特許第6863051号(P6863051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863051
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】包装箱、および、ブランクシート
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   B65D5/54 301J
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-89243(P2017-89243)
(22)【出願日】2017年4月28日
(65)【公開番号】特開2018-188152(P2018-188152A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2019年6月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田代 英司
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−131918(JP,U)
【文献】 特開平07−257546(JP,A)
【文献】 実開平06−067317(JP,U)
【文献】 米国特許第04886170(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装箱であって、
底板と、
前記底板と対向する開口を区画する上縁を備えて前記底板を囲う前後左右の側壁と、
1つの前記側壁である後壁の上縁に連設されて前記開口を覆う頂板と、
前記頂板の前縁に連設されて前壁の外面に接合された前フラップと、を備え、
前記頂板は、前記頂板の前縁に位置する左右で一対の前端から前記後壁の上縁に向けて延びる第1ミシン目を備え、前記頂板のなかで前記第1ミシン目に囲まれた領域が、前記開口を設けるための第1開封部であり、
前記頂板の前縁は、前記第1ミシン目の一対の前端の間に、1つの第2ミシン目と、前記第2ミシン目の左右の各端を前記第1ミシン目の別々の前端につなぐ左右で一対の折線とを備え、
前記折線は、前記頂板と前記前フラップとを連続的に接続し、
前記前フラップは、前記折線を一辺とした幾何学形状を構成し、差し込み孔を前記前フラップに形成するための第3ミシン目を備え、
前記前壁の上縁は、前記差し込み孔となる領域と対向する位置に切り欠きを備え、
前記頂板の左右縁に別々に連設されて左右側壁を構成する外フラップをさらに備え、
前記各第1ミシン目は、前記一対の前端から前記左右縁の中間に位置する後端まで前記左右縁に対して傾きを有して延びる第1部分と、前記第1部分の後端から前記後壁の上縁に向けて延び、前記左右縁を構成する第2部分とから構成され
前記左右縁は、前記第2部分と、前記第2部分以外である第4ミシン目とから構成され、
前記頂板は、前記頂板の前縁のなかで当該前縁の端から前記第1ミシン目の前端までの部分、前記第1部分、および、前記第4ミシン目によって囲まれた左右で一対の第2開封部と、前記第1ミシン目に囲まれた前記第1開封部とから構成され、
前記頂板の前縁のなかで当該前縁の端から前記第1ミシン目の前端までの部分は、前記頂板と前記前フラップとを連続的に接続する
包装箱。
【請求項2】
前記第3ミシン目は、左右で一対のミシン目であり、
前記前壁と対向する方向から見て、前記各切り欠きの大きさは、前記差し込み孔となる領域よりも大きい
請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
底板と、
前記底板と対向する開口を区画する上縁を備えて前記底板を囲う前後左右の側壁と、
1つの前記側壁である後壁の上縁に連設されて前記開口を覆う頂板と、
前記頂板の前縁に連設されて前壁の外面に接合された前フラップと、
を備える包装箱の製造に用いられるブランクシートであって、
前記前フラップ、前記頂板、前記後壁、前記底板、および、前記前壁が、この順に連設されており、
前記頂板は、前記頂板の前縁に位置する左右で一対の前端から前記後壁の上縁に向けて延びる第1ミシン目を備え、前記頂板のなかで前記第1ミシン目に囲まれた領域が、前記開口を設けるための第1開封部であり、
前記頂板の前縁は、前記第1ミシン目の一対の前端の間に、1つの第2ミシン目と、前記第2ミシン目の左右の各端を前記第1ミシン目の別々の前端につなぐ左右で一対の折線とを備え、
