特許第6863322号(P6863322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863322
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】中継搬送装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20210412BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20210412BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   B65H5/06 M
   G03G15/00 460
   B65H7/02
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-55046(P2018-55046)
(22)【出願日】2018年3月22日
(65)【公開番号】特開2019-167190(P2019-167190A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2020年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177334
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 浩
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良典
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−166612(JP,A)
【文献】 特開2008−037583(JP,A)
【文献】 特開2014−035379(JP,A)
【文献】 特開2018−008783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
B65H 7/00−7/20
B65H 29/20
B65H 43/00−43/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置によって画像を形成されたシートを排出する排出装置と、の間に配置され、前記画像形成装置から前記排出装置へとシートを搬送する中継搬送路と、
前記中継搬送路に沿って設けられ、前記中継搬送路の上流側から下流側へとシートを搬送する複数の搬送部材と、
前記中継搬送路に沿って設けられ、前記搬送部材によって前記中継搬送路上を搬送されるシートを検知する検知部材と、
第1シートと、前記第1シートより上流側に位置する第2シートと、が前記中継搬送路上を搬送されている状態において、前記検知部材による前記第1シートの検知終了から前記第2シートの検知開始までのシート間隔と、所定の目標値とを比較し、前記シート間隔が前記目標値よりも小さければ前記シート間隔を拡げるように前記搬送部材を減速させ、前記シート間隔が前記目標値よりも大きければ前記シート間隔を縮めるように前記搬送部材を加速させる制御装置と、を備え
前記制御装置は、前記搬送部材を減速または加速させた回数を前記搬送部材ごとにカウントしておき、カウントした回数が規定回数以上となった搬送部材についてアラートを表示するように前記画像形成装置に通知することを特徴とする中継搬送装置。
【請求項2】
前記シート間隔が拡大または縮小するように前記制御装置が減速または加速させる前記搬送部材は、前記第2シートを搬送している搬送部材である、ことを特徴とする請求項1に記載の中継搬送装置。
【請求項3】
前記シート間隔が拡大または縮小するように前記制御装置が減速または加速させる前記搬送部材は、前記第2シートを搬送している搬送部材よりも下流側に位置する搬送部材である、ことを特徴とする請求項1に記載の中継搬送装置。
【請求項4】
前記制御装置は、減速または加速させている前記搬送部材が前記第2シートを搬送し終えると、減速前または加速前の速度に戻るように前記搬送部材を制御する、ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の中継搬送装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記シート間隔と前記目標値との差分が所定の閾値未満になるまで、前記第2シートを搬送している複数の前記搬送部材を順次に減速または加速させる、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の中継搬送装置。
【請求項6】
前記中継搬送路は複数の搬送区画によって区分されており、
前記制御装置は、前記シート間隔が前記目標値よりも小さければ前記シート間隔を拡げるように前記搬送区画に含まれる複数の搬送部材を減速させ、前記シート間隔が前記目標値よりも大きければ前記シート間隔を縮めるように前記搬送区画に含まれる複数の搬送部材を加速させる、ことを特徴とする請求項1に記載の中継搬送装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像を形成されたシートを排出する排出装置と、
前記画像形成装置と前記排出装置とを中継する中継搬送装置と、を備え、
前記中継搬送装置は、前記画像形成装置と前記排出装置との間に配置され、前記画像形成装置から前記排出装置へとシートを搬送する中継搬送路と、
前記中継搬送路に沿って設けられ、前記中継搬送路の上流側から下流側へとシートを搬送する複数の搬送部材と、
前記中継搬送路に沿って設けられ、前記搬送部材によって前記中継搬送路上を搬送されるシートを検知する検知部材と、
第1シートと、前記第1シートより上流側に位置する第2シートと、が前記中継搬送路上を搬送されている状態において、前記検知部材による前記第1シートの検知終了から前記第2シートの検知開始までのシート間隔と、所定の目標値とを比較し、前記シート間隔が前記目標値よりも小さければ前記シート間隔を拡げるように前記搬送部材を減速させ、前記シート間隔が前記目標値よりも大きければ前記シート間隔を縮めるように前記搬送部材を加速させる制御装置と、を備え
