特許第6863186号(P6863186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863186
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/60 20190101AFI20210412BHJP
   G07D 11/16 20190101ALI20210412BHJP
【FI】
   G07D11/60 101
   G07D11/16 101Z
【請求項の数】13
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-168693(P2017-168693)
(22)【出願日】2017年9月1日
(65)【公開番号】特開2019-46160(P2019-46160A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 直人
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】涌嶋 渉
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−123221(JP,A)
【文献】 特開2013−109500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 − 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の機構を手動で操作する操作ノブと、
前記操作ノブを覆う被覆状態と、該操作ノブを露出させた露出状態との間で遷移可能に構成され、筐体の内部に収納された収納状態において、前記被覆状態から前記露出状態への遷移を前記筐体内部の壁面と接触することにより規制するノブカバーと
を備えることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記収納状態において前記筐体内部の壁面と対向する位置に、前記筐体内部の壁面から離隔する方向に凹んだ凹部が形成され、前記凹部内に前記操作ノブが配置される
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記ノブカバーは、前記筐体内部の壁面に対し近接又は離隔するよう移動可能に設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記ノブカバーは、軸を中心に回動可能に設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記ノブカバーは、前記被覆状態において前記操作ノブの周囲を囲む側板部を有し、
前記側板部により形成される被覆空間により前記操作ノブが覆われる
請求項4に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記筐体に対して、前記ノブカバーを該筐体の外部に引き出された引出状態と前記収納状態との間で移動可能にするスライドレールをさらに有し、
前記ノブカバーは、前記筐体に対し移動する方向と直交する左右方向を少なくとも含む方向へ移動する
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記ノブカバーは、前記媒体処理装置の左側又は右側の少なくとも何れか一方に設けられる
ことを特徴とする請求項6に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記ノブカバーは、前記媒体処理装置の保守面側に設けられる
ことを特徴とする請求項7に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記操作ノブが設けられたユニットにおいて前記筐体内部の壁面と対向するユニット側面から、前記筐体内部の壁面から離隔する方向へ前記凹部内へ向かって前記ノブカバーが入り込む量が、前記ユニット側面と前記筐体内部の壁面との隙間よりも大きい
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
開口部を含み、該開口部を介して顧客との間で紙幣を受け渡す入出部と、
前記開口部を閉塞又は開放するシャッタと
をさらに備え、
前記操作ノブは、前記シャッタを手動で操作する
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
ローラを回転させることにより媒体を搬送する搬送部をさらに備え、
前記操作ノブは、前記ローラを手動で操作する
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項12】
前記ノブカバーは、前記媒体処理装置が前記筐体の内部から引き出された引出状態において、前記被覆状態から前記露出状態への遷移を可能とする
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項13】
筐体と、
前記筐体に対して、該筐体の外部から内部に収納又は該筐体の内部から外部へ引き出し可能に設けられる紙幣処理部とを備え、
前記紙幣処理部は、
前記紙幣処理部内部の機構を手動で操作する操作ノブと、
前記操作ノブを覆う被覆状態と、該操作ノブを露出させた露出状態との間で遷移可能に構成され、前記紙幣処理部が前記筐体の内部に収納された収納状態において、前記被覆状態から前記露出状態への遷移を前記筐体内部の壁面と接触することにより規制するノブカバーとを有する
ことを特徴とする自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体処理装置及び自動取引装置に関し、例えば紙幣等の媒体を投入して所望の取引を行う現金自動取引装置(ATM:Automatic Teller Machine)等に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関や店舗等で使用される現金自動取引装置等においては、顧客との取引内容に応じて、顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金する。現金自動取引装置としては、顧客との間で紙幣の授受を行う入出金部と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別すると共に紙幣の記番号を識別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、紙幣を搬送する搬送部と、金種毎に紙幣を格納する紙幣収納庫とを有する紙幣入出金機を内蔵するものがある。
【0003】
このような現金自動取引装置には、保守作業時に入出金部のシャッタを手動で開閉する操作ノブや搬送部のローラを手動で回転させる操作ノブを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。そのような現金自動取引装置には、操作ノブを覆うことにより該操作ノブの誤操作を防止するカバーが設けられているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−174946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのような現金自動取引装置においては、該現金自動取引装置内の紙幣を取り扱う権限を有していない保守員が、現金自動取引装置の筐体に紙幣入出金機が収納された収納状態においてノブカバーを開けて操作ノブを操作してしまうと、入出金部のシャッタが開放されて紙幣が抜き取られたり、搬送部の紙幣が搬送されて紙幣が紛失したりしてしまう可能性があった。このため現金自動取引装置は、収納状態においては、操作ノブを確実に操作不能にすることで信頼性を向上させることが望ましい。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、信頼性を向上し得る媒体処理装置及び自動取引装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の媒体処理装置においては、内部の機構を手動で操作する操作ノブと、操作ノブを覆う被覆状態と、該操作ノブを露出させた露出状態との間で遷移可能に構成され、筐体の内部に収納された収納状態において、被覆状態から露出状態への遷移を筐体内部の壁面と接触することにより規制するノブカバーとを設けるようにした。
