(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上鋳枠用キャリアプレートと組み合わされる上鋳枠と下鋳枠用キャリアプレートと組み合わされる下鋳枠を用いる鋳枠付き鋳型の造型においてキャビティ部のずれによる不良を防止する方法であって、
前記上鋳枠用キャリアプレートと前記上鋳枠のずれを計測する工程と;
前記下鋳枠用キャリアプレートと前記下鋳枠のずれを計測する工程と;
枠合せされた前記上鋳枠と下鋳枠とのずれを計測する工程と;
前記上鋳枠用キャリアプレートと前記上鋳枠のずれと前記下鋳枠用キャリアプレートと前記下鋳枠のずれと前記枠合せされた上鋳枠と下鋳枠とのずれから、キャビティ部のずれを求め許容範囲内であるかを判定する工程とを備える;
キャビティ部のずれによる不良を防止する方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、鋳枠のピンやブッシュの摩耗は、均質に生ずるとは限らず、摩耗すれば必ずキャビティ部にずれが生ずるとは限らない。
【0007】
そこで、本発明は、パターンキャリアと鋳枠とのずれと上下鋳枠のずれを計測して、キャビティ部のずれによる不良を防止する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るキャビティ部のずれによる不良を防止する方法は、例えば
図2、3、9、12に示すように、上鋳枠用キャリアプレート130と組み合わされる上鋳枠110と下鋳枠用キャリアプレート140と組み合わされる下鋳枠120を用いる枠付き鋳型の造型においてキャビティ部のずれによる不良を防止する方法であって、上鋳枠用キャリアプレート130と上鋳枠110のずれを計測する工程と;下鋳枠用キャリアプレート140と下鋳枠120のずれを計測する工程と;枠合せされた上鋳枠110と下鋳枠120とのずれを計測する工程と;上鋳枠用キャリアプレート130と上鋳枠110のずれと下鋳枠用キャリアプレート140と下鋳枠120のずれと枠合せされた上鋳枠110と下鋳枠120とのずれから、キャビティ部100のずれを求め許容範囲内であるかを判定する工程とを備える。
【0009】
このように構成すると、上下鋳枠用キャリアプレートと上下鋳枠とのずれの計測と、枠合せされた上下鋳枠のずれの計測とに基づき、キャビティ部のずれを求め許容範囲内であるかを判定するので、キャビティ部のずれによる不良を防止することができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係るキャビティ部のずれによる不良を防止する方法においては、例えば
図2、3、9、12に示すように、上鋳枠用キャリアプレート130と上鋳枠110とは、オス位置決め治具112とメス位置決め治具132にて互いに位置決めされ、下鋳枠用キャリアプレート140と下鋳枠120とは、オス位置決め治具142とメス位置決め治具122にて互いに位置決めされ、上鋳枠110と下鋳枠120の枠合せは、オス位置決め治具112とメス位置決め治具122にて互いに位置決めされてもよい。このように構成すると、上下鋳枠と上下鋳枠用キャリアプレートおよび上下鋳枠の位置決めが、オス位置決め治具とメス位置決め治具を用いて位置決めされるので、ずれを生じにくく、キャビティ部のずれによる不良を防止することができる。
【0011】
本発明の第3の態様に係るキャビティ部のずれによる不良を防止する方法においては、例えば
図5〜7に示すように、上鋳枠用キャリアプレート130、上鋳枠110、下鋳枠用キャリアプレート140および下鋳枠120のオス位置決め治具112、142またはメス位置決め治具122、132の摩耗量を計測する工程をさらに備えてもよい。このように構成すると、オス位置決め治具またはメス位置決め治具の摩耗量を計測するので、ずれが摩耗により生じたものであるかが分かる。
【0012】
本発明の第4の態様に係るキャビティ部のずれによる不良を防止する方法においては、例えば
図5〜7に示すように、摩耗量を計測する工程では、オス位置決め治具112、142の外周またはメス位置決め治具122、132の内周を計測してもよい。このように構成すると、オス位置決め治具の外周またはメス位置決め治具の内周を計測して摩耗量を計測するので、偏摩耗していても正しく摩耗量を計測することができる。
【0013】
本発明の第5の態様に係るキャビティ部のずれによる不良を防止する方法においては、例えば