前記折線は、前記頂板と前記前フラップとを連続的に接続し、
前記前フラップは、前記折線を一辺とした幾何学形状を構成し、差し込み孔を前記前フラップに形成するための第3ミシン目を備え、
前記前壁の上縁は、前記差し込み孔となる領域と対向する位置に切り欠きを備え、
前記頂板の左右縁に別々に連設されて左右側壁を構成する外フラップをさらに備え、
前記各第1ミシン目は、前記一対の前端から前記左右縁の中間に位置する後端まで前記左右縁に対して傾きを有して延びる第1部分と、前記第1部分の後端から前記後壁の上縁に向けて延び、前記左右縁を構成する第2部分とから構成され
前記左右縁は、前記第2部分と、前記第2部分以外である第4ミシン目とから構成され、
前記頂板は、前記頂板の前縁のなかで当該前縁の端から前記第1ミシン目の前端までの部分、前記第1部分、および、前記第4ミシン目によって囲まれた左右で一対の第2開封部と、前記第1ミシン目に囲まれた前記第1開封部とから構成され、
前記頂板の前縁のなかで当該前縁の端から前記第1ミシン目の前端までの部分は、前記頂板と前記前フラップとを連続的に接続する
ブランクシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱、および、ブランクシートに関する。
【背景技術】
【0002】
包装箱の一例である段ボール製のラップラウンド箱は、底板と、底板に連設された前後の側壁と、底板に連設された左右の側壁と、後壁の上縁に連設された頂板と、頂板の前縁に連設された前フラップと、を備える。前フラップの内面と、前壁の外面とは、相互に接合され、それによって、包装箱は封緘されている。他方、前フラップは、前後に貫通する2つの開口部を備え、頂板は、フラップの開口部につながる左右のミシン目を備え、そして、各ミシン目が切断されることによって、包装箱は開封される(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−168445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した包装箱の開封に際しては、まず、前フラップの開口部に、利用者の指などが差し込まれ、頂板のミシン目が切断されるように、そのミシン目に挟まれた頂板の開封部が引き上げられる。一方、保管中の包装箱においては、前フラップの開口部を区画する縁が、外気などに曝され続ける。そのため、利用者の指などが差し込まれる開口部の縁や、前フラップの内部に、外気に含まれる塵や埃などが堆積する場合がある。
本発明は、包装箱の開封に際して利用者の指などが触れる箇所での清浄度を向上可能とした包装箱、および、ブランクシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための包装箱は、包装箱であって、底板と、前記底板と対向する開口を区画する上縁を備えて前記底板を囲う前後左右の側壁と、1つの前記側壁である後壁の上縁に連設されて前記開口を覆う頂板と、前記頂板の前縁に連設されて前壁の外面に接合された前フラップと、を備える。前記頂板は、前記頂板の前縁に位置する左右で一対の前端から前記後壁の上縁に向けて延びる第1ミシン目を備え、前記頂板のなかで前記第1ミシン目に囲まれた領域が、前記開口を設けるための第1開封部である。前記頂板の前縁は、前記第1ミシン目の一対の前端の間に、1つの第2ミシン目と、前記第2ミシン目の左右の各端を前記第1ミシン目の別々の前端につなぐ左右で一対の折線とを備える。そして、前記前フラップは、前記折線を一辺とした幾何学形状を構成し、差し込み孔を前記前フラップに形成するための第3ミシン目を備え、前記前壁の上縁は、前記差し込み孔となる領域と対向する位置に切り欠きを備える。
【0006】
上記課題を解決するためのブランクシートは、底板と、前記底板と対向する開口を区画する上縁を備えて前記底板を囲う前後左右の側壁と、1つの前記側壁である後壁の上縁に連設されて前記開口を覆う頂板と、前記頂板の前縁に連設されて前壁の外面に接合された前フラップと、を備える包装箱の製造に用いられるブランクシートである。前記前フラップ、前記頂板、前記後壁、前記底板、および、前記前壁が、この順に連設されており、前記頂板は、前記頂板の前縁に位置する左右で一対の前端から前記後壁の上縁に向けて延びる第1ミシン目を備え、前記頂板のなかで前記第1ミシン目に囲まれた領域が、前記開口を設けるための第1開封部である。そして、前記頂板の前縁は、前記第1ミシン目の一対の前端の間に、1つの第2ミシン目と、前記第2ミシン目の左右の各端を前記第1ミシン目の別々の前端につなぐ左右で一対の折線とを備え、前記前フラップは、前記折線を一辺とした幾何学形状を構成し、差し込み孔を前記前フラップに形成するための第3ミシン目を備え、前記前壁の上縁は、前記差し込み孔となる領域と対向する位置に切り欠きを備える。