【0008】
また本発明の自動取引装置においては、筐体と、筐体に対して、該筐体の外部から内部に収納又は該筐体の内部から外部へ引き出し可能に設けられる紙幣処理部とを設け、紙幣処理部は、紙幣処理部内部の機構を手動で操作する操作ノブと、操作ノブを覆う被覆状態と、該操作ノブを露出させた露出状態との間で遷移可能に構成され、紙幣処理部が筐体の内部に収納された収納状態において、被覆状態から露出状態への遷移を筐体内部の壁面と接触することにより規制するノブカバーとを有するようにした。
【0009】
本発明は、収納状態においてはノブカバーで操作ノブを覆い続けることにより、権限を有しない者によって該操作ノブが操作されてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、信頼性を向上し得る媒体処理装置及び自動取引装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】現金自動取引装置の構成を示す斜視図である。
図2】現金自動取引装置の内部構成を示す左側面図である。
図3】紙幣入出金機の構成を示す左側面図である。
図4】ユニット引出状態の自動取引装置の構成を示す左側面図である。
図5】上部ユニット引出状態且つ下部ユニット収納状態の自動取引装置の構成を示す左側面図である。
図6】上部ユニット収納状態且つ下部ユニット引出状態の自動取引装置の構成を示す左側面図である。
図7】入出金部に紙幣が詰まった状態におけるユニット収納状態の現金自動取引装置の構成を示し、(A)は(B)のB−B矢視断面図、(B)は左側面図、(C)は正面図である。
図8】入出金部に紙幣が詰まった状態における上部ユニット引出状態且つ露出状態の現金自動取引装置の構成を示し、(A)は(B)のB−B矢視断面図、(B)は左側面図、(C)は正面図である。
図9】入出金部に紙幣が詰まった状態における上部ユニット引出状態且つ露出状態でジャム紙幣が取り出される際の現金自動取引装置の構成を示し、(A)は(B)のB−B矢視断面図、(B)は左側面図、(C)は正面図である。
図10】入出金部に紙幣が詰まった状態における上部ユニット収納状態且つ内壁面衝突状態の現金自動取引装置の構成を示し、(A)は(B)のB−B矢視断面図、(B)は左側面図、(C)は正面図である。
図11】シャッタ操作ノブカバーの構成を示す斜視図である。
図12】被覆状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示す正面図である。
図13】露出状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示す正面図である。
図14】内壁面衝突状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示す正面図である。
図15】鑑別部に紙幣が詰まった状態における上部ユニット引出状態の現金自動取引装置の構成を示す左側面図である。
図16】鑑別部に紙幣が詰まった状態における入出金部開放状態及び鑑別部開放状態の上部ユニットの構成を示す左側面図である。
図17】搬送部に紙幣が詰まった状態における上部ユニット引出状態の現金自動取引装置の構成を示し、(A)は左側面図、(B)は正面図である。
図18】搬送部に紙幣が詰まった状態における入出金部開放状態及び鑑別部開放状態の上部ユニットの構成を示す左側面図である。
図19】搬送部から鑑別部へジャム紙幣が送られ取り出される際の上部ユニットの構成を示す左側面図である。
図20】第2の実施の形態による被覆状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示す正面図である。
図21】第2の実施の形態による露出移行状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示す正面図である。
図22】第2の実施の形態による露出状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示す正面図である。
図23】第2の実施の形態による内壁面衝突状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示す正面図である。
図24】第3の実施の形態による被覆状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示す正面図である。
図25】第3の実施の形態による露出移行状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示す正面図である。
図26】第3の実施の形態による露出状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示す正面図である。
図27】第3の実施の形態による内壁面衝突状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示す正面図である。
図28】第4の実施の形態による被覆状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示し、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図である。
図29】第4の実施の形態による露出移行状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図30】第4の実施の形態による露出状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図31】第4の実施の形態による内壁面衝突状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図32】他の実施の形態による被覆状態のシャッタ操作ノブカバーの構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0013】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動取引装置の構成]
図1に外観を示すように、現金自動取引装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。
【0014】
顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。入出金口5は、シャッタ11(図2)を駆動することにより開放又は閉塞する。操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理的なキーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
【0015】
筐体2内には、現金自動取引装置1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。
【0016】
筐体2は、左側の壁部における内壁面に、上下前後方向に沿って延びる平面形状である筐体左側内壁面2S(図7)が形成されている。また筐体2は、前面側及び後面側に、開閉可能な扉が設けられている。筐体2は、顧客との間で取引処理が行われる取引動作時の場合には扉を閉鎖することにより、現金自動取引装置1の内部を保護する。一方筐体2は、行員や金融機関の保守員等により保守作業が行われる保守作業時の場合には、必要に応じて扉を開放することにより、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得る。以下では、現金自動取引装置1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した顧客から見て左、右、上及び下をそれぞれ左側、右側、上側及び下側として説明する。
