(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0009】
[実施形態1]
図1〜
図3を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。先ず、
図1を参照して、本実施の形態の運動評価システム1を説明する。
図1は、本実施の形態の運動評価システム1を示すブロック図である。
【0010】
運動評価システム1は、運動評価装置10と、測定装置20と、撮像装置30と、を備える。
【0011】
運動評価装置10は、被測定者に装着された測定装置20からモーションデータを取得して運動解析を行うとともに、撮像装置30からこの被測定者のランニング動作に係る画像データを取得して、時間経過毎の被測定者の複数の画像を経過時間に沿って並べた、多重露光状の合成画像を生成する。そして、運動評価装置10は、ユーザの指示に応じて、上記解析結果と上記合成画像とを対応付けて表示する。
【0012】
測定装置20は、
図2に示すように、例えば被測定者の腰の位置に装着され、この被測定者がランニングを行ったときの3軸方向の加速度及び角速度を測定する。ここで、左右方向をX軸とし、前後方向をY軸とし、上下方向をZ軸とする。X軸においては左手方向を正、右手方向を負とする。Y軸においては進行方向逆向きを正とし、進行方向を負とする。Z軸においては上方向を正、下方向を負とする。
【0013】
撮像装置30は、測定装置20を装着した被測定者のランニング動作を撮影するためのデジタルカメラである。
【0014】
次いで、
図3(a)を参照して、運動評価装置10の内部の機能構成を説明する。
図3(a)は、運動評価装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0015】
図3(a)に示すように、運動評価装置10は、生成部、運動解析部、表示制御部、第1の指定部、第2の指定部としてのCPU(Central Processing Unit)11と、操作部
12と、RAM(Random Access Memory)13と、表示部14と、記憶部15と、通信部16と、を備える。運動評価装置10の各部は、バス17を介して接続されている。
【0016】
CPU11は、運動評価装置10の各部を制御する。CPU11は、記憶部15に記憶されているシステムプログラム及びアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出してRAM13に展開し、当該プログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0017】
操作部12は、キーボード等のキー入力部と、マウス等のポインティングデバイスとを有し、キー入力及び位置入力を受け付け、その操作情報をCPU11に出力する。
【0018】
RAM13は、揮発性のメモリであり、各種のデータやプログラムを一時的に格納するワークエリアを形成する。表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ等で構成され、CPU11から指示された表示情報に
従い各種表示を行う。
【0019】
記憶部15は、HDD(Hard Disk Drive)等により構成され、データ及びプログラム
を書き込み及び読み出し可能な記憶部である。特に、記憶部15は、運動評価プログラム151を記憶している。
【0020】
通信部16は、被測定者に装着された測定装置20からモーションデータを受信するとともに、撮像装置30からこの被測定者のランニング動作に係る画像データを受信するものであり、例えば、USB端子などの有線式の通信部や、WiFiなどの無線LAN規格を採用した通信部である。
【0021】
次いで、
図3(b)を参照して、測定装置20の機能構成を説明する。
図3(b)は、測定装置20の機能構成を示すブロック図である。
【0022】
測定装置20は、CPU21と、操作部22と、RAM23と、加速度センサ24と、ジャイロセンサ25と、記憶部26と、通信部27と、を備える。測定装置20の各部は、バス28を介して接続されている。
【0023】
CPU21及びRAM23は、運動評価装置10のCPU11、RAM13と同様であるため、重複する説明を省略し、異なる部分を主として説明する。
【0024】
CPU21は、測定装置20の各部を制御する。また、CPU21は、加速度センサ24から出力される各軸の加速度の検出データ(モーションデータ)を記憶部26に記憶する。また、CPU21は、ジャイロセンサ25から出力される各軸を中心とする角速度の検出データ(モーションデータ)を記憶部26に記憶する。
【0025】
操作部22は、電源のON/OFFを切り替える電源ボタン(図示省略)、データ取得の開始/停止を指示する開始/停止ボタン(図示省略)等を備えており、この操作部22からの指示に基づいてCPU21は各部を制御するようになっている。
【0026】
加速度センサ24は、互いに直交する3軸方向の加速度データを検出する。そして、加速度センサ24は、検出された各軸の加速度データをCPU21に出力する。
ジャイロセンサ25は、互いに直交する3軸方向を中心とする角速度データを検出する。そして、ジャイロセンサ25は、検出された各軸を中心とする角速度データをCPU21に出力する。各軸の加速度データ及び各軸を中心とする角速度データは、所定のサンプリング周期(例えば、200Hz)でサンプリングされているものとする。
【0027】
記憶部26は、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等により構成され、データ及びプログラムを書き込み及び読み出し可能な記憶部である。
【0028】
通信部27は、記憶部26に記憶した各軸の加速度データ及び各軸を中心とする角速度データをCPU21による制御に基づいて運動評価装置10に出力するものであり、例えば、USB端子などの有線式の通信部や、WiFiなどの無線LAN規格を採用した通信部である。
【0029】
次いで、
図3(c)を参照して、撮像装置30の機能構成を説明する。
図3(c)は、撮像装置30の機能構成を示すブロック図である。
【0030】
撮像装置30は、CPU31と、操作部32と、RAM33と、撮像部34と、表示部35と、記憶部36と、通信部37と、を備える。撮像装置30の各部は、バス38を介して接続されている。
【0031】
CPU31及びRAM33は、運動評価装置10のCPU11、RAM13と同様であるため、重複する説明を省略し、異なる部分を主として説明する。
【0032】
CPU31は、撮像装置30の各部を制御する。また、CPU31は、撮像部34により撮影された被写体(測定装置20を装着した被測定者)の画像データを記憶部36に記憶する。
