【実施例】
【0025】
下記のような具体的な条件にて本発明の一形態に係る粉化評価方法を実施した。
【0026】
ステップS1として、石炭(実施例1)または改質炭(実施例2)の試料1kgを8.6mの高さから20回落下させた。なお、落下後のサンプルを全量回収する必要があるため、落下の際は、布製の袋に試料を梱包し、袋ごと落下させた。落下に当っては、試料を入れた布製袋を重力落下させて地上のコンクリート面に激突させる方法とした。
【0027】
落下試験に用いた袋を
図3に示す。袋41の形状は下記の通りである。
・材質:PE織布(フレキシブルコンテナバッグとして使用されるようなもの。通気性有り。)
・形状:平底の底部直径がφ500mmで高さ(深さ)が500mmの円筒形状
・容量(梱包前、円筒形として):79.5リットル
【0028】
袋への試料の充填に関し、1袋当たり1kg充填した。
図3(a)のような空の状態の袋(上端開口部に紐を有する)に試料を入れ、
図3(b)のような形態で袋を閉じた。
【0029】
試料1kgの充填量(容積)は、かさ密度が0.5〜0.9kg/リットルの場合、1.1〜2.0リットルとなる。試料の充填率は、したがって1.4〜2.5%の範囲内である(「a〜b」はa以上b以下を示す。)。なお、本発明の一形態においては、充填率は1.0〜10%の範囲内としてもよい。
【0030】
ステップS2として、その後に回転試験機(40rpm)で10分間処理を行った。回転強度はJISZ8841造粒物―強度試験法で規定されている回転強度試験機を用いたが、衝撃力を増加させるため、内部に高さ60mmのリフターを2箇所(0°と180°の位置)に設置したものを使用した。
【0031】
回転強度試験機は、具体的には
図4(a)の正面図および
図4(b)の斜視図に模式的に示すような回転部を有するものである。回転部は、内部に試料を入れて回転する円筒部材45を有している。円筒部材45は、内径が350mmで内部の軸方向長さが175mmである。この円筒部材45の内部2個所(0°と180°の位置)に高さ60mmのリフター45a、45aを設置した。なお、JIS規格ではリフターの高さは10mmである。リフター45aは、平板状の部材であり、
図4(a)に示すように半径方向に延びるように配置され、より具体的には、内周面から中心側に向かって延在している。また、
図4(b)に示すように、リフター45aは、円筒部材45と同じく175mmに形成されている。リフター45aの厚みはこの例では10mmである。
【0032】
図2は、ステップS1、S2の処理を行った後、2mmの篩を通過したものの割合(質量%)をプロットしたものである。比較のため参考例1、2も併せて示す。実施例1の試料は参考例1で用いたA炭であり、実施例2の試料は参考例2で用いたB炭の改質炭である。また、実施例1における試料の粒度分布を表1に示し、実施例2における試料の粒度分布を表2に示す。
【0033】
図2では実施例1,2の評価条件(8.6mの高さから20回落下させ、かつ40rpmで20分間回転)を参考例1,2の評価条件(ハンドリング設備1での循環時間50分)と同等と見做して記載した。そのため
図2の横軸は
図6と同様(ハンドリング設備1での循環時間)である。
図6では実施例1、2いずれも参考例1、2と同様の挙動を示している。
【0034】
以上より、ハンドリング試験50分間の衝撃に相当するラボ試験法(落下8.6mを20回し、回転40rpmを20分)で改質炭のバルク輸送中の粉化特性が評価できた。また、評価に必要な試料量は1kgと小規模化を図ることができた。
【0035】
(付記)
本出願は以下の発明を開示する:
1.石炭を体積破壊させる体積破壊工程と、
落下させた前記石炭を表面破壊させる表面破壊工程と
を有する石炭の粉化特性評価方法であって、
前記体積破壊工程では、前記石炭を布製の袋に0.5〜5kg入れて高さ8〜10mから落下させ、
前記表面破壊工程では、落下させた前記石炭をφ300mm以上の回転機に装入して30〜50rpmで500〜1000回転させること
を特徴とする石炭の粉化特性評価方法。
【0036】
このような方法によれば、次のような作用効果が得られる。すなわち、石炭はハンドリング中に一定量が粉化するが、上記の試験を行うことで採掘−積出−運搬−陸揚げ−運搬、を経て発電所等で使用されるまでの粉化量を高い精度で推定し、粉化特性を評価することが可能となる。特に、
図5に示したような大規模な設備を用いる必要もないので、簡便に粉化特性を評価することができるものとなる。
【0037】
2.上記粉化特性評価方法において、前記体積破壊工程における高さは8.6mであることを特徴とする方法。本発明は具体的にはこのような高さからの落下を行うことで実施可能である。
【0038】
3. 前記表面破壊工程ではφ350mmの回転機を用い、40rpmで800回転させることを特徴とする方法。本発明は具体的にはこのような回転試験を行うことで実施可能である。
【0039】
4.上記記載石炭の粉化特性評価方法において、前記石炭は改質炭であることを特徴とする方法。この方法によれば、改質炭においても上記手法により粉化特性を評価できる。