【0017】
[1−2.紙幣入出金機の内部構成]
図2及び図3に示すように紙幣入出金機10は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ユニット10Uと、その下側部分を閉める下部ユニット10Dとにより構成されており、内部に紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。
【0018】
[1−2−1.上部ユニットの構成]
上部ユニット10Uは、フレームに各種機構が固定され、紙幣制御部12(図1)が各部(入出金部14、搬送部15、鑑別部16、一時保留部17、紙幣収納庫18、上側リジェクト庫19U及び下側リジェクト庫19D)を統括制御する。上部ユニット10Uは、図4及び図5に示すように、筐体2に対して上部スライドレール22Uにより前方向であるユニット引出方向へ引き出され上部ユニット引出状態となる。また上部ユニット10Uは、引き出された状態から筐体2に向かって後方向であるユニット収納方向へ移動することにより収納され上部ユニット収納状態(図2)となる。すなわち上部ユニット10Uは、筐体2に対して前後方向であるユニット移動方向へ移動可能になっている。因みに図2及び図3において上部スライドレール22U及び下部スライドレール22D(後述する)は図示せず省略する。
【0019】
上部ユニット10Uは、該上部ユニット10U内部に、紙幣が詰まる状態である紙幣ジャムが発生し、詰まった紙幣であるジャム紙幣が取り除かれる場合や、入出金部14、搬送部15、鑑別部16、一時保留部17又は上側リジェクト庫19Uが交換される場合や、基板(図示せず)が交換される場合や、上部ユニット10U内部を清掃される場合、筐体2から前方へ引き出される。
【0020】
紙幣制御部12(図1)は、図示しないCPUを中心に構成されており、ROM、RAM、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部13(図1)から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。記憶部13は、鑑別部16が紙幣を鑑別した鑑別結果及び紙幣の記番号の識別結果等を取引情報と合わせて記憶する。
【0021】
入出部としての入出金部14(図3)は、紙幣入出金機10における前方上側に配され、顧客から投入された紙幣を1枚ずつ分離し搬送部15へ繰り出す。入出金部14の開口部としての入出金口5(図1)には、シャッタ11が設けられている。入出金部14は、入金取引時において顧客に紙幣を投入させる場合と、出金取引時において顧客に紙幣を受け渡す場合、シャッタ11をユニット収納方向へスライド移動させてシャッタ開放状態(図9)とすることにより入出金口5を開放させる。一方入出金部14は、入金取引時及び出金取引時以外の場合は、シャッタ11を前方向へスライド移動させて入出金口5を閉塞させシャッタ閉塞状態(図2)とすることにより、入出金部14からの紙幣の取り出しや外部からの入出金部14への悪戯等を防止する。
【0022】
また入出金部14は、箱型に形成された入出金部フレーム28を中心に構成されており、該入出金部フレーム28は、前方下端部に設けられた回動軸を支点として回動可能となっている。入出金部14は、取引動作時の場合には通常状態(図3)となることにより取引動作を行わせる。一方入出金部14は、搬送部15や鑑別部16に詰まった紙幣が除去される保守作業時の場合には、図16に示すように後側が上方へ持ち上がる入出金部開放状態となることにより、紙幣入出金機10の外部から鑑別部16へアクセス可能とさせる。
【0023】
搬送部15は、図示しないローラやベルト等により、図中太線で示す搬送路に沿って長方形の紙幣を短手方向に搬送する。搬送部15は、鑑別部16を前後方向に挿通させるように紙幣を搬送し、該鑑別部16の後側と一時保留部17、上側リジェクト庫19U及び入出金部14とをそれぞれ接続している。また搬送部15は、鑑別部16の前側と入出金部14、紙幣収納庫18及び下側リジェクト庫19Dとを接続している。搬送部15の分岐点には、セレクタ(図示せず)が設けられており、紙幣制御部12(図1)の制御に基づき回動することにより、紙幣の搬送先を切り替える。
【0024】
鑑別部16は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等(正損)を鑑別し、その鑑別結果を紙幣制御部12へ通知する。また鑑別部16は、撮像した紙幣の画像データから、紙幣毎に付与されその紙幣の一面に予め印刷された英数字等で構成された記番号を読み取り識別する。このとき鑑別部16は、識別した字を識別結果として紙幣制御部12へ通知する。これに応じて紙幣制御部12は、取得した鑑別結果及び識別結果に基づいて紙幣の搬送先を決定する。
【0025】
また鑑別部16は、搬送部15よりも上側が、前方下端部に設けられた回動軸を支点として回動可能となっている。鑑別部16は、取引動作時の場合には通常状態(図3)となることにより取引動作を行わせる。一方で鑑別部16は、ジャム紙幣が該鑑別部16内の搬送部15から除去される保守作業時の場合には、図18に示すように後側が上方へ持ち上がる鑑別部開放状態となることにより、鑑別部16内の搬送部15を外部に露出させる。
【0026】
一時保留部17は、入金時に顧客が入出金部14へ投入した紙幣を一時的に保留し、鑑別部16で入金可能と鑑別された入金可能紙幣を入金が確定するまで一時的に保留する。一方、入金不可と鑑別された入金リジェクト紙幣は入出金部14へ排出される。また一時保留部17は、出金時において鑑別部16で出金不可能と鑑別された出金不可紙幣を、出金可能な紙幣が出金されるまで一時的に保留し、その後該出金不可紙幣を上側リジェクト庫19Uへ排出する。
【0027】
上側リジェクト庫19Uは、直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。この上側リジェクト庫19Uは、鑑別部16及び紙幣制御部12により、破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣、偽造券と判別された紙幣及び5千券や2千券等の還流されない金種の紙幣等、再利用すべきで無いと判断された紙幣が搬送部15により搬送されて来ると、該紙幣を内部に収納する。
【0028】
[1−2−2.下部ユニットの構成]
下部ユニット10Dには、下部スライドレール22D(図4)を介して筐体2に取り付けられた下部フレーム24が設けられている。下部フレーム24には、再利用可能な紙幣を収納する複数の紙幣収納庫18と、再利用すべきでない紙幣を収納する下側リジェクト庫19Dとが着脱可能に設けられている。下部フレーム24は、図4及び図6に示すように、筐体2に対して下部スライドレール22Dにより前方向へ引き出され下部ユニット引出状態となる。また下部ユニット10Dは、引き出された状態から筐体2に向かって後方向へ移動することにより収納され下部ユニット収納状態となる。すなわち下部ユニット10Dは、筐体2に対して前後方向へ移動可能になっている。下部ユニット10Dは、該下部ユニット10U内部で紙幣ジャムが発生しジャム紙幣が取り除かれる場合や、紙幣収納庫18、上側リジェクト庫19U又は振分搬送部26が交換される場合や、基板(図示せず)が交換される場合や、下部ユニット10D内部を清掃される場合、筐体2から前方へ引き出される。
【0029】
以下では、図4に示すように上部ユニット10U及び下部ユニット10Dが筐体2から引き出された状態をユニット引出状態とも呼び、図2に示すように上部ユニット10U及び下部ユニット10Dが筐体2に収納された状態をユニット収納状態とも呼び、上部ユニット10Uのみが筐体2から引き出された状態を上部ユニット引出状態とも呼び、下部ユニット10Dのみが筐体2から引き出された状態を下部ユニット引出状態とも呼ぶ。
