特許第6862961号(P6862961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862961
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】水加熱システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 4/02 20060101AFI20210412BHJP
   F24H 7/02 20060101ALI20210412BHJP
   F24D 3/18 20060101ALI20210412BHJP
   F24D 3/08 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   F24H4/02 F
   F24H7/02 601Z
   F24D3/18
   F24D3/08 Z
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-53235(P2017-53235)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2018-155453(P2018-155453A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 昌和
(72)【発明者】
【氏名】古庄 和宏
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−093203(JP,A)
【文献】 実開昭59−144376(JP,U)
【文献】 国際公開第2008/113121(WO,A1)
【文献】 特開2006−214659(JP,A)
【文献】 特開2011−058750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 20/00
F28D 20/02
F24H 4/02
F24D 3/08
F24D 3/18
F24H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒循環回路を含み、外気から熱を奪う、ヒートポンプ装置(23)と、
水循環回路を含み、前記冷媒循環回路を流れる冷媒から熱を奪って前記水循環回路を流れる水を加熱する、水循環装置(25)と、
を備え、
前記水循環回路は、加熱された水を貯める貯水タンク(60、160)と、前記貯水タンクの中に配置され水と熱交換を行う蓄熱部材(61、161)と、を有し、
前記蓄熱部材は、主材料と1又は複数の副材料とを含み前記蓄熱運転において外形を保ちつつ相変化する複合蓄熱材であり、
前記複合蓄熱材は、
前記主材料として、熱を吸収する蓄熱あるいは熱を放出する放熱の際に相変化を伴う材料を含み、
前記副材料として、前記主材料が相変化しても形状を維持させるための材料を含み、
前記主材料に前記副材料が混ぜられて生成されている、
水加熱システム(20、220)。
【請求項2】
前記ヒートポンプ装置および前記水循環装置を制御して、前記蓄熱部材および前記貯水タンク内の水に熱を蓄えさせる蓄熱運転(94)を行う、制御部(90)、
をさらに備える、請求項1に記載の水加熱システム。
【請求項3】
ユーザーの要求に応じて加熱された水を提供する給湯部(28)と、給水源(99)から供給される水を前記給湯部へと導く水配管(99a、63、28a)と、を有する給湯装置、
をさらに備え、
前記水配管の一部(63)は、前記貯水タンクの中に配置されて、前記蓄熱部材および前記貯水タンク内の水から熱を奪う熱交換器としての役割を果たす、
請求項1又は2に記載の水加熱システム。
【請求項4】
建物内の所定空間に設置され、前記貯水タンクから流れてくる水の熱によって前記所定空間を暖める暖房装置(26)、
をさらに備え、
前記貯水タンクから前記暖房装置に流れた水は、前記所定空間の空気と熱交換をして冷却されて前記貯水タンクに戻る、
請求項1から3のいずれか1項に記載の水加熱システム(220)。
【請求項5】
