特許第6862892号(P6862892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862892
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20210412BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20210412BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20210412BHJP
   C08L 93/04 20060101ALI20210412BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20210412BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20210412BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   C08L9/00
   C08L7/00
   C08K5/17
   C08L93/04
   C08K3/36
   C08K5/54
   B60C1/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-26120(P2017-26120)
(22)【出願日】2017年2月15日
(65)【公開番号】特開2018-131537(P2018-131537A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2020年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亮太
(72)【発明者】
【氏名】岡松 隆裕
【審査官】 岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02491913(US,A)
【文献】 特表2016−528371(JP,A)
【文献】 特表2003−525333(JP,A)
【文献】 特開平04−233957(JP,A)
【文献】 特開2011−116931(JP,A)
【文献】 特開2014−118459(JP,A)
【文献】 特開2007−106909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00 − 13/08
C08L 1/00 −101/14
B60C 1/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴム100質量部に対して、デヒドロアビエチルアミンを主成分として50質量%以上含有するロジンアミンが0.5質量部〜8質量部、CTAB比表面積が100m2 /g以上であるシリカが30質量部〜200質量部、シランカップリング剤が前記シリカに対して0.5質量%〜20質量%配合され、前記ジエン系ゴム100質量部に対するデヒドロアビエチルアミンの配合量が0.25質量部〜4質量部であることを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
請求項に記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強性や粘弾性特性を損なうことなく、加工性を改善することを可能にしたゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気入りタイヤに使用されるゴム組成物においては、ゴムを柔軟にして加工性を改善するための軟化剤としてプロセスオイルが多く使用されている。しかしながら、加工性の良化のためにプロセスオイルの配合量を多くすると、ゴム組成物のモジュラスの低下やtanδの上昇を招き、空気入りタイヤに使用する際の補強性や粘弾性特性が損なわれるという問題がある。また、プロセスオイルは石油系材料であるため、二酸化炭素の排出規制などの環境問題の観点から、環境負荷が低い石油外資源(非石油系材料)に代替することが望まれている。
【0003】
このような問題に対して、様々な配合剤がプロセスオイルの代用物として検討されている。例えば、特許文献1ではプロセスオイルの代わりにテルペン樹脂を使用し、特許文献2ではプロセスオイルの代わりにパーム油を使用することが提案されている。しかしながら、これらを含む様々な代用物も、補強性と粘弾性特性を良好に維持しながら加工性を改善してこれら性能を高度にバランスよく両立するという観点から充分な性能を発揮するものではなく、更なる対策が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006‐160813号公報
