(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図においてZ軸方向は、上下方向Zとする。X軸方向およびY軸方向は、上下方向Zと直交する水平方向であり、互いに直交する方向とする。X軸方向と平行な方向を「前後方向(所定方向)X」と呼び、Y軸方向と平行な方向を「左右方向Y」と呼ぶ。上下方向Zのうちの正の側を「上側」と呼び、負の側を「下側」と呼ぶ。前後方向Xのうちの正の側(+X側)を「後側(所定方向他方側)」と呼び、負の側(−X側)を「前側(所定方向一方側)」と呼ぶ。なお、上側、下側、前側、後側、上下方向、前後方向および左右方向とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等はこれらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0010】
図1および
図2に示す本実施形態のフィルタ取付構造50は、油圧制御装置におけるコントロールバルブの油路ボディ10にフィルタ20を取り付ける。より詳細には、フィルタ取付構造50は、油路ボディ10の上部ボディ11にフィルタ20を取り付ける。
図1から
図3においては、油路ボディ10にフィルタ20が取り付けられた状態を示している。
図5においては、油路ボディ10にフィルタ20が取り付けられる前の状態を示している。以下の説明においては、油路ボディ10にフィルタ20が取り付けられた状態を「取付状態」と呼ぶ。
【0011】
油路ボディ10は、オイルが流れる油路10aを内部に有する。フィルタ20には、油路10a内に供給されるオイルが通される。言い換えると、フィルタ20を通されたオイルが油路10a内に供給される。
図2および
図3に示すように、フィルタ20は、前後方向Xと直交する方向に拡がる円板状である。
【0012】
図3に示すように、フィルタ20は、フィルタ20を前後方向Xに貫通する複数のフィルタ貫通孔20aを有する。フィルタ貫通孔20aは、円形状である。フィルタ貫通孔20aの内径は、フィルタ20によって取り除く異物の大きさよりも小さい。これにより、フィルタ20によって異物を遮りつつ、フィルタ貫通孔20aを介してオイルを通過させることができる。複数のフィルタ貫通孔20aは、フィルタ20の中央において略円形状に密集して設けられている。
【0013】
フィルタ取付構造50は、油路ボディ10と、嵌合部材30と、を備える。
図1に示すように、油路ボディ10は、上部ボディ11と、セパレートプレート12と、下部ボディ13と、を有する。上部ボディ11は、下部ボディ13の上側にセパレートプレート12を挟んで配置されている。セパレートプレート12の上面には、上部ボディ11が固定されている。セパレートプレート12の下面には、下部ボディ13が固定されている。油路10aは、ソレノイドバルブSVに接続されている。ソレノイドバルブSVには、油路10aからオイルが供給される。
【0014】
図2に示すように、油路ボディ10は、凹部40を有する。凹部40は、上部ボディ11の前面11aから後側に窪んでいる。上部ボディ11の前面11aは、油路ボディ10の前側の面の一部である。
図2および
図4に示すように、凹部40の内側面は、中心軸Jを中心とする円筒状である。中心軸Jは、前後方向Xと平行な方向に延びている。以下の説明においては、中心軸Jを中心とした径方向を単に「径方向」と呼ぶ。
【0015】
凹部40は、大径凹部41および小径凹部42を有する。すなわち、油路ボディ10は、大径凹部41と、小径凹部42と、を有する。
図2に示すように、大径凹部41は、前面11a、すなわち油路ボディ10の前側の面から後側に窪んでいる。小径凹部42は、大径凹部41の底面41aから後側に窪んでいる。小径凹部42の内径D2は、大径凹部41の内径D1よりも小さい。
図3に示すように、小径凹部42の内径D2は、フィルタ20の外径D5よりも大きい。
図2に示すように、小径凹部42の前後方向Xの寸法L2は、大径凹部41の前後方向Xの寸法L1よりも大きい。凹部40の前後方向Xの寸法L5は、嵌合部材30の前後方向Xの寸法L6とフィルタ20の前後方向Xの寸法L7とを足し合わせた寸法よりも大きい。
【0016】
図1に示すように、油路ボディ10は、凹部40と油路10aとを繋ぐ連絡通路部14を有する。連絡通路部14は、前後方向Xに延びている。