図12に示すように、オス位置決め治具112、142またはメス位置決め治具122、132の摩耗量が、許容範囲内にないときに警告を発する工程をさらに備えてもよい。このように構成すると、オス位置決め治具またはメス位置決め治具の摩耗量が許容範囲を越えた場合には警告が発せられるので、摩耗量が大きな状態であることが把握できる。
【0014】
本発明の第6の態様に係るキャビティ部のずれによる不良を防止する方法においては、例えば
図12に示すように、枠付き鋳型の造型ラインのメンテナンス時にオス位置決め治具112またはメス位置決め治具122の交換対象となる鋳枠を把握できるようにするために、オス位置決め治具112またはメス位置決め治具122の摩耗量を、該オス位置決め治具112またはメス位置決め治具122を有する上鋳枠110あるいは下鋳枠120に関連付ける工程をさらに備えてもよい。このように構成すると、オス位置決め治具またはメス位置決め治具が摩耗している上下鋳枠を容易に把握できるので、効率よく交換、点検作業を行うことができる。
【0015】
本発明の第7の態様に係るキャビティ部のずれによる不良を防止する方法においては、例えば
図12に示すように、計測したオス位置決め治具112、142の外周およびメス位置決め治具122、132の内周の値に基づいて把握した各々の形状と、計測した上鋳枠用キャリアプレート130と上鋳枠110のずれ、下鋳枠用キャリアプレート140と下鋳枠120のずれ、または、枠合せされた上鋳枠110と下鋳枠120とのずれのうちの少なくとも一つとを比較する工程をさらに備えてもよい。このように構成すると、オス位置決め治具およびメス位置決め治具の形状とずれとの比較から、ずれの計測結果の妥当性を判断することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上鋳枠用キャリアプレートと上鋳枠のずれを計測する工程と、下鋳枠用キャリアプレートと下鋳枠のずれを計測する工程と、枠合せされた上鋳枠と下鋳枠とのずれを計測する工程と、上鋳枠用キャリアプレートと上鋳枠のずれと下鋳枠用キャリアプレートと下鋳枠のずれと枠合せされた上鋳枠と下鋳枠とのずれから、キャビティ部のずれを求め許容範囲内であるかを判定する工程とを備えるので、上下鋳枠とキャリアプレートとのずれの計測と、枠合せされた上下鋳枠のずれの計測とに基づき、キャビティ部のずれを求め許容範囲内であるかを判定し、キャビティ部のずれによる不良を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一または相当する装置には同一符号を付し、重複した説明は省略する。先ず
図1を参照して、鋳型を造型する造型ラインの一例について説明する。例示の造型ライン1は、枠付きの上下鋳型を交互に造型する。図中、白抜き矢印は鋳型あるいは鋳枠の搬送方向を示す。なお、他の図においても同様である。
【0019】
造型ライン1には、鋳物砂から鋳型を造型する造型機10と、鋳型に溶湯を注湯する注湯機30と溶湯が冷却固化されて鋳物になった後に、鋳型を崩壊させて鋳物と鋳物砂とを分離する鋳型ばらし装置40とが配置される。各装置10、30、40間で鋳型は、図示されないローラコンベヤにより、もしくは定盤台車50に載置されて、搬送される。定盤台車50は、複数に平行に配置されたレール(不図示)上に並んでいる。一列に並んだ定盤台車50は、押出側端部に配置されたプッシャ52で押されることにより、並んだ一列の定盤台車50、すなわち上下鋳型100が鋳型一つ分の距離を搬送される。なお、一列に並んだ定盤台車50の搬出側端部には、プッシャ52の押出しに合せて収縮するクッション54を備えて、搬送される一列の定盤台車50を両側から挟むと、搬送中の定盤台車50が安定するので好ましい。
【0020】
一列に並んだ定盤台車50の先頭と後尾の位置に、定盤台車50を平行する隣のレール(不図示)に移送するためのトラバーサ56が配置される。一列の後尾に至った定盤台車50は、トラバーサ56により隣接するレール側の先頭の位置に移送される。
【0021】
造型ライン1には、造型機10で造型された鋳型(この時点では、上鋳型と下鋳型の2つ)の上下を反転(枠送り方向を回転軸として反転)してキャビティ部を上方に向ける反転機82が配置される。造型ライン1には、上鋳型および下鋳型の反キャビティ面の余分な砂を取り除くサンドカッタ84がさらに配置される。なお、サンドカッタ84は下鋳型だけを処理することでもよい。造型ライン1には、上鋳型に湯口を成形する湯口成形機86がさらに配置される。造型ライン1には、上鋳型をキャビティ部を下向きにして、下鋳型に重ねるために、上鋳型を再反転(枠送り方向を回転軸として反転)する上鋳枠再反転機88が配置される。さらに造型ライン1には、枠合せ装置20が配置され、下鋳型を定盤台車50に載置し、上鋳枠再反転機88で再反転された上鋳型を下鋳型に重ねて、上下鋳型100を形成する。
