特許第6862953号(P6862953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6862953オブジェクトの移動軌跡を生成する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862953
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】オブジェクトの移動軌跡を生成する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   H04S7/00 300
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-51616(P2017-51616)
(22)【出願日】2017年3月16日
(65)【公開番号】特開2018-157328(P2018-157328A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111763
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆
(72)【発明者】
【氏名】近藤 高康
【審査官】 堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−093727(JP,A)
【文献】 特開平11−088998(JP,A)
【文献】 特開2008−021320(JP,A)
【文献】 特開2006−119774(JP,A)
【文献】 特開2005−101738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04S 3/00− 7/00
G06F 3/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作子の操作に応じて、平面上にオブジェクトを配置し、配置したオブジェクトを平面上で移動する制御および当該平面を3次元空間で移動する制御を行う移動制御部と、
前記移動制御部が出力する前記オブジェクトの座標からオブジェクトの移動軌跡を作成する軌跡生成部と
を備え
前記移動制御部は、操作子の操作に応じて、前記平面を前記3次元空間内の軸に沿って移動し、かつ、操作子の操作に応じて、前記軸の前記3次元空間内における傾き角を制御することを特徴とする移動軌跡生成装置。
【請求項2】
前記移動制御部は、操作子の操作に応じて、前記平面の法線ベクトルの前記軸に対する傾き角を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動軌跡生成装置。
【請求項3】
前記軌跡生成部は、前記移動軌跡の各座標に前記オブジェクトの通過時刻を示す時間情報を割り当てることを特徴とする請求項1または2に記載の移動軌跡生成装置。
【請求項4】
操作子の操作に応じて、平面上にオブジェクトを配置し、配置したオブジェクトを平面上で移動する制御および当該平面を3次元空間で移動する制御を行う移動制御過程と、
前記移動制御過程により出力される前記オブジェクトの座標からオブジェクトの移動軌跡を作成する軌跡生成過程と
を備え、
前記移動制御過程では、操作子の操作に応じて、前記平面を前記3次元空間内の軸に沿って移動し、かつ、操作子の操作に応じて、前記軸の前記3次元空間内における傾き角を制御することを特徴とするオブジェクトの移動軌跡生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、仮想音像等のオブジェクトの移動軌跡を生成する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
仮想音源等のオブジェクトの移動軌跡を生成する技術が提供されている。例えば特許文献1に開示された技術では、仮想音源の位置の2次元の変化パターンが複数種類用意されており、ユーザは、所望の変化パターンを選択し、その変化パターンの幅、深さ、オフセット位置を指定して仮想平面に配置することができる。そして、特許文献1に開示された技術では、このように仮想平面に配置された変化パターンからなる移動軌跡に沿って仮想音源を移動させ、その移動軌跡上の位置に仮想音源を定位させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3525653号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示の技術は、2次元平面内の移動軌跡を生成することができるが、3次元空間内の移動軌跡を生成することができないという問題があった。
