(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定用パラメータは、前記オプティカルフローが算出される時間的な密度、および、前記オプティカルフローが算出される空間的な密度の少なくともいずれか一つを含む、
請求項6に記載の画像処理装置。
前記過去に使用されたパラメータに関連する情報は、前記過去に使用されたパラメータを用いて判定がなされた事象の種類、前記判定に使用された動画像を撮像した撮像装置による撮像距離、および、前記撮像装置の画角の少なくともいずれか一つを含む、
請求項10に記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、異なる実施形態の類似する構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0025】
(0.概要)
まず、本実施形態の概要について説明する。一般的に、撮像装置によって撮像された動画像に基づいて、撮像された動画像(撮像動画像)に所定の事象が生じているか否かを判定する技術が知られている。例えば、撮像動画像に写る被写体の動きを検出し、被写体の動きと所定のパラメータとを比較することによって、撮像動画像に所定の事象が生じているか否かを判定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる技術においては、撮像装置の設置場所、および、1秒あたりの撮像フレーム数に従って、パラメータが選択される。
【0026】
しかし、本明細書においては、撮像装置によって撮像された動画像に所定の事象が生じているか否かをより高精度に判定することを可能とする技術について主に説明する。例えば、特許文献1に記載された技術においては、試行錯誤しながらパラメータを特定する必要があるため、パラメータの特定に手間が掛かってしまう。本明細書においては、パラメータの特定をより適切に行うことによって、より適切に特定したパラメータに基づいて、動画像に所定の事象が生じているか否かをより高精度に判定することを可能とする技術について主に説明する。
【0027】
以上、本実施形態の背景について説明した。
【0028】
(1.第1の実施形態)
続いて、第1の実施形態について説明する。
【0029】
[1−1.システムの概要]
まず、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例について説明する。
【0030】
図1は、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る画像処理システム1Aは、画像処理装置10Aと、撮像装置30とを備える。なお、後に説明する第2の実施形態に係る画像処理システム1Bは、画像処理装置10Aの代わりに画像処理装置10Bを備え、第3の実施形態に係る画像処理システム1Cは、画像処理装置10Aの代わりに画像処理装置10Cを備え、第4の実施形態に係る画像処理システム1Dは、画像処理装置10Aの代わりに画像処理装置10Dを備える。
【0031】
図1に示すように、画像処理装置10Aおよび撮像装置30は、有線または無線により通信を行うことが可能である。例えば、画像処理装置10Aおよび撮像装置30は、直接接続されていてもよいし、ネットワークを介して接続されていてもよい。画像処理装置10Aおよび撮像装置30がネットワークを介して接続されている場合、かかるネットワークの種類は特に限定されない。例えば、かかるネットワークは、インターネットを含んでいてよい。あるいは、撮像装置30は、画像処理装置10Aと別体ではなく、一体化されていてもよい。
【0032】
撮像装置30は、検出対象領域を含んだ撮像範囲を連続的に撮像して動画像を得る。ここで、撮像装置30が設置される位置は限定されない。また、検出対象領域は、撮像範囲の全体であってもよいし、一部であってもよい。なお、本明細書においては、撮像装置30が固定カメラである場合を主に想定する。しかし、撮像装置30は可動カメラであってもよい。例えば、撮像装置30は、PTZ(パン・チルト・ズーム)カメラであってもよい。撮像装置30によって撮像された動画像は、画像処理装置10Aに提供される。
【0033】
画像処理装置10Aは、撮像装置30から提供された動画像を取得する。そして、画像処理装置10Aは、撮像装置30から提供された動画像に基づいて、動画像に所定の事象が生じているか否かを判定する。所定の事象は特に限定されない。本明細書においては、所定の事象の例として、車両走行ルートの変化(例えば、避走など)を主に想定する。しかし、所定の事象は、他の車両走行ルートの変化(例えば、逆走など)であってもよい。
【0034】
あるいは、所定の事象は、車両走行ルートの変化以外の何らかの変化(例えば、正常時に規則的な動きを示すものが、異常時に示す規則に反した動きなど)であってもよい。例えば、車両走行ルートの変化は、ベルトコンベア上を搬送される物品の動きの変化に置き換えられてもよいし、人々の流れ(例えば、初詣に参拝する人々の流れなど)の変化に置き換えられてもよい。あるいは、所定の事象は、何らかの自然現象(例えば、土石流、落下物、がけ崩れ、津波、噴火など)であってもよい。なお、以下の説明においては、動画像に所定の事象が生じている状態を「動画像に異常が生じている」や「動画像が異常である」などとも言い、所定の事象が生じている状態の動画像を「異常が生じている動画像」などとも言う。また動画像に所定の事象が生じていない状態を「動画像に異常が生じていない」や「動画像が正常である」などとも言い、所定の事象が生じていない状態の動画像を「異常が生じていない動画像(正常な動画像)」などとも言う。
【0035】
このとき、画像処理装置10Aは、動画像に所定の事象が生じているか否かを判定するための判定用パラメータを特定する。画像処理装置10Aは、判定用パラメータを用いて、動画像に所定の事象が生じているか否かを判定する。また、画像処理装置10Aは、所定の事象が生じている領域を検知結果として出力することが可能である。なお、画像処理装置10Aによる判定の詳細については、後に詳細に説明する。
【0036】
なお、
図1に示した例では、画像処理装置10Aおよび撮像装置30がそれぞれ一つずつ存在する。しかし、画像処理装置10Aおよび撮像装置30は、それらのいずれか一方が複数存在してもよいし、それらの双方それぞれが複数ずつ存在してもよい。すなわち、画像処理装置10Aおよび撮像装置30それぞれの数は特に限定されない。
【0037】
以上、第1の実施形態に係る画像処理システム1Aの構成例について説明した。
【0038】
[1−2.画像処理装置の機能構成例]
続いて、第1の実施形態に係る画像処理装置10Aの機能構成例について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る画像処理装置10Aの機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、第1の実施形態に係る画像処理装置10Aは、制御部110A、操作部120、通信部130、記憶部140および表示部150を備える。
【0039】
制御部110Aは、CPU(Central Processing Unit)などを含み、記憶部140により記憶されているプログラムがCPUによりRAM(Random Access Memory)に展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、制御部110Aは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0040】
操作部120は、ユーザから入力される操作を受け付ける。また、操作部120は、ユーザから受け付けた操作を制御部110Aに提供することが可能である。本明細書においては、操作部120がタッチパネルである場合を主に想定するが、操作部120はタッチパネル以外の入力装置(例えば、ボタンなど)であってもよい。
【0041】
通信部130は、撮像装置30との間で通信を行うための通信インタフェースである。上記したように、本明細書においては、通信部130が有線による通信を行う場合を主に想定するが、通信部130は、無線による通信を行ってもよい。
【0042】
記憶部140は、制御部110Aを動作させるためのプログラムおよびデータを記憶することが可能な記憶装置である。また、記憶部140は、制御部110Aの動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってよい。
【0043】