【0033】
操作部32は、例えば、シャッタキー、動作モードや機能等の選択指示に係る上下左右のカーソルボタン、決定ボタン等を備えている。CPU31は、操作部32からの指示に基づいて撮像装置30の各部を制御する。なお、操作部32は、表示部35と一体となって設けられたタッチパネル(図示略)を有して構成されていても良い。
【0034】
撮像部34は、所定のフレームレート(例えば、200fps)で動画像を撮影する機能を有しており、例えば、測定装置20を装着した被測定者の一連のランニング動作(少なくとも、一方の足が接地した状態から再度この一方の足が接地した状態となるまでの期間のランニング動作)を撮影する。
【0035】
表示部35は、記憶部36から読み出され復号された所定サイズの画像を表示領域内に表示する。表示部35は、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネルなどが挙げられるが、一例であってこれらに限られるものではない。
【0036】
記憶部36は、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等により構成され、データ及びプログラムを書き込み及び読み出し可能な記憶部である。
【0037】
通信部37は、記憶部36に記憶した画像データをCPU31による制御に基づいて運動評価装置10に出力するものであり、例えば、USB端子などの有線式の通信部や、WiFiなどの無線LAN規格を採用した通信部である。
【0038】
次に、
図4を参照して、運動評価装置10で実行される運動評価処理を説明する。運動評価装置10において、操作部12を介して、ユーザから運動評価処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、CPU11は、記憶部15から読み出して適宜RAM13に展開した運動評価プログラム151との協働で、運動評価処理を実行する。
なお、この運動評価処理では、処理の実行前に、モーションデータと画像データが記憶部15に既に記憶されている場合を例示して説明する。
【0039】
先ず、CPU11は、ユーザによる操作部12の操作によって指定された所望のモーションデータ(各軸の加速度データ、及び、各軸を中心とする角速度データ)を記憶部15から読み出す(ステップS1)。
【0040】
次いで、CPU11は、各軸の加速度データ、及び、各軸を中心とする角速度データについて、軸補正処理を行う(ステップS2)。つまり、CPU11は、これらのモーションデータを、ランニング動作に対して不変なワールド座標軸を基準とするデータに変換し、当該データ(以下、補正データという)をRAM13に記憶する。ここで、ワールド座標軸とは、
図6(a)に示すように、Z軸(Zw)が重力方向と一致し、Y軸(Yw)がランニングの進行方向と逆の方向と一致し、X軸(Xw)がZ軸とY軸に垂直な方向と一致する座標軸である。上記のように、モーションデータを、ワールド座標軸を基準とするデータに変換する理由は、測定装置20が被測定者の腰の位置に装着された状態では、
図6(b),(c)に示すように、ランニング中の姿勢変化によって、Y軸(Ys)やZ軸(Zs)の方向が変化してしまうことにある。具体的な変換方法としては、例えば、カルマンフィルタを用いて地軸方向を推定し、推定された地軸方向とZ軸方向とが一致するように各軸を回転させることにより、モーションデータを、ワールド座標軸を基準とするデータに変換する方法や、Z軸の加速度データに基づき当該加速度を平均した方向を地軸方向と推定し、推定された地軸方向とZ軸方向とが一致するように各軸を回転させることにより、モーションデータを、ワールド座標軸を基準とするデータに変換する方法が挙げられる。
【0041】
次いで、CPU11は、RAM13に記憶された補正データに基づき、足が地面に接地した接地位置を推定する(ステップS3)。具体的には、先ず、CPU11は、補正データのうち、Z軸の加速度データを用いて、接地位置の検索開始位置を特定する。
図6(d)の上段は、Z軸の加速度データ(AccZ)の波形を示すグラフである。個人差により、また、ランニングの速度により、AccZの波形はさまざまな形状を示すが、接地後にその接地の衝撃で鉛直上向き(プラス方向)に値が大きく振れるため、1歩ごとに山なりの波形となる。CPU11は、Z軸の加速度データ(AccZ)に対して移動平均等の平滑化フィルタをかけることにより、
図6(d)の下段に示すように、平滑化処理後のZ軸の加速度データ(FAccZ)の波形を導出し、当該波形の極大値を示す位置(接地位置から一定時間が経過した位置)を接地位置推定の検索開始位置とする。
【0042】
続けて、CPU11は、
図6(e)に示すように、上記検索開始位置から時間軸を遡る方向に、Y軸の加速度データ(AccY)の波形を一定時間分だけ走査し、極大値を検出する。足が接地した場合、進行方向後ろ向き(Y軸プラス方向)にブレーキがかかり、AccYの値が大きく振れるため、検出された極大値の位置を接地基準位置とする。接地基準位置は、ブレーキのピーク位置であり、実際の接地から数ミリ秒経過後に発生するため、CPU11は、接地基準位置から数ミリ秒手前の位置を接地位置として推定する。
【0043】
次いで、CPU11は、ランニング周期の始まりを決定する(ステップS4)。具体的には、CPU11は、補正データのうち、Y軸を中心とする角速度データを用いて、ステップS3で推定された接地位置が左右どちらの足による接地であるかを判定する。
図7は、ランニング中の各軸を中心とする角速度データの波形を示す図であり、ステップS3で推定された接地位置が一点鎖線で示されている。CPU11は、
図7に示すように、接地位置から一定時間(100ミリ秒以下)の範囲において、Y軸を中心とする角速度データ(GyrY)の波形を走査し、極値を検出する。そして、検出された極値E1の符号がプラスの場合、CPU11は、当該検出の基準となった接地位置は右足によるものと判定する。一方、検出された極値E2の符号がマイナスの場合、CPU11は、当該検出の基準となった接地位置は左足によるものと判定する。上記の判定方法は、接地した衝撃を和らげるために、骨盤が接地足の逆足側に一瞬下がって元に戻るような動きをするという現象を利用したものである。そして、CPU11は、右足による接地位置であると判定された位置をランニング周期の始まりとして決定する。なお、CPU11は、左足による接地位置であると判定された位置をランニング周期の始まりとして決定してもよい。
【0044】
次いで、CPU11は、測定装置20の上下方向の位置の変化、すなわち被測定者の腰の高さの変化を算出する(ステップS5)。具体的には、CPU11は、補正データのうち、Z軸の加速度データを用いて、当該Z軸の加速度データを2回積分することにより、測定装置20の上下方向の位置の変化を算出する。
