(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水酸基含有モノ(メタ)アクリレート( A )、炭素数8〜20のアルキル基含有モノ(メタ) アクリレート(B) 、および多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)を含む重合成分、ならびに光重合開始剤を含む活性エネルギー線重合性接着剤であって、前記活性エネルギー線重合性接着剤100質量%中に前記水酸基含有モノ(メタ)アクリレート(A) を、5質量%を超え40質量%以下、前記炭素数8〜20のアルキル基含有モノ(メタ)アクリレート(B)を2 質量%以上1 5質量%未満含む、活性エネルギー線重合性接着剤。
前記多官能(メタ)アクリレートモノマーが、2官能(メタ)アクリロイル基含有化合物および3官能(メタ)アクリロイル基含有化合物からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1記載の活性エネルギー線重合性接着剤。
前記光重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤および光カチオン重合開始剤からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1〜5いずれか1項に記載の活性エネルギー線重合性接着剤。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、本明細書で用いる用語を説明する。「活性エネルギー線」とは、紫外線、可視光線、赤外線、エレクトロンビーム(EB)、および放射線を含む、化学反応を生じさせるための活性化に必要なエネルギーを提供できる広義のエネルギー線を意味する。本発明の活性エネルギー線重合性接着剤は、上記活性エネルギー線の照射によって、重合反応が進行し、接着層等の硬化物を形成する。
また、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイルおよびメタクリロイル」を含む。「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸およびメタクリル酸」を含む。「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレート」を含む。「(メタ)アクリロイルオキシ」は、「アクリロイルオキシおよびメタクリロイルオキシ」を含む。「(メタ)アリル」は、「アリルおよびメタリル」を含む。「モノマー」は、「エチレン性不飽和結合含有単量体」である。積層体を構成するフィルムおよび部材は、区別せず同義語とする。活性エネルギー線重合性接着剤から形成した活性エネルギー線照射前の層を被膜、活性エネルギー線照射後の層を接着層という。重合成分は、光重合開始剤以外の活性エネルギー線重合性化合物である。
【0011】
本発明の活性エネルギー線重合性接着剤は、水酸基含有モノ(メタ)アクリレート(A)(以下、モノマー(A)ともいう)、炭素数8〜20のアルキル基含有モノ(メタ)アクリレート(B)(以下、モノマー(B)、および多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)(以下、モノマー(C)ともいう)を含む重合成分、ならびに光重合開始剤を含み、
前記活性エネルギー線重合性接着剤100質量%中に前記水酸基含有モノ(メタ)アクリレート(A)を、5質量%を超え40質量%以下、前記炭素数8〜20のアルキル基含有モノ(メタ)アクリレート(B)を2質量%以上15質量%未満含む。
【0012】
本発明の活性エネルギー線重合性接着剤は、活性エネルギー線の照射によって、重合反応が進行し、形成する接着層が様々な部材を接着し、積層体を形成できる。
【0013】
本発明の活性エネルギー線重合性接着剤は、疎水性が高い炭素数8〜20のアルキル基を有するモノマー(B)を適量使用すると接着層の耐水性が向上する。さらにモノマー(A)を適量併用すると、活性エネルギー線に対する感度が向上し、低照射量の活性エネルギー線で所望の剥離強度が得られるのに加え、耐熱水性が向上する。
【0014】
本発明の活性エネルギー線重合性接着剤は、活性エネルギー線に対する感度が向上することで低照射量の活性エネルギー線で適度な重合が可能になったことで形成する接着層の硬化収縮を抑制できる。さらに、硬化収縮に起因した基材の皺の発生を抑制できるため、積層体の歩留まりが高まり、積層体の生産性が向上する。
【0015】
<活性エネルギー線重合性接着剤>
本発明の活性エネルギー線重合性接着剤(以下、「接着剤」ともいう)は、活性エネルギー線重合性接着剤100質量%中モノマー(A)を5質量%を超え40質量%以下、モノマー(B)を2質量%以上15質量%未満、および多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む。
【0016】
<水酸基含有モノ(メタ)アクリレートモノマー(A)>
水酸基含有モノ(メタ)アクリレートモノマー(A)は、水酸基、および(メタ)アクリロイル基をひとつ有するモノマーである。モノマー(A)は、基材との親和性が高く密着性が向上することで剥離強度の向上に寄与する。また、モノマー(A)は、酸素阻害を受けにくいことから活性エネルギー線の感度が優れるため低照射での重合性向上に寄与する。
【0017】
モノマー(A)は、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸エチル−α−(ヒドロキシメチル)等の単官能(メタ)アクリル酸グリセロール;
(メタ)アクリル酸グリシジルラウリン酸エステル等の脂肪酸エステル系(メタ)アクリル酸エステル;
【0018】
シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ア(メタ)アクリロイルキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸等の環状(メタ)アクリル酸エステル;