【0005】
この発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、3次元空間内のオブジェクトの移動軌跡を生成することができる技術的手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、操作子の操作に応じて、平面上にオブジェクトを配置し、配置したオブジェクトを平面上で移動する制御および当該平面を3次元空間で移動する制御を行う移動制御部と、前記移動制御部が出力する前記オブジェクトの座標からオブジェクトの移動軌跡を作成する軌跡生成部とを備えるオブジェクトの移動軌跡生成装置を提供する。
【0007】
この発明によれば、操作子の操作に応じて、オブジェクトを3次元空間内で移動し、3次元空間内におけるオブジェクトの移動軌跡を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の第1実施形態である移動軌跡生成装置の構成を示すブロック図である。
図2】同実施形態において生成される軌跡情報を例示する図である。
図3】同実施形態における表示部の表示例を示す図である。
図4】同実施形態における移動軌跡生成プログラムの例を示すフローチャートである。
図5】この発明の第2実施形態である移動軌跡生成装置の表示部の表示例を示す図である。
図6】この発明の第3実施形態である移動軌跡生成装置の表示部の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1はこの発明の第1実施形態である移動軌跡生成装置の構成を示すブロック図である。この移動軌跡生成装置は、仮想音源の移動軌跡を生成して表示する機能と、移動軌跡に従って仮想音源の位置を移動させつつその位置に仮想音源を定位させる定位処理を行う機能を備える。本実施形態による移動軌跡生成装置は、この移動軌跡生成装置としての機能を実現するためのアプリケーションプログラム(以下、移動軌跡生成プログラムという)をパーソナルコンピュータにインストールしてなるものである。
【0011】
図1に示すように、本実施形態による移動軌跡生成装置は、制御中枢であるCPU1と、キーボード、マウス、ジョイスティック等の各種の操作子からなる操作部2と、液晶ディスプレイ等からなる表示部3と、ROMやHDD等からなる不揮発性記憶部4と、RAMからなる揮発性記憶部5と、I/F(インタフェース)6および7とを有する。
【0012】
図1において、不揮発性記憶部4には、上記移動軌跡生成プログラムが記憶されている。CPU1は、操作部2の操作に応じて、この移動軌跡生成プログラムを揮発性記憶部5に転送して実行する。
【0013】
CPU1を示すボックスの中には、移動制御部11と、軌跡生成部12と、軌跡情報ファイル13と、表示制御部14と、定位処理部15とが示されている。これらのうち移動制御部11と、軌跡生成部12と、表示制御部14と、定位処理部15は、CPU1が移動軌跡生成プログラムを実行することにより実現される機能である。また、軌跡情報ファイル13は、軌跡生成部12により生成されるファイルである。
【0014】
移動制御部11は、操作部2の操作に応じて、平面上に仮想音源を配置し、配置した仮想音源を平面上で移動する制御および当該平面を3次元空間で移動する制御を行い、3次元空間内の仮想音源の座標情報を出力する手段である。なお、この移動制御部11の機能の詳細については後述する。
【0015】
軌跡生成部12は、移動制御部11が出力する仮想音源の座標情報から仮想音源の移動軌跡を示す軌跡情報からなる軌跡情報ファイル13を生成する手段である。図2はこの軌跡情報の内容を例示する図である。軌跡生成部12は、図2に例示するように、移動制御部11から3次元空間内の仮想音源の座標情報x(i)、y(i)およびz(i)(i=1、2、3、…)を順次取得し、この座標情報x(i)、y(i)およびz(i)にその取得時刻を示す時間情報t(i)を対応付けた軌跡情報を生成する。そして、この軌跡情報からなる軌跡情報ファイル13を揮発性記憶部5内に保存する。ここで、仮想音源の移動軌跡の座標情報は、後述するように、ユーザが操作部2の操作により仮想3次元空間内の移動軌跡を描く過程において移動制御部11から出力される。この場合、ユーザは、仮想音源の移動速度を考慮して仮想音源の移動軌跡を描く。従って、軌跡情報における時間情報t(i)は、これに対応付けられた座標情報x(i)、y(i)およびz(i)により特定される移動軌跡上の点を仮想音源が通過する時刻を示すものとなる。
