(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る実施形態を、角形リチウムイオン二次電池としての角形二次電池20を例にして説明する。なお、本発明は以下の形態に限定されない。
【0021】
図1は角形二次電池20の斜視図である。
図2Aは
図1におけるIIA−IIA断面の断面図である。
図2Bは
図1におけるIIB−IIB断面の断面図である。角形二次電池
20は、開口を有する有底角形筒状の角形外装体1と角形外装体1の開口を封口する封口板2からなる電池ケースを有する。角形外装体1は、底部1a、一対の第1側壁1b、一対の第2側壁1cを有する。一対の第1側壁1bはそれぞれ対向するように配置されている。一対の第2側壁1cはそれぞれ対向するように配置されている。第1側壁1bの面積は、第2側壁1cの面積よりも大きい。
【0022】
角形外装体1内には、長尺状の正極板40と長尺状の負極板50を長尺状のセパレータ17を介して巻回した偏平状の巻回電極体3が配置される。巻回電極体3はその巻回軸が角形外装体1の底部1aと平行になる向きで角形外装体1内に配置される。巻回電極体3の巻回軸方向の一方の端部には巻回された正極芯体露出部4が設けられ、他方の端部には巻回された負極芯体露出部5が設けられている。巻回電極体3は、一対の平坦な外面と、一対の平坦な外面を繋ぐ一対の湾曲した外面を有する。巻回電極体3は、一対の平坦な外面がそれぞれ第1側壁1bと対向するように配置され、巻回された正極芯体露出部4及び巻回された負極芯体露出部5がそれぞれ第2側壁1cと対向するように配置される。なお、角形外装体1と巻回電極体3の間には電気絶縁性の樹脂シート14が配置されている。
【0023】
巻回された正極芯体露出部4の外面には正極集電体6が接続されている。封口板2には正極端子7が取り付けられている。正極集電体6は正極端子7に電気的に接続されている。封口板2と正極端子7の間には外部側絶縁部材10が配置され、封口板2と正極集電体6の間には内部側絶縁部材11が配置されている。巻回された負極芯体露出部5の外面には負極集電体8が接続されている。封口板2には負極端子9が取り付けられている。負極集電体8は負極端子9に電気的に接続されている。封口板2と負極端子9の間には外部側絶縁部材12が配置され、封口板2と負極集電体8の間には内部側絶縁部材13が配置されている。巻回された正極芯体露出部4において、正極集電体6が接続された面と反対側の面には、正極集電体受け部品(図示省略)が接続されている。巻回された負極芯体露出部5において、負極集電体8が接続された面と反対側の面には、負極集電体受け部品80が接続されている。正極集電体6及び正極集電体受け部品が正極側の集電部材に相当する。負極集電体8及び負極集電体受け部品80が負極側の集電部材に相当する。なお、正極集電体受け部品及び負極集電体受け部品80は必須の構成ではなく、省略することもできる。
【0024】
正極集電体6は、正極芯体露出部4に接続される接続部6aと、封口板2と巻回電極体3の間に配置されるベース部6cと、ベース部6cから巻回電極体3に向かって延びベース部6cと接続部6aを繋ぐリード部6bを有する。接続部6aは、巻回された正極芯体露出部4上に、直接又は樹脂フィルムを介して配置される。負極集電体8は、負極芯体露出部5に接続される接続部8aと、封口板2と巻回電極体3の間に配置されるベース部8cと、ベース部8cから巻回電極体3に向かって延びベース部8cと接続部8aを繋ぐリード部8bを有する。接続部8aは、巻回された負極芯体露出部5上に、直接又は樹脂フィルムを介して配置される。
【0025】
封口板2には角形外装体1内の圧力が所定値以上となった際に破断し、角形外装体1内のガスを角形外装体1外に排出するガス排出弁15が設けられている。また、封口板2には電解液注液孔が設けられており、電解液注液孔は封止栓16により封止されている。
【0026】
次に角形二次電池20の製造方法について説明する。
【0027】
[正極板の作製]
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)、導電剤としての炭素材料、及び分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)をリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物:PV
dF:炭素材料の質量比が91:7:2となるように混練し、正極活物質合剤スラリーを作製する。
【0028】
正極芯体としての厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、正極活物質合剤スラリーをダイコータにより塗布する。その後、正極活物質合剤スラリーを乾燥させ、正極活物質合剤スラリー中のNMPを除去する。これにより正極活物質合剤層が形成される。その後、正極活物質合剤層を圧縮ローラにより所定の充填密度となるように圧縮処理する。そして、所定の形状に切断し正極板40とする。
【0029】
図3Aは、正極板40の平面図である。正極板40は、長尺状の正極芯体40aと、正極芯体40aの両面に形成された正極活物質合剤層40bを含む。正極芯体40aには、幅方向の端部に、長手方向に沿って両面に正極活物質合剤層40bが形成されていない正極芯体露出部4が設けられている。
【0030】
図3Bに示すように、正極板40の巻き終わり端部40xの近傍には絶縁シート30が貼り付けられる。
図4に示すように、正極板40において巻き終わり端部40xの近傍の両面にそれぞれ絶縁シート30を貼り付けることが好ましい。