これら水酸基を有するモノ(メタ)アクリレートにε−カプロラクトンを開環付加させて合成した分子末端に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
これら水酸基を有するモノ(メタ)アクリレートにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを繰り返し付加したアルキレンオキサイド付加(メタ)アクリル酸エステル等;の脂肪族(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0019】
モノマー(A)は、これらの中でも剥離強度および低照度剥離強度が優れる点で(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましい。
【0020】
モノマー(A)は、接着剤100質量%中を5質量%を超え40質量%以下含むことが好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
【0021】
<炭素数8〜20のアルキル基含有モノ(メタ)アクリレート(B)>
炭素数8〜20のアルキル基含有モノ(メタ)アクリレート(B)ともいう)は、炭素数が8〜20のアルキル基、および(メタ)アクリロイル基をひとつ有するモノマーである。モノマー(B)は、炭素数8〜20のアルキル基を有するため疎水性が高く、耐水性が向上する。また、接着剤を塗工後の被膜を柔らかくでき、被膜が基材と充分になじむため活性エネルギー照射後の剥離強度が向上する。さらに硬化収縮が小さいため皺を抑制し積層体の歩留まりが向上する。
【0022】
モノマー(B)は、例えば、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n―オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】
モノマー(B)は、これらの中でも初期剥離強度が特に優れる面で、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0024】
モノマー(B)は、接着剤100質量%中を2質量%以上15質量%未満含むことが好ましく、4〜10質量%がより好ましい。
【0025】
<多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)>
多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)は、(メタ)アクリロイル基を二つ以上有する、(メタ)アクリレートオリゴマー(D)以外の化合物である。多官能(メタ)アクリレートモノマーは、2官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能(メタ)アクリレートモノマー、4官能以上の(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。モノマー(C)は、複数の(メタ)アクリレートを有するため重合性に優れ、接着層の架橋密度が向上するため耐熱性が向上する。
【0026】
2官能(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を有しないジ(メタ)アクリレートモノマー;
エチレンオキシ変性ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシ変性ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキシ変性ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシ変性2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシ変性2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキシ変性2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシ変性ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシ変性ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキシ変性ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシ変性ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシ変性ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキシ変性ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキシ基を有するジ(メタ)アクリレートモノマー;
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の1種類のアルキレングリコールを有するジ(メタ)アクリレートモノマー;
エチレングリコール−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール−ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート;等の2種類以上のアルキレンオキシ基を有するジ(メタ)アクリレートモノマー;
イソシアヌル酸エチレンオキシ変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸プロピレンオキシ変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ブチルオキシ変性ジ(メタ)アクリレートおよびイソシアヌル酸ブチルオキシ変性ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0027】