なお、ここでは、測定装置20の上下方向の位置の絶対値は必要ではなく、相対的な位置がわかればいいので、積分する際に積分定数は気にしなくてもよいが、積分することで誤差が蓄積することがある。そこで、ランニングの周期特性を利用して計算を行うことが望ましい。最初にZ軸の加速度であるが、接地している間は加速度センサ24により上方向の加速度が検出されるので、単純に積分すると上方向の速度が増すことになる。ここで、ランニングは周期運動であることから、周期のはじめと終わりの上下方向の速度は、本来、同じはずである。このことから、ランニング1周期分の全データの平均を求め、サンプリングされたZ軸の加速度データそれぞれから平均値を引くことで、重力加速度及びノイズの成分を除去することができる。すなわち、ランニング1周期分のZ軸の加速度データの積分値は、重力加速度がない仮想状態では、ゼロになるはずであり、重力加速度及びノイズが存在しているときには、当該積分値は、重力加速度の値とノイズによる値とを示すと考えることが出来ることから、上述のように重力加速度及びノイズの成分を除去する処理を行っている。そして、このZ軸の加速度データを積分することで、Z軸の速度データを算出する。そして、さらにZ軸の速度データを積分することで、測定装置20の上下方向の位置の変化を算出する。
【0045】
次いで、CPU11は、RAM13に記憶された補正データに基づき、足が地面から離れた離地位置を推定する(ステップS6)。足が地面から離れた場合、地面を蹴って得た加速度成分が無くなり減速するため、Y軸の加速度データ(AccY)のピーク値が発生する。CPU11は、このピーク値の位置を離地位置として推定する。具体的には、先ず、CPU11は、一の接地位置を特定し、この接地位置から1歩前の接地位置までの間における測定装置20の上下方向の位置の変化を示すZ軸の変位データを取得する。そして、CPU11は、このZ軸の変位データの最大値を検出し、この最大値の位置を高さ変動最大位置とする(
図8参照)。続けて、CPU11は、
図8に示すように、上記一の接地位置の一歩前で求めた高さ変動最大位置から、当該一の接地位置を基準として求めた高さ変動最大位置までの間の60〜95%の範囲を離地位置の検索範囲とする。そして、CPU11は、この検索範囲内でY軸の加速度データ(AccY)の波形を走査し、最初に検出された極大値の位置を離地位置として推定する。
【0046】
次いで、CPU11は、ステップS3で行われた接地位置の推定処理、ステップS4で行われたランニング周期の始まりの決定処理、ステップS5で行われた測定装置20の上下方向の位置の算出処理、及び、ステップS6で行われた離地位置の推定処理に基づき、ランニング周期の各局面を推定する(ステップS7)。ここで、ランニング周期の局面とは、
図9に示すように、右足が地面に触れた接地時、この足の接地中に測定装置20、すなわち腰が最も低い位置を通過した最下時、この足が地面から離れた離地時、及び、この足が地面から離れた後、測定装置20が最も高い位置を通過した最高時、並びに、逆の足(左足)が地面に触れた逆足接地時、この足の接地中に測定装置20が最も低い位置を通過した逆足最下時、この足が地面から離れた逆足離地時、及び、この足が地面から離れた後、測定装置20が最も高い位置を通過した逆足最高時を指す。
【0047】
次いで、CPU11は、ランニングの進行方向を推定する(ステップS8)。具体的には、CPU11は、Z軸を中心とする角速度データを積分し、その平均値を体の正面方向、すなわちランニングの進行方向として推定する。ここで、上記角速度データには時間的に変化するオフセットが存在する。そこで、このオフセットを解消するため、上記角速度データを積分する前に、ランニング1周期分のサンプリングされた上記角速度データの平均を求め、元のデータから平均値を引いた後に積分することが望ましい。なお、上記角速度データの平均は、ランニング1周期分に限らず、その前後の数周期分のデータを対象としてもよい。
【0048】
次いで、CPU11は、補正データ(3軸の加速度データ)のノイズ低減のため、平均化処理を行う(ステップS9)。具体的には、先ず、CPU11は、各軸の加速度データを対象とし、ランニング1周期の時間を400ポイントに変換(正規化)する。つまり、各周期の始まりを0ポイントとし、各周期の終わりを399ポイントとする。続けて、CPU11は、各周期の加速度データを平均した波形(平均波形)を生成し、各周期の波形とこの平均波形との差を0から399ポイントにわたって求める。そして、CPU11は、2乗平均を求め、0から399ポイントの2乗平均を足し合わせることでその周期の平均との差分を求める。そして、CPU11は、各周期の順番を上記差分の小さい順にソートして、平均化処理に用いる数の波形を選択する。例えば、10個の波形の平均を求めるとした場合、上記のソートされた波形の先頭から10波形を選択することとなる。そして、CPU11は、選択された波形の周期を求め、平均したポイント数(cyc)を算出する。また、CPU11は、左足接地から右足接地までの時間を求め、平均したポイント数(cyc_L)を算出するとともに、右足接地から左足接地までの時間を求め、平均した
ポイント数(cyc_R)を算出する。
そして、CPU11は、左足ポイント数(round_L)=400*cyc_L/cycを算出するとともに、右足ポイント数(round_R)=400*cyc_R/cycを算出する。そして、CPU11は、算出された左足ポイント数(round_L)と右
足ポイント数(round_R)とをつなぎ、ランニング1周期分の平均化された加速度
データを導出する。
【0049】
なお、上述のような平均化処理を行う際に、正規化する前の周期(実周期時間)の平均を求め、この平均から一定以上周期がずれている周期はこの平均に加えない、また、一方の足の接地から逆足接地までの時間の平均を求め、この平均から一定以上周期がずれている周期は平均に加えない、といった処理を行うようにしてもよい。
【0050】
そして、CPU11は、平均化処理が施された各軸の加速度データを、正規化されたサンプル間隔Δtで積分することにより、各軸の速度データを算出する。なお、ここでは、1周期分の全データの平均を求め、サンプリングされた加速度それぞれから平均値を引いた上で、上記の積分を行う。また、CPU11は、上記積分で導出された各軸の速度データを積分することで、各軸の変位データを導出する。
【0051】
また、CPU11は、ステップS9において、ステップS7で推定されたランニングの各局面の時間についても、0〜399ポイントに正規化した時間に変換する。
【0052】
次いで、CPU11は、ステップS9で平均化処理が施された各データ、及び、正規化されたランニングの各局面の時間の情報に基づき、