【0007】
上記包装箱、および、上記ブランクシートによれば、包装箱の開封時に、まず、前フラップのなかで第3ミシン目に囲まれた部分が、前壁の切り欠きを貫通するように、利用者の指などで押し込まれ、前フラップに差し込み孔が形成される。次いで、差し込み孔に指などが差し込まれた状態で、第2ミシン目が切断されるように、頂板の前縁が引き上げられ、続いて、頂板の第1ミシン目が前方から後方に向けて切断される。結果として、包装箱の開封に際して利用者の指などが触れる箇所、すなわち、前壁における切り欠きの内縁が、開封前の状態では、前フラップによって覆われているため、利用者の指などが触れる箇所での清浄度を高めることが可能となる。
【0008】
上記包装箱において、前記頂板の左右縁に別々に連設されて左右側壁を構成する外フラップをさらに備え、前記各第1ミシン目は、前記一対の前端から前記左右縁の中間に位置する後端まで前記左右縁に対して傾きを有して延びる第1部分と、前記第1部分の後端から前記後壁の上縁に向けて延び、前記左右縁を構成する第2部分とから構成され、前記左右縁は、前記第2部分と、前記第2部分以外である第4ミシン目とから構成され、前記頂板は、前記頂板の前縁のなかで当該前縁の端から前記第1ミシン目の前端までの部分、前記第1部分、および、前記第4ミシン目によって囲まれた左右で一対の第2開封部と、前記第1ミシン目に囲まれた前記第1開封部とから構成されてもよい。
【0009】
上記包装箱によれば、頂板のなかで、第1部分、第4ミシン目、および、頂板の前縁に囲まれた各第2開封部は、第1開封部、および、外フラップから切り離されて、前フラップのみと前縁を介して連設される。そのため、第1ミシン目が切断された後では、すなわち、第1開口部が開封された後では、頂板の前縁を回転軸として、第2開封部を立ち上げることが可能であり、それによって、開口の全体を開放することが可能ともなる。
【0010】
上記包装箱において、前記第3ミシン目は、左右で一対のミシン目であり、前記前壁と対向する方向から見て、前記各切り欠きの大きさは、前記差し込み孔となる領域よりも大きくてもよい。この包装箱によれば、第3ミシン目が区画する領域を指などで押し、第3ミシン目をその押圧で切断する際に、指などの押し込みを前壁が妨げることが抑えられる。
【0011】
上記包装箱において、前記頂板の前縁のなかで当該前縁の端から前記第1ミシン目の前端までの部分には、第5ミシン目が設けられてもよい。この包装箱によれば、第1部分、第4ミシン目、および、第5ミシン目に囲まれた各第2開封部を、第1ミシン目が切断された後に、すなわち、第1開口部が開封された後に、第2ミシン目、および、第5ミシン目の切断を経て、外フラップから切り離すことが可能ともなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】包装箱の斜視構造を示す斜視図。
図2】包装箱の断面構造の一部を拡大して示す断面図。
図3】包装箱を製造するためのブランクシートを示す平面図。
図4】包装箱が開封される過程における包装箱の斜視構造を示す斜視図。
図5】包装箱が開封される過程における包装箱の斜視構造を示す斜視図。
図6】包装箱が開封される過程における包装箱の斜視構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1から図6を参照して包装箱、および、ブランクシートの一実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、包装箱の一例として、段ボール製のラップランド箱を示し、包装箱における一対の側壁のなかで、前フラップの接合された1つの側壁を前壁、前壁と対向する他の側壁を後壁とし、前後方向、および、左右方向を規定している。
【0014】
[包装箱]