前記制御装置は、前記搬送部材を減速または加速させた回数を前記搬送部材ごとにカウントしておき、カウントした回数が規定回数以上となった搬送部材についてアラートを表示するように前記画像形成装置に通知することを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置から排出装置へとシートを搬送する中継搬送装置およびこの中継搬送装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体であるシートに画像を形成する画像形成装置と、画像形成装置によって画像を形成されたシートが排出される排出装置(例えば、後処理装置)と、画像形成装置と排出装置を中継する中継搬送装置と、を備えた画像形成システムが知られている。
【0003】
画像形成システムにおいては、複数のシートが連続的に搬送路上を搬送されるので、シート間の距離を適切に保つように搬送関連の部材が構成される。シート間の距離が短過ぎる場合には紙詰まり等の搬送障害が発生する場合があり、シート間の距離が長過ぎる場合には生産性(単位時間当たりのプリント枚数)が悪化する場合があるからである。
【0004】
例えば、特許文献1の画像形成装置には、連続して搬送される2枚の用紙について、1枚目の用紙が通過してから2枚目の用紙が検知されるまでの紙間時間に基づいて、給紙カセットから用紙を送り出す給紙開始タイミングを制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013− 28434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、紙間時間に基づいて給紙のタイミングを制御しているが、既に給紙され搬送路上を搬送されているシートの間隔の制御については特に言及がない。したがって、搬送部材の劣化等の外的要因に起因した搬送中のシート間隔のばらつきは、特許文献1の技術を用いて解消することが困難である。特に、前段の画像形成装置から排出されたシートを中継する中継搬送装置は自ら給紙する装置ではないので、特許文献1の給紙技術を適用することがそもそも不可能である。
【0007】
上記した事情を考慮して、本発明は、中継搬送装置におけるシート間隔のばらつきをシート搬送中に適切に補正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る中継搬送装置は、シートに画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置によって画像を形成されたシートを排出する排出装置と、の間に配置され、前記画像形成装置から前記排出装置へとシートを搬送する中継搬送路と、前記中継搬送路に沿って設けられ、前記中継搬送路の上流側から下流側へとシートを搬送する複数の搬送部材と、前記中継搬送路に沿って設けられ、前記搬送部材によって前記中継搬送路上を搬送されるシートを検知する検知部材と、第1シートと、前記第1シートより上流側に位置する第2シートと、が前記中継搬送路上を搬送されている状態において、前記検知部材による前記第1シートの検知終了から前記第2シートの検知開始までのシート間隔と、所定の目標値とを比較し、前記シート間隔が前記目標値よりも小さければ前記シート間隔を拡げるように前記搬送部材を減速させ、前記シート間隔が前記目標値よりも大きければ前記シート間隔を縮めるように前記搬送部材を加速させる制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0009】
好適には、前記シート間隔が拡大または縮小するように前記制御装置が減速または加速させる前記搬送部材は、前記第2シートを搬送している搬送部材である。
【0010】
好適には、前記シート間隔が拡大または縮小するように前記制御装置が減速または加速させる前記搬送部材は、前記第2シートを搬送している搬送部材よりも下流側に位置する搬送部材である。
【0011】
好適には、前記制御装置は、減速または加速させている前記搬送部材が前記第2シートを搬送し終えると、減速前または加速前の速度に戻るように前記搬送部材を制御する。
【0012】
好適には、前記制御装置は、前記シート間隔と前記目標値との差分が所定の閾値未満になるまで、前記第2シートを搬送している複数の前記搬送部材を順次に減速または加速させる。
【0013】
好適には、前記制御装置は、前記搬送部材を減速または加速させた回数を前記搬送部材ごとにカウントしておき、カウントした回数が規定回数以上となった搬送部材についてアラートを表示するように前記画像形成装置に通知する。
【0014】
好適には、前記中継搬送路は複数の搬送区画によって区分されており、前記制御装置は、前記シート間隔が前記目標値よりも小さければ前記シート間隔を拡げるように前記搬送区画に含まれる複数の搬送部材を減速させ、前記シート間隔が前記目標値よりも大きければ前記シート間隔を縮めるように前記搬送区画に含まれる複数の搬送部材を加速させる。
【0015】
また、本発明に係る画像形成システムは、シートに画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置によって画像を形成されたシートを排出する排出装置と、前記画像形成装置と前記排出装置とを中継する中継搬送装置と、を備え、前記中継搬送装置は、前記画像形成装置と前記排出装置との間に配置され、前記画像形成装置から前記排出装置へとシートを搬送する中継搬送路と、前記中継搬送路に沿って設けられ、前記中継搬送路の上流側から下流側へとシートを搬送する複数の搬送部材と、前記中継搬送路に沿って設けられ、前記搬送部材によって前記中継搬送路上を搬送されるシートを検知する検知部材と、第1シートと、前記第1シートより上流側に位置する第2シートと、が前記中継搬送路上を搬送されている状態において、前記検知部材による前記第1シートの検知終了から前記第2シートの検知開始までのシート間隔と、所定の目標値とを比較し、前記シート間隔が前記目標値よりも小さければ前記シート間隔を拡げるように前記搬送部材を減速させ、前記シート間隔が前記目標値よりも大きければ前記シート間隔を縮めるように前記搬送部材を加速させる制御装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、中継搬送装置におけるシート間隔のばらつきをシート搬送中に適切に補正することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムを示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る中継搬送装置が備える制御装置を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る画像形成システムとシート搬送を概念的に示す模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る中継搬送装置おけるシート間隔に関する説明図である。
