(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接着体は、前記第一面である前記蓄電素子の底面と前記外装体の内面との間、及び、前記第二面である前記蓄電素子の側面の下端から所定高さまでの面と前記外装体の内面との間に注入されている
請求項1〜10のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記従来の蓄電装置では、製造過程において、蓄電素子を外装体に接着する工程が煩雑になる場合があるという問題がある。つまり、従来の蓄電装置では、一般的に、蓄電素子の外面または外装体の内面に接着剤を塗布して蓄電素子を外装体に接着しているが、この接着剤を塗布する作業が困難な場合がある。例えば、接着剤塗布用の機器で接着剤を蓄電素子または外装体の塗布対象面に塗布する場合、当該機器を当該塗布対象面に向けて正確に移動させ、かつ、当該機器を当該塗布対象面に沿って正確に移動させていく必要がある。このように、接着剤を塗布する作業によって、蓄電素子を外装体に接着する工程が煩雑になる場合がある。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、蓄電素子を外装体に容易に接着することができる蓄電装置及び蓄電装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と外装体とを備える蓄電装置であって、前記蓄電素子の隣り合う2つの面である第一面及び第二面のうちの少なくとも1つの面と前記外装体の内面との間に注入されて当該少なくとも1つの面と前記外装体の内面とを面接着している接着体を備える。
【0012】
これによれば、蓄電装置は、蓄電素子の隣り合う2つの面のうちの少なくとも1つの面と外装体の内面との間に注入された接着体を備えている。ここで、外装体の内方に接着体を注入する場合、接着体注入用の機器を外装体の内方に向けて移動させて接着体を注入するだけでよいため、蓄電素子または外装体に接着剤を塗布するよりも、通常容易に行うことができる。このため、蓄電装置は、外装体の内方に注入された接着体を備えている構成であるため、蓄電素子を外装体に容易に接着することができている。
【0013】
また、前記外装体の内面のうち、前記接着体によって前記蓄電素子と面接着された部分には、前記蓄電素子に向けて突出した凸部が形成されていることにしてもよい。
【0014】
これによれば、外装体の蓄電素子との接着面に凸部が形成されているため、凸部の高さによって接着体の厚みを規定することができる。このため、接着体の厚みを最適な厚みに設定することができるため、蓄電素子を外装体に容易かつ強固に接着することができる。
【0015】
また、前記外装体の内面上かつ前記凸部の側方には、前記凸部を横切る前記接着体の流路が形成されていることにしてもよい。
【0016】
これによれば、凸部の側方に接着体の流路が形成されているため、接着体を注入した後に、接着体の量が多い場合には当該流路を介して接着体を流出させることができ、また、接着体の量が少ない場合には当該流路を介して接着体を流入させることができる。このため、当該流路によって接着体の量を調整することができるため、蓄電素子を外装体に容易かつ強固に接着することができる。
【0017】
また、前記流路は、前記外装体の内面に沿って延設され、かつ、前記流路に近づくほど間隔が狭くなる2つの前記凸部に挟まれて配置されていることにしてもよい。
【0018】
これによれば、接着体の流路の両側には、当該流路に近づくほど間隔が狭くなる2つの凸部が配置されているため、接着体の量が多い場合には、余剰の接着体は、当該凸部に案内されて当該流路まで流れ、当該流路から流出される。このため、当該凸部によって余剰の接着体を容易に流出させることができるため、容易に接着体の量を調整することができる。
【0019】
また、前記外装体の内面には、それぞれの前記蓄電素子に対して、複数の前記凸部が形成されていることにしてもよい。
【0020】
これによれば、蓄電素子ごとに複数の凸部が形成されているため、それぞれの蓄電素子を複数の凸部で支持しつつ、外装体に容易に接着することができる。
【0021】
また、前記凸部は、前記凸部の突出方向から見て、少なくとも一部が、前記蓄電素子が有する電極端子から前記蓄電素子の端部までの領域と重なる位置に配置されていることにしてもよい。
【0022】
これによれば、凸部の少なくとも一部が、蓄電素子の電極端子から端部までの領域の真下に配置されているため、蓄電素子の電極端子または端部を押えて蓄電素子を固定する際に、外装体に対して蓄電素子を安定して固定することができる。
【0023】
また、前記蓄電素子は、前記外装体の壁面から露出することなく前記外装体の内方に配置されていることにしてもよい。
【0024】
これによれば、蓄電装置は、外装体の壁面から蓄電素子が露出していない構成であるため、注入した接着体が外装体の外方へはみ出すのを抑制しつつ、蓄電素子を外装体に容易に接着することができている。
【0025】
また、前記外装体は、内方に、前記蓄電素子の収容部を仕切る仕切部を有することにしてもよい。
【0026】
これによれば、蓄電装置は、外装体内で仕切部によって仕切られた収容部に蓄電素子が配置される構成であるため、蓄電素子を容易に位置決めしつつ、蓄電素子を外装体に容易に接着することができている。
【0027】
また、前記外装体は、内面と前記第一面及び前記第二面との間に間隙を形成する凹部を有し、前記接着体は、前記凹部に注入されて、前記第一面及び前記第二面と前記外装体の内面とを面接着していることにしてもよい。
【0028】
これによれば、蓄電装置は、外装体の凹部に注入された接着体によって蓄電素子の隣り合う2つの面と外装体とが接着されている構成であるため、蓄電素子を外装体に容易かつ強固に接着することができている。
【0029】
また、前記接着体は、前記第一面である前記蓄電素子の底面と前記外装体の内面との間、及び、前記第二面である前記蓄電素子の側面の下端から所定高さまでの面と前記外装体の内面との間に注入されていることにしてもよい。
【0030】
これによれば、蓄電装置は、蓄電素子の側面の所定高さまで注入された接着体を備えている構成であるため、蓄電素子を外装体に容易かつ強固に接着することができている。
【0031】
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置の製造方法は、蓄電素子と外装体とを備える蓄電装置の製造方法であって、前記外装体の内方に前記蓄電素子を配置する配置工程と、前記外装体の内方に接着体を注入する注入工程と、前記配置工程及び前記注入工程を行うことにより、前記蓄電素子の隣り合う2つの面である第一面及び第二面のうちの少なくとも1つの面を前記外装体の内面に面接着させる接着工程とを含む。
【0032】
これによれば、蓄電装置の製造方法において、外装体の内方に接着剤等の接着体を注入することで、蓄電素子の隣り合う2つの面のうちの少なくとも1つの面を外装体の内面に面接着させる。ここで、外装体の内方に接着体を注入する場合、接着体注入用の機器を外装体の内方に向けて移動させて接着体を注入するだけでよいため、従来の蓄電素子または外装体に接着体を塗布する場合よりも、通常容易に行うことができる。このため、外装体の内方に接着体を注入することで、蓄電素子を外装体に容易に接着することができる。
【0033】
また、前記注入工程は、前記配置工程の後に、前記第一面及び前記第二面のうちの少なくとも1つの面と前記外装体の内面との間に接着体を注入する配置後注入工程を含むことにしてもよい。
【0034】