前記複合蓄熱材は、前記副材料として、熱伝導性を向上させるための材料を含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の水加熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水加熱システム、特に、給湯や暖房のための温水を生成する水加熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給湯や暖房のための温水を生成する水加熱システムが提案されている。例えば、特許文献1(特開2013−174408号公報)に示されるヒートポンプ式給湯装置では、ヒートポンプにより加熱された温水をタンクに貯め、その温水を給湯や暖房に利用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述のような給湯装置では、一般に大きなタンクが必要になり、そのタンクの設置スペースの確保が課題となっている。
【0004】
本発明の課題は、水加熱システムの小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る水加熱システムは、ヒートポンプ装置と、水循環装置とを備えている。ヒートポンプ装置は、冷媒循環回路を含んでおり、外気から熱を奪う。水循環装置は、水循環回路を含んでおり、冷媒循環回路を流れる冷媒から熱を奪って、水循環回路を流れる水を加熱する。水循環回路は、加熱された水を貯める貯水タンクと、その貯水タンクの中に配置され水と熱交換を行う蓄熱部材と、を有する。
【0006】
ここでは、貯水タンクに加熱された水を貯めるだけではなく、貯水タンクの中に蓄熱部材を配置している。このため、水だけで蓄熱を行う場合に較べ、貯める水の量が減っても蓄熱部材の蓄熱機能によって補うことができるため、貯水タンクのサイズを小さくすることができる。これにより、水加熱システムの小型化が図られる。
【0007】
本発明の第2観点に係る水加熱システムは、第1観点に係る水加熱システムであって、制御部をさらに備えている。制御部は、ヒートポンプ装置および水循環装置を制御して、蓄熱部材および貯水タンク内の水に熱を蓄えさせる蓄熱運転を行う。
【0008】
ここでは、蓄熱運転において、ヒートポンプ装置によって外気から熱を奪い、その熱を使って水を加熱し、その熱を貯水タンク内の水および蓄熱部材に蓄える。したがって、これらの水および蓄熱部材に蓄えられた熱を用いて、例えば、高温給湯を行ったり急速暖房を行ったりすることが可能となる。
【0009】
本発明の第3観点に係る水加熱システムは、第1観点又は第2観点に係る水加熱システムであって、給湯装置をさらに備えている。給湯装置は、給湯部と、水配管とを有する。給湯部は、ユーザーの要求に応じて加熱された水を提供する。水配管は、給水源から供給される水を、給湯部へと導く。水配管の一部は、貯水タンクの中に配置されている。この貯水タンクの中に位置する水配管の一部は、蓄熱部材および貯水タンク内の水から熱を奪う熱交換器としての役割を果たす。
【0010】
ここでは、給湯部へと延びる水配管の一部が、貯水タンク内で熱交換器としての役割を果たすため、給水源から取った水を加熱して給湯部からユーザーに提供できる。そして、貯水タンク内の水の熱だけではなく、蓄熱部材の熱も、水配管を流れる水の加熱に用いることができるため、高温出湯や出湯量の確保が容易になる。
【0011】
本発明の第4観点に係る水加熱システムは、第1観点から第3観点のいずれかに係る水加熱システムであって、暖房装置をさらに備えている。暖房装置は、建物内の所定空間に設置され、貯水タンクから流れてくる水の熱によって所定空間を暖める。貯水タンクから暖房装置に流れた水は、所定空間の空気と熱交換をして冷却され、貯水タンクに戻る。
【0012】
ここでは、貯水タンク内に蓄熱部材が配置されているため、貯水タンクから暖房装置へと流す水の量を増やしても水温を高く保つことができたり、貯水タンクから暖房装置へ高い温度の水を流すことができたりする、というメリットが生まれる。
【0013】
本発明の第5観点に係る水加熱システムは、第1観点から第4観点のいずれかに係る水加熱システムであって、蓄熱部材は、複合蓄熱材である。複合蓄熱材は、主材料と、1又は複数の副材料とを含み、蓄熱運転において外形を保ちつつ相変化する。
【0014】
ここでは、蓄熱部材として、蓄熱運転において外形を保ちつつ相変化する複合蓄熱材を用いている。この複合蓄熱材の潜熱を利用することにより蓄熱密度が向上するため、蓄熱能力に対して蓄熱部材のサイズが相対的に従来よりも小さくなる。これにより、貯水タンクの大きさ、引いては水加熱システムの大きさを抑制することができる。
【0015】