図4に示すように、正極板40を両面から一対の絶縁シート30で挟み込むようにしてもよい。また、一枚の絶縁シート30を折り返し、正極板40の両面に貼り付けるようにしてもよい。なお、巻回電極体3とした状態で、少なくとも正極板40の巻き終わり端部40xの近傍の外周側の面に絶縁シート30を貼り付ける必要がある。絶縁シート30は、シート基材30aと、シート基材30a上に形成された糊剤層30bからなる絶縁テープであることが好ましい。
【0031】
絶縁シート30は、正極板40の巻き終わり端部40xから外側に突出するように正極板40に貼り付けられることが好ましい。正極板40の長手方向において、絶縁シート30と正極板40の重なり部の長さは、例えば1mm〜20mmとすることが好ましい。また、正極板40の長手方向において、絶縁シート30において正極板40の巻き終わり端部40xから外側に突出する部分の長さは、例えば1mm〜20mmとすることが好ましい。
【0032】
[負極板の作製]
負極活物質としての黒鉛、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)、及び水を、黒鉛:SBR:CMCの質量比が99:0.8:0.2となるように混練し、負極活物質合剤スラリーを作製する。
【0033】
負極芯体としての厚さ8μmの銅箔の両面に、負極活物質合剤スラリーをダイコータにより塗布する。その後、負極活物質合剤スラリーを乾燥させ、負極活物質合剤スラリー中の水を除去する。これにより負極活物質合剤層が形成される。その後、負極活物質合剤層を圧縮ローラにより所定の充填密度となるように圧縮処理する。そして、所定の形状に切断し、負極板50とする。
【0034】
図5は、負極板50の平面図である。負極板50は、長尺状の負極芯体50aと、負極芯体50aの両面に形成された負極活物質合剤層50bを含む。負極芯体50aには、幅方向の端部に、長手方向に沿って両面に負極活物質合剤層50bが形成されていない負極芯体露出部5が設けられている。
【0035】
[巻回電極体の作製]
上述の方法で作製した長尺状の正極板40と長尺状の負極板50を、ポリオレフィン製の長尺状のセパレータ17を介して巻回し、偏平状にプレス成形する。得られた偏平状の巻回電極体3は、巻回軸方向における一方の端部に巻回された正極芯体露出部4を有し、
他方の端部に巻回された負極芯体露出部5を有する。
【0036】
[非水電解液の調整]
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比(25℃、1気圧)で3:3:4となるように混合した混合溶媒を作製した。この混合溶媒に、LiPF
6を1mol/Lとなるように添加し、さらに非水電解液の総質量に対してその添加量が0.3質量%となるようにビニレンカーボネート(VC)を添加して非水電解液とした。
【0037】
[封口板への部品取り付け]
封口板2に設けられた正極端子取り付け孔(図示省略)の周囲の電池外面側に外部側絶縁部材10を配置する。封口板2に設けられた正極端子取り付け孔(図示省略)の周囲の電池内面側に内部側絶縁部材11及び正極集電体6のベース部6cを配置する。そして、電池外部側から正極端子7を、外部側絶縁部材10の貫通孔、正極端子取り付け孔、内部側絶縁部材11の貫通孔及び正極集電体6のベース部6cの貫通孔に挿入し、正極端子7の先端部を正極集電体6のベース部6c上にかしめる。これにより、正極端子7及び正極集電体6が封口板2に固定される。なお、正極端子7においてかしめられた部分をベース部6cに溶接することが好ましい。
【0038】
封口板2に設けられた負極端子取り付け孔(図示省略)の周囲の電池外面側に外部側絶縁部材12を配置する。封口板2に設けられた負極端子取り付け孔(図示省略)の周囲の電池内面側に内部側絶縁部材13及び負極集電体8のベース部8cを配置する。そして、電池外部側から負極端子9を、外部側絶縁部材12の貫通孔、負極端子取り付け孔、内部側絶縁部材13の貫通孔及び負極集電体8のベース部8cの貫通孔に挿入し、負極端子9の先端部を負極集電体8のベース部8c上にかしめる。これにより、負極端子9及び負極集電体8が封口板2に固定される。なお、負極端子9においてかしめられた部分をベース部8cに溶接することが好ましい。
【0039】
[巻回電極体への集電部材の取り付け]
図6は、偏平状の巻回電極体3において正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xが配置される側の面を示した図である。
図6に示すように、巻回電極体3において、正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xが配置される側の面に、正極集電体6及び負極集電体8を接続する。接続方法は例えば、抵抗溶接、超音波溶接等により行われる。なお、抵抗溶接を行う場合は、巻回された正極芯体露出部4において正極集電体6が接続された外面と反対側の外面に正極集電体受け部品を接続し、巻回された負極芯体露出部5において負極集電体8が接続された外面と反対側の外面に負極集電体受け部品80を接続することが好ましい。
【0040】
正極集電体6は、巻回された正極芯体露出部4上に直接又は樹脂フィルムを介して配置される接続部6aを有する。正極集電体6は接続部6aにおいて、正極芯体露出部4と溶接接続される。底部1aに対して垂直な方向において、接続部6aの底部1a側の端部は、巻回電極体3の中心(巻回軸)よりも封口板2側に位置する。なお、接続部6aと正極芯体露出部4の間に樹脂フィルムが配置される場合は、樹脂フィルムに開口が設けられ、当該開口内で、接続部6aと正極芯体露出部4が溶接される。したがって、樹脂フィルムは接続部6aと正極芯体露出部4の間であって、接続部6aと正極芯体露出部4の溶接部の周囲に配置された状態となる。なお、樹脂フィルムは必須の構成ではなく、接続部6aを直接正極芯体露出部4上に配置してもよい。