図5】本発明の一実施形態に係る中継搬送装置おけるシート間隔に関する説明図である。
図6】本発明の一実施形態に係る補正処理のフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る中継搬送装置おける補正処理の説明図である。
図8】本発明の一実施形態に係る中継搬送装置おける補正処理の説明図である。
図9】本発明の一実施形態に係る中継搬送装置おける補正処理の説明図である。
図10】本発明の一実施形態に係る中継搬送装置おける補正処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る画像形成システムについて説明する。各図に適宜付される矢印L、R、U、Loは、それぞれ、画像形成システムの左側、右側、上側、下側を示している。以下、「上流(側)」又は「下流(側)」と記載する場合には、画像形成システム内におけるシートの搬送方向における「上流(側)」又は「下流(側)」を示す。
【0019】
1.画像形成システムの構成
図1を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成システム1について説明する。以下、説明の便宜上、図1における紙面手前側を画像形成システム1の前側と定義する。
【0020】
図1に示すように、画像形成システム1は、シートSに画像を形成する画像形成装置2と、画像形成装置2によって画像を形成されたシートSが排出される後処理装置3(排出装置)と、画像形成装置2と後処理装置3を中継する中継搬送装置4と、を備える。
【0021】
1−1.画像形成装置の構成
図1に示すように、画像形成装置2は、箱型の装置本体20と、装置本体20の下部に収容された複数の給紙部21と、装置本体20の上部に収容された画像形成部22と、を備える。画像形成装置2の装置本体20の内部には、シートSを搬送するための上流側搬送路Xが設けられる。上流側搬送路Xの下流端部には上流側排出口24が設けられる。上流側排出口24は、装置本体20の左側面(中継搬送装置4側の面)の上部に開口する。
【0022】
画像形成装置2の複数の給紙部21は、上流側搬送路Xの上流端部に配置される。複数の給紙部21は、上下方向に並んでいる。各給紙部21は、シートSを収容する給紙カセット25と、給紙カセット25の右上側に配置された給紙機構26と、を備える。シートSは、非限定的に例示列挙すると、紙製、合成樹脂製又は布製である。
【0023】
画像形成装置2の画像形成部22は、上流側搬送路Xの下流部に配置される。画像形成部22は、インクジェット方式を採用する。画像形成部22は、搬送ベルト27と、搬送ベルト27の上方に配置された4個の記録ヘッド28と、を備える。搬送ベルト27は、複数のローラー29に巻き掛けられることで、複数のローラー29に回転可能に支持される。各記録ヘッド28は、それぞれ異なる色のインクを吐出可能に設けられる。
【0024】
なお、インクジェット方式に代えて、電子写真方式による画像形成部22を採用することも可能であることは、当然に理解される。
【0025】
また、画像形成装置2は、不図示の制御装置と、ユーザーに対して情報を提示すると共にユーザーからの指示操作を受け付けるタッチパネル23とを備える。
【0026】
1−2.画像形成装置の動作
各給紙部21において給紙機構26が給紙カセット25からシートSを取り出し、上流側搬送路Xへと送り出す。上流側搬送路Xへと送り出されたシートSは、上流側搬送路Xを下流側へと搬送され、画像形成部22に進入する。画像形成部22に進入したシートSは、搬送ベルト27の上面に吸着され、搬送ベルト27の回転に伴って下流側へと搬送される。各記録ヘッド28は、搬送ベルト27の上面に吸着されたシートSに対して、上方からインクを吐出する。これにより、シートSに画像が形成される。画像を形成されたシートSは、上流側搬送路Xを更に下流側へと搬送され、上流側排出口24を介して上流側搬送路Xから排出される。
【0027】
1−3.後処理装置の構成
図1に示すように、後処理装置3は、ケーシング30と、ケーシング30の左側面から突出する複数の排出トレイ31ないし33と、ケーシング30に収容された複数の後処理機構34ないし36と、を備える。後処理装置3は、一般的に、フィニッシャーとも呼称される装置である。
【0028】
後処理装置3のケーシング30の内部には、シートSを搬送するための下流側搬送路Yが設けられる。下流側搬送路Yは、第1経路Y1と、第1経路Y1の上流部から分岐する第2経路Y2と、第1経路Y1の中流部から分岐する第3経路Y3と、を含む。第1経路Y1の上流端部には、下流側導入口38が設けられる。下流側導入口38は、ケーシング30の右側面(中継搬送装置4側の面)の上部に開口する。
【0029】
後処理装置3の複数の排出トレイ31ないし33は、第1経路Y1の下流端部に配置された第1排出トレイ31と、第2経路Y2の下流端部に配置された第2排出トレイ32と、第3経路Y3の下流端部に配置された第3排出トレイ33と、を含む。
【0030】
後処理装置3の複数の後処理機構34ないし36は、第1経路Y1の上流部に配置されたパンチング機構34と、第1経路Y1と第3経路Y3の分岐部に配置されたステイプル機構35と、第1経路Y1の下流部に配置されたシート折り機構36と、を含む。
【0031】
1−4.後処理装置の動作