本発明の第6観点に係る水加熱システムは、第5観点に係る水加熱システムであって、複合蓄熱材は、主材料として、熱を吸収する蓄熱あるいは熱を放出する放熱の際に相変化を伴う材料を含む。また、複合蓄熱材は、副材料として、主材料が相変化しても形状を維持させるための材料を含む。
【0016】
ここでは、複合蓄熱材が、主材料が相変化しても形状を維持させるための材料(副材料)を含む。これにより、相変化時の蓄熱材の外形を保つことができる。
【0017】
本発明の第7観点に係る水加熱システムは、第5観点又は第6観点に係る水加熱システムであって、複合蓄熱材は、副材料として、熱伝導性を向上させるための材料を含む。
【0018】
ここでは、例えば、グラファイト、あるいは、カーボン系ナノ粒子といった、熱伝導性を向上させるための材料を主材料に添加させることで、複合蓄熱材を生成している。このため、蓄熱部材の熱伝導性が向上し、水加熱システムにおける蓄熱運転を効率的に行わせることができる。
【0019】
なお、主材料としては、例えば、パラフィン系材料、あるいは、エリトリトールを用いることが好ましい。
【0020】
また、主材料が相変化しても形状を維持させるために主材料に添加する副材料としては、比重が0.94以上の高密度ポリエチレン、あるいは、セラミックの少なくとも一方を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、水加熱システムの小型化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る水加熱システムである暖房・給湯システムの構成図。
図2】暖房・給湯システムの制御ブロック図。
図3】貯水タンクにおける蓄熱部材の配置を示す概念図。
図4】暖房・給湯システムの暖房運転を示す図。
図5】暖房・給湯システムの冷房運転を示す図。
図6】暖房・給湯システムの給湯運転を示す図。
図7】暖房・給湯システムの蓄熱運転を示す図。
図8】暖房・給湯システムの蓄熱利用給湯運転を示す図。
図9】第1実施形態の変形例に係る貯水タンク内の蓄熱部材の配置を示す概念図。
図10】本発明の第2実施形態に係る水加熱システムである暖房・給湯システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る水加熱システムである暖房・給湯システム20を、図1に示す。
【0024】
(1)暖房・給湯システムの構成
暖房・給湯システム20は、室外ユニット23と、室内ユニット25と、ラジエターやファンコイルユニットなどの暖房装置26と、蛇口やシャワーなどの給湯機器28と、室外ユニット23および室内ユニット25の各機器を制御する制御部90とを有している。
【0025】
(1−1)室外ユニット
ヒートポンプ装置として機能する室外ユニット23は、主として、圧縮機31と、四路切換弁32と、室外熱交換器33と、膨張弁34と、ファン39とを有している。また、室外ユニット23は、それぞれ室内ユニット25と接続される第1、第2ポート23a,23bを有している。
【0026】
圧縮機31は、インバータ制御により容量可変である。圧縮機31は、低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮して高圧となったガス冷媒を吐出する。
【0027】
四路切換弁32は、圧縮機31の吐出管と室外熱交換器33とが連通し且つ圧縮機31の吸入管と第1ポート23aとが連通する第1状態と、圧縮機31の吐出管と第1ポート23aとが連通し且つ圧縮機31の吸入管と室外熱交換器33とが連通する第2状態と、を切り換える弁である。後述する冷房運転92においては、四路切換弁32が第1状態となり、暖房運転91等においては、四路切換弁32が第2状態となる。
【0028】
室外熱交換器33は、内部を流れる冷媒と、ファン39の駆動によって周囲を流れる室外空気との間で熱交換を行わせ、室外空気から冷熱あるいは温熱を奪って冷媒に与える機器である。後述する冷房運転92においては、室外熱交換器33は冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転91等においては、室外熱交換器33が冷媒の蒸発器として機能する。
【0029】
室外熱交換器33と第2ポート23bの間に設けられる膨張弁34は、冷媒を減圧するための膨張機構として機能する弁であり、開度調整が可能である。
【0030】
(1−2)室内ユニット
