(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862858
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】油路構造
(51)【国際特許分類】
F01M 1/06 20060101AFI20210412BHJP
F01M 1/08 20060101ALI20210412BHJP
F01M 1/02 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
F01M1/06 D
F01M1/08 B
F01M1/06 K
F01M1/02 A
F01M1/06 Z
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-14654(P2017-14654)
(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-123708(P2018-123708A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 利成
【審査官】
家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−002940(JP,A)
【文献】
特開2016−050501(JP,A)
【文献】
米国特許第04204487(US,A)
【文献】
特開2000−045740(JP,A)
【文献】
特開2011−140909(JP,A)
【文献】
実開平04−082306(JP,U)
【文献】
特開平10−196337(JP,A)
【文献】
特開2013−189935(JP,A)
【文献】
韓国登録特許第10−0747164(KR,B1)
【文献】
実開昭59−127806(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダブロックに形成された、メインギャラリ、サブギャラリ、および、前記メインギャラリと前記サブギャラリとを連結する第1連結油路を備えた油路構造であって、
前記シリンダブロックに取り付けられるフロントカバーに形成された、前記メインギャラリと前記サブギャラリとを連結する第2連結油路を備え、
前記メインギャラリおよび前記サブギャラリは、いずれも気筒列方向のそれぞれの側面に沿って延びる油路であり、
前記メインギャラリは、シリンダヘッドにオイルを供給するシリンダヘッド油路を備える、
油路構造。
【請求項2】
前記第1連結油路は、
前記シリンダブロックに形成された複数のシリンダボアのうち前記フロントカバーに最も近いシリンダボアの外側にある肉厚部に形成されている、
請求項1に記載の油路構造。
【請求項3】
前記サブギャラリは、
オイルポンプからのオイルが流入する開口部を、前記第1連結油路の近傍に備える、
請求項1または2に記載の油路構造。
【請求項4】
前記メインギャラリは、
複数のジャーナルのそれぞれにオイルを供給する複数のジャーナル供給油路を備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の油路構造。
【請求項5】
前記メインギャラリは、
シリンダヘッドにオイルを供給するシリンダヘッド供給油路を備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の油路構造。
【請求項6】
前記サブギャラリは、
複数のオイルジェットのそれぞれにオイルを供給する複数のオイルジェット供給油路を備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の油路構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、複数の油路を備えた油路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるエンジンのシリンダブロックにメインギャラリおよびサブギャラリを含む複数の油路が形成された油路構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−169709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した油路構造では、シリンダボアの外側の肉厚部に形成され、サブギャラリとメインギャラリとを連結する油路(以下、連結油路という)を介して、サブギャラリからメインギャラリへオイルが供給される。
【0005】
サブギャラリからメインギャラリへは充分な量のオイルが供給される必要があるため、連結油路の断面積を拡大することで、オイルの供給量を増やすことが考えられる。
【0006】
しかしながら、肉厚部の厚みには限りがあるため、連結油路の断面積を拡大することは難しく、メインギャラリへのオイルの供給量を増やすことはできなかった。
【0007】
本発明の目的は、メインギャラリへのオイルの供給量を増やすことができる油路構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の油路構造は、シリンダブロックに形成された、メインギャラリ、サブギャラリ、および、前記メインギャラリと前記サブギャラリとを連結する第1連結油路を備えた油路構造であって、前記シリンダブロックに取り付けられるフロントカバーに形成された、前記メインギャラリと前記サブギャラリとを連結する第2連結油路を備
え、前記メインギャラリおよび前記サブギャラリは、いずれも気筒列方向のそれぞれの側面に沿って延びる油路であり、前記メインギャラリは、シリンダヘッドにオイルを供給するシリンダヘッド油路を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サブギャラリからメインギャラリへのオイルの供給量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る油路構造、シリンダブロック、およびフロントカバーを示す斜視図
【
図2】本発明の実施の形態に係る油路構造を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
まず、本発明の実施の形態に係る油路構造100の構成について、
図1および
図2を用いて説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る油路構造100、シリンダブロック5、およびフロントカバー7を示す斜視図である。
図2は、
図1に示した油路構造100のみを示した図である。
【0014】
図1および
図2に示す油路構造100は、図示しない車両に搭載される。油路構造100は、少なくとも、メインギャラリ1、サブギャラリ2、第1連結油路3、および第2連結油路4を備える。