【特許文献2】特開2015‐067823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、補強性や粘弾性特性を損なうことなく、加工性を改善することを可能にしたゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明のゴム組成物は、デヒドロアビエチルアミンを主成分として50質量%以上含有するロジンアミンが0.5質量部〜8質量部、CTAB比表面積が100m2 /g以上であるシリカが30質量部〜200質量部、シランカップリング剤が前記シリカに対して0.5質量%〜20質量%配合され、前記ジエン系ゴム100質量部に対するデヒドロアビエチルアミンの配合量が0.25質量部〜4質量部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対して0.5質量部〜8質量部のデヒドロアビエチルアミンを含むため、ゴム組成物の300%モジュラスの低下や60℃におけるtanδの上昇を避けながらムーニー粘度を低減することができ、補強性および粘弾性特性を良好に維持しながら加工性を改善することができ、これら性能を高度にバランスよく両立することができる。
【0008】
本発明では、上述のように、ジエン系ゴム100質量部に対して、デヒドロアビエチルアミンを主成分として50質量%以上含有するロジンアミンが0.5質量部〜8質量部配合される。
【0009】
このとき、ジエン系ゴム100質量部に対して、シリカが30質量部〜200質量部配合される。更に、前記シリカに対して、0.5質量%〜20質量%のシランカップリング剤が配合される。また、シリカのCTAB比表面積が150m2 /g以上である。
【0010】
本発明のゴム組成物は、上述のゴム組成物の物性により、空気入りタイヤに好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、ゴム成分はジエン系ゴムであり、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム等の、タイヤ用ゴム組成物に通常用いられるゴムを使用することができる。特に、スチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴムが好ましい。これらジエン系ゴムは、単独または任意のブレンドとして使用することができる。尚、ジエン系ゴムとしてスチレンブタジエンゴムを用いる場合、オイル成分が添加された油展品を用いてもよいが、油展量がスチレンブタジエンゴム100質量部に対し50質量部以下、好ましくは0質量部〜37.5質量部のものを用いるとよい。スチレンブタジエンゴムの油展量が50質量部を超えると、ゴム組成物に後述のプロセスオイルやロジンアミン等を配合するときの組成設計の自由度が小さくなる。
【0012】
本発明のゴム組成物では、ジエン系ゴムに対してデヒドロアビエチルアミンが必ず配合される。デヒドロアビエチルアミンの配合量はジエン系ゴム100質量部に対して0.5質量部〜8質量部、好ましくは2.5質量部〜5質量部である。このようにデヒドロアビエチルアミンを含むことで、ゴム組成物の300%モジュラスの低下や60℃におけるtanδの上昇を避けながらムーニー粘度を低減することができ、補強性および粘弾性特性を良好に維持しながら加工性を改善することができ、これら性能を高度にバランスよく両立することができる。デヒドロアビエチルアミンの配合量が0.5質量部未満であると、ムーニー粘度を低減する効果が充分に得られない。デヒドロアビエチルアミンの配合量が8質量部超であると、ゴム組成物の300%モジュラスや60℃におけるtanδを良好に維持することが難しくなる。
【0013】
デヒドロアビエチルアミンは、ロジンアミン中に主成分として含まれるので、前述のジエン系ゴムに対してロジンアミンを配合することで、前述の量のデヒドロアビエチルアミンを配合することが好ましい。具体的には、ジエン系ゴム100質量部に対して、デヒドロアビエチルアミンを主成分として50質量%以上含有するロジンアミンを好ましくは0.5質量部〜8質量部、より好ましくは2.5質量部〜5質量部配合するとよい。ロジンアミンは公知の方法で製造されたもの、例えば、ロジン類をアンモニアと反応させた後、水素化する方法で製造されたものを用いることができる。ロジン類としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンのほか不均化ロジン、水素化ロジンなどが挙げられる。ロジンアミンとしては、特に不均化ロジンを用いたロジンアミンが工業的に製造されており、安価に大量に入手できるため好ましい。勿論、前述のようにロジン類を原料としたロジンアミンをデヒドロアビエチルアミンとして配合するのではなく、デヒドロアビエチルアミン自体を精製・分離して使用してもよい。ロジンアミンの配合量が0.5質量部未満であると、ムーニー粘度を低減する効果が充分に得られない。ロジンアミンの配合量が8質量部超であると、ゴム組成物の300%モジュラスや60℃におけるtanδを良好に維持することが難しくなる。ロジンアミン中のデヒドロアビエチルアミンの含有量が50質量%未満であると、ロジンアミンの配合量に対して実効成分であるデヒドロアビエチルアミンが少なく、300%モジュラスや60℃におけるtanδの維持とムーニー粘度の低減とをバランスよく両立することが難しくなる。
【0014】
尚、本発明のデヒドロアビエチルアミン(ロジンアミン)は、基本的に従来のプロセスオイルの代わりに軟化剤として配合されるものであるが、軟化剤として更にプロセスオイルを併用することもできる。オイルとしては、例えばアロマオイル、パラフィンオイル、ナフテンオイル等を例示することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