図2および
図4に示すように、連絡通路部14は、小径凹部42の底面42aに開口する開口部14aを有する。すなわち、油路ボディ10は、開口部14aを有する。開口部14aは、連絡通路部14の前側の端部である。連絡通路部14の後側の端部は、油路10aに開口している。これにより、開口部14aは、油路10aと繋がっている。
【0017】
図4に示すように、前側から視て開口部14aの外形は、対向する一対の円弧部14bと対向する一対の直線部14cとを有する角丸長方形状である。直線部14cは、一対の円弧部14bの端部同士を繋ぐ。
図4では、一対の円弧部14bは、左右方向Yに対向しており、一対の直線部14cは、上下方向Zに対向している。一対の直線部14cは、互いに平行である。直線部14cにおいて開口部14aの縁は、面取りされている。これにより、上下方向Zに対向する一対の面取り部15が設けられている。前側から視て面取り部15の外形は、中心軸Jを中心とする円弧状である。
図2に示すように、面取り部15は、径方向外側に向かうに従って上側に位置する傾斜面である。面取り部15が設けられているため、例えば、フィルタ20が開口部14aの直線部14cに擦れて、直線部14cの一部が削れることを抑制できる。これにより、コンタミネーションが生じることを抑制できる。
【0018】
嵌合部材30は、中心軸Jを中心とする円筒状の部材である。嵌合部材30は、凹部40に嵌め合わされる。嵌合部材30は、小径嵌合部32と、大径嵌合部31と、を有する。小径嵌合部32は、小径凹部42内に嵌め合わされる。
図3に示すように、小径嵌合部32の外径D4は、小径凹部42の内径D2よりも小さい。そのため、取付状態において、小径嵌合部32と小径凹部42との径方向の間には、隙間S1が設けられる。
【0019】
図2に示すように、小径嵌合部32の前後方向Xの寸法L4は、大径凹部41の前後方向Xの寸法L1よりも大きい。小径嵌合部32の前後方向Xの寸法L4とフィルタ20の前後方向Xの寸法L7とを足し合わせた寸法は、小径凹部42の前後方向Xの寸法L2よりも大きい。取付状態において、小径嵌合部32の後側の端部は、フィルタ20の前側の面と接触する。
【0020】
大径嵌合部31は、小径嵌合部32の前側に接続されている。大径嵌合部31は、大径凹部41内に圧入される。大径嵌合部31の外径は、小径嵌合部32の外径D4よりも大きい。ここで、大径嵌合部31は圧入されるため、大径嵌合部31の外径は、大径嵌合部31が大径凹部41に圧入される前と圧入された後とで異なる。
図5に示すように、大径凹部41に圧入される前の大径嵌合部31の外径D7は、大径凹部41の内径D1よりも大きい。一方、
図2に示すように、大径凹部41に圧入された後の大径嵌合部31の外径D3は、大径凹部41の内径D1と同じである。すなわち、大径凹部41に圧入されることで大径嵌合部31が圧縮されて、大径嵌合部31の外径は、大径凹部41の内径D1に合わせて小さくなる。
【0021】
大径嵌合部31の前後方向Xの寸法L3は、小径嵌合部32の前後方向Xの寸法L4よりも小さい。大径嵌合部31の前後方向Xの寸法L3は、大径凹部41の前後方向Xの寸法L1よりも小さい。すなわち、大径凹部41の前後方向Xの寸法L1は、大径嵌合部31の前後方向Xの寸法L3よりも大きい。取付状態において大径嵌合部31の前側の端部は、前面11a、すなわち油路ボディ10の前側の面よりも後側に配置される。取付状態において大径嵌合部31と大径凹部41の底面41aとの前後方向Xの間には、隙間S2が設けられる。
【0022】
嵌合部材30は、貫通孔33を有する。貫通孔33は、嵌合部材30を前後方向Xに貫通している。
図3に示すように、貫通孔33の前側から視た外形は、中心軸Jを中心とする円形状である。
図2に示すように、貫通孔33の内径D6は、前後方向Xの全体に亘って同じである。
図3に示すように、貫通孔33の内径D6は、開口部14aの上下方向Zの寸法よりも大きく、開口部14aの左右方向Yの寸法よりも小さい。
【0023】
取付状態において、貫通孔33の一部は、開口部14aの一部と前後方向Xに重なる。取付状態において貫通孔33は、複数のフィルタ貫通孔20aと前後方向Xに重なる。前側から視て、貫通孔33の内縁と複数のフィルタ貫通孔20aが設けられた領域の外形とは、ほぼ一致する。すなわち、前側から視て複数のフィルタ貫通孔20aのほぼすべてが、貫通孔33の内縁の径方向内側に配置される。貫通孔33は、フィルタ20を介して油路10aと繋がる。