表示部150は、制御部110Aによる制御に従って出力を行う機能を有する。例えば、表示部150は、制御部110Aによる検知結果を出力することが可能である。ここで、表示部150の形態は特に限定されない。例えば、表示部150は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、ランプなどの表示装置であってよい。
【0044】
なお、
図2に示した例では、操作部120、通信部130、記憶部140および表示部150が、画像処理装置10Aの内部に設けられている。しかし、これらの機能部の一部または全部は、画像処理装置10Aの外部に設けられていてもよい。ここで、制御部110Aは、データ取得部111、パラメータ特定部112A、状態判定部113および検知結果表示制御部114を備える。制御部110Aが備えるこれらの各機能部の詳細については、後に説明する。
【0045】
以上、第1の実施形態に係る画像処理装置10Aの機能構成例について説明した。
【0046】
[1−3.機能詳細]
続いて、画像処理システム1Aの機能詳細について説明する。まず、撮像装置30によって撮像された動画像(撮像動画像)に所定の事象が生じているか否かを判定する手法の例として、動画像に車両走行ルートの変化(例えば、避走など)が発生したか否かを判定する例を説明する。しかし、上記したように、動画像に所定の事象が生じているか否かの判定は、動画像に車両走行ルートの変化(例えば、避走など)が発生したか否かの判定に限定されない。
【0047】
図3は、車両走行ルートの変化が時系列に沿って撮像装置30によって撮像された複数の画像の例を示す図である。
図3を参照すると、撮像装置30によって時系列に沿って撮像された複数の画像の例が示されている。より具体的には、時刻の古いほうから順に、時刻T21において画像G21が撮像され、時刻T22において画像G22が撮像され、時刻T23において画像G23が撮像され、時刻T24において画像G24が撮像されている。
【0048】
ここでは、検出対象領域が画像の全体領域である場合を例として主に説明する。しかし、検出対象領域は、画像の全体領域に限定されない。例えば、検出対象領域は、画像の一部の領域であってもよい。
図3を参照すると、画像G21には、規則的な動きを示す車両が写っている。一方、画像G22には、土砂K2によって道路の一部が塞がれてしまったために、その土砂K2を避けるように走行する車両の動きが不規則になっている様子が写っている。画像G23および画像G24にも、不規則な動きを示す車両が写っている。
【0049】
なお、
図3に示した画像G21〜G24は、撮像装置30によって撮像された動画像の一部に過ぎない。したがって、画像G21〜G24の間(具体的には、画像G21と画像G22との間、画像G22と画像G23との間、画像G23と画像G24との間)には、撮像装置30によって撮像された他の画像が存在する。撮像装置30によって動画像が撮像されると、撮像装置30によって撮像された動画像は、撮像動画像として画像処理装置10Aに提供される。
【0050】
画像処理装置10Aにおいては、通信部130が撮像動画像を受信すると、データ取得部111が撮像動画像を取得する。状態判定部113は、データ取得部111によって取得された撮像動画像に異常が生じているか否かを判定する。なお、本明細書においては、状態判定部113が、パラメータ特定部112Aによって特定された判定用パラメータを用いて、撮像動画像に異常が生じているか否かを判定する場合を想定する。パラメータ特定部112Aによる判定用パラメータの特定については、後に詳細に説明する。
【0051】
図4は、状態判定部113の機能を説明するための図である。
図4を参照すると、通信部130によって受信された撮像動画像G2の例が示されている。撮像動画像G2には、
図3に示した画像G21〜G24も含まれている。
図4に示した例においては、撮像動画像G2に含まれる複数の画像のうち、撮像時刻が新しい画像ほど右側に示されている。状態判定部113は、
図4に示すように、撮像動画像G2のうち、隣接する2つの画像間の動きベクトルをそれぞれ画素ごとに算出することによって、オプティカルフローを検出する。
図4には、画素ごとの動きベクトル(オプティカルフロー)の時系列に沿った集合が、動き情報群M2として示されている。
【0052】
画像処理装置10Aにおいて、状態判定部113は、第1の時間範囲t21における動きベクトル(オプティカルフロー)の対応位置ごとの平均値を第1の平均特徴量として算出する。以下では、第1の平均特徴量を「長時間動き平均ベクトル」とも言う。なお、動き平均ベクトルは、動きベクトル(数式1)を用いて、以下の(数式2)のように表現され得る。
【0055】
図4を参照すると、長時間動き平均ベクトルV21が示されている。ここで、図面の簡便さのため、
図4には、長時間動き平均ベクトルV21として、一部の画素における動き平均ベクトルしか示されていない。しかし、本明細書においては、長時間動き平均ベクトルV21が、第1の時間範囲t21において対応する画素ごとに算出された動きベクトルの平均値である場合を想定する。
【0056】
一方、状態判定部113は、第1の時間範囲t21よりも短い第2の時間範囲t23における動きベクトル(オプティカルフロー)の対応位置ごとの平均値を第2の平均特徴量として算出する。以下では、第2の平均特徴量を「短時間動き平均ベクトル」とも言う。
【0057】
図4を参照すると、短時間動き平均ベクトルV23が示されている。ここで、図面の簡便さのため、
図4には、短時間動き平均ベクトルV23として、一部の画素における動き平均ベクトルしか示されていない。しかし、本明細書においては、短時間動き平均ベクトルV23が、第2の時間範囲t23において対応する画素ごとに算出された動きベクトルの平均値である場合を想定する。
【0058】
図4を参照すると、第1の時間範囲t21と第2の時間範囲t23とが異なるため、長時間動き平均ベクトルV21と短時間動き平均ベクトルV23との間には、差分が生じている。さらに、画像に何らかのノイズが含まれていたとしても、そのノイズの大部分は平均化によって相殺されてしまう。そのため、短時間動き平均ベクトルV23にはノイズがほとんど含まれなくなり、撮像動画像G2に異常が生じているか否かがより高精度に判定される。
【0059】
なお、
図4には、第1の時間範囲t21および第2の時間範囲t23の終了時点が現在(すなわち、最新の画像が撮像された時点)である例が示されている。しかし、第1の時間範囲t21および第2の時間範囲t23の終了時点は、厳密に現在でなくてもよい(すなわち、最新の画像よりも前の画像が撮像された時点)であってもよい。また、第1の時間範囲t21および第2の時間範囲t23は、厳密に一致していなくてもよい。すなわち、第1の時間範囲t21および第2の時間範囲t23の終了時点は、ずれていてもよい。
【0060】
状態判定部113は、長時間動き平均ベクトルV21と短時間動き平均ベクトルV23とに応じた所定の演算結果と閾値との関係に基づいて、撮像動画像G2に異常が生じているか否かを判定する。例えば、状態判定部113は、所定の演算結果が閾値を超える画素が存在する場合に、撮像動画像G2に異常が生じていると判定する。一方、状態判定部113は、所定の演算結果が閾値を超える画素が存在しない場合に、撮像動画像G2に異常が生じていないと判定する。
【0061】
ここで、長時間動き平均ベクトルV21と短時間動き平均ベクトルV23とに応じた所定の演算は特に限定されない。例えば、所定の演算は、長時間動き平均ベクトルV21と短時間動き平均ベクトルV23との間の角度(以下、「両ベクトルの間の角度」とも言う。)に応じた量、および、長時間動き平均ベクトルV21と短時間動き平均ベクトルV23との差分(以下、「差分ベクトル」とも言う。)の大きさに応じた量のうち、少なくともいずれか一つの演算を含んでもよい。
【0062】
ここで、両ベクトルの間の角度に応じた量は、角度の平均値であってもよいし、角度の分散であってもよい。また、差分ベクトルの大きさに応じた量は、差分ベクトルの大きさの平均値(または合計値)であってもよいし、差分ベクトルの大きさの変化量(例えば、差分ベクトルの大きさの時間による一階微分など)の平均値(または合計値)であってもよいし、差分ベクトルの大きさが所定の大きさを上回る領域(以下、「動き領域」とも言う。)の面積であってもよい。
【0063】
上記したように、本例では、車両走行ルートの変化が異常として判定される場合を想定している。ここで、車両走行ルートの変化などといった規則に反した動きが発生した場合には、動きの方向が変化することが想定される。そこで、規則に反した動きの発生が異常として判定される場合、状態判定部113による所定の演算は、長時間動き平均ベクトルV21と短時間動き平均ベクトルV23との間の角度に応じた量の演算であるのがよい。