図1が示すように、直方体状を有した包装箱は、底板11、前後左右の側壁12,13,14,15、頂板16、および、前フラップ17を備える。前後左右の側壁12,13,14,15は、底板11と対向する矩形状を有した開口11Tを区画する上縁を備えて、底板11の周囲を囲う。頂板16は、1つの側壁である後壁13の上縁13Uに連設されて、開口11Tの全体を覆う。前フラップ17は、頂板16の前縁16Fに連設されて、前壁12の外面に接合された帯状を有する。
【0015】
頂板16は、前後方向に延びる直線状を有した右縁16Rと、前後方向に延びる直線状を有した左縁16Lとを備える。右縁16Rと左縁16Lとは、左右で一対の縁である左右縁の一例である。1つの側壁である右壁14は、頂板16の右縁16Rに連設された外フラップ14F1と、底板11に連設された外フラップ14F2とを備える。1つの側壁である左壁15は、頂板16の左縁16Lに連設された外フラップ15F1(図2参照)と、底板11に連設された外フラップ15F2(図2参照)とを備える。
【0016】
頂板16は、第1ミシン目を備える。第1ミシン目は、2つの第1開封線1L1と、2つの第2開封線1L2とから構成される。各第1開封線1L1の前端は、頂板16の前縁16Fに位置し、各第1開封線1L1の後端1LCは、頂板16における別々の左右縁の中間に位置する。各第1開封線1L1は、左右縁に対して傾きを有した直線状を有する。各第2開封線1L2は、別々の第1開封線1L1の後端1LCから、後壁13の上縁13Uに向けて延び、頂板16の左右縁を構成する。頂板16のなかで、第1ミシン目に囲まれた六角板状の領域は、開口11Tを開けるための1つの第1開封部161である。
【0017】
頂板16の各左右縁は、1つの第2開封線1L2と、1つの第4開封線16Sとから構成される。各第4開封線16Sは、第4ミシン目の一例であり、頂板16と外フラップ14F1,15F1とを連設させるミシン目である。各第4開封線16Sは、頂板16における前縁16Fの左右の端から、第1開封線1L1の後端1LCまで延びる。
【0018】
頂板16の前縁16Fは、左右で一対の回動軸線16Eと、一対の回動軸線16Eに挟まれた左右で一対の折線Bと、一対の折線Bに挟まれたミシン目である開始線16Cとから構成される。1つの開始線16Cは、第2ミシン目の一例である。各折線Bは、開始線16Cの左右の各端と第1開封線1L1の前端とをつなぐ。頂板16のなかで、回動軸線16E、第1開封線1L1、および、第4開封線16Sによって囲まれた三角板状を有する領域は、左右で一対の第2開封部162である。頂板16は、上記第1ミシン目に囲まれた第1開封部161と、これら2つの第2開封部162とから構成される。
【0019】
前フラップ17は、左右で一対のミシン目である押し込み線17Cを備える。各押し込み線17Cは、第3ミシン目の一例である。各押し込み線17Cは、頂板16の前縁16Fに含まれる各折線Bを弦とした半円弧状を有する。各押し込み線17Cは、押し込み線17Cを縁とする孔であって、包装箱の内部に指が差し込まれる差し込み孔を前フラップ17に形成するためのミシン目である。
【0020】
図2が示すように、前フラップ17の内面と、前壁12の外面とは、接合部Aによって接合されている。前壁12の上縁12Uは、各押し込み線17Cと対向する位置に、前壁12の下縁に向けた窪みである切り欠き12Tを備える。各切り欠き12Tは、押し込み線17Cと同じく、各折線Bを弦とした半円弧状を有する。各切り欠き12Tの大きさは、前壁12と対向する方向から見て、各押し込み線17Cが区画する領域よりも大きい。
【0021】
[ブランクシート]
次に、包装箱を製造するためのブランクシートについて説明する。
図3が示すように、1枚のブランクシートにおいて、帯状を有した前フラップ17、矩形板状を有した頂板16、後壁13、底板11、および、前壁12は、この順に連設されている。前フラップ17は、頂板16の前縁16Fに連設されている。前縁16Fは、上述したように、左右で一対の回動軸線16Eと、一対の回動軸線16Eに挟まれた左右で一対の折線Bと、一対の折線Bに挟まれた1つの開始線16Cとから構成される。頂板16は、上述したように、左右で一対の第1開封線1L1と、左右で一対の第2開封線1L2とから構成される第1ミシン目を備え、第1ミシン目に囲まれた第1開封部161と、それ以外である左右で一対の第2開封部162とから構成される。頂板16は、後壁13の上縁13Uに連設されて、後壁13の上縁13Uは、頂板16の後縁16Bを兼ねている。後壁13は、底板11の後縁11Bに連設され、前壁12は、底板11の前縁11Fに連設されている。
