向にノズル21を移動させてもよい。またノズル移動機構22は図9に示すように、z'方向に沿ってノズル21を移動させてもよい。この他にもノズル移動機構22は、保持領域Hに供給される樹脂材料Rの量が変動するようにノズル21を移動させるものとすることができる。
【0057】
また、制御部50は、ポンプ23の吐出量を制御することによって、保持領域Hに流れる樹脂材料Rの流量を調整することもできる。具体的には制御部50は、造形物Tの層数が少ないときにはポンプ23の吐出量を小さくし、造形物Tの層数が増加するに伴ってポンプ23の吐出量を大きくすることができる。
【0058】
また、制御部50は、ノズル21の位置とポンプ23の吐出量の両方を制御することによって、保持領域Hに流れる樹脂材料Rの流量を調整することもできる。具体的には制御部50は、造形物Tの層数が少ないときにはノズル21をドラム30から離間させ、かつポンプ23の吐出量を小さくすることができる。また、制御部50は、造形物Tの層数が増加するに伴ってノズル21をドラム30に接近させ、かつポンプ23の吐出量を大きくすることができる。
【0059】
[変形例]
上記実施形態では、ステージ10を移動させるステージ移動機構60が設けられていた。しかし、ステージ10は移動せず、ドラム30をx'、z'軸に沿って移動させる移動機構が設けられていてもよい。あるいは、ステージ10がx'軸(またはz'軸)に沿って移動し、ドラム30がz'軸(またはx'軸)に沿って移動するように構成されていてもよい。
【0060】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
【0061】
(1)
造形物が形成される造形面を有するステージと、
近接領域を含む表面を有し、上記近接領域と上記ステージとの間に材料を保持する保持領域を形成するように、上記ステージに対して配置されることが可能な規制体と、
上記材料を吐出するノズルと、上記ノズルに上記材料を圧送するポンプと、上記ノズルを移動させるノズル移動機構とを有し、上記ステージと上記規制体の間に上記材料を供給する材料供給機構と、
上記規制体の近接領域を介して、上記保持領域に保持された上記材料の領域に選択的にエネルギー線を照射し、上記材料を硬化させる照射ユニットと、
上記造形面に平行な方向に沿って上記ステージと上記規制体とを相対的に移動させる第1移動機構と、上記材料の積層方向に沿って上記ステージと上記規制体とを相対的に移動させる第2移動機構とを有する移動機構と
上記移動機構、上記材料供給機構及び上記照射ユニットを制御して上記材料が硬化した層を積層させる制御部であって、上記ノズル移動機構を制御して上記ノズルを移動させ、上記保持領域に供給される上記材料の量を調整する制御部と
を具備する造形装置。
【0062】
(2)
上記(1)に記載の造形装置であって、
上記制御部は、上記材料が硬化した層の積層数に応じて上記ノズルを移動させるように上記ノズル移動機構を制御する
造形装置。
【0063】
(3)
上記(2)に記載の造形装置であって、
上記制御部は、上記材料が硬化した層の積層数が増加するにしたがって、上記ノズルを上記規制体に接近させるように上記ノズル移動機構を制御する
造形装置。
【0064】
(4)
上記(1)から(3)のうちいずれか一つに記載の造形装置であって、
上記規制体は、水平方向に延伸する中心軸を有する円筒形状であって、鉛直方向における最上の点を頂点としたときに、上記保持領域は上記頂点より下方に位置し、
上記ノズルは、上記規制体の頂点に対して上記保持領域とは反対側に位置し、
上記ノズル移動機構は、上記ノズルを上記規制体の頂点に対して移動させる
造形装置。
【0065】
(5)
上記(1)から(4)のうちいずれか一つに記載の造形装置であって、
上記ステージは、上記規制体に対して鉛直上方に位置する
造形装置。
【0066】
(6)
上記(1)から(5)のうちいずれか一つに記載の造形装置であって、
上記制御部は、上記ノズルの移動に加え、上記ポンプから圧送される上記材料の流量を制御することにより、上記保持領域に供給される上記材料の量を調整する
造形装置。
【0067】
(7)
上記(6)に記載の造形装置であって、
上記制御部は、上記材料が硬化した層の積層数が増加するにしたがって、上記ポンプから圧送される上記材料の流量を増加させる
造形装置。
【0068】
(8)
造形物が形成される造形面を有するステージと、
近接領域を含む表面を有し、上記近接領域と上記ステージとの間に材料を保持する保持領域を形成するように、上記ステージに対して配置されることが可能な規制体と、
上記材料を吐出するノズルと、上記ノズルに上記材料を圧送するポンプと、上記ノズルを移動させるノズル移動機構とを有し、上記ステージと上記規制体の間に上記材料を供給する材料供給機構と、
上記規制体の近接領域を介して、上記保持領域に保持された上記材料の領域に選択的にエネルギー線を照射し、上記材料を層状に硬化させる照射ユニットと、
上記造形面に平行な方向に沿って上記ステージと上記規制体とを相対的に移動させる第1移動機構と、上記材料の積層方向に沿って上記ステージと上記規制体とを相対的に移動させる第2移動機構とを有する移動機構と
を具備する造形装置を用いる造形物の製造方法であって、
上記移動機構、上記材料供給機構及び上記照射ユニットを制御して上記材料が硬化した層を積層させ、上記ノズル移動機構を制御して上記ノズルを移動させ、上記保持領域に供給される上記材料の量を調整する
造形物の製造方法。
【符号の説明】
【0069】
10…ステージ
20…材料供給機構
21…ノズル
22…ノズル移動機構
23…ポンプ
30…ドラム
40…照射ユニット
45…照射ユニット移動機構
50…制御部
60…ステージ移動機構
100…造形装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9