(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を組成するジエン系ゴムは、特に限定されるものではなく、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。なかでも天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましく、天然ゴム、ブタジエンゴムがより好ましい。これらジエン系ゴムは、その分子鎖の末端および/または側鎖がエポキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シリル基、アミド基等により、変性された変性ジエン系ゴムでもよい。
【0012】
上述したジエン系ゴムの平均ガラス転移温度は−50℃以下であることが好ましく、更に好ましくは−60℃〜−100℃であると良い。ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度を−50℃以下にすることにより、低温下でのゴムコンパウンドのしなやかさを維持し、氷面に対する凝着力を高くするので、スタッドレスタイヤのトレッド部に好適に使用することができる。なおガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度とする。また、ジエン系ゴムが油展品であるときは、油展成分(オイル)を含まない状態におけるジエン系ゴムのガラス転移温度とする。また、平均ガラス転移温度とは、各ジエン系ゴムのガラス転移温度に各ジエン系ゴムの質量分率を乗じた合計(ガラス転移温度の加重平均値)である。なお、すべてのジエン系ゴムの質量分率の合計を1とする。
【0013】
本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、カーボンブラックおよび/または白色充填剤を含有する。カーボンブラックおよび/または白色充填剤の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、カーボンブラックおよび白色充填剤の合計で30〜100質量部、好ましくは40〜90質量部、より好ましくは45〜80質量部である。カーボンブラックおよび白色充填剤の配合量を30質量部以上にすることによりゴム組成物の機械的特性を改良し耐摩耗性を向上することができる。またカーボンブラックおよび白色充填剤の配合量を100質量部以下にすることにより、ゴム組成物のしなやかさを維持し氷上性能を確保することができる。またタイヤにしたとき重量の増加を抑制することができる。
【0014】
カーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、HMF、SRF等のファーネスカーボンブラックが挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは70〜240m
2/g、より好ましくは90〜200m
2/gであるとよい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積を70m
2/g以上にすることにより、ゴム組成物の機械的特性および耐摩耗性を確保することができる。またカーボンブラックの窒素吸着比表面積を240m
2/g以下にすることにより、氷上性能を良好にすることができる。本明細書において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217−2に準拠して、測定するものとする。
【0015】
白色充填剤として、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウムを挙げることができる。これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。なかでもシリカが好ましく氷上性能をより優れたものにすることができる。
【0016】
シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。シリカのCTAB吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは80〜260m
2/g、より好ましくは140〜200m
2/gであるとよい。シリカのCTAB吸着比表面積を80m
2/g以上にすることにより、ゴム組成物の耐摩耗性を確保することができる。またシリカのCTAB吸着比表面積を200m
2/g以下にすることにより、ウェット性能および低転がり抵抗性を良好にすることができる。本明細書において、シリカのCTAB比表面積は、ISO 5794により測定された値とする。
【0017】
本発明では、シリカと共にシランカップリング剤を配合するとよい。シランカップリング剤を配合することにより、ジエン系ゴムに対するシリカの分散性を向上し、耐摩耗性および氷上性能のバランスをより高くすることができる。
【0018】
シランカップリング剤の種類は、シリカ配合のゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等の硫黄含有シランカップリング剤を例示することができる。
【0019】
シランカップリング剤の配合量は、シリカの重量に対し、好ましくは3〜15質量%を配合すると良く、より好ましくは5〜10質量%にすると良い。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の3質量%未満であるとシリカの分散を十分に改良することができない虞がある。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の15質量%を超えるとシランカップリング剤同士が縮合し、ゴム組成物における所望の硬度や強度を得ることができない。