【0030】
図7に示すように上部ユニット10U及び下部ユニット10Dと筐体2の筐体左側内壁面2Sとの間には、隙間SPが空いている。これにより現金自動取引装置1は、上部ユニット10U及び下部ユニット10Dを筐体2に対し収納又は引き出しさせる際に、上部ユニット10U及び下部ユニット10Dの各種部品が筐体2に衝突しないようにすると共に、保守員が上部ユニット10U及び下部ユニット10Dと筐体2の筐体左側内壁面2Sとの間に手を挟んでしまうことを防止している。また上部ユニット10U及び下部ユニット10Dは、筐体2から引き出された際に、左側面側から保守作業が行われるように構成されている。以下では上部ユニット10U及び下部ユニット10Dにおける左側面側を保守面側とも呼ぶ。
【0031】
また入出金部フレーム28の左端部には、筐体2の筐体左側内壁面2Sと左右方向に対向し上下前後方向に沿って延びる平面形状であるユニット側面としてのフレーム左側面28Lが形成されている。入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lと筐体2の筐体左側内壁面2Sとの間には、隙間SPが空いている。この隙間SPの左右方向に沿った長さ、すなわちフレーム左側面28Lと筐体左側内壁面2Sとの間隔は、壁面間隔C1(図12)となっている。
【0032】
下部ユニット10D(図3)は、紙幣収納庫18及び下側リジェクト庫19Dの上面に振分搬送部26が取り付けられている。振分搬送部26は、搬送モータ、センサ及びブレード等の複数種類の搬送路形成部品により、上部ユニット10Uから搬送されたリジェクト紙幣や正常な紙幣を、搬送先を適宜切り換えて下側リジェクト庫19Dや紙幣収納庫18へ振り分けるように搬送する。
【0033】
下部フレーム24内には、前側から後側へ向けて順に5個の紙幣収納庫18が設けられている。各紙幣収納庫18は、何れも同様に構成されており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。各紙幣収納庫18は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。この紙幣収納庫18は、鑑別部16及び紙幣制御部12により損傷の程度が小さく再利用が可能であると判断された紙幣が、その金種に応じて搬送部15により搬送されてくると、該紙幣を内部に集積して収納する。また紙幣収納庫18は、紙幣制御部12から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部15に受け渡す。
【0034】
下側リジェクト庫19Dは、下部フレーム24内における紙幣収納庫18の後方に位置しており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。この下側リジェクト庫19Dは、鑑別部16及び紙幣制御部12により、破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣、偽造券と判別された紙幣及び5千券や2千券等の還流されない金種の紙幣等、再利用すべきで無いと判断された紙幣が搬送部15により搬送されて来ると、該紙幣を内部に収納する。
【0035】
かかる構成において現金自動取引装置1は、鑑別部16による紙幣の鑑別結果及び識別結果等をもとに主制御部9及び紙幣制御部12が各部を制御して、紙幣の入金処理及び出金処理等を行う。
【0036】
[1−3.操作ノブ及び操作ノブカバーの構成]
上述したように図12に示す入出金部フレーム28の左端部には、筐体2の筐体左側内壁面2Sと左右方向に対向し上下前後方向に沿って延びる平面形状であるフレーム左側面28Lが形成されている。入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lと筐体2の筐体左側内壁面2Sとの間には、隙間SPが空いている。
【0037】
フレーム左側面28Lには、筐体左側内壁面2Sから離隔する方向である右方向に向かって直方体形状に凹む凹部30が凹設されており、該凹部30の右端部には、左方を向く壁面である凹壁面30Sが形成されている。凹壁面30Sには、円板状に構成されたシャッタ操作ノブ32がフレーム左側面28Lよりも左側へ露出しないように設けられている。これによりシャッタ操作ノブ32は凹部30内に配置されている。シャッタ操作ノブ32は、シャッタ11(図2)と連動しており、保守作業等の際に保守員に手動で回転されると、その力をシャッタ11に伝達して該シャッタ11を前後方向へスライド移動させる。
【0038】
入出金部フレーム28の凹部30には、シャッタ操作ノブ32よりも左側(すなわち外側)に、該シャッタ操作ノブ32を覆うシャッタ操作ノブカバー34が設けられている。図11に示すようにシャッタ操作ノブカバー34は、全体として右側が開口するよう板状部材が組み合わされており、正面視で三角形状に形成され、前側に三角形状の前側板34Fが、後側に三角形状の後側板34Bが、左側に長方形状の左側板34Lが、下側に長方形状の下側板34Dがそれぞれ形成されていると共に、これら前側板34F、後側板34B、左側板34L及び下側板34Dにより囲まれる操作ノブ被覆空間34Sが形成されている。またシャッタ操作ノブカバー34は、左側板34Lと下側板34Dとが接する箇所において角部34Cが形成されている。以下では前側板34F、後側板34B、左側板34L及び下側板34Dをまとめて側板部とも呼ぶ。
【0039】
操作ノブ被覆空間34Sは、シャッタ操作ノブ32の左側を完全に覆う程度に大きく形成されている。また前側板34F及び後側板34Bの上側の頂点近傍には、円柱状のノブカバー回動軸35が前後方向に沿って挿通している。ノブカバー回動軸35は、前後端部が凹部30に支持されており、凹部30に対し、シャッタ操作ノブカバー34を正面視で時計回りとなる露出方向U1又はその反対の被覆方向U2へ回動させる。またシャッタ操作ノブカバー34は、図示しないスプリングにより被覆方向U2へ付勢されている。
【0040】
すなわちシャッタ操作ノブカバー34は、スプリングにより被覆方向U2へ付勢されているものの、図12に示すように所定箇所を入出金部フレーム28に当接させることにより被覆方向U2への回動が抑制され、操作ノブ被覆空間34Sによりシャッタ操作ノブ32を覆った状態となる。以下ではこの状態を被覆状態とも呼ぶ。この被覆状態においては、シャッタ操作ノブカバー34の下側板34Dの右端部が、入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lよりも凹部30の凹壁面30S側(すなわち右側)へ入り込むと共に、左側板34Lの左側面34LSが入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lとほぼ面一となっている。ここでシャッタ操作ノブカバー34は、入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lよりも左右方向に沿って入り込み量E1だけ凹部30の凹壁面30S側(すなわち右側)へ入り込んでいる。被覆状態においてシャッタ操作ノブカバー34は、それぞれ前側板34F、後側板34B、左側板34L及び下側板34Dにより、前方向、後方向、左方向及び下方向からのシャッタ操作ノブ32への操作を防止する。
【0041】
一方シャッタ操作ノブカバー34は、保守作業等の際に上部ユニット引出状態において角部34Cが左側へ移動するように保守員により露出方向U1へ回動されると、図8及び図13に示すように、シャッタ操作ノブ32を露出させた状態となる。以下ではこの状態を露出状態とも呼ぶ。この露出状態においては、シャッタ操作ノブカバー34の左端部が、入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lよりも左右方向に沿って露出状態時突出量H1だけ(すなわち左側)へ突出している。この露出状態時突出量H1は、壁面間隔C1よりも広く設定されている。
