特許第6863321号(P6863321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863321
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20210412BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20210412BHJP
   G06F 1/32 20190101ALI20210412BHJP
【FI】
   B41J29/38 104
   G03G21/00 398
   G06F1/32
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-54623(P2018-54623)
(22)【出願日】2018年3月22日
(65)【公開番号】特開2019-166674(P2019-166674A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2020年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】芝田 幸大
(72)【発明者】
【氏名】大橋 陽
(72)【発明者】
【氏名】田垣 幸二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恵
(72)【発明者】
【氏名】山本 勇基
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 友佑
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−153225(JP,A)
【文献】 特開2010−147725(JP,A)
【文献】 特開2009−181103(JP,A)
【文献】 特開2016−196099(JP,A)
【文献】 特開2017−005650(JP,A)
【文献】 特開2018−043484(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0142277(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
G06F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知対象を検知するセンサー部と、
操作指示を受け付ける操作部と、
前記センサー部を制御するための設定処理を実行する制御部と
を備え、
前記設定処理は、検知精度に応じて前記センサー部の検知強度を調整する処理を示し、
前記検知精度は、第1単位時間内に前記センサー部が前記検知対象を検知した回数に対する、前記操作部が前記操作指示を受け付けた回数の割合を示し
前記制御部は、対応表に基づいて前記検知精度を算出し、
前記対応表は、前記センサー部が前記検知対象を検知したことを示す検知信号を受信した時刻と、前記操作部が前記操作指示を受け付けたことを示す操作信号の有無との関係を示し、
前記制御部は、
前記第1単位時間の間で、前記対応表に基づいて第1検知精度を算出し、
前記センサー部の前記検知強度を調整した後に、前記第1単位時間の間で、前記対応表に基づいて第2検知精度を算出し、
前記第1検知精度と前記第2検知精度との大小比較の結果に基づいて、前記検知精度が改善されたか否かを判定し、
前記検知精度が改善されていない場合には、前記センサー部の前記検知強度を元の設定値に戻す、画像形成装置。
【請求項2】
前記設定処理は、前記検知精度が第1閾値よりも小さい場合、前記センサー部の前記検知強度を小さくし、
前記検知精度が第2閾値よりも大きい場合、前記センサー部の前記検知強度を大きくする処理を示す、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記センサー部の検知範囲は、中心角、距離及び強度である、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検知強度の調整において、前記センサー部の検知範囲の中心角、距離及び強度の設定値を調整する、請求項1又は請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
第1動作の第1電力状態及び前記第1動作より省電力で動作する第2動作の第2電力状態で動作させる電源部を更に備え、
前記制御部は、前記検知信号又は前記操作信号を受信した場合、前記第2電力状態から前記第1電力状態に移行する指示を前記電源部に出力する、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