3官能(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシ変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシ変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキシ変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシ2mol変性2,2−ジメチルプロパン−1、エチレンオキシ3mol変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシ3mol変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシ3mol変性グリセリン(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸プロピレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ブチルオキシ変性トリ(メタ)アクリレートおよびイソシアヌル酸ブチルオキシ変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
4官能以上の(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシ変性ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロレンオキシ変性ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキシ変性ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0029】
モノマー(C)は、これらの中でも低照度剥離強度および熱経時後剥離強度の面からジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシ2mol変性2,2−ジメチルプロパン−1,トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびイソシアヌル酸エチレンオキシ変性ジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0030】
モノマー(C)は、接着剤100質量%中を10〜70質量%含むことが好ましく、30〜65質量%がより好ましい。
【0031】
本発明の接着剤は、さらに(メタ)アクリレートオリゴマー(D)を含むことができる。(メタ)アクリレートオリゴマー(D)は、重量平均分子量500〜100000、かつ(メタ)アクリロイル基をふたつ以上有する公知の化合物である。(メタ)アクリレートオリゴマー(D)は、例えば、ポリウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー(D1)、ポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマー(D2)、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー(D3)が好ましい。(メタ)アクリレートオリゴマー(D)を使用すると剥離強度および耐熱性がより向上する。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、重量平均分子量が既知のポリスチレンを標準物質として測定した値である。また、(メタ)アクリレートオリゴマー(D)は、モノマー(A)、モノマー(B)、モノマー(C)以外の化合物である。
【0032】
<ポリウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー(D1)>
オリゴマー(D1)は、分子内にウレタン結合を有する化合物である。オリゴマー(D1)は、例えば、2個以上のイソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物を反応させて合成した末端にイソシアネート基を有する化合物に、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得ることができる。
【0033】
オリゴマー(D1)の市販品を挙げると、例えば、EBECRYL210、EBECRYL220(以上、ダイセル・オルネクス社製)、CN9782、CN9783(以上、SARTOMER社製)等の芳香族ポリウレタン系オリゴマー、紫光3000B、紫光3700B(以上、日本合成化学工業社製)、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL8402、EBECRYL8701(以上、ダイセル・オルネクス社製)等の脂肪族ポリウレタン系オリゴマーが挙げられる。
【0034】
<ポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマー(D2)>
オリゴマー(D2)は、分子内にエステル結合を有する化合物である。オリゴマー(D2)は、例えば、ポリエステルを有する水酸基と、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(例えば、(メタ)アクリル酸など)とのエステル化反応により合成した化合物である。
【0035】
オリゴマー(D2)の市販品を挙げると、例えば、CN296、CN2203、CN2259、CN2261(以上、SARTOMER社製)、等の芳香族ポリエステル系オリゴマー、CN294、CN2270、CN2271(以上、SARTOMER社製)等の脂肪族ポリエステル系オリゴマーが挙げられる。
【0036】
<エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー(D3)>
オリゴマー(D3)は、エポキシ基を有する化合物のエポキシ基と、カルボキシル基または水酸基を有する化合物とを反応させた化合物である。オリゴマー(D3)は、原料由来のエポキシ基が残留しても良いが、エポキシ基の全てをカルボキシル基や水酸基と反応させた化合物が好ましい。
【0037】
オリゴマー(D3)の市販品を挙げると、例えば、CN104、CN110(以上、SARTOMER社製)、EBECRYL600、EBECRYL3701(以上、ダイセル・オルネクス社製)等の芳香族エポキシ系オリゴマー、CN111、CN113(以上、SARTOMER社製)、EBECRYL860(ダイセル・オルネクス社製)等の脂肪族エポキシ系オリゴマーが挙げられる。
【0038】
(メタ)アクリレートオリゴマー(D)は、接着剤100質量%中、1〜30質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。(メタ)アクリレートオリゴマー(D)を適量使用すると高い架橋密度の接着層が得られるため剥離強度および耐熱性がより向上する。
【0039】
<アルコキシシラン(E)>
本発明の接着剤は、さらに、アルコキシシラン(E)を含むことが好ましい。アルコキシシラン(E)は、アルコキシシリル基と他の反応性官能基を有するケイ素化合物であり、主に接着助剤の役割を果たす。
【0040】
アルコキシシラン(E)は、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のメタクリロキシ基とアルキル基とアルコキシ基を2つ有するシラン化合物;、
γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアクリロキシ基とアルキル基とアルコキシ基を2つ有するシラン化合物;、
γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシメチルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリロキシアルキル基とアルコキシ基を3つ有するシラン化合物;、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン等のビニル基を有するアルコキシシラン;、
5−ヘキセニルトリメトキシシラン、9−デセニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン等のアルキル基とアルコキシ基を有するシラン化合物;、
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のアミノアルキル基とアルコキシ基を有するシラン化合物;、
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、β−メルカプトメチルフェニルエチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、6−メルカプトヘキシルトリメトキシシラン、10−メルカプトデシルトリメトキシシラン等のメルカプト基とアルコキシ基を有するシラン化合物;、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン等のオキシラン環とアルコキシ基を有するシラン化合物;
その他、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシラザン、ジフェニルジメトキシシラン、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アルコキシシラン(E)は、単独または2種類以上を併用できる。
【0041】
アルコキシシラン(E)は、耐熱水性がより向上する面で、エポキシ基含有アルコキシシランが好ましい。エポキシ基含有アルコキシシランは、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリメトキシシランが好ましい。
【0042】
アルコキシシラン(E)は、接着剤100質量%中、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。アルコキシシラン(E)を適量使用すると耐熱水性がより向上する。
【0043】
本発明の接着剤は、さらにエポキシ化合物を含むことができる。エポキシ化合物はエポキシ基を有する化合物である。なお、エポキシ基を有する化合物は、モノマー(A)、モノマー(B)、モノマー(C)、オリゴマー(D)、およびアルコキシシラン(E)以外の化合物である。
【0044】
エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。なお、エポキシ化合物は、アルコキシシラン(E)以外の化合物である。
【0045】
芳香族エポキシ化合物は、例えば、ビスフェノ−ルAジグリシジルエーテル、ビスフェノ−ルFジグリシジルエーテル、ビスフェノ−ルSジグリシジルエーテル、ビスフェノ−ルAプロピレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、フェノ−ルノボラックエポキシ、クレゾ−ルノボラックエポキシ、ビフェニル型エポキシ、レゾルシンジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノ−ルエチレンオキサイドグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0046】