水循環装置として機能する室内ユニット25は、主として、第1〜第6水循環用配管51〜56と、冷媒配管57とを有している。また、室内ユニット25は、室外ユニット23の第1、第2ポート23a,23bとそれぞれ接続される第1、第2冷媒配管接続ポート25a、25bと、暖房装置26を接続するための第1、第2水配管接続ポート25c、25dと、給湯機器28等を接続するための第3,第4水配管接続ポート25e、25fとを有している。さらに、室内ユニット25は、水を循環させるためのポンプ71と、冷媒と水とを熱交換させる室内熱交換器72と、水循環経路を切り換えるための三方弁73と、第1、第2逆止弁74、75と、加熱した水を貯留する貯水タンク60とを有している。
【0031】
(1−2−1)ポンプ
ポンプ71は、暖房装置26との間に形成される水循環経路、あるいは貯水タンク60との間に形成される水循環経路において、吸い込んだ水を第1水循環用配管51に吐出する。
【0032】
(1−2−2)室内熱交換器
室内熱交換器72は、室外ユニット23から送られてきて冷媒配管57を流れる冷媒と、第1水循環用配管51から入り第2水循環用配管52へと流れていく水との間で、熱交換を行わせる。
【0033】
(1−2−3)貯水タンク
貯水タンク60は、給湯機器28に供給する水を加熱するための熱源である高温水を貯める容器である。貯水タンク60の上部には第5水循環用配管55が接続され、貯水タンク60の下部には第6水循環用配管56が接続されている。また、貯水タンク60に貯留される水の中に、給湯用伝熱管63が配置され固定されている。給湯用伝熱管63の入口は、第4水配管接続ポート25fを介して、上水道などの給水源99から延びる給水管99aと接続される。給湯用伝熱管63の出口は、第3水配管接続ポート25eを介して、給湯機器28と接続される。
【0034】
(1−2−4)蓄熱部材
また、貯水タンク60は、その内部空間に貯まっている水の中に位置する複数の蓄熱部材61を有している。蓄熱部材61は、貯水タンク60内で固定されており、給湯用伝熱管63の下方に配置されている。
【0035】
蓄熱部材61は、複合蓄熱材であり、主材料と、1又は複数の副材料とを含んでいる。この複合蓄熱材は、後述する蓄熱運転94および蓄熱利用給湯運転95において、外形を保ちつつ相変化する。
【0036】
具体的には、相変化するパラフィンやエリトリトールに、熱伝導性を向上させるためのナノグラファイト粒子やナノカーボン粒子が添加剤として混ぜられ、さらに、形状維持のために、高濃度ポリエチレン(HDPE)やセラミック粒子が混ぜられ、複合蓄熱材が生成される。
【0037】
例えば、相変化材料として溶融温度が60℃であるパラフィンを採用し、パラフィンの相変化時の形状を維持するために高濃度ポリエチレンを用いて、更にグラファイトやカーボン粒子を熱伝導性アップのために数%〜20%だけ添加して、固形の複合蓄熱材を生成することができる。
【0038】
複数の蓄熱部材61は、円柱状に生成されており、図3に示すように、それぞれ上下方向に長く延びるように配置されている。図3は、貯水タンク60内における複数の蓄熱部材61の相対位置を示すための概念図であり、図3では給湯用伝熱管63や貯水タンク60の底部、頂部の図示を省略している。貯水タンク60の形状も円柱状であって、蓄熱部材61は、貯水タンク60の円柱状の内部空間に、互いの隙間が小さくなるように密に配置されている。
【0039】
(1−2−5)三方弁および逆止弁
三方弁73は、室内熱交換器72と暖房装置26との間で水が循環する第1状態と、室内熱交換器72と貯水タンク60との間で水が循環する第2状態とを切り換える弁である。第1状態においては、ポンプ71から吐出された水が、第1水循環用配管51、室内熱交換器72、第2水循環用配管52、三方弁73、第3水循環用配管53、暖房装置26、第4水循環用配管54、第1逆止弁74を順に流れ、再びポンプ71に吸い込まれる。第2状態においては、ポンプ71から吐出された水が、第1水循環用配管51、室内熱交換器72、第2水循環用配管52、三方弁73、第5水循環用配管55、貯水タンク60、第6水循環用配管56、第2逆止弁75を順に流れ、再びポンプ71に吸い込まれる。
【0040】
第1逆止弁74は、暖房装置26につながる第2水配管接続ポート25dからポンプ71への水の流れを許容し、その逆の流れを許容しない逆止弁である。第2逆止弁75は、貯水タンク60からポンプ71への水の流れを許容し、その逆の流れを許容しない逆止弁である。
【0041】
(1−3)暖房装置および給湯機器