検知対象を検知するセンサー部と、
操作指示を受け付ける操作部と、
前記センサー部を制御するための設定処理を実行する制御部と
を備え、
前記設定処理は、検知精度に応じて前記センサー部の検知強度を調整する処理を示し、
前記検知精度は、第1単位時間内に前記センサー部が前記検知対象を検知した回数に対する、前記操作部が前記操作指示を受け付けた回数の割合を示し、
前記制御部は、対応表に基づいて前記検知精度を算出し、
前記対応表は、前記センサー部が前記検知対象を検知したことを示す検知信号を受信した時刻と、前記操作部が前記操作指示を受け付けたことを示す操作信号の有無との関係を示し、
前記センサー部の検知範囲は、中心角、距離及び強度の中から選択された複数の項目を含み、
前記制御部は、
前記第1単位時間の間で、前記対応表に基づいて第1検知精度を算出し、
前記複数の項目のうちの第1項目を調整した後に、前記第1単位時間の間で、前記対応表に基づいて第2検知精度を算出し、
前記第1検知精度と前記第2検知精度との大小比較の結果に基づいて、前記検知精度が改善されたか否かを判定し、
前記検知精度が改善された場合には、前記第1項目の調整を継続し、
前記検知精度が改善されていない場合には、前記複数の項目のうちの前記第1項目と異なる第2項目の調整に移行する、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、消費電力削減のために、一部のデバイスの電源をオフにするなど節電状態にする機能(以下スリープ動作モードと呼ぶ)を画像形成装置はサポートしている。しかしながら、ユーザーが画像形成装置を使用する際には、タッチパネル入力又はキー入力を実施することにより、スリープ動作モードから通常の動作モードに復帰するまでの待ち時間が必要となる。その待ち時間を短くするために人感センサーを用いた以下のような技術が存在する。
特許文献1に記載の画像形成装置は、一定時間での人感センサー検知状態とユーザー使用状況とを記憶して人感センサーの検知強度を変更する。人感センサーを使用して、画像形成装置がスリープ動作モードから復帰する通常の復帰要因とは異なり、利用しようとしないユーザーが近づいた時にも、スリープ動作モードから復帰する誤検知が生じる可能性がある。その問題を解決するために特許文献1のように人感センサーの強度を変更する技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−230688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置によれば、人感センサーの反応が弱い場合には、実際に機器を利用しようとするユーザーが近づいた時にも、スリープ動作モードから通常の動作モードに画像形成装置が復帰しない検知漏れが生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像形成装置は、センサー部と、操作部、制御部とを備える。前記センサー部は、検知対象を検知する。前記操作部は、操作指示を受け付ける。前記制御部は、前記センサー部を制御するための設定処理を実行する。前記設定処理は、検知精度に応じて前記センサー部の検知度を調整する処理を示し、前記検知精度は、第1単位時間内に前記センサー部が前記検知対象を検知した回数と、前記操作部が前記操作指示を受け付けた回数との関係を示し、前記検知度は、前記検知対象に対する検知の度合いを示す。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、人感センサーの誤検知、及び人感センサーの検知漏れを抑えて、ユーザーの利便性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の人感センサー部の設定処理を示す図である。
図3】人感センサー部の設定処理を示すフローチャートである。
図4】人感センサー部の設定処理を示すフローチャートである。
図5】検知信号の時刻と操作信号有無との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の実施形態について説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0009】
図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置100の構成を説明する。図1は、画像形成装置100の構成を示す図である。本実施形態において、画像形成装置100は、複合機である。
【0010】