【0020】
本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴムに相溶しない特定の(メタ)アクリル系液状ポリマーを配合することにより、氷上性能および耐摩耗性を改良する。ここで、「ジエン系ゴムに相溶しない」とは、ジエン系ゴムに包含される全ての種類のゴム成分に対し非相溶という意味ではなく、スタッドレスタイヤ用ゴム組成物に含有された具体的なジエン系ゴムに対し非相溶であればよい。ジエン系ゴムに相溶しない特定の(メタ)アクリル系液状ポリマーが、ジエン系ゴムと相分離構造を形成することにより、氷上性能を優れたものにすることができる。本明細書において「液状ポリマー」とは、室温以上の温度、少なくとも20℃の状態で液状、すなわち流動性を有するポリマーをいう。
【0021】
(メタ)アクリル系液状ポリマーは、ジエン系ゴム100質量部に対し1〜30質量部、好ましくは4〜30質量部、より好ましくは7〜25質量部配合する。(メタ)アクリル系液状ポリマーの配合量を1〜30質量部にすることにより、高いレベルの耐摩耗性を確保しながら、氷上性能およびウェットグリップ性能を従来レベル以上に向上することができる。
【0022】
ジエン系ゴムに相溶しない(メタ)アクリル系液状ポリマーのガラス転移温度は−30℃以下、好ましくは−30℃〜−90℃、より好ましくは−35℃〜−80℃である。(メタ)アクリル系液状ポリマーのガラス転移温度を−30℃以下にすることにより、低温下でのゴムコンパウンドのしなやかさを維持し、氷面に対する凝着力を高くするので、スタッドレスタイヤのトレッド部に好適に使用することができる。なおガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度とする。
【0023】
(メタ)アクリル系液状ポリマーの重量平均分子量は1000〜15000、好ましくは1500〜13000、より好ましくは2000〜10000である。(メタ)アクリル系液状ポリマーの重量平均分子量を1000以上にすることにより、氷上性能を改善しながら(メタ)アクリル系液状ポリマーのブリードアウト抑制できる。また(メタ)アクリル系液状ポリマーの重量平均分子量を15000以下にすることにより、氷上性能を改善できる。本明細書において(メタ)アクリル系液状ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し標準ポリスチレン換算により求めるものとする。
【0024】
本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を組成する(メタ)アクリル系液状ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーのみからなる低分子ポリマーである。(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に制限されるものではないが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル及び(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル及び(メタ)アクリル酸トリシクロデシニル等の(メタ)アクリル酸脂環式アルキル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン付加反応物等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸クロロエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル及び(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等のヘテロ原子含有(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらのアクリル系モノマーは、1種又は2種以上を用いることができる。さらに、(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルとそれ以外の共重合可能な単量体とを共重合させて得られるものであってもよい。共重合可能な単量体としては、例えばα−オレフィン類、ビニルエステル類及びビニルエーテル類等のビニル単量体が挙げられる。なお、上述した(メタ)アクリル系モノマーを構成するアルキル基は、アルコキシ基、アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基等、任意の官能基を有してもよい。これら(メタ)アクリル系モノマーは、単独または複数の種類を組合わせて重合することができる。(メタ)アクリル系モノマーの種類および重合比は、ガラス転移温度等の特性を調節するため、任意に設定することができる。
【0025】
(メタ)アクリル系液状ポリマーは、メタクリル酸エステルを50〜95質量%含むことが望ましい。この割合が50質量%より少ない場合、氷上性能が低下し、95質量%より多い場合、ビニル重合体(B)は十分な可塑効果が得られず氷上性能が低下する。
【0026】