【0042】
このようにシャッタ操作ノブカバー34は、露出方向U1又は被覆方向U2へ回動することにより、シャッタ操作ノブ32を露出させ、又は被覆する。一方でシャッタ操作ノブカバー34は、被覆状態から露出状態へ遷移する際に、左右方向にある程度の空間を要し、 具体的には入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lよりも左側へ露出状態時突出量H1だけ要することとなる。
【0043】
上部ユニット収納状態(図7)において、保守員によりシャッタ操作ノブカバー34が露出方向U1へ回動されると、フレーム左側面28Lと筐体左側内壁面2Sとの間に露出状態時突出量H1よりも狭い間隔である壁面間隔C1しか空いていないため、図10及び図14に示すように角部34Cが筐体2の筐体左側内壁面2Sに当接し、それ以上の露出方向U1への回動が抑制された状態となる。以下ではこの状態を内壁面衝突状態とも呼ぶ。この内壁面衝突状態においては、シャッタ操作ノブカバー34の一部分が、入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lよりも凹部30の凹壁面30S側(すなわち右側)へ入り込んでおり、シャッタ操作ノブカバー34とフレーム左側面28Lとの間の隙間がほぼ全てなくなっていることにより、ドライバ等の工具であっても外部からシャッタ操作ノブ32にはアクセスできなくなっている。なお図7(C)及び図8(C)においては、筐体2の前面側の扉が開放された状態を示している。
【0044】
このようにシャッタ操作ノブカバー34は、被覆状態から露出状態へ遷移する際に、筐体2の筐体左側内壁面2Sに対し近接するように移動するようにした。また現金自動取引装置1は、壁面間隔C1を露出状態時突出量H1よりも狭く設定するようにした。このためシャッタ操作ノブカバー34は、上部ユニット収納状態(図7)においては、被覆状態から限界まで開放され内壁面衝突状態となったとしてもシャッタ操作ノブ32を覆い続けることにより、シャッタ操作ノブ32が外部から操作されることを防止できる。
【0045】
またシャッタ操作ノブカバー34は、上部ユニット引出状態(図8)においては露出状態時突出量H1よりも広い空間が入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lの左側に形成されるため、被覆状態から露出状態まで遷移可能となり、上部ユニット収納状態(図7)においては露出状態時突出量H1よりも狭い空間が入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lの左側に形成されるため、被覆状態から露出状態までは遷移不可能となり内壁面衝突状態となる。
【0046】
これによりシャッタ操作ノブカバー34は、上部ユニット引出状態(図8)においては露出状態へ遷移可能となりシャッタ操作ノブ32への操作を許容する一方、上部ユニット収納状態(図7)においては露出状態へ遷移不可能となりシャッタ操作ノブ32への操作を許容しないことができる。
【0047】
このように現金自動取引装置1は、必ず必要となる隙間SPを保ちながらも、上部ユニット収納状態においては、外部から該隙間SPを介しシャッタ操作ノブ32を操作されることを防止できる。
【0048】
[1−4.ジャム紙幣の除去]
[1−4−1.入出金部のジャム紙幣の除去]
かかる構成において、図7に示すように入出金部14内部でジャム紙幣BL1が詰まる紙幣ジャムが発生した場合、現金自動取引装置1は、図8に示すように上部ユニット10Uが引き出されて上部ユニット引出状態とされる。続いて現金自動取引装置1は、シャッタ操作ノブカバー34が開放されて被覆状態から露出状態へ遷移することにより保守員がシャッタ操作ノブ32を操作可能な状態とする。続いて現金自動取引装置1は、図9に示すようにシャッタ操作ノブ32を回転されることによりシャッタ11を後方向へスライド移動させてシャッタ開放状態とし、入出金口5(図1)を開放させる。続いて現金自動取引装置1は、外部に露出したジャム紙幣BL1が入出金部14内部から除去される。
【0049】
[1−4−2.鑑別部のジャム紙幣の除去]
一方鑑別部16内部でジャム紙幣BL2が詰まる紙幣ジャムが発生した場合、現金自動取引装置1は、図15に示すように上部ユニット10Uが引き出されて上部ユニット引出状態とされる。続いて現金自動取引装置1は、上部ユニット引出状態において図16に示すように入出金部開放状態及び鑑別部開放状態にされ、外部に露出したジャム紙幣BL2が除去される。
【0050】
[1−4−3.搬送部のジャム紙幣の除去]
一方、図18に示すように搬送部15でジャム紙幣BL3が詰まる紙幣ジャムが発生した場合、現金自動取引装置1は、図17に示すように上部ユニット10Uが引き出されて上部ユニット引出状態とされる。ここで上部ユニット10Uのフレームには、シャッタ操作ノブ32と同様に構成された搬送部操作ノブ40が設けられている。搬送部操作ノブ40は、搬送部15のローラ(図2)と連動しており、保守作業等の際に保守員に手動で回転されると、その力をローラに伝達して該ローラを回転させる。上部ユニット10Uのフレームには、搬送部操作ノブ40よりも左側(すなわち外側)に、シャッタ操作ノブ32と同様に構成され該搬送部操作ノブ40を覆う搬送部操作ノブカバー42が設けられている。搬送部操作ノブカバー42は、被覆状態において搬送部操作ノブ40を覆うことにより搬送部操作ノブ40への操作を防止すると共に、上部ユニット引出状態において露出状態となると搬送部操作ノブ40を露出させることにより搬送部操作ノブ40の操作を許容する。また搬送部操作ノブカバー42は、上部ユニット収納状態において被覆状態から回動されると、内壁面衝突状態となり、搬送部操作ノブ40への操作を防止する。
【0051】
現金自動取引装置1は、上部ユニット引出状態において図18に示すように入出金部開放状態及び鑑別部開放状態にされる。続いて現金自動取引装置1は、搬送部操作ノブカバー42が開放されて被覆状態から露出状態へ遷移することにより保守員が搬送部操作ノブ40を操作可能な状態とする。続いて現金自動取引装置1は、図19に示すように搬送部操作ノブ40を回転されることによりジャム紙幣BL3を鑑別部16まで搬送し、外部に露出したジャム紙幣BL3が除去される。
【0052】
[1−5.効果]
ここで仮に、上部ユニット収納状態においてシャッタ操作ノブカバー34が被覆状態から露出状態まで開放されてしまう構成の場合、上部ユニット収納状態においてシャッタ操作ノブ32の誤操作は防止できるものの、上部ユニット引出状態とせずに上部ユニット収納状態においても、筐体2の外部から隙間SPに手を入れられて、シャッタ操作ノブ32が操作可能となる。そのような場合現金自動取引装置1は、シャッタ操作ノブ32が回転されてシャッタ閉塞状態からシャッタ開放状態にされ、現金自動取引装置1内の紙幣を取り扱う権限を有していない保守員に対しても、入出金部14から紙幣を抜き取って持ち出されてしまう可能性がある。
【0053】
これに対し現金自動取引装置1は、上部ユニット収納状態においてはシャッタ操作ノブカバー34が被覆状態から内壁面衝突状態までしか遷移しないことにより、上部ユニット収納状態においてシャッタ操作ノブ32の誤操作を防止しつつ、筐体2の外部からシャッタ操作ノブ32を操作させないようにできる。これにより現金自動取引装置1は、上部ユニット10Uを引き出す権限を有しない保守員、すなわち現金自動取引装置1内の紙幣を取り扱う権限を有していない保守員に対しては、入出金部14から紙幣を抜き取らせないようにできる。
【0054】
一方現金自動取引装置1は、上部ユニット引出状態においてはシャッタ操作ノブカバー34の回動軌跡上に筐体左側内壁面2Sが存在しない状態とすることにより、シャッタ操作ノブカバー34を露出状態まで遷移可能にした。このため現金自動取引装置1は、上部ユニット10Uを引き出す権限を有する保守員に対しては、シャッタ操作ノブカバー34を被覆状態から露出状態まで遷移させてシャッタ操作ノブ32を操作可能にさせることができ、シャッタ11をシャッタ閉鎖状態からシャッタ開放状態まで遷移させて、入出金部14から紙幣を除去させることができる。