画像形成装置100は、筐体1、操作部2、給紙部3、搬送部4、補給部5、画像形成部6、排出部7、通信部8、記憶部9、制御部10、人感センサー部11、及び電源部19を備える。画像形成装置100は、モノクロ方式により画像を形成する。
【0011】
操作部2は、画像形成装置100に対するユーザーからの操作指示を受け付ける。操作部2は、ユーザーからの操作指示を受け付けると、ユーザーからの指示を示す操作信号を生成する。
【0012】
操作部2は、タッチパネル21及び複数の操作キー22を含む。タッチパネル21は、ディスプレー及びタッチセンサーを含む。
【0013】
ディスプレーは、各種画面を表示する。各種画面は、待ち受け画面及びサービス画面を含む。待ち受け画面は、例えば、各種処理の実行を指示するためのメニューボタンを含む。サービス画面は、例えば、画像形成装置100の設定を変更するための画面である。ディスプレーは、例えば、液晶ディスプレー又は有機ELディスプレー(Organic Electro Luminescence Display)である。
【0014】
タッチセンサーは、被検知体によるタッチを検知する。タッチセンサーは、被検知体によるタッチを検知した位置を示す位置信号を生成する。被検知体は、例えば、ユーザーの手指である。タッチセンサーは、例えば、抵抗膜方式のタッチセンサーである。
【0015】
複数の操作キー22は、例えば、テンキー、スタートキー、及びキャンセルキーを含む。
【0016】
給紙部3は、複数のシートSを収容し、収容された複数のシートSを一枚ずつ給紙する。
【0017】
搬送部4は、給紙されたシートSを排出部7まで搬送する。
【0018】
補給部5は、画像形成部6へ消耗品を補給する。本実施形態において、消耗品は、トナーである。
【0019】
画像形成部6は、画像形成処理を実行する。詳しくは、画像形成部6は、消耗品を使用してシートSに画像(トナー像)を形成する。本実施形態において、画像形成部6は、図示しない露光装置、帯電装置、感光体ドラム、現像装置、クリーニング装置、転写装置、及び定着装置を備え、電子写真方式によって画像を形成する。
【0020】
排出部7は、トナー像が定着したシートSを、シート排出口を介して筐体1の内部から排出トレイへ排出する。
【0021】
通信部8は、同じ通信方式(プロトコル)を利用する通信機が搭載された電子機器との間で通信が可能である。本実施形態において、通信部8は、LAN(Local Area Network)などのネットワーク網Nを介して第1外部装置E1及び第2外部装置E2と通信する。通信部8は、例えば、LANボードのような通信モジュール(通信機器)である。
【0022】
第1外部装置E1は、ユーザーが使用する装置であり、具体的には、パーソナルコンピューター、又はタブレット端末装置である。本実施形態において、ユーザーは、第1外部装置E1を操作することによって、画像形成装置100に対して印刷ジョブの実行の要求を送信する。
【0023】
第2外部装置E2は、例えば、サービスマンが使用する装置であり、具体的には、パーソナルコンピューター、又はタブレット端末装置である。
【0024】
記憶部9は、各種のデータを記憶する。記憶部9は、ストレージデバイス及び半導体メモリーによって構成される。ストレージデバイスは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)によって構成される。
【0025】
半導体メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を構成する。記憶部9は、制御プログラムを記憶する。
【0026】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーによって構成される。また、制御部10は、画像形成処理用の集積回路を備える。画像形成処理用の集積回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成される。制御部10は、制御プログラムを実行することにより、画像形成装置100の各部の動作を制御する。
【0027】
本実施形態において、制御部10は、人感センサー部11を制御するための設定処理を実行する。設定処理は、検知精度に応じて人感センサー部11の検知度を調整する処理を示す。検知精度は、第1単位時間Ts内に人感センサー部11が検知対象を検知した回数と、操作信号を受け付けた回数との関係を示す。例えば、検知精度は、第1単位時間Ts内に検知信号を受信した回数に対する操作信号を受信した回数の割合を示す。操作信号を受信した回数は、検知信号を受信した時刻直後から第2単位時間内で操作信号「有り」を受信した回数を示す。第1単位時間Tsは、検知精度を算出する時刻から一定時間遡った時刻までの時間を示す。制御部10は、人感センサー部11の検知度の各検知範囲(中心角Θ1、距離D1、強度S1)を変更する。詳細は図2図5を参照して後述する。