【0024】
取付状態においてフィルタ20は、小径凹部42内に挿入される。フィルタ20は、小径凹部42内において小径嵌合部32の後側の端部と小径凹部42の底面42aとの前後方向Xの間に配置される。本実施形態では、フィルタ20の後側の面は、小径凹部42の底面42aに接触する。フィルタ20は、小径嵌合部32と小径凹部42の底面42aとによって前後方向Xに挟持される。フィルタ20は、開口部14aを塞ぐ。
【0025】
図1に示すように、取付状態において、前側から貫通孔33に流入したオイルは、フィルタ20を通り、連絡通路部14を介して油路10aに流入する。オイルがフィルタ20を通過することで、オイル内に含まれる異物を遮ることができるため、油路10a内に異物が侵入することを抑制できる。これにより、異物がソレノイドバルブSVに侵入することを抑制でき、ソレノイドバルブSVが動作不良を起こすことを抑制できる。
【0026】
図5に示すように、まず、取付者は、フィルタ20を凹部40内に挿入する。より詳細には、取付者は、フィルタ20を小径凹部42内に挿入する。取付者は、例えば、フィルタ20の後側の面が小径凹部42の底面42aに接触するまで、フィルタ20を小径凹部42に押し込む。
【0027】
次に、取付者は、嵌合部材30を凹部40に嵌め合わせる。より詳細には、小径嵌合部32を小径凹部42に隙間S1を介して嵌め合わせるとともに、大径嵌合部31を大径凹部41に圧入する。取付者は、小径嵌合部32の後側の端部がフィルタ20の前側の面と接触して小径凹部42の底面42aとの間でフィルタ20を挟持するまで、嵌合部材30を凹部40に押し込む。
【0028】
以上により、嵌合部材30が上部ボディ11に固定され、嵌合部材30によってフィルタ20を前側から押さえることができる。これにより、フィルタ20が凹部40から抜けることが防止され、フィルタ20を上部ボディ11(油路ボディ10)に取り付けることができる。
【0029】
本実施形態によれば、フィルタ20を上部ボディ11とセパレートプレート12との間、あるいは下部ボディ13とセパレートプレート12との間に挟むことなく、フィルタ20を油路ボディ10に取り付けることができる。そのため、上部ボディ11とセパレートプレート12と下部ボディ13との組み立て手順等によらず、フィルタ20の取り付けを容易にできる。また、大径嵌合部31が大径凹部41に圧入されるため、嵌合部材30を油路ボディ10に強固に固定できる。これにより、フィルタ20を強固に油路ボディ10に取り付けることができる。また、小径嵌合部32が小径凹部42に隙間S1を介して嵌め合わされることで嵌合部材30を凹部40に対して径方向に位置決めできる。これにより、嵌合部材30が径方向位置決めされた状態で大径嵌合部31を大径凹部41に圧入することが可能になるため、大径嵌合部31を圧入しやすくできる。
【0030】
また、例えば、フィルタが取り付けられた筒部材を凹部内に挿入した後に、別部材を筒部材の内側に圧入して筒部材を径方向外側に押し広げ、筒部材およびフィルタを油路ボディに取り付ける構成も考えられる。しかし、この場合、筒部材が押し広げられることで、フィルタが筒部材から外れる、またはフィルタ歪む場合がある。フィルタを油路ボディに取り付けるために筒部材と筒部材を押し広げる別部材とが必要となり、部品点数が増加する。
【0031】
これに対して、本実施形態によれば、フィルタ20は、嵌合部材30とは別部材であるため、大径嵌合部31を圧入してもフィルタ20が歪むことはない。また、嵌合部材30を凹部40に嵌め合わせることでフィルタ20を油路ボディ10に取り付けられるため、部品点数を低減できる。
【0032】
また、本実施形態によれば、取付状態において、小径嵌合部32の後側の端部は、フィルタ20の前側の面と接触する。そのため、フィルタ20を小径凹部42の底面42aと小径嵌合部32の前側の端部とで挟持することができる。これにより、フィルタ20が前後方向Xに移動することを抑制でき、フィルタ20を油路ボディ10に対して、より強固に固定できる。また、フィルタ20および嵌合部材30を前後方向Xに位置決めできる。
【0033】