【0041】
負極集電体8は、巻回された負極芯体露出部5上に直接又は樹脂フィルムを介して配置される接続部8aを有する。負極集電体8は接続部8aにおいて、負極芯体露出部5と溶
接接続される。底部1aに対して垂直な方向において、接続部8aの底部1a側の端部は、巻回電極体3の中心(巻回軸)よりも封口板2側に位置する。なお、接続部8aと負極芯体露出部5の間に樹脂フィルムが配置される場合は、樹脂フィルムに開口が設けられ、当該開口内で、接続部8aと負極芯体露出部5が溶接される。したがって、樹脂フィルムは接続部8aと負極芯体露出部5の間であって、接続部8aと負極芯体露出部5の溶接部の周囲に配置された状態となる。なお、樹脂フィルムは必須の構成ではなく、接続部8aを直接負極芯体露出部5上に配置してもよい。
【0042】
[角形二次電池の組立て]
集電部材が取り付けられた巻回電極体3を樹脂シート14で覆い、角形外装体1に挿入する。そして、封口板2と角形外装体1を溶接し、角形外装体1の開口を封口板2により封口する。その後、封口板2に設けられた電解液注液孔から非水電解液を注液し、電解液注液孔を封止栓16により封止する。これにより、角形二次電池20が作製される。
【0043】
次に、巻回電極体3の詳細、及び負極集電体8及び正極集電体6の接続位置について説明する。
【0044】
巻回電極体3において、正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xはそれぞれ角形外装体1の底部1a側を向くように配置されている。正極板40の巻き終わり端部40xの外周側に負極板50が配置される。正極板40の長さよりも負極板50の長さが大きいため、正極板40の巻き終わり端部40xよりも、負極板50の巻き終わり端部50xが角形外装体1の底部1a側に位置する。
【0045】
図6において、点線は正極板40の巻き終わり端部40xの近傍の外周側の面に貼り付けられた絶縁シート30の位置を示す。正極板40の外周側の面に貼り付けられた絶縁シート30における巻き始め側端部30x(正極板40の長手方向において正極板40の中央側に位置する端部)は、正極板40の巻き終わり端部40xよりも封口板2側に位置する。なお、セパレータ17の巻き終わり端部の図示は省略する。
【0046】
図7は、負極集電体8の接続部8aの近傍の拡大図である。負極集電体8は、負極芯体露出部5上に配置される接続部8aを有する。リード部8bは負極芯体露出部5から離れるともに封口板2側に延びる。接続部8aは、負極板50において正極板40の巻き終わり端部40xよりも外周側に位置する領域における負極芯体露出部5上に配置される。即ち、接続部8aは、負極板50において、正極板40の巻き終わり端部40xよりも外周側に位置する部分の幅方向(巻回軸方向)の端部に位置する負極芯体露出部5上に配置される。なお、接続部8aは負極芯体露出部5の外面に対して略平行に配置される。また、接続部8aは負極芯体露出部5の外面を押圧する。
【0047】
図7に示すよう、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aを、正極板40の巻き終わり端部40xの外周側の面に貼り付けられた絶縁シート30における巻き始め側端部30xの近傍に配置することが好ましい。角形二次電池20において、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aは、絶縁シート30における巻き始め側端部30xと重なる位置に配置されている。このような構成であると、負極集電体8の接続部8aが、正極板40の巻き終わり端部40xの外周側の面に貼り付けられた絶縁シート30における巻き始め側端部30xの近傍に配置されている。したがって、絶縁シート30における巻き始め側端部30xの外周側に位置する負極板50が浮き上がることを抑制できる。このため、
図8に示すように、正極板40の巻き終わり端部40xの外周側の面に貼り付けられた絶縁シート30における巻き始め側端部30xと、その外周側に配置された負極板50の間に大きな隙間が生じることを抑制できる。よって、絶縁シート30における巻き始め側端部30xの外周
側に位置する負極板50上にリチウムが析出することを抑制できる。
【0048】
図9は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aが、正極板40の巻き終わり端部40xの外周側の面に貼り付けられた絶縁シート30における巻き始め側端部30xから大きく離れた位置に配置された場合の正極板40の巻き終わり端部40x近傍の巻回電極体3の拡大断面図である。角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aが、正極板40の巻き終わり端部40xの外周側の面に貼り付けられた絶縁シート30における巻き始め側端部30xから大きく離れた位置に配置された場合、絶縁シート30における巻き始め側端部30xの外周側に配置された負極板50が浮き上がり易くなる。そして、
図9に示すように、正極板40と負極板50の間に大きな隙間70が生じる虞がある。そして、正極板40と負極板50の間に大きな隙間70が生じると、正極板40と負極板50がセパレータ17を介して隙間無く対向する部分における隙間70の近傍Pにリチウムが析出する虞がある。
【0049】
これに対して、実施形態に係る角形二次電池20においては、絶縁シート30における巻き始め側端部30xの外周側に配置される負極板50が浮き上がることを抑制できる。よって、絶縁シート30における巻き始め側端部30xの外周側に位置する負極板50上にリチウムが析出することを抑制できる。
【0050】