画像形成装置2によって画像を形成されたシートSが中継搬送装置4(詳細は後述)から後処理装置3に排出されると、シートSが下流側導入口38を介して第1経路Y1に導入される。第1経路Y1に導入されたシートSは、パンチング機構34に進入する。パンチング機構34は、必要に応じて、シートSに穿孔処理を施す。パンチング機構34を通過したシートSの1枚目は、第2経路Y2に進入し、第2経路Y2の下流端部から第2排出トレイ32に排出される。パンチング機構34を通過したシートSの2枚目は、第1経路Y1を更に下流側へと搬送されて、ステイプル機構35に進入する。ステイプル機構35は、必要に応じて、シートSにステイプル処理を施す。
【0032】
ステイプル機構35を通過したシートSの1枚目は、第3経路Y3に進入し、第3経路Y3の下流端部から第3排出トレイ33に排出される。ステイプル機構35を通過したシートSの2枚目は、第1経路Y1を更に下流側へと搬送されて、シート折り機構36に進入する。シート折り機構36は、必要に応じて、シートSに折り処理を施す。シート折り機構36を通過したシートSは、第1経路Y1の下流端部から第1排出トレイ31に排出される。
【0033】
1−5.中継搬送装置の構成
図1に示すように、中継搬送装置4は、画像形成装置2及び後処理装置3とは別体に設けられる。中継搬送装置4は、画像形成装置2及び後処理装置3に対して着脱可能に連結される。中継搬送装置4は、一般的に、ブリッジユニットとも呼称される装置である。
【0034】
中継搬送装置4は、筐体40と、筐体40の上部と右側部にそれぞれ収容された第1、第2反転ユニット41、42と、筐体40の右下部に収容されたカール矯正ユニット43と、筐体40の下部に収容された第1、第2補正ユニット44、45と、筐体40の底壁の四隅に取り付けられた高さ調整ユニット47と、を備えている。各ユニット41ないし45は、上流側から順番に、各反転ユニット41/42、カール矯正ユニット43、各補正ユニット44/45の順序で配置されている。
【0035】
中継搬送装置4の筐体40の内部には、シートSを搬送するための中継搬送路Zが設けられる。中継搬送路Zは、メイン経路Z1と、第1サブ経路Z2と、第2サブ経路Z3と、エスケープ経路Z4と、を含む。なお、図1では、メイン経路Z1を太線で表示し、第1サブ経路Z2、第2サブ経路Z3及びエスケープ経路Z4を点線で表示している。
【0036】
中継搬送路Zのメイン経路Z1は、画像形成装置2の上流側搬送路Xと後処理装置3の下流側搬送路Yの間に配置されており、上流側搬送路Xから下流側搬送路Yへとシートを搬送するための経路である。
【0037】
メイン経路Z1の上流端部には、中継導入口50が設けられている。中継導入口50は、筐体40の右側面(画像形成装置2側の面)の上部に開口し、画像形成装置2の上流側排出口24と対向する。メイン経路Z1の下流端部には、中継排出口51が設けられる。中継排出口51は、筐体40の左側面(後処理装置3側の面)の上部に開口し、後処理装置3の下流側導入口38と対向する。
【0038】
中継搬送路Zのメイン経路Z1は、上流側分岐点UBにおいて、第1反転経路I1と第2反転経路I2に分岐する。第1反転経路I1と第2反転経路I2は、上流側分岐点UBの下流側に設けられた上流側合流点UJにおいて合流する。メイン経路Z1は、上流側合流点UJの下流側に設けられた下流側分岐点DBにおいて、第1補正経路C1と第2補正経路C2に分岐する。第1補正経路C1と第2補正経路C2は、下流側分岐点DBの下流側に設けられた下流側合流点DJにおいて合流する。
【0039】
中継搬送路Zの第1サブ経路Z2は、メイン経路Z1の第1反転経路I1から分岐し、メイン経路Z1の下流端部に合流する。第1サブ経路Z2は、筐体40の内部空間の上部に設けられる。
【0040】
中継搬送路Zの第2サブ経路Z3は、メイン経路Z1の第1反転経路I1から分岐する。第2サブ経路Z3の下流端部には、補助トレイ52が配置される。補助トレイ52は、筐体40の上面に設けられる。
【0041】
中継搬送路Zのエスケープ経路Z4は、下流側合流点DJの下流側において、メイン経路Z1から分岐する。エスケープ経路Z4の下流端部には、エスケープトレイ53が配置される。エスケープトレイ53は、筐体40の胴内に設けられる。
【0042】
中継搬送装置4の第1反転ユニット41は、メイン経路Z1の第1反転経路I1上に配置され、中継搬送装置4の第2反転ユニット42は、メイン経路Z1の第2反転経路I2上に配置される。つまり、第1、第2反転ユニット41、42は、メイン経路Z1上に並列に配置されている。
【0043】
第1、第2反転ユニット41、42は、それぞれ、反転領域55と、反転領域55の上流部に配置される2組の反転ローラー対56と、を備える。第1反転ユニット41の反転領域55の上流部は、第1サブ経路Z2の上流部と重なっている。つまり、第1反転ユニット41の反転領域55は、第1サブ経路Z2と一部を共用する。なお、図1の符号Wは、第1反転ユニット41の反転領域55と第1サブ経路Z2の共用部分(以下、「共用部分W」と称する。)を示す。共用部分Wの下流側(左側)には第1分岐爪58が設けられ、共用部分Wの上流側(右側)には、第2分岐爪59が設けられる。
【0044】
中継搬送装置4のカール矯正ユニット43は、メイン経路Z1の上流側合流点UJと下流側分岐点DBの間に配置される。カール矯正ユニット43は、第1、第2反転ユニット41、42の下流側に配置される。カール矯正ユニット43は、第1カール矯正機構61と、第1カール矯正機構61の下流側に設けられる第2カール矯正機構62と、第2カール矯正機構62の下流側に設けられる第3カール矯正機構63と、を備える。
【0045】
中継搬送装置4の第1補正ユニット44は、メイン経路Z1の第1補正経路C1上に配置され、第2補正ユニット45は、メイン経路Z1の第2補正経路C2上に配置される。つまり、第1、第2補正ユニット44、45は、メイン経路Z1上に並列に配置される。第1、第2補正ユニット44、45は、上下方向に並んでいる。第1、第2補正ユニット44、45は、第1、第2反転ユニット41、42及びカール矯正ユニット43の下流側に配置される。
【0046】