【0055】
また現金自動取引装置1は、被覆状態と露出状態との間を遷移する際に、ユニット移動方向(すなわち前後方向)に直交する方向(すなわち左右方向)を含む方向へシャッタ操作ノブカバー34を回動させる、すなわち筐体2の筐体左側内壁面2Sに対し離接するようにシャッタ操作ノブカバー34を回動させるようにした。これにより現金自動取引装置1は、上部ユニット10Uをユニット移動方向に沿って移動させるだけで、シャッタ操作ノブカバー34が被覆状態から露出状態まで回動可能となる空間をフレーム左側面28Lの左側に形成するか否かを切り替えることができる。
【0056】
以上の構成によれば現金自動取引装置1は、筐体2と、筐体2に対して、該筐体2の外部から内部に収納又は該筐体2の内部から外部へ引き出し可能に設けられる紙幣入出金機10とを設け、紙幣入出金機10は、紙幣入出金機10内部の機構を手動で操作するシャッタ操作ノブ32と、シャッタ操作ノブ32を覆う被覆状態と、該シャッタ操作ノブ32を露出させた露出状態との間で遷移可能に構成され、紙幣入出金機10が筐体2の内部に収納された収納状態としての上部ユニット状態において、被覆状態から露出状態への遷移を筐体2内部の壁面である筐体左側内壁面2Sと接触することにより規制するシャッタ操作ノブカバー34とを有するようにした。これにより現金自動取引装置1は、上部ユニット収納状態においてはシャッタ操作ノブカバー34でシャッタ操作ノブ32を覆い続けることにより、権限を有しない者によって該シャッタ操作ノブ32が操作されてしまうことを防止できる。
【0057】
[2.第2の実施の形態]
[2−1.現金自動取引装置及び紙幣入出金機の内部構成]
第2の実施の形態による現金自動取引装置101(図1及び図2)は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。図12と対応する部材に同一符号を付した図20に示すように、紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、シャッタ操作ノブカバー34に代わるシャッタ操作ノブカバー134を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0058】
[2−2.操作ノブカバーの構成]
シャッタ操作ノブカバー134は、第1の実施の形態によるシャッタ操作ノブカバー34(図12)と比較して、左側板34Lの下端部の左側に当接部134Tが追加されたような構成となっている。左側板34Lは、可撓性を有し、板状に形成されており、図20に示すように被覆状態において凹部30を隙間なく左側から覆うと共に、図21に示す露出移行状態において凹部30に対し上方向である閉鎖方向D1と下方向である開放方向D2とにスライド移動可能に構成されている。また左側板34Lは、被覆状態(図20)から、下端部が筐体左側内壁面2Sへ近接する左側である露出方向U1(図21)へ撓むように構成されている。下側板34Dは、左側板34Lの下端部において右方向に向かって突出しており、被覆状態において右端部が、入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lよりも凹部30の凹壁面30S側(すなわち右側)へ入り込んでいる。この被覆状態においてシャッタ操作ノブカバー134は、入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lから、左右方向に沿って当接部134Tと筐体左側内壁面2Sとの間隔よりも長く凹部30の凹壁面30S側(すなわち右側)へ入り込んでいる。当接部134Tは、左側板34Lの下端部において左方向に向かって突出しており、図23に示す内壁面衝突状態において左端部が筐体2の筐体左側内壁面2Sに当接し、それ以上の露出方向U1への左側板34Lの撓みが抑制される。
【0059】
かかる構成においてシャッタ操作ノブカバー134は、被覆状態(図20)において左側板34Lで凹部30を隙間なく左側から覆うことでシャッタ操作ノブ32を覆うと共に、下側板34Dの右端部を、入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lよりも凹部30の凹壁面30S側(すなわち右側)へ入り込ませることにより、外部からのシャッタ操作ノブ32への操作を防止する。またシャッタ操作ノブカバー134は、保守作業等の際に上部ユニット引出状態において、下側板34Dの右端部が入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lよりも左側に位置するまで、当接部134Tが左側へ移動するように保守員により左側板34Lが露出方向U1へ撓ませられると、露出移行状態(図21)となる。この露出移行状態においてシャッタ操作ノブカバー134は、下側板34Dが凹部30から抜け出ているため、入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lよりも左側において上下方向に沿ってスライド移動可能となる。さらにシャッタ操作ノブカバー134は、露出移行状態(図21)から、凹部30が全て露出するまで保守員により開放方向D2へスライド移動されると、露出状態(図22)となり、シャッタ操作ノブ32の操作を可能な状態とする。
【0060】
一方シャッタ操作ノブカバー134は、上部ユニット収納状態のまま保守員等により露出方向U1へ撓ませられると、入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lから、当接部134Tと筐体左側内壁面2Sとの間隔よりも長く凹部30の凹壁面30S側へ入り込んでいるため、図23に示すように当接部134Tが筐体2の筐体左側内壁面2Sに当接し、それ以上の露出方向U1への撓みが抑制された内壁面衝突状態となる。この内壁面衝突状態においては、シャッタ操作ノブカバー134の下側板34Dが、入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lよりも凹部30の凹壁面30S側(すなわち右側)へ入り込んでおり、シャッタ操作ノブカバー134とフレーム左側面28Lとの間の隙間がほぼ全てなくなっていることにより、ドライバ等の工具であっても外部からシャッタ操作ノブ32にはアクセスできなくなっている。
【0061】
このようにシャッタ操作ノブカバー134は、上部ユニット収納状態においては、被覆状態(図20)から露出方向U1へ撓んで内壁面衝突状態(図23)までしか遷移しないことにより露出方向U1への撓みが抑制されてシャッタ操作ノブ32を覆い続け、外部からシャッタ操作ノブ32を操作できないようにした。これによりシャッタ操作ノブカバー134は、上部ユニット10Uを引き出す権限を有しない保守員に対しては、入出金部14から紙幣を抜き取らせないようにできる。
【0062】
その他の点においても、第2の実施の形態によるシャッタ操作ノブカバー134は、第1の実施の形態によるシャッタ操作ノブカバー34と同様の作用効果を奏し得る。
【0063】
[3.第3の実施の形態]
[3−1.現金自動取引装置及び紙幣入出金機の内部構成]
第3の実施の形態による現金自動取引装置201(図1及び図2)は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機210を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。図12と対応する部材に同一符号を付した図24に示すように、紙幣入出金機210は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、シャッタ操作ノブカバー34に代わるシャッタ操作ノブカバー234を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0064】