これによれば、蓄電素子を外装体の内方に配置した後に、蓄電素子の少なくとも1つの面と外装体の内面との間に接着体を注入することで、蓄電素子を外装体に容易に接着することができる。
【0035】
また、前記配置後注入工程では、前記第一面及び前記第二面と前記外装体の内面との間に接着体を注入し、前記接着工程では、前記第一面及び前記第二面を前記外装体の内面に面接着させることにしてもよい。
【0036】
これによれば、蓄電素子の隣り合う2つの面と外装体の内面との間に接着体を注入することで、蓄電素子の当該2つの面を外装体の内面に接着する。これにより、蓄電素子を外装体に容易かつ強固に接着することができる。
【0037】
また、前記注入工程は、前記配置工程の前に、前記外装体の内方の前記第一面と対向する面に接着体を注入する配置前注入工程を含み、前記配置工程では、前記第一面及び前記第二面と前記外装体の内面との間に接着体が配置されるように、前記蓄電素子を前記外装体の内方に配置し、前記接着工程では、前記第一面及び前記第二面を前記外装体の内面に面接着させることにしてもよい。
【0038】
これによれば、蓄電素子を外装体の内方に配置する前に、蓄電素子の第一面と対向する外装体の面に接着体を注入し、かつ、第一面及び第二面と外装体の内面との間に接着体が回り込むように蓄電素子を配置することで、蓄電素子を外装体に接着する。これにより、蓄電素子を外装体に容易かつ強固に接着することができる。
【0039】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置及びその製造方法について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造方法における各工程、各工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0040】
(実施の形態)
まず、蓄電装置10の構成について、説明する。
【0041】
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0042】
なお、これらの図では、Z軸方向を上下方向として示しており、以下ではZ軸方向を上下方向として説明するが、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるため、Z軸方向は上下方向となることには限定されない。以下の図においても、同様である。
【0043】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュールである。
図1及び
図2に示すように、蓄電装置10は、外装体11と、外装体11内方に収容される複数の蓄電素子300及びバスバー400等を備えている。
【0044】
外装体11は、蓄電装置10の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体11は、蓄電素子300及びバスバー400の外方に配置され、これら蓄電素子300等を所定の位置に配置し、蓄電素子300等を衝撃などから保護する。また、外装体11は、例えばポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の絶縁性の樹脂材料により構成されている。外装体11は、これにより、蓄電素子300等が外部の金属部材などに接触することを回避する。
【0045】
ここで、外装体11は、外装体本体100と蓋体200とを有している。
【0046】
外装体本体100は、外装体11の本体部を構成する部材であり、具体的には、上部に開口が形成された有底矩形筒状のハウジングである。この開口から、複数の蓄電素子300が挿入されて、外装体本体100内に収容される。具体的には、外装体本体100は、内方に複数の仕切部120を有しており、当該複数の仕切部120のうちの隣り合う2つの仕切部120の間に、蓄電素子300のそれぞれが挿入されて収容される。外装体本体100の構成の詳細については、後述する。
【0047】
蓋体200は、外装体11の蓋部を構成する部材であり、外装体本体100の開口を閉塞する扁平な矩形状のカバー部材である。また、蓋体200には、正極外部端子210と負極外部端子220とが設けられている。蓄電装置10は、この正極外部端子210と負極外部端子220とを介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。
【0048】
なお、外装体本体100と蓋体200とは、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。また、外装体11の内方には、回路基板やリレーなどの電気機器も配置されていてもよい。
【0049】
蓄電素子300は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子300は、扁平な角型の形状を有しており、本実施の形態では、外装体11内に8個の蓄電素子300がX軸方向に並べられて収容されている。なお、蓄電素子300は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、外装体11内に収容される蓄電素子300の個数も限定されない。蓄電素子300の構成の詳細については、後述する。
【0050】
バスバー400は、複数の蓄電素子300の上方に配置され、複数の蓄電素子300同士を電気的に接続する金属などの導電性の板状部材である。具体的には、バスバー400は、隣接する蓄電素子300において、一の蓄電素子300の正極端子または負極端子と、他の蓄電素子300の負極端子または正極端子とを接続する。本実施の形態では、バスバー400は、蓄電素子300を2個ずつ並列に接続して4セットの蓄電素子群を構成し、当該4セットの蓄電素子群を直列に接続する。なお、バスバー400は、8個の蓄電素子300を全て直列に接続してもよいし、その他の構成であってもかまわない。
【0051】
次に、蓄電素子300の構成について、詳細に説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子300の外観を示す斜視図である。
【0052】
同図に示すように、蓄電素子300は、容器310と、正極端子320と、負極端子330とを備えている。なお、容器310の内方には、電極体(発電要素)、正極集電体、負極集電体等が配置され、また、電解液(非水電解質)などの液体が封入されているが、これらは省略して図示し、詳細な説明も省略する。
【0053】
容器310は、同図におけるZ軸方向マイナス側に底面部311、X軸方向両側の側面に長側面部312、Y軸方向両側の側面に短側面部313、及び、Z軸方向プラス側に容器蓋部314を有する直方体形状(角型)の容器である。底面部311は、容器310の底面を形成する矩形状の部位であり、長側面部312は、容器310の長側面を形成する矩形状の部位であり、短側面部313は、容器310の短側面を形成する矩形状の部位である。また、容器蓋部314は、容器310の蓋を構成する矩形状の部材である。
【0054】
つまり、容器310は、底面部311と2つの長側面部312と2つの短側面部313とで、矩形筒状で底を備える容器本体を構成し、当該容器本体の開口を容器蓋部314が閉塞する構成となっている。具体的には、容器310は、電極体等を当該容器本体の内方に収容後、当該容器本体と容器蓋部314とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。
【0055】
なお、容器310(容器本体及び容器蓋部314)の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能な金属であるのが好ましい。また、容器蓋部314には、容器310内方の圧力を開放するガス排出弁が設けられているが、詳細な説明は省略する。