第1、第2補正ユニット44、45は、それぞれ、3組の切換ローラー対65と、3組の切換ローラー対65の下流側に配置された補正ローラー対66と、を備える。3組の切換ローラー対65と補正ローラー対66は、左右方向(水平方向)に間隔をおいて配置される。各切換ローラー対65の上側のローラーは、各切換ローラー対65の下側のローラーと共に各補正経路C1、C2に進入したシートSを挟み込むニップ位置(図1の実線参照)と、各補正経路C1、C2に進入したシートSに対する挟み込みを解除するニップ解除位置(図1の点線参照)と、の間で上下方向に移動可能に設けられる。補正ローラー対66は、前後方向(シートSの搬送方向と直交する方向)に移動可能に設けられる。
【0047】
なお、以下において、上記した反転ローラー対56、切換ローラー対65、補正ローラー対66、排出ローラー対69、および搬送ローラー対70を含む、中継搬送路Zに沿って設けられ、中継搬送路Zの上流側から下流側へとシートSを搬送するのに用いられるローラーを、搬送ローラーCRと総称する場合がある。搬送ローラーCRは、典型的にはローラー対によって構成されるが、第3カール矯正機構63内のローラー等、対として構成されないローラーをも含む概念である。
【0048】
中継搬送装置4の各高さ調整ユニット47は、画像形成システム1の設置面Qに載置されるキャスター71と、キャスター71を回転可能に支持する支持部材72と、支持部材72に固定されたボルト73と、ボルト73に螺合するナット74と、を備える。ボルト73は、筐体40の底壁を貫通する。ナット74は、筐体40の底壁の下面に当接する。
【0049】
中継搬送装置4は、複数のシート検知センサーSD(検知部材)を備える。シート検知センサーSDは、中継搬送路Zに沿って設けられ、搬送ローラーCRによって中継搬送路Z上を搬送されるシートSを検知する装置であり、例えば赤外線センサーによって構成される。シート検知センサーSDは、例えば、中継搬送路Z上の検知範囲内にシートSが存在する(シートSが検知範囲を通過している)場合にオン状態となり、検知範囲内にシートSが存在しない場合にオフ状態となる。各シート検知センサーSDの出力は、後述する中継制御装置80に入力される。
【0050】
図2に示すように、中継搬送装置4は、中継制御装置80(制御装置)を備える。中継制御装置80はマイクロコンピューターによって構成される装置であって、演算処理部81と記憶部82とを有する。演算処理部81はCPU(Central Processing Unit)としてのマイクロプロセッサーを備え、記憶部82はROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。ROMは読取り可能な記憶媒体であり、中継搬送装置4のブート処理や制御に用いられるプログラム等を格納する。後述するシート間隔INの目標値Tも記憶部82のROMに記憶される。RAMは読み書き可能な記憶媒体であり、主記憶装置として機能し、書き込んだ情報を記憶する。なお、記憶部82はフラッシュメモリー等の補助記憶装置をさらに備えてもよい。
【0051】
演算処理部81は、ROMに格納されたプログラムに従い、RAMに記憶された情報を参照して所定の処理を実行する。演算処理部81は、プログラムに従った処理によって実現される種々の機能ブロックを論理的に構成する。また、演算処理部81は、処理等によって得られた種々の情報を記憶部82に対して書き込む。
【0052】
中継制御装置80は、搬送ローラーCRおよびシート検知センサーSDを含む中継搬送装置4の各部に電気的に接続される。また、中継制御装置80は、画像形成装置2の制御装置(不図示)および後処理装置3の制御装置(不図示)に電気的に接続される。
【0053】
1−6.中継搬送装置の動作
画像を形成されたシートSが画像形成装置2の上流側搬送路Xから上流側排出口24を介して排出されると、シートSが中継導入口50を介してメイン経路Z1に導入される。なお、シートSは、所定の間隔を空けてメイン経路Z1へと連続的に導入される。
【0054】
メイン経路Z1へと連続的に導入されるシートSの1枚目は、第1反転経路I1に進入する。第1反転ユニット41は、以下のようにして、第1反転経路I1に進入したシートSの表裏を反転させる。
【0055】
まず、第1反転ユニット41の各反転ローラー対56が一方向に回転し、第1反転ユニット41の反転領域55にシートSを導入する。その際に、第1分岐爪58が第1反転ユニット41の反転領域55の下流部(共用部分Wよりも下流側の部分)へとシートSの先端部を分岐させる。次に、第1反転ユニット41の各反転ローラー対56が上記一方向とは逆方向に回転し、シートSをスイッチバックさせる。これにより、シートSの表裏が反転する。上記のようにスイッチバックされたシートSの先端部は、第2分岐爪59によって第1反転経路I1の下流側へと分岐され、上流側合流点UJへと案内される。
【0056】
メイン経路Z1へと連続的に導入されるシートSの2枚目は、第2反転経路I2に進入する。第2反転ユニット42は、第2反転経路I2に進入したシートSの表裏を反転させる。第2反転ユニット42がシートSの表裏を反転させる動作は、第1反転ユニット41がシートSの表裏を反転させる動作と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
なお、メイン経路Z1の上流側分岐点UBには、上流側分岐ガイド(図示せず)が設けられており、この上流側分岐ガイドによって、所定の間隔を空けてメイン経路Z1へと連続的に導入されるシートSが第1反転経路I1と第2反転経路I2に交互に導入される。これにより、第1反転ユニット41と第2反転ユニット42にシートSが交互に供給される。
【0058】
なお、所定の間隔を空けてメイン経路Z1へと連続的に導入されるシートSが、第1反転経路I1と第2反転経路I2とのいずれか一方に連続的に導入される構成も採用可能である。例えば、1つの印刷ジョブにて印字が指示される複数のシートSが、第1反転経路I1と第2反転経路I2とのいずれか一方に導入される構成も採用され得る。
【0059】
上記のように第1反転ユニット41又は第2反転ユニット42によって表裏を反転させられたシートSは、上流側合流点UJを通過し、カール矯正ユニット43に進入する。カール矯正ユニット43は、シートSのカールを矯正する。
【0060】
