(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回復運転制御部は、高速走行時に、前記グリルシャッタを開くとともに、燃料電池を始動して、前記燃料電池を過加湿運転状態にするように制御することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池車両の運転制御システム。
前記回復運転制御部は、外気温度が所定温度より低い場合に、前記グリルシャッタを開くとともに、燃料電池を始動して、前記燃料電池を過加湿運転状態にするように制御することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池車両の運転制御システム。
前記回復運転制御部は、前記二次電池の充電状態を示すSOC値が、所定値を超えることが検知された際に、前記燃料電池を冷却して、燃料電池を過加湿運転状態にするように制御することを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の燃料電池車両の運転制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来の燃料電池車両では、燃料電池車両を、例えば、温泉地周辺、海岸部周辺などにおいて運転する際に、燃料電池の空気極に必要な空気とともに、硫黄成分や塩分などの不純物などが混入することがある。
【0010】
このため、これらの硫黄成分や塩分などの不純物などによって、燃料電池の空気極触媒、水素極触媒の性能低下(被毒による性能低下)を生じることになり、その結果、燃料電池車両の運転性能が低下することになる。
【0011】
このため、特許文献1(特許第5807207号公報)には、停止中の燃料電池内に存在、または、発現した硫黄系物質が、燃料電池の起動時に電極を被毒する可能性について考慮して、燃料電池の起動時に、酸化剤ガスよりも高加湿にした燃料ガスと、燃料ガスの体積に対して1%〜5%の酸素ガスを、燃料極へ供給する燃料電池システムの運転方法が開示されている。
これにより、燃料極を酸化剤極よりも高加湿な状態とすることにより、起動時における硫黄系物質による電極の被毒を防止することが提案されている。
【0012】
しかしながら、特許文献1の燃料電池システムの運転方法では、燃料電池の起動時に、燃料ガスと酸素ガスの成分の調整方法が開示されているのみで、上記のような、例えば、温泉地周辺、海岸部周辺などにおいて運転する際に、燃料電池の被毒による性能低下を防止するものではない。
【0013】
また、燃料電池の空気極に必要な空気とともに混入する、硫黄成分や塩分などの不純物などによる燃料電池の性能劣化を抑制するために、これらの不純物を効果的に排出するために、燃料電池を過加湿運転状態にすることが考えられる。
【0014】
しかしながら、燃料電池を過加湿運転状態にするには、水素極である燃料極(アノード)に供給され、消費される水素の量が、多くなってしまい、水素は電気より高価であり、回復処理に要するコストが高くなってしまうことになる。
【0015】
このような現状に鑑み、本発明の少なくとも一つの実施形態は、例えば、温泉地周辺、海岸部周辺などにおいて運転する際に、燃料電池の空気極に必要な空気とともに混入する、硫黄成分や塩分などの不純物を効果的に排出することができるとともに、消費される水素量を低減でき、コスト低減可能な燃料電池車両の運転制御方法及び運転制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の少なくとも一つの実施形態は、車両の走行用モータを駆動する主電源となる二次電池と、前記二次電池を充電する副電源を構成する燃料電池と、前記燃料電池を冷却する冷却水が流れるラジエータを備えた冷却水流路と、車両の車内を空調するためのエアコン回路と、を備えた燃料電池車両の運転制御方法であって、燃料電池に流入する空気とともに混入する不純物による燃料電池の性能低下を判定する性能低下判定ステップと、該性能低下判定ステップの結果に基づいて、性能低下が生じていると判定した場合に、前記冷却水流路を流れる冷却水を前記エアコン回路のエバポレータによって冷却することにより、前記燃料電池を冷却して、燃料電池を過加湿運転状態にして前記性能低下を回復させる回復ステップと、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