(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記吸気管は、上記上端部が上記貯留容器の底部から上記貯留空間に向けて球状の上記清掃用部材の直径を下回る突出高さで突出するように構成されている、請求項3に記載の塗料回収装置。
上記搬送装置は、少なくとも一方が回転駆動される2つのローラーと、両端部が上記2つのローラーに掛け渡され且つ上記清掃用部材の搬送のためにベルト表面に複数の搬送羽根が互いに離間して立設した環状の搬送ベルトと、上記搬送ベルトを収容する収容空間を有するケーシングと、を有する搬送コンベアとして構成されており、
上記搬送コンベアの上記複数の搬送羽根は、上記ケーシングの内壁面との接触によって上記ケーシングの上記収容空間と上記貯留容器の上記貯留空間との間をシールするように構成されている、請求項3または4に記載の塗料回収装置。
上記搬送コンベアは、上記ケーシングに接続された空気供給管を有し、上記空気供給管を通じて上記ケーシングの上記収容空間のうち上記貯留容器の上記貯留空間との間に加圧用の空気を供給可能に構成されている、請求項5に記載の塗料回収装置。
上記回収容器には、上記サイクロン容器の上記回収口を通じて塗料とともに回収された上記清掃用部材を上記塗料と分離するための分離機構が設けられている、請求項3〜6のいずれか一項に記載の塗料回収装置。
上記サイクロン容器の上記容器本体は、大径筒部と、上記大径筒部を下回る内径を有する小径筒部と、上記大径筒部と上記小径筒部との間に設けられた円錐筒部と、を有し、上記円錐筒部の上記小径筒部側が上記大径筒部側よりも低所となるように中心軸線が水平方向に対して傾斜しており、上記大径筒部に上記吸気口が設けられ、上記小径筒部に上記回収口が設けられている、請求項3〜7のいずれか一項に記載の塗料回収装置。
上記サイクロン容器は、上記吸気管及び上記容器本体のそれぞれの内壁面のうちの少なくとも一方が、塗料に対する付着力が上記清掃用部材を下回る非粘着特性のコーティング層によって構成されている、請求項2〜8のいずれか一項に記載の塗料回収装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述の各態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0014】
上記の塗料回収装置において、上記投入装置は、上記貯留空間を区画し且つ上記清掃用部材を貯留可能な有底箱状の貯留容器を有し、
上記サイクロン容器は、上記吸気口から上記処理空間までの流路を形成する吸気管を有し、上記吸気管の上端部が上記貯留容器の底部を貫通して上記貯留空間に連通するように構成されているのが好ましい。
【0015】
この塗料回収装置によれば、清掃用部材を貯留容器の貯留空間に一時的に貯留した後に、送風装置によって発生した気流と重力を利用して吸気管の上端部を通じて処理空間に投入することができる。
【0016】
上記の塗料回収装置において、上記サイクロン容器の上記容器本体の低所に設けられた回収口に上記清掃用部材を回収可能に連通する回収容器を備え、
上記投入装置は、上記回収容器に回収された上記清掃用部材を上記貯留容器の上記貯留空間へと搬送する搬送装置を有し、上記搬送装置によって上記貯留容器の上記貯留空間へと搬送した上記清掃用部材がこの貯留空間に先に貯留されている上記清掃用部材を押圧して上記吸気管の上記上端部に導入するように構成されているのが好ましい。
【0017】
この塗料回収装置によれば、搬送装置を作動させて清掃用部材を貯留容器の貯留空間へと搬送することによって、清掃用部材を貯留容器からサイクロン容器及び回収容器を経由させて再び貯留容器へと継続的に循環させることができる。
【0018】
上記の塗料回収装置において、上記吸気管は、上記上端部が上記貯留容器の底部から上記貯留空間に向けて球状の上記清掃用部材の直径を下回る突出高さで突出するように構成されているのが好ましい。
【0019】
この塗料回収装置によれば、貯留容器の底部から突出した吸気管の上端部を清掃用部材が越えるまでの間、この清掃用部材を貯留容器の貯留空間に貯留することができる。これにより、清掃用部材が貯留容器の貯留空間を流れる塗料ミストと接触する時間を延ばすことができる。
【0020】
上記の塗料回収装置において、上記搬送装置は、少なくとも一方が回転駆動される2つのローラーと、両端部が上記2つのローラーに掛け渡され且つ上記清掃用部材の搬送のためにベルト表面に複数の搬送羽根が互いに離間して立設した環状の搬送ベルトと、上記搬送ベルトを収容する収容空間を有するケーシングと、を有する搬送コンベアとして構成されており、
上記搬送コンベアの上記複数の搬送羽根は、上記ケーシングの内壁面との接触によって上記ケーシングの上記収容空間と上記貯留容器の上記貯留空間との間をシールするように構成されているのが好ましい。
【0021】
この塗料回収装置によれば、搬送コンベアの搬送羽根によってケーシングの収容空間と貯留容器の貯留空間との間がシールされる。これにより、サイクロン容器の回収口側を密閉することができ、処理空間に旋回流が形成されなくなるのを防ぐことができる。また、ケーシングの収容空間よりも高圧の関係にある貯留容器の貯留空間から収容空間に塗料ミストが侵入するのを防ぐことができる。
【0022】
上記の塗料回収装置において、上記搬送コンベアは、上記ケーシングに接続された空気供給管を有し、上記空気供給管を通じて上記ケーシングの上記収容空間のうち上記貯留容器の上記貯留空間との間に加圧用の空気を供給可能に構成されているのが好ましい。