カールを矯正されたシートSの1枚目は、第1補正経路C1に進入する。第1補正ユニット44は、以下のようにして、第1補正経路C1に進入したシートSの前後方向(図1の手前−奥方向)の位置を補正する。
【0061】
まず、シート前後位置センサー(図示せず)がシートSの前後方向の位置を検知する。次に、第1補正ユニット44の各ローラー対65、66がシートSを挟み込んだ状態で、第1補正ユニット44の各ローラー対65、66の回転が一旦停止する。次に、第1補正ユニット44の各切換ローラー対65の上側のローラーがニップ位置(図1の実線参照)からニップ解除位置(図1の点線参照)まで移動する。
【0062】
次に、第1補正ユニット44の補正ローラー対66が、シートSを挟み込んだまま、上記シート前後位置センサーの検知結果に基づいて前後方向に移動する。例えば、シートSが基準位置から前側に1mmずれていることを上記シート前後位置センサーが検知した場合には、第1補正ユニット44の補正ローラー対66が後側に1mm移動する。逆に、シートSが基準位置から後側に1mmずれていることを上記シート前後位置センサーが検知した場合には、第1補正ユニット44の補正ローラー対66が前側に1mm移動する。これに伴って、シートSの前後方向の位置が補正される。
【0063】
なお、シートSの前後方向の位置が補正されると、第1補正ユニット44の各切換ローラー対65の上側のローラーがニップ解除位置(図1の点線参照)からニップ位置(図1の実線参照)まで移動する。次に、第1補正ユニット44の各ローラー対65、66の回転が再開される。
【0064】
上記のようにカール矯正ユニット43によってカールを矯正されたシートSの2枚目は、第2補正経路C2に進入する。第2補正ユニット45は、第2補正経路C2に進入したシートSの前後方向の位置を補正する。第2補正ユニット45がシートSの前後方向の位置を補正する動作は、第1補正ユニット44がシートSの前後方向の位置を補正する動作と同様であるため、説明を省略する。
【0065】
メイン経路Z1の下流側分岐点DBには、下流側分岐ガイド(図示せず)が設けられており、この下流側分岐ガイドによって、所定の間隔を空けてメイン経路Z1へと連続的に導入されるシートSが第1補正経路C1と第2補正経路C2に交互に導入される。これにより、第1補正ユニット44と第2補正ユニット45にシートSが交互に供給される。
【0066】
なお、複数のシートSが、第1補正経路C1と第2補正経路C2とのいずれか一方に連続的に導入される構成も採用可能である。例えば、1つの印刷ジョブにて印字が指示される複数のシートSが、第1補正経路C1と第2補正経路C2とのいずれか一方に導入される構成も採用され得る。
【0067】
上記のように第1補正ユニット44又は第2補正ユニット45によって前後方向の位置を補正されたシートSは、中継排出口51を介してメイン経路Z1から排出され、後処理装置3の下流側搬送路Yに下流側導入口38を介して進入する。
【0068】
2.シート間隔のばらつき
図3は、本実施形態の画像形成システム1を模式的に示した図である。改めて説明すると、画像形成システム1は、シートSに画像を形成する画像形成装置2と、画像形成装置2によって画像を形成されたシートSを排出する後処理装置3(排出装置)と、画像形成装置2と後処理装置3とを中継する中継搬送装置4と、を備える。画像形成装置2内で給紙されたシートSは、画像形成の後に排出されて中継搬送装置4に進入する。シートSは中継搬送装置4内の中継搬送路Zを搬送されて排出され、後処理装置3に進入する。シートSに対する後処理がなされた後、後処理装置3からシートSが排出される。
【0069】
図4および図5は、シート間隔INに関する説明図である。連続的に給紙されるシートSは、シート間隔INを空けて中継搬送路Z上を搬送される。シート間隔INは所定の目標値Tに近いほど好ましいが、実際には、搬送ローラーCR(搬送部材)の摩耗によるシートSの滑り等に起因してシート間隔INにばらつきが生じる。なお、シート間隔INは、中継制御装置80において、時間的な差分(時間差)として捉えられてもよいし、空間的な差分(距離)として捉えられてもよい。
【0070】
例えば、図4に示すように、シート間隔INが目標値Tよりも短い場合、後処理装置3における後処理が間に合わずに、シートSの後処理中に後続のシートSが後処理装置3に進入し、紙詰まりが発生してしまう可能性がある。
【0071】
他方、図5に示すように、シート間隔INが目標値Tよりも長い場合、後処理自体は問題なく実行されるものの、プリント処理の生産性が画像形成システム1の本来の仕様を充足しない可能性がある。
【0072】
したがって、本実施形態では、シート検知センサーSDの出力に基づいてシート間隔INを特定し、特定されたシート間隔INに応じて搬送ローラーCRを制御(減速または加速)することにより、シート間隔INを目標値Tに近付けるように補正を実行する。
【0073】
3.シート間隔の補正処理
図6は、本実施形態に係る中継搬送装置4におけるシート間隔INの補正処理のフローチャートである。中継搬送装置4に対して画像形成装置2からシートSが搬送されてくると、シートSの搬送処理と共にシート間隔INの補正処理が実行される。
【0074】
以下の例では、中継搬送路Z上を連続的に搬送されているシートSのうち、図7および図8に示す連続する2枚の第1シートS1と第2シートS2とに着目して補正処理を説明する。第2シートS2は、第1シートS1より中継搬送路Zの上流側に位置するシートSである。また、以下の例では、1つのシート検知センサーSDに着目して補正処理を説明するが、他のシート検知センサーSDの各々についても同様に処理が実行される。
【0075】
補正処理が開始すると、中継制御装置80の演算処理部81は、シート間隔INを取得する(ステップS101)。より具体的には、演算処理部81は、シート検知センサーSDによる第1シートS1の検知終了(図7)から第2シートS2の検知開始(図8)までの時間をシート間隔INとして取得し、記憶部82に記憶する。なお、演算処理部81は、第1シートS1の検知終了から第2シートS2の検知開始までの時間とシートSの搬送速度とに基づき、第1シートS1の後端部と第2シートS2の前端部との距離をシート間隔INとして取得してもよい。
【0076】