暖房装置26は、家などの建物内に配備されるラジエターやファンコイルユニット、床暖房ユニット、などであり、内部を流れる高温の水(湯)の熱によって建物内を暖房する。各暖房装置26は、暖房用水連絡配管26a,26bを介して、室内ユニット25の第1、第2水配管接続ポート25c、25dに接続される。
【0042】
給湯機器28は、建物内の給湯可能な蛇口やシャワーの水栓であり、給湯用水連絡配管28aを介して、室内ユニット25の第3水配管接続ポート25eに接続されている。例えば、蛇口を開けると、給水源99の水の圧力によって、給水源99の水が、給水管99a、第4水配管接続ポート25f、給湯用伝熱管63、第3水配管接続ポート25e、給湯用水連絡配管28aを通って、蛇口から流れ出す。この水は、給湯用伝熱管63を通っているときに室内ユニット25の貯水タンク60内の高温の湯および蓄熱部材61と熱交換を行い、40−50℃程度の湯となる。給湯機器28では、混合水栓などを用いて、給湯温度を調整する。
【0043】
(1−4)制御部
制御部90は、室外ユニット23および室内ユニット25の各機器や各弁を制御して、各種運転を行わせるコントローラである。制御部90は、主にCPUからなり、RAM、ROM、及びハードディスク等からなるメモリ(図示せず)に記憶されたプログラムを実行することで各種処理を実行する。制御部90は、図2に示すように、圧縮機31、四路切換弁32、膨張弁34、ファン39、ポンプ71、三方弁73などと接続されている。また、図示しない冷媒温度センサや水温センサなども、制御部90に接続されている。
【0044】
制御部90は、図2に示すように、暖房運転91、冷房運転92、給湯運転93、蓄熱運転94、蓄熱利用給湯運転95、などを実行する。
【0045】
(2)暖房・給湯システムの運転
暖房・給湯システム20では、以下の各運転を行うことができる。これらの運転では、冷媒や水が、以下に説明するように流れ、暖房や冷房、給湯、蓄熱が行われる。
【0046】
(2−1)暖房運転
暖房運転91においては、図4に示すように、室外ユニット23では、暖房サイクルで冷媒が循環し、室外熱交換器33において室外空気から温熱を奪った冷媒が、室内ユニット25の室内熱交換器72へと流れる。すなわち、制御部90は、暖房運転91において、四路切換弁32を第2状態にして、膨張弁34の開度を絞って冷媒を減圧させる。ここでは、冷媒が、圧縮機31、室内熱交換器72、膨張弁34、室外熱交換器33の順に流れ、圧縮機31に戻る。室内熱交換器72は冷媒の凝縮器として機能し、室外熱交換器33は冷媒の蒸発器として機能する。圧縮機31から吐出された高温、高圧の冷媒は、室内熱交換器72において室内ユニット25を循環する水に熱を放出する。
【0047】
一方、室内ユニット25では、三方弁73を第1状態にし、ポンプ71から吐出された水が、第1水循環用配管51、室内熱交換器72、第2水循環用配管52、三方弁73、第3水循環用配管53、暖房装置26、第4水循環用配管54、第1逆止弁74を順に流れ、再びポンプ71に吸い込まれるように、制御部90が各弁を制御する。ポンプ71から吐出された水は、室内熱交換器72において冷媒配管57を流れる高温の冷媒から熱を奪って高温となり、暖房装置26において熱を放出する。これによって、暖房装置26による暖房が行われる。暖房装置26で放熱した水は、室内ユニット25に戻り、再びポンプ71によって室内熱交換器72に向けて吐出され循環する。
【0048】
(2−2)冷房運転
暖房・給湯システム20は、基本的に暖房と給湯とを行うシステムであるが、本実施形態では、室外ユニット23に四路切換弁32を配備し、暖房装置26に冷水を流すことで冷房を行うことも可能なシステムとしている。
【0049】
冷房運転92においては、図5に示すように、冷媒が、圧縮機31、室外熱交換器33、膨張弁34、室内熱交換器72を順に流れ、圧縮機31に戻るように、制御部90が各弁を制御する。すなわち、冷房サイクルで冷媒が循環するように、四路切換弁32を第1状態にし、膨張弁34の開度を絞って冷媒を減圧させる。室外熱交換器33は冷媒の凝縮器として機能し、室内熱交換器72は冷媒の蒸発器として機能する。室外熱交換器33を出て膨張弁34で減圧された低圧の二相状態の冷媒は、室内熱交換器72において蒸発し、室内ユニット25を循環する水から熱を奪う。
【0050】