【0023】
この塗料回収装置によれば、ケーシングの収容空間に加圧用の空気を供給することを利用して、ケーシングの収容空間と貯留容器の貯留空間との間のシール効果を高めることができる。
【0024】
上記の塗料回収装置において、上記回収容器には、上記サイクロン容器の上記回収口を通じて塗料とともに回収された上記清掃用部材を上記塗料と分離するための分離機構が設けられているのが好ましい。
【0025】
この塗料回収装置によれば、回収容器に回収された清掃用部材に付着している塗料を分離機構で除去することにより、塗料の付着量が少ない清掃用部材を搬送装置によって貯留容器へ搬送することができる。
【0026】
上記の塗料回収装置において、上記サイクロン容器の上記容器本体は、大径筒部と、上記大径筒部を下回る内径を有する小径筒部と、上記大径筒部と上記小径筒部との間に設けられた円錐筒部と、を有し、上記円錐筒部の上記小径筒部側が上記大径筒部側よりも低所となるように中心軸線が水平方向に対して傾斜しており、上記大径筒部に上記吸気口が設けられ、上記小径筒部に上記回収口が設けられているのが好ましい。
【0027】
この塗料回収装置によれば、サイクロン容器において塗料ミストから遠心分離された塗料を、重力にしたがって円錐筒部の内壁を大径筒部側から小径筒部側へと移動させて、回収口を通じてサイクロン容器から連続的に回収することができる。
【0028】
上記の塗料回収装置において、上記サイクロン容器は、上記吸気管及び上記容器本体のそれぞれの内壁面のうちの少なくとも一方が、塗料に対する付着力が上記清掃用部材を下回る非粘着特性のコーティング層によって構成されているのが好ましい。
【0029】
この塗料回収装置によれば、サイクロン容器の吸気管や容器本体の内壁面を非粘着特性のコーティング層によって構成することによって、この内壁面に付着している塗料を清掃用部材との接触によって容易に剥離させることができる。
【0030】
上記の塗料回収装置において、上記清掃用部材は、塗料を捕捉可能な塗料捕捉構造を有するのが好ましい。
【0031】
このような塗料捕捉構造は、清掃用部材の形状、素材などの選択により表面の面粗度や細孔の大きさを適宜に設定することによって実現される。これにより、清掃用部材を回収することによって、この清掃用部材の塗料補足構造を用いて捕捉した塗料も同時に回収することができる。
【0032】
上記の塗料回収装置において、上記清掃用部材は、弾性変形可能な素材からなるのが好ましい。
【0033】
この塗料回収装置によれば、弾性変形可能な素材からなる清掃用部材は、サイクロン容器の吸気管の内壁面や容器本体の内壁面に付着している塗料に接触したときに弾性変形してこの塗料との接触面積が増える。この場合、清掃用部材と塗料との接触抵抗が高くなるため、清掃用部材よって塗料を掻き取り易くなる。
【0034】
以下、塗装ブース装置に設けられる塗料回収装置の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0035】
この実施形態を説明するための図面において、特にことわらない限り、塗装ブース装置の幅方向を矢印Xで示し、奥行方向を矢印Yで示し、上下方向(高さ方向)を矢印Zで示すものとする。
【0036】
(実施形態1)
図1に示されるように、実施形態1にかかる塗装ブース装置1は、自動車ボディであるワークWの噴霧塗装を行うための装置である。この塗装ブース装置1は、塗装室2と、給気室3と、排気室4と、を備えている。
【0037】
塗装室2は、塗装対象であるワークWを供給可能な空間を有する。この塗装室2には、空間に導入されたワークWに向けて両側から塗料Pを噴霧するための塗装ノズル7,7が設けられている。各塗装ノズル7から噴霧された塗料Pは、当該塗装ノズル7から噴出する圧縮空気にしたがってワークWに塗布される。
【0038】
給気室3は、塗装室2の上方に配置されている。この給気室3には、温度及び湿度の調整が行われた空気Aを作り出すための空調装置(図示省略)と、この空気Aを吸入して吐出する給気ファン5と、が設けられている。給気ファン5から吐出された空気Aは、塗装室2に向けて下向きに流れる下降流を形成する。
【0039】
排気室4は、塗装室2の下方に配置されている。この排気室4には、塗装室2において塗装後に残留する噴霧状の塗料ミストMから塗料Nを回収するための塗料回収装置10が設けられている。
【0040】
なお、塗料回収装置10により塗料ミストMから回収される塗料Nは、ワークWに噴霧される塗料Pと同一のものであるが、以下の説明では、便宜上、塗料回収装置10で処理される前の塗料を「塗料P」とし、塗料回収装置10で処理された後に生じる塗料を「塗料N」と記載している。
【0041】
塗料回収装置10は、サイクロン容器20と、排気ファン30と、投入装置40と、回収容器50と、を備えている。この塗料回収装置10では、2つのサイクロン容器20が設けられており、2つのサイクロン容器20のそれぞれに対して、排気ファン30、投入装置40及び回収容器50が設けられている。
【0042】
なお、2つのサイクロン容器20は同一の構造を有しており、以下の説明では、便宜上、1つのサイクロン容器20とそれに関連する構造についてのみ記載する。
【0043】
サイクロン容器20は、自らの回転を伴わない固定式の円筒状容器であり、主に金属材料かならなる。このサイクロン容器20は、塗料ミストMを液状又は固形状の塗料(「塗料残渣」或いは「塗料粕」ともいう。)Nと空気Aとに遠心分離する機能を有する。このサイクロン容器20は、吸気管21と、容器本体22と、排気管25と、を備えている。