【0064】
本例では、状態判定部113による所定の演算が、両ベクトルの間の角度の分散の演算である場合を例として主に説明する。ここで、動きベクトルは、(数3)のように表現され、動き平均ベクトル(長時間動き平均ベクトルV21および短時間動き平均ベクトルV23それぞれ)は、(数4)のように表現され、長時間動き平均ベクトルV21と短時間動き平均ベクトルV23との間の角度の平均値は、(数5)のように表現され、両ベクトルの間の角度の分散は、(数式6)のように表現される。
【0069】
状態判定部113は、所定の演算に基づいて得られた結果(この例では、両ベクトルの間の角度の分散)が閾値を超える画素が存在する場合に、撮像動画像G2に異常が生じていると判定する。一方、状態判定部113は、所定の演算に基づいて得られた結果(この例では、両ベクトルの間の角度の分散)が閾値を超える画素が存在しない場合に、撮像動画像G2に異常が生じていないと判定する。
【0070】
以上においては、状態判定部113による所定の演算が、長時間動き平均ベクトルV21と短時間動き平均ベクトルV23との間の角度に応じた量の演算である場合を主に説明した。しかし、上記したように、土石流の発生が異常として判定される場合も想定される。ここで、土石流などといった自然現象が発生した場合には、撮像動画像G2における動きの大きさが変化することが想定される。そこで、自然現象の発生が異常として判定される場合、状態判定部113による所定の演算は、差分ベクトルの大きさに応じた量の演算であるのがよい。
【0071】
ここでは、差分ベクトルの大きさに応じた量の演算として、差分ベクトルの大きさの平均値の演算である場合を例として主に説明する。ここで、長時間動き平均ベクトルV21、短時間動き平均ベクトルV23および差分ベクトルの大きさの平均値は、(数式7)のように表現される。
【0073】
以上において、状態判定部113が、撮像動画像に異常が生じているか否かを判定する例を説明した。上記したように、状態判定部113は、パラメータ特定部112Aによって特定された判定用パラメータを用いて、撮像動画像に異常が生じているか否かを判定する。ここで、判定用パラメータとしては、様々なパラメータが想定される。以下では、判定用パラメータの例について説明する。
【0074】
図5は、判定用パラメータの例を示す図である。
図5に示すように、判定用パラメータの種類としては、上記した第1の時間範囲t21、上記した第2の時間範囲t23、(上記した演算結果と比較される)閾値などが想定される。また、
図5に示すように、判定用パラメータの種類としては、密度などが想定される。密度は、オプティカルフローが算出される時間的な密度(例えば、1フレームごと、3フレームごとなど)であってもよいし、オプティカルフローが算出される空間的な密度(例えば、1画素ごと、3画素ごとなど)であってもよい。
【0075】
かかる判定用パラメータの値が変化した場合、異常が生じているという判定のされやすさは変化することが想定される。以下では、異常が生じているという判定がされやすいことを「異常判定の条件」が「緩い」とも言う。一方、異常が生じているという判定がされにくいことを「異常判定の条件」が「厳しい」とも言う。
【0076】
例えば、
図5に示すように、判定用パラメータが第1の時間範囲t21である場合、判定用パラメータの値が大きいほど、(第1の時間範囲t21と第2の時間範囲t23との差が大きくなりやすくなり、上記の演算結果が閾値を超えやすくなるため)異常判定の条件は厳しくなることが想定される。一方、
図5に示すように、判定用パラメータが第2の時間範囲t23である場合、判定用パラメータの値が小さいほど、(第1の時間範囲t21と第2の時間範囲t23との差が大きくなりやすくなり、上記の演算結果が閾値を超えやすくなるため)異常判定の条件は厳しくなることが想定される。
【0077】
また、
図5に示すように、判定用パラメータが閾値である場合、判定用パラメータの値が小さいほど、(上記の演算結果が閾値を超えやすくなるため)異常判定の条件は厳しくなることが想定される。一方、
図5に示すように、判定用パラメータが密度である場合、判定用パラメータの値が大きいほど、(上記の長時間動き平均ベクトルと上記の短時間動き平均ベクトルとの差が大きくなりやすくなり、上記の演算結果が閾値を超えやすくなるため)異常判定の条件は厳しくなることが想定される。
【0078】
以下では、パラメータ特定部112Aが、これらの判定用パラメータの一つを特定する例を説明する。しかし、パラメータ特定部112Aは、これらの判定用パラメータのいずれか二つ以上を特定してもよい。かかる場合には、パラメータ特定部112Aは、これらの判定用パラメータのいずれか二つ以上のそれぞれをどのようにして特定してもよい。一例として、パラメータ特定部112Aは、これらの判定用パラメータのいずれか二つ以上のそれぞれを独立的に特定してもよい。
【0079】
図6は、判定用パラメータを特定する手法の第1の例を説明するための図である。まず、記憶部140によって、先頭から末尾まで異常判定の条件が厳しい順に並べられた複数通りの候補パラメータがあらかじめ記憶されている。例えば、異常判定の条件が厳しい順とは、第1の時間範囲t21および密度であれば、大きい順(すなわち、降順)に相当し、第2の時間範囲t23および閾値であれば、小さい順(すなわち、昇順)に相当する。候補パラメータは、判定用パラメータの候補に相当する。また、ここでは、複数通りの候補パラメータの例として、異常判定の条件が厳しい順に並べられた候補パラメータP1〜P4が用いられる場合を想定する。しかし、候補パラメータの数は4つに限定されず、複数であればよい。
【0080】
データ取得部111は、記憶部140によって記憶されている候補パラメータP1〜P4を取得する。また、データ取得部111は、判定用パラメータを特定するための入力動画像を取得する。なお、本明細書においては、判定用パラメータを特定するための入力動画像と、状態判定部113によって異常が生じているか否かが判定される撮像動画像とにおいて、撮像対象領域が同じである場合を主に想定する。すなわち、判定用パラメータを特定するための入力動画像も、撮像装置30によって撮像されて画像処理装置10Aに提供される場合を主に想定する。しかし、判定用パラメータを特定するための入力動画像と、状態判定部113によって異常が生じているか否かが判定される撮像動画像とにおいて、撮像対象領域は異なっていてもよい。このとき、判定用パラメータを特定するための入力動画像は、あらかじめ記憶部140によって記憶されていてもよい。
【0081】
図6に示した例では、入力動画像に異常が生じていないこと(正常であること)が確認されている。入力動画像に異常が生じていないことは、どのように確認されてもよい。例えば、入力動画像に異常が生じていないことは入力動画像が撮像されるときに人によって確認されてもよい。あるいは、入力動画像に異常が生じていないことは、あらかじめ記憶部140によって記憶された入力動画像が再生されて表示されたときに人によって確認されてもよい。
【0082】
パラメータ特定部112Aは、候補パラメータP1〜P4の先頭から順に用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを、少なくとも判定結果が変化するまで繰り返し判定する。そして、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化する候補パラメータに基づいて、判定用パラメータを特定する。かかる構成によれば、状態判定部113によって誤判定される可能性を低減しつつ、異常判定の条件が緩すぎないような判定用パラメータを特定することが可能となる。したがって、かかる構成によれば、撮像動画像に異常が生じているか否かをより高精度に判定することが可能となる。
【0083】
図6に示した例では、パラメータ特定部112Aは、先頭の候補パラメータP1を用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを判定し、判定結果「異常」を得ている。続いて、パラメータ特定部112Aは、続く候補パラメータP2を用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを判定し、判定結果「異常」を得ている。したがって、候補パラメータP2においては、判定結果が「変化なし」である。
【0084】