次いで、中継制御装置80の演算処理部81は、ステップS101で取得したシート間隔INと、記憶部82に記憶されている目標値Tとを比較する(ステップS102)。シート間隔INと目標値Tとの差分Δが閾値Th以上である場合(S102:YES)、演算処理部81は、シート間隔INの補正が必要であると判定し、処理をステップS103に進める。他方、上記した差分Δが閾値Th未満である場合(S102:NO)、演算処理部81は、シート間隔INの補正は必要ないと判定し、1つのシート検知センサーSD並びに第1シートS1および第2シートS2に係る補正処理を終了する。
【0077】
ステップS103において、中継制御装置80の演算処理部81は、シート間隔INが目標値Tよりも小さければ(S103:小さい)、処理をステップS104に進め、シート間隔INが目標値Tよりも大きければ(S103:大きい)、処理をステップS105に進める。ステップS104において、中継制御装置80の演算処理部81は、シート間隔INを拡げるように搬送ローラーCRを減速させる。他方、ステップS105において、中継制御装置80の演算処理部81は、シート間隔INを縮めるように搬送ローラーCRを加速させる。
【0078】
次いで、中継制御装置80の演算処理部81は、ステップS104またはS105において減速または加速させた搬送ローラーCRについて、加減速の回数(補正回数)をカウントアップする(ステップS106)。そして、演算処理部81は、ステップS106のカウントアップの結果、搬送ローラーCRの加減速の回数が規定回数以上となったか否かを判定する(ステップS107)。
【0079】
規定回数以上である場合(S107:YES)、中継制御装置80の演算処理部81は、その搬送ローラーCRについてアラートを表示するように画像形成装置2に通知する(ステップS108)。以上の通知を受けると、画像形成装置2の制御装置は、その搬送ローラーCRについて交換を促すアラートを、画像形成装置2のタッチパネル23に表示させる。
【0080】
すなわち、中継制御装置80は、搬送ローラーCRを減速または加速させた回数(補正回数)を搬送ローラーCRごとにカウントしておき、カウントした回数が規定回数以上となった搬送ローラーCRについて、アラートを表示するように画像形成装置2に通知する。なお、本実施形態における規定回数は、例えば、40回または50回である。
【0081】
規定回数未満である場合(S107:NO)、またはステップS108が完了した後、中継制御装置80の演算処理部81は、1つのシート検知センサーSD並びに第1シートS1および第2シートS2に係る補正処理を終了する。
【0082】
なお、上記したステップS104またはS105において、中継制御装置80が減速または加速させる搬送ローラーCRは、例えば、ステップS104またはS105の時点において第2シートS2を搬送している搬送ローラーCRである。
【0083】
或いは、中継制御装置80は、ステップS104またはS105において、第2シートS2を搬送している搬送ローラーCRよりも中継搬送路Zの下流側に位置する搬送ローラーCRを減速または加速させてもよい。
【0084】
なお、中継制御装置80が、以上の補正処理において、減速または加速させている搬送ローラーCRが第2シートS2を搬送し終えると、減速前または加速前の速度に戻るように搬送ローラーCRを制御すると好適である。
【0085】
また、中継制御装置80が、以上の補正処理において、シート間隔INと目標値Tとの差分Δが閾値Th未満になるまで、第2シートS2を搬送している複数の搬送ローラーCRを順次に減速または加速させると好適である。
【0086】
4.搬送区画を単位とした補正処理
上記した例では搬送ローラーCRごとに補正処理が実行されるが、中継搬送路Zを区分する搬送区画Pごとに補正処理が実行されてもよい。各搬送区画Pは、中継搬送路Zを区分し、複数の搬送ローラーCRを備える。
【0087】
改めて、図1を参照しつつ、搬送区画Pの構成例について説明する。中継搬送路Zは、例えば、4つの搬送区画Pによって区分される。第1搬送区画P1は、中継導入口50から上流側合流点UJまでの中継搬送路Zを含む区画である。第2搬送区画P2は、上流側合流点UJより下流側から下流側分岐点DBの手前までの中継搬送路Zを含む区画である。第3搬送区画P3は、下流側分岐点DBから下流側合流点DJまでの中継搬送路Zを含む区画である。第4搬送区画P4は、下流側合流点DJより下流側から中継排出口51までの中継搬送路Zを含む区画である。なお、本例では、いずれか一方の反転ユニット41,42およびいずれか一方の補正ユニット44,45にシートSが搬送される構成を想定している。そのため、各搬送区画P内の中継搬送路Zは単一である(並列でない)と想定できる。
【0088】
図9および図10を参照して、搬送区画Pを単位とした補正処理について説明する。基本的な動作は図6のフローチャートと同様である。ステップS101において、演算処理部81は、第1搬送区画P1内のシート検知センサーSDによる第1シートS1の検知終了(図9)から第2シートS2の検知開始(図10)までの時間を、シート間隔INとして取得し、記憶部82に記憶する。シート間隔INと目標値Tとの差分Δが閾値Th以上である場合(S102:YES)、演算処理部81は処理をステップS103に進める。
【0089】
シート間隔INが目標値Tよりも小さければ(S103:小さい)、演算処理部81は、シート間隔INを拡げるように第2搬送区画P2内の複数の搬送ローラーCRを減速させる(ステップS104)。また、シート間隔INが目標値Tよりも大きければ(S103:大きい)、演算処理部81は、シート間隔INを縮めるように第2搬送区画P2内の複数の搬送ローラーCRを加速させる(ステップS105)。
【0090】
なお、ステップS106において、中継制御装置80の演算処理部81が、ステップS104またはS105の加減速の要因となったシート検知センサーSDが存在する搬送区画Pについて、加減速の回数(補正回数)をカウントアップすると好適である。そして、演算処理部81は、ステップS106のカウントアップの結果、搬送区画Pに起因する加減速の回数が規定回数以上となったか否かを判定する(ステップS107)。規定回数以上である場合(S107:YES)、中継制御装置80の演算処理部81は、その搬送区画Pについてアラートを表示するように画像形成装置2に通知する(ステップS108)。以上の通知を受けると、画像形成装置2の制御装置は、その搬送区画Pに起因した補正が多数発生していることを示すアラートを、画像形成装置2のタッチパネル23に表示させる。
