(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、実施形態に従った電池パックの構成例を示す図である。電池パック1は実施形態に従った電池パックの一例である。
図1に示す一例では、電池パック1は、電池11、制御部12、電圧センサ13、及び電流センサ14を含む。
【0009】
電池11は、電池パック1に含まれる二次電池の一例である。電池11は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、又は電気二重層コンデンサ等である。なお、電池パック1に含まれる電池11の数は、1つに限らず、複数であってもよい。
図1に示すように、電池11は、充電時に充電器2に接続される。
【0010】
制御部12は、電池パック1全体の制御を司る。制御部12は、算出部121、判定部122、及び記憶部123を含む。算出部121及び判定部122は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、又はプログラマブルディバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device)等)等により構成される。記憶部123は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成される。
【0011】
算出部121は、充電可能な電池11の満充電容量を算出する。
例えば、算出部121は、電池11の開回路電圧(Open Circuit Voltage(OCV))と充電率との対応関係を示す情報を記憶部123から取得して、電池11の開回路電圧に対応する充電率を求める。具体的には、算出部121は、充電開始時の電池11の開回路電圧OCV
0に対応する充電開始時の電池11の充電率SOC
0を求め、充電終了時の電池11の開回路電圧OCV
1に対応する充電終了時の電池11の充電率SOC
1を求める。なお、電池11の開回路電圧は、電圧センサ13により測定される。
【0012】
また、算出部121は、充電中に電池11に流れる電流を積算することによって、電池11の電流積算量ΔI[Ah]を求める。なお、充電中に電池11に流れる電流は、電流センサ14により検出される。
【0013】
算出部121は、充電開始時の充電率SOC
0、充電終了時の充電率SOC
1、及び電流積算量ΔIから、次の式(1)により電池11の満充電容量を算出する。
【0014】
満充電容量={(ΔI/(SOC
0−SOC
1))×100 ・・・(1)
判定部122は、算出部11により算出された満充電容量が電池11の満充電容量標準劣化推移から所定範囲内にあるか否かに従って、該満充電容量を電池11の満充電容量推定に用いるか否かを判定する。満充電容量標準劣化推移は、電池11が所定温度の環境に置かれ所定充電率で繰り返し充放電された場合に劣化する標準的な満充電容量の劣化推移である。満充電容量標準劣化推移は、電池パック1に含まれる電池11と同様の電池を用いた実験やシミュレーション等により予め求められ得る。実験やシミュレーション等での求め方の一例として、電池温度25[℃]、充電率20〜85[%]で繰り返し充放電して使用すると想定した場合に、使用充放電量[Ah]と、満充電容量[Ah]との関係を示すものを満充電容量標準劣化推移とすることが考えられる。また、電池温度25[℃]、充電率20〜85[%]の充放電を一日に所定回数(例えば4回)繰り返して使用すると想定した場合に、使用経過日数[日]と、満充電容量[Ah]との関係を示すものを満充電容量標準劣化推移とすることも考えられる。
【0015】
算出された満充電容量が満充電容量標準劣化推移から所定範囲内にある場合、判定部122は、算出された満充電容量を電池11の満充電容量推定に用いると判定する。満充電容量を満充電容量推定に用いると判定された場合、算出部121は、満充電容量推定に用いると判定された満充電容量を電池11の今回の(現在の)満充電容量推定値に設定する。或いは、算出部121は、満充電容量推定に用いると判定された満充電容量と前回の満充電容量推定値とを所定の重み付けで加算することで今回の満充電容量推定値を算出する。すなわち、算出部121は、次の式(2)に示すように今回の満充電容量推定値を算出する。
【0016】
今回の満充電容量推定値={前回の満充電容量推定値×(1−α)}+(満充電容量推定に用いると判定された満充電容量×α) ・・・(2)
なお、式(2)においてαは重み付け係数である。