図10(a)に示すような運動解析データを生成する(ステップS10)。
図10(a)に示す運動解析データは、横軸に時間をとり、各サンプリングポイントの時間を原点に、Z軸の加速度ベクトル(縦方向)とY軸の加速度ベクトル(横方向)との合成ベクトルを描いたデータとなっている。すなわち、経過時間毎の合成ベクトルの変化を示しており、合成ベクトルを示す線分の長さが加速度の大きさを示している。なお、
図10(a)に示す運動解析データは、あるタイミングにおける右足の接地局面から離地局面までのデータのみを示している。
【0053】
運動解析データは、
図10(a)に示すように、最大加速度、最大加速度角、最大加速度発生時間T1を指標として示している。
これらの指標は、以下のようにして求められる。すなわち、接地局面から離地局面までの区間であり、且つ、Y軸の加速度データの値がマイナスである、すなわち進行方向に加速している区間のサンプリングデータを抜き出し、各サンプリングデータに対してY軸の加速度データの値の二乗とZ軸の加速度データの値の二乗とを足し合わせ、平方根を求めることで、YZ平面上での加速度の大きさを求める。そして、このなかで加速度の大きさが最大となる時間が最大加速度の発生時間となる。また、このときの加速度の大きさが最大加速度となる。さらに、このときの合成ベクトルとY軸とのなす角度が最大加速度角となる。なお、上記の例では、YZ平面上での最大加速度を求めたが、X軸の加速度データも加味し、3次元での最大加速度を求めるようにしてもよい。
【0054】
また、運動解析データは、更に、
図10(a)に示すように、最大加速度発生時間T1と最下時T2との時間差ΔTを指標として示している。この指標は、最下時の時間から最大加速度発生時間を引いたもので、運動解析を行うにあたり重要な指標となる。
【0055】
また、運動解析データは、更に、
図10(a)に示すように、最大ブレーキ、最大ブレーキ角、及び、最大ブレーキ発生時間T0を指標として示している。
これらの指標は、接地局面から離地局面までの区間であり、且つ、Y軸の加速度データの値がプラスである、すなわち進行方向と逆方向に加速している区間のサンプリングデータを抜き出し、各サンプリングデータに対してY軸の加速度データの値の二乗とZ軸の加速度データの値の二乗とを足し合わせ、平方根を求めることで、YZ平面上での加速度の大きさを求める。そして、このなかで加速度の大きさが最大となる時間が最大ブレーキの発生時間となる。また、このときの加速度の大きさが最大ブレーキとなる。さらに、このときの合成ベクトルとY軸とがなす角度が最大ブレーキ角となる。なお、上記の例では、YZ平面上での最大ブレーキを求めたが、X軸の加速度データも加味し、3次元での最大ブレーキを求めるようにしてもよい。また、更に、接地局面から離地局面までの区間における進行方向と逆方向に加速している区間のY軸の加速度を時間積分した値をトータルブレーキとして求めて、指標に加えてもよい。
【0056】
また、運動解析データは、更に、
図10(a)に示すように、最大前傾加速度、最大前傾加速度角、最大前傾加速度発生時間T3を指標として示している。
これらの指標は、接地局面から離地局面までの区間であり、且つ、Y軸の加速度データの値がマイナスである、すなわち進行方向に加速している区間のサンプリングデータを抜き出し、各サンプリングデータに対して合成ベクトルとY軸とのなす角度を求める。そして、このなかで合成ベクトルとY軸とのなす角度が最小である(最も前傾している)時間が最大前傾加速度の発生時間となる。また、このときの加速度の大きさが最大前傾加速度となる。さらに、このときの合成ベクトルとY軸とのなす角度が最大前傾加速度角となる。
【0057】
次いで、CPU11は、
図11に示すように、ステップS10で生成された運動解析データのうち、ユーザ所望の時間帯の運動解析結果D2と、その時間帯に対応する合成画像D1と、を表示部14に表示させる表示制御処理を行い(ステップS11)、運動評価処理を終了する。なお、表示制御処理の詳細については後述する。
【0058】
次に、
図5を参照して、運動評価装置10で実行される表示制御処理を説明する。
先ず、CPU11は、ユーザによる操作部12の操作によって指定された画像データを記憶部15から読み出す(ステップS111)。なお、この画像データは、ステップS1で読み出されたモーションデータを採取している間に撮影された一連のランニング動作に係る動画像の画像データであるものとする。
【0059】
次いで、CPU11は、ユーザによる操作部12の操作によって、上記画像データを構成する各フレーム画像のうちのどのフレーム画像が接地位置に対応するかを指定する指定操作がなされたか否かを判定する(ステップS112)。
ステップS112において、接地位置に対応する指定操作がなされていないと判定された場合(ステップS112;NO)は、当該指定操作がなされるまでの間、ステップS112の判定処理が行われる。
そして、接地位置に対応する指定操作がなされたと判定された場合(ステップS112;YES)、CPU11は、指定されたフレーム画像を基準として、各フレーム画像に対して正規化された時間の情報を付与する(ステップS113)。
【0060】
ここで、正規化された時間の情報のうち、0から400ポイントの期間において、各フレーム画像に対して正規化された時間の情報を付与する方法を説明する。なお、ステップS9の平均化処理において、この期間における左足の接地位置が0ポイント、右足の接地位置が193ポイント、次の左足の接地位置が400ポイントに変換されているものとする。
例えば、左足の接地位置が100フレーム目であり、右足の接地位置が145フレーム目であり、次の左足の接地位置が200フレーム目であるとする指定操作がなされた場合、100フレーム目から145フレーム目までの各フレーム画像間の間隔は、193ポイントを45(=145−100)で除した値となる。従って、例えば、120フレーム目の正規化された時間の情報は、86(≒(120−100)*193/45)ポイントとなる。
また、145フレーム目から200フレーム目までの各フレーム画像間の間隔は、207(=400−193)ポイントを55(=200−145)で除した値となる。従って、例えば、180フレーム目の正規化された時間の情報は、325ポイント(≒((180−145)*207/55)+193)ポイントとなる。
【0061】
次いで、CPU11は、