【0056】
また、容器310に収容される電極体は、負極と正極とセパレータとが巻き回されて形成された巻回型形状であってもよいし、平板状極板を積層した形状でもよい。また、電極体に用いられる正極活物質または負極活物質としては、蓄電素子300の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。また、容器310に封入される電解液としても、蓄電素子300の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
【0057】
正極端子320は、正極集電体を介して、電極体の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子330は、負極集電体を介して、電極体の負極に電気的に接続された電極端子であり、いずれも容器蓋部314に取り付けられている。つまり、正極端子320及び負極端子330は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子300の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子300の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。本実施の形態では、蓄電素子300は、正極端子320及び負極端子330を上方に向けた状態で配置されている。
【0058】
具体的には、蓄電装置10に備えられた複数の蓄電素子300のうち正極外部端子210側(
図2ではX軸方向プラス側)に配置された蓄電素子300の正極端子320が、バスバー400を介して、正極外部端子210と接続される。また同様に、当該複数の蓄電素子300のうち負極外部端子220側(
図2ではX軸方向マイナス側)に配置された蓄電素子300の負極端子330が、バスバー400を介して、負極外部端子220と接続される。また、その他の蓄電素子300の正極端子320または負極端子330は、バスバー400を介して、他の蓄電素子300の正極端子320または負極端子330と接続される。
【0059】
次に、外装体11の外装体本体100の構成について、詳細に説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る外装体本体100の構成を示す斜視図である。
【0060】
同図に示すように、外装体本体100は、筐体110と仕切部120とを有している。また、筐体110は、Z軸方向マイナス側に配置される底壁部111と、Y軸方向両側に配置される2つの側壁部112と、X軸方向両側に配置される2つの側壁部113とを有している。
【0061】
底壁部111は、外装体本体100の底壁を形成する矩形状かつ平板形状の部位である。また、側壁部112は、底壁部111の長辺側の端縁から立設した、外装体本体100の長側壁を形成する矩形状かつ平板形状の部位である。また、側壁部113は、底壁部111の短辺側の端縁から立設した、外装体本体100の短側壁を形成する矩形状かつ平板形状の部位である。
【0062】
つまり、筐体110は、底壁部111と底壁部111の四方を囲う側壁部112、113とで構成され上部に開口が形成された有底矩形筒状の部材である。なお、筐体110には、当該上部の開口以外には、開口は形成されていない。つまり、底壁部111及び側壁部112、113には、開口は形成されていない。
【0063】
仕切部120は、筐体110の内方に配置され、複数の蓄電素子300の間を仕切る矩形状かつ平板形状の仕切板である。仕切部120は、複数の蓄電素子300のうちの隣り合う2つの蓄電素子300の間及び端部の蓄電素子300の側方、つまり、それぞれの蓄電素子300を両側方から挟む位置に配置されている。具体的には、仕切部120は、2つの側壁部112間に亘って配置されて、底壁部111と2つの側壁部112とに接続されている。本実施の形態では、8個の蓄電素子300に対して、9枚の仕切部120が配置されている。
【0064】
この仕切部120によって、外装体本体100の内方には、蓄電素子300の収容部130が形成されている。収容部130は、2つの仕切部120と筐体110の底壁部111及び2つの側壁部112とで囲まれた直方体形状の空間であり、蓄電素子300が収容される。つまり、収容部130は、筐体110の内部空間が仕切部120で仕切られた蓄電素子300の収容部であり、蓄電素子300は、筐体110の上部の開口から2つの仕切部120の間に挿入されることで、外装体本体100内の収容部130に収容される。言い換えれば、外装体本体100は、内方に、蓄電素子300の収容部130を仕切る仕切部120を有している。本実施の形態では、8個の蓄電素子300に対して、8つの収容部130が配置されている。
【0065】
また、上述の通り、筐体110の壁面(底壁部111及び側壁部112、113)には開口は形成されていないため、収容部130を形成する外装体本体100の壁面には開口が形成されていない。このため、蓄電素子300は、外装体本体100の壁面から露出することなく、外装体本体100内方の収容部130に配置される。なお、蓄電素子300が外装体本体100の壁面から露出しないのであれば、外装体本体100の壁面には、ネジ孔や排気口など多少の開口が形成されていてもかまわない。
【0066】
次に、複数の蓄電素子300が外装体本体100の内方に収容された状態での構成について、説明する。
図5Aは、本発明の実施の形態に係る蓄電素子300が外装体本体100の内方に収容された状態での構成を示す平面図である。具体的には、同図は、蓄電装置10から蓋体200及びバスバー400を取り除いた構成を、Z軸方向プラス側から見た場合の平面図である。また、
図5Bは、本発明の実施の形態に係る蓄電素子300が外装体本体100の内方に収容された状態での構成を示す断面図である。具体的には、同図は、
図5Aに示された構成をVB−VB断面で切断した場合の断面図である。
【0067】
これらの図に示すように、複数の蓄電素子300のそれぞれが、外装体本体100内方の仕切部120で仕切られた複数の収容部130のそれぞれに収容されて配置されている。具体的には、それぞれの蓄電素子300は、底面部311が外装体本体100の底壁部111に対向し、2つの長側面部312が2つの仕切部120にそれぞれ当接し、かつ、容器蓋部314が上方に向くようにして、収容部130の中央部分に収容されている。
【0068】
そして、蓄電素子300の底面部311と外装体本体100の底壁部111との間に、接着体510が配置されている。つまり、接着体510は、蓄電素子300の底面部311の外面(第一面)と外装体本体100の底壁部111の内面との間に注入(充填)されて、底面部311の外面(第一面)と底壁部111の内面とを面接着している接着剤である。
【0069】
なお、面接着とは、当該外面と当該内面とが面状の領域に亘って接着している状態を言い、線状の領域で接着している状態や、点状の領域で接着している状態などを除外する概念である。本実施の形態では、接着体510は、蓄電素子300の底面部311の外面の全面に亘って配置され、底面部311の外面と外装体本体100の底壁部111の内面とを面接着している。また、接着剤としては、注入(充填)される前は液体状であり、固形状になることで面接着を行うものや、注入前にゲル状または、ホットメルト接着剤などのように固形状のものなどを使用することができる。
【0070】