【0044】
吸気管21は、塗料ミストMを空気Aとともに吸気するための吸気口21aから処理空間23までの流路を形成している。この吸気管21の吸気口21aは、塗装室2に連通している。
【0045】
容器本体22の筒内部には、塗料ミストMを処理するための処理空間23が形成されている。また、この容器本体22の低所には、塗料ミストMから遠心分離された塗料Nを回収するための回収口24が設けられている。
【0046】
排気管25は、処理空間23に連通する排気口25aから排気ファン30までの流路を形成している。処理空間23で塗料ミストMから遠心分離された空気Aは、この排気管25の排気口25aから排気される。この排気口25aは、排気ファン30を介して排気ダクト6に連通している。
【0047】
排気ファン30は、サイクロン容器20の処理空間23に吸気口21aから排気口25aに向かう気流を発生させる送風装置として構成されている。この排気ファン30は、その吸入側がサイクロン容器20の排気管25に接続されている。このため、排気ファン30が作動することによって、この排気ファン30に対応したサイクロン容器20の処理空間23に吸気口21aから排気口25aに向かう気流が発生する。
【0048】
また、この排気ファン30は、その吐出側が対応した排気ダクト6に接続されている。このため、排気ファン30が作動することによって、塗料ミストMから遠心分離された空気Aが排気口25aを通じて排気ダクト6に吐出される。このとき、空気Aは、塗装ブース装置1の圧力バランスにしたがって、給気室3から塗装室2を通り、排気室4のサイクロン容器20を経由して再び給気室3へと戻るような循環流を形成する。或いは、この空気Aは、循環せずに屋外へ排気される。
【0049】
一方で、回収容器50は、サイクロン容器20の回収口24に塗料Nを清掃用部材(後述の清掃用部材C)とともに回収可能に連通している。即ち、回収口24は、塗料Nを回収するための回収口である一方で、清掃用部材を回収するための回収口として兼用されている。
【0050】
このため、サイクロン容器20の処理空間23において塗料ミストMから遠心分離された塗料Nは、回収口24を通じて回収容器50に回収されて、回収空間51に貯留されるようになっている。また、サイクロン容器20の処理空間23に清掃用部材が投入されたときには、この清掃用部材は、回収口24を通じて塗料Nとともに回収容器50に回収されて、回収空間51に貯留されるようになっている。
【0051】
投入装置40は、排気ファン30の作動状態において、清掃用部材を貯留空間(後述の貯留空間42)に一時的に貯留した後で吸気口21aを通じて処理空間23に投入する機能を有する。この機能を実現するために、この投入装置40は、貯留容器41と、搬送コンベア43と、を有する。
【0052】
図2に示されるように、サイクロン容器20の容器本体22は、横断面形状が円形の中空容器である。この容器本体22は、最大内径を有する円筒部分である大径筒部22aと、大径筒部22aの筒径を下回る最小内径を有する円筒部分である小径筒部22bと、大径筒部22aと小径筒部22bとの間に設けられた円錐筒部22cと、を有する。
【0053】
円錐筒部22cは、大径筒部22aから小径筒部22bに向けて内径が漸減するように、また小径筒部22bから大径筒部22aに向けて内径が漸増するように構成されたテーパー形状を有する。
【0054】
また、容器本体22は、円錐筒部22cの小径筒部22b側の下面が大径筒部22a側の下面よりも低所となるように、横断面の中心を通る中心軸線Lが水平方向に対して傾斜角度θで傾斜している。
【0055】
容器本体22の大径筒部22aに吸気管21及び排気管25が接続されている。ここで、吸気管21は、吸気口21aから吸気した塗料ミストMが容器本体22の内壁面に沿って周方向に流れるような向きで大径筒部22aに接続されるのが好ましい。この吸気管21の吸気口21aは、塗料ミストMを吸気するために大径筒部22aに設けられる一方で、清掃用部材Cを容器本体22に投入するための投入口として兼用されている。排気管25は、容器本体22の大径筒部22aの中心部に中心軸線Lに沿って挿入されている。
また、容器本体22の小径筒部22bに回収口24が設けられている。
【0056】
サイクロン容器20は、容器本体22及び吸気管21のそれぞれの内壁面がともに、コーティング層26によって構成されている。このコーティング層26は、塗料Nに対する付着力が清掃用部材Cを下回るような非粘着特性を有する。即ち、塗料Nはコーティング層26よりも清掃用部材Cの方に付着し易い。
【0057】
このコーティング層26は、非粘着特性を有する素材、典型的にはフッ素材料やセラミック材料などによって形成されている。ここでいう非粘着特性を、撥水撥油性、離型性、防汚性などということもできる。このようなコーティング層26は、塗料Nが付着しにくいという効果、或いは塗料Nが付着しても剥がれやすいという効果を有する。
【0058】
清掃用部材Cは、塗料回収装置10を構成するものであり、サイクロン容器20などの機器類とは別に準備される。この清掃用部材Cは、サイクロン容器20の処理空間23を排気ファン30によって発生した気流にしたがって容器本体22の内壁面に沿って旋回可能な部材である。このため、清掃用部材Cは、ボールのような断面円形の球状部材であり、排気ファン30によって発生する気流に乗って処理空間23を旋回できるような比重を有するのが好ましい。
【0059】