また、本実施形態によれば、小径嵌合部32の前後方向Xの寸法L4は、大径凹部41の前後方向Xの寸法L1よりも大きい。そのため、
図5に示すように、嵌合部材30を凹部40に挿入する際、大径嵌合部31が大径凹部41に圧入されるよりも前に、小径嵌合部32の後端(先端)が大径凹部41を通過して小径凹部42に挿入される。これにより、小径嵌合部32を小径凹部42に嵌め合わせて嵌合部材30を凹部40に対して径方向に位置決めした状態で、大径嵌合部31の大径凹部41に対する圧入を開始することができる。したがって、より大径嵌合部31を大径凹部41に圧入しやすい。
【0034】
また、本実施形態によれば、大径凹部41の前後方向Xの寸法L1は、大径嵌合部31の前後方向Xの寸法L3よりも大きい。そのため、大径嵌合部31の全体を大径凹部41内に圧入することができ、嵌合部材30をより強固に油路ボディ10に固定できる。また、大径嵌合部31の前側の端部を前面11aよりも後側に押し込むことができる。本実施形態では、大径嵌合部31の前側の端部は、前面11aよりも後側に配置される。そのため、大径嵌合部31が前面11aよりも前側に突出することがなく、前面11aに対して他の部材を取り付けやすい。
【0035】
また、本実施形態によれば、小径嵌合部32の前後方向Xの寸法L4とフィルタ20の前後方向Xの寸法L7とを足し合わせた寸法は、小径凹部42の前後方向Xの寸法L2よりも大きい。そのため、取付状態において小径嵌合部32が小径凹部42よりも前側に突出し、大径嵌合部31と大径凹部41の底面41aとの間に隙間S2が設けられる。これにより、小径嵌合部32がフィルタ20に接触する前に大径嵌合部31が大径凹部41の底面41aに接触することがない。したがって、小径嵌合部32をフィルタ20に確実に接触させることができ、フィルタ20を小径嵌合部32と小径凹部42の底面42aとで挟持して固定することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、凹部40の前後方向Xの寸法L5は、嵌合部材30の前後方向Xの寸法L6とフィルタ20の前後方向Xの寸法L7とを足し合わせた寸法よりも大きい。そのため、嵌合部材30の全体とフィルタ20の全体とを凹部40内に収容することができる。また、嵌合部材30の前側の端部を前面11aよりも後側に配置することができる。
【0037】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。小径嵌合部32の後側の端部は、フィルタ20の前側の面と接触しなくてもよい。また、大径嵌合部31は、大径凹部41の底面41aと接触してもよい。また、小径嵌合部32の前後方向Xの寸法L4は、大径凹部41の前後方向Xの寸法L1以下であってもよい。また、大径凹部41の前後方向Xの寸法L1は、大径嵌合部31の前後方向Xの寸法L3以下であってもよい。また、大径嵌合部31の前側の端部は、前後方向Xにおいて前面11aと同じ位置、または前面11aより前側に配置されてもよい。
【0038】
また、小径嵌合部32の前後方向Xの寸法L4とフィルタ20の前後方向Xの寸法L7とを足し合わせた寸法は、小径凹部42の前後方向Xの寸法L2以下であってもよい。また、凹部40の前後方向Xの寸法L5は、嵌合部材30の前後方向Xの寸法L6とフィルタ20の前後方向Xの寸法L7とを足し合わせた寸法以下であってもよい。
【0039】
また、嵌合部材30の形状は、特に限定されず、楕円筒状であってもよいし、角筒状であってもよい。この場合、嵌合部材30の形状に合わせて、凹部40の径方向内側面の形状は、楕円筒状であってもよいし、角筒状であってもよい。
【0040】
また、開口部14aの形状は、特に限定されず、円形状であってもよい。また、油路ボディ10において連絡通路部14は、設けられなくてもよい。この場合、油路10aが直接的に小径凹部42の底面42aに開口する開口部が設けられる。また、フィルタ20は、オイル内の異物を除去できるならば特に限定されない。
【0041】
また、上記実施形態のフィルタ取付構造50が適用される油路ボディ10は、特に限定されず、油圧制御装置のコントロールバルブ以外に用いられる油路ボディであってもよい。
【0042】
なお、上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。