上述のように、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aを、正極板40の巻き終わり端部40xの近傍の外周側の面に貼り付けられた絶縁シート30における巻き始め側端部30xの近傍に配置することが好ましい。具体的には、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における巻回電極体3の長さを長さL(mm)とした場合、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における負極集電体8の接続部8aと正極板40の巻き終わり端部40xの近傍の外周側の面に貼り付けられた絶縁シート30における巻き始め側端部30xの距離を距離D1(mm)とした場合、距離D1(mm)が長さL(mm)に対して10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。このような構成であると、絶縁シート30における巻き始め側端部30xの外周側に配置される負極板50が浮き上がることを抑制できる。なお、距離D1(mm)は、6mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましい。
【0051】
図10(a)〜
図10(c)は、負極集電体8の接続部8aの位置を変えた例を示す図である。
【0052】
図10(a)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aの底部1a側の端部8xが、絶縁シート30における巻き始め側端部30xよりも封口板2側に位置する例を示す。
図10(b)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aの底部1a側の端部8xと、絶縁シート30における巻き始め側端部30xが揃った例である。この場合、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、絶縁シート30における巻き始め側端部30xと負極集電体8の接続部8aの間の距離D1は0mmである。
図10(c)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aの封口板2側の端部8yが、絶縁シート30における巻き始め側端部30xよりも角形外装体1の底部1a側に位置する例である。
【0053】
図10(a)及び
図10(c)に示す形態では、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aと絶縁シート30における巻き始め側端部30xが離間している。このような場合は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向に
おける巻回電極体3の長さL(mm)に対して、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における負極集電体8の接続部8aと絶縁シート30における巻き始め側端部30xの距離D1(mm)は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。このような構成であると、絶縁シート30における巻き始め側端部30xの外周側に配置される負極板50が浮き上がることを抑制できる。なお、距離D1(mm)は、6mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましい。また、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aと負極芯体露出部5が接合された接合部と絶縁シート30における巻き始め側端部30xの距離D(mm)を、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における巻回電極体3の長さL(mm)に対して10%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましい。
【0054】
図11(a)〜
図11(c)は、角形二次電池20における正極集電体6の接続部6aの近傍の拡大図である。角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、正極集電体6の接続部6aは、絶縁シート30における巻き始め側端部30xの近傍に接続されていることが好ましい。
【0055】
図11(a)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、正極集電体6の接続部6aが絶縁シート30における巻き始め側端部30xと重なる位置に配置された例を示す。
図11(b)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、正極集電体6の接続部6aが絶縁シート30における巻き始め側端部30xよりも封口板2側に配置されている例を示す。
図11(c)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、正極集電体6の接続部6aが絶縁シート30における巻き始め側端部30xよりも角形外装体1の底部1a側に配置された例を示す。
【0056】
図11(b)及び