本発明において、(メタ)アクリル系液状ポリマーはヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、アルコキシシリル基から選ばれる少なくとも1つにより変性されているとよい。これらの官能基は、(メタ)アクリル系液状ポリマーの骨格(主鎖)に対しする側鎖として存在することができる。またこれら官能基は、白色充填材、特にシリカに作用し、その分散性を向上することができる。従来、ヒドロキシ基やカルボキシ基で変性された液状イソプレンゴムや液状ブタジエンゴムなどの変性液状ゴムが、タイヤ用ゴム組成物に配合されたが、これらの変性液状ゴムは、ジエン系ゴムと相溶し取り込ませてしまうため、シリカの分散性を改良する効果が十分には得られなかった。これに対し、本発明では、ジエン系ゴムと相溶しない(メタ)アクリル系液状ポリマーを配合し、特にヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、アルコキシシリル基から選ばれる親水性官能基で変性することにより、シリカの分散性を一層向上させると共に、ゴム組成物に低温時のしなやかさを付与することができる。また(メタ)アクリル系液状ポリマーを親水性官能基で変性することにより、トレッドゴムに親水性を付与しウェットグリップ性能をより改良することができる。
【0027】
(メタ)アクリル系液状ポリマーは、上述した親水性官能基で変性されると共に、長鎖アルキル基で変性されてもよい。(メタ)アクリル系液状ポリマーが、親水性官能基および長鎖アルキル基で変性されることにより、ゴムへの親和性が向上し氷上性能を改善しながら(メタ)アクリル系液状ポリマーのブリードアウトを抑制できる。長鎖アルキル基と共にされる親水性官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、アルコキシシリル基が挙げられ、特にアルコキシシリル基が好ましい。長鎖アルキル基として、好ましくは炭素数が1〜24のアルキル基、より好ましくは炭素数が3〜18のアルキル基を例示することができる。
【0028】
本発明において、エポキシ基として、エポキシ基、グリシジル基、およびエポキシ基を有するアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。またアルコキシシリル基は、アルコキシジアルキルシリル基、ジアルコキシアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基のいずれでもよい。アルコキシジアルキルシリル基として、メトキシジメチルシリル基、メトキシジエチルシリル基、エトキシジメチルシリル基、エトキシジエチルシリル基、等を例示することができる。ジアルコキシアルキルシリル基として、ジメトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基、等を例示することができる。トリアルコキシシリル基として、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基、等を例示することができる。
【0029】
本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲内で配合することができる。またかかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
【0030】
本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、スタッドレスタイヤのトレッド部を形成するのに好適である。本発明のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物でトレッドゴムを構成したスタッドレスタイヤは、氷上性能および耐摩耗性を従来レベル以上に向上することができる。
【0031】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
表2に記載の共通組成を有し、表1に記載の(メタ)アクリル系液状ポリマー、液状ゴム、アロマオイルを配合した12種類のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物(実施例1〜5、標準例、比較例1〜6)を調製するにあたり、硫黄、加硫促進剤、および熱膨張性マイクロカプセルを除く成分を1.7Lのバンバリーミキサーで5分間混練し、145℃に達したとき放出し冷却しマスターバッチとした。得られたマスターバッチに、硫黄、加硫促進剤、および熱膨張性マイクロカプセルを加えて70℃のオープンロールで混練することにより、12種類のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を得た。なお、表1に記載の(メタ)アクリル系液状ポリマー、液状ゴム、アロマオイルの配合量は、表2に記載のジエン系ゴム100質量部に対する質量部として表されている。
【0033】
得られたスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を、所定形状の金型(内寸;長さ150mm、幅150mm、厚さ2mm)を用いて170℃、10分間加硫し、加硫ゴム試験片を作成した。得られた加硫ゴム試験片を使用して、以下に示す試験方法で氷上摩擦性能および耐摩耗性を測定した。また、得られたスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を使用してウェットグリップ性能の指標となる0℃のtanδを評価した。
【0034】
氷上摩擦性能
得られた加硫ゴム試験片を偏平円柱状の台ゴムに貼り付け、インサイドドラム型氷上摩擦試験機を用いて、測定温度−1.5℃、荷重5.5kg/cm
2、ドラム回転速度25km/hの条件で氷上摩擦係数を測定した。得られた氷上摩擦係数を、標準例の値を100とする指数にして、「氷上性能」の欄に示した。この指数値が大きいほど氷上摩擦係数が大きく氷上性能が優れることを意味する。
【0035】
ウェットグリップ性能
得られたスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を使用して、JIS K6394:2007に準じて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所製)を用い、伸張変形歪率10±2%、振動数20Hz、温度0℃の条件で、tanδ(0℃)を測定した。結果は、標準例の値を100として指数にして、「ウェット性能」の欄に示した。この指数が大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
【0036】
耐摩耗性
得られた加硫ゴム試験片をJIS K6264に準拠して、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所社製)を使用して、温度20℃、荷重39N、スリップ率30%、時間4分の条件で摩耗量を測定した。得られた結果は標準例の逆数を100にする指数とし、「耐摩耗性」の欄に示した。この指数が大きいほど耐摩耗性がが優れることを意味し、指数が95以上であれば実用することができる。
【0037】
【表1】
【0038】
なお、表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
・液状ポリマーA:未変性の(メタ)アクリル系液状ポリマー、東亞合成社製ARUFON UP−1110、重量平均分子量が3500、ガラス転移温度が−64℃
・液状ポリマーB:エポキシ基を有する(メタ)アクリル系液状ポリマー、東亞合成社製ARUFON UG−4010、重量平均分子量が3700、ガラス転移温度が−57℃
・液状ポリマーC:アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系液状ポリマー、東亞合成社製ARUFON US−6150、重量平均分子量が7000、ガラス転移温度が−48℃
・液状BR−1:未変性の液状ポリブタジエン、クレイバレー社製RICON 130、重量平均分子量が2500、ガラス転移温度が−100℃
・液状IR:未変性の液状ポリイソプレン、クラレ社製LIR−30、重量平均分子量が3000、ガラス転移温度が−63℃
・液状BR−2:エポキシ変性の液状ポリブタジエン、クレイバレー社製RICON 657、重量平均分子量が2500、ガラス転移温度が−105℃
・液状BR−3:エポキシ変性の液状ポリブタジエン、日本曹達(株)製JP−200MA、重量平均分子量が2000、ガラス転移温度が−10℃
・アロマオイル:富士興産(株)製アロマオイル
【0039】
【表2】
【0040】
なお、表2において使用した原材料の種類を下記に示す。
・天然ゴム:RSS#3
・ブタジエンゴム:日本ゼオン(株)製ポリブタジエンゴムNipol BR1220
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製カーボンブラックシースト6、窒素吸着比表面積が119m
2/g
・シリカ:日本シリカ工業(株)製Nipsil AQ、CTAB吸着比表面積が145m
2/g
・カップリング剤:硫黄含有シランカップリング剤、デクサ社製Si69
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:NOF社製ビーズステアリン酸
・老化防止剤:フレキシス社製6PPD
・マイクロカプセル:熱膨張性マイクロカプセル、松本油脂製薬(株)製マツモトマイクロスフェアーF
・硫黄:鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製ノクセラー CZ−G(CBS)
・加硫促進剤2:住友化学社製ソクシノールD−G(DPG)
【0041】
表1から明らかなように実施例1〜5のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、氷上性能、ウェットグリップ性能および耐摩耗性を従来レベル以上に改良することが確認された。
【0042】
比較例1のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、(メタ)アクリル系液状ポリマーの代わりに液状ポリブタジエンを配合したので、ウェットグリップ性能が劣る。
【0043】
比較例2のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、(メタ)アクリル系液状ポリマーの代わりに液状ポリイソプレンを配合したので、耐摩耗性およびウェットグリップ性能が劣る。
【0044】
比較例3のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、(メタ)アクリル系液状ポリマーの配合量が1質量部未満であるので、氷上性能、ウェットグリップ性能および耐摩耗性を改良することができない。
【0045】
比較例4のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、(メタ)アクリル系液状ポリマーの配合量が30質量部を超えるので、ウェットグリップ性能および耐摩耗性が劣る。
【0046】
比較例5のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、(メタ)アクリル系液状ポリマーの代わりにエポキシ変性の液状ポリブタジエンを配合したので、ウェットグリップ性能が劣る。
【0047】
比較例6のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物は、(メタ)アクリル系液状ポリマーの代わりにマレイン酸変性の液状ポリブタジエンを配合したので、氷上性能および耐摩耗性が劣る。