【0016】
表示制御部14は、軌跡情報ファイル13が示す仮想音源の移動軌跡等の各種の情報を表示部3に表示するための制御を行う手段である。
【0017】
I/F6は、各種の音源ファイル6aに対するアクセスを仲介するI/Fであり、記憶媒体に記憶された音源ファイル6aに対するアクセスを仲介するI/Fであってもよいし、ネットワークを経由した音源ファイル6aに対するアクセスを仲介するI/Fであってもよい。
【0018】
ここで、音源ファイル6aは、楽器音、効果音、打撃音等の各種の音の音波形のサンプル列である音源信号のファイルである。図1における定位処理部15は、I/F6を介して、音源ファイル6aから音源信号を読み出すとともに、軌跡情報ファイル13から軌跡情報を読み出し、音源信号に対し、軌跡情報が示す仮想音源位置に定位させる定位処理を施す手段である。
【0019】
具体的には、定位処理部15は、軌跡情報の時間情報t(i)に該当するタイミングになったら、音源信号から複数チャネルのスピーカに供給する音信号を生成するための各チャネルの遅延情報やゲイン情報からなる定位制御パラメータを、軌跡情報の座標情報x(i)、y(i)、z(i)に基づいて生成する。そして、定位処理部15は、この定位制御パラメータを使用した信号処理(例えば遅延処理とゲイン乗算処理)を音源信号に施すことにより、軌跡情報が示す移動軌跡上の位置に仮想音源が定位した複数チャネルの音信号を生成するのである。定位処理部15は、上記の処理を時間情報t(i)ごとに繰り返すことで、軌跡情報ファイル13で設定された軌跡情報で、仮想音源を定位させることができる。
【0020】
I/F7は、定位処理部15の定位処理により得られた音信号をスピーカや他のパーソナルコンピュータ等の外部装置に供給する手段である。また、このI/F7は、軌跡生成部12により生成された軌跡情報ファイル13を外部装置に供給することも可能である。従って、本実施形態では、外部装置がこの軌跡情報ファイル13を利用して音源信号に対して定位処理を施すことも可能である。
【0021】
図3は表示部3の表示例を示す図である。以下、図3を参照し、移動制御部11の機能について説明する。表示制御部14は、3次元空間内の移動軌跡上の各位置をユーザに指定させるために、uv座標平面31と、フェーダ32と、uv座標平面31が配置されたxyz直交座標空間33の斜視図を表示部3に表示させる。
【0022】
ここで、xyz直交座標空間33は、互いに直交するx軸、y軸、z軸からなる3本の座標軸を有する。uv座標平面31は、x軸に平行なu軸と、y軸に平行なv軸とを有し、u軸とv軸とが直交する原点Qにおいてz軸と直交する平面である。また、受聴者の位置をxyz直交座標空間33の原点Pとする。
【0023】
本実施形態において、ユーザは、操作部2におけるマウス等のポインティングデバイスによりuv座標平面31上の所望の位置を仮想音源位置Sとして指示することが可能である。また、ユーザはフェーダ32の操作により、uv座標平面31の原点Qのz軸上における位置(すなわち、原点Qのz座標)を指示することができる。
【0024】
移動制御部11は、フェーダ32の操作に応じて、uv座標平面31をxyz直交座標空間33内のz軸に沿って移動させ、ポインティングデバイスの操作に応じて、仮想音源位置Sをuv座標平面31内において移動させる。そして、移動制御部11は、このようにして仮想音源位置Sを移動させつつ、仮想音源位置Sのxyz直交座標空間33内の座標情報x(i)、y(i)、z(i)を算出して出力する。すなわち、ユーザは、uv座標平面31内の仮想音源位置Sを移動したり、フェーダ32を操作したりすることを、繰り返すことで、時間に伴い変化する軌跡情報を生成することができる。
以上が本実施形態の構成である。
【0025】
図4は本実施形態における移動軌跡生成プログラムの一例を示すフローチャートである。以下、図4を参照し、本実施形態の動作を説明する。
【0026】
CPU1は、操作部2の操作に従って、移動軌跡生成プログラムの実行を開始すると、ユーザからの指示待ちの状態となる(ステップSA1)。この状態において、処理終了の指示が入力されると、CPU1は、移動軌跡生成プログラムを終了する。一方、処理終了の指示以外の指示、すなわち、何らかの処理の実行指示が入力されると、CPU1の処理はステップSA2に進む。このステップSA2において、CPU1は、指示された処理の種類を判断する。
【0027】