図11(c)に示す形態では、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、正極集電体6の接続部6aと絶縁シート30における巻き始め側端部30xが離間している。このような場合は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における巻回電極体3の長さL(mm)に対して、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における正極集電体6の接続部6aと絶縁シート30における巻き始め側端部30xの距離D2(mm)は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。このような、構成であると、正極板40の巻き終わり端部40xが浮き上がることを確実に抑制できる。なお、距離D2(mm)は、6mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましい。また、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、正極集電体6の接続部6aと正極芯体露出部4が接合された接合部と絶縁シート30における巻き始め側端部30xの距離D(mm)を、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における巻回電極体3の長さL(mm)に対して10%以下とすることが好ましく、5%以下とすることが好ましい。
【0057】
[実施例1]
上述の実施形態に記載の方法で角形二次電池を作製し、実施例1の角形二次電池とした。実施例1の角形二次電池においては、
図7に示すように、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aを、正極板40の巻き終わり端部40xの近傍の外周側の面に貼り付けられた絶縁シート30における巻き始め側端部30xと重なる位置としている。即ち、実施例1の角形二次電池においては、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aと絶縁シート30における巻き始め側端部30xの間の距離D1は0mmである。
なお、実施例1の角形二次電池において、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における巻回電極体3の長さL(mm)は55mmである。また、角形外装体1の底部1
aに対して平行な方向における巻回電極体3の長さは、134mmであり、巻回電極体3の厚みは11mmである。
【0058】
[比較例1]
負極集電体8の接続部8aが配置される位置が異なる以外は実施例1の角形二次電池と同様の構成を有する比較例1の角形二次電池を作製した。比較例1の角形二次電池では、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aと絶縁シート30における巻き始め側端部30xとの距離D1を8mmとした。なお、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における巻回電極体3の長さLは55mmである。したがって、D1/L=0.15である。
【0059】
実施例1及び比較例1の角形二次電池について、以下の試験を行った。
[試験]
25℃の条件下で以下(1)〜(10)を行った。
(1)角形二次電池を4.0Aの定電流で3.7Vまで充電し、その後3.7Vの定電圧で充電を行い、角形二次電池の充電深度(SOC)を50%とした。
(2)30分間休止した。
(3)85Aで100秒間充電を行った。
(4)10分間休止した。
(5)85Aで100秒間放電を行った。
(6)10分間休止した。
(7)(3)〜(6)を1サイクルとし、500サイクル行った。
(8)2時間休止した。
(9)4.0Aで2.5Vまで放電した。
(10)10分間休止した。
【0060】
[評価]
試験後の角形二次電池を解体し、正極板40の巻き終わり端部40xの近傍の外周側に位置する負極板50上のリチウム析出の有無について目視で確認した。
【0061】
[結果]
実施例1の角形二次電池では、正極板40の巻き終わり端部40xの外周側に位置する負極板50上のリチウム析出は確認できなかった。比較例1の角形二次電池では、正極板40の巻き終わり端部40xの外周側に位置する負極板50上のリチウム析出が確認された。このことから、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体8の接続部8aを、正極板40の巻き終わり端部40xの近傍の外周側の面に貼り付けられた絶縁シート30における巻き始め側端部30xの近傍に配置することにより、正極板40の巻き終わり端部40xの外周に位置する負極板50上へのリチウム析出を抑制できることが分かる。
【0062】
[変形例1]
上述の角形二次電池20においては、巻回電極体3において、正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xが配置される側の面に、正極集電体6及び負極集電体8が接続される例を示した。変形例1においては、巻回電極体3において、正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xが配置されない側の面に正極集電体6及び負極集電体8が接続される。そして、巻回電極体3において、正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xが配置される側の面に正極集電体受け部品60及び負極集電体受け部品80が接続される。なお、正極集電体6と正極集電体受け部品60により巻回された正極芯体露出部4が挟まれた状態となっている。また、負極集電体8と負極集電体受け部品80により巻回された負極芯
体露出部5が挟まれた状態となっている。底部1aに対して垂直な方向において、正極集電体受け部品60の底部1a側の端部は、巻回電極体3の中心(巻回軸)よりも封口板2側に位置する。また、底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体受け部品80の底部1a側の端部80xは、巻回電極体3の中心(巻回軸)よりも封口板2側に位置する。