続いて、パラメータ特定部112Aは、続く候補パラメータP3を用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを判定し、判定結果「正常」を得ている。したがって、候補パラメータP3においては、判定結果が「変化あり」である。そこで、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化する候補パラメータP3に基づいて、判定用パラメータを特定する。
【0085】
図6に示した例では、データ取得部111によって異常が生じていない入力動画像が取得されているため、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化する候補パラメータ(すなわち、入力動画像に対して異常と判定しなくなった候補パラメータ)P3を、判定用パラメータとして特定している。かかる構成によれば、状態判定部113によって誤判定される可能性を低減しつつ、異常判定の条件が緩すぎないような判定用パラメータを特定することが可能となる。
【0086】
さらに、異常が生じている入力動画像をあらかじめ用意するのが困難な場合も想定される。しかし、
図6に示した例のように、異常が生じていない入力動画像を用いて判定用パラメータが特定されれば、異常が生じている入力動画像をあらかじめ用意する必要がなくなる。また、
図6に示した例のように、異常判定の条件が厳しい順に候補パラメータを用いた判定を行うことによって、異常が生じている画素が検出された時点で次の候補パラメータを用いた判定に処理が移行されるため、処理時間が低減される。
【0087】
図7は、判定用パラメータを特定する手法の第2の例を説明するための図である。ここでは、記憶部140によって、先頭から末尾まで異常判定の条件が緩い順に並べられた複数通りの候補パラメータがあらかじめ記憶されている。例えば、異常判定の条件が緩い順とは、第1の時間範囲t21および密度であれば、小さい順(すなわち、昇順)に相当し、第2の時間範囲t23および閾値であれば、大きい順(すなわち、降順)に相当する。ここでは、複数通りの候補パラメータの例として、異常判定の条件が緩い順に並べられた候補パラメータP4〜P1が用いられる場合を想定する。
【0088】
データ取得部111は、記憶部140によって記憶されている候補パラメータP4〜P1を取得する。また、データ取得部111は、判定用パラメータを特定するための入力動画像を取得する。
図7に示した例では、入力動画像に異常が生じていないこと(正常であること)が確認されている。
【0089】
パラメータ特定部112Aは、候補パラメータP4〜P1の先頭から順に用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを、少なくとも判定結果が変化するまで繰り返し判定する。そして、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化する候補パラメータに基づいて、判定用パラメータを特定する。かかる構成によれば、状態判定部113によって誤判定される可能性を低減しつつ、異常判定の条件が緩すぎないような判定用パラメータを特定することが可能となる。したがって、かかる構成によれば、撮像動画像に異常が生じているか否かをより高精度に判定することが可能となる。
【0090】
図7に示した例では、パラメータ特定部112Aは、先頭の候補パラメータP4を用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを判定し、判定結果「正常」を得ている。続いて、パラメータ特定部112Aは、続く候補パラメータP3を用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを判定し、判定結果「正常」を得ている。したがって、候補パラメータP3においては、判定結果が「変化なし」である。
【0091】
続いて、パラメータ特定部112Aは、続く候補パラメータP2を用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを判定し、判定結果「異常」を得ている。したがって、候補パラメータP2においては、判定結果が「変化あり」である。そこで、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化する候補パラメータP2に基づいて、判定用パラメータを特定する。
【0092】
図7に示した例では、データ取得部111によって異常が生じていない入力動画像が取得されているため、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化する候補パラメータ(すなわち、入力動画像に対して異常と判定し始めた候補パラメータ)P2の一つ前の候補パラメータP3を、判定用パラメータとして特定している。かかる構成によれば、状態判定部113によって誤判定される可能性を低減しつつ、異常判定の条件が緩すぎないような判定用パラメータを特定することが可能となる。
【0093】
さらに、異常が生じている入力動画像をあらかじめ用意するのが困難な場合も想定される。しかし、
図7に示した例のように、異常が生じていない入力動画像を用いて判定用パラメータが特定されれば、異常が生じている入力動画像をあらかじめ用意する必要がなくなる。
【0094】
図8は、判定用パラメータを特定する手法の第3の例を説明するための図である。まず、記憶部140によって、先頭から末尾まで異常判定の条件が厳しい順に並べられた複数通りの候補パラメータがあらかじめ記憶されている。例えば、異常判定の条件が厳しい順とは、第1の時間範囲t21および密度であれば、大きい順(すなわち、降順)に相当し、第2の時間範囲t23および閾値であれば、小さい順(すなわち、昇順)に相当する。ここでは、複数通りの候補パラメータの例として、異常判定の条件が厳しい順に並べられた候補パラメータP1〜P4が用いられる場合を想定する。しかし、候補パラメータの数は4つに限定されず、複数であればよい。
【0095】
データ取得部111は、記憶部140によって記憶されている候補パラメータP1〜P4を取得する。また、データ取得部111は、判定用パラメータを特定するための入力動画像を取得する。
【0096】
図8に示した例では、入力動画像に異常が生じていることが確認されている。入力動画像に異常が生じていることは、どのように確認されてもよい。例えば、入力動画像に異常が生じていることは入力動画像が撮像されるときに人によって確認されてもよい。あるいは、入力動画像に異常が生じていることは、あらかじめ記憶部140によって記憶された入力動画像が再生されて表示されたときに人によって確認されてもよい。
【0097】
パラメータ特定部112Aは、候補パラメータP1〜P4の先頭から順に用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを、少なくとも判定結果が変化するまで繰り返し判定する。そして、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化する候補パラメータに基づいて、判定用パラメータを特定する。かかる構成によれば、状態判定部113によって誤判定される可能性を低減しつつ、異常判定の条件が緩すぎないような判定用パラメータを特定することが可能となる。したがって、かかる構成によれば、撮像動画像に異常が生じているか否かをより高精度に判定することが可能となる。
【0098】
図8に示した例では、パラメータ特定部112Aは、先頭の候補パラメータP1を用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを判定し、判定結果「異常」を得ている。続いて、パラメータ特定部112Aは、続く候補パラメータP2を用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを判定し、判定結果「異常」を得ている。したがって、候補パラメータP2においては、判定結果が「変化なし」である。続いて、パラメータ特定部112Aは、続く候補パラメータP3を用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを判定し、判定結果「異常」を得ている。したがって、候補パラメータP3においては、判定結果が「変化なし」である。
【0099】
続いて、パラメータ特定部112Aは、続く候補パラメータP4を用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを判定し、判定結果「正常」を得ている。したがって、候補パラメータP4においては、判定結果が「変化あり」である。そこで、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化する候補パラメータP4に基づいて、判定用パラメータを特定する。