また、蓄電素子300の短側面部313と外装体本体100の側壁部112との間に、間隙131が形成されている。つまり、間隙131は、収容部130の内方において、短側面部313と側壁部112と底壁部111と仕切部120とで囲まれて形成された空間である。本実施の形態では、蓄電素子300の両短側面側(Y軸方向両側)において、短側面部313と側壁部112との間に、2つの間隙131が形成されている。
【0071】
そして、蓄電素子300の短側面部313と外装体本体100の側壁部112との間の間隙131に、接着体511が配置されている。つまり、接着体511は、蓄電素子300の短側面部313の外面(第二面)と外装体本体100の側壁部112の内面との間の間隙131に注入されて、短側面部313の外面(第二面)と側壁部112の内面とを面接着している接着剤である。本実施の形態では、接着体511は、蓄電素子300の短側面部313の高さの1/5〜1/4程度まで注入されているが、注入の高さは特に限定されない。
【0072】
以上のように、蓄電装置10は、蓄電素子300の隣り合う2つの面である第一面(底面部311の外面)及び第二面(短側面部313の外面)のうちの少なくとも1つの面と外装体11の内面との間に注入されて当該少なくとも1つの面と外装体11の内面とを面接着している接着体を備えている。本実施の形態では、蓄電装置10は、第一面(底面部311の外面)及び第二面(短側面部313の外面)の2つの面と外装体本体100の内面との間に注入されて当該2つの面と外装体本体100の内面とを面接着している接着体510、511を備えている。
【0073】
次に、蓄電装置10の製造方法について、説明する。なお、以下では、蓄電装置10の製造方法のうち、蓄電素子300を外装体11に接着する工程について詳細に説明し、その他の工程については省略する。
【0074】
図6は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10の製造方法における蓄電素子300を外装体11に接着する工程を示すフローチャートである。また、
図7は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10の製造方法における蓄電素子300を外装体11に接着する工程を説明する図である。
【0075】
まず、
図6に示すように、注入工程(配置前注入工程)として、外装体11の内方に接着体を注入する(S102)。つまり、後述の配置工程の前に、外装体11の内方の、蓄電素子300の第一面と対向する面に、接着体を注入する。具体的には、
図7の(a)に示すように、外装体11の内方の、蓄電素子300の第一面(底面部311の外面)と対向する面(外装体本体100の底壁部111の内面)に、接着体510を注入する。
【0076】
図6に戻り、次に、配置工程として、外装体11の内方に蓄電素子300を配置する(S104)。つまり、蓄電素子300の第一面と外装体11の内面との間に接着体が配置されるように、蓄電素子300を外装体11の内方に配置する。具体的には、
図7の(b)に示すように、底面部311の外面と底壁部111の内面との間に接着体510が配置されるように、蓄電素子300を外装体本体100の内方に配置する。
【0077】
なお、外装体本体100の壁面には開口が形成されていないため、当該配置工程では、外装体11の壁面から蓄電素子300を露出させることなく、外装体11内方の仕切部120で仕切られた蓄電素子300の収容部130に、蓄電素子300を配置する。
【0078】
図6に戻り、次に、注入工程(配置後注入工程)として、外装体11の内方に接着体を注入する(S106)。つまり、配置工程の後に、蓄電素子300の第一面及び第二面のうちの少なくとも1つの面と外装体11の内面との間に、接着体を注入する。本実施の形態では、配置後注入工程では、蓄電素子300の第二面と外装体11の内面との間に、接着体を注入する。具体的には、
図7の(c)に示すように、蓄電素子300の第二面(短側面部313の外面)と外装体11の内面(外装体本体100の側壁部112の内面)との間の間隙131に、接着体511を注入する。
【0079】
図6に戻り、次に、接着工程として、配置工程及び注入工程(配置前注入工程、配置後注入工程)を行うことにより、蓄電素子300の隣り合う2つの面である第一面及び第二面のうちの少なくとも1つの面を、外装体11の内面に面接着させる(S108)。本実施の形態では、接着工程では、蓄電素子300の第一面及び第二面を、外装体11の内面に面接着させる。つまり、配置工程及び注入工程の後に、乾燥等により接着体510及び511が固まることで、蓄電素子300の底面部311の外面及び短側面部313の外面が、外装体本体100の底壁部111の内面及び側壁部112の内面に面接着される。
【0080】
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10の製造方法によれば、外装体11の内方に接着剤等の接着体を注入することで、蓄電素子300の隣り合う2つの面のうちの少なくとも1つの面を、外装体11の内面に面接着させる。本実施の形態では、蓄電素子300の隣り合う2つの面と外装体11の内面との間に接着体を注入することで、蓄電素子300の当該2つの面を外装体11の内面に面接着させる。
【0081】
ここで、外装体11の内方に接着体を注入する場合、接着体注入用の機器を外装体11の内方に向けて移動させて接着体を注入するだけでよいため、従来の蓄電素子300または外装体11に接着体を塗布する場合よりも、通常容易に行うことができる。このため、外装体11の内方に接着体を注入することで、蓄電素子300を外装体11に容易に接着することができる。また、蓄電素子300の隣り合う2つの面を外装体11の内面に接着することで、蓄電素子300を外装体11に容易かつ強固に接着することができる。
【0082】
また、蓄電素子300を外装体11の内方に配置した後に、蓄電素子300の少なくとも1つの面(第二面)と外装体11の内面との間に接着体を注入することで、蓄電素子300の第二面を外装体11の内面に容易に接着することができる。
【0083】
また、従来の蓄電装置では、蓄電素子を外装体に接着する際に、蓄電素子の位置がずれたり、外装体に形成された開口から接着体がはみ出したりする虞もあった。蓄電素子の位置がずれた場合には、蓄電素子の位置のずれを修正する必要があり、接着体が外装体の開口からはみ出した場合には、はみ出した接着体を処理する必要があるため、蓄電素子を外装体に接着する工程が複雑になる。
【0084】
これに対し、蓄電装置10の製造方法では、外装体11内の蓄電素子300の収容部130に蓄電素子300を配置することで、蓄電素子300を容易に位置決めできる。また、外装体11の壁面から蓄電素子300が露出することなく、外装体11の内方に蓄電素子300を配置するため、注入した接着体が外装体11の外方へはみ出すのを抑制することができる。
【0085】
また、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10によれば、蓄電素子300の隣り合う2つの面のうちの少なくとも1つの面と外装体11の内面との間に注入された接着体を備えている。本実施の形態では、蓄電素子300の隣り合う2つの面である第一面及び第二面と外装体11の内面との間に注入された接着体510、511を備えている。このため、上述の通り、蓄電装置10は、蓄電素子300を外装体11に容易に接着することができている。
【0086】
また、蓄電装置10は、外装体11内で仕切部120によって仕切られた収容部130に蓄電素子300が配置される構成であるため、蓄電素子300を容易に位置決めしつつ、蓄電素子300を外装体11に容易に接着することができている。