例えば、排気ファン30の作動状態に応じて定まる気流の流速などのパラメータに基づいて、清掃用部材Cの比重を設定することができる。これにより、清掃用部材Cを処理空間23で塗料ミストMとともに旋回させて、堆積している塗料Nに対して周方向の広範囲にわたってバランス良く接触或いは衝突させることができる。
【0060】
また、この清掃用部材Cは、スポンジ(フォーム材)やフェルトのように表面が粗く、多孔質であり、且つ弾性変形可能な素材からなるのが好ましい。
【0061】
このような素材からなる清掃用部材Cは、表面が粗いため、サイクロン容器20の吸気管21の内壁面や容器本体22の内壁面などに堆積している塗料を掻き取ることができ、また多孔質であるため掻き取った塗料を細孔内に捕捉することができる塗料捕捉構造を有する。
【0062】
また、このような素材からなる清掃用部材Cは、サイクロン容器20の吸気管21の内壁面に接触したときや、容器本体22の内壁面に堆積している塗料に遠心力によって押し付けられたときに弾性変形する弾性構造を有する。これにより、清掃用部材Cは、塗料に押し付けられたときに該塗料との接触面積が増えることで、一度に多くの塗料を掻き取って捕捉することができる。
【0063】
なお、所望の清掃効果を得るためには、サイクロン容器20の寸法などに基づいた規定数以上の複数の清掃用部材Cを準備して使用するのが好ましい。勿論、規定数を下回る数の清掃用部材Cを使用することも可能である。
【0064】
投入装置40の貯留容器41は、複数の清掃用部材Cを貯留可能な有底箱状の或いは受け皿形状の容器である。詳細については後述するが、この貯留容器41は、円盤状の底部41aと、底部41aの外周に立設した側壁部41bと、を有し、これら底部41a及び側壁部41bによって、塗料ミストMがサイクロン容器20の吸気口21aから吸気される前に通る貯留空間42を区画している。
【0065】
投入装置40の搬送コンベア43は、回収容器50に回収された清掃用部材Cを貯留容器41の貯留空間42へと搬送する搬送装置として構成されている。この搬送コンベア43は、2つのローラー44と、搬送ベルト45と、ケーシング46と、を有する。
【0066】
2つのローラー44は、一方が回収容器50の近くに配置され、且つ他方が貯留容器41の近くに配置されており、少なくとも一方が回転駆動されるように構成されている。搬送ベルト45は、2つのローラー44に掛け渡された環状の無端ベルトである。この搬送ベルト45は、ローラー44の回動駆動によって2つのローラー44の間を循環するように動く。
【0067】
搬送ベルト45のベルト表面には、複数の搬送羽根45aが互いに離間して立設している。互いに隣接する2つの搬送羽根45aの間の空間は、清掃用部材Cを搬送時に収容するための空間である。また、複数の搬送羽根45aはいずれも、外力を受けることによって弾性変形可能な素材からなる。このため、搬送ベルト45は、複数の搬送羽根45aがケーシング46の内壁面との接触によって弾性変形してケーシング46の収容空間47と貯留容器41の貯留空間42との間をシールするように構成されている。
【0068】
ケーシング46は、この搬送ベルト45を収容する収容空間47を有する。また、このケーシング46は、収容空間47を回収容器50の回収空間51に連通させるための第1連通部46aと、収容空間47を貯留容器41の貯留空間42に連通させるための第2連通部46bと、を有する。2つの連通部46a,46bはいずれも、清掃用部材Cの通過を許容する断面形状の配管によって構成されている。
【0069】
第1連通部46aは、回収容器50側よりもケーシング46側が低所となるように傾斜している。このため、回収容器50に回収された清掃用部材Cは、第1連通部46aの傾斜にしたがって回収空間51からケーシング46の収容空間47に導入されるようになっている。そして、収容空間47に導入された清掃用部材Cは、搬送ベルト45の互いに隣接する2つの搬送羽根45aの間の空間に収容されて搬送される。
【0070】
第2連通部46bは、ケーシング46側よりも貯留容器41側が低所となるように傾斜している。この第2連通部46bは、貯留容器41の側壁部41bに設けられた開口41cに接続されている。このため、搬送ベルト45によって回収容器50から第2連通部46bまで搬送された清掃用部材Cは、この第2連通部46bの傾斜にしたがって開口41cを通じて貯留容器41の貯留空間42に導入されるようになっている。そして、貯留容器41の貯留空間42に導入された清掃用部材Cは、この貯留空間42に一時的に貯留される。
【0071】
また、搬送コンベア43は、ケーシング46に接続された空気供給管49を有する。このため、搬送コンベア43は、空気供給管49を通じてケーシング46の収容空間47のうち貯留容器41の貯留空間42との間に加圧用の空気Aを供給可能に構成されている。
【0072】
回収容器50には、サイクロン容器20の回収口24を通じて塗料とともに回収された清掃用部材Cをこの塗料と分離するための分離機構52が設けられている。この分離機構52は、清掃用部材Cの通過を阻止し且つ塗料Nの通過を許容する大きさの貫通穴が複数設けられたメッシュ部材やスリット部材によって構成されている。
【0073】
図3に示されるように、サイクロン容器20の吸気管21は、上下方向Zに沿って延在しており、その上端部21bが貯留容器41の底部41aを概ね中央を貫通して貯留空間42に連通するように構成されている。貯留容器41の底部41aの直径が吸気管21の外径を上回るように構成されている。また、吸気管21は、その上端部21bが貯留容器41の底部41aから貯留空間42に向けて清掃用部材Cの直径を下回る突出高さで上方へ突出するように構成されている。