【0091】
5.本実施形態の技術的効果
上記した本実施形態では、画像形成装置2と後処理装置3との間に配置される中継搬送装置4が、画像形成装置2から後処理装置3へとシートを搬送する中継搬送路Zと、中継搬送路Zに沿って設けられ、中継搬送路Zの上流側から下流側へとシートSを搬送する複数の搬送ローラーCRと、中継搬送路Zに沿って設けられ、搬送ローラーCRによって中継搬送路Z上を搬送されるシートSを検知するシート検知センサーSDと、第1シートS1と、第1シートS1より上流側に位置する第2シートS2と、が中継搬送路Z上を搬送されている状態において、シート検知センサーSDによる第1シートS1の検知終了から第2シートS2の検知開始までのシート間隔INと、所定の目標値Tとを比較し、シート間隔INが目標値Tよりも小さければシート間隔INを拡げるように搬送ローラーCRを減速させ、シート間隔INが目標値Tよりも大きければシート間隔INを縮めるように搬送ローラーCRを加速させる中継制御装置80と、を備える。以上の構成によれば、シートSの搬送中に取得されたシート間隔INに基づいて搬送ローラーCRの加減速が制御されるので、中継搬送装置4におけるシート間隔INのばらつきをシートSの搬送中に適切に補正することが可能である。
【0092】
また、シート間隔INが拡大または縮小するように中継制御装置80が減速または加速させる搬送ローラーCRは、第2シートS2を搬送している搬送ローラーCRである構成によれば、現に第2シートS2を搬送している搬送ローラーCRを加減速するので、シート間隔INをより効果的かつ即時的に補正することが可能である。
【0093】
また、シート間隔INが拡大または縮小するように中継制御装置80が減速または加速させる搬送ローラーCRは、第2シートS2を搬送している搬送ローラーCRよりも下流側に位置する搬送ローラーCRである構成によれば、これから第2シートS2を搬送することになる搬送ローラーCRを加減速するので、より確実に(例えば、中継制御装置80による補正処理と搬送ローラーCRの実際の加減速との間にタイムラグがある場合であっても)、シート間隔INを補正することが可能である。
【0094】
また、中継制御装置80が、減速または加速させている搬送ローラーCRが第2シートS2を搬送し終えると、減速前または加速前の速度に戻るようにその搬送ローラーCRを制御する構成によれば、特定のシート間隔INの偏差が補正された後に搬送ローラーCRの速度が元に戻されるので、中継搬送装置4の制御の恒常性が維持される。
【0095】
また、中継制御装置80が、シート間隔INと目標値Tとの差分Δが所定の閾値Th未満になるまで、第2シートS2を搬送している複数の搬送ローラーCRを順次に減速または加速させる構成によれば、第1シートS1と第2シートS2とのシート間隔INが充分小さくなるまで搬送ローラーCRの速度補正が継続されるので、より確実にシート間隔INのばらつきを補正することが可能である。
【0096】
また、中継制御装置80が、搬送ローラーCRを減速または加速させた回数を搬送ローラーCRごとにカウントしておき、カウントした回数が規定回数以上となった搬送ローラーCRについてアラートを表示するように画像形成装置2に通知する構成によれば、減速または加速の回数(補正回数)が多い搬送ローラーCR、すなわち劣化が進行していると想定される搬送ローラーCRについてアラートが表示されるので、交換すべき搬送ローラーCRがユーザーに明らかとなる。したがって、中継搬送装置4のメンテナンス性を向上させることが可能である。
【0097】
また、中継搬送路Zが複数の搬送区画Pによって区分されており、中継制御装置80が、シート間隔INが目標値Tよりも小さければシート間隔INを拡げるように搬送区画Pに含まれる複数の搬送ローラーCRを減速させ、シート間隔INが目標値Tよりも大きければシート間隔INを縮めるように搬送区画Pに含まれる複数の搬送ローラーCRを加速させる構成によれば、搬送区画Pごとに搬送ローラーCRが制御されるので、個々の搬送ローラーCRを個別に制御する構成と比較して、より簡易に制御を実現できる。
【0098】
上記した実施形態の構成によれば、画像形成装置2と後処理装置3と中継搬送装置4とを備えた画像形成システム1が実現される。
【0099】
6.変形例
上記した実施形態に係る反転ユニットは、反転領域に導入されたシートをスイッチバックさせることで、シートの表裏を反転させている。一方で、他の異なる実施形態に係る反転ユニットは、ループ状の反転経路に沿ってシートを周回させることで、シートの表裏を反転させても良い。このように、反転ユニットは、シートの表裏を反転させることができるものであれば、どのような構成を採用しても良い。
【0100】
上記した実施形態に係る補正ユニットは、シートを挟み込んだ補正ローラー対を移動させることで、シートの搬送方向と直交する方向におけるシートの位置を補正している。一方で、他の異なる実施形態に係る補正ユニットは、シートの両側部に一対のカーソルを当接させることで、シートの搬送方向と直交する方向におけるシートの位置を補正しても良い。このように、補正ユニットは、シートの搬送方向と直交する方向におけるシートの位置を補正できるものであれば、どのような構成を採用しても良い。
【0101】
上記した実施形態では、後処理機構を備えた後処理装置(いわゆるフィニッシャー)を排出装置として用いている。一方で、他の異なる実施形態では、後処理機構を備えていないシート積載装置(いわゆるスタッカー)を排出装置として用いても良い。
【符号の説明】
【0102】
1 画像形成システム
2 画像形成装置
3 後処理装置(排出装置の一例)
4 中継搬送装置
80 中継制御装置(制御装置の一例)
CR 搬送ローラー
S シート
SD シート検知センサー(検知部材の一例)
Z 中継搬送路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10