【0087】
また、蓄電装置10は、外装体11の壁面から蓄電素子300が露出していない構成であるため、注入した接着体が外装体11の外方へはみ出すのを抑制しつつ、蓄電素子300を外装体11に容易に接着することができている。
【0088】
また、蓄電素子300が外装体11に固定されることで、外装体11内での蓄電素子300の移動が規制されるため、蓄電素子300が移動してバスバー400に負担がかかるのを抑制することができる。また、外装体11内で蓄電素子300が他の部材に当たって音が生じるのを抑制することができ、品質向上に繋がる。また、蓄電素子300を束ねる拘束部材を必要としないため、部品点数を低減し、コスト低減を図ることができる。
【0089】
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。上記実施の形態では、配置工程(
図6のS104)の後に、配置後注入工程(
図6のS106)を行うこととした。しかし、本変形例では、配置後注入工程は行わない。
【0090】
図8は、本発明の実施の形態の変形例1に係る蓄電装置10の製造方法における蓄電素子300を外装体11に接着する工程を示すフローチャートである。また、
図9は、本発明の実施の形態の変形例1に係る蓄電装置10の製造方法における蓄電素子300を外装体11に接着する工程を説明する図である。
【0091】
まず、
図8に示すように、注入工程(配置前注入工程)として、外装体11の内方に接着体を注入する(S202)。つまり、後述の配置工程の前に、外装体11の内方の、蓄電素子300の第一面と対向する面に、接着体を注入する。具体的には、
図9の(a)に示すように、外装体11の内方の、蓄電素子300の第一面(底面部311の外面)と対向する面(外装体本体100の底壁部111の内面)に、接着体520を注入する。ここで、本変形例では、上記実施の形態での配置前注入工程(
図6のS102)において注入した接着体510の量よりも多い量(例えば、接着体510と接着体511との合計量)の接着体520を注入する。
【0092】
図8に戻り、次に、配置工程として、外装体11の内方に蓄電素子300を配置する(S204)。つまり、蓄電素子300の第一面及び第二面と外装体11の内面との間に接着体が配置されるように、蓄電素子300を外装体11の内方に配置する。具体的には、
図9の(b)に示すように、蓄電素子300の第一面(底面部311の外面)と底壁部111の内面との間に接着体521が配置され、蓄電素子300の第二面(短側面部313の外面)と側壁部112の内面との間の間隙131に接着体522が配置されるように、蓄電素子300を外装体本体100の内方に配置する。
【0093】
つまり、蓄電素子300を外装体本体100の内方に挿入していくことで、接着体520の一部が蓄電素子300の底面部311側から短側面部313側へ移動する。このようにして、底面部311側に残った接着体520が接着体521となり、短側面部313側へ移動した接着体520が接着体522となる。
【0094】
なお、上記実施の形態と同様、外装体本体100の壁面には開口が形成されていないため、当該配置工程では、外装体11の壁面から蓄電素子300を露出させることなく、外装体11内方の仕切部120で仕切られた蓄電素子300の収容部130に、蓄電素子300を配置する。
【0095】
図8に戻り、次に、接着工程として、配置工程及び注入工程(配置前注入工程)を行うことにより、蓄電素子300の隣り合う2つの面である第一面及び第二面を、外装体11の内面に面接着させる(S208)。つまり、配置工程及び注入工程の後に、乾燥等により接着体521及び522が固まることで、蓄電素子300の底面部311の外面及び短側面部313の外面が、外装体本体100の底壁部111の内面及び側壁部112の内面に面接着される。
【0096】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例1に係る蓄電装置10の製造方法によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、蓄電素子300を外装体11の内方に配置する前に、蓄電素子300の第一面と対向する外装体11の面に接着体を注入し、かつ、第一面及び第二面と外装体11の内面との間に接着体が回り込むように蓄電素子300を配置することで、蓄電素子300を外装体11に接着する。これにより、蓄電素子300を外装体11に容易かつ強固に接着することができる。
【0097】
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。上記実施の形態では、配置工程(
図6のS104)の前に、配置前注入工程(
図6のS102)を行うこととした。しかし、本変形例では、配置工程の前に、塗布工程を行う。
【0098】
図10は、本発明の実施の形態の変形例2に係る蓄電装置10の製造方法における蓄電素子300を外装体11に接着する工程を示すフローチャートである。また、
図11は、本発明の実施の形態の変形例2に係る蓄電装置10の製造方法における蓄電素子300を外装体11に接着する工程を説明する図である。
【0099】
まず、
図10に示すように、塗布工程として、蓄電素子300の第一面に接着体を塗布する(S302)。具体的には、
図11の(a)に示すように、蓄電素子300の第一面(底面部311の外面)に、接着体530を塗布する。
【0100】
図10に戻り、次に、配置工程として、外装体11の内方に蓄電素子300を配置する(S304)。具体的には、
図11の(b)に示すように、蓄電素子300の第一面(底面部311の外面)と外装体本体100の底壁部111の内面との間に接着体530が配置されるように、蓄電素子300を外装体本体100の内方に配置する。なお、当該配置工程は、上記実施の形態における配置工程(
図6のS104)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0101】
図10に戻り、次に、注入工程(配置後注入工程)として、外装体11の内方に接着体を注入する(S306)。具体的には、
図11の(c)に示すように、蓄電素子300の第二面(短側面部313の外面)と外装体11の内面(外装体本体100の側壁部112の内面)との間の間隙131に、接着体531を注入する。なお、当該配置後注入工程は、上記実施の形態における配置後注入工程(
図6のS106)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0102】
図10に戻り、次に、接着工程として、塗布工程、配置工程及び注入工程(配置後注入工程)を行うことにより、蓄電素子300の隣り合う2つの面である第一面及び第二面を、外装体11の内面に面接着させる(S308)。つまり、配置工程及び注入工程の後に、乾燥等により接着体530及び531が固まることで、蓄電素子300の底面部311の外面及び短側面部313の外面が、外装体本体100の底壁部111の内面及び側壁部112の内面に面接着される。
【0103】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例2に係る蓄電装置10の製造方法によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、蓄電素子300を外装体11の内方に配置する前に、蓄電素子300の第一面に接着体を塗布することで、蓄電素子300の第一面を外装体11に固定することができる。
【0104】
(変形例3)
次に、上記実施の形態の変形例3について、説明する。上記実施の形態では、配置工程(
図6のS104)の前に、配置前注入工程(