脂肪族エポキシ化合物は、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオ−ルのジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオ−ルのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロ−ルプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびグリセリン等の脂肪族多価アルコールに対して1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド)を付加することで得られるポリエーテルポリオ−ルのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0047】
脂環式エポキシ化合物は、例えば、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1,2:8,9ジエポキシリモネン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペ−ト、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペ−ト等が挙げられる。
【0048】
エポキシ化合物は、エポキシ当量が30〜3000g/eq程度であり、50〜1500g/eqが好ましい。エポキシ当量が30g/eq以上になると接着層の柔軟性、および剥離強度がより向上する。また、3000g/eq以下になると硬化性と剥離強度がより向上する。
【0049】
本発明の接着剤は、光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン化合物、モノカルボニル化合物、ジカルボニル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アシルフォスフィンオキシド化合物、アミノカルボニル化合物等が好ましい。
光ラジカル重合開始剤の市販品を挙げると、例えば、イルガキュア−184、907、651、1700、1800、819、369、261、DAROCUR−TPO(以上、BASF社製)、ダロキュア−1173(メルク社製)、エザキュア−KIP150、TZT(日本シイベルヘグナ−社製)、カヤキュアBMS、カヤキュアDMBI、(以上、日本化薬社製)等が挙げられる。
【0050】
光カチオン重合開始剤は、例えば、芳香族スルホニウム化合物、芳香族ヨードニウム化合物、メタロセン化合物等が好ましい。
光カチオン重合開始剤の市販品を挙げると、例えば、UVACURE1590(ダイセル・サイテック社製)、CPI−110P(サンアプロ社製)等のスルホニウム塩やIRGACURE250(BASF社製)、WPI−113(和光純薬工業社製)、Rp−2074(ローディア・ジャパン社製)等のヨードニウム塩が挙げられる。
【0051】
光アニオン重合開始剤は、例えば、ウレタン化合物、α―アミノケトン系化合物、4級アンモニウム系化合物、О―アシルオキシム系化合物等が好ましい。
光アニオン重合開始剤の市販品を挙げると、例えば、WPBG−165、WPBG−018、WPBG−172、WPBG−140、WPBG−166、WPBG−027、WPBG−082、WPBG−167、WPBG−168、WPBG−266(以上、和光純薬工業社製)等が挙げられる。
【0052】
光重合開始剤は、接着剤100質量%中に0.1質量%以上10質量%以下を含むことが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0053】
本発明の接着剤は、必要に応じて、さらに光増感剤、アミン系触媒、リン系触媒、フィラー、帯電防止剤、老化防止剤、酸化防止剤、粘着付与剤、アンチブロッキング剤、消泡剤、可塑剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を含有できる。
【0054】
本発明の接着剤は、樹脂の寸法安定性の制御の観点から、25℃での粘度が、1〜2000mPa・sであることが好ましく、10〜1500mPa・sがより好ましく、20〜1000mPa・sがさらに好ましい。なお、粘度は、E型コーンプレート粘度計を使用し、1°34’×R24ローターで10回転/1分で測定した、回転開始1分後の数値である。
【0055】
本発明の積層体は、基材(A)、活性エネルギー線重合性接着剤の硬化物である接着層、および基材(B)を備えている。
【0056】
積層体の形成は、基材(A)上に接着剤を塗工して形成した被膜上に、基材(B)を貼り合わせる。活性エネルギー線の照射は、任意のタイミングで行う。例えば、接着剤の塗工時、基材(B)を積層した後に活性エネルギー線を照射することができる。これらの中でも基材(B)を積層した後活性エネルギー線を照射して硬化することが好ましい。そのため基材(A)および基材(B)のうち少なくとも一方が活性エネルギー線による硬化反応を阻害しないこと(透過できること)が好ましい。
【0057】
基材(A)および基材(B)は、フィルム状基材を使用することが好ましい。フィルム状基材は、例えばセロハン、各種プラスチックフィルム、および紙等が挙げられる。なかでも、透明なプラスチックフィルムの使用が好ましい。また、フィルム状基材は、フィルムが透明であれば、単層または、複数の基材を積層した多層構造を有するものであっても良い。
【0058】
透明フィルムは、例えばポリビニルアルコールフィルム、ポリトリアセチルセルロースフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム;ポリカーボネート系フィルム、ポリノルボルネン系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリビニル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリイミド系フィルム、並びにポリオキシラン系フィルム等が挙げられる。
積層体の構成は、例えば基材(A)に透明フィルムまたは透明ガラス板を使用すれば、基材(B)として活性エネルギー線が透過し難い基材、例えば、木材、金属板、プラスチック板、紙加工品等を使用しても良い。
【0059】