【0022】
造型ライン1で搬送される上下鋳型100に注湯機30から注湯する。注湯された上下鋳型100は、一定の距離を搬送され、一定の時間をかけて搬送される間に注湯された溶湯は冷却固化して鋳物となる。溶湯が冷却固化した上下鋳型100は、鋳型ばらし装置40で上鋳枠と下鋳枠(合せて「鋳枠」とも言う。)から抜き出され、崩壊され、鋳物が取り出されると共に、鋳物砂は砂処理装置(不図示)に送られる。鋳枠は、鋳枠分離装置42で上鋳枠と下鋳枠が交互に並べられ、再び造型機10に送られる。
【0023】
次に、
図2および
図3を参照して、造型機10での鋳型の造型について説明する。
図2は、造型機10内で上鋳枠110の造型空間を形成したところを示す部分断面図である。上鋳枠用パターン134が固定された上鋳枠用パターンプレート136が上鋳枠用キャリアプレート130上に固定されている。その上に、上鋳枠110が重ねられる。なお、本実施の形態では、上鋳枠用キャリアプレート130は、パターンプレート136の周囲を包囲し、上下摺動する枠状の上鋳枠用レベリングフレーム138を備えている。上鋳枠用レベリングフレーム138の下部には複数のガイドピン139が連結されており、ガイドピン139は上鋳枠用キャリアプレート130の本体に上下摺動可能に挿入されている。上鋳枠用レベリングフレーム138はガイドピン139を介して図示されない昇降シリンダにより昇降されるようになっている。上鋳枠用キャリアプレート130のメス位置決め治具である上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132は、上鋳枠用レベリングフレーム138に装着されている。上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132に、上鋳枠110のオス位置決め治具である上鋳枠ピン112が挿入されることにより、上鋳枠用キャリアプレート130と上鋳枠110との位置ずれが防止される。しかし、繰り返しの使用により、上鋳枠ピン112、上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132が摩耗してずれを生ずることがある。
【0024】
典型的には、上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132は円形断面の穴であり、上鋳枠ピン112は先端に行くほどに径が小さくなる円形断面の軸である。上鋳枠ピン112が上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132に挿入されることにより、上鋳枠ピン112の所定の部分が、上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132にガタを生じないように嵌まるのが好ましい。だたし、上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132と上鋳枠ピン112の形状はこれらには限定されず、断面は楕円、矩形、多角形など任意の形状でよく、上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132に上鋳枠ピン112が挿入され、ガタを生じないように嵌まればよい。また、上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132は、上鋳枠用キャリアプレート130から突出した部分に装着されてもよい。なお、ここで述べた上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132と上鋳枠ピン112の形状は、他のメス位置決め治具(ブッシュ)およびオス位置決め治具(ピン)にも適用される。
【0025】
上鋳枠110の上部に盛枠18が重ねられ、盛枠18の内部にスクイズボード16が挿入される。スクイズボード16には砂充填ノズル14が形成され、スクイズボード16上方の砂充填ホッパ19内の鋳物砂(不図示)を上鋳枠110の造型空間に供給できる。上鋳枠110の造型空間に鋳物砂が供給されると、スクイズボード16が下降し、上鋳枠用パターンプレート136との間で鋳物砂をスクイズし、鋳型を造型する。その際に、上鋳枠用パターン134の部分が空隙となり、上鋳枠110と下鋳枠120を枠合せしたときに製品となる部分(上鋳型のキャビティ部)が形成され、その部分に溶湯が注湯されることで鋳物が製造される。なお、スクイズする際に、上鋳枠用レベリングフレーム138が下降することにより、鋳物砂が上鋳枠用パターンプレート136側からもスクイズされるという利点がある。