【0074】
図4及び
図5に示されるように、搬送コンベア43の運転時に複数の清掃用部材Cが貯留容器41の開口41cを通じて貯留空間42に順次導入される。このとき、吸気管21の上端部21bが貯留空間42に向けて突出しているため、清掃用部材Cが吸気管21の吸気口21aに向かう水平動作が上端部21bによって規制されるようになっている。
【0075】
従って、清掃用部材Cは、水平動作のみでは吸気管21の上端部21bを越えるのが難しく、外力によって上端部21bを越えて吸気口21aへ導入されるまでの間は貯留容器41の貯留空間42に一時的に貯留される。一方で、排気ファン30の作動状態において、貯留容器41の貯留空間42を塗料ミストMが通過する。このため、貯留空間42に一時的な貯留された清掃用部材Cは塗料ミストMと接触することができる。
【0076】
そして、搬送コンベア43による清掃用部材Cの搬送が継続されて貯留空間42に貯留された清掃用部材Cの数が増えると、外力を受けた一部の清掃用部材Cが吸気管21の上端部21bを越えて吸気口21aへ導入される。即ち、搬送コンベア43によって貯留容器41の貯留空間42へと搬送した清掃用部材Cは、この貯留空間42に先に貯留されている清掃用部材Cを外方から吸気管21の上端部21bに向けて押圧する。このとき、別の清掃用部材Cから外力である押圧力を受けてオーバーフローした清掃用部材Cは、吸気管21の上端部21bを越えて吸気口21aに導入される。
【0077】
図5に示されるように、搬送コンベア43においては、搬送ベルト45の搬送羽根45aがケーシング46の第2連通部46bの周辺を通るときにケーシング46の内壁面に接触して弾性変形する。このため、ケーシング46の収容空間47と貯留容器41の貯留空間42との間がシールされる。このとき、いずれもケーシング46の内壁面に接触して弾性変形した2つの搬送羽根45aは、第2連通部46bの周辺において収容空間47と貯留空間42とを遮断するためのシール羽根Sとなる。そして、このシール羽根Sとなる搬送羽根45aは、搬送ベルト45が循環するときに順番に切替わる。
【0078】
このシール羽根Sによるシール構造によれば、サイクロン容器20の容器本体22の回収口24側を密閉することができ、処理空間23に旋回流が形成されなくなるのを防ぐことができる。また、ケーシング46の収容空間47よりも高圧の関係にある貯留容器41の貯留空間42から収容空間47に塗料ミストMが侵入するのを防ぐことができる。このとき、貯留空間42の圧力p2が収容空間47の圧力p3を上回る。
【0079】
また、空気供給管49を通じて加圧用の空気Aが供給されると、ケーシング46の収容空間47と貯留容器41の貯留空間42との間に圧力が最も高い高圧領域48が形成される。この高圧領域48の圧力p1は貯留空間42の圧力p2よりも高くなる。この場合、高圧領域48と貯留空間42と収容空間47の三箇所の圧力の大小について、p1>p2>p3のような関係が成り立つ。従って、加圧用の空気Aを供給することを利用して、ケーシング46の収容空間47と貯留容器41の貯留空間42との間に生じるシール効果を高めることができる。
【0080】
図6に示されるように、吸気管21の吸気口21aに導入された清掃用部材Cは、排気ファン30により形成された下向きの気流と重力の影響を受けて吸気管21の管内を下降する。このとき、塗料Nは、吸気管21の内壁面に施されたコーティング層26よりも清掃用部材Cの方に付着し易いため、コーティング層26に付着していた塗料Nは、清掃用部材Cとの接触によってこの清掃用部材Cに付着する。そして、塗料Nは清掃用部材Cに捕捉された状態で吸気管21の管内を下降し、サイクロン容器20の処理空間23に投入される。
【0081】
この場合、吸気管21の内壁面を清掃用部材Cによって清掃することができ、吸気管21の内壁面に塗料Nが堆積しにくくなる。また、吸気管21の内壁面に付着しようとする塗料ミストMに清掃用部材Cが干渉することによって、この内壁面に塗料ミストMが付着するのを邪魔することができる。
【0082】
次に、上記の塗装ブース装置1の動作について説明する。
【0083】
図1に示されるように、塗装ブース装置1において、給気ファン5及び排気ファン30がともに作動することによって、空調された空気Aは、給気室3から塗装室2を通り、排気室4のサイクロン容器20を経由して再び給気室3へと戻るように循環する。或いは、この空気Aは、循環することなく屋外へ排気される。
【0084】
その後、塗装室2の塗装ノズル7からワークWに向けて塗料Pが噴霧される。このとき、塗装ノズル7から噴出する圧縮空気の流れによって、塗料PがワークWに塗布される。これにより、ワークWに塗装が施される。また、塗装後に残留した塗料ミストMは、空気Aの下降流によって排気室4に流れる。
【0085】
排気室4には、塗料回収装置10による塗料回収方法を実行するために、サイクロン容器20、排気ファン30、投入装置40及び回収容器50がそれぞれ準備されて設置されている。また、複数の清掃用部材Cが準備され、投入装置40を構成する貯留容器41の貯留空間42に予め貯留される。
【0086】
そして、排気ファン30及び搬送コンベア43をともに作動させることによって、塗料回収装置10の運転が開始される。
【0087】
排気ファン30の作動状態において、サイクロン容器20の処理空間23に吸気口21aから排気口25aに向かう気流が発生する。これにより、排気室4に流入した塗料ミストMは、この気流によってサイクロン容器20の吸気口21aから処理空間23に吸気される。