軌跡生成処理が指示された場合、CPU1の処理はステップSA2からステップSA11に進む。ステップSA11において、CPU1は、仮想音源の初期位置を設定する初期設定を実行する。具体的には、移動制御部11が、ポインティングデバイスの操作により指示されたuv座標平面31上の仮想音源のu座標、v座標と、フェーダ32の操作により指示されたuv座標平面31の原点Qのz座標からxyz直交座標空間33における仮想音源のx座標、y座標、z座標を算出し、仮想音源の初期位置とする。
【0028】
次にCPU1は、軌跡生成の開始を指示する操作部2の操作がなされたか否かを判断する(ステップSA12)。この判断結果が「NO」である場合、CPU1は、同判断を繰り返す。また、この判断が「YES」になると、CPU1の処理はステップSA13に進む。
【0029】
ステップSA13において、CPU1は、操作部2の操作情報を取得する。次にステップSA14では、ステップSA13において取得した操作情報に基づき、移動軌跡の生成処理の終了が指示されたか否かを判断する。この判断結果が「YES」である場合、CPU1の処理はステップSA1に戻る。一方、この判断結果が「NO」である場合、CPU1の処理はステップSA15に進む。
【0030】
次にステップSA15に進むと、移動制御部11が、ステップSA13において取得した操作情報に基づいて、仮想音源の座標情報x(i)、y(i)、z(i)を算出する。具体的には、移動制御部11は、ポインティングデバイスの操作情報からuv座標平面31上の仮想音源のu座標、v座標を求め、フェーダ32の操作情報からuv座標平面31の原点Qのz座標を求め、このu座標、v座標、z座標からxyz直交座標空間33における仮想音源の座標情報x(i)(=u座標)、y(i)(=v座標)およびz(i)(=原点Qのz座標)を算出する。
【0031】
次にステップSA16に進むと、軌跡生成部12が、ステップSA15において得られた仮想音源の座標情報x(i)、y(i)、z(i)に対し、現在時刻(あるいは軌跡生成の開始時刻からの経過時間)を示す時間情報t(i)を付加して軌跡情報を生成する。このようにして軌跡情報が集められ、軌跡情報ファイル13として揮発性記憶部5に保存される。
【0032】
次にステップSA17において、表示制御部14は、軌跡情報ファイル13が示す軌跡情報に基づいて、uv座標平面31、xyz直交座標空間33、フェーダ32における表示を更新する制御を行う。このステップSA17が終了すると、CPU1の処理はステップSA13に戻る。以下、同様にステップSA13〜SA17の処理が繰り返される。
【0033】
そして、移動軌跡の生成処理の終了が指示され、ステップSA14の判断結果が「YES」になると、CPU1の処理はステップSA1に戻る。
【0034】
ステップSA2において定位処理が指示された場合、CPU1の処理は、ステップSA21に進む。このステップSA21において、CPU1は、音源ファイル6aから所定時間分の音源信号を読み出す。次いでCPU1は、軌跡情報ファイル13から同じく所定時間分の軌跡情報を読み出す(ステップSA22)。次いでCPU1は、ステップSA22において読み出した軌跡情報を用いて、ステップSA21において読み出した音源信号に定位処理を施す(ステップSA23)。この定位処理により得られた音信号はI/F7を介して例えばスピーカに出力され、スピーカから放音される。
【0035】
次いでCPU1は、軌跡情報ファイル13が示す移動軌跡を表示部3に表示するための制御を行う(ステップSA24)。この表示制御では、ステップSA22において読み出した軌跡情報に基づいて、移動軌跡上における現在の仮想音源位置を表示してもよい。
【0036】
ステップSA24が終了すると、処理終了タイミングになったか否か、具体的には音源ファイル6aまたは軌跡情報ファイル13の少なくとも一方の読み出しが終了したか否かを判断し(ステップSA25)、この判断結果が「NO」である場合はステップSA21〜SA24の処理を繰り返す。一方、ステップSA25の判断結果が「YES」である場合には、CPU1の処理はステップSA1に戻る。
以上が本実施形態の動作である。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、3次元空間内における仮想音源の移動軌跡を示す軌跡情報を簡単な操作により生成することができる。具体的には、本実施形態によれば、例えば受聴者の頭上で旋回するヘリコプターの移動軌跡を簡単な操作により生成し、ヘリコプター音を発生する仮想音源を移動軌跡に沿って移動させる定位処理を行うことができる。この場合、ユーザは、移動軌跡を生成するために、受聴者の頭上にuv座標平面31をフェ−ダ32を操作して移動する。そして、ユーザは、ポインティングデバイスによりuv座標平面31内の仮想音源位置Sを時間をかけて徐々に移動すればよい。同様に、ユーザは、きりもみ状にロケットが上昇する移動軌跡等も簡単な操作により生成可能である。