一方、室内ユニット25では、三方弁73を第1状態にし、ポンプ71から吐出された水が、第1水循環用配管51、室内熱交換器72、第2水循環用配管52、三方弁73、第3水循環用配管53、暖房装置26、第4水循環用配管54、第1逆止弁74を順に流れ、再びポンプ71に吸い込まれるように、制御部90が各弁を制御する。ポンプ71から吐出された水は、室内熱交換器72において冷媒配管57を流れる冷媒に吸熱されて低温となり、暖房装置26において室内空気から温熱を吸収する。これによって、暖房装置26による室内の冷房が行われる。暖房装置26で吸熱した水は、室内ユニット25に戻り、再びポンプ71によって室内熱交換器72に向けて吐出され循環する。
【0051】
(2−3)給湯運転
給湯運転93においては、図6に示すように、室外ユニット23では、暖房サイクルで冷媒が循環し、室外熱交換器33において室外空気から温熱を奪った冷媒が、室内ユニット25の室内熱交換器72へと流れる。すなわち、制御部90は、暖房運転91において、四路切換弁32を第2状態にして、膨張弁34の開度を絞って冷媒を減圧させる。ここでは、冷媒が、圧縮機31、室内熱交換器72、膨張弁34、室外熱交換器33の順に流れ、圧縮機31に戻る。室内熱交換器72は冷媒の凝縮器として機能し、室外熱交換器33は冷媒の蒸発器として機能する。圧縮機31から吐出された高温、高圧の冷媒は、室内熱交換器72において室内ユニット25を循環する水に熱を放出する。
【0052】
一方、室内ユニット25では、三方弁73を第2状態にし、ポンプ71から吐出された水が、第1水循環用配管51、室内熱交換器72、第2水循環用配管52、三方弁73、第5水循環用配管55、貯水タンク60、第6水循環用配管56、第2逆止弁75を順に流れ、再びポンプ71に吸い込まれるように、制御部90が各弁を制御する。ポンプ71から吐出された水は、室内熱交換器72において冷媒配管57を流れる高温の冷媒から熱を奪って高温となり、貯水タンク60の上部に流れ込む。そして、貯水タンク60の下部の比較的低温の水が押し出され、ポンプ71に戻る。
【0053】
そして、給水管99aから貯水タンク60内の給湯用伝熱管63を通って給湯機器28へと流れる水は、貯水タンク60の中の高温水および蓄熱部材61と熱交換を行い、給湯機器28に向けて高温出湯される。
【0054】
(2−4)蓄熱運転
暖房や給湯の要求がなく、貯水タンク60内の水温が低いときに、貯水タンク60内の水および蓄熱部材61に温熱を蓄えるために、制御部90によって蓄熱運転94が実行される。図7に示すように、蓄熱運転94においては、室外ユニット23では、暖房サイクルで冷媒が循環し、室外熱交換器33において室外空気から温熱を奪った冷媒が、室内ユニット25の室内熱交換器72へと流れる。暖房運転91と同様に、圧縮機31から吐出された高温、高圧の冷媒は、室内熱交換器72において室内ユニット25を循環する水に熱を放出する。
【0055】
一方、室内ユニット25では、給湯運転93と同様に、三方弁73を第2状態にし、ポンプ71から吐出された水が、第1水循環用配管51、室内熱交換器72、第2水循環用配管52、三方弁73、第5水循環用配管55、貯水タンク60、第6水循環用配管56、第2逆止弁75を順に流れ、再びポンプ71に吸い込まれるように、制御部90が各弁を制御する。ポンプ71から吐出された水は、室内熱交換器72において冷媒配管57を流れる高温の冷媒から熱を奪って高温となり、貯水タンク60の上部に流れ込む。そして、貯水タンク60の下部の比較的低温の水が押し出され、ポンプ71に戻る。貯水タンク60内では、だんだんと蓄熱部材61に温熱が蓄えられていき、貯水タンク60内における高温水の割合が増えていく。
【0056】
(2−5)蓄熱利用給湯運転
蓄熱運転によって、貯水タンク60内の水温が十分に高くなっていれば、蓄熱部材61にも十分な温熱が蓄えられた状態であると言える。この状態において、給湯の要求があったときには、しばらくの間、室外ユニット23の圧縮機31は稼働させず、貯水タンク60内の水および蓄熱部材61の蓄熱を利用した給湯運転(蓄熱利用給湯運転95)が行われる。
【0057】
図8に示すように、蓄熱利用給湯運転95においては、制御部90は、室外ユニット23の冷媒は循環させず、室内ユニット25のポンプ71を稼働させる。給湯運転93と同様に、三方弁73が第2状態にされて、ポンプ71から吐出された水は、第1水循環用配管51、室内熱交換器72、第2水循環用配管52、三方弁73、第5水循環用配管55、貯水タンク60、第6水循環用配管56、第2逆止弁75を順に流れ、再びポンプ71に吸い込まれる。