【0022】
外フラップ14F1は、頂板16の右縁16Rに連設され、外フラップ15F1は、頂板16の左縁16Lに連設されている。左右の外フラップ14F2,15F2は、底板11の左右の縁Lに連設されている。左右の内フラップ14I2,15I2は、後壁13の左右の縁Lに連設され、左右の内フラップ14I1,15I1は、前壁12の左右の縁Lに連設されている。
【0023】
前縁16Fの各回動軸線16E、頂板16の後縁16B、底板11の後縁11B、および、底板11の前縁11Fは、折線Bと同じく、ブランクシートの表面を押し込んで形成された線状の溝である。頂板16の右縁16R、頂板16の左縁16L、底板11の左右の縁L、後壁13の左右の縁L、および、前壁12の左右の縁Lは、これらもまた、ブランクシートの表面を押し込んで形成された線状の溝である。開始線16C、各第1開封線1L1、各第2開封線1L2、および、第4開封線16Sは、ブランクシートを貫通する切れ込みが断続的に形成された線状の部位である。前壁12の上縁12Uは、半円弧状を有した左右で一対の切り欠き12Tを備える。上述したように、各切り欠き12Tが区画する半円弧状の領域の大きさは、押し込み線17Cが区画する半円弧状の領域の大きさよりも大きい。
【0024】
ブランクシートから包装箱が製造される際には、まず、食品などの物品が底板11の内面に載置されて、底板11に対して、前壁12と後壁13とが立てられる。次に、前壁12に対して、物品を包むように、左右の内フラップ14I1,15I1が折り曲げられ、また、後壁13に対して、物品を包むように、左右の内フラップ14I2,15I2が折り曲げられる。次に、後壁13に対して、物品を覆うように、頂板16が折り曲げられ、続いて、底板11に対して、左右の外フラップ14F2,15F2が立てられ、頂板16に対して、左右の外フラップ14F1,15F2が折り曲げられる。次いで、頂板16に対して、前フラップ17と前壁12とが対向するように、前フラップ17が折り曲げられる。そして、前フラップ17の内面と前壁12の外面とが接合されると共に、左右の外フラップ14F1,14F2,15F1,15F2の内面と、左右の内フラップ14I1,14I2,15I1,15I2の外面とが接合される。これによって、内フラップ14I1,14I2と、外フラップ14F1,14F2とから右壁14が形成され、内フラップ15I1,15I2と、外フラップ15F1,15F2とから左壁15が形成されて、包装箱が封緘される。
【0025】
[作用]
次に、包装箱を開封するための手順について説明する。
図4が示すように、包装箱の開封時には、まず、各押し込み線17Cに囲まれた領域が、利用者の指によって包装箱の内方に押し込まれる。この際、各押し込み線17Cが、それに沿って切断され、それによって、前フラップ17に差し込み孔17Hが形成される。また、前フラップ17のなかで各押し込み線17Cに囲まれた領域は、折線Bで折り曲げられて、切り欠き12Tを通じて、包装箱の内方に押し込まれる。そして、各差し込み孔17Hと、切り欠き12Tとを通じて、利用者の指が包装箱の内方に差し込まれる。ここで、利用者の指が触れる箇所、すなわち、前壁12における切り欠き12Tの内縁は、開封の開始前まで、前フラップ17によって覆われている。そのため、利用者の指が触れる箇所での清浄度は、包装箱の製造時から維持されており、こうした箇所が外気に曝され続ける構成と比べて、開封時における清浄度を高めることが可能となる。
【0026】
次いで、図5が示すように、包装箱の内方に指が差し込まれた状態から、頂板16の前縁16Fが、前壁12の上縁から引き上げられる。この際、食品などの物品が、包装箱の内部に収容されて、底板11を下方に押圧し続けているため、頂板16の前縁16Fが引き上げられることによって、開始線16Cが切断されると共に、頂板16の各第1開封線1L1が、その前端から後端1LCに向けて切断されはじめる。そして、各第1開封線1L1の全体が切断されると、第2開封部162が、第1開封部161から分断される。
【0027】