図11に示すように、ステップS10で生成された運動解析結果D2を表示部14の下段に表示させる(ステップS114)。ここで、運動解析結果D2の0ポイント位置は、左足接地位置を示している。また、27ポイントの位置は、減速から加速に切り替わる加速度切り替わり位置を示している。また、55ポイントの位置は、最下点位置を示している。また、107ポイントの位置は、左足離地位置を示している。また、193ポイントの位置は、右足接地位置を示している。また、219ポイントの位置は、減速から加速に切り替わる加速度切り替わり位置を示している。また、249ポイントの位置は、最下点位置を示している。また、304ポイントの位置は、右足離地位置を示している。また、400ポイントの位置は、再び左足接地位置を示している。つまり、0ポイントの位置から399ポイントの位置の間をランニング1周期としている。また、運動解析結果D2において、速度の値は解析した区間の平均速度を示し、周期の値は解析した区間のランニング1周期の時間、つまり0ポイントから399ポイントの間の実際の時間を示し、図中の56.1m/s
2 49等の表記は、最大加速度の大きさとそれが発生したタイミング(ポイントの位置)を示している。また、運動解析結果D2は、上述のように、経過時間毎の加速度ベクトルの向きと大きさを示しており、その線分の長さが加速度の大きさを示している。そして、図における縦軸の数値は、合成ベクトルの向きが垂直方向である場合の加速度の大きさを示している。
【0062】
そして、CPU11は、運動解析結果D2における時間(経過時間)の指定操作がなされたか否かを判定する(ステップS115)。ここで、運動解析結果D2における時間(経過時間)の指定操作について説明する。先ず、ユーザによる操作部12の操作により、運動解析結果D2の表示範囲を指定する。この指定操作により、運動解析結果D2を左方向又は右方向にスライド表示させることが可能となる。そして、表示部14の中段には、
図11に示すように、一定の位置に固定カーソルCが表示されており、所望の時間(経過時間)の位置が固定カーソルCの位置と合わさるように、運動解析結果D2をスライド表示させることにより、所望の時間(経過時間)の指定操作を行う。
図11の表示例では、右足接地位置(経過時間;193ポイント)と固定カーソルCの位置とが合わさった状態を示している。
【0063】
ステップS115において、運動解析結果D2における時間(経過時間)の指定操作がなされていないと判定された場合(ステップS115;NO)は、当該指定操作がなされるまでの間、ステップS115の判定処理が行われる。
そして、運動解析結果D2における時間(経過時間)の指定操作がなされたと判定された場合(ステップS115;YES)、CPU11は、指定操作がなされた時間に対応するフレーム画像を中心画像とし、この中心画像を基準として所定間隔で複数(例えば、12枚)のフレーム画像を抽出し、これらの複数のフレーム画像を合成した合成画像D1を生成する。そして、CPU11は、
図11に示すように、生成された合成画像D1を表示部14の上段に表示させる(ステップS116)。
【0064】
次いで、CPU11は、ユーザによる操作部12の操作により、表示制御処理の終了操作がなされたか否かを判定する(ステップS117)。
ステップS117において、表示制御処理の終了操作がなされていないと判定された場合(ステップS117;NO)、ステップS115に移行する。
一方、ステップS117において、表示制御処理の終了操作がなされたと判定された場合(ステップS117;YES)、表示制御処理を終了する。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、運動評価装置10は、被写体(被測定者)のランニング動作を連続的に撮像した複数の画像を取得し、当該複数の画像に基づき合成画像D1を生成する。また、運動評価装置10は、被写体のランニング動作がなされた際に当該被写体に装着された測定装置20から出力されたモーションデータを取得し、当該モーションデータに基づき運動解析を行う。そして、運動評価装置10は、合成画像D1のもととなる複数の画像の時系列と、解析された運動解析結果D2の時系列とを対応付けて、当該合成画像D1と当該運動解析結果D2とを表示部14に表示させる。
【0066】
このため、ユーザは、一連のランニング動作を示す合成画像D1と、当該一連のランニング動作の運動解析結果D2と、を見比べることができるようになるので、運動評価装置10による解析結果の持つ意味を理解し易くなる。
【0067】
また、運動評価装置10は、表示部14に表示された運動解析結果D2から所望のタイミングを指定し、当該タイミングに対応する画像を中心とする複数の画像に基づき合成画像D1を生成する。このため、ユーザ所望のタイミングにおける動作を撮影した画像を中心として合成画像を生成することができる。従って、一連のランニング動作のうちの所望の動作を中心に含む合成画像D1と、当該動作に関する運動解析結果D2と、を表示部14に表示させることができるので、運動評価装置10による解析結果を効率よく確認することができる。
【0068】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0069】
例えば、上記実施形態では、最初の接地(左足接地)位置を0ポイントの位置とし、次の左足接地位置が400ポイントの位置となるように時間の情報を正規化したが、正規化する際の時間の情報の値は一例であり、これに限定されるものではない。
【0070】
また、上記実施形態において、合成画像D1は、画像中、中心の被写体の透過性を低くし、中心から離れていくほど被写体の透過性を高くするようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、表示制御処理(
図5参照)のステップS112に記載されているように、接地位置に対応するフレーム画像の指定を、ユーザによる操作部12の操作により行うようにしたが、画像処理により接地位置を自動検出することにより、当該接地位置に対応するフレーム画像を指定するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、運動解析結果D2の所望の時間(経過時間)の指定操作を行うことにより、合成画像D1を生成するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、
図12に示すように、運動解析結果D2の所望の時間(経過時間)の指定操作がなされた時間(例えば、193ポイント)を中心とするズーム範囲の指定操作を行うことができるようにする。そして、このズーム範囲にあるフレーム画像を一定間隔で選択し、これらのフレーム画像をそれぞれズームしたズーム画像に基づき合成画像D3を生成するようにしてもよい。なお、上記ズーム範囲から選択されるフレーム画像の枚数はズーム範囲の広さに応じて変更するようにしてもよいし、ズーム範囲の広さにかかわらず、選択されるフレーム画像の枚数を予め設定しておき、当該ズーム範囲内で等間隔となるように設定された枚数のフレーム画像を選択するようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、運動解析結果D2は、横軸に時間をとり、各サンプリングポイントの時間を原点に、Z軸の加速度ベクトル(縦方向)とY軸の加速度ベクトル(横方向)との合成ベクトルを描いた図としたが、接地角(