【0015】
メインギャラリ1およびサブギャラリ2は、気筒列方向(図中の両矢印が示す方向)に沿って、エンジン(図示略)のシリンダブロック5に形成されている。気筒列方向とは、複数のシリンダボア(気筒ともいう)6が並んでいる方向である。気筒列方向を示す両矢印において、Fは「前方」を意味し、Rは「後方」を意味する。
【0016】
第1連結油路3は、エンジン(図示略)のシリンダブロック5に形成されており、メインギャラリ1とサブギャラリ2とを連結している。第1連結油路3は、気筒列方向の最も前方にある(換言すれば、フロントカバー7に最も近い)シリンダボア6の外側(フロントカバー7側)にある肉厚部(図示略)に形成されている。フロントカバー7は、シリンダブロック5の前方に取り付けられている。
【0017】
第2連結油路4は、第1連結油路3とは別体の油路である。第2連結油路4は、フロントカバー7に形成されており、メインギャラリ1とサブギャラリ2とを連結している。
【0018】
メインギャラリ1は、複数のジャーナル(図示略)のそれぞれにオイルを供給する複数のジャーナル供給油路8を備える。
【0019】
また、メインギャラリ1は、シリンダヘッド(図示略)にオイルを供給するシリンダヘッド供給油路9を備える。
【0020】
サブギャラリ2には、オイルポンプ(図示略)からのオイルが流入する開口部10が、第1連結油路3の近傍に形成されている。図示は省略するが、開口部10は、オイルポンプからのオイルが流れる油路と接続される。
【0021】
また、サブギャラリ2は、複数のオイルジェット(図示略)のそれぞれにオイルを供給する複数のオイルジェット供給油路11を備える。
【0022】
以上、本実施の形態に係る油路構造100の構成について説明した。
【0023】
次に、油路構造100におけるオイルの流れについて、
図2を用いて説明する。
図2に示す各矢印(気筒列方向を示す両矢印を除く)は、オイルの流れを示している。
【0024】
まず、オイルパン(図示略)に貯留されているオイルが、オイルポンプにより汲み上げられる。このオイルは、オイルクーラ(図示略)およびオイルフィルタ(図示略)を通過し、開口部10からサブギャラリ2へ流入する。
【0025】
サブギャラリ2へ流入したオイルは、気筒列方向の前方と後方とに分岐する。
【0026】
開口部10から後方へ分岐したオイルは、サブギャラリ2を後方に向かって流れる際、各オイルジェット供給油路11へ流入するものと、サブギャラリ2をさらに後方へ流れるものとに分岐する。
【0027】
各オイルジェット供給油路11へ流入したオイルは、各オイルジェットへ供給される。
【0028】
一方、いずれのオイルジェット供給油路11にも流入せずにサブギャラリ2を後方へ流れ続けたオイルは、最終的に、アイドルギア(図示略)へ供給される。
【0029】
開口部10から前方へ分岐したオイルは、第1連結油路3と第2連結油路4のそれぞれに分岐して流入し、メインギャラリ1へ流入した後に合流する。
【0030】
合流後のこのオイルは、メインギャラリ1を後方に向かって流れる際、各ジャーナル供給油路8へ流入するものと、メインギャラリ1をさらに後方へ流れるものとに分岐する。
【0031】
各ジャーナル供給油路8へ流入したオイルは、各ジャーナルへ供給される。
【0032】
一方、いずれのジャーナル供給油路8にも流入せずにメインギャラリ1を後方へ流れ続けたオイルは、シリンダヘッド供給油路9へ流入する。
【0033】
シリンダヘッド供給油路9へ流入したオイルは、シリンダヘッドへ供給される。
【0034】
なお、図示は省略するが、シリンダヘッド供給油路9の途中にアイドルギア供給油路を設けることで、メインギャラリ1からシリンダヘッド供給油路9へ流入したオイルが、シリンダヘッドだけでなく、アイドルギアにも供給されるようにしてもよい。
【0035】
以上、油路構造100におけるオイルの流れについて説明した。
【0036】
詳述したように、本実施の形態の油路構造100によれば、シリンダブロック5に形成された第1連結油路3に加えて、シリンダブロック5に取り付けられるフロントカバー7に形成された、メインギャラリ1とサブギャラリ2とを連結する第2連結油路4を備えることを特徴とする。
【0037】
この特徴により、本実施の形態の油路構造100は、シリンダブロック5における肉厚部の厚みに関係なく、連結油路の断面積を拡大することができるので、メインギャラリへのオイルの供給量および油圧を増やすことができる。その結果、各ジャーナルへのオイル供給量を増やすことができる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0039】
<本開示のまとめ>
本発明の油路構造は、シリンダブロックに形成された、メインギャラリ、サブギャラリ、および、前記メインギャラリと前記サブギャラリとを連結する第1連結油路を備えた油路構造であって、前記シリンダブロックに取り付けられるフロントカバーに形成された、前記メインギャラリと前記サブギャラリとを連結する第2連結油路を備
え、前記メインギャラリおよび前記サブギャラリは、いずれも気筒列方向のそれぞれの側面に沿って延びる油路であり、前記メインギャラリは、シリンダヘッドにオイルを供給するシリンダヘッド油路を備える。
【0040】
なお、上記油路構造において、前記第1連結油路は、前記シリンダブロックに形成された複数のシリンダボアのうち前記フロントカバーに最も近いシリンダボアの外側にある肉厚部に形成されていてもよい。
【0041】
また、上記油路構造において、前記サブギャラリは、オイルポンプからのオイルが流入する開口部を、前記第1連結油路の近傍に備えてもよい。
【0042】
また、上記油路構造において、前記メインギャラリは、複数のジャーナルのそれぞれにオイルを供給する複数のジャーナル供給油路を備えてもよい。
【0043】
また、上記油路構造において、前記メインギャラリは、シリンダヘッドにオイルを供給するシリンダヘッド供給油路を備えてもよい。
【0044】
また、上記油路構造において、前記サブギャラリは、複数のオイルジェットのそれぞれにオイルを供給する複数のオイルジェット供給油路を備えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、車両に搭載され、複数の油路を備えた油路構造に適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 メインギャラリ
2 サブギャラリ
3 第1連結油路
4 第2連結油路
5 シリンダブロック
6 シリンダボア
7 フロントカバー
8 ジャーナル供給油路
9 シリンダヘッド供給油路
10 開口部
11 オイルジェット供給油路
100 油路構造