、幾つかの実施形態では、車両の走行用モータを駆動する主電源となる二次電池と、前記二次電池を充電する副電源を構成する燃料電池と、前記燃料電池を冷却する冷却水が流れるラジエータを備えた冷却水流路と、車両の車内を空調するためのエアコン回路と、を備えた燃料電池車両の運転制御システムであって、前記燃料電池に流入する空気とともに混入する不純物による燃料電池の性能低下を判定する性能低下判定部と、該性能低下判定部の判定結果を基に性能低下が生じていると判定した場合に、前記冷却水流路を流れる冷却水を前記エアコン回路のエバポレータによって冷却することにより、前記燃料電池を冷却して、燃料電池を過加湿運転状態にして前記性能低下を回復させる回復運転制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
このように構成することによって、冷却水流路を流れる冷却水を前記エアコン回路のエバポレータによって冷却することにより燃料電池を冷却することができる。
その結果、冷却水流路を流れる冷却水がより冷却されることになり、燃料電池が露点以下に冷却されて、燃料電池を過加湿運転状態にすることができる。
【0019】
その結果、例えば、温泉地周辺、海岸部周辺などにおいて運転する際に、燃料電池の空気極に必要な空気とともに、硫黄成分や塩分などの不純物などが混入することがあるが、露点以下に冷却された空気に含まれる水分により、硫黄成分や塩分などの不純物などを燃料電池から排出することができる。
【0020】
これにより、硫黄成分や塩分などの不純物などによる燃料電池の性能劣化を抑制することができるので、アクセルレスポンスを維持しつつ、これらの不純物を効果的に排出することができる。
【0021】
しかも、冷却水流路を流れる冷却水が、エバポレータにおける熱交換により、さらに冷却されることになり、燃料電池が露点以下に冷却されて、燃料電池を過加湿運転状態にすることができるので、水分生成のために水素極である燃料極(アノード)に供給され、消費される水素の量を低減でき、コストも低減することができる。
【0022】
また、幾つかの実施形態では、前記燃料電池車両は車両の前部にグリルシャッタが設けられるとともに、前記グリルシャッタの車両後方に前記燃料電池が設けられ、前記回復運転制御部は、前記グリルシャッタを開くとともに、燃料電池を始動して、前記燃料電池を過加湿運転状態にするように制御することを特徴とする。
【0023】
このように構成することによって、グリルシャッタを介して、車両の前部から導入される空気により、燃料電池がさらに冷却されることになるので、より効果的に燃料電池が露点以下に冷却される。従って、燃料電池を容易に過加湿運転状態にすることができるので、水分生成のために水素極である燃料極(アノード)に供給され、消費される水素の量を低減でき、コストも低減することができる。
【0024】
また、幾つかの実施形態では、前記回復運転制御部は、高速走行時に、前記グリルシャッタを開くとともに、燃料電池を始動して、前記燃料電池を過加湿運転状態にするように制御することを特徴とする。
【0025】
このように構成することによって、高速走行時などにおいて、走行風量が大きい場合に、グリルシャッタを開くので、車両の前部から導入される空気により、燃料電池がさらに冷却されることになり、燃料電池が露点以下により効果的に冷却されて、燃料電池を過加湿運転状態にすることができるので、水分生成のために水素極である燃料極(アノード)に供給され、消費される水素の量を低減でき、コストも低減することができる。
【0026】
また、幾つかの実施形態では、前記回復運転制御部は、外気温度が所定温度より低い場合に、前記グリルシャッタを開くとともに、燃料電池を始動して、前記燃料電池を過加湿運転状態にするように制御することを特徴とする。
【0027】
このように構成することによって、外気温度が所定温度(例えば、15〜20℃)より低い場合に、グリルシャッタを開いて、車両の前部から導入される冷えた空気により、燃料電池がさらに効果的に冷却されることになり、燃料電池が露点以下に冷却されて、燃料電池を過加湿運転状態にすることができるので、水分生成のために水素極である燃料極(アノード)に供給され、消費される水素の量を低減でき、コストも低減することができる。
【0028】
また、幾つかの実施形態では、前記回復運転制御部は、外気温度が0℃以下の場合には、実行が禁止されることを特徴とする。