図10(b)参照)、及び、離地角(
図10(c)参照)を更に表示させるようにしてもよい。接地角は、接地位置における平均速度を加味したY軸の速度とZ軸の速度とで求められる。また、離地角は、離地位置における平均速度を加味したY軸の速度とZ軸の速度とで求められる。
【0074】
また、上記実施形態では、例えば、
図13に示すように、上記合成ベクトルを描いた運動解析結果D2aに加えて、X軸(左右方向)の変位グラフD2b、Y軸(前後方向)の変位グラフD2c、Z軸(上下方向)の変位グラフD2dの全部又は一部を表示部14に表示させるようにしてもよい。これにより、測定装置20が装着された腰の位置の変位を確認することができるようになる。
また、
図14に示すように、上記合成ベクトルを描いた運動解析結果D2aに加えて、X軸を中心とする回動角度(ピッチ角)グラフD2e、Y軸を中心とする回動角度(ロー角)グラフD2f、Z軸を中心とする回動角度(ヨー角)グラフD2gの全部又は一部を表示部14に表示させるようにしてもよい。これにより、測定装置20が装着された腰の回転量を確認することができるようになる。
【0075】
また、上記のZ軸を中心とする回動角度(ヨー角)グラフD2gを加工することにより、
図15に示すように、ランニング中の腰の位置を俯瞰した状態を表す運動解析結果D2hを表示部14に表示させるようにしてもよい。運動解析結果D2hでは、上側に示されている各線分Laが左足を、下側に示されている各線分Lbが右足を表しており、図中、左から右へランニングを行っていることを表している。さらに、この運動解析結果D2hと、上述したX軸(左右方向)の変位グラフD2bと、を組み合わせて表示部14に表示させるようにしてもよい。具体的には、X軸の変位グラフD2bが示すグラフの線上が、上記運動解析結果D2hの中心(線分Laと線分Lbとの中間点)となるようにして、両者を表示させるようにする。
【0076】
また、上記実施形態では、一の被測定者を対象として、合成画像D1と運動解析結果D2とを表示部14に表示させるようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、
図16に示すように、二人の被測定者(A氏とB氏)をそれぞれ対象として、A氏の合成画像D1aとB氏の合成画像D1b、並びに、A氏の運動解析結果D2iとB氏の運動解析結果D2jをそれぞれ表示部14に表示させるようにしてもよい。この場合、他人の合成画像と自分の合成画像を見比べることができるとともに、他人の運動解析結果と自分の運動解析結果を見比べることができるようになるので、他人のランニング動作と比べて、どこが良くてどこが悪いのかを理解し易くなる。
【0077】
また、上記実施形態では、上記合成ベクトルを描いた運動解析結果D2aに加えて、例えば、
図17に示すように、横軸を速度とし、縦軸を最大加速度発生時間と最下時との時間差とするグラフを表示部14に表示させるようにしてもよい。なお、横軸及び縦軸に設定される指標は、これらに限定されるものではなく、当該運動解析結果D2aに関する各指標(最大加速度、最大加速度角、最大加速度発生時間等;
図10(a)参照)を任意に設定することができる。
【0078】
また、上記実施形態では、動画像を構成する複数のフレーム画像に基づき合成画像を生成するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、一定時間の間隔で高速連写された複数の画像に基づき合成画像を生成するようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、表示部14の上段に表示される合成画像D1は、下段に表示される運動解析結果D2の一部を切り出した期間、即ち、合成画像D1の横幅に対応する時間は、運動解析結果D2の横幅に対応する時間の一部を切り出した時間であるが、合成画像D1の横幅に対応する時間と、下段に表示される運動解析結果D2の横幅に対応する時間を一致させて表示部14に表示させるようにしてもよい。この場合、運動解析結果D2における指定された時間(経過時間)を示す固定カーソルCの位置に対応する合成画像D1の位置がそのまま指定された時間(経過時間)における被写体の位置となり、上記実施形態のように、合成画像D1の横軸の中心位置に指定された時間(経過時間)に対応する被写体を配置する処理を省くことができる。
【0080】
[実施形態2]
続いて、実施形態2について説明する。なお、上記実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施形態2の運動評価装置10は、測定装置20から取得したモーションデータそのものを表示する点、及び、被測定者の移動を伴わない運動動作を対象とし、当該運動動作に係る画像データを合成して表示する点で、上記実施形態1と異なっている。
【0081】
以下、実施形態2の運動評価装置10について、
図18及び
図19を用いて説明する。
図18は、実施形態2の運動評価装置10で実行される運動評価処理を示すフローチャートである。
図19は、一連のゴルフスイング動作を対象として運動評価処理を実行した際の運動評価装置10の表示部14に表示される表示画面の一例を示す図である。
【0082】
先ず、CPU11は、ユーザによる操作部12の操作によって指定された所望のモーションデータ(Z軸を中心とする角速度データ)を記憶部15から読み出すとともに、当該モーションデータを採取している間に撮影された一連のゴルフスイング動作に係る動画像の画像データを記憶部15から読み出す(ステップS201)。
【0083】
次いで、CPU11は、
図19に示すように、読み出されたモーションデータD21を表示部14の下段に表示させる(ステップS202)。そして、CPU11は、モーションデータD21における時間(経過時間)の指定操作がなされたか否かを判定する(ステップS203)。ここで、モーションデータD21における時間の指定操作については、
図19(a),(b)に示すように、表示部14の中段に表示されているカーソルCの位置が所望の時間(経過時間)の位置と合わさるように、ユーザによる操作部12の操作によってスライド表示させることによって、当該所望の時間の指定操作を行う。
【0084】