【0026】
図3は、造型機10内で下鋳枠120の造型空間を形成したところを示す部分断面図である。下鋳枠用パターン144が固定された下鋳枠用パターンプレート146が下鋳枠用キャリアプレート140上に固定されている。その上に、下鋳枠120が重ねられる。上鋳枠用キャリアプレート130と同様に、下鋳枠用キャリアプレート140は、枠状の下鋳枠用レベリングフレーム148を備えており、複数のガイドピン149が連結されて昇降されるようになっている。下鋳枠用キャリアプレート140のオス位置決め治具である下鋳枠用キャリアプレートピン142は、下鋳枠用レベリングフレーム148に固定されている。下鋳枠用キャリアプレートピン142が、下鋳枠120のメス位置決め治具である下鋳枠ブッシュ122に挿入されることにより、下鋳枠用キャリアプレート140と下鋳枠120との位置ずれが防止されるが、上述の通りにずれが生ずることがある。
【0027】
下鋳枠120の上部に盛枠18が重ねられ、盛枠18の内部にスクイズボード16が挿入される。スクイズボード16には砂充填ノズル14が形成され、スクイズボード16上方の砂充填ホッパ19内の鋳物砂(不図示)を下鋳枠120の造型空間に供給できる。下鋳枠120の造型空間に鋳物砂が供給されると、スクイズボード16が下降し、下鋳枠用パターンプレート146との間で鋳物砂をスクイズし、鋳型を造型する。その際に、下鋳枠用パターン144の部分が空隙となり、上鋳枠110と下鋳枠120を枠合せしたときに製品となる部分(下鋳型のキャビティ部)が形成され、その部分に溶湯が注湯されることで鋳物が製造される。なお、スクイズする際に、下鋳枠用レベリングフレーム148が下降することにより、鋳物砂が下鋳枠用パターンプレート146側からもスクイズされるという利点がある。造型機10では、上鋳型と下鋳型とを交互に造型する。
【0028】
造型機10には、上鋳枠用キャリアプレート130と上鋳枠110、あるいは、下鋳枠用キャリアプレート140と下鋳枠120のずれを検知するためのセンサ12が配置される。センサ12として用いるセンサは、レーザ変位センサ、赤外線変位センサ、接触式変位センサ等、公知の変位センサでよい。パターンの位置の測定が困難であることから、キャリアプレートと鋳枠の位置を測定して、パターンと鋳枠とのずれとする。上鋳枠用キャリアプレート130と上鋳枠110、あるいは、下鋳枠用キャリアプレート140と下鋳枠120のずれの検知は、通常、造型前に行うが、スクイズ後にもずれを検知してもよい。スクイズによりキャリアプレートと鋳枠がずれる可能性もある。スクイズの前後でずれを測定すれば、上下鋳枠用キャリアプレートブッシュ132およびピン142、上下鋳枠のピン112およびブッシュ122のどちらかまたは両方が摩耗していることが分かる。
【0029】
図4の平面図に示すように、センサ12は鋳枠用に3台配置される。同様にキャリアプレート用にも3台配置される。なお、3台のセンサが上下に移動して、鋳枠とキャリアプレートの両方を測定してもよい。センサ12が3台ずつ配置されることにより、鋳枠あるいはキャリアプレートまでの3点の距離が測定できる。ここで、3個の変位センサ12の座標は既知であるので、鋳枠の3点の座標とキャリアプレートの3点の座標が得られる。鋳枠とキャリアプレートの形状はそれぞれ既知であるので、3点の座標が得られると、それぞれの中心位置と水平方向の回転角を算定できる。算定された中心位置と水平方向の回転角のずれ、あるいは、中心位置と水平方向の回転角から算定した鋳枠とキャリアプレートの隅点の座標のずれから、鋳枠とキャリアプレートのずれを判定することができる。そして、鋳枠の形状およびキャリアプレートの形状は既知であるので、鋳枠とキャリアプレートのずれを正確に計測することが可能となる。
【0030】
鋳枠とキャリアプレートとは、上鋳枠ピン112が上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132に挿入されることにより、また、下鋳枠用キャリアプレートピン142が、下鋳枠ブッシュ122に挿入されることにより、ずれが生じることを防止されている。しかし、繰り返しの使用により、上鋳枠ピン112、上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132、下鋳枠用キャリアプレートピン142、下鋳枠ブッシュ122が摩耗してずれを生ずることがある。
【0031】