【0029】
このように構成することによって、外気温度が0℃以下の場合には、燃料電池を冷却せず、燃料電池を過加湿運転状態にしなようにする。これによって、燃料電池から生成される水分が凍結するのを防止できる。
【0030】
また、幾つかの実施形態では、前記回復運転制御部は、前記二次電池の充電状態を示すSOC値が、所定値を超えることが検知された際に、前記燃料電池を冷却して、燃料電池を過加湿運転状態にするように制御することを特徴とする。
【0031】
このように構成することによって、二次電池の充電状態を示すSOC値が、所定値を超えることが検知された際に、グリルシャッタを開くことによって、グリルシャッタを介して車両の前部から導入される空気により、燃料電池が露点以下に冷却されて、燃料電池を過加湿運転状態にしても、SOCが低下して走行に支障をきたすことがない。
すなわち、燃料電池は冷却されると、燃料電池の発電能力が低下するため、二次電池への充電が十分に行われない恐れがあり、二次電池が電欠状態に陥る危険性がある。このため、所定のSOCを超えたときに燃料電池の冷却を実行するようにしている。これによって、燃料電池の性能回復を二次電池の充電状態を悪化させることなく達成することができる。
【0032】
これにより、硫黄成分や塩分などの不純物などによる燃料電池の性能劣化を抑制することができるとともに、二次電池の充電状態の悪化を防止してアクセルレスポンスを維持することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、冷却水流路を流れる冷却水をエアコン回路のエバポレータによって冷却することにより、燃料電池を冷却することができる。
その結果、冷却水流路を流れる冷却水がより冷却されることになり、燃料電池が露点以下に冷却されて、燃料電池を過加湿運転状態にすることができる。
従って、例えば、温泉地周辺、海岸部周辺などにおいて運転する際に、燃料電池の空気極に必要な空気とともに混入する、硫黄成分や塩分などの不純物を効果的に排出することができるとともに、消費される水素量を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいてより詳細に説明する。
ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれらに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0036】
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0037】
(実施形態1)
図1には、本発明の燃料電池車両の運転制御システム10を搭載した燃料電池車両12を示している。
本発明の燃料電池車両の運転制御システム10は、環境への配慮から、ハイブリッドカーなどの二次電池と内燃機関(エンジン)が搭載された電動車両の内燃機関に代えて、燃料電池14を搭載した燃料電池車両12に適用されるものである。
【0038】
図1に示したように、燃料電池車両12は、水素と酸素の供給を受けて、発電を行う燃料電池14を備えている。そして、燃料電池14は、DC−DCコンバータ16を介して、電圧が調整されて、燃料電池車両12の走行用モータ18を駆動する主電源となる二次電池20に電力を供給して、二次電池20を充電するように構成されている。
【0039】
また、二次電池20は、三相出力のインバータ22を介して、燃料電池車両の走行用モータ18に接続されることによって、走行用モータ18を駆動する主電源を構成している。
【0040】
このような燃料電池14としては、例えば、固体高分子型燃料電池が使用され、燃料電池スタックから構成されている。
すなわち、燃料電池スタックは、固体高分子電解質膜を挟んで、空気極(カソード)と、水素極である燃料極(アノード)とが、対設した構造を有する発電セルを、セパレータで挟持して、これを複数積層することによって構成されている。
【0041】
そして、燃料ガス供給源である図示しない水素タンクから、燃料ガスである水素ガスが、燃料極に供給されるとともに、酸化剤ガスである空気が、外部(大気)から取り入れられて、図示しない、フィルタ、コンプレッサを介して、空気極に供給されるように構成されている。
【0042】