【0017】
一方、算出された満充電容量が満充電容量標準劣化推移から所定範囲外にある場合、判定部122は、算出された満充電容量を電池11の満充電容量推定に用いないと判定する。満充電容量を満充電容量推定に用いないと判定された場合、算出部121は、前回の満充電容量推定値を今回の満充電容量推定値に設定する。
【0018】
このように、算出された満充電容量が満充電容量標準劣化推移から所定範囲内にある場合には、満充電容量の算出精度は高いと判定され、該満充電容量は電池11の満充電容量推定に用いられる。一方、算出された満充電容量が満充電容量標準劣化推移から所定範囲外にある場合には、満充電容量の算出精度は低いと判定され、該満充電容量は電池11の満充電容量推定に用いられない。したがって、実施形態に従った電池パックによれば、電池の満充電容量推定値を精度よく算出することができる。
【0019】
以下において、算出された満充電容量が電池11の満充電容量標準劣化推移から所定範囲内にあるか否かに従って該満充電容量を電池11の満充電容量推定に用いるか否かを判定する方法の具体例を説明する。
<実施例1>
図2は、満充電容量標準劣化推移及び所定範囲の一例を示す図である。
【0020】
図2に示した一例では、電池11が所定温度の環境に置かれ所定充電率で繰り返し充放電された場合に使用経過日数の増加と共に低下する満充電容量の推移が満充電容量標準劣化推移として表されている。電池11の使用経過日数とは、電池11の使用が開始されてからの経過日数を指す。なお、以下の説明では、電池パック1に含まれる電池11の実際の使用経過日数と区別するために、満充電容量標準劣化推移における使用経過日数を標準使用経過日数と便宜的に呼ぶことがある。また、算出部11により算出された満充電容量と区別するために、満充電容量標準劣化推移における満充電容量を標準満充電容量と便宜的に呼ぶことがある。
【0021】
また、
図2に示した一例では、満充電容量標準劣化推移での標準満充電容量よりも約5%高い使用許容上限と、満充電容量標準劣化推移での標準満充電容量よりも約5%低い使用許容下限との間が所定範囲として表されている。すなわち、当該標準使用経過日数に対応する標準満充電容量から上下約5%以内が所定範囲として表されている。なお、所定範囲は、
図2に示した一例に限らず、標準満充電容量から任意の乖離率で設定されてよい。また、所定範囲は、当該標準満充電容量に対応する標準使用経過日数から前後所定の乖離率の範囲によって表されてもよい。
【0022】
記憶部123は、
図2(A)に示したような関数で表される満充電容量標準劣化推移及び所定範囲を記憶してもよい。また、記憶部123は、
図2(B)に示したようなテーブルで表される満充電容量標準劣化推移及び所定範囲を記憶してもよい。判定部122は、記憶部123に記憶された満充電容量標準劣化推移及び所定範囲を用いて以下のような判定を行う。
【0023】
判定部122は、満充電容量標準劣化推移において電池11の使用経過日数に対応する標準満充電容量を求める。そして、判定部122は、求めた標準満充電容量から所定範囲内に算出部121により算出された満充電容量がある場合に、該満充電容量を満充電容量推定に用いると判定する。電池11の使用経過日数は、電池11に通電され電池11が初めて充電された時からの日数を判定部122がカウントすることにより取得されてもよい。
【0024】
例えば、電池11の使用経過日数が1900日である場合、
図2(A)の矢印Aで示される所定範囲内に、算出部121により算出された満充電容量があれば、判定部122は該満充電容量を満充電容量推定に用いると判定する。一方、矢印Aで示される所定範囲外に、算出部121により算出された満充電容量があれば、判定部122は該満充電容量を満充電容量推定に用いないと判定する。
【0025】
或いは、判定部122は、満充電容量標準劣化推移において、算出部121により算出された満充電容量に対応する標準使用経過日数を求める。そして、判定部122は、求めた標準使用経過日数から所定範囲内に電池11の使用経過日数がある場合に、算出部121により算出された満充電容量を満充電容量推定に用いると判定する。
【0026】
例えば、算出部121により算出された満充電容量が35Ahである場合、
図2(A)の矢印Bで示される所定範囲内に電池11の使用経過日数があれば、判定部122は、算出部121により算出された満充電容量を満充電容量推定に用いると判定する。一方、矢印Bで示される所定範囲外に電池11の使用経過日数があれば、判定部122は、算出部121により算出された満充電容量を満充電容量推定に用いないと判定する。