基材の厚さは、通常5〜50000μmである。
【0060】
塗工は、公知の塗工装置を使用できる。例えば、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、マイクログラビアコーター、リップコーター、コンマコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、リバースコーター、スピンコーター等が挙げられる。
【0061】
活性エネルギー線は、紫外線を含む波長ないし光が好ましく、150〜550nmがより好ましい。活性エネルギー線の光源は、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェ−ブ励起水銀灯、LEDランプ、キセノンランプ、およびメタルハライドランプ等が挙げられる。
【0062】
活性エネルギー線の照射強度は、10〜500mW/cm
2が好ましい。照射強度と照射時間の積として表される積算照射量は、10〜5000mJ/cm
2が好ましく、30〜4000mJ/cm
2がより好ましい。
【0063】
接着層の厚さは、0.1〜6μmが好ましく、0.1〜3μmがより好ましい。接着層の厚さが、上記範囲内であると剥離強度がより向上する。
【0064】
積層体の実施態様を挙げると、例えば透明フィルム/接着層/透明フィルム、又は透明フィルム/接着層/透明フィルム/接着層/透明フィルムといった、複数の透明フィルムを積層して得られるシ−ト状の多層フィルムが好ましい。また、他の実施態様は、透明フィルム/接着層/透明フィルム/接着層/透明フィルム/接着層/透明フィルムといったシ−ト状の多層フィルムを、ガラス又は光学シートといった他の光学部材に接着した構成も好ましい。これらの積層体は、活性エネルギー線重合性接着剤を、基材の片面、あるいは両面から照射し、接着層を硬化させた態様である。
【0065】
また、本発明の積層体は、光学用途に使用することが好ましく、偏光板として使用することがより好ましい。
【0066】
光学用途とは、液晶表示装置、PDPモジュ−ル、タッチパネルモジュ−ル、および有機ELモジュ−ル等に使用する用途である。係る用途に使用するのは光学用積層体という。光学用積層体は、第一の基材および第二の基材の少なくとも一方に光学フィルムを使用する。光学フィルムは、例えばハ−ドコ−トフィルム、帯電防止コ−トフィルム、防眩コ−トフィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、輝度向上フィルム、プリズムフィルム(プリズムシ−トともいう)、加飾フィルム(タッチパネル用充填シ−トを意味する)、および導光フィルム(導光板ともいう)等が挙げられる。
【0067】
本発明の偏光板は、偏光子、活性エネルギー線重合性接着剤の硬化物である接着剤層、および保護フィルムを備えている。
偏光子は、通常ポリビニルアルコールフィルム等を用いる。偏光子の厚さは、通常2〜200μm程度である。
【0068】
保護フィルムは、例えばポリアセチルセルロース系フィルムであるポリトリアセチルセルロース系保護フィルム(以下、「TACフィルム」という)、ポリノルボルネン系フィルムであるポリシクロオレフィン系フィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム等が挙げられる。
保護フィルムの厚さは、通常5〜200μm程度である。
【0069】
他に事項は既に積層体で説明した通りである。
【0070】
偏光板の作製方法の例を以下説明する。
【0071】
(1)第一の保護フィルムの一方の面に、接着剤を塗工し、第1の接着層を形成し、第2の透明フィルムである保護フィルムの一方の面に、接着剤を塗工し、第2の接着層を形成する。次いで、ポリビニルアルコール系偏光子の両面に、第1の接着層および第2の接着層を、同時または順次重ね合わせた後、活性エネルギー線を照射し、第1の接着層および第2の接着層を重合硬化し、それぞれ接着層を形成して製造する方法。
【0072】
(2)ポリビニルアルコール系偏光子の一方の面に、接着剤を塗工し、第1の接着層を形成し、形成された第1の接着層の表面を第1の保護フィルムで覆い、次いでポリビニルアルコール系偏光子の他方の面に、接着剤を塗工し、第2の接着層を形成し、形成された第2の接着層の表面を第2の保護フィルムで覆い、活性エネルギー線を照射し、第1の接着層および第2の接着層を重合硬化し、それぞれ接着層を形成して製造する方法。
【0073】
(3)第1の保護フィルムとポリビニルアルコール系偏光子を重ねた端部および、ポリビニルアルコール系偏光子の第1の保護フィルムと接しない面に重ねた第2の保護フィルムの端部に接着剤を入れた後、2本のロ−ルの間を通過させ各層間に接着剤を広げる。次に活性エネルギー線を照射し、接着剤を重合硬化し、それぞれ接着層を形成して製造する方法。なお作製方法は、これらに限定されないことは言うまでもない。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお「部」は「重量部」であり、「%」は「重量%」を表す。表中の配合量は、重量部である。
【0075】
[実施例1]
<活性エネルギー線重合性接着剤の製造例>
遮光された容量300mLのガラス瓶に、モノマー(A)として4−ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業社製 4−HBA)30部、モノマー(B)としてラウリルアクリレート(大阪有機化学工業社製 LA)10部、モノマー(C)としてネオペンチルグリコールジアクリレート(共栄社化学社製 ライトアクリレートNP−A)40部、オリゴマー(D)としてUV3000B(日本合成化学工業社製、ポリウレタン系アクリレートオリゴマー)12部、アルコキシシラン(E)として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学社製 商品名KBE−303)3部、光重合開始剤としてイルガキュア184(BASF社製 光ラジカル重合開始剤)3部、CPI−110P(サンアプロ社製 カチオン重合開始剤)2部を加え、十分に攪拌と脱泡を行い、活性エネルギー線重合性接着剤を得た。