下記に示すような反応が生じて、これらの電極間に発生する起電力により、電気エネルギを取り出すように構成されている。
燃料極(アノード):H
2→2H
++2e
-
空気極(カソード):1/2O
2+2H
++2e
-→H
2O
【0043】
そして、燃料電池車両12には、燃料電池14で発生される電力が充電され、主電源となる二次電池20が備えられており、二次電池20に蓄電された電力によって、燃料電池車両12の走行用モータ18を駆動するように構成されている。
【0044】
また、燃料電池14の空気極と燃料極にそれぞれ供給された空気、水素ガスは、それぞれ一部が消費され、未使用の空気、水素ガスは、図示しない空気排出管、水素排出管を介して、外部(大気)に排出されるようになっている。
【0045】
図1に示したように、燃料電池車両12の前部(前方)には、開閉可能なグリルシャッタ24が設けられている。
そして、グリルシャッタ24を開閉することによって、グリルシャッタ24の後方に設けられた、燃料電池車両12の駆動部26に、外部の空気が取り入れられ、後述するように、燃料電池14、ラジエータ28を流れる冷却水などが冷却されるようになっている。
【0046】
また、
図1に示したように、燃料電池車両12には、燃料電池14を冷却する冷却水が流れるラジエータ28を備えた冷却水流路30を備えており、冷却水ポンプ32により、冷却水が冷却水流路30内を循環するように構成されている。
【0047】
また、
図1に示したように、燃料電池車両12には、車両の車内を空調するためのエアコン回路50が備えられている。このエアコン回路50は、室内の空気を吸入して、冷媒流路52からの冷却された冷媒と熱交換することによって、冷風を車室に送出するエバポレータ58を備えている。
【0048】
また、エアコン回路50は、エアコンコンプレッサ54、コンデンサ(凝縮器)56、エバポレータ58を、
図1の矢印で示したように循環することによって、エアコンとして機能する、公知のエアコン回路50から構成されている。
【0049】
そして、本発明の運転制御システム10では、
図1に示したように、冷却水流路30から、エアコン回路50のエバポレータ58を循環する分岐熱交換流路60が形成されている。
【0050】
すなわち、分岐熱交換流路60は、冷却水流路30において、ラジエータ28を経由した後、冷却水が、第1の切り替え弁62によって切り替えられて、エバポレータ58に向かう第1の分岐熱交換流路64を備えている。
【0051】
また、分岐熱交換流路60は、エバポレータ58によって熱交換された冷却水が、第2の切り替え弁66で切り替えられて、再び、冷却水流路30に戻る第2の分岐熱交換流路68を備えている。
【0052】
なお、
図1は、冷却水ポンプ32が停止しているとともに、第1の切り替え弁62、第2の切り替え弁66が閉止しており、分岐熱交換流路60が、閉止している状態を示している。
【0053】
図1に示したように、燃料電池車両の運転制御システム10は、制御部40を備えており、制御部40には、燃料電池車両12の走行状態などを制御するための車両ECU42を備えている。
【0054】
すなわち、車両ECU42は、FC−ECU38と、モータECU44と、バッテリECU46とに接続されている。
FC−ECU38は、燃料電池14の始動(発電)、停止を制御する以外に、燃料電池に流入する空気とともに混入する不純物による燃料電池14の性能低下を判定する性能低下判定部39を有している。
さらに、性能低下判定部39の判定を基に冷却水ポンプ32の始動、停止、切り替え弁36の切り換え制御、グリルシャッタ24の開閉などを制御して性能回復を行う回復運転制御部41を有している。なお、回復運転制御部41は、FC−ECU38とは別に設けられてもよい。
【0055】
さらに、回復運転制御部41は、冷却水ポンプ32の始動、停止、第1の切り替え弁62、第2の切り替え弁66の切り替え制御を行う冷却水制御部47と、グリルシャッタ24の開閉制御を行うグリルシャッタ制御部43とを有している。
【0056】
また、モータECU44は、インバータ22に接続されており、インバータ22を制御することによって、燃料電池車両12の走行用モータ18の駆動を制御するように構成されている。
【0057】
さらに、バッテリECU46は、二次電池20の充電などを制御するように構成されている。また、二次電池20の充電状態を示すSOCがSOC検出手段45によって検出され、その情報がバッテリECU46に入力され、さらに車両ECU42に入力されるようになっている。
