(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862834
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】容器の水滴除去装置
(51)【国際特許分類】
F26B 15/00 20060101AFI20210412BHJP
B65B 61/10 20060101ALI20210412BHJP
B65B 53/04 20060101ALN20210412BHJP
【FI】
F26B15/00 D
B65B61/10
F26B15/00 C
!B65B53/04 B
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-1351(P2017-1351)
(22)【出願日】2017年1月6日
(65)【公開番号】特開2018-112326(P2018-112326A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100086852
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 守
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】矢野 竜也
(72)【発明者】
【氏名】福岡 大
【審査官】
伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−079747(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02402268(EP,A1)
【文献】
英国特許出願公告第01402493(GB,A)
【文献】
米国特許第04064987(US,A)
【文献】
特公平07−089020(JP,B2)
【文献】
特開2012−046280(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第105197499(CN,A)
【文献】
米国特許第04272945(US,A)
【文献】
特開2017−109826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 15/00
B67C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を搬送する搬送コンベヤと、
容器の外面にエアを吹き付けるエアノズルと、
前記搬送コンベヤと同期して走行し、前記搬送コンベヤによって搬送される容器を両側から挟んで保持する一対の容器保持手段とを備え、
前記一対の容器保持手段は、搬送方向と直交する水平軸周りに回転駆動され、容器にエアが吹き付けられる位置において前記容器を保持し、前記エアの吹き付け位置よりも下流側において、前記搬送コンベヤによる搬送に伴って前記容器から徐々に離間することを特徴とする容器の水滴除去装置。
【請求項2】
前記容器保持手段は、前記搬送コンベヤによって搬送される容器の中央高さ位置よりも下側を保持することを特徴とする請求項1に記載の容器の水滴除去装置。
【請求項3】
前記容器保持手段の先端に、切欠き部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の容器の水滴除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されている容器の外面に付着した水滴を除去する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筒状の樹脂フィルムを被せられた容器をシュリンクトンネルの中を通すことによって、樹脂フィルムを収縮させるシュリンク包装機において、シュリンクトンネルにおいて容器の外面に付着した水滴を、高圧エアを吹き付けることにより除去する水滴除去装置が知られている(特許文献1)。このような水滴除去装置では、容器は胴部を保持された状態で搬送され、高圧エアの吹き付けが完了すると容器は解放されて次の工程へ搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3310505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
比較的大きく、重量が嵩む容器の場合、高圧エアの吹き付けが完了して保持状態が解放されてもスムーズに搬送されるが、小さく軽量な容器の場合、エアの圧力によって容器の姿勢が不安定になり、転倒するおそれがある。したがって、エアノズルの配置に制限が生じ、また容器の側面を支持する機構を設けなければならないという問題がある。また従来例の装置では、容器解放時に横方向に負荷がかかり、容器を蹴り出してしまう問題があった。
【0005】
本発明は、搬送されている容器の胴部を保持する状態から解放状態に変化する過程において、容器が転倒するおそれがなく、容器の外面に高圧エアを吹き付けるエアノズルの配置を制限する必要がない水滴除去装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る容器の水滴除去装置は、容器を搬送する搬送コンベヤと、容器の外面にエアを吹き付けるエアノズルと、搬送コンベヤと同期して走行し、搬送コンベヤによって搬送される容器を両側から挟んで保持する一対の容器保持手段とを備え、一対の容器保持手段は、
搬送方向と直交する水平軸周りに回転駆動され、
容器にエアが吹き付けられる位置において容器を保持し、エアの吹き付け位置よりも下流側において、搬送コンベヤによる搬送に伴って容器から徐々に離間することを特徴としている。
【0007】
容器保持手段は、搬送コンベヤによって搬送される容器の中央高さ位置よりも下側を保持することが好ましい。また、容器保持手段の先端に、切欠き部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、搬送されている容器の胴部を保持する状態から解放状態に変化する過程において、容器が転倒するおそれがないだけでなく、容器の外面に高圧エアを吹き付けるエアノズルの配置を制限する必要がなく、しかも容器から離れる際に負荷をかけない水滴除去装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態である搬送装置を備えた水滴除去装置を示す正面図である。
【