【0100】
図8に示した例では、データ取得部111によって異常が生じている入力動画像が取得されているため、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化する候補パラメータ(すなわち、入力動画像に対して異常と判定しなくなった候補パラメータ)P4の一つ前の候補パラメータP4を、判定用パラメータとして特定している。かかる構成によれば、状態判定部113によって誤判定される可能性を低減しつつ、異常判定の条件が緩すぎないような判定用パラメータを特定することが可能となる。
【0101】
さらに、
図8に示した例のように、異常判定の条件が厳しい順に候補パラメータを用いた判定を行うことによって、異常が生じている画素が検出された時点で次の候補パラメータを用いた判定に処理が移行されるため、処理時間が低減される。
【0102】
図9は、判定用パラメータを特定する手法の第4の例を説明するための図である。ここでは、記憶部140によって、先頭から末尾まで異常判定の条件が緩い順に並べられた複数通りの候補パラメータがあらかじめ記憶されている。例えば、異常判定の条件が緩い順とは、第1の時間範囲t21および密度であれば、小さい順(すなわち、昇順)に相当し、第2の時間範囲t23および閾値であれば、大きい順(すなわち、降順)に相当する。ここでは、複数通りの候補パラメータの例として、異常判定の条件が緩い順に並べられた候補パラメータP4〜P1が用いられる場合を想定する。
【0103】
データ取得部111は、記憶部140によって記憶されている候補パラメータP4〜P1を取得する。また、データ取得部111は、判定用パラメータを特定するための入力動画像を取得する。
図9に示した例では、入力動画像に異常が生じていることが確認されている。
【0104】
パラメータ特定部112Aは、候補パラメータP4〜P1の先頭から順に用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを、少なくとも判定結果が変化するまで繰り返し判定する。そして、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化する候補パラメータに基づいて、判定用パラメータを特定する。かかる構成によれば、状態判定部113によって誤判定される可能性を低減しつつ、異常判定の条件が緩すぎないような判定用パラメータを特定することが可能となる。したがって、かかる構成によれば、撮像動画像に異常が生じているか否かをより高精度に判定することが可能となる。
【0105】
図9に示した例では、パラメータ特定部112Aは、先頭の候補パラメータP4を用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを判定し、判定結果「正常」を得ている。続いて、パラメータ特定部112Aは、続く候補パラメータP3を用いて、入力動画像に異常が生じているか否かを判定し、判定結果「異常」を得ている。したがって、候補パラメータP3においては、判定結果が「変化あり」である。そこで、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化する候補パラメータP3に基づいて、判定用パラメータを特定する。
【0106】
図9に示した例では、データ取得部111によって異常が生じている入力動画像が取得されているため、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化する候補パラメータ(すなわち、入力動画像に対して異常と判定し始めた候補パラメータ)P3を、判定用パラメータとして特定している。かかる構成によれば、状態判定部113によって誤判定される可能性を低減しつつ、異常判定の条件が緩すぎないような判定用パラメータを特定することが可能となる。
【0107】
続いて、第1の実施形態に係る画像処理システム1Aにおける判定用パラメータ特定の動作例について説明する。
図10は、第1の実施形態に係る画像処理システム1Aにおける判定用パラメータ特定の動作例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する判定用パラメータ特定の動作例は、画像処理システム1Aにおける判定用パラメータ特定の動作の一例に過ぎない。したがって、画像処理システム1Aにおける判定用パラメータ特定の動作は、以下に説明する判定用パラメータ特定の動作例に限定されない。
【0108】
まず、画像処理装置10Aにおいては、データ取得部111によって入力動画像が取得される(S11)。続いて、パラメータ特定部112Aは、記憶部140から最初の候補パラメータを取得する(S12)。パラメータ特定部112Aは、取得した候補パラメータを用いて入力動画像に異常が生じているか否かを判定することによって、判定結果を得る。
【0109】
続いて、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化しない限り(S13において「No」)、次の候補パラメータを取得し(S14)、取得した候補パラメータを用いて入力動画像に異常が生じているか否かを判定することによって、判定結果を得て、S13に動作を移行させる。一方、パラメータ特定部112Aは、判定結果が変化した場合(S13において「Yes」)、判定結果が変化した際の候補パラメータに基づいて、判定用パラメータを特定し(S15)、判定用パラメータ特定の動作を終了させる。
【0110】
このようにして特定された判定用パラメータを用いて、状態判定部113によって、撮像動画像に異常が生じているか否かが判定される。検知結果表示制御部114は、状態判定部113によって、撮像動画像に異常が生じていると判定された場合、異常の検知結果の表示を制御する。一例として、検知結果表示制御部114は、状態判定部113によって、撮像動画像に異常が生じていると判定された場合、異常が生じている領域(異常検知領域)が検知結果の例として表示されるように表示部150を制御する。
【0111】
図11は、異常検知領域の表示例を示す図である。
図11を参照すると、検知結果表示制御部114は、撮像動画像G25が表示部150によって表示されるように、表示部150を制御している。また、検知結果表示制御部114は、撮像動画像G25における異常検知領域D25(例えば、車両の避走が検知された領域)が他の領域と異なる態様によって表示されるように表示部150を制御している。例えば、
図11に示した例のように、検知結果表示制御部114は、撮像動画像G25における異常検知領域D25に対して所定の表示オブジェクト(例えば、網掛けなど)が表示されるように表示部150を制御してもよい。
【0112】
続いて、第1の実施形態に係る画像処理システム1Aにおける状態判定の動作例について説明する。
図12は、第1の実施形態に係る画像処理システム1Aにおける状態判定の動作例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する状態判定の動作例は、画像処理システム1Aにおける状態判定の動作の一例に過ぎない。したがって、画像処理システム1Aにおける状態判定の動作は、以下に説明する状態判定の動作例に限定されない。
【0113】
まず、画像処理装置10Aにおいて、状態判定部113は、パラメータ特定部112Aによって特定された判定用パラメータを取得する(S21)。続いて、撮像装置30は、動画像を撮像し、撮像した動画像を画像処理装置10Aに提供する。撮像装置30によって提供された動画像は、データ取得部111によって撮像動画像として取得される(S22)。続いて、状態判定部113は、判定用パラメータと撮像動画像とに基づいて、状態判定(撮像動画像に異常が生じているか否かの判定)を行って判定結果を得る(S23)。
【0114】
検知結果表示制御部114は、判定結果が異常である場合(S24において「Yes」)、異常が生じている領域(異常検知領域)が検知結果の例として表示されるように表示部150を制御し(S25)、処理をS26に移行させる。一方、状態判定部113は、判定結果が正常である場合(S24において「No」)、動作をS26に移行させる。データ取得部111は、動作を継続する場合には(S26において「No」)、動作をS22に移行させる。一方、データ取得部111は、動作を終了させる場合には(S26において「Yes」)、動作を終了させる。
【0115】
以上、第1の実施形態について説明した。
【0116】