本発明のゴム組成物は、特に空気入りタイヤ用ゴム組成物としての使用を意図した場合、充填剤としてシリカを配合することが好ましい。シリカの種類としては、例えば湿式法シリカ、乾式法シリカあるいは表面処理シリカなどを使用することができる。シリカの配合量はジエン系ゴム100質量部に対して好ましくは30質量部〜200質量部、より好ましくは40質量部〜100質量部にするとよい。このように充填剤としてシリカを配合することで、空気入りタイヤ用ゴム組成物として適度な粘弾性特性を得ることができる。シリカの配合量が30質量部未満であると空気入りタイヤ用ゴム組成物として充分な粘弾性特性を得ることが難しくなる。シリカの配合量が200質量部超であると前述のようにデヒドロアビエチルアミン(ロジンアミン)を配合しても充分な加工性を得ることが難しくなる。
【0016】
シリカの物性は特に限定されないが、CTAB比表面積が好ましくは100m2 /g以上、より好ましくは150m2 /g〜250m2 /gであるとよい。シリカのCTAB比表面積が100m2 /g未満であると、ゴム組成物に対する補強性が不充分となり空気入りタイヤに用いたときの操縦安定性が不足する。尚、シリカのCTAB比表面積はJIS K6217‐3に準拠して求めるものとする。
【0017】
このようにシリカを用いる場合、シランカップリング剤を併用することが好ましい。シランカップリング剤の配合量はシリカの質量に対して好ましくは0.5質量%〜20質量%、より好ましくは5質量%〜15質量%にするとよい。このようにシランカップリング剤を配合することで、シリカの分散性を向上しゴム成分(特にスチレンブタジエンゴム)に対する補強性をより高くすることができる。シランカップリング剤の配合量がシリカの質量の0.5質量%未満であると、シリカの分散性を向上する効果が充分に得られない。シランカップリング剤の配合量がシリカの質量の20質量%を超えると、シランカップリング剤同士が縮合してしまい、所望の効果を得ることができなくなる。シランカップリング剤の種類は特に限定されないが、硫黄含有シランカップリング剤が好ましく、例えばビス‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3‐トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ‐メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3‐オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等を例示することができる。
【0018】
本発明のゴム組成物は、特に空気入りタイヤ用ゴム組成物としての使用を意図した場合、上述のシリカ以外の充填剤を配合することによりゴムの強度を高くすることができる。このような充填剤としては、例えばカーボンブラック、クレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等が例示される。
【0019】
更に、上述した充填剤以外にも、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。このようなゴム組成物は、公知のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
【0020】
本発明のゴム組成物は、空気入りタイヤに好適に使用することができる。本発明のゴム組成物はムーニー粘度が低く加工性に優れるため、このゴム組成物を使用した場合、高品質な空気入りタイヤを安定的に製造することが可能となる。その一方で、本発明のゴム組成物は、ゴム組成物の300%モジュラスや60℃におけるtanδが良好であり、優れた補強性および粘弾性特性を有しているので、空気入りタイヤに用いた場合には良好な走行性能を発揮することができる。
【0021】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0022】
表1,2に示す配合からなる26種類のゴム組成物(基準例1〜2、比較例1〜14、実施例1〜10)を、それぞれ加硫促進剤及び硫黄を除く配合成分を秤量し、1.8Lの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、温度150℃でマスターバッチを放出し室温冷却し、その後、このマスターバッチを1.8Lの密閉式バンバリーミキサーに供し、加硫促進剤及び硫黄を加え2分間混合することで調製した。
【0023】
尚、表1,2の「SBR」の欄には、油展オイルを除いたスチレンブタジエンゴムの正味の配合量(質量部)を併記し、「シランカップリング剤」の欄には、シランカップリング剤の配合量のシリカの質量に対する割合(質量%)を併記し、「ロジンアミン」の欄には、ロジンアミン中のデヒドロアビエチルアミンの量(質量部)を併記した。
【0024】
得られた26種類のゴム組成物のムーニー粘度を下記に示す方法で測定し加工性の指標とした。
【0025】
ムーニー粘度(ML1+4