【0058】
ところで、このような燃料電池車両12では、燃料電池車両12を、例えば、温泉地周辺、海岸部周辺などにおいて運転する際に、燃料電池14の空気極に必要な空気とともに、硫黄成分や塩分などの不純物などが混入することがある。
【0059】
このため、これらの硫黄成分や塩分などの不純物などによって、燃料電池14の空気極触媒、水素極触媒の性能低下(被毒による性能低下)を生じることになり、その結果、燃料電池車両12の運転性能が低下することになる。
【0060】
また、燃料電池14を過加湿運転状態にするには、水素極である燃料極(アノード)に供給され、消費される水素の量が、多くなってしまい、水素は電気より高価であり、回復処理に要するコストが高くなってしまうことになる。
【0061】
このため、本発明の燃料電池車両12では、運転制御システム10は、制御部40において制御されて、以下のように作動されるようになっている。
【0062】
すなわち、
図2のフローチャートに示したように、ステップS1において、運転制御システム10が始動される。
そして、ステップS2において、例えば、図示しない温度センサなどによって、外気温が参照される。
【0063】
次に、ステップS3において、SOC検出手段45で検出されたSOC値が参照される。そして、ステップS4において、外気温度が所定温度(例えば、15〜20℃)を超えるか否か(外気温≧所定値)が、判断される。
【0064】
すなわち、外気温度が所定温度を超える場合に、後述するように、冷却水流路30を流れる冷却水が、エバポレータ58における熱交換により、さらに冷却されることになり、燃料電池14が露点以下に冷却されて、燃料電池を過加湿運転状態にすることができるからである。
【0065】
次に、ステップS4において、外気温度が所定温度を超える(外気温≧所定値)と判断された場合には、ステップS5に進み、ステップS5において、二次電池20の充電状態を示すSOC値が、所定値を超えるか否か(SOC>所定値)が判断される。
【0066】
なお、この場合、SOC値の所定値は、車種、走行用モータ18の性能、環境温度などの条件により決定されるものであって、特に限定されるものではなく、例えば、20〜40%の範囲である。
【0067】
そして、ステップS5において、二次電池20の充電状態を示すSOC値が、所定値を超える(SOC>所定値)と判断された場合には、ステップS6に進み燃料電池14の被毒状態を回復することが、必要か否かが判断される。被毒回復の要否判定は
図1に示すように、FC−ECU38の性能低下判定部39で行われる。
【0068】
この回復必要かの判定は、同一条件下(空気量、空気温度、水素ガス量、水素温度等の燃料電池の発電条件の同一条件下)で、燃料電池14において、演算周期における前回の発電電圧と、今回の発電電圧とが、等しいか否か(前回の電圧≒今回の電圧)が判断される。
【0069】
また、所定時間における電圧偏差をあらかじめ設定した判定閾値と比較して回復要否を判定してもよい。さらに、車載のナビゲーションシステムを利用して、温泉地域や海岸地域を所定時間以上走行したか否かを基に判定するようにしてもよい。
【0070】
さらに、例えば、硫黄成分や塩分などの不純物などを検出する不純物センサを配置して、この不純物センサの検出結果(不純物の濃度)によって回復が必要かを判定してもよい。
【0071】
ステップS6において、燃料電池14の被毒状態を回復することが、必要と判断された場合には、ステップS7に進み、ステップS7において、
図4に示したように、分岐熱交換流路60が開放されて、冷却水がエバポレータ58を経由するように制御される。
【0072】
すなわち、
図4の矢印で示したように、冷却水流路30において、ラジエータ28を経由した後、冷却水が、第1の切り替え弁62によって切り替えられて、第1の分岐熱交換流路64を介して、エバポレータ58に導入される。
【0073】
そして、エバポレータ58において、熱交換された冷却水が、第2の切り替え弁66で切り替えられて、第2の分岐熱交換流路68を介して、再び、冷却水流路30に戻るように構成されている。
【0074】
次に、ステップS7において、冷却水がエバポレータ58を経由するように制御された後、ステップS8において、エアコンがONになる。