そこで、ピンやブッシュの摩耗を計測する。
図5および
図6は、上鋳枠ピン112の摩耗量をピン摩耗量計測装置60で計測するところを示す側面図である。上鋳枠ピン112は、上鋳枠110に2本備えられるのが一般的であるので、ここでは2本の上鋳枠ピン112の摩耗量を2基のピン摩耗量計測装置60で計測するものとするが、ピンの数は2本には限られず、ピン摩耗量計測装置60の数も2基に限られない。ピン摩耗量計測装置60では、例えば上部が開放されたセンサ保持具64内に上鋳枠ピン112が位置する。上鋳枠ピン112とセンサ保持具64とは同心に位置するのが好ましい。センサ保持具64の所定の高さに、上鋳枠ピン112の表面の座標を計測するセンサ62が設置される。ここで、所定の高さとは、上鋳枠ピン112が上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132あるいは下鋳枠ブッシュ122と嵌合する部分を計測する高さである。
図6では、1つのセンサ保持具64に2つのセンサ62が示されるがセンサ62の数は1つでも3つ以上でもよい。センサ62として用いるセンサは、レーザ変位センサ、赤外線変位センサ、接触式変位センサ等、公知の変位センサでよい。センサ保持具64は、ロータリアクチュエータ66に支持され、上鋳枠ピン112を中心に回転する。ロータリアクチュエータ66は計測装置保持具68により固定される。
【0032】
ピン摩耗量計測装置60によれば、センサ保持具64が上鋳枠ピン112を中心に回転することにより、センサ62により上鋳枠ピン112外面の全周の座標を測定することができる。すなわち、上鋳枠ピン112の全周での摩耗量を測定することができる。そこで、例えば最大摩耗量を上鋳枠ピン112の摩耗量とする。あるいは、測定した摩耗量の平均値または任意の位置の摩耗量を用いてもよい。計測した摩耗量は、上鋳枠110に関連付けて記憶することが好ましい。
【0033】
図7および
図8は、下鋳枠120の下鋳枠ブッシュ122の摩耗量をブッシュ摩耗量計測装置70で計測するところを示す側面図である。ここでは、下鋳枠ブッシュ122は、上鋳枠ピン112に合せて2個を備えるものとし、ブッシュ摩耗量計測装置70も2基備えるものとするが、ブッシュの数は2個には限られず、ブッシュ摩耗量計測装置70の数も2基に限られない。ブッシュ摩耗量計測装置70では、下鋳枠ブッシュ122の内面を計測するように向けられたセンサ72がセンサ保持部74に支持される。センサ72として用いるセンサは、レーザ変位センサ、赤外線変位センサ、接触式変位センサ等、公知の変位センサでよい。変位センサを用いるので、下鋳枠ブッシュ122の斜め下方に配置されたセンサ72は、斜め上方の下鋳枠ブッシュ122の内面を計測する。センサ保持部74は、ロータリアクチュエータ76に支持され、下鋳枠ブッシュ122を中心に回転する。すなわち、ロータリアクチュエータ76は下鋳枠ブッシュ122の直下に計測装置保持具78により固定される。
【0034】
ブッシュ摩耗量計測装置70によれば、センサ保持具74が下鋳枠ブッシュ122を中心に回転することにより、センサ72により下鋳枠ブッシュ122内面の全周の座標を測定することができる。すなわち、下鋳枠ブッシュ122の全周での摩耗量を測定することができる。そこで、例えば最大摩耗量を下鋳枠ブッシュ122の摩耗量とする。あるいは、測定した摩耗量の平均値または任意の位置の摩耗量を用いてもよい。計測した摩耗量は、下鋳枠120に関連付けて記憶することが好ましい。
【0035】
上鋳枠ピン112の摩耗量や下鋳枠ブッシュ122の摩耗量の計測は、
図1に示す鋳枠の位置P1およびP2で行われるのがよい。すなわち、ピン摩耗量計測装置60およびブッシュ摩耗量計測装置70は、造型機10の上流側に配置されるのがよい。
【0036】
下鋳枠用キャリアプレート140について、
図5および
図6を用いて説明した上鋳枠ピン112と同様の方法で下鋳枠用キャリアプレートピン142の摩耗量を計測する。また、上鋳枠用キャリアプレート130については、
図7および
図8を用いて説明した下鋳枠ブッシュ122と同様の方法で上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132の摩耗量を計測する。下鋳枠用キャリアプレートピン142および上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132の摩耗量の計測は、