[3−2.操作ノブカバーの構成]
シャッタ操作ノブカバー234は、操作ノブカバー部244及びノブカバー部ストッパ246により構成されている。操作ノブカバー部244は、板状に形成されており、図24に示すように被覆状態において凹部30を隙間なく左側から覆うと共に、図25に示す露出移行状態において凹部30に対し上方向である閉鎖方向D1と下方向である開放方向D2とにスライド移動可能に構成されている。また操作ノブカバー部244は、図24に示す被覆状態と図27に示す内壁面衝突状態とにおいて下端部がノブカバー部ストッパ246に当接し、それ以上の開放方向D2への移動が抑制される。
【0065】
ノブカバー部ストッパ246は、被覆状態(図24)において操作ノブカバー部244の下側に位置することにより該操作ノブカバー部244の下端部に当接し、該操作ノブカバー部244の開放方向D2への移動を抑制する。このノブカバー部ストッパ246は、引張バネであるスプリング247により、入出金部フレーム28のフレーム左側面28L側(すなわち右側)である開放抑制方向D3へ付勢されているものの、フレーム左側面28Lに当接することにより開放抑制方向D3への移動が抑制され、操作ノブカバー部244の下端部に当接し該操作ノブカバー部244の開放方向D2への移動を抑制する状態となる。一方ノブカバー部ストッパ246は、図27に示す内壁面衝突状態において左端部が筐体2の筐体左側内壁面2Sに当接し、それ以上の左方である開放非抑制方向D4への移動が抑制される。この内壁面衝突状態においてノブカバー部ストッパ246は、フレーム左側面28Lとの間に、ノブカバー部ストッパ246の左右方向の厚みよりも狭い間隔を空けている。このためノブカバー部ストッパ246は、操作ノブカバー部244の下端部に当接し該操作ノブカバー部244の開放方向D2への移動を抑制する状態となる。
【0066】
かかる構成において操作ノブカバー部244は、被覆状態(図24)において凹部30を隙間なく左側から覆うことでシャッタ操作ノブ32を覆うことにより、外部からのシャッタ操作ノブ32への操作を防止する。またノブカバー部ストッパ246は、保守作業等の際に上部ユニット引出状態において、右端部が操作ノブカバー部244の左端部よりも左側に位置するまで、スプリング247の付勢力に逆らって開放非抑制方向D4へ移動されると、露出移行状態(図25)となる。この露出移行状態において操作ノブカバー部244は、ノブカバー部ストッパ246が該操作ノブカバー部244のスライド移動軌跡上に位置していない状態となるため、入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lよりも左側において上下方向に沿ってスライド移動可能となる。さらに操作ノブカバー部244は、露出移行状態(図25)から、凹部30が全て露出するまで保守員により開放方向D2へスライド移動されると、露出状態(図26)となり、シャッタ操作ノブ32の操作を可能な状態とする。
【0067】
一方ノブカバー部ストッパ246は、上部ユニット収納状態のまま保守員等により開放非抑制方向D4へ移動されると、図27に示すように筐体2の筐体左側内壁面2Sに当接し、それ以上の開放非抑制方向D4への移動が抑制された内壁面衝突状態となる。この内壁面衝突状態においては、ノブカバー部ストッパ246が操作ノブカバー部244の開放方向D2側に入り込んでおり、該操作ノブカバー部244のそれ以上の開放方向D2への移動を抑制する。このため内壁面衝突状態においては、操作ノブカバー部244とフレーム左側面28Lとの間の隙間がほぼ全てなくなっていることにより、ドライバ等の工具であっても外部からシャッタ操作ノブ32にはアクセスできなくなっている。
【0068】
このようにシャッタ操作ノブカバー234は、上部ユニット収納状態においては、ノブカバー部ストッパ246が開放非抑制方向D4へ移動して内壁面衝突状態までしか遷移しないことにより開放非抑制方向D4への移動が抑制され、該ノブカバー部ストッパ246が開放方向D2への操作ノブカバー部244の移動を抑制することにより、操作ノブカバー部244がシャッタ操作ノブ32を覆い続け、外部からシャッタ操作ノブ32を操作できないようにした。これによりシャッタ操作ノブカバー234は、上部ユニット10Uを引き出す権限を有しない保守員に対しては、入出金部14から紙幣を抜き取らせないようにできる。
【0069】
その他の点においても、第3の実施の形態によるシャッタ操作ノブカバー234は、第1の実施の形態によるシャッタ操作ノブカバー34と同様の作用効果を奏し得る。
【0070】
[4.第4の実施の形態]
[4−1.現金自動取引装置及び紙幣入出金機の内部構成]
第4の実施の形態による現金自動取引装置301(図1及び図2)は、第3の実施の形態による現金自動取引装置201と比較して、紙幣入出金機210に代わる紙幣入出金機310を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。図24と対応する部材に同一符号を付した図28に示すように、紙幣入出金機310は、第3の実施の形態による紙幣入出金機210と比較して、シャッタ操作ノブカバー234に代わるシャッタ操作ノブカバー334を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0071】
[4−2.操作ノブカバーの構成]
シャッタ操作ノブカバー334は、第3の実施の形態によるシャッタ操作ノブカバー234(図24)と比較して、操作ノブカバー部244及びノブカバー部ストッパ246に代わる操作ノブカバー部344及びノブカバー部ストッパ346を有している。
【0072】
操作ノブカバー部344は、板状に形成されており、図28に示すように被覆状態において凹部30を隙間なく左側から覆っている。また操作ノブカバー部344は、上端近傍に設けられた回動軸を支点として正面視で時計回りとなる露出方向U1又はその反対の被覆方向U2へ回動する。また操作ノブカバー部344は、図28に示す被覆状態と図31に示す内壁面衝突状態とにおいて下端部がノブカバー部ストッパ346に当接し、それ以上の露出方向U1への回動が抑制される。
【0073】
ノブカバー部ストッパ346は、被覆状態(図28)において操作ノブカバー部344の下端部近傍における左側に位置することにより該操作ノブカバー部344の左側面に当接し、該操作ノブカバー部344の露出方向U1への回動を抑制する。またノブカバー部ストッパ346は、前端部近傍に設けられた回動軸を支点として平面視で時計回りとなる開放抑制方向D3又はその反対の開放非抑制方向D4へ回動する。ノブカバー部ストッパ346は、図31に示す内壁面衝突状態において後端部が筐体2の筐体左側内壁面2Sに当接し、それ以上の左方である開放非抑制方向D4への回動が抑制される。この内壁面衝突状態においてノブカバー部ストッパ346は、操作ノブカバー部344の回動軌跡上に位置している。ノブカバー部ストッパ346は、操作ノブカバー部344の下端部近傍に当接し該操作ノブカバー部344の露出方向U1への回動を抑制する状態となる。
【0074】
かかる構成において操作ノブカバー部344は、被覆状態(図28)において凹部30を隙間なく左側から覆うことでシャッタ操作ノブ32を覆うことにより、外部からのシャッタ操作ノブ32への操作を防止する。またノブカバー部ストッパ346は、保守作業等の際に上部ユニット引出状態において、操作ノブカバー部344の回動軌跡から外れるまで開放非抑制方向D4へ回動されると、露出移行状態(図29)となる。この露出移行状態において操作ノブカバー部344は、ノブカバー部ストッパ346が該操作ノブカバー部344の回動軌跡から外れた状態となるため、露出方向U1へ回動可能となる。さらに操作ノブカバー部344は、露出移行状態(図29)から、凹部30が全て露出するまで保守員により露出方向U1へ回動されると、露出状態(図30)となり、シャッタ操作ノブ32の操作を可能な状態とする。
【0075】