【0027】
上述したような判定により、算出された満充電容量が満充電容量標準劣化推移から所定範囲内にある場合には、満充電容量の算出精度は高いと判定され、該満充電容量は電池11の満充電容量推定に用いられる。一方、算出された満充電容量が満充電容量標準劣化推移から所定範囲外にある場合には、満充電容量の算出精度は低いと判定され、該満充電容量は電池11の満充電容量推定に用いられない。したがって、実施形態に従った電池パックによれば、電池の満充電容量推定値を精度よく算出することができる。
【0028】
なお、
図2に示す一例と異なり、或いは
図2に示す一例に加えて、電池11が所定温度の環境に置かれ所定充電率で繰り返し充放電された場合に電池11の使用充放電量の増加と共に低下する満充電容量の推移が満充電容量標準劣化推移として表されてもよい。こうした満充電容量標準劣化推移では、例えば、
図2(A)に示すようなグラフの横軸は、使用経過日数に代えて使用充放電量になる。電池11の使用充放電量とは、電池11の使用が開始されてからの充放電積算量を指す。以下の説明では、電池11の実際の使用充放電量と区別するために、満充電容量標準劣化推移における使用充放電量を標準使用充放電量と便宜的に呼ぶことがある。
【0029】
また、
図2に示した一例と異なり、或いは
図2に示す一例に加えて、当該使用充放電量に対応する標準満充電容量から上下所定の乖離率(例えば、5%)以内が所定範囲として表されてもよい。また、所定範囲は、当該標準満充電容量に対応する標準使用充放電量から前後所定の乖離率の範囲によって表されてもよい。
【0030】
判定部122は、上述のような満充電容量標準劣化推移及び所定範囲を用いて以下のような判定を行ってもよい。
判定部122は、満充電容量標準劣化推移において電池11の使用充放電量に対応する標準満充電容量を求める。そして、求めた標準満充電容量から所定範囲内に、算出部121により算出された満充電容量がある場合に、判定部122は該満充電容量を満充電容量推定に用いると判定する。電池11の使用充放電量は、電池11が初めて充電された時から電池11に充放電される電流値の積算量を判定部122が加算することにより取得されてもよい。電池11に充放電される電流値は、電流センサ14により測定されてもよい。
【0031】
或いは、判定部122は、満充電容量標準劣化推移において、算出部121により算出された満充電容量に対応する標準使用充放電量を求める。そして、求めた標準使用充放電量から所定範囲内に電池11の使用充放電量がある場合に、判定部122は、算出部121により算出された満充電容量を満充電容量推定に用いると判定する。
【0032】
図2に示した一例とは異なる上述のような判定においても、算出された満充電容量が満充電容量標準劣化推移から所定範囲内にある場合には、満充電容量の算出精度は高いと判定され、該満充電容量は電池11の満充電容量推定に用いられる。一方、算出された満充電容量が満充電容量標準劣化推移から所定範囲外にある場合には、満充電容量の算出精度は低いと判定され、該満充電容量は電池11の満充電容量推定に用いられない。したがって、実施形態に従った電池パックによれば、電池の満充電容量推定値を精度よく算出することができる。
【0033】
<実施例2>
図3は、満充電容量差と経過日数差又は充放電量差との例示的な関係を示す図である。具体的には、
図3(A)は、満充電容量差と経過日数差との例示的な関係を示すテーブルであり、
図3(B)は、満充電容量差と充放電量差との例示的な関係を示すテーブルである。
図3(A)に示すような満充電容量差と経過日数差との関係は、例えば、
図2に示すような満充電容量標準劣化推移から算出されてもよい。同様に、
図3(B)に示すような満充電容量差と充放電量差と関係は、満充電容量標準劣化推移から算出されてもよい。
【0034】
満充電容量差とは、第1の時点での満充電容量と、第1の時点よりも後の第2の時点での満充電容量との容量差を指す。以下の説明では、算出部11により算出された満充電容量差と区別するために、満充電容量標準劣化推移における満充電容量差を標準満充電容量差と便宜的に呼ぶことがある。
【0035】
経過日数差とは、満充電容量が算出された第1の時点と、第1の時点よりも後に満充電容量が算出された第2の時点との日数差を指す。以下の説明では、電池パック1に含まれる電池11の実際の経過日数差と区別するために、満充電容量標準劣化推移における経過日数差を標準経過日数差と便宜的に呼ぶことがある。