図6のS102)を行うこととした。しかし、本変形例では、配置前注入工程は行わない。
【0105】
図12は、本発明の実施の形態の変形例3に係る外装体本体101の構成を示す断面図である。具体的には、同図は、
図5Bにおける外装体本体100に対応する図である。また、
図13は、本発明の実施の形態の変形例3に係る蓄電装置10の製造方法における蓄電素子300を外装体11に接着する工程を示すフローチャートである。また、
図14は、本発明の実施の形態の変形例3に係る蓄電装置10の製造方法における蓄電素子300を外装体11に接着する工程を説明する図である。
【0106】
図12に示すように、本変形例における外装体11は、上記実施の形態における底壁部111を有する外装体本体100に代えて、底壁部111a、111bを有する外装体本体101を備えている。底壁部111aは、外装体本体101の底壁部のうちの中央部分に配置される部位である。底壁部111bは、底壁部111aをY軸方向両側から挟むように底壁部111aの当該両側に配置された部位であり、側壁部112に接続されている。
【0107】
ここで、底壁部111aは、底壁部111bから上方へ突出した位置に配置されている。つまり、外装体本体101には、底壁部111aの位置(中央部分)に、上方へ突出した凸部が形成されている。
【0108】
また、底壁部111bは、底壁部111aから下方へ凹んだ位置に配置されているとも言える。つまり、外装体本体101には、底壁部111bの位置(Y軸方向両側)に、空間140を有する凹部が形成されている。ここで、空間140は、蓄電素子300の収容部130の下方に配置された空間である。この空間140によって、蓄電素子300が外装体本体101の内方に配置された場合に、外装体本体101の内面と、蓄電素子300の底面部311の外面及び短側面部313の外面との間に間隙が形成される。つまり、外装体11は、内面と蓄電素子300の第一面及び第二面との間に間隙を形成する凹部を有している。
【0109】
なお、仕切部120の形状は、上記実施の形態と同様に、矩形状であってもよいし、隣り合う収容部130及び空間140を仕切るために、底部が底壁部111bに沿って突出した形状を有していてもかまわない。
【0110】
このような外装体本体101の構成において、蓄電素子300を外装体11に接着する工程について、以下、詳細に説明する。
【0111】
まず、
図13に示すように、配置工程として、外装体11の内方に蓄電素子300を配置する(S404)。つまり、蓄電素子300の第一面及び第二面と外装体11の内面との間に接着体が配置されるように、蓄電素子300を外装体11の内方に配置する。具体的には、
図14の(a)及び(b)に示すように、蓄電素子300の第一面(底面部311の外面)及び第二面(短側面部313の外面)と外装体本体101の底壁部111bの内面及び側壁部112の内面との間に接着体が配置されるように、蓄電素子300を外装体本体101の内方に配置する。
【0112】
つまり、外装体本体101の底壁部111aに蓄電素子300が載置されて、底壁部111aの内面と底面部311の外面とが当接する。この状態において、外装体本体101の底壁部111bの位置には凹部が形成されているため、底面部311の外面及び短側面部313の外面と底壁部111bの内面及び側壁部112の内面との間には、空間140及び間隙131が形成される。そして、この空間140及び間隙131には、接着体が配置可能である。
【0113】
図13に戻り、次に、注入工程(配置後注入工程)として、外装体11の内方に接着体を注入する(S406)。つまり、蓄電素子300の第一面及び第二面と外装体11の内面との間に接着体を注入する。具体的には、
図14の(c)に示すように、蓄電素子300の第一面(底面部311の外面)及び第二面(短側面部313の外面)と外装体11の内面(外装体本体101の底壁部111bの内面及び側壁部112の内面)との間の空間140及び間隙131に、接着体540を注入する。
【0114】
図13に戻り、次に、接着工程として、配置工程及び注入工程(配置後注入工程)を行うことにより、蓄電素子300の隣り合う2つの面である第一面及び第二面を、外装体11の内面に面接着させる(S408)。つまり、配置工程及び注入工程の後に、乾燥等により接着体540が固まることで、蓄電素子300の底面部311の外面及び短側面部313の外面が、外装体本体101の底壁部111bの内面及び側壁部112の内面に面接着される。このように、接着体540は、外装体本体101の凹部に注入されて、蓄電素子300の第一面及び第二面と外装体11の内面とを面接着している。
【0115】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例3に係る蓄電装置10の製造方法によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、蓄電素子300の隣り合う2つの面と外装体11の内面との間に接着体を注入することで、蓄電素子300の当該2つの面を外装体11に接着する。これにより、蓄電素子300を外装体11に容易かつ強固に接着することができる。
【0116】
また、本変形例に係る蓄電装置10によれば、外装体11の凹部に注入された接着体によって蓄電素子300の隣り合う2つの面と外装体11とが接着されている構成であるため、蓄電素子300を外装体11に容易かつ強固に接着することができている。
【0117】
(変形例4)
次に、上記実施の形態の変形例4について、説明する。上記実施の形態では、外装体本体100は、平板状の底壁部111を有していることとした。しかし、本変形例では、外装体本体は、凸部が形成された底壁部を有している。
【0118】
図15は、本発明の実施の形態の変形例4に係る蓄電素子300が外装体本体102の内方に収容された状態での構成を示す断面図である。
【0119】
同図に示すように、本変形例における外装体11は、上記実施の形態における底壁部111を有する外装体本体100に代えて、底壁部111cを有する外装体本体102を備えている。そして、底壁部111cには、蓄電素子300に向けて突出した凸部114が形成されている。なお、同図には、接着体510が配置されていない状態での底壁部111cの凸部114を、斜め上方から見た場合の拡大図も図示している。
【0120】
凸部114は、外装体11の内面のうち、接着体510によって蓄電素子300と面接着された部分に形成された凸部であり、外装体11の内面に沿って延設されている。本変形例では、底壁部111cの内面に、底壁部111cの内面に沿って延設された断面が三角形状の凸部114a〜114dが形成されている。凸部114a及び114bは、蓄電素子300の正極側に配置された凸部であり、凸部114c及び114dは、蓄電素子300の負極側に配置された凸部である。なお、凸部114(凸部114a〜114d)の突出高さは、例えば、約1mm未満である。
【0121】
また、外装体11の内面上(底壁部111cの内面上)かつ凸部114の側方には、凸部114を横切る接着体510の流路115が形成されている。具体的には、流路115は、流路115に近づくほど間隔が狭くなる2つの凸部114に挟まれて配置されている。つまり、凸部114a及び114bは、Y軸方向プラス側に向かうほど間隔が狭くなるように配置されており、凸部114a及び114bのY軸方向プラス側の先端部の間には空間が形成され、この空間が正極側の流路115となる。凸部114c及び114dについても同様に、Y軸方向マイナス側に向かうほど間隔が狭くなり、かつ、Y軸方向マイナス側の先端部の間には空間が形成されて、この空間が負極側の流路115となる。