【0076】
[実施例2〜33、比較例1〜5]
実施例1の原料およびその配合量を表1〜表3に記載された通りに変更した以外は、実施例1と同様に行うことで、それぞれ実施例2〜33、ならびに比較例1〜5について活性エネルギー線重合性接着剤を得た。
【0077】
実施例1〜33、ならびに比較例1〜5で得られた活性エネルギー線重合性接着剤を用いて、下記の積層体を作製した。
【0078】
<積層体Aの製造例>
透明フィルムとして、アクリルフィルム(厚さ50μm HBD−002 三菱レイヨン社製)、および、ポリノルボルネン系フィルム(厚さ100μm 紫外線吸収剤非含有、日本ゼオン社製)を使用した。2枚の透明フィルムの接着層形成面に300W・分/m
2の放電量でコロナ処理を行った。その後1時間以内に、前記アクリルフィルムのコロナ処理面上に、活性エネルギー線重合性接着剤を、ワイヤーバーコーターを用いて、厚みが4μmとなるように塗工して被膜を形成した。さらに前記ポリノルボルネン系フィルムのコロナ処理面を重ねた上で、アクリルフィルム面を下にしてブリキ板上に置き、さらにフィルムの四方をセロハンテープで、ブリキ板に固定した。
次いで活性エネルギー線照射装置(東芝社製 高圧水銀灯)を使用してコンベア速度5m/分の条件で、最大照度500mW/cm
2、積算光量500mJ/cm
2の紫外線を、前記ブリキ板のポリノルボルネン系フィルム側から照射して、被膜を硬化することで積層体A1を作製した。
【0079】
別途、コンベア速度18m/分の条件で、紫外線照射条件を最大照度500mW/cm
2、積算光量150mJ/cm
2に変更した以外は上記と同様の方法で行うことで積層体A2を作製した。
【0080】
<積層体B(偏光板)の製造例>
第1の保護フィルムとして、のポリトリアセチルセルロース系フィルム(厚み80μm「フジタック:80μm」、紫外線吸収剤含有、富士フィルム社製)を用い、第2の保護フィルムとして、ポリノルボルネン系フィルムを使用した。第1および第2の保護フィルムの接着層形成面に300W・min/m
2の放電量でコロナ処理を行い、その後1時間以内に、活性エネルギー線重合性接着剤を、各フィルムのコロナ処理面上に、ワイヤーバーコーターを用いて厚みが4μmとなるように塗工し、被膜を形成した。第1および第2の保護フィルムに形成した接着層との間にポリビニルアルコール系偏光子を挟み、第1の保護フィルム/被膜/PVA系偏光子/被膜/第2の保護フィルムからなる積層体を得た。次いで前記積層体の第1の保護フィルム面を下にしてブリキ板上に置き、この積層体の四方をセロハンテ−プで固定し、ブリキ板に固定した。
【0081】
次いで活性エネルギー線照射装置(東芝社製 高圧水銀灯)を使用してコンベア速度5m/分の条件で、最大照度500mW/cm
2、積算光量500mJ/cm
2の紫外線を前記ブリキ板の第2の保護フィルム側から照射して、被膜を硬化し、接着層を形成することで積層体B1を作成した。
【0082】
遮光された容量300mLのガラス瓶に、モノマー(A)として4−ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業社製 4−HBA)30部、モノマー(B)としてラウリルアクリレート(大阪有機化学工業社製 LA)10部、モノマー(C)としてネオペンチルグリコールジアクリレート(共栄社化学社製 ライトアクリレートNP−A)40部、オリゴマー(D)としてUV3000B(日本合成化学工業社製、ポリウレタン系アクリレートオリゴマー)12部、アルコキシシラン(E)として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学社製 商品名KBE−303)3部、光重合開始剤としてイルガキュア184(BASF社製 光ラジカル重合開始剤)3部、CPI−110P(サンアプロ社製 カチオン重合開始剤)2部を加え、十分に攪拌と脱泡を行い、活性エネルギー線重合性接着剤を得た。
【0083】
別途、コンベア速度18m/分の条件で、紫外線照射条件を最大照度500mW/cm
2、積算光量150mJ/cm
2に変更した以外は上記と同様の方法で行うことで積層体B2を作製した。
【0084】
積算光量500mJ/cm
2で作製した積層体A1、積層体B1は、剥離強度、熱水経時後剥離強度および熱経時後剥離強度を評価した。積算光量150mJ/cm
2で作製した積層体A2、積層体B2は、剥離強度のみ評価した。結果を表1〜表3に示す。
【0085】
<剥離強度>
剥離強度は、JIS K6 854−4 接着剤−剥離接着強さ試験方法−第4部:浮動ローラー法に準拠して測定した。
即ち、得られた積層体A1を、幅25mm×縦150mmの大きさの準備し測定用サンプルとした。次いで測定用サンプルのポリノルボルネン系フィルム面に両面粘着テ−プ(トーヨーケム社製DF8712S)を貼り付け、さらにラミネータを用いて金属板上に貼り付けた。次いで前記測定用サンプルのポリノルボルネン系フィルムとアクリルフィルムとの間に剥離用の切欠を作製した。前記測定用サンプルを23℃、相対湿度50%の条件下で、300mm/分の速度、90°の角度で、剥離強度を測定した。
積層体A2について積層体A1と同様に行い剥離強度を測定した。
積層体B1について、第2の保護フィルム面を金属板上に貼り付け、さらにPVA系偏光子と第2の保護フィルムとの間に剥離用の切欠を作製した以外は、上記同様に剥離強度を測定した(第1の保護フィルム/接着層/PVA系偏光子の積層体を引き剥がした)。
積層体B2について積層体B1と同様に行い剥離強度を測定した。なお、剥離強度は、下記の基準で評価した。
◎:剥離不可、あるいは基材破壊 (極めて良好)
○:剥離強度が2.0(N/25mm)以上 (良好)
△:剥離強度が1.0(N/25mm)以上2.0(N/25mm)未満 (使用可)