【0063】
図12は、巻回電極体3において、正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xが配置される側の面であり、正極集電体受け部品60及び負極集電体受け部品80が接続される側の面を示す図である。正極板40の巻き終わり端部40xの外周側に負極板50が配置されている。そして、正極板40の巻き終わり端部40xよりも負極板50の巻き終わり端部50xが底部1a側に位置する。また、正極板40の巻き終わり端部40xの近傍の外周側の面に貼り付けられる絶縁シート30における巻き始め側端部30xは、正極板40の巻き終わり端部40xよりも封口板2側に位置する。なお、セパレータ17の巻き終わり端部の図示は省略する。
【0064】
角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体受け部品80の全体が巻回された負極芯体露出部5上に配置されている。ここで、負極集電体受け部品80が集電部材の接続部に相当する。なお、負極芯体露出部5と負極集電体受け部品80の間に樹脂フィルムを介在させることもできる。この場合、樹脂フィルムに開口を設け、当該開口内において負極芯体露出部5と負極集電体受け部品80を溶接接続する。
【0065】
図13(a)〜
図13(d)は、変形例1における負極集電体受け部品80の近傍の拡大図である。
【0066】
図13(a)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体受け部品80が絶縁シート30における巻き始め側端部30xよりも封口板2側に位置する例を示す。
図13(b)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、絶縁シート30における巻き始め側端部30xと負極集電体受け部品80の底部1a側の端部の位置を揃えた例を示す。
図13(c)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、絶縁シート30における巻き始め側端部30xが、負極集電体受け部品80と重なる例を示す。
図13(d)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体受け部品80が絶縁シート30における巻き始め側端部30xよりも底部1a側に位置する例である。
【0067】
角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体受け部品80を、絶縁シート30における巻き始め側端部30xの近傍に配置することが好ましい。このような構成であると、絶縁シート30における巻き始め側端部30xの外周側に配置される負極板50が浮き上がることを抑制できる。
【0068】
図13(a)及び
図13(d)に示す形態では、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、負極集電体受け部品80と絶縁シート30における巻き始め側端部30xが離間している。このような場合は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における巻回電極体3の長さL(mm)に対して、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における負極集電体受け部品80と絶縁シート30における巻き始め側端部30xの距離D3(mm)は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。なお、距離D3(mm)は、6mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましい。
【0069】
なお、
図13(b)及び
図13(c)に示す形態においては、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における負極集電体受け部品80と絶縁シート30における巻き始め側端部30xの距離D3(mm)は0mmである。
【0070】
また、負極集電体受け部品80と負極芯体露出部5が接合された接合部と絶縁シート30における巻き始め側端部30xの距離D(mm)を、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における巻回電極体3の長さL(mm)に対して10%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましい。
【0071】
なお、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における正極集電体受け部品60と絶縁シート30における巻き始め側端部30xの距離は、長さL(mm)に対して10%以下であることが好ましく、5%であることがより好ましい。
【0072】
角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、正極集電体受け部品60と正極芯体露出部4が接合された接合部と絶縁シート30における巻き始め側端部30xの距離D(mm)を、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における巻回電極体3の長さL(mm)に対して10%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましい。
【0073】
[変形例2]