そして、ステップS9において、冷却水流路30を流れる冷却水が、エバポレータ58における熱交換により、さらに冷却されることになり、燃料電池14を過加湿運転状態にする、「FC低温制御」運転が開始される。
【0075】
次に、ステップS10に進み、回復要否判定が再度行われる。すなわち、ステップS10において、同一条件下で、燃料電池14において、前回の電圧と、今回の電圧とが、等しいか否か(前回の電圧≒今回の電圧)が判断される。
【0076】
そして、ステップS10において、燃料電池14において、前回の電圧と、今回の電圧とが等しい(前回の電圧≒今回の電圧)と判断された場合には、ステップS11に進み、「回復必要OFF」となり、ステップS12において、ステップS1へリターンされる。
【0077】
一方、ステップS10において、燃料電池14において、前回の電圧と、今回の電圧とが等しくないと判断された場合には、ステップS13において、「回復必要ON」となり、ステップS12へ進みステップS1へリターンされて、繰り返される。
【0078】
一方、ステップS5において、二次電池20の充電状態を示すSOC値が、所定値を超えない(SOC値が、所定値以下)と判断された場合には、ステップS14に進み、通常制御が行われる(FC温度一定制御)。
【0079】
すなわち、ステップS14の通常制御(FC温度一定制御)では、
図5に示したように、分岐熱交換流路60が閉止されて、冷却水がエバポレータ58を経由しないように制御される。
図5に示したように、第1の切り替え弁62、第2の切り替え弁66ともに閉止されるように構成されている。
このようにSOCが所定値以下の場合には、ステップS9のようにFC低温制御を行うと、燃料電池14の発電能力が低下するため、二次電池20への充電が十分に行われない恐れがあり、二次電池20が電欠状態に陥る危険性があるため、所定のSOC以下ではFC低温制御は実行しないようにしている。
【0080】
次に、ステップS14の後、ステップS10に進み、上記と同様に、回復要否判定が行われる。すなわち、ステップS10において、同一条件下で、燃料電池14において、前回の電圧と、今回の電圧とが、等しいか否か(前回の電圧≒今回の電圧)が判断される。
【0081】
一方、ステップS6において、二次電池20の充電状態を回復することが、不要と判断された場合には、上記と同様に、ステップS14に進み、通常制御が行われる(FC温度一定制御)。
【0082】
一方、ステップS4において、外気温度が所定温度を超えない(外気温<所定値)と判断された場合には、
図3のフローチャートに示したように、ステップS15に進む。
そして、ステップS15において、外気温が0℃を超えるか(外気温>0℃)否かが判断される。
【0083】
すなわち、外気温度が0℃以下の場合には、燃料電池14を冷却せず、燃料電池14を過加湿運転状態にしないように制御するようになっている。
外気温度が0℃以下の場合には、燃料電池14を冷却せず、燃料電池14を過加湿運転状態にしないで、冷却水、燃料電池14などの凍結を防止するためである。
【0084】
次に、ステップS15において、外気温が0℃を超えると判断された場合には、ステップS16に進み、ステップS16において、ステップS6と同様に燃料電池14の充電状態を回復することが、必要か否かが判断される。
【0085】
ステップS16において、燃料電池14の被毒状態を回復することが、必要と判断された場合には、ステップS17に進み、ステップS17において、
図6に示したように、グリルシャッタ24が開かれる。
【0086】
次に、ステップS18に進み、燃料電池14を始動(発電)することによって、グリルシャッタ24を介して燃料電池車両12の前部から導入される空気により、燃料電池14が露点以下に冷却されて、燃料電池14を過加湿運転状態にする、「FC低温制御」運転が開始される。
【0087】
次に、ステップS19に進み、回復要否判定が行われる。すなわち、ステップS19において、同一条件下で、燃料電池14において、前回の電圧と、今回の電圧とが、等しいか否か(前回の電圧≒今回の電圧)が判断される。
【0088】
そして、ステップS19において、燃料電池14において、前回の電圧と、今回の電圧とが等しい(前回の電圧≒今回の電圧)と判断された場合には、ステップS20に進み、「回復必要OFF」となり、
図2のステップS12において、ステップS1へリターンされる。