【0088】
このとき、
図7に示されるように、サイクロン容器20において、塗料ミストMは、吸気口21aから排気口25aに向かう気流にしたがって処理空間23において旋回する。この塗料ミストMは、サイクロン容器20の容器本体22の内壁面に沿って旋回流Saを形成し、流速を高めながら円錐筒部22cを大径筒部22a側から小径筒部22b側へと流れる。これにより、サイクロン容器20において塗料ミストMが塗料Nと空気Aとに遠心分離される。
【0089】
サイクロン容器20の処理空間23における空気Aの流速は、旋回流Saの中心付近の領域の方がその周りの領域よりも小さい。このため、この領域においては排気ファン30による吸引力の影響を受け易い。従って、塗料ミストMから遠心分離された後の空気Aは、旋回流Saの中心付近の領域を排気口25aに向けて直線的に流れる直進流Sbを形成する。これにより、遠心分離後の空気Aは、排気ファン30によって吸引されて排気口25aから排気される。
【0090】
また、塗料ミストMから遠心分離された後の塗料Nは、サイクロン容器20の径方向外方へと向かう遠心力を受けることにより、サイクロン容器20の容器本体22の内壁面に付着する。このとき、塗料Nは、その一部が円錐筒部22cの内壁面に堆積し、残りは円錐筒部22cの内壁面をその傾斜(傾斜角度θを参照)にしたがって回収口24に向けて移動する。この塗料Nは、回収口24を通じて回収容器50の回収空間51に貯留される。これにより、この塗料Nをサイクロン容器20から回収することができる。
【0091】
一方で、貯留容器41から吸気管21を下降した複数の清掃用部材Cが処理空間23に投入される。なお、この
図7では、便宜上、投入前の或いは塗料Nの付着量が少ない清掃用部材Cを白抜きの丸印で示し、投入後の或いは塗料Nの付着量が多い清掃用部材Cを黒い丸印で示している。
【0092】
図7及び
図8に示されるように、処理空間23に投入された複数の清掃用部材Cは、排気ファン30によって発生した気流にしたがって容器本体22の内壁面に沿って旋回する。即ち、複数の清掃用部材Cはいずれも、塗料ミストMの旋回流Saに乗って旋回し、容器本体22の内壁面に沿って周方向に動く。
【0093】
このため、容器本体22の内壁面に堆積している塗料Nに対して清掃用部材Cが旋回しながら接触或いは衝突することで、該塗料Nが容器本体22の内壁面から剥がれ易くなる。これにより、容器本体22の内壁面を清掃用部材Cによって清掃することができ、容器本体22の内壁面に塗料Nが堆積しにくくなる。また、容器本体22の内壁面に付着しようとする塗料ミストMに清掃用部材Cが干渉することによって、この内壁面に塗料ミストMが付着するのを邪魔することができる。
【0094】
また、容器本体22の内壁面にコーティング層26が施されているため、コーティング層26に付着していた塗料Nは、清掃用部材Cとの接触によってこの清掃用部材Cに付着する。この清掃用部材Cは、容器本体22の内壁面に堆積している塗料Nを掻き取って捕捉し、重力にしたがって回収口24に向けて移動する。この清掃用部材Cは、回収口24を通じて回収容器50の回収空間51に落下して貯留される。これにより、清掃用部材Cをサイクロン容器20から回収容器50に回収することができる。
【0095】
また、回収容器50では、塗料Nとともに回収された清掃用部材Cは、分離機構52による篩い分け作用によってこの塗料Nと分離される。そして、塗料Nの付着量が少ない清掃用部材Cとなって、搬送コンベア43によって貯留容器32へと搬送される(
図5参照)。
【0096】
なお、搬送コンベア43を適宜に作動させることにより、複数の清掃用部材Cを種々のタイミングでサイクロン容器20の処理空間23に投入することができる。このタイミングとして、例えば、排気ファン30が作動する前や、排気ファン30が作動した状態で排気ミストMを処理空間23に吸気する前や、処理空間23への排気ミストMの吸気が開始された後などが挙げられる。
【0097】
図9に示されるように、処理空間23に投入された複数の清掃用部材Cはいずれも、その表面に付着した塗料Nを捕捉することによって投入時から回収時までの間で外径寸法が変化する。即ち、この清掃用部材Cの外径寸法について、例えば投入時である初期状態C1での外径寸法をd1とし、回収時である後期状態C3での外径寸法をd3とし、旋回時である中間状態C2での外径寸法をd2としたとき、d1<d2<d3なる関係が成り立つ。
【0098】
上述の実施形態1によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0099】
上記の塗料回収装置10及び塗料回収方法によれば、排気ファン30が作動した作動状態において、サイクロン容器20の処理空間23に吸気口21aから排気口25aに向かう気流が発生する。これにより、サイクロン容器20の吸気口21aから塗料ミストMが吸気される。塗料ミストMは、サイクロン容器20の処理空間23で旋回することによって塗料Nと空気Aとに遠心分離され、遠心分離後の塗料Nが容器本体22の内壁面に付着して堆積し、遠心分離後の空気Aが排気口25aから排気される。
【0100】
このとき、清掃用部材Cは、塗料ミストMがサイクロン容器20の吸気口21aから吸気される前に通る貯留空間42に一時的に貯留された後で吸気口21aを通じて処理空間23に供給される。即ち、塗料ミストMは、貯留容器41の貯留空間42を通った後でサイクロン容器20の吸気口21aから吸気される。従って、清掃用部材Cは、貯留空間42に貯留されている間に吸気口21aから吸気される前の塗料ミストMと接触することによってこの塗料ミストMの一部を捕捉できる。そして、清掃用部材Cによって捕捉された塗料ミストMは、この清掃用部材Cの表面に塗料Nとして堆積する。