【0038】
<第2実施形態>
この発明の第2実施形態である移動軌跡生成装置の構成は上記第1実施形態(図1)と基本的に同様である。本実施形態は、上記第1実施形態の移動制御部11に改良を加えたものである。
【0039】
図5は、本実施形態における表示部3の表示例を示す図である。本実施形態において、xyz直交座標空間33には、原点Pを通過するw軸が設けられている。本実施形態では、例えばジョイスティックの操作により、xyz直交座標空間33内におけるw軸の傾き角を調整することが可能である。uv座標平面31は、原点Qにおいてw軸と直交する。そして、本実施形態では、uv座標平面31の原点Qのw軸上における位置をフェーダ32の操作により指示可能である。
【0040】
ここで、uv座標平面31の法線(この場合、w軸)の傾き角が定まったとしても、そのような法線と直交するu軸とv軸は無限に考えられる。しかし、u軸とv軸が定まらないと、uv座標平面31上の仮想音源のu座標とv座標を取得することができない。そこで、u軸とv軸に関して何らかの制限を設けて、法線(w軸)の傾き角が定まればu軸とv軸が定まるようにする必要がある。この法線(w軸)の傾き角からu軸とv軸を定める方法は、任意であるが、この例では、uv座標平面31においてz軸およびw軸を含む平面と直交する軸をv軸とし、このv軸と直交する軸をu軸としている。従って、ユーザがジョイスティックの操作によりw軸をz軸に対して傾けると、z軸およびw軸を含む平面と直交するようにv軸が位置し、かつ、uv座標平面31に対してw軸が直交するようにuv座標平面31の向きが調整される。
【0041】
本実施形態において、移動制御部11は、ジョイスティックの操作に応じて、xyz直交座標空間33内におけるw軸の傾き角を変え、かつ、uv座標平面31をこのw軸に直交させ、フェーダ32の操作に応じて、uv座標平面31をxyz直交座標空間33内のw軸に沿って移動させ、ポインティングデバイスの操作に応じて、仮想音源位置Sをuv座標平面31内において移動させる。そして、移動制御部11は、このようにして仮想音源を移動させつつ、仮想音源のxyz直交座標空間33内の座標情報x(i)、y(i)、z(i)を算出して出力する。
他の点は上記第1実施形態と同様である。
【0042】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態によれば、xyz直交座標空間33において、uv座標平面31と直交するw軸の傾き角をジョイスティック等の操作子により変えることができるので、上記第1実施形態よりも形状が複雑で自由度の高い移動軌跡を生成することができるという効果が得られる。
【0043】
<第3実施形態>
この発明の第3実施形態である移動軌跡生成装置の構成は上記第1実施形態(図1)と基本的に同様である。本実施形態は、上記第1実施形態の移動制御部11に改良を加えたものである。
【0044】
図6は、本実施形態における表示部3の表示例を示す図である。本実施形態においても、上記第2実施形態(図5)と同様、uv座標平面31の原点Qは、傾き角の調整が可能なw軸上に位置する。また、w軸上におけるuv座標平面31の原点Qの位置はフェーダ32の操作により調整可能である。本実施形態と上記第2実施形態との相違は次の点にある。上記第2実施形態では、w軸の傾き角に応じてuv座標平面31がw軸と直交するように調整された。これに対し、本実施形態では、符号31’で例示するように、w軸に対するuv座標平面31の法線の傾き角がジョイスティック等の操作により調整されるようになっている。
【0045】
本実施形態において、移動制御部11は、ジョイスティック等の操作に応じて、xyz直交座標空間33内におけるw軸の傾き角を変え、ジョイスティック等の操作に応じて、w軸に対するuv座標平面31の法線の傾き角を変える。2つのジョイスティックを用いた場合には、w軸の傾き角とuv座標平面31の法線の傾き角を個々のジョイスティックで制御することにより、複雑な移動軌跡を生成することができる。
【0046】
上記第2実施形態と同様、uv座標平面31の法線の傾き角が定まったとしても、u軸とv軸が定まらないと、uv座標平面31上の仮想音源のu座標とv座標を取得することができない。そこで、u軸とv軸に関して何らかの制限を設けて、法線の傾き角が定まればu軸とv軸が定まるようにする必要がある。この法線の傾き角からu軸とv軸を定める方法は任意であるが、この例では、法線とw軸を含む平面と、uv座標平面31において直交する軸をv軸とし、このv軸と直交する軸をu軸としている。従って、ユーザがジョイスティックの操作によりuv座標平面31の法線をw軸に対して傾けると、uv座標平面31の法線およびw軸を含む平面と直交するようにv軸が位置するようにuv座標平面31の向きが調整される。