【0089】
一方、ステップS19において、燃料電池14において、前回の電圧と、今回の電圧とが等しくないと判断された場合には、ステップS21において、「回復必要ON」となり、
図2のステップS12に進んで、ステップS1へリターンされる。
【0090】
一方、ステップS15において、外気温が0℃を超えない(外気温が0℃以下)と判断された場合には、ステップS22に進み、
図7に示したように、グリルシャッタ24を閉じた状態で、通常制御が行われる(FC温度一定制御)。
【0091】
次に、ステップS22の後、ステップS19に進み、上記と同様に、回復要否判定が行われる。すなわち、ステップS19において、同一条件下で、燃料電池14において、前回の電圧と、今回の電圧とが、等しいか否か(前回の電圧≒今回の電圧)が判断される。
【0092】
また、ステップS16において、燃料電池14の被毒状態を回復することが、不要と判断された場合には、ステップS22に進み、グリルシャッタ24を閉じた状態で、通常制御が行われる(FC温度一定制御)。
【0093】
このように構成することによって、冷却水流路30から、エアコン回路50のエバポレータ58を循環する分岐熱交換流路60を形成して、分岐熱交換流路60により、冷却水流路30を流れる冷却水の熱交換を行って冷却することにより、燃料電池14を冷却することができる。
【0094】
その結果、冷却水流路30を流れる冷却水がより冷却されることになり、燃料電池14が露点以下に冷却されて、燃料電池14を過加湿運転状態にすることができる。
【0095】
これにより、例えば、温泉地周辺、海岸部周辺などにおいて運転する際に、燃料電池の空気極に必要な空気とともに、硫黄成分や塩分などの不純物などが混入することがあるが、露点以下に冷却された空気に含まれる水分により、硫黄成分や塩分などの不純物などを燃料電池14から排出することができる。
【0096】
これにより、硫黄成分や塩分などの不純物などによる燃料電池14の性能劣化を抑制することができるとともに、アクセルレスポンスを維持しつつ、これらの不純物を効果的に排出することができる。
【0097】
しかも、冷却水流路30を流れる冷却水が、エバポレータ58における熱交換により、さらに冷却されることになり、燃料電池14が露点以下に冷却されて、燃料電池14を過加湿運転状態にすることができるので、水素極である燃料極(アノード)に供給され、消費される水素の量を低減でき、コストも低減することができる。
【0098】
また、外気温度が所定温度より低い場合に、グリルシャッタ24を開くとともに、燃料電池14を始動して、燃料電池14を過加湿運転状態にするように制御している。
【0099】
このように構成することによって、外気温度が所定温度(例えば、15〜20℃)より低い場合に、グリルシャッタ24を開いて、燃料電池車両12の前部から導入される冷えた空気により、燃料電池14がさらに冷却されることになり、燃料電池14が露点以下に冷却されて、燃料電池14を過加湿運転状態にすることができるので、水素極である燃料極(アノード)に供給され、消費される水素の量を低減でき、コストも低減することができる。
【0100】
また、外気温度が0℃以下の場合には、燃料電池14を冷却せず、燃料電池14を過加湿運転状態にしないように制御している。
【0101】
このように構成することによって、外気温度が0℃以下の場合には、燃料電池14を冷却せず、燃料電池14を過加湿運転状態にしないようにする。これによって、燃料電池から生成される水分が凍結するのを防止できる。
【0102】
図10は、本発明の燃料電池車両の運転制御方法及び運転制御システムによる効果を示すグラフである。
すなわち、同量の凝縮水量を確保するために必要な条件を示している。
図10(A)、
図10(B)に示したように、FC温度(燃料電池14の温度)が低下すると、水の飽和蒸気圧に比例して消費水素量が低下する。
【0103】
一方、
図10(A)、
図10(C)に示したように、エアコン回路50のエバポレータ58を用いて、FC温度(燃料電池14の温度)を低下させると、消費電力が増加することになる。
【0104】
しかしながら、「水素消費量×水素単価」に比べて、「消費電力×電力単価」が安価となるため、エアコン回路50のエバポレータ58を用いて、FC温度(燃料電池14の温度)を低下させる、「FC低温制御」運転の方が、より低いコストで、過加湿運転を行うことができ、燃料電池14の性能を回復させることができる。