得られたゴム組成物のムーニー粘度を、JIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計にてL型ロータ(38.1mm径、5.5mm厚)を使用し、予熱時間1分、ロータの回転時間4分、100℃、2rpmの条件で測定した。得られた結果は、表1では基準例1の値を100とする指数、表2では基準例2の値を100とする指数として表1,2にそれぞれ示した。この指数値が小さいほどゴム組成物のムーニー粘度が小さく、加工性が優れることを意味する。
【0026】
得られた26種類のゴム組成物を、所定形状の金型中で、160℃、25分間プレス加硫して加硫ゴムサンプルを作製し、下記に示す方法で300%モジュラスと60℃におけるtanδを測定した。
【0027】
300%モジュラス
得られた加硫ゴムサンプルから、JIS K6251に準拠してJIS3号ダンベル型試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、温度20℃で500mm/分の引張り速度で試験を行い、300%モジュラス(300%変形応力)を測定した。得られた結果は、表1では基準例1の値を100とする指数、表2では基準例2の値を100とする指数として表1,2にそれぞれ示した。この指数値が大きいほど、300%モジュラスが大きく、補強性に優れることを意味する。尚、指数値が「97」以上であれば従来レベルを維持しており、良好な補強性が得られている。
【0028】
60℃におけるtanδ
得られた加硫ゴムサンプルの60℃におけるtanδを、東洋精機製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件下で、温度60℃の条件で測定した。得られた結果は、表1では基準例1の値を100とする指数、表2では基準例2の値を100とする指数として表1,2にそれぞれ示した。この指数値が小さいほどゴム組成物の60℃におけるtanδが小さく、粘弾性特性に優れることを意味する。尚、指数値が「103」以下であれば従来レベルを維持しており、良好な粘弾性特性が得られている。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
表1,2において使用した原材料の種類を下記に示す。
・SBR:スチレンブタジエンゴム、旭化成社製タフデンE580(オイルを37.5phr含有)
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol BR1220
・シリカ1:Solvay社製ZEOSIL 165GR(CTAB比表面積が155m2 /g)
・シリカ2:Solvay社製ZEOSIL Premium 200MP(CTAB比表面積が200m2 /g)
・CB:カーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックN339
・ステアリン酸:日油社製ステアリン酸YR
・亜鉛華:正同化学社製酸化亜鉛3種
・老化防止剤:大内新興化学社製ノクラック6C
・シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製Si69
・プロセスオイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・ステアリルアミン:花王社製ファーミン80
・ガムロジン:荒川化学工業社製中国ロジンWW
・スチレン変性ガムロジン:アイレック社製MY‐60
・ロジンエステル:荒川化学工業社製パインクリスタルD‐6011
・ロジンアミン:丸善油化社製ロジンアミン(デヒドロアビエチルアミンを50質量%含有)
・硫黄:軽井沢精錬所社製油処理イオウ
・加硫促進剤1:大内新興化学社製ノクセラーCZ‐G
・加硫促進剤2:住友化学社製ソクシノールD‐G
【0032】
表1から明らかなように、実施例1〜5のゴム組成物は、基準例1と同等の良好な補強性(300%モジュラス)および粘弾性特性(60℃におけるtanδ)を維持しながら、基準例1に対して加工性(ムーニー粘度)を向上し、これら性能を高度にバランスよく両立した。同様に、表2から明らかなように、実施例6〜10のゴム組成物は、基準例2と同等の良好な補強性(300%モジュラス)および粘弾性特性(60℃におけるtanδ)を維持しながら、基準例2に対して加工性(ムーニー粘度)を向上し、これら性能を高度にバランスよく両立した。
【0033】
一方、プロセスオイルが配合された比較例1および比較例8、ステアリルアミンが配合された比較例2および比較例9、ガムロジンが配合された比較例3および比較例10、スチレン変性ガムロジンが配合された比較例4および比較例11、ロジンエステルが配合された比較例5および比較例12はいずれも、それぞれの対応する基準例に対して補強性(300%モジュラス)および粘弾性特性(60℃におけるtanδ)のいずれかまたは両方が悪化した。ステアリルアミンとガムロジンを共に含有する比較例6および比較例13であっても、補強性(300%モジュラス)が悪化し、補強性と粘弾性特性と加工性のすべてをバランスよく良好に発揮することはできなかった。比較例7および比較例14は、ロジンアミン(デヒドロアビエチルアミン)の配合量が過多であるため、加工性(ムーニー粘度)が大幅に改善する一方で補強性(300%モジュラス)および粘弾性特性(60℃におけるtanδ)を維持することができなかった。