上述の実施形態に係る角形二次電池20においては、巻回電極体3において、正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xが配置される側の面に、正極集電体6及び負極集電体8が接続される例を示した。変形例2においては、巻回電極体3において、正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xが配置されない側の面に正極集電体6及び負極集電体8が接続され、正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xが配置される面には、集電部材は接続されていない。正極集電体受け部品60及び負極集電体受け部品80を備えていない。
【0074】
図14は、巻回電極体3において、正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xが配置される側の面である。正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xが配置される側の面には、正極集電体6、負極集電体8、正極集電体受け部品60及び負極集電体受け部品80が配置されず、正極芯体同士の接合部90及び負極芯体同士の接合部91が露出する。接合部90及び接合部91は抵抗溶接、超音波溶接、レーザ溶接等により形成される。底部1aに対して垂直な方向において、接合部90の底部1a側の端部は、巻回電極体3の中心(巻回軸)よりも封口板2側に位置する。また、底部1aに対して垂直な方向において、接合部91の底部1a側の端部91xは、巻回電極体3の中心(巻回軸)よりも封口板2側に位置する。
【0075】
正極板40の巻き終わり端部40xの外周側に負極板50が配置されている。そして、正極板40の巻き終わり端部40xよりも負極板50の巻き終わり端部50xが底部1a側に位置する。正極板40の巻き終わり端部40xの近傍の外周側の面に貼り付けられた絶縁シート30における巻き始め側端部30xは、正極板40の巻き終わり端部40xよりも封口板2側に位置する。なお、セパレータ17の巻き終わり端部の図示は省略する。
【0076】
図15(a)〜
図15(d)は、変形例2における接合部91の拡大図である。
【0077】
図15(a)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、接合部91が、絶縁シート30における巻き始め側端部30xよりも封口板2側に位置する例を示す。
図15(b)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、接合部91の
底部1a側の端部を、絶縁シート30における巻き始め側端部30xと揃えた例を示す。
図15(c)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、接合部91が絶縁シート30における巻き始め側端部30xと重なる位置に配置された例を示す図である。
図15(d)は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、接合部91は、絶縁シート30における巻き始め側端部30xよりも角形外装体1の底部1a側に位置する例を示す。
【0078】
角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、接合部91を、絶縁シート30における巻き始め側端部30xの近傍に配置することが好ましい。このような構成であると、絶縁シート30における巻き始め側端部30xの外周側に配置される負極板50が浮き上がることを抑制できる。
【0079】
図15(a)及び
図15(d)に示す形態では、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、接合部91と絶縁シート30における巻き始め側端部30xが離間している。このような場合は、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における巻回電極体3の長さL(mm)に対して、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における接合部91と絶縁シート30における巻き始め側端部30xの距離D4(mm)は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。なお、距離D4(mm)は、6mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましい。
【0080】
なお、
図15(b)及び
図15(c)に示す形態においては、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における接合部91と絶縁シート30における巻き始め側端部30xの距離D4(mm)は0mmである。
【0081】
なお、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向において、角形外装体1の底部1aに対して垂直な方向における正極側の接合部90と絶縁シート30における巻き始め側端部30xの距離は、長さL(mm)に対して10%以下であることが好ましく、5%であることがより好ましい。
【0082】
[その他]
正極芯体露出部と正極集電体ないし正極集電体受け部品との接続、負極芯体露出部と負極集電体ないし負極集電体受け部品との接続は、それぞれ抵抗溶接、超音波溶接、あるいはレーザ溶接等により行われることが好ましい。
【0083】
上述の実施形態及び変形例においては、正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xが角形外装体1の底部1a側を向く例を示したが、これに限定されない。正極板40の巻き終わり端部40x及び負極板50の巻き終わり端部50xが封口板2側を向くようにしてもよい。