ステップS203において、モーションデータD21における時間(経過時間)の指定操作がなされたと判定された場合(ステップS203;YES)、CPU11は、指定操作がなされた時間に対応するフレーム画像以外のフレーム画像の被写体の透過度を上げた状態で生成した合成画像(多重露光状の合成画像)D11を、表示部14の上段に表示させる(ステップS204)。具体的には、例えば、一連のゴルフスイング動作のうちのアドレス時に対応する時間の指定操作がなされた場合、
図19(a)に示すように、表示部14の上段には、アドレス時の被写体の透過度を「0」とし、それ以外の被写体の透過度を上げた状態で生成した合成画像D11を表示部14の上段に表示させる。なお、図中では、アドレス時の被写体を実線で表すとともに、それ以外の被写体を破線で表している。また、例えば、一連のゴルフスイング動作のうちのトップ時に対応する時間の指定操作がなされた場合、
図19(b)に示すように、表示部14の上段には、トップ時の被写体の透過度を「0」とし、それ以外の被写体の透過度を上げた状態で生成した合成画像D11を表示部14の上段に表示させる。なお、図中では、トップ時の被写体を実線で表すとともに、それ以外の被写体を破線で表している。
また、ステップS203において、モーションデータD21における時間(経過時間)の指定操作がなされていないと判定された場合(ステップS203;NO)、ステップS204をスキップして、ステップS205へ移行する。この場合、時間(経過時間)はデフォルト値、例えば、0.0[s]を設定し、0.0[s]に対応するフレーム画像の被写体の透過度を「0」とし、それ以外の被写体の透過度を上げた状態で生成した合成画像D11を表示部14の上段に表示させればよい。
【0085】
次いで、CPU11は、ユーザによる操作部12の操作により、運動評価処理の終了操作がなされたか否かを判定する(ステップS205)。
ステップS205において、運動評価処理の終了操作がなされていないと判定された場合(ステップS205;NO)、ステップS203へ移行する。
一方、ステップS205において、運動評価処理の終了操作がなされたと判定された場合(ステップS205;YES)、運動評価処理を終了する。
【0086】
以上のように、本実施形態によれば、運動評価装置10は、一連のゴルフスイング動作中の被写体を連続的に撮像した複数の画像から、時系列に応じて被写体の動作の変化が識別可能な合成画像を生成したこととなる。また、運動評価装置10は、被写体に装着されたモーションセンサから出力される、一連のゴルフスイング動作に対応するモーションデータを取得したこととなる。また、運動評価装置10は、合成画像の生成に用いられている複数の画像の時系列とモーションデータの時系列とを対応付けた状態で、合成画像とモーションデータとを表示部14に表示させたこととなる。
【0087】
このため、ユーザは、一連のゴルフスイング動作を示す合成画像D11と、当該一連のゴルフスイング動作に対応するモーションデータD21と、を見比べることができるようになるので、モーションデータD21の持つ意味を理解し易くなる。
【0088】
また、運動評価装置10は、所定期間(アドレス時からフィニッシュ時)の間のモーションデータD21を表示部14に表示させる際に、当該所定期間の間に撮像された合成画像D11の生成に用いられる複数の画像の時系列と、当該モーションデータD21の時系列とを対応付けた状態で、合成画像D11とモーションデータD21とを表示部14に表示させたこととなる。このため、ユーザ所望の所定期間の間の合成画像D11とモーションデータD21とを逐一一致させた状態で表示部14に表示させることができる。この結果、一連のゴルフスイング動作を示す合成画像D11と、当該一連のゴルフスイング動作に対応するモーションデータD21と、を見比べ易くすることができるので、モーションデータD21の持つ意味をより理解し易くなる。
【0089】
また、運動評価装置10は、表示部14に表示されたモーションデータD21の時系列における所望の時点を指定する第1の指定部(CPU11、操作部12)を備えたこととなる。また、運動評価装置10は、合成画像D11において、当該合成画像D11の生成に用いられている複数の画像のうち、第1の指定部(CPU11、操作部12)で指定された時点に対応する画像の被写体を、当該指定された時点以外の画像の被写体と区別した合成画像を生成したこととなる。このため、合成画像D11に用いられた複数の画像の各被写体が重なり合ってしまうような場合でも、第1の指定部(CPU11、操作部12)で指定された時点に対応する画像の被写体を目立たせることができる。この結果、一連のゴルフスイング動作を示す合成画像D11と、当該一連のゴルフスイング動作に対応するモーションデータD21と、を第1の指定部(CPU11、操作部12)で指定された時点において見比べることができるようになる。
【0090】
以上、本発明の実施形態2について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態の運動評価処理に伴い表示部14の上段に表示させる合成画像は、
図20に示すように、一連のゴルフスイング動作において、各フレーム画像の被写体を経時時間に沿って並べた合成画像12としてもよい。
【0091】
また、実施形態2では、運動評価処理の対象として一連のゴルフスイング動作を一例に挙げたが、例えば、トレッドミルを用いたランニング動作や野球のバッティング動作など被写体の移動を伴わない運動動作を対象とすることができる。
【0092】
また、本実施形態の運動評価処理に伴い表示部14の上段に合成画像D11を表示させるとともに、下段にモーションデータD21を表示させるようにしたが、このモーションデータD21の代わりに又はこのモーションデータD21と一緒に、モーションデータD21に基づき解析がなされた運動解析の結果を表示させるようにしてもよい。
一方、上記実施形態1では、表示部14の上段に合成画像D1を表示させるとともに、下段に運動解析の結果D2を表示させるようにしたが、この運動解析の結果D2の代わりに又はこの運動解析の結果D2と一緒に、この運動解析の基となったモーションデータそのものを表示させるようにしてもよい。
【0093】
また、上記実施形態1及び2では、ユーザによる操作部2により固定カーソルCの位置を操作したが、開始時間から終了時間まで自動的に固定カーソルCの位置が動くようにしてもよい。
【0094】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲をその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0095】
〔付記〕
<請求項1>
動作中の被写体を連続的に撮像した複数の画像から、時系列に応じて前記被写体の動作の変化が識別可能な合成画像を生成する生成部と、
当該被写体に装着されたモーションセンサから出力される、前記被写体の動作に対応するモーションデータを取得するモーションデータ取得部と、