【0122】
ここで、凸部114は、凸部114の突出方向(Z軸方向)から見て、少なくとも一部が、蓄電素子300が有する電極端子から蓄電素子300の端部までの領域(同図の領域R)と重なる位置に配置されている。具体的には、本変形例では、凸部114a及び114bは、蓄電素子300の正極端子320の直下に配置されており、凸部114c及び114dは、蓄電素子300の負極端子330の直下に配置されている。このため、流路115も、正極端子320及び負極端子330の直下に配置されている。このように、外装体11の内面には、それぞれの蓄電素子300に対して、複数の凸部114が形成されている。
【0123】
なお、凸部114は、同図の領域Rの範囲内に一部が配置されるのであれば、どの位置に配置されていてもよいが、蓄電素子300を外装体11と接着する際に蓄電素子300を押さえつける位置の直下に配置されるのが好ましい。例えば、凸部114a及び114bは、蓄電素子300の正極端子320のY軸方向の中心位置の直下、または、蓄電素子300の容器蓋部314の正極側(Y軸方向プラス側)の端部の直下に配置されるのが好ましい。また、凸部114c及び114dは、蓄電素子300の負極端子330のY軸方向の中心位置の直下、または、蓄電素子300の容器蓋部314の負極側(Y軸方向マイナス側)の端部の直下に配置されるのが好ましい。また、流路115は、接着体510を均等に流出させる観点から、容器蓋部314のX軸方向の中心位置の直下に配置されるのが好ましい。
【0124】
以上のような構成において、底壁部111cの凸部114a及び114bと凸部114c及び114dとの間、凸部114a及び114bの右側方、及び、凸部114c及び114dの左側方に、接着体510が注入される。そして、底壁部111c上に蓄電素子300が載置され、上方から押さえつけられることで、蓄電素子300が外装体11と接着される。この際、凸部114a及び114bと凸部114c及び114dとの間に、多めの接着体510が注入された場合には、余剰の接着体510は、凸部114に案内されて、流路115から流出する。また、接着体510は、蓄電素子300の短側面部313の外面と外装体本体102の側壁部112の内面との間の間隙131にも、押し出される(同図の接着体511)。
【0125】
なお、接着体510が流路115から流出する場合には、流路115内には接着体510が配置された状態となるが、接着体510が流路115から流出しない場合には、流路115内には接着体510は配置されず、空間となる。また、凸部114と蓄電素子300の底面部311との間には、接着体510が配置されていてもよいし、配置されていなくてもよい。また、間隙131には、接着体511が押し出されなくてもよいし、蓄電素子300を外装体本体102内に配置した後に、間隙131に接着体511を注入することにしてもよい。
【0126】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例4に係る蓄電装置10によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、外装体11の蓄電素子300との接着面に凸部114が形成されているため、凸部114の高さによって接着体510の厚みを規定することができる。このため、接着体510の厚みを最適な厚みに設定することができるため、蓄電素子300を外装体11に容易かつ強固に接着することができる。
【0127】
また、凸部114の側方に接着体510の流路115が形成されているため、接着体510を注入した後に、接着体510の量が多い場合には流路115を介して接着体510を流出させることができ、また、接着体510の量が少ない場合には流路115を介して接着体510を流入させることができる。このため、流路115によって接着体510の量を調整することができるため、蓄電素子300を外装体11に容易かつ強固に接着することができる。
【0128】
また、接着体510の流路115の両側には、流路115に近づくほど間隔が狭くなる2つの凸部114が配置されているため、接着体510の量が多い場合には、余剰の接着体510は、凸部114に案内されて流路115まで流れ、流路115から流出される。このため、凸部114によって余剰の接着体510を容易に流出させることができるため、容易に接着体510の量を調整することができる。
【0129】
また、蓄電素子300ごとに複数の凸部114が形成されているため、それぞれの蓄電素子300を複数の凸部114で支持しつつ、外装体11に容易に接着することができる。
【0130】
また、凸部114の少なくとも一部が、蓄電素子300の電極端子から端部までの領域の真下に配置されているため、蓄電素子300の電極端子または端部を押えて蓄電素子300を固定する際に、外装体11に対して蓄電素子300を安定して固定することができる。
【0131】
なお、外装体本体102の底壁部111cに形成された凸部114及び流路115の個数及び形状は、上記には限定されない。凸部114及び流路115の他の例として、例えば、以下のような構成が考えられる。
【0132】
凸部114の断面は、三角形状には限定されず、三角形状以外の多角形状(四角形状等)、または、半円形状、半長円形状、半楕円形状などの曲線からなる形状などであってもよい。ただし、凸部114の断面において、上端に向かうほど幅が狭くなる形状の方が、先端に接着体が残りにくいため、好ましい。また、凸部114の断面が曲線からなる形状の場合には、上方から受ける力を分散することができる。
【0133】
また、凸部114として、蓄電素子300の底面部311に沿って3本以上の凸部が形成されていてもよい。この場合、底面部311の形状に合わせて、凸部114の高さを変化させることで、蓄電素子300を外装体11に強固に固定することができる。例えば、底面部311が上方に反っている場合には、中央部分に向かうほど凸部114の高さを高くする。
【0134】
また、凸部114は、底壁部111cの内面に沿って直線的に延設されていなくともよく、曲線的に延設されていてもよく、例えばS字、V字、U字、W字形状などの湾曲または屈曲した形状であってもよい。また、凸部114は、角柱形状、円柱形状または半球形状など、延設されていない形状であってもよい。例えば、シボ加工によって凸部114を形成することができる。この場合、蓄電素子300と底壁部111cとの接触面積を増加することができ、外装体11の強度向上を図ることができる。
【0135】
また、凸部114は、Y軸方向に延設された形状であってもよく、また、X軸方向、Y軸方向及び斜め方向のうちの複数の方向に延びて交差したような形状(例えばメッシュ状)であってもよい。
【0136】
また、凸部114は、加工によって形成するのではなく、加工粗さを残したままの形状を凸部114としてもよい。
【0137】
また、流路115は、2つの凸部114の間に配置されていなくともよく、凸部114の側方に配置された空間が流路115になってもよい。また、流路115は、1つの凸部114の上面が凹んで形成された空間であってもよく、この凹みの断面形状は、矩形状、V字形状、U字形状など、どのような形状でもかまわない。または、流路115は、凸部114に形成された貫通孔でもよく、この貫通孔の断面形状は、多角形状、円形状、半円形状など、どのような形状でもかまわない。つまり、流路115は、凸部114を横切る流路(空間)であればよく、形状は限定されない。
【0138】
(変形例5)
次に、上記実施の形態の変形例5について、説明する。上記実施の形態では、