次いで、図6が示すように、頂板16の各第2開封線1L2が、それの前端から後端に向けて切断されて、それによって、第1開封部161が、左右の外フラップ14F1,15F1から分断される。続いて、頂板16の第4開封線16Sが、それの後端から前端に向けて切断されて、それによって、各第2開封部162が、外フラップ14F1,15F1から切り離されて、前フラップ17のみと回動軸線16Eを介して連設される。そのため、第4開封線16Sが切断された後では、回動軸線16Eを回転軸として、各第2開封部162を立ち上げることが可能であり、それによって、開口11Tの全体を開放することが可能ともなる。結果として、開口11Tの全体から物品を露出させることが可能であって、利用者は物品を把持すること、ひいては、包装箱の内部から物品を取り出すことが容易となる。
【0028】
以上、上記実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)前壁12における切り欠き12Tの内縁が、包装箱の開封前まで、前フラップ17によって覆われているため、利用者の指などが触れる箇所での清浄度を高めることが可能となる。
【0029】
(2)第1開封線1L1が切断された後では、頂板16の回動軸線16Eを回転軸として、第2開封部162を立ち上げることが可能であり、それによって、開口11Tの全体を開放することが可能ともなる。
【0030】
(3)前壁12と対向する方向から見て、各押し込み線17Cが区画する領域よりも、各切り欠き12Tの大きさが大きいため、各押し込み線17Cを押し込みによって切断する際に、前壁12が指などの押し込みを妨げることが抑えられる。
【0031】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
[回動軸線16E]
・回動軸線16Eは、ミシン目に変更することも可能である。回動軸線16Eがミシン目に変更された構成によれば、第2開封部162を前フラップ17から分離することが可能であるため、より開口11Tの開放が容易ともなる。なお、この際、各回動軸線16Eが、第5ミシン目の一例である。
【0032】
[第1ミシン目]
・第1ミシン目は、頂板16の前縁16Fに位置する左右で一対の前端と、頂板16の後縁16Bに位置する後端とをつなぐ2つの直線や曲線に具体化することも可能である。また、第1ミシン目は、頂板16の前縁16Fに位置する左右で一対の前端を備え、各前端から頂板16の後縁16Bに向けて延びる線分が相互に接続される閉環状に具体化することも可能である。
【0033】
[前フラップ17]
・前フラップ17が有する形状は、左右方向に延びる帯状に限らず、頂板16の前縁16Fを一辺とする半円板状や、頂板16の前縁16Fを一辺とする三角板状に具体化することも可能である。
【0034】
・前壁12と対向する方向から見て、各押し込み線17Cが区画する領域と、各切り欠き12Tとは、相互に等しい大きさを有することも可能である。また、前壁12と対向する方向から見て、各押し込み線17Cが有する形状と、各切り欠き12Tが有する形状とは、相互に異なることも可能である。
・押し込み線17Cと折線Bとから構成される形状は、前壁12と対向する方向から見て、半円状に限らず、三角形状や四角形状とすることも可能であり、折線Bを一辺として構成される幾何学形状であればよい。
・前壁12が備える押し込み線17Cの数量は、1つとすることも可能であり、3つ以上とすることも可能である。
【0035】
[包装箱]
・右壁14や左壁15は、前壁12や後壁13と同じく、一枚の板として具体化すると共に、前壁12や後壁13は、右壁14や左壁15と同じく、内フラップと外フラップとの接合体とすることも可能である。
【符号の説明】
【0036】
B…折線、L…縁、1L1…第1開封線、1L2…第2開封線、1LC…後端、11底板、11B…後縁、11F,16F…前縁、11T…開口、12…前壁、12T…切り欠き、12U,13U…上縁、13…後壁、14…右壁、14F1,14F2,15F1,15F2…外フラップ、14I1,14I2,15I1,15I2…内フラップ、15…左壁、16…頂板、16B…後縁、16C…開始線、16E…回動軸線、16L…左縁、16R…右縁、16S…第4開封線、17…前フラップ、17C…押し込み線、17H…差し込み孔、161…第1開封部、162…第2開封部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6