図1に示す鋳型の流れの外(造型機10の外)、すなわち、上鋳枠用キャリアプレート130および下鋳枠用キャリアプレート140を造型機10に搬入する前に行うとよい。計測した摩耗量は、下鋳枠用キャリアプレート140あるいは上鋳枠用キャリアプレート130に関連付けて記憶することが好ましい。
【0037】
図9および
図10に枠合せ装置20で上鋳枠と下鋳枠を枠合せするところを示す。造型機10で交互に造型された上鋳枠と下鋳枠は、反転機82、サンドカッタ84、湯口成形機86および上鋳枠再反転機88で処理された後、枠合せ装置20で枠合せされる。枠合せ装置20では、昇降リフタ22により、トラバーサ56上に載置された定盤台車50上に、キャビティ部を上方に向けた下鋳型を内蔵する下鋳枠120を載置する。次に、昇降リフタ22により、上鋳枠再反転機88でキャビティ部を下方に向けるようにされた上鋳型を内蔵する上鋳枠110を下鋳枠120上に重ねる。上鋳枠110のオス位置決め治具である上鋳枠ピン112が、下鋳枠120のメス位置決め治具である下鋳枠ブッシュ122に挿入されることにより上鋳枠110と下鋳枠120との位置ずれが防止される。しかし、繰り返しの使用により、上鋳枠ピン112あるいは下鋳枠ブッシュ122が摩耗してずれを生ずることがある。
【0038】
そこで、枠合せ装置20には、上鋳枠110と下鋳枠120のずれを検知するためのセンサ26が配置される。センサ26として用いるセンサは、レーザ変位センサ、赤外線変位センサ、接触式変位センサ等、公知の変位センサでよい。センサ26は、センサ保持具28に上下2段で保持される。センサ保持具28は架台24に支持される。しかし、1段のセンサ26が上下に昇降することで、上鋳枠110と下鋳枠120とを測定してもよい。この場合には、センサ保持具28を架台24に対し昇降するように構成すればよい。
【0039】
図11の平面図に示すように、センサ26は上鋳枠110用に3台配置される。同様に下鋳枠120用にも3台配置される。なお、3台のセンサが上下に移動して、上鋳枠110と下鋳枠120との両方を測定してもよい。センサ26が3台ずつ配置されることにより、上鋳枠110あるいは下鋳枠120までの3点の距離が測定できる。ここで、3個の変位センサ26の座標は既知であるので、上鋳枠110の3点の座標と下鋳枠120の3点の座標が得られる。上鋳枠110と下鋳枠120の形状はそれぞれ既知であるので、3点の座標が得られると、それぞれの中心位置と水平方向の回転角を算定できる。算定された中心位置と水平方向の回転角のずれ、あるいは、中心位置と水平方向の回転角から算定した上鋳枠110と下鋳枠120の隅点の座標のずれから、上鋳枠110と下鋳枠120のずれを判定することができる。そして、上鋳枠110と下鋳枠120の形状は既知であるので、上鋳枠110と下鋳枠120のずれを正確に計測することが可能となる。
【0040】
次に
図12のフロー図を参照して、キャビティ部のずれの推定とずれによる不良の防止方法について説明する。なお、一のフロー図を(a)〜(c)の3枚に分割し、接続する点を丸で囲んだ数字で示す。先ず、
図5〜8を用いて説明したように、上鋳枠ピン112、下鋳枠ブッシュ122、上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132および下鋳枠用キャリアプレートピン142の摩耗量を計測する(S11)。計測した摩耗量は、上鋳枠110、下鋳枠120、上鋳枠用キャリアプレート130および下鋳枠用キャリアプレート140に関連付けて記憶される。例えば、造型ライン用の制御装置(不図示)に記憶される。
【0041】
次に、
図2〜4を用いて説明したように、造型機10にて、上鋳枠110と上鋳枠用キャリアプレート130とのずれX、Y(X、Yは直交する水平2方向でのずれ)と、下鋳枠120と下鋳枠用キャリアプレート140とのずれX’、Y’(X’、Y’は直交する水平2方向でのずれ)を計測する(S12)。次に、
図9〜11を用いて説明したように、枠合せ装置20にて、枠合せされた上鋳枠110と下鋳枠120の下鋳枠120を基準にした上鋳枠110のずれx、y(x、yは直交する水平2方向でのずれ)を計測する(S13)。なお、例えば、ずれX、Y、X’、Y’、x、yとしては、隅点の座標のずれ、すなわち4つの隅点の座標のずれの最大値、もしくは、平均値、または、4つの隅点のうちの任意の隅点のずれを用いることができる。
【0042】