【0028】
人感センサー部11は、画像形成装置100のユーザーの接近又は退去を検知すると、検知信号を制御部10に生成する。ユーザーは「検知対象」の一例であり、人感センサー部11は「センサー部」の一例である。検知度は、検知対象に対する検知の度合いを示す。
【0029】
電源部19は、画像形成装置100を構成する各部位に電力を供給する。画像形成装置100は画像形成装置100を構成する各部位に電力を供給する通常の動作モードと、一部の部位に電力を供給しないスリープ動作モード、又は省電力動作モードとを有する。通常の動作は「第1動作」の一例であり、スリープ動作は「第2動作」の一例である。通常の動作モードの電力状態は「第1電力状態」の一例で、スリープ動作モードの電力状態は「第2電力状態」の一例である。電源部19は、制御部10から出力される指示信号によって、通常の動作モードとスリープ動作モードとの間を移行する。
【0030】
図2を参照して、人感センサー部11の設定処理を説明する。
図2(a)及び(b)は、人感センサー部11の検知範囲の中心角Θ1を変更する事例を説明するための図である。人感センサー部11の検知範囲の中心角Θ1は、人感センサー部11の検知範囲の1つである。本発明の実施形態では、人感センサー部11の検知範囲の中心角Θ1は、水平方向の検知角度を示す。画像形成装置100の横が通路になっていて人の往来が多い場合は、検知範囲の中心角Θ1を狭くすれば、人感センサー部11は、画像形成装置100の横を通る人を検知せずに、画像形成装置100の正面に近づく人をユーザーとして検知できる。
【0031】
図2(c)及び(d)は、人感センサー部11の検知範囲の距離D1を変更する事例を説明するための図である。人感センサー部11の検知範囲の距離D1は、人感センサー部11の検知範囲の1つである。本発明の実施形態では、人感センサー部11検知範囲の距離D1は、検知距離を示す。画像形成装置100の前が通路になっていて人の往来が多い場合は、検知範囲の距離D1を短くすれば、人感センサー部11は、画像形成装置100の前を少し離れて通る人を検知せずに、画像形成装置100の正面に近づく人をユーザーとして検知できる。
【0032】
以上、図2を参照して、人感センサー部11の設定処理の概要を説明した。本発明の実施形態によれば、検知度の検知範囲の中心角Θ1及び/又は距離D1を調整して、画像形成装置100の設置場所及び人の流れに柔軟に対応できるように人感センサー部11の検知度を変更することができる。
【0033】
続いて、図1図5を参照して、人感センサー部11の設定処理の詳細について説明する。
【0034】
初めに、図5を参照して、人感センサー部11の設定処理で参照される対応表を説明する。対応表は、図3を参照して説明するように「復帰時情報」の一例である。
【0035】
図5は、検知信号を受信した時刻と操作信号有無との関係を示す図である。本実施形態では、第1単位時間Ts=30分と予め設定する。対応表には、人感センサー部11が検知対象を検知した時刻と、検知信号の受信時刻直後の第2単位時間内(例えば、10秒間)で操作部2が操作信号を生成したか否かとが記録されている。
【0036】
対応表は記憶部9に記憶されており、第1単位時間Tsの間に制御部10が検知信号を受け付けると、制御部10は記憶部9から対応表を読み出す。制御部10は、検知信号を受信した時刻と、この受信時刻から第2単位時間内での操作信号の有無とを対応表に書き込んで、対応表を更新する。制御部10は、更新した対応表を記憶部9に記憶する。
【0037】
図5の例では、第1単位時間Ts(30分間)内に検知信号を受信した回数は8回で、検知信号を受信した時刻直後の第2単位時間内で操作信号「有り」を受信した回数が4回である。第1単位時間Ts内に受信した検知信号の回数に対する操作信号「有り」の回数の割合を示す検知精度Wrは4/8=50%である。図5の例では、1回目に検知した時刻が00:00:01の場合、操作信号の有無は「有り」である。また、2回目に検知した時刻が00:01:00の場合、操作信号の有無は「無し」である。検知した1回目と2回目とは、時刻00:00:01に人が画像形成装置100に近づいて、人が何らかの操作を行い、時刻00:01:00に画像形成装置100から退去したことを示す。更に、3回目に検知した時刻が00:10:08の場合、操作信号の有無は「なし」である。検知した3回目は、人が画像形成装置100の操作は行わずに、前を通り過ぎたことを示す。