【0036】
充放電量差とは、第1の時点での電池11の使用充放電量と、第1の時点よりも後の第2の時点での電池11の使用充放電量との充放電量差を指す。以下の説明では、電池11の実際の充放電量差と区別するために、満充電容量標準劣化推移における充放電量差を標準充放電量差と便宜的に呼ぶことがある。
【0037】
記憶部123は、
図3(A)及び(B)に示したようなテーブルの内の少なくとも一方を記憶してもよい。また、記憶部123は、満充電容量差と経過日数差との関係が表された関数、及び満充電容量差と充放電量差との関係が表された関数の内の少なくとも一方を記憶してもよい。
【0038】
判定部122は、満充電容量差と経過日数差との関係(例えば、
図3(A))を用いて以下のような判定を行う。
判定部122は、第1の時点で算出された満充電容量と第2の時点で算出された満充電容量との容量差を求める。そして、求めた容量差が、第1の時点と第2の時点との経過日数差に対応する標準満充電容量差以内にある場合に、判定部122は、第2の時点で算出された満充電容量を満充電容量推定に用いると判定する。
【0039】
例えば、算出部121により第1の時点で算出された満充電容量が42Ahであり、算出部121により第2の時点1900日で算出された満充電容量が35Ahである場合、判定部122は容量差7Ah(42Ah−35Ah)を求める。また、判定部122は、第1の時点と第2の時点との経過日数差を求める。判定部122は、
図3(A)に示すテーブルを用いて次のように判定する。
【0040】
すなわち、例えば、第1の時点が800日である場合には、求めた容量差7Ahは、求めた経過日数差1100日(1900日−800日)に対応する標準満充電容量差7Ah以内にある。そこで、判定部122は、第2の時点で算出された満充電容量35Ahを満充電容量推定に用いると判定する。一方、例えば、第1の時点が1535日である場合には、求めた容量差7Ahは、求めた経過日数差365日(1900日−1535日)に対応する標準満充電容量差3Ahを超える。そこで、判定部122は、第2の時点で算出された満充電容量35Ahを満充電容量推定に用いないと判定する。
【0041】
或いは、判定部122は、満充電容量が算出された第1の時点と第1の時点よりも後に満充電容量が算出された第2の時点との経過日数差を求める。そして、求めた経過日数差が、第1の時点で算出された満充電容量と第2の時点で算出された満充電容量との容量差に対応する標準経過日数差以上にある場合に、判定部122は、第2の時点で算出された満充電容量を満充電容量推定に用いると判定する。
【0042】
例えば、第1の時点が365日であり、第2の時点が1900日である場合、判定部122は経過日数差1535日(1900日−365日)を求める。また、判定部122は、第1の時点で算出された満充電容量と第2の時点で算出された満充電容量35Ahとの容量差を求める。判定部122は、
図3(A)に示すテーブルを用いて次のように判定する。
【0043】
すなわち、例えば、第1の時点で算出された満充電容量が42Ahである場合には、求めた経過日数差1535日は、求めた容量差7Ah(42Ah−35Ah)に対応する標準経過日数差1100日以上にある。そこで、判定部122は、第2の時点で算出された満充電容量36Ahを満充電容量推定に用いると判定する。一方、例えば、第1の時点で算出された満充電容量が45Ahである場合には、求めた経過日数差1535日は、求めた容量差10Ah(45Ah−35Ah)に対応する標準経過日数差1900日未満にある。そこで、判定部122は、第2の時点で算出された満充電容量35Ahを満充電容量推定に用いないと判定する。
【0044】
上述したような判定により、算出された満充電容量が満充電容量標準劣化推移から所定範囲内にある場合には、満充電容量の算出精度は高いと判定され、該満充電容量は電池11の満充電容量推定に用いられる。一方、算出された満充電容量が満充電容量標準劣化推移から所定範囲外にある場合には、満充電容量の算出精度は低いと判定され、該満充電容量は電池11の満充電容量推定に用いられない。したがって、実施形態に従った電池パックによれば、電池の満充電容量推定値を精度よく算出することができる。
【0045】
また、判定部122は、満充電容量差と充放電量差との関係(例えば、
図3(B))を用いて以下のような判定を行う。