【0058】
一方、給水管99aから貯水タンク60内の給湯用伝熱管63を通って給湯機器28へと流れる水は、貯水タンク60の中の高温水と熱交換を行い、給湯機器28に向けて高温出湯される。貯水タンク60において給湯用伝熱管63を通る水と熱交換を行って温度が下がった循環水は、蓄熱部材61の周囲を通って上から下に流れるときに蓄熱部材61から熱を奪って高温となり、ポンプ71を通って再び貯水タンク60の上部に流れ込んで給湯用伝熱管63を通る水と熱交換を行う。そして、循環水の温度が下がってくると、図8に示す蓄熱利用給湯運転95から図6に示す給湯運転93に切り換えられる。すなわち、室内ユニット25における循環水の温度が下がると、制御部90は、室外ユニット23の圧縮機31を稼働させて、室外ユニット23において冷媒を暖房サイクルで循環させる。
【0059】
(3)暖房・給湯システムの特徴
(3−1)
本実施形態に係る暖房・給湯システム20は、ヒートポンプ装置としての室外ユニット23と、水循環装置としての室内ユニット25とを備えている。室外ユニット23は、圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、膨張弁34を有する冷媒循環回路を含むユニットであり、蓄熱運転94を行っているときに、室外熱交換器33において外気(室外空気)から熱を奪う。室外ユニット23は、第1〜第6水循環用配管51〜56やポンプ71を有する水循環回路を含むユニットであり、室内熱交換器72において、冷媒循環回路を流れる冷媒から熱を奪って、水循環回路を流れる水を加熱する。水循環回路に含まれる貯水タンク60は、その内部の水と熱交換を行う蓄熱部材61を有している。そして、制御部90が、蓄熱部材61および貯水タンク60内の水に熱を蓄えさせる蓄熱運転94を実行する。
【0060】
ここでは、貯水タンク60に加熱された水を貯めるだけではなく、貯水タンク60の中に蓄熱部材61を配置している。このため、水だけで蓄熱を行う場合に較べ、貯める水の量が減っても蓄熱部材61の蓄熱機能によって補うことができるため、貯水タンク60のサイズを小さくすることができる。これにより、暖房・給湯システム20の小型化が図られている。
【0061】
(3−2)
本実施形態に係る暖房・給湯システム20は、給水管99a、給湯用伝熱管63、給湯用水連絡配管28a、給湯機器28などを含む給湯装置を備えている。シャワーや蛇口といった給湯機器28は、ユーザーの要求に応じて加熱された水を提供する。給水源99から供給される水を給湯機器28へと導く給水管99a、給湯用伝熱管63および給湯用水連絡配管28aのうち、給湯用伝熱管63は、貯水タンク60の中に配置されている。この給湯用伝熱管63は、蓄熱部材61および貯水タンク60内の水から熱を奪う熱交換器としての役割を果たす。
【0062】
ここでは、給湯用伝熱管63が、貯水タンク60内で熱交換器としての役割を果たすため、たとえ室外ユニット23の圧縮機31を止めていても、給水源99から取った水を加熱して給湯機器28からユーザーに提供できる(上述の図8に示す蓄熱利用給湯運転95を参照)。そして、貯水タンク60内の水の熱だけではなく、蓄熱部材61の熱も、給湯用伝熱管63を流れる水の加熱に用いることができるため、高温出湯や出湯量の確保が容易になっている。
【0063】
(3−3)
本実施形態に係る暖房・給湯システム20では、蓄熱部材61が、蓄熱運転94において、貯水タンク60内で貯水タンク60を流れる循環水から熱を奪って温熱を蓄える。また、蓄熱部材61は、蓄熱利用給湯運転95において、貯水タンク60を流れる循環水に温熱を放出する。そして、蓄熱部材61として、蓄熱運転94や蓄熱利用給湯運転95において外形を保ちつつ相変化する複合蓄熱材を採用している。複合蓄熱材は、主材料と、複数の副材料とを含んでいる。この複合蓄熱材の潜熱を利用することにより蓄熱密度が向上するため、蓄熱能力に対する蓄熱部材61のサイズが、相対的に水や水和物スラリーよりも小さくなっている。これにより、蓄熱運転94を行う暖房・給湯システム20の小型化が図られている。
【0064】
(4)変形例
上記の第1実施形態では、蓄熱部材61を円柱形状に成形して、それらの長手方向を循環水の流れる方向に合わせて複数の蓄熱部材61を貯水タンク60内に配置しているが、図9に示すような貯水タンク160および蓄熱部材161を代わりに採用してもよい。
【0065】