【0038】
図3は、本発明の人感センサー部11の設定処理を示すフローチャートである。例えば、画像形成装置100の電源がオンにされた時、制御部10は設定処理を開始する。
【0039】
ステップS101:制御部10は、人感センサー部11が動作状態であることを確認する。
【0040】
ステップS103:制御部10は、人感センサー部11による復帰時情報を第1単位時間Tsの間で収集する。
【0041】
ステップS105:制御部10は、第1単位時間Tsの間で、対応表に基づいて、1回目の検知精度であるWr1を算出する。具体的には、制御部10は、記憶部9から対応表を読み出して、時刻00:00:00から30分間に検知信号を受信した回数と操作信号を受信した回数とを確認し、検知精度Wr1を算出する。次に、検知精度Wr1と閾値下限Thlとを比較する。検知精度Wr1は、制御部10が1回目に算出する検知精度Wrである。閾値下限Thlは「第1閾値」の例である。検知精度Wr1<閾値下限Thlの時(ステップS105でYes)、制御部10は処理をステップS107へ移す。検知精度Wr1<閾値下限Thlでない時(ステップS105でNo)、制御部10は処理をステップS201へ移す。本発明の実施形態では、閾値下限Thl=70%と予め設定されている。
【0042】
ステップS107:制御部10は、人感センサー部11の検知範囲の中心角Θ1、距離D1、及び強度S1を調整して、設定する。制御部10は処理をステップS109へ移す。なお、Wr1=0の場合は、ユーザーが全く利用していない状況、又は適切な設定ができない状況である。この場合、人感センサー部11の検知範囲の中心角Θ1、距離D1、及び強度S1を初期値に戻し、設定処理を完了する。
【0043】
ステップS109:制御部10は、人感センサー部11による復帰時情報(検知信号の時刻と操作信号有無との関係)を第1単位時間Tsの間で収集する。制御部10は処理をステップS111へ移す。
【0044】
ステップS111:制御部10は、検知精度Wr1を算出し終えた時刻00:30:00から30分間の対応表に基づいて、2回目に算出する検知精度WrであるWr2を算出する。具体的には、制御部10は、記憶部9から対応表を読み出して、時刻00:30:00から30分間に検知信号を受信した回数と操作信号を受信した回数とを確認し、検知精度Wr2を算出する。次に、検知精度Wr2と閾値下限Thlとを比較する。閾値下限Thlと比較する。検知精度Wr2<閾値下限Thlの時(ステップS111でYes)、制御部10は処理をステップS113へ移す。検知精度Wr2<閾値下限Thlでない時(ステップS111でNo)、制御部10は処理をステップS201へ移す。
【0045】
ステップS113:制御部10は、ステップS111で算出された検知精度Wr2と、ステップS105で算出された検知精度Wr1とを比較する。検知精度Wr2>検知精度Wr1である時(ステップS113でYes)、制御部10は処理をステップS107へ移す。検知精度Wr2>検知精度Wr1でない時(ステップS113でNo)、制御部10は処理をステップS115へ移す。検知精度Wr2>検知精度Wr1の場合は、人感センサー部11の検知精度は改善されている。また、検知精度Wr2>検知精度Wr1でない場合は、人感センサー部11の検知精度は改善されていない。
【0046】
本発明では、検知信号に対する操作信号の有無で、検知精度を算出し、検知度の改善効果が分かる。したがって、改善効果の有無に基づいて、自動で検知度の3種類の設定要因の変更を行うことができる。
【0047】
ステップS115:制御部10は、人感センサー部11の検知範囲の中心角Θ1、距離D1、及び強度S1を元の設定値に戻す。元の設定値は、ステップS105時点の各検知範囲の設定値である。
【0048】
次に、ステップS107の処理を、より詳細に説明する。ステップS107は、ステップS1071〜ステップS1073を含む。
【0049】
ステップS1071:人感センサー部11の検知範囲の中心角Θ1をX度狭く設定する。本設定が有効(検知精度が改善)であった否かは、後のステップS113で確認される。本設定が有効であった場合は、次回にステップS107を実行する時に、ステップS1071を再実行する。本設定が有効でなかった場合は、次回にステップS107を実行する時に、ステップS1071をスキップしてステップS1072を実行する。
【0050】