(2.第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。
図1に示したように、第2の実施形態に係る画像処理システム1Bは、第1の実施形態に係る画像処理システム1Aと比較して、画像処理装置10Aの代わりに画像処理装置10Bを備える。したがって、以下では、撮像装置30についての説明は省略し、画像処理装置10Bについて主に説明する。
【0117】
[2−1.画像処理装置の機能構成例]
まず、第2の実施形態に係る画像処理装置10Bの機能構成例について説明する。
図13は、第2の実施形態に係る画像処理装置10Bの機能構成例を示すブロック図である。
図13に示すように、第2の実施形態に係る画像処理装置10Bは、第1の実施形態に係る画像処理装置10Aと比較して、制御部110Aの代わりに制御部110Bを備える。したがって、以下では、操作部120、通信部130、記憶部140および表示部150についての説明は省略し、制御部110Bのうち制御部110Aとの差分について主に説明する。
【0118】
図13に示すように、制御部110Bは、制御部110Aと同様に、データ取得部111、パラメータ特定部112A、状態判定部113および検知結果表示制御部114を備える。また、制御部110Bは、オプティカルフロー検出部115、オプティカルフロー表示制御部116およびパラメータ変更部117を備える。制御部110Bが備えるこれらの各機能部の詳細について、後に説明する。
【0119】
[2−2.機能詳細]
続いて、画像処理システム1Bの機能詳細について説明する。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、データ取得部111が、撮像動画像を取得する。そして、第2の実施形態においては、オプティカルフロー検出部115が、データ取得部111によって取得された撮像動画像に基づいて、オプティカルフローを検出する。オプティカルフロー表示制御部116は、オプティカルフローに応じた表示を制御する。
【0120】
図14は、オプティカルフローの表示例を示す図である。
図14を参照すると、オプティカルフロー表示制御部116は、画素ごとの動きベクトル(オプティカルフロー)の時系列に沿った集合(動き情報群M2)が表示部150によって表示されるように、表示部150を制御している。なお、
図14に示した例においては、矢印の向きによって、動きベクトルの向きが示され、矢印の大きさによって動きベクトルの大きさが示されている。しかし、動きベクトルの向きおよび大きさは、他の態様によって示されてもよい。例えば、動きベクトルの向きは、色の種類(例えば、黄色、赤色など)の違いによって示されてもよいし、動きベクトルの大きさは、色の濃淡によって示されてもよい。
【0121】
また、
図14に示すように、オプティカルフロー表示制御部116は、判定用パラメータを変更するための表示オブジェクト(例えば、スライダ)の表示を制御する。ユーザは、かかる表示オブジェクトを操作することによって、判定用パラメータの変更操作を入力することが可能である。なお、表示オブジェクトは、スライダに限定されない。例えば、表示オブジェクトは、判定用パラメータを直接入力するための入力欄などであってもよい。また、
図14に示された例では、判定用パラメータとして、第1の時間範囲t21、第2の時間範囲t23、閾値および密度が表示されている。
【0122】
第2の実施形態において、ユーザは、このようにして表示されたオプティカルフローを見ながら、判定用パラメータの変更操作によって、判定用パラメータを変更することが可能である。第2の実施形態は、ユーザが、パラメータ特定部112Aによって特定された判定用パラメータを変更(調整)する場合に有用である。判定用パラメータの変更操作がユーザによって入力された場合、パラメータ変更部117は、変更操作に基づいて、判定用パラメータを変更する。例えば、
図14に示したように、オプティカルフロー表示制御部116によって、OKボタン151の表示が制御される場合、判定用パラメータの変更操作は、OKボタン151を選択する操作によって確定されてもよい。
【0123】
状態判定部113は、判定用パラメータが変更されない場合、パラメータ特定部112Aによって特定された判定用パラメータを用いて、状態判定(撮像動画像に異常が生じているか否かの判定)を行えばよい。一方、状態判定部113は、パラメータ変更部117によって判定用パラメータが変更された場合、変更後の判定用パラメータを用いて、状態判定(撮像動画像に異常が生じているか否かの判定)を行えばよい。
【0124】
なお、オプティカルフロー検出部115によって検出されたオプティカルフローは、記憶部140に記録されて、後に使用されてもよい。ここで、記憶部140に記録されたオプティカルフローはどのように使用されてもよい。一例として、状態判定部113によって誤判定がされた場合、パラメータ特定部112Aは、記憶部140に記録されている過去のオプティカルフローを取得し、過去のオプティカルフローに基づいて、判定用パラメータを再度特定してもよい。
【0125】
続いて、第2の実施形態に係る画像処理システム1Bにおける判定用パラメータ変更の動作例について説明する。
図15は、第2の実施形態に係る画像処理システム1Bにおける判定用パラメータ変更の動作例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する状態判定の動作例は、画像処理システム1Bにおける判定用パラメータ変更の動作の一例に過ぎない。したがって、画像処理システム1Bにおける判定用パラメータ変更の動作は、以下に説明する判定用パラメータ変更の動作例に限定されない。
【0126】
まず、画像処理装置10Bにおいて、オプティカルフロー表示制御部116は、パラメータ特定部112Aによって特定された判定用パラメータを取得する(S31)。続いて、撮像装置30は、動画像を撮像し、撮像した動画像を画像処理装置10Bに提供する。撮像装置30によって提供された動画像は、データ取得部111によって撮像動画像として取得される(S32)。続いて、オプティカルフロー検出部115は、撮像動画像からオプティカルフローを検出する(S33)。
【0127】
オプティカルフロー表示制御部116は、オプティカルフローの表示を制御する(S34)。このとき、オプティカルフロー表示制御部116は、パラメータ特定部112Aによって特定された判定用パラメータの表示を制御してよい。そうすれば、現在の判定用パラメータをユーザに把握させることが可能である。パラメータ変更部117は、操作部120によって判定用パラメータの変更操作が検出された場合、変更操作に基づいて、判定用パラメータを変更する(S36)。
【0128】
データ取得部111は、動作を継続する場合には(S37において「No」)、動作をS32に移行させる。一方、データ取得部111は、動作を終了させる場合には(S37において「Yes」)、動作を終了させる。
【0129】
以上、第2の実施形態について説明した。
【0130】
(3.第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。
図1に示したように、第3の実施形態に係る画像処理システム1Cは、第1の実施形態に係る画像処理システム1Aと比較して、画像処理装置10Aの代わりに画像処理装置10Cを備える。したがって、以下では、撮像装置30についての説明は省略し、画像処理装置10Cについて主に説明する。
【0131】
[3−1.画像処理装置の機能構成例]
まず、第3の実施形態に係る画像処理装置10Cの機能構成例について説明する。
図16は、第3の実施形態に係る画像処理装置10Cの機能構成例を示すブロック図である。
図16に示すように、第3の実施形態に係る画像処理装置10Cは、第1の実施形態に係る画像処理装置10Aと比較して、制御部110Aの代わりに制御部110Cを備える。したがって、以下では、操作部120、通信部130、記憶部140および表示部150についての説明は省略し、制御部110Cのうち制御部110Aとの差分について主に説明する。
【0132】
図16に示すように、制御部110Cは、制御部110Aと同様に、データ取得部111、状態判定部113および検知結果表示制御部114を備える。また、制御部110Cは、パラメータ特定部112B、パラメータ情報記録制御部118およびパラメータ情報表示制御部119を備える。制御部110Cが備えるこれらの各機能部の詳細について、後に説明する。
【0133】
[3−2.機能詳細]