【0047】
また、移動制御部11は、フェーダ32の操作に応じて、uv座標平面31をxyz直交座標空間33内のw軸に沿って移動させ、ポインティングデバイスの操作に応じて、仮想音源の位置をuv座標平面31内において移動させる。そして、移動制御部11は、このようにして仮想音源を移動させつつ、仮想音源のxyz直交座標空間33内の座標情報x(i)、y(i)、z(i)を算出して出力する。
他の点は上記第1および第2実施形態と同様である。
【0048】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態によれば、w軸に対するuv座標平面31の法線の傾き角をジョイスティック等の操作により変えることができるので、上記第1および第2実施形態よりも形状が複雑で自由度の高い移動軌跡を生成することができるという効果が得られる。
【0049】
<他の実施形態>
以上、この発明の第1〜第3実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
【0050】
(1)上記各実施形態では、受聴者の位置をxyz直交座標空間33の原点Pとしたが、受聴者から離れた位置を原点Pとしてもよい。
【0051】
(2)上記実施形態では、uv座標平面を配置する3次元空間を3軸が直交した3次元直交座標空間としたが、例えば3次元空間内の位置が、原点からの距離と、原点から当該位置の方角を示す2種類の角度(例えば仰角と左右方向の偏角)とにより特定される極座標空間等、3次元直交座標空間以外の3次元空間にuv座標平面を配置してもよい。また、uv座標平面のような直交座標平面の代わりに極座標平面を使用してもよい。
【0052】
(3)操作部2の操作により移動軌跡の座標情報を入力する場合、移動軌跡が入力時の手振れ等の影響を受ける可能性がある。そこで、軌跡生成部12が、移動軌跡の座標情報、時間情報を補間して、滑らかな移動軌跡を示す軌跡情報ファイル13を生成するようにしてもよい。
【0053】
(4)上記第3実施形態によれば、例えば1つのマウスと2つのジョイスティックにより、3次元の移動軌跡を生成することができる。しかしながら、上記第3実施形態において、1つのマウスと1つのジョイスティックにより、3次元の移動軌跡を生成してもよい。この態様では、例えばスイッチなどの制御手段を用いて、ジョイスティックによりw軸を傾けるかuv座標平面の法線を傾けるかを切り替え、1つのジョイスティテックによりw軸を傾け、またはuv座標平面の法線を傾けることが可能である。また、上記第3実施形態において、1つのマウスで3次元の移動軌跡を生成することも可能である。この態様では、上記と同様にスイッチなどの制御手段で制御対象を切り替えることで、1つのマウスにより3次元の移動軌跡を生成する。同様に上記第2実施形態でも、1つのマウスにより3次元の移動軌跡を生成することができる。また、上記各実施形態において、マウスに代えて、キーボード操作でも、さらにタッチパネルによるタッチ操作でも3次元の移動軌跡を生成することができる。
【0054】
(5)上記実施形態では、仮想音源をオブジェクトとし、このオブジェクトの移動軌跡を生成し、表示し、編集した。しかし、オブジェクトは仮想音源に限定されるものではない。アニメーションにおける画像オブジェクトや飛行体等の他のオブジェクトを対象とし、その移動軌跡の生成を行ってもよい。
【0055】
(6)上記移動軌跡生成装置は、移動制御部11、軌跡生成部12および表示制御部14により構成されてもよい。定位処理部15は外部にあり、定位処理部15は、移動軌跡生成装置が出力する軌跡情報ファイル13を取得して定位処理を行えばよい。また、移動軌跡生成装置をクラウド上に置き、各ユーザがネットワークを介して、移動軌跡生成装置を操作し、軌跡情報ファイル13を取得する態様も可能である。
【符号の説明】
【0056】
1……CPU、2……操作部、3……表示部、4……不揮発性記憶部、5……揮発性記憶部、6,7……I/F、6a……音源ファイル、11……移動制御部、12……軌跡生成部、13……軌跡情報ファイル、14……表示制御部、15……定位処理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6