次にずれが許容範囲内であるかを判定する(S14)。そこで、|(X−X’)−x|≦0.3、|(Y+Y’)−y|≦0.3が満足されるかを判定する。ここで、右辺の0.3は、ずれの許容値である0.3mmを表わす。しかし許容値は、鋳物の形状、大きさ、用途等により決められるもので、0.3mmには限定されない。なお、(X−X’)は、下鋳枠120と下鋳枠用キャリアプレート140とのずれX’を基準にして上鋳枠110と上鋳枠用キャリアプレート130とのずれXとの差を算定するものである。上鋳枠用キャリアプレート130対する上鋳枠110(すなわち上鋳枠用キャビティ部)のずれの方向が、下鋳枠用キャリアプレート140に対する下鋳枠120(すなわち下鋳枠用キャビティ部)のずれの方向と同一であれば、結果として枠合せ時にキャビティ部のずれは相殺される。そこで、上鋳枠110と上鋳枠用パターン134で生じたずれXと下鋳枠120と下鋳枠用パターン144で生じたずれX’との差を、キャビティ部のずれになるものとする。なお、本実施の形態では、下鋳枠120は再反転しないため、X’の方向(枠送り方向への上鋳枠110と下鋳枠120のずれの方向)については変化しないが、Y’の方向(枠送り方向と直交する方向への上鋳枠110と下鋳枠120のずれの方向)については、上鋳枠110と下鋳枠120とでずれの方向は逆方向になるので、上鋳枠110と上鋳枠用パターン134で生じたずれYと下鋳枠120と下鋳枠用パターン144で生じたずれY’との和を用いる。どちらも、上下鋳枠用パターン134、144と上下鋳枠110、120とのずれを求めている。そして、|(X−X’)−x|、|(Y+Y’)−y|として、上下鋳枠用パターン134、144の上下鋳枠110、120からのずれから、上鋳枠110と下鋳枠120とのずれx、yを減じて、キャビティ部のずれの絶対値を求める。このずれが許容値0.3mmの範囲内であるかを判定する。
【0043】
このようにすると、上下鋳枠110、120と上下鋳枠用パターン134、144とのずれの計測結果と、上鋳枠110と下鋳枠120のずれの計測結果とを合せて、キャビティ部のずれを求めて、キャビティ部のずれによる不良の発生を判定することができる。すなわち、枠合せ状態での上鋳枠110と下鋳枠120のずれだけで判定する場合に比べ、不良の発生の判定の信頼性が高くなり、実際には不良とならない場合でも不良と判定して多くの無駄を生じてしまうこともなくなる。
【0044】
次に
図12(b)を参照して、先の判定でずれがないとされた場合の処理について説明する。ずれがないので、鋳型には通常通りに注湯する(S20)。そして、上鋳枠110のピン112および下鋳枠120のブッシュ122の摩耗量が許容範囲内(0.3mm以下)であるかを判定する(S21)。上下鋳枠110、120にずれがなかったとしても、ピン112またはブッシュ122の摩耗量が許容範囲を超えている場合には、交換指示をパネル等に表示する(S22)。次に、キャリアプレート130のブッシュ132およびキャリアプレート140のピン142の摩耗量が許容範囲内(0.3mm以下)であるかを判定する(S23)。上下鋳枠110、120にずれがなかったとしても、ブッシュ132またはピン142の摩耗量が許容範囲を超えている場合には、交換指示をパネル等に表示する(S24)。
【0045】
上鋳枠110のピン112の摩耗量を上鋳枠110に関連付けて(上鋳枠110のシフトデータとして)、下鋳枠120のブッシュ122の摩耗量を下鋳枠120に関連付けて(下鋳枠120のシフトデータとして)、上鋳枠用キャリアプレート130のブッシュ132の摩耗量を上鋳枠用キャリアプレート130に関連付けて(上鋳枠用キャリアプレート130のシフトデータとして)、下鋳枠用キャリアプレート140のピン142の摩耗量を下鋳枠用キャリアプレート140に関連付けて(下鋳枠用キャリアプレート140のシフトデータとして)記憶する(S25)。なおここで、「シフトデータ」とは、各個別の上鋳枠、下鋳枠、上鋳枠用キャリアプレート、下鋳枠用キャリアプレートに関するデータを含むデータであって、それぞれが移動する度に、そのデータも移動に合わせてずらされる(シフトされる)データを指し、すなわち、個別の上鋳枠、下鋳枠、上鋳枠用キャリアプレート、下鋳枠用キャリアプレートに関連付けられたデータである。このように、個別の上鋳枠、下鋳枠、上鋳枠用キャリアプレート、下鋳枠用キャリアプレート毎に摩耗量を管理することにより、造型ライン1等のメンテナンス時に、摩耗した部品を迅速に交換をすることができる。よって、効率よく交換および点検作業を行うことができる。そして、次サイクル、すなわち、次の造型を続行する(S26)。
【0046】
次に
図12(c)を参照して、先の判定でずれがあるとされた場合の処理について説明する。まず、キャビティ部にずれはあるが、注湯するか否かを判断する(S30)。場合によっては、ずれていても注湯する場合があり、注湯した場合には、鋳物の精密製品検査指示を発し(S32)、鋳物製品として使用することに問題はないかを精密に検査する。また、注湯しなかった場合には、鋳型が一つ足りなくなるので、造型機10へ追加造型指示を出す(S31)。