ステップS1072:人感センサー部11の検知範囲の距離D1をY%短くする。本設定が有効(検知精度が改善)であった否かは、後のステップS113で確認される。本設定が有効であった場合は、次回にステップS107を実行する時に、ステップS1072を再実行する。本設定が有効でなかった場合は、次回にステップS107を実行する時に、ステップS1072をスキップしてステップS1073を実行する。
【0051】
ステップS1073:人感センサー部11の検知範囲の強度S1をZ%弱くする。本設定が有効(検知精度が改善)であった否かは、後のステップS113で確認される。本設定が有効であった場合は、次回にステップS107を実行する時に、ステップS1073を再実行する。本設定が有効でなかった場合は、次回にステップS107を実行する時に、ステップS1073をスキップする。なお、ステップS1073を繰り返すと強度S1は弱くなり、ユーザーは検知されず、検知精度Wr1=0となるので、次回にステップS107を実行する時に、ステップS1073をスキップする。
【0052】
続いて、ステップ115の処理を、より詳細に説明する。ステップS107において、ステップS1071が実行された場合は、人感センサー部11の検知範囲の中心角Θ1を元の設定値に戻す。ステップS1072が実行された場合は、人感センサー部11の検知範囲の距離D1を元の設定値に戻す。ステップS1073が実行された場合は、人感センサー部11の検知範囲の強度S1を元の設定値に戻す。
【0053】
続いて、図4を参照しながら、本実施形態に係る人感センサー部11の設定処理について、ステップS201〜ステップS211を説明する。
【0054】
ステップS201:制御部10は、時刻Aから30分間の対応表に基づいて、3回目に算出する検知精度WrであるWr3を算出する。具体的には、制御部10は、記憶部9から対応表を読み出して、時刻Aから30分間に検知信号を受信した回数と操作信号を受信した回数とを確認し、検知信号を受信した回数に対する操作信号を受信した回数の割合である検知精度Wr3を算出する。なお、ステップS105からステップS201へ移行した場合は、時刻Aは時刻00:00:00である。なお、ステップS111からステップS201へ移行した場合は、時刻Aは時刻00:30:00である。次に検知精度Wr3と閾値上限Thhと比較する。検知精度Wr3>閾値上限Thhの時(ステップS201でYes)、制御部10は処理をステップS203へ移す。検知精度Wr3>閾値上限Thhでない時(ステップS201でNo)、制御部10は人感センサー設定処理を終了する。本発明の実施形態では、閾値上限Thh=90%と予め設定されている。閾値上限Thhは「第2閾値」の一例である。閾値下限Thl<閾値上限Thhである。
【0055】
ステップS203:制御部10は、人感センサー部11の検知範囲の中心角Θ1、距離D1、及び強度S1を調整して、設定する。
【0056】
ステップS205:制御部10は、人感センサー部11による復帰時情報を第1単位時間Tsの間で収集する。
【0057】
ステップS207:制御部10は、時刻Bから30分間の対応表に基づいて、4回目に算出する検知精度WrであるWr4を算出する。具体的には、制御部10は、記憶部9から対応表を読み出して、時刻Bから30分間に検知信号を受信した回数と操作信号を受信した回数とを確認し、検知精度Wr4を算出する。なお、ステップS105からステップS201へ移行した場合は、時刻Bは時刻00:30:00である。なお、ステップS111からステップS201へ移行した場合は、時刻Bは時刻01:00:00である。次に検知精度Wr4と閾値上限Thhとを比較する。検知精度Wr4>閾値上限Thhの時(ステップS207でYes)、制御部10は処理をステップS209へ移す。検知精度Wr4>閾値上限Thhでない時(ステップS207でNo)、制御部10は人感センサー設定処理を終了する。
【0058】
ステップS209:制御部10は、ステップS207で算出された検知精度Wr4と、ステップS201で算出された検知精度Wr3とを比較する。検知精度Wr4<検知精度Wr3である時(ステップS209でYes)、制御部10は処理をステップS203へ移す。検知精度Wr4<検知精度Wr3でない時(ステップS209でNo)、制御部10は処理をステップS211へ移す。検知精度Wr4<検知精度Wr3の場合は、人感センサー部11の検知精度は改善されている。また、検知精度Wr4<検知精度Wr3でない場合は、人感センサー部11の検知精度は改善されていない。
【0059】
ステップS211:制御部10は、人感センサー部11の検知範囲の中心角Θ1、距離D1、及び強度S1を元の設定値に戻す。元の設定値は、ステップS201時点の各検知範囲の設定値である。
【0060】