表示部と、
前記合成画像の生成に用いられている前記複数の画像の時系列と前記モーションデータ取得部により取得された前記モーションデータの時系列とを対応付けた状態で、前記合成画像と前記モーションデータとを前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする運動評価装置。
<請求項2>
前記表示制御部は、所定期間の間の前記モーションデータを前記表示部に表示させる際に、当該所定期間の間に撮像された前記合成画像の生成に用いられる前記複数の画像の時系列と、当該モーションデータの時系列とを対応付けた状態で、前記合成画像と前記モーションデータとを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の運動評価装置。
<請求項3>
前記生成部は、動作中の被写体を連続的に撮像した複数の画像から、前記複数の画像を経過時間に沿って並べた合成画像を生成し、
前記表示制御部は、前記合成画像の生成に用いられている前記複数の画像の時系列と前記モーションデータ取得部により取得された前記モーションデータの時系列とを対応付けた状態で、前記合成画像と前記モーションデータとを前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運動評価装置。
<請求項4>
前記表示制御部は、前記合成画像の生成に用いられている前記複数の画像の時系列と前記モーションデータ取得部により取得された前記モーションデータの時系列とを一致させて、前記合成画像と前記モーションデータとを前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の運動評価装置。
<請求項5>
前記生成部は、動作中の被写体を連続的に撮像した複数の画像から、前記複数の画像を重ねた合成画像を生成し、
前記表示制御部は、前記合成画像の生成に用いられている前記複数の画像の時系列と前記モーションデータ取得部により取得された前記モーションデータの時系列とを対応付けた状態で、前記合成画像と前記モーションデータとを前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運動評価装置。
<請求項6>
前記表示部に表示された前記モーションデータの時系列における所望の時点を指定する第1の指定部を備え、
前記生成部は、前記第1の指定部により前記時点が指定された場合に、前記合成画像を、前記複数の画像における前記時点に対応する特定の画像を中心に配置した画像とすることを特徴とする請求項3に記載の運動評価装置。
<請求項7>
前記表示部に表示された前記モーションデータの時系列における所望の期間を指定する第2の指定部を備え、
前記生成部は、前記第2の指定部により前記期間が指定された場合に、前記複数の画像における前記期間に含まれる複数の前記画像に基づいて前記合成画像を生成することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の運動評価装置。
<請求項8>
前記表示部に表示された前記モーションデータの時系列における所望の時点を指定する第1の指定部を備え、
前記生成部は、前記合成画像において、当該合成画像の生成に用いられている前記複数の画像のうち、前記第1の指定部で指定された時点に対応する画像の被写体を、当該指定された時点以外の画像の被写体と区別した合成画像を生成することを特徴とする請求項1〜5、7のいずれか一項に記載の運動評価装置。
<請求項9>
前記生成部は、前記合成画像において、当該合成画像の生成に用いられている前記複数の画像のうち、前記第1の指定部で指定された時点に対応する画像の被写体を、当該指定された時点以外の画像の被写体と区別した合成画像を生成することを特徴とする請求項6に記載の運動評価装置。
<請求項10>
前記表示制御部は、複数の被写体の各々に対応する複数の前記合成画像と複数の前記モーションデータとを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の運動評価装置。
<請求項11>
前記モーションデータに基づく運動解析を行う運動解析部を備え、
前記表示制御部は、前記合成画像の生成に用いられている前記複数の画像の時系列と前記運動解析部による前記運動解析の結果の時系列とを対応付けた状態で、前記合成画像と前記運動解析の結果とを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の運動評価装置。
<請求項12>
前記モーションデータは複数の軸方向の加速度データを含み、
前記運動解析の結果は、前記複数の軸方向の加速度データに基づく前記複数の軸の加速度ベクトルの和である合成ベクトルを、前記モーションデータのサンプル周期ごとに示した図が含まれていることを特徴とする請求項11に記載の運動評価装置。
<請求項13>
前記モーションデータは複数の軸方向の加速度データを含み、
前記運動解析情報には、前記被写体の前記複数の軸の少なくとも何れかにおける変位を前記モーションデータのサンプル周期ごとに示した図が含まれていることを特徴とする請求項11又は12に記載の運動評価装置。
<請求項14>
前記モーションデータは複数の軸方向を中心とする角速度データを含み、
前記運動解析情報には、前記被写体の前記複数の軸の少なくとも何れかにおける回動角度を前記モーションデータのサンプル周期ごとに示した図が含まれていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の運動評価装置。
<請求項15>
表示部を備えた運動評価装置の運動評価方法であって、
動作中の被写体を連続的に撮像した複数の画像から、時系列に応じて前記被写体の動作の変化が識別可能な合成画像を生成し、
当該被写体に装着されたモーションセンサから出力される、前記被写体の動作に対応するモーションデータを取得し、
前記合成画像の生成に用いられている前記複数の画像の時系列と、前記モーションデータの時系列と、を対応付けた状態で、前記合成画像と前記モーションデータとを前記表示部に表示させることを特徴とする運動評価方法。
<請求項16>
表示部を備えた運動評価装置のコンピュータに、
動作中の被写体を連続的に撮像した複数の画像から、時系列に応じて前記被写体の動作の変化が識別可能な合成画像生成処理、
当該被写体に装着されたモーションセンサから出力される、前記被写体の動作に対応するモーションデータを取得するモーションデータ取得処理、
前記合成画像の生成に用いられている前記複数の画像の時系列と、前記モーションデータの時系列と、を対応付けた状態で、前記合成画像と前記モーションデータとを前記表示部に表示させる表示処理、
を実行させる運動評価プログラム。