【0084】
偏平状の巻回電極体の巻回軸が延びる方向における偏平状の巻回電極体の長さは、50mm〜200mmであることが好ましく、80mm〜150mmであることがより好ましい。偏平状の巻回電極体の巻回軸に対して垂直な方向(角形外装体の底部に対して垂直な方向)における偏平状の巻回電極体の長さは、50mm〜100mmであることが好ましく、50mm〜80mmであることがより好ましい。偏平状の巻回電極体の厚みは、5mm〜30mmであることが好ましく、6mm〜20mmであることがより好ましい。
【0085】
角形外装体の底部に対して垂直な方向において、負極側の集電部材の接続部と絶縁シートにおける巻き始め側端部との距離は、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、6mm以下であることが更に好ましい。また、角形外装体の
底部に対して垂直な方向において、負極芯体露出部同士の接合部と絶縁シートにおける巻き始め側端部との距離は、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、6mm以下であることが更に好ましい。
【0086】
正極板、負極板、セパレータ、電解液等の各材料は、リチウムイオン二次電池に使用される公知のものを使用することができる。
【0087】
正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物を用いることが好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リチウムニッケルマンガン複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等が挙げられる。また、上記のリチウム遷移金属複合酸化物にAl、Ti、Zr、W、Nb、B、Mg又はMo等を添加したものも使用し得る。
【0088】
負極活物質としてはリチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素材料を用いることが好ましい。リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素材料としては、黒鉛、難黒鉛性炭素、易黒鉛性炭素、繊維状炭素、コークス及びカーボンブラック等が挙げられる。これらの内、特に黒鉛が好ましい。さらに、非炭素系材料としては、シリコン、スズ、及びそれらを主とする合金や酸化物などが挙げられる。
【0089】
非水電解質の非水溶媒(有機溶媒)としては、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、ケトン類、エステル類等を使用することができ、これらの溶媒の2種類以上を混合して用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネートを用いることができる。特に、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒を用いることが好ましい。また、ビニレンカーボネート(VC)などの不飽和環状炭酸エステルを非水電解質に添加することもできる。
【0090】
非水電解質の電解質塩としては、従来のリチウムイオン二次電池において電解質塩として一般に使用されているものを用いることができる。例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiCF
3SO
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2、LiN(CF
3SO
2)(C
4F
9SO
2)、LiC(CF
3SO
2)
3、LiC(C
2F
5SO
2)
3、LiAsF
6、LiClO
4、Li
2B
10Cl
10、Li
2B
12Cl
12、LiB(C
2O
4)
2、LiB(C
2O
4)F
2、LiP(C
2O
4)
3、LiP(C
2O
4)
2F
2、LiP(C
2O
4)F
4等及びそれらの混合物が用いられる。これらの中でも、LiPF
6が特に好ましい。また、前記非水溶媒に対する電解質塩の溶解量は、0.5〜2.0mol/Lとするのが好ましい。
【0091】
セパレータとしては、ポリオレフィン製の多孔質セパレータを用いることが好ましい。ポリオレフィンとしては特に、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などが好ましい。また、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の3層構造(PP/PE/PP、あるいはPE/PP/PE)を有するセパレータを用いることもできる。また、ポリマー電解質をセパレータとして用いてもよい。
【0092】
正極板の巻き終わり端部の近傍に貼り付けられる絶縁シートは、絶縁テープであることが好ましい。絶縁テープは、シート基材と、シート基材上に形成された糊剤層を含む。シート基材には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニール、テフロン(登録商標)、ポリイミド、カプトン(登録商標)、ポリフェニレンサルファドなどが使用される。また、糊剤には、アクリル系、シリコン系、ゴム系粘着剤などが使
用される。なお、シート基材上において、糊剤層が形成されない領域を設けることが好ましい。シート基材は、リチウムイオン非透過性のものが好ましい。
【0093】
絶縁シートの厚みは、1μm〜100μmであることが好ましく、1μm〜50μmであることがより好ましく、20μm〜45μmであることが更に好ましい。