続いて、画像処理システム1Cの機能詳細について説明する。第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、データ取得部111が、入力動画像を取得する。そして、第3の実施形態においては、パラメータ特定部112Bは、過去に使用されたパラメータが記憶部140に記録されていない場合、第1の実施形態と同様に、入力動画像に基づいて、判定用パラメータを特定する。パラメータ特定部112Bによって特定された判定用パラメータが状態判定部113によって使用されると、パラメータ情報記録制御部118は、状態判定部113によって使用された判定用パラメータが、過去に使用されたパラメータとして記憶部140に記録されるように制御する。
【0134】
また、パラメータ情報記録制御部118は、状態判定部113によって使用された判定用パラメータに関連する情報も、過去に使用されたパラメータに関連する情報として、記憶部140に記録されるように制御してよい。
【0135】
図17は、過去に使用されたパラメータおよび過去に使用されたパラメータに関連する情報の例を示す図である。
図17に示すように、過去に使用されたパラメータに関連する情報は、過去に使用されたパラメータを用いて判定がなされた事象の種類を含んでもよい。事象の種類は、状態判定部113によって判定可能であるとして上記した各種の事象であってよい。
図17に示した例では、事象の種類として、避走、逆走、落下物、がけ崩れが示されている。
【0136】
また、
図17に示したように、過去に使用されたパラメータに関連する情報は、状態判定部113による判定に使用された撮像動画像を撮像した撮像装置30の画角を含んでもよい。また、
図17に示したように、過去に使用されたパラメータに関連する情報は、撮像装置30による撮像距離(例えば、撮像装置30から道路までの最短距離など)を含んでもよい。
【0137】
ここで、過去に使用されたパラメータに関連する情報は、どのようにして設定されてもよい。例えば、事象の種類は、ユーザによって設定されてもよいし、状態判定部113によって撮像動画像から自動的に決定されてもよい。また、撮像距離は、ユーザによって設定されてもよいし、状態判定部113によって撮像動画像から自動的に測定されてもよい。また、画角は、撮像装置30から取得されてよい。
【0138】
パラメータ特定部112Bは、過去に使用されたパラメータが記憶部140に記録されている場合、過去に使用されたパラメータを用いて、入力動画像に過去に使用されたパラメータに対応する事象が生じているか否かを判定する。
【0139】
そして、データ取得部111によって、かかる事象が生じていないことが確認された入力動画像(正常な入力動画像)が取得された場合、かつ、パラメータ特定部112Bによって、過去に使用されたパラメータを用いて、入力動画像に事象が生じていない(入力動画像が正常である)と判定された場合、過去に使用されたパラメータは、誤判定されないパラメータであると考えられる。そこで、かかる場合、パラメータ情報表示制御部119は、過去に使用されたパラメータおよび過去に使用されたパラメータに関連する情報のうち、少なくともいずれか一方の表示を制御してよい。これにより第3の実施形態に係る画像処理システム1Cは、データ取得部111によって取得された入力動画像に対して過去に使用されたパラメータを用いても、適切にかかる事象の発生を判定できることを、ユーザに提示することができる。
【0140】
図18は、過去に使用されたパラメータを用いた判定結果の例を示す図である。
図18に示した例では、データ取得部111によって取得された入力動画像に各事象が生じていない(入力動画像が正常である)ことが確認されている。また、パラメータ特定部112Bによって、過去に使用されたパラメータP5を用いて、入力動画像に事象「避走」が生じていない(入力動画像が正常である)と判定されている。また、パラメータ特定部112Bによって、過去に使用されたパラメータP6を用いて、入力動画像に事象「逆走」が生じていない(入力動画像が正常である)と判定されている。
【0141】
一方、パラメータ特定部112Bによって、過去に使用されたパラメータP7を用いて、入力動画像に事象「落下物」が生じている(入力動画像が異常である)と判定されている。また、パラメータ特定部112Bによって、過去に使用されたパラメータP8を用いて、入力動画像に事象「がけ崩れ」が生じている(入力動画像が異常である)と判定されている。
【0142】
かかる例においては、過去に使用されたパラメータP5、過去に使用されたパラメータP6が、誤判定されないパラメータであると考えられる。そこで、かかる場合、パラメータ情報表示制御部119は、過去に使用されたパラメータP5および過去に使用されたパラメータP5に関連する情報のうち、少なくともいずれか一方の表示を制御してよい。また、パラメータ情報表示制御部119は、過去に使用されたパラメータP6および過去に使用されたパラメータP6に関連する情報のうち、少なくともいずれか一方の表示を制御してよい。これにより第3の実施形態に係る画像処理システム1Cは、データ取得部111によって取得された入力動画像に対して過去に使用されたパラメータP5またはP6を用いても、適切にかかる事象(避走または逆走)の発生を判定できることを、ユーザに提示することができる。
【0143】
図19は、過去に使用されたパラメータおよび過去に使用されたパラメータに関連する情報の表示例を示す図である。
図19に示したように、パラメータ情報表示制御部119は、過去に使用されたパラメータP5および過去に使用されたパラメータP5に関連する情報(事象の種類、撮像距離、画角)の表示を制御してよい。また、パラメータ情報表示制御部119は、過去に使用されたパラメータP6および過去に使用されたパラメータP6に関連する情報(事象の種類、撮像距離、画角)の表示を制御してよい。
【0144】
パラメータ特定部112Bは、過去に使用されたパラメータの選択操作が入力された場合、過去に使用されたパラメータを判定用パラメータとして特定する。例えば、
図19に示したように、パラメータ情報表示制御部119によって、OKボタン151の表示が制御される場合、過去に使用されたパラメータの選択操作は、OKボタン151を選択する操作によって確定されてもよい。また、パラメータ情報表示制御部119によって、取消ボタン152の表示が制御される場合、過去に使用されたパラメータの選択操作は、取消ボタン152を選択する操作によって取り消されてもよい。
【0145】
なお、データ取得部111によって事象が生じている(入力動画像が異常である)ことが確認された入力動画像が取得された場合、かつ、パラメータ特定部112Bによって入力動画像に事象が生じている(入力動画像が異常である)と判定された場合、過去に使用されたパラメータは、誤判定されないパラメータであると考えられる。そこで、かかる場合、パラメータ情報表示制御部119は、過去に使用されたパラメータおよび過去に使用されたパラメータに関連する情報のうち、少なくともいずれか一方の表示を制御してよい。これにより第3の実施形態に係る画像処理システム1Cは、データ取得部111によって取得された入力動画像に対して過去に使用されたパラメータを用いても、適切にかかる事象の発生を判定できることを、ユーザに提示することができる。そして、パラメータ特定部112Bは、過去に使用されたパラメータの選択操作が入力された場合、過去に使用されたパラメータを判定用パラメータとして特定すればよい。
【0146】
以上、第3の実施形態について説明した。
【0147】
(4.第4の実施形態)
続いて、第4の実施形態について説明する。
図1に示したように、第4の実施形態に係る画像処理システム1Dは、第1の実施形態に係る画像処理システム1Aと比較して、画像処理装置10Aの代わりに画像処理装置10Dを備える。したがって、以下では、撮像装置30についての説明は省略し、画像処理装置10Dについて主に説明する。
【0148】
[4−1.画像処理装置の機能構成例]
まず、第4の実施形態に係る画像処理装置10Dの機能構成例について説明する。
図20は、第4の実施形態に係る画像処理装置10Dの機能構成例を示すブロック図である。
図20に示すように、第4の実施形態に係る画像処理装置10Dは、第1の実施形態に係る画像処理装置10Aと比較して、制御部110Aの代わりに制御部110Dを備える。したがって、以下では、操作部120、通信部130、記憶部140および表示部150についての説明は省略し、制御部110Dのうち制御部110Aとの差分について主に説明する。
【0149】
図20に示すように、制御部110Dは、制御部110Aと同様に、データ取得部111、状態判定部113および検知結果表示制御部114を備える。また、制御部110Dは、パラメータ特定部112C、領域情報取得部121を備える。制御部110Dが備えるこれらの各機能部の詳細について、後に説明する。