次に、ステップS203の処理をより詳細に説明する。ステップS203は、ステップS2031〜ステップS2033を含む。
【0061】
ステップS2031:人感センサー部11の検知範囲の中心角Θ1をX度広く設定する。本設定が有効(検知精度が改善)であった否かは、後のステップS209で確認される。本設定が有効であった場合は、次回にステップS203を実行する時に、ステップS2031を再実行する。本設定が有効でなかった場合は、次回にステップS203を実行する時に、ステップS2031をスキップしてステップS2032を実行する。
【0062】
ステップS2032:人感センサー部11の検知範囲の距離D1をY%長くする。本設定が有効(検知精度が改善)であった否かは、後のステップS209で確認される。本設定が有効であった場合は、次回にステップS203を実行する時に、ステップS2032を再実行する。本設定が有効でなかった場合は、次回にステップS203を実行する時に、ステップS2032をスキップしてステップS2033を実行する。
【0063】
ステップS2033:人感センサー部11の検知範囲の強度S1をZ%強くする。本設定が有効(検知精度が改善)であった否かは、後のステップS209で確認される。本設定が有効であった場合は、次回にステップS203を実行する時に、ステップS2033を再実行する。本設定が有効でなかった場合は、次回にステップS203を実行する時に、ステップS2033をスキップする。なお、ステップS2033を繰り返すと強度S1は強くなり、強度S1の最大設定になった場合は、次回にステップS203を実行する時に、ステップS2033をスキップする。
【0064】
続いて、ステップ211の処理を、より詳細に説明する。ステップS203において、ステップS2031が実行された場合は、人感センサー部11の検知範囲の中心角Θ1を元の設定値に戻す。ステップS2032が実行された場合は、人感センサー部11の検知範囲の距離D1を元の設定値に戻す。ステップS2033が実行された場合は、人感センサー部11の検知範囲の強度S1を元の設定値に戻す。
【0065】
以上、本発明によれば、2つの閾値(閾値上限Thh及び閾値下限Thl)の間で検知度を調整することにより、人感センサー部11の誤検知、及び人感センサー部11の検知漏れを抑えることができる。
【0066】
図1図5を参照して、本発明の人感センサー部11の設定処理を説明した。制御部10は、人感センサー部11が検知信号を生成すると、画像形成装置100がスリープ動作モードの時、スリープ動作モードから通常の動作モードに復帰するように電源部19を制御する。本発明では、2つの閾値の間で人感センサー部11の検知度を調整するので、画像形成装置100を利用しようとしないユーザーが近づいた時にもスリープ動作モードから復帰する誤検知、及び利用しようとするユーザーが近づいた時にも復帰しない検知漏れを抑えることができる。
【0067】
なお、本実施形態において、画像形成装置100が複合機である場合を例に説明したが、画像形成装置100は、例えば、コピー機又はプリンターであってもよい。
【0068】
本実施形態において、人感センサー部11の検知範囲の、中心角Θ1、距離D1、及び強度S1の初期値を、画像形成装置100出荷時に製造メーカーが記憶部9に設定してもよい。また、ネットワーク網Nを介して、通信部8が第2外部装置E2と通信を行い、サービスマンが設定してもよい。
【0069】
以上、本発明の実施形態について、図面(図1図5)を参照しながら説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態で示す構成や数値は、一例であって特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0070】
例えば、本発明の実施形態では、モノクロ方式の画像形成装置100に本発明が適用される場合を例に説明したが、本発明は、例えば、カラー方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0071】
また、本発明の実施形態では、電子写真方式の画像形成装置100に本発明が適用される場合を例に説明したが、本発明は、例えば、インクジェット方式の画像形成装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、人感センサーを使用する画像形成装置の分野に有用である。
【符号の説明】
【0073】
2 操作部
10 制御部
11 人感センサー部
100 画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5