判定部122は、第1の時点で算出された満充電容量と第2の時点で算出された満充電容量との容量差を求める。そして、求めた容量差が、第1の時点での電池11の使用充放電量と第2の時点での電池11の使用充放電量との充放電量差に対応する標準満充電容量差以内にある場合に、判定部122は、第2の時点で算出された満充電容量を満充電容量推定に用いると判定する。
【0046】
例えば、算出部121により第1の時点で算出された満充電容量が42Ahであり、算出部121により第2の時点で算出された満充電容量が35Ahである場合、判定部122は容量差7Ah(42Ah−35Ah)を求める。また、判定部122は、第1の時点での使用充放電量と第2の時点での使用充放電量38000Ahとの充放電量差を求める。判定部122は、
図3(B)に示すテーブルを用いて次のように判定する。
【0047】
すなわち、例えば、第1の時点での使用充放電量が16000Ahである場合には、求めた容量差7Ahは、求めた充放電量差22000Ah(38000Ah−16000Ah)に対応する標準満充電容量差7Ah以内にある。そこで、判定部122は、第2の時点で算出された満充電容量35Ahを満充電容量推定に用いると判定する。一方、例えば、第1の時点での使用充放電量が30700Ahである場合には、求めた容量差7Ahは、求めた充放電量差7300Ah(38000Ah−30700Ah)に対応する標準満充電容量差3Ahを超える。そこで、判定部122は、第2の時点で算出された満充電容量35Ahを満充電容量推定に用いないと判定する。
【0048】
或いは、判定部122は、満充電容量が算出された第1の時点での電池11の使用充放電量と第1の時点よりも後に満充電容量が算出された第2の時点での使用充放電量との充放電量差を求める。そして、求めた充放電量差が、第1の時点で算出された満充電容量と第2の時点で算出された満充電容量との容量差に対応する標準充放電量差以上にある場合に、判定部122は、第2の時点で算出された満充電容量を満充電容量推定に用いると判定する。
【0049】
例えば、第1の時点での使用充放電量が7300Ahであり、第2の時点での使用充放電量が38000Ahである場合、判定部122は充放電量差30700Ah(38000Ah−7300Ah)を求める。また、判定部122は、第1の時点で算出された満充電容量と第2の時点で算出された満充電容量35Ahとの容量差を求める。判定部122は、
図3(B)に示すテーブルを用いて次のように判定する。
【0050】
すなわち、例えば、第1の時点で算出された満充電容量が42Ahである場合には、求めた充放電量差30700Ahは、求めた容量差7Ah(42Ah−35Ah)に対応する標準経過日数差22000Ah以上にある。そこで、判定部122は、第2の時点で算出された満充電容量36Ahを満充電容量推定に用いると判定する。一方、例えば、第1の時点で算出された満充電容量が45Ahである場合には、求めた充放電量差30700Ahは、求めた容量差10Ah(45Ah−35Ah)に対応する充放電量差38000Ah未満にある。そこで、判定部122は、第2の時点で算出された満充電容量35Ahを満充電容量推定に用いないと判定する。
【0051】
上述したような判定により、算出された満充電容量が満充電容量標準劣化推移から所定範囲内にある場合には、満充電容量の算出精度は高いと判定され、該満充電容量は電池11の満充電容量推定に用いられる。一方、算出された満充電容量が満充電容量標準劣化推移から所定範囲外にある場合には、満充電容量の算出精度は低いと判定され、該満充電容量は電池11の満充電容量推定に用いられない。したがって、実施形態に従った電池パックによれば、電池の満充電容量推定値を精度よく算出することができる。
【0052】
本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
例えば、満充電容量標準劣化推移や、満充電容量差と経過日数差又は充放電量差との関係は、電池11の実際の温度に応じて補正されてもよい。具体的には、満充電容量標準劣化推移における所定温度よりも電池11の実際の温度が高い場合には、電池11の満充電容量の劣化はより早く進む。そこで、所定温度における満充電容量標準劣化推移よりも早く標準満電容量が低下するように、満充電容量標準劣化推移は補正されてもよい。そして、満充電容量標準劣化推移の補正に応じて、満充電容量差と経過日数差又は充放電量差との関係も補正されてもよい。
【0053】
また、例えば、実施形態に従った電池パックは、上述した実施例1及び実施例2を組み合わせて実施するように構成されてもよい。