【0047】
上鋳枠110のピン112および下鋳枠120のブッシュ122の摩耗量が許容範囲内(0.3mm以下)であるかを判定する(S34)。ピン112またはブッシュ122の摩耗量が許容範囲を超えている場合には、交換指示をパネル等に表示する(S35)。次に、キャリアプレート130のブッシュ132およびキャリアプレート140のピン142の摩耗量が許容範囲内(0.3mm以下)であるかを判定する(S36)。ピン142またはブッシュ132の摩耗量が許容範囲を超えている場合には、交換指示をパネル等に表示する(S37)。
【0048】
続いて、上記のピン112およびブッシュ122の摩耗量、ピン142およびブッシュ132の摩耗量のいずれか一方でも許容範囲内(YES判定)であったか否かを判定する(S38)。ピン112またはブッシュ122の摩耗量、および、ピン142またはブッシュ132の摩耗量が許容範囲を超えていた場合(「NO」の場合)には、ピンあるいはブッシュの摩耗が、キャビティ部のずれの原因であったものと推定される。既に、ピンやブッシュの交換表示をパネル等に表示しており、作業者に必要な注意が喚起されている。
【0049】
ピン112およびブッシュ122の摩耗量とピン142およびブッシュ132の摩耗量のどちらか、あるいは、両方が許容範囲内であった場合(S38で「YES」の場合)には、その鋳型だけが特殊な原因(例えば、偏摩耗したとき)で、あるいは偶然にずれてしまったことも考えられる。そこで、このような現象が、同一の鋳枠あるいは同一のキャリアプレートで度々生じるのかを判定する(S39)。すなわち、同一の鋳枠あるいは同一のキャリアプレートでこのルートを通った回数が、たとえば累積10回以下かどうかを判定する。10回を超えた場合(S39で「NO」の場合)には、その鋳枠あるいはキャリアプレートのピンまたはブッシュに欠陥がある場合が考えられるので、鋳枠あるいはキャリアプレートのピンおよびブッシュの点検や交換指示をパネルに表示する(S40)。
【0050】
なお、同一の鋳枠あるいは同一のキャリアプレートで度々生じるのかを判定するのは、累積回数でなく、連続する回数で判定しても良い。あるいは、同一の鋳枠あるいは同一のキャリアプレートでこのルートを通過する割合であってもよく、例えばこのルートを通過する回数が造型回数の10%を超えた場合に、ピン、ブッシュの点検や交換指示をパネルに表示する。また、累積回数10回や割合10%というのは例示であって、他の値でもよい。
【0051】
次に、上述したのと同様にして、鋳枠やキャリアプレートのピン、ブッシュの摩耗量の計測結果をシフトデータとして記憶する。これにより、メンテナンス時の交換や点検対象となる鋳枠やキャリアプレートを迅速に把握することができ、効率よく点検・交換作業を行うことができる(S41)。そして、次サイクル、すなわち、次の造型を続行する(S42)。
【0052】
なお、
図5〜8を用いて説明したように、上鋳枠ピン112、下鋳枠ブッシュ122、上鋳枠用キャリアプレートブッシュ132および下鋳枠用キャリアプレートピン142の全周を測定しているので、ピンおよびブッシュの形状を把握することができる。そこで、例えば、ピンおよびブッシュは実質的に摩耗していないのに、ずれが大きく計測されていないかを判断することが可能である。このような場合には、ピン摩耗量計測装置60あるいはブッシュ摩耗量計測装置70の異常が考えられる。あるいは、ずれを計測したセンサ12、26の取り付け部の異常等も考えられる。このように、ピンおよびブッシュの形状と計測したずれを比較する工程をさらに備えるのは、有効である。なお、これまでの説明では、鋳枠とキャリアプレートおよび上下鋳枠は、ピンとブッシュによりずれを防止されるものとして説明したが、他の公知の方法(例えば、凸型ブッシュと凹型ブッシュ)によりずれを防止してもよい。
【0053】
本発明のキャビティ部のずれを推定してずれによる不良を防止する方法によれば、鋳枠と上下鋳枠用パターンキャリアとのずれ、および、上鋳枠と下鋳枠のずれの計測結果に基づき、キャビティ部のずれを求めて、キャビティ部のずれによる不良の発生を判定することができるので、不良の発生の判定の信頼性が高くなり、造型の無駄を低減することができる。さらに、ピンおよびブッシュの摩耗量をシフトデータとして管理するので、摩耗した部品を迅速かつ効率よく交換することができ、よって、造型ラインを効率よく運転することができる。