【0105】
(実施形態2)
図8は、本発明の燃料電池車両の運転制御方法及び運転制御システムの概略を示す
図2と同様なフローチャート、
図9は、本発明の燃料電池車両の運転制御方法及び運転制御システムの別の実施形態2の概略を示す
図1のブロック図の部分拡大図である。
【0106】
この実施形態の燃料電池車両の運転制御システム11は、
図1〜
図7に示した実施形態1の運転制御システム10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0107】
この実施形態2の燃料電池車両12の運転制御システム11は、以下のように作動されるようになっている。
図8のフローチャートは、基本的には、
図2のフローチャートと同様なステップであるので、同一のステップには、同一のステップの参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。また、
図3のフローチャートの部分のステップは同一であるので、図示を省略する。
【0108】
この実施形態2の運転制御システム11では、
図8のステップS6において、燃料電池14の被毒状態を回復することが、必要と判断された場合には、ステップS30に進み、
図9に示したように、ステップS30において、グリルシャッタ24が開かれるように制御されている。
【0109】
そして、ステップS30において、グリルシャッタ24が開かれた後、実施形態1と同様に、ステップS7に進み、ステップS7において、
図9に示したように、分岐熱交換流路60が開放されて、冷却水がエバポレータ58を経由するように制御される。
【0110】
このように構成することによって、グリルシャッタ24を開くとともに、燃料電池14を始動して、燃料電池14を過加湿運転状態にするように制御している。
【0111】
従って、グリルシャッタ24を開くとともに、燃料電池14を始動(発電)することによって、グリルシャッタ24を介して、燃料電池車両12の前部から導入される空気により、燃料電池14が露点以下に冷却されて、燃料電池14を過加湿運転状態にすることができる。
【0112】
しかも、グリルシャッタ24を介して、燃料電池車両12の前部から導入される空気により、燃料電池14がさらに冷却されることになり、燃料電池14が露点以下に冷却されて、燃料電池14を過加湿運転状態にすることができるので、水分生成のために水素極である燃料極(アノード)に供給され、消費される水素の量を低減でき、コストも低減することができる。
【0113】
なお、この場合、ステップS30において、グリルシャッタ24が開く際には、例えば、図示しない風量検知センサによって、走行風量が大きい場合に、グリルシャッタ24を開くとともに、燃料電池14を始動して、燃料電池14を過加湿運転状態にするように制御するのが望ましい。
【0114】
このように構成することによって、例えば、高速走行時などにおいて、走行風量が大きい場合に、グリルシャッタ24を開くので、燃料電池車両12の前部から導入される空気により、燃料電池14がさらに冷却されることになり、燃料電池14が露点以下に冷却されて、燃料電池14を過加湿運転状態にすることができるので、水素極である燃料極(アノード)に供給され、消費される水素の量を低減でき、コストも低減することができる。
【0115】
さらに、二次電池20の充電状態を示すSOC値が、所定値を超えることが検知された際に、燃料電池14を冷却して、燃料電池14を過加湿運転状態にするように制御しているので、燃料電池14の被毒を二次電池20の充電状態を悪化させることなく達成することができる。
すなわち、FC低温制御を行うと、燃料電池14の発電能力が低下するため、二次電池20への充電が十分に行われない恐れがあり、二次電池20が電欠状態に陥る危険性があるため、所定のSOCを超えたときにFC低温制御は実行するようにしている。
【0116】
以上のように実施形態2によれば、グリルシャッタ24を介して、車両の前部から導入される空気により、燃料電池14がさらに冷却されることになるので、より効果的に燃料電池14が露点以下に冷却できる。従って、燃料電池14を容易に過加湿運転状態にすることができるので、水分生成のために水素極である燃料極(アノード)に供給され、消費される水素の量を低減でき、コストも低減することができる。