図5Bに示すように、接着体511は、蓄電素子300の短側面部313の比較的低い位置までしか注入されていなかった。しかし、本変形例では、接着体は、蓄電素子300の短側面部313の比較的高い位置まで注入されている。
【0139】
図16A及び
図16Bは、本発明の実施の形態の変形例5に係る蓄電素子300が外装体本体100の内方に収容された状態での構成を示す断面図である。具体的には、同図は、
図5Bに対応する図である。
【0140】
まず、
図16Aに示すように、接着体512は、蓄電素子300の短側面部313の上端部まで注入されている。つまり、蓄電素子300の第一面(底面部311の外面)と外装体11の内面(外装体本体100の底壁部111の内面)との間に接着体510が注入され、蓄電素子300の第二面(短側面部313の外面)と外装体11の内面(外装体本体100の側壁部112の内面)との間に接着体512が注入されている。
【0141】
なお、接着体512の注入高さは、特に限定されないが、本変形例では、上記実施の形態における注入高さ以上(例えば、蓄電素子300の短側面部313の高さの1/4以上)である。このように、接着体512は、第一面である蓄電素子300の底面と外装体11の内面との間、及び、第二面である蓄電素子300の側面の下端から所定高さまでの面と外装体11の内面との間に注入されている。
【0142】
また、
図16Bに示すように、蓄電装置10は、蓄電素子300の上方に、バスバー400を蓄電素子300に対して位置決めするためのバスバーフレーム600を備えており、接着体513は、バスバーフレーム600の高さまで注入されていることにしてもよい。
【0143】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例5に係る蓄電装置10によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、蓄電装置10は、蓄電素子300の側面の所定高さまで注入された接着体を備えている構成であるため、蓄電素子300を外装体11に容易かつ強固に接着することができている。また、
図16Bにおいて、バスバーフレーム600は、蓄電素子300を上方から押さえ込み、外装体本体100に固定する機能も有しているため、接着体513によって、バスバーフレーム600が蓄電素子300をさらに強固に外装体本体100に固定することができる。
【0144】
(変形例6)
次に、上記実施の形態の変形例6について、説明する。上記実施の形態では、外装体本体100は、2つの側壁部112間に亘って配置された仕切部120を有していることとした。しかし、本変形例では、外装体本体は、リブ状の仕切部を有している。
【0145】
図17は、本発明の実施の形態の変形例6に係る蓄電素子300が外装体本体103の内方に収容された状態での構成を示す平面図である。具体的には、同図は、
図5Aに対応する図である。
【0146】
図17に示すように、外装体本体103は、上記実施の形態の外装体本体100における仕切部120に代えて、仕切部121を有している。仕切部121は、側壁部112から突出した矩形状かつ平板形状のリブである。つまり、仕切部121は、上記実施の形態における仕切部120の中央部分が欠けているような構成である。
【0147】
そして、仕切部121によって形成された間隙131に、接着体511が注入されている。このように、仕切部121は、接着体511を注入可能な間隙131を形成できる形状であれば、上記実施の形態の形状には限定されない。
【0148】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例6に係る蓄電装置10によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、仕切部121を小さく形成できているため、外装体本体103の使用材料の量を低減することができる。
【0149】
なお、上記実施の形態における全ての仕切部120に代えて、仕切部121を設けるのではなく、いずれかの箇所には上記実施の形態のような仕切部120を設ける構成でもかまわない。例えば、同図では、2つの蓄電素子300が並列接続されて1セットの蓄電素子群を構成し、4セットの蓄電素子群が直列接続されているが、直列接続する蓄電素子300の間には、上記実施の形態のような仕切部120を配置するのが好ましい。このため、蓄電素子群の間には、上記実施の形態のような仕切部120を配置し、蓄電素子群内の蓄電素子300の間には、本変形例における仕切部121を配置することにしてもよい。
【0150】
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置10について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0151】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電装置10は、複数の蓄電素子300を備えていることとしたが、蓄電装置10は、1つの蓄電素子300しか備えていないことにしてもよい。
【0152】
また、上記実施の形態及びその変形例では、接着体は、接着剤であることとした。しかし、接着体は、接着剤には限定されず、両面テープや、マジックテープ(登録商標)またはベルクロ(登録商標)テープ等と称される着脱自在に接着される面ファスナー構造などであってもかまわない。
【0153】
また、上記実施の形態及びその変形例では、接着体は、全ての蓄電素子300の両短側面側に配置されていることとした。しかし、いずれかの蓄電素子300においては、いずれか一方の短側面側に接着体が配置されていない構成でもかまわない。例えば、上記変形例3においては、外装体本体101は、片方の側壁部112側に1つの底壁部111bしか有していない(1つの凹部しか形成されていない)構成でもかまわない。
【0154】
また、上記実施の形態及びその変形例では、接着体は、第一面(底面部311の外面)及び第二面(短側面部313の外面)の2つの面と外装体11の内面との間に注入されて当該2つの面と外装体11の内面とを面接着していることとした。しかし、接着体は、第一面及び第二面のいずれかの面と外装体11の内面との間には注入されず、当該いずれかの面と外装体11の内面とを面接着していない構成でもかまわない。
【0155】
また、上記実施の形態及びその変形例(変形例3を除く)では、蓄電素子300の底面部311の外面が、外装体本体の底壁部111の内面に、全面に亘って面接着されることとした。しかし、面接着される領域は、全面には限定されず、一部の領域であってもかまわない。
【0156】
また、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電素子300は、容器蓋部314が上方を向いて配置されていることとした。つまり、蓄電素子300の底面部311の外面を第一面とし、短側面部313の外面を第二面とした。しかし、蓄電素子300は、容器蓋部314が側方を向いて配置されていることにしてもよい。つまり、例えば、蓄電素子300の短側面部313の外面を第一面とし、底面部311の外面または容器蓋部314の外面を第二面としてもかまわない。また、容器蓋部314が下方を向いて配置されており、容器蓋部314の外面を第一面としてもかまわない。また、長側面部312の外面を第一面または第二面としてもかまわない。
【0157】
また、上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、変形例3の構成を他の変形例に適用してもよいし、変形例4の構成を他の変形例に適用してもよいし、変形例5の構成を他の変形例に適用してもよし、変形例6の構成を他の変形例に適用してもよい。