【0150】
[4−2.機能詳細]
続いて、画像処理システム1Dの機能詳細について説明する。第4の実施形態においては、状態判定部113が、入力動画像における複数の検出対象領域ごとに異なる状態判定を行う(複数の検出対象領域ごとに異なる事象が生じているか否かを判定する)。なお以降の説明において、複数の検出対象領域のそれぞれを単に「領域」と言う。記憶部140には、領域ごとに座標と事象の種類との対応関係が記録されている。したがって、領域情報取得部121は、領域ごとの座標と事象の種類との対応関係(領域情報)を取得し、パラメータ特定部112Cは、記憶部140に記録されている対応関係に基づいて、領域ごとに異なる判定用パラメータを特定する。
【0151】
図21は、領域ごとの座標と事象の種類との対応関係の例を示す図である。
図21に示すように、領域R1に生じているか否かが判定される事象の種類「逆走」と領域R1の座標「r1」とが対応付けられている。また、領域R2に生じているか否かが判定される事象の種類「避走」と領域R2の座標「r2」とが対応付けられている。第4の実施形態においては、かかる対応関係が、記憶部140にあらかじめ記録されている。なお、
図21に示した例では、領域R1と領域R2とが隣接しているが、領域R1と領域R2とは、離れていてもよいし、一部が重複していてもよい。
【0152】
第1の実施形態と同様に、データ取得部111は、入力動画像を取得する。そして、第4の実施形態においては、パラメータ特定部112Cは、領域ごとの座標と事象の種類との対応関係を取得する。パラメータ特定部112Cは、領域ごとの座標と事象の種類とに基づいて、領域ごとに判定用パラメータを特定する。1つの領域あたりの判定用パラメータの特定は、第1の実施形態に係る判定用パラメータの特定と同様になされてよい。かかる構成によれば、領域ごとに異なる事象に対応する判定用パラメータが特定されるため、領域ごとに異なった事象が生じているか否かの判定をより高精度に行うことが可能となる。
【0153】
続いて、第4の実施形態に係る画像処理システム1Dにおける判定用パラメータ特定の動作例について説明する。
図22は、第4の実施形態に係る画像処理システム1Dにおける判定用パラメータ特定の動作例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する判定用パラメータ特定の動作例は、画像処理システム1Dにおける判定用パラメータ特定の動作の一例に過ぎない。したがって、画像処理システム1Dにおける判定用パラメータ特定の動作は、以下に説明する判定用パラメータ特定の動作例に限定されない。
【0154】
まず、画像処理装置10Dにおいては、データ取得部111によって入力動画像が取得される(S11)。続いて、パラメータ特定部112Cは、最初の領域の座標を取得する(S16)。そして、パラメータ特定部112Cは、記憶部140から最初の候補パラメータを取得する(S12)。パラメータ特定部112Cは、取得した候補パラメータを用いて入力動画像にその領域の事象が生じているか否かを判定することによって、判定結果を得る。
【0155】
続いて、パラメータ特定部112Cは、判定結果が変化しない限り(S13において「No」)、次の候補パラメータを取得し(S14)、取得した候補パラメータを用いて入力動画像にその領域の事象が生じているか否かを判定することによって、判定結果を得て、S13に動作を移行させる。一方、パラメータ特定部112Cは、判定結果が変化した場合(S13において「Yes」)、判定結果が変化した際の候補パラメータに基づいて、その領域の判定用パラメータを特定する(S17)。
【0156】
パラメータ特定部112Cは、全領域の判定用パラメータを特定しない限り(S18において「No」)、次の領域の座標を取得し(S19)、取得した候補パラメータを用いて入力動画像にその領域の事象が生じているか否かを判定することによって、判定結果を得て、S13に動作を移行させる。一方、パラメータ特定部112Cは、全領域の判定用パラメータを特定した場合(S18において「Yes」)、判定用パラメータ特定の動作を終了させる。
【0157】
以上、第4の実施形態について説明した。
【0158】
(5.ハードウェア構成例)
続いて、本発明の実施形態に係る画像処理装置10のハードウェア構成例について説明する。
【0159】
図23は、本発明の実施形態に係る画像処理装置10のハードウェア構成を示す図である。画像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904と、ブリッジ905と、外部バス906と、インタフェース907と、入力装置908と、出力装置909と、ストレージ装置910と、通信装置911と、を備える。
【0160】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って画像処理装置10内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバス等から構成されるホストバス904により相互に接続されている。
【0161】
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バス等の外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0162】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバー等ユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路等から構成されている。画像処理装置10を操作するユーザは、この入力装置908を操作することにより、画像処理装置10に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0163】
出力装置909は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、ランプ等の表示装置およびスピーカ等の音声出力装置を含む。
【0164】
ストレージ装置910は、データ格納用の装置である。ストレージ装置910は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置等を含んでもよい。ストレージ装置910は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置910は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0165】
通信装置911は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置911は、無線通信または有線通信のどちらに対応してもよい。
【0166】
以上において、本発明の実施形態の詳細について説明した。
【0167】
(5.本実施形態の効果)
以上に説明したように、本実施形態によれば、先頭から末尾まで昇順または降順に並べられた複数通りの候補パラメータと入力動画像とを取得するデータ取得部111と、複数通りの候補パラメータの先頭から順に用いて、入力動画像に所定の事象が生じているか否かを、少なくとも判定結果が変化するまで繰り返し判定し、判定結果が変化する候補パラメータに基づいて、撮像動画像に事象が生じているか否かを判定するための判定用パラメータを特定するパラメータ特定部112Aと、を備える、画像処理装置10Aが提供される。
【0168】
かかる構成によれば、状態判定部113によって誤判定される可能性を低減しつつ、異常判定の条件が緩すぎないような判定用パラメータを特定することが可能となる。したがって、かかる構成によれば、撮像動画像に異常が生じているか否かをより高精度に判定することが可能となる。
【0169】
(6.変形例の説明)
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0170】
例えば、上記では、撮像装置30がPTZ(パン・チルト・ズーム)カメラであってもよい旨を説明した。しかし、撮像装置30の撮像範囲がPTZによって変化してしまうと、意図しないタイミングで検出対象領域に異常状態が発生したと判定されてしまう可能性がある。そこで、PTZが実行されるときには、状態判定部113による判定が実行されないようにするとよい。あるいは、PTZが実行されるときには、検知結果表示制御部114による表示制御がなされないようにするとよい。