×:剥離強度が1.0(N/25mm)未満 (使用不可)
【0086】
<熱水経時後剥離強度>
積層体A1について、前記<剥離強度>と同様に測定サンプルを作製した。前記測定サンプルを60℃のイオン交換水の入ったマヨネーズ瓶中に完全に沈めて24時間保管した。次いで測定サンプルを水中から取り出して水分を拭き取り、23℃、相対湿度50%の条件下で24時間保管した。次いで測定サンプルを上記<剥離強度>と同様に行い剥離強度を測定した。
積層体B1について、前記積層体A1と同様に行い剥離強度を測定した。なお、剥離強度は、下記の基準で評価した。
◎:剥離強度が1.5(N/25mm)以上 (極めて良好)
○:剥離強度が1.0(N/25mm)以上1.5(N/25mm)未満 (良好)
△:剥離強度が0.5(N/25mm)以上1.0(N/25mm)未満 (使用可)
×:剥離強度が0.5(N/25mm)未満 (使用不可)
【0087】
<熱経時後剥離強度>
積層体A1について、前記<剥離強度>と同様に測定サンプルを作製した。前記測定サンプルを80℃の恒温槽に200時間保管した。その後、23℃、相対湿度50%の条件下で24時間保管した。次いで測定サンプルを上記<剥離強度>と同様に行い剥離強度を測定した。
積層体B1について、前記積層体A1と同様に行い剥離強度を測定した。なお、剥離強度は、下記の基準で評価した。
◎:剥離不可、あるいは基材破壊 (極めて良好)
○:剥離強度が2.0(N/25mm)以上 (良好)
△:剥離強度が1.0(N/25mm)以上2.0(N/25mm)未満 (使用可)
×:剥離強度が1.0(N/25mm)未満 (使用不可)
【0088】
以下、実施例で使用した材料とその略号を示す。
<モノマー(A)>
4−HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
HPA:2ーヒドロキシプロピルアクリレート
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
HEA:2ーヒドロキシエチルアクリレート
【0089】
<モノマー(B)>
STA:ステアリルアクリレート
LA:ラウリルアクリレート
AEH:2ーエチルヘキシルアクリレート
INAA:イソノニルアクリレート
【0090】
<モノマー(C)>
ライトアクリレートNP−A:ネオペンチルグリコールジアクリレート(共栄社化学社製)
M232:トリエチレングリコールジアクリレート(MIWON社製)
M215:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成社製)
M300:トリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社製)
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート(新中村化学工業社製)
M410:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(MIWON社製)
UV3000B:ポリウレタン系アクリレートオリゴマー(日本合成化学工業社製)
CN296:ポリエステル系オリゴマー(ダイセル・オルネクス社製)
CN2271:ポリエステル系オリゴマー(ダイセル・オルネクス社製)
EBECRYL860:エポキシ系アクリレートオリゴマー(ダイセル・オルネクス社製)
【0091】
<化合物(E)>
KBE−402:3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学社製)
KBE−403:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製)
KBM−303:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学社製)
KBM−403:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製)
KBE−5103:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製)
KBM−503:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製)
KBE−1003:ビニルトリエトキシシラン(信越化学社製)
【0092】
<光重合開始剤>
・イルガキュア184:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 光ラジカル開始剤(α−ヒドロキシアルキルフェノン骨格、BASF社製)
・イルガキュア651:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン 光ラジカル開始剤(ベンジルジメチルケタール骨格、BASF社製)
・イルガキュア819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド 光ラジカル開始剤(アシルフォスフィンオキサイド骨格、BASF社製)
・CPI−110P:p-フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフ
ルオロフォスフェート 光カチオン開始剤(スルホニウム塩系、サンアプロ社製)
【0093】
<エポキシ基含有モノマー>
EX−830:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製)
EX−212:1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製)
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】
表1〜3の結果より実施例1〜33は、低照射量(150mJ/cm
2)で良好な剥離強度が得られ、熱水経時後剥離強度および熱経時後剥離強度で良好な結果が得られた。