一方ノブカバー部ストッパ346は、上部ユニット収納状態のまま保守員等により開放非抑制方向D4へ回動されると、図31に示すように筐体2の筐体左側内壁面2Sに当接し、それ以上の開放非抑制方向D4への回動が抑制された内壁面衝突状態となる。この内壁面衝突状態においては、ノブカバー部ストッパ346が操作ノブカバー部344の露出方向U1側に位置しており、該操作ノブカバー部344のそれ以上の露出方向U1への移動を抑制する。このため内壁面衝突状態においては、操作ノブカバー部344とフレーム左側面28Lとの間の隙間がほぼ全てなくなっていることにより、ドライバ等の工具であっても外部からシャッタ操作ノブ32にはアクセスできなくなっている。
【0076】
このようにシャッタ操作ノブカバー334は、上部ユニット収納状態(図7)においては、ノブカバー部ストッパ346が回動して内壁面衝突状態までしか遷移しないことにより開放非抑制方向D4への回動が抑制され、該ノブカバー部ストッパ346が露出方向U1への操作ノブカバー部344の移動を抑制することにより、操作ノブカバー部344がシャッタ操作ノブ32を覆い続け、外部からシャッタ操作ノブ32を操作できないようにした。これによりシャッタ操作ノブカバー334は、上部ユニット10Uを引き出す権限を有しない保守員に対しては、入出金部14から紙幣を抜き取らせないようにできる。
【0077】
その他の点においても、第3の実施の形態によるシャッタ操作ノブカバー234は、第1の実施の形態によるシャッタ操作ノブカバー34と同様の作用効果を奏し得る。
【0078】
[5.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、入出金部14のシャッタ11をスライド移動させるシャッタ操作ノブ32を覆うシャッタ操作ノブカバー34に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、搬送部15のローラを回転させる搬送部操作ノブ40を覆う搬送部操作ノブカバー42等、種々のカバーに本発明を適用しても良い。搬送部操作ノブ40を搬送部操作ノブカバー42で覆った場合、上部ユニット収納状態においては外部から搬送部操作ノブ40を操作できなくできるため、搬送部15内で紙幣を紛失してしまったり、紙幣が破れて紙幣入出金機10を破損させてしまったりすることを防止できる。第2乃至第4の実施の形態についても同様である。
【0079】
また上述した第1の実施の形態においては、内壁面衝突状態においてシャッタ操作ノブカバー34とフレーム左側面28Lとの間の隙間をほぼ全てなくす場合について述べた。本発明はこれに限らず、内壁面衝突状態においてシャッタ操作ノブカバー34とフレーム左側面28Lとの間の隙間は、外部から指を挿入されない程度であれば空いていても良い。第2乃至第4の実施の形態についても同様である。
【0080】
さらに上述した第1の実施の形態においては、フレーム左側面28Lよりも左側へ露出しないように設けられたシャッタ操作ノブ32を覆うシャッタ操作ノブカバー34に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、図32に示すようにフレーム左側面28Lよりも左側へ露出するシャッタ操作ノブ1032を覆うシャッタ操作ノブカバー1034に本発明を適用しても良い。第2乃至第4の実施の形態についても同様である。
【0081】
さらに上述した第1の実施の形態においては、被覆状態においてシャッタ操作ノブカバー34の左側面34LSと入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lとがほぼ面一となる場合について述べた。本発明はこれに限らず、被覆状態においてシャッタ操作ノブカバー34の左側面34LSは、入出金部フレーム28のフレーム左側面28Lよりも左側に位置していても良く、又はフレーム左側面28Lよりも右側へ位置していても良い。第2乃至第4の実施の形態についても同様である。
【0082】
さらに上述した第1の実施の形態においては、シャッタ操作ノブカバー34が、該シャッタ操作ノブカバー34の上端部に設けられたノブカバー回動軸35を支点として回動する場合について述べた。本発明はこれに限らず、シャッタ操作ノブカバー34の例えば下端部等、種々の位置に設けられた回動軸を支点としてシャッタ操作ノブカバー34が回動しても良い。
【0083】
さらに上述した第1の実施の形態においては、上部ユニット10Uの左側面側に設けられたシャッタ操作ノブ32を覆うシャッタ操作ノブカバー34に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、上部ユニット10Uの右側面側に設けられたシャッタ操作ノブを覆うシャッタ操作ノブカバーに本発明を適用しても良い。その場合、保守作業の効率を保つため、シャッタ操作ノブは上部ユニット10Uの後側や上側や下側ではない箇所に設けられていることが望ましい。第2乃至第4の実施の形態についても同様である。
【0084】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0085】
さらに上述した実施の形態においては、現金を取引する現金自動取引装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体を取り扱う種々の装置に本発明を適用しても良い。また、例えば紙幣を入出する紙幣入出金機や紙幣を所定枚数毎に施封する施封小束支払機等、紙幣や硬貨の取引に関する種々の処理を行う複数種類の装置の組み合わせにより構成された現金処理装置に本発明を適用してもよい。
【0086】
さらに上述した第1の実施の形態においては、筐体としての筐体2と、紙幣処理部としての紙幣入出金機10とによって、自動取引装置としての現金自動取引装置1を構成し、紙幣処理部は、操作ノブとしてのシャッタ操作ノブ32と、ノブカバーとしてのシャッタ操作ノブカバー34とを有する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる筐体と、操作ノブとノブカバーとを有する紙幣処理部とによって、自動取引装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、内部の機構を外部から手動で操作する種々の機構を覆うカバーを有する種々の装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0088】
1、101、201、301……現金自動取引装置、2……筐体、2S……筐体左側内壁面、3……顧客応対部、4……カード入出口、5……入出金口、6……操作表示部、7……テンキー、8……レシート発行口、9……主制御部、10、110……紙幣入出金機、10U……上部ユニット、10D……下部ユニット、11……シャッタ、12……紙幣制御部、13……記憶部、14……入出金部、15……搬送部、16……鑑別部、17……一時保留部、18……紙幣収納庫、19U……上側リジェクト庫、19D……下側リジェクト庫、22U……上部スライドレール、22D……下部スライドレール、24……下部フレーム、26……振分搬送部、28……入出金部フレーム、28L……フレーム左側面、30……凹部、30S……凹壁面、32……シャッタ操作ノブ、34、134、234、334……シャッタ操作ノブカバー、34F……前側板、34B……後側板、34L……左側板、34D……下側板、34S……操作ノブ被覆空間、34C……角部、35……ノブカバー回動軸、40……搬送部操作ノブ、42……搬送部操作ノブカバー、134T……当接部、244、344……操作ノブカバー部、246、346……ノブカバー部ストッパ、247……スプリング、SP……隙間、U1……露出方向、U2……被覆方向、C1……壁面間隔、E1……入り込み量、H1……露出状態時突出量、D1……閉鎖方向、D2……開放方向、D3……開放抑制方向、D4……開放非抑制方向。
図1
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