図3】搬送コンベヤとチェーンコンベヤを駆動する機構を示す平面図である。
【
図4】グリッパの容器把持部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示された実施形態を参照して本発明を説明する。
図1、2は、本発明の一実施形態を適用した容器の水滴除去装置を示している。シュリンクトンネル(図示せず)は
図2において左方に設けられ、容器Cに被せられた樹脂フィルムはシュリンクトンネル内において加熱蒸気の作用により収縮する。搬送コンベヤ10はシュリンクトンネルから延びて水滴除去装置のハウジング11内を通過し、容器Cを搬送して次の工程へ受け渡す。
【0011】
ハウジング11に設けられた支持枠12には、搬送コンベヤ10によって搬送される容器Cの外面に高圧エアを吹き付ける第1および第2のエアノズル13、14が取付けられる。これらのエアノズル13、14により、シュリンクトンネルにおいて容器Cの外面に付着した水滴が除去される。第1のエアノズル13は相対的に上流側に位置し、容器Cの上側に高圧エアを吹き付ける。第2のエアノズル14は相対的に下流側に位置し、容器Cの下側に高圧エアを吹き付ける。
【0012】
搬送コンベヤ10の両側にはチェーンレール15、15がそれぞれ配置され、チェーンレール15、15にはチェーンコンベヤ19、19がそれぞれ設けられる。チェーンコンベヤ19、19は搬送コンベヤ10と同期して走行し、チェーンコンベヤ19、19には、搬送コンベヤ10によって搬送される容器Cを両側から挟んで保持する一対のグリッパ(容器保持手段)16、16がそれぞれ取付けられる。チェーンコンベヤ19は搬送コンベヤ10と略同じ高さ位置に設けられ、グリッパ16はチェーンコンベヤ19の上面に支持される。グリッパ16の先端に形成された容器把持部材17は搬送コンベヤ10の上側に突出し、容器Cの底部近傍に係合する。
【0013】
チェーンレール15は
図2に示されるように、第1のエアノズル13よりも上流側において搬送コンベヤ10から離間した位置にあり、第1のエアノズル13の近傍において搬送コンベヤ10に接近し、第2のエアノズル14よりも下流側において搬送コンベヤ10から徐々に遠ざかるように成形されている。すなわちチェーンレール15は第1および第2のエアノズル13、14が設けられた部分において搬送コンベヤ10に平行に延び、容器Cに高圧エアが吹き付けられる位置において容器を保持し、高圧エアの吹き付け位置よりも下流側において、搬送コンベヤ10による搬送に伴って容器Cから徐々に離間する。チェーンコンベヤ19は搬送方向と直交する水平軸回りに回転駆動される。グリッパ16はチェーンレール15により案内され、搬送方向と直交する方向に移動する。
【0014】
図3は搬送コンベヤ10とチェーンコンベヤ19を駆動する機構を示している。搬送コンベヤ10の下流側端部は第1の駆動軸21に掛け回され、第1の駆動軸21は駆動モータ22の出力軸に連結される。一対のチェーンコンベヤ19、19は、第1の駆動軸21よりも上流側に位置する第2の駆動軸23に設けられたスプロケット29に掛け回される。第1の駆動軸21と第2の駆動軸23にはそれぞれプーリ24、25が取付けられ、これらのプーリ24、25には無端状部材26が掛け回される。したがって駆動モータ22が駆動されると、第1の駆動軸21によって搬送コンベヤ10が走行し、また第1の駆動軸21と無端状部材26と第2の駆動軸23を介してチェーンコンベヤ19、19が走行する。搬送コンベヤ10とチェーンコンベヤ19、19の走行速度は同じである。
【0015】
図4はグリッパ16の容器把持部材17を示している。
図4において、各容器把持部材17は3つの係合突起27を有し、2つの切欠き部28が設けられている。各係合突起27は上方から見て、容器Cの搬送方向の下流側(
図4の上側)を向くように傾斜しているが、この構成は必須ではない。また係合突起27の数に関し、
図2、3では2つであるが、この数も任意である。
【0016】
次に本実施形態の作用を説明する。
一対のグリッパ16は、シュリンクトンネル側から第1のエアノズル13に向けて、搬送コンベヤ10による容器Cの搬送に伴って徐々に容器Cに接近し、第1のエアノズル13の位置において容器Cの両側を挟んで保持する。そして第1のエアノズル13によって容器Cのネック部の水滴が除去され、次いで第2のエアノズル14によって容器Cのネック部よりも下方の水滴が除去される。
【0017】
グリッパ16は、第2のエアノズル14を通過するまで容器Cを継続して保持する。したがって容器Cは、第1および第2のエアノズル13、14から高圧エアが吹き付けられても姿勢は安定しており、外面に付着した水滴は確実に除去される。また容器Cの外面を伝わって落下する水滴は、容器把持部材17の切欠き部28を通って落下し、容器Cの外面に留まることはない。
【0018】
第2のエアノズル14の位置を通過したグリッパ16は、容器Cから急に離間するのではなく、徐々に離間する。この明細書において「徐々に離間する」とは、
図3に示すチェーンコンベヤ19において、グリッパ16が容器Cから離間し始める離間開始位置Aと、スプロケット29の上流側端部Bとを結ぶ直線にほぼ沿うようにして、グリッパ16が移動することを意味する。換言すれば、グリッパ16が容器Cから完全に離れた後、グリッパ16の移動方向が搬送コンベヤ10の搬送方向に直交する方向に変化するのではなく、グリッパ16は搬送コンベヤ10に対して30°よりも小さい角度で傾斜した線に沿って移動する。
【0019】
以上のようにグリッパ16は、第2のエアノズル14により高圧エアを吹き付けられた後、徐々に容器Cから離間するので、容器Cの姿勢は安定的に保たれ、容器Cが転倒することはない。したがって第2のエアノズル14の直ぐ下流側においてグリッパ16が容器Cから離間し始めるように構成することができ、エアノズル14の配置に関する制限が緩和される。
【0020】
なお上記実施形態においてグリッパ16はチェーンコンベヤ19によって移動する構成を有しているが、これに限定されず、カムとカムフォロアを有する機構によって移動するように構成されていてもよい。
【0021】
また、グリッパ16は搬送コンベヤ10によって搬送される容器Cの中央高さ位置よりも下側を保持するように定められていればよく、上記実施形態のように容器Cの底部近傍を保持することは必須ではない。
【符号の説明】
【0022】
10 搬送コンベヤ
13 第1のエアノズル
14 第2のエアノズル
16 グリッパ(容器保持手段)