【0101】
このため、サイクロン容器20の吸気口21aから処理空間23までの流路を流れる塗料ミストMの流通量を減らすことができ、この流路を形成する吸気管21の内壁面に付着する塗料ミストMを少なくできる。また、この内壁面に先に付着している塗料Nは、吸気口21aから導入された清掃用部材Cによって掻き取られる。これにより、サイクロン容器20の吸気管21の内壁面に塗料が堆積するのを防ぐことができる。
【0102】
また、この清掃用部材Cは、その後にサイクロン容器20の処理空間23に供給されると、この処理空間23を気流にしたがって容器本体22の内壁面に沿って旋回する。このとき、容器本体22の内壁面に堆積している塗料Nに対して清掃用部材Cが旋回しながら接触或いは衝突するため、該塗料Nが容器本体22の内壁面から剥がれ易くなる。これにより、サイクロン容器20の容器本体22の内壁面に塗料Nが堆積するのを防ぐことができる。
【0103】
その結果、塗料回収装置10のサイクロン容器20において塗料ミストMを処理したときの塗料Nの堆積を防ぐことが可能になる。この場合、清掃用部材Cを準備するのみで、サイクロン容器20の吸気管21や容器本体22の定期的な清掃作業を行わなくてすむため、塗料回収装置10の維持管理コストを低く抑えることが可能になる。
【0104】
また、上述の実施形態1によれば、清掃用部材Cを貯留容器41の貯留空間42に一時的に貯留した後に、排気ファン30によって発生した気流と重力を利用して吸気管21の上端部21bを通じて処理空間23に投入することができる。
【0105】
また、上述の実施形態1によれば、搬送コンベア43を作動させて清掃用部材Cを貯留容器41の貯留空間42へと搬送することによって、清掃用部材Cを貯留容器41からサイクロン容器20及び回収容器50を経由させて再び貯留容器41へと継続的に循環させることができる。
【0106】
また、上述の実施形態1によれば、貯留容器41の底部41aから突出した吸気管21の上端部21bを清掃用部材Cが越えるまでの間、この清掃用部材Cを貯留容器41の貯留空間42に貯留することができる。これにより、清掃用部材Cが貯留容器41の貯留空間42を流れる塗料ミストMと接触する時間を延ばすことができる。
【0107】
また、上述の実施形態1によれば、搬送ベルト45の搬送羽根45aによってケーシング46の収容空間47と貯留容器41の貯留空間42との間がシールされる。これにより、サイクロン容器20の回収口24側を密閉することができ、処理空間23に旋回流が形成されなくなるのを防ぐことができる。また、ケーシング46の収容空間47よりも高圧の関係にある貯留容器41の貯留空間42から収容空間47に塗料ミストMが侵入するのを防ぐことができる。
【0108】
また、上述の実施形態1によれば、ケーシング46の収容空間47に加圧用の空気Aを供給することを利用して、ケーシング46の収容空間47と貯留容器41の貯留空間42との間のシール効果を高めることができる。
【0109】
また、上述の実施形態1によれば、回収容器50に回収された清掃用部材Cに付着している塗料Nを分離機構52で除去することにより、塗料Nの付着量が少ない清掃用部材Cを搬送コンベア43によって貯留容器41へ搬送することができる。
【0110】
また、上述の実施形態1によれば、サイクロン容器20において塗料ミストMから遠心分離された塗料Nを、重力にしたがって円錐筒部22cの内壁を大径筒部22a側から小径筒部22b側へと移動させて、回収口24を通じてサイクロン容器20から連続的に回収することができる。
【0111】
また、上述の実施形態1によれば、サイクロン容器20の吸気管21及び容器本体22のそれぞれの内壁面を非粘着特性のコーティング層26によって構成することによって、この内壁面に付着している塗料Nを清掃用部材Cとの接触によって容易に剥離させることができる。
【0112】
また、上述の実施形態1によれば、清掃用部材Cを回収することによって、この清掃用部材Cの塗料補足構造を用いて捕捉した塗料Nも同時に回収することができる。
【0113】
また、上述の実施形態1によれば、弾性変形可能な素材からなる清掃用部材Cは、サイクロン容器20の吸気管21の内壁面や容器本体22の内壁面に付着している塗料Nに接触したときに弾性変形してこの塗料との接触面積が増える。この場合、清掃用部材Cと塗料Nとの接触抵抗が高くなるため、清掃用部材Cよって塗料Nを掻き取り易くなる。
【0114】
以下、上記の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0115】
(実施形態2)
図10に示されるように、実施形態2にかかる塗装ブース装置101は、実施形態1にかかる塗装ブース装置と同様に、自動車ボディであるワークWの噴霧塗装を行うための装置である。この塗装ブース装置101は、排気室4に塗料回収装置110を備えており、この塗料回収装置110の構成が実施形態1の塗料回収装置10の構成と相違している。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0116】