貯水タンク160内には、多数の球状の蓄熱部材161が、互いが接触する状態で詰められる。蓄熱部材161がそれぞれ球状であるため、貯水タンク160内に形成される循環水の流路は、自然と蛇行する流路になり、循環水と蓄熱部材161との熱交換が促進される。
【0066】
なお、図9における矢印は、循環水の流れを示している。
【0067】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る水加熱システムである暖房・給湯システム220を、図10に示す。暖房・給湯システム220は、図1に示す暖房・給湯システム20と同じ室外ユニット23、暖房装置26および給湯機器28を含む給湯装置を使用しつつ、室内ユニット25に代えて室内ユニット225を採用したシステムである。
【0068】
室内ユニット225は、第1実施形態の室内ユニット25の第4水循環用配管54に新たに第2三方弁279を設け、第2三方弁279の状態を切り換えることで、暖房装置26から第2三方弁279および第7水循環用配管254を通って貯水タンク60の上部に循環水が流れ込む第3の水循環経路を選択できるユニットである。第7水循環用配管254は、第2三方弁279と第5水循環用配管55とを結ぶ配管である。
【0069】
この暖房・給湯システム220では、上述の第1実施形態の暖房運転91、冷房運転92、給湯運転93、蓄熱運転94および蓄熱利用給湯運転95に加え、図10の太線で示す冷媒および循環水の流れによる暖房・予備蓄熱運転を更に行うことが可能である。
【0070】
制御部90は、例えば、暖房の要求がある一方、貯水タンク60内の水温が30℃といった低温で、暖房と同時に予備的に貯水タンク60内の水および蓄熱部材61への蓄熱を行わせたいときに、暖房・予備蓄熱運転を実行する。
【0071】
(1)暖房・予備蓄熱運転
制御部90は、暖房・予備蓄熱運転において、室外ユニット23では、暖房サイクルで冷媒を循環させる。圧縮機31から吐出された高温、高圧の冷媒は、室内熱交換器72において室内ユニット25を循環する水に熱を放出する。一方、室内ユニット225では、三方弁73を第1状態にし、第2三方弁278を、暖房装置26から第2三方弁279および第7水循環用配管254を通って貯水タンク60の上部に循環水が流れ込む状態にする。すると、ポンプ71から吐出された水が、第1水循環用配管51、室内熱交換器72、第2水循環用配管52、三方弁73、第3水循環用配管53、暖房装置26、第2三方弁279、第7水循環用配管254、貯水タンク60、第6水循環用配管56、第2逆止弁75を順に流れ、再びポンプ71に吸い込まれる。ポンプ71から吐出された水は、室内熱交換器72において冷媒配管57を流れる高温の冷媒から熱を奪って高温となり、暖房装置26において熱を放出する。例えば、60℃で暖房装置26に入った高温水は、40〜50℃になって室内ユニット25に戻る。室内ユニット25に戻った水は、第2三方弁279および第7水循環用配管254を通って貯水タンク60の上部に流れ、低温の貯水タンク60内の水をポンプ71へと押し出すとともに、蓄熱部材61へ放熱する。言い換えると、30℃以下といった低温になっている蓄熱部材61は、貯水タンク60に流れ込んでくる40〜50℃の循環水と熱交換を行い、循環水から温熱を奪って蓄熱する。
【0072】
(2)急速暖房運転
また、制御部90は、上述の第1実施形態の蓄熱運転94が行われ、貯水タンク60内の水温が十分に高くなっていれば、上述の暖房運転91よりも暖房能力が高くなる急速暖房運転を行わせることもできる。図10に示すように冷媒および水を循環させると、循環水の加熱源が、室内熱交換器72および貯水タンク60内の蓄熱部材61となり、より高温の循環水を暖房装置26に提供できる。
【符号の説明】
【0073】
20 暖房・給湯システム(水加熱システム)
23 室外ユニット(ヒートポンプ装置)
25 室内ユニット(水循環装置)
26 暖房装置
28 給湯機器(給湯部)
28a 給湯用水連絡配管(水配管)
60 貯水タンク
61 蓄熱部材
63 給湯用伝熱管(水配管)
90 制御部
94 蓄熱運転
99 給水源
99a 給水配管(水配管)
160 貯水タンク
161 蓄熱部材
220 暖房・給湯システム(水加熱システム)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2013−174408号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10