塗料回収装置110の投入装置140は、貯留容器41を備える一方で、実施形態1の搬送コンベア43のような搬送装置を備えていない。貯留容器41には、塗料回収装置110の開始前に作業者によって清掃用部材Cが予め投入される。或いは、単位時間当たり所定量の清掃用部材Cを補給可能なフィーダー(図示省略)を用いて貯留容器41に清掃用部材Cが継続的に補給されるようにしてもよい。
【0117】
この塗料回収装置110では、サイクロン容器20の処理空間23で使用した後の清掃用部材Cは、貯留容器41に循環されることなく回収容器50の回収空間51に塗料Nとともに蓄積される。
【0118】
この実施形態2によれば、塗料回収装置110の投入装置140の構造を実施形態1の投入装置40に比べて簡素化することができ、塗料回収装置110に要する装置コストを低く抑えることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0119】
本発明は、上述の実施形態1,2のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変更が考えられる。例えば、各実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0120】
上述の実施形態では、吸気管21の上端部21bが貯留容器41の底部41aから貯留空間42に向けて突出する場合について例示したが、貯留空間42において清掃用部材Cの所望の貯留時間を確保できるときには、これに代えて、吸気管21の上端部21bが貯留容器41の底部41aと面一となるような構造を採用することもできる。
【0121】
上述の実施形態では、ケーシング46の収容空間47と貯留容器41の貯留空間42との間をシールするのに、搬送ベルト45の搬送羽根45aに加えて空気供給管49から供給される加圧用の空気を用いる場合について例示したが、搬送ベルト45の搬送羽根45aのみで所望のシール効果を得ることができるときには、空気供給管49を省略することもできる。
【0122】
上述の実施形態では、サイクロン容器20の処理空間23に気流を発生させるために、サイクロン容器20の排気管25に接続された排気ファン30を用いる場合について例示したが、これに代えて、サイクロン容器20の吸気管21及び排気管25の少なくとも一方に送風装置を接続して、この送風装置を用いてサイクロン容器20の処理空間23に気流を発生させるようにすることもできる。
【0123】
上述の実施形態では、回収容器50に分離機構52を設ける場合について例示したが、これに代えて、回収容器50から分離機構52を取り除く代わりに、この分離機構52に相当する要素を貯留容器41に設けることもできる。
【0124】
上述の実施形態では、清掃用部材Cが断面円形の球状部材である場合について例示したが、この清掃用部材Cの断面形状は円形に限定されるものではなく、例えば楕円形、三角形、四角形、多角形などの断面形状を有するものであってもよい。
【0125】
この場合、清掃用部材Cは、サイクロン容器20の処理空間23に形成された気流に乗って旋回できるような比重を少なくとも有していれば、その形状や寸法は限定されない。
即ち、清掃用部材Cは、サイクロン容器20の処理空間23において気流によって旋回し、その旋回時に堆積している塗料Nに接触或いは衝突することができる質量体であればよく、上述の塗料捕捉構造や弾性構造を必ずしも有するものでなくてもよい。
【0126】
また、清掃用部材Cを、回収した塗料Nを塊状に成形した成形体によって構成することもできる。本構成の場合、回収した塗料Nを清掃用部材Cとして再利用することが可能になる。
【0127】
上述の実施形態では、容器本体22が大径筒部22aと、小径筒部22bと、円錐筒部22cと、を有するサイクロン容器20を用いる場合について例示したが、このサイクロン容器20の構造はこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜に変更可能である。例えば、円錐筒部22cに相当する部位のみを有する構造や、大径筒部22a及び小径筒部22bの少なくとも一方に相当する部位のみを有する構造などを採用することもできる。また、サイクロン容器20の断面形状は、円形以外に、楕円形、三角形、四角形、多角形などであってもよい。
【0128】
上述の実施形態では、重力を利用して塗料N及び清掃用部材Cを回収するためにサイクロン容器20を傾斜させて配置する場合について例示したが、別の手段を利用して塗料N及び清掃用部材Cの回収が可能な場合には、サイクロン容器20を水平方向に配置することもできる。
【0129】
上述の実施形態では、サイクロン容器20の外部に設置した回収容器50を利用して塗料Nや清掃用部材Cの回収を行う場合について例示したが、これに代えて或いは加えて、サイクロン容器20の内部に貯留空間を設け、この貯留空間に塗料Nや清掃用部材Cを一時的に回収するような構造を採用することもできる。
【0130】
上述の実施形態では、2つのサイクロン容器20を使用する場合について例示したが、サイクロン容器20の数はこれに限定されるものではなく、必要に応じて1つ或いは3つ以上のサイクロン容器20を使用することもできる。
【0131】
上述の実施形態では、サイクロン容器20の吸気管21及び容器本体22のそれぞれの内壁面をともにコーティング層26によって被覆する場合について例示したが、これに代えて、少なくとも一方の内壁面のコーティング層26を必要に応じて省略することもできる。
【0132】
上述の実施形態では、自動車ボディの塗装設備に使用される塗料回収装置について例示したが、この塗料回収装置を、自動車以外の他の分野の塗装設備に適用することもできる。