特許第6863336号(P6863336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863336
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/10 20060101AFI20210412BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20210412BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20210412BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20210412BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   G08B25/10 A
   G08B25/04 K
   G08B21/02
   H04M11/00 301
   H04M11/04
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-99267(P2018-99267)
(22)【出願日】2018年5月24日
(65)【公開番号】特開2019-204301(P2019-204301A)
(43)【公開日】2019年11月28日
【審査請求日】2020年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194146
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(72)【発明者】
【氏名】川口 智也
【審査官】 西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−221267(JP,A)
【文献】 特開2007−193710(JP,A)
【文献】 特開2008−003690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F19/00
G06Q10/00−10/10
30/00−30/08
50/00−99/00
G08B19/00−31/00
G16H10/00
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が所持する対象者端末と、前記対象者端末の位置を監視する見守り監視装置と、前記対象者を見守る見守り者が所持する見守り者端末とがネットワークによって接続されている監視システムであって、
前記対象者端末は、
現在位置を計測する位置計測部と、
前記位置計測部によって計測された現在位置を位置情報として前記見守り監視装置に送信する位置情報送信部とを具備し、
前記見守り監視装置は、
複数の前記対象者端末から受信した位置情報を位置蓄積情報として記憶する位置蓄積情報記憶部を具備し、
前記見守り監視装置もしくは前記見守り者端末は、
前記対象者端末から受信した位置情報に基づいて、前記対象者端末の予定ルートからの逸脱距離を計測する逸脱距離計測部と、
前記位置蓄積情報に基づいて、予定ルートを逸脱した前記対象者端末の周辺に存在する他の前記対象者端末を検索する蓄積情報検索部と、
予定ルートを逸脱した前記対象者端末の前記逸脱距離が予め設定された閾移動距離以上であり、且つ周辺に他の前記対象者端末が存在しない場合、ルート異常と判断して前記見守り者端末から前記見守り者に報知させるルート監視部とを具備し、
前記見守り監視装置もしくは前記見守り者端末は、
出発地点からの出発時刻と到着地点への到着時刻とが設定されたスケジュール情報を記憶するスケジュール記憶部と、
前記スケジュール情報及び地図情報に基づいて、前記出発地点から前記到着地点までの予定ルートを算出し、算出した予定ルートを通って前記到着時刻までに前記到着地点に着ける出発限界時刻を算出するルート算出部と、
前記対象者端末が前記出発限界時刻に到達しても前記出発地点に位置する場合、スケジュール異常と判断して前記見守り者端末から前記見守り者に報知させるスケジュール監視部とを具備することを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記ルート監視部は、予定ルートを逸脱した前記対象者端末の前記逸脱距離が前記閾移動距離以上であり、且つ周辺に他の前記対象者端末が存在する場合、周辺に存在する他の前記対象者端末の情報を前記見守り者端末から前記見守り者に報知させることを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見守り対象者を位置情報に基づいて監視する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やスマートフォン等の携帯端末の移動状態を検出し、検出した携帯端末の移動状態が記憶された移動状態の条件に合致する場合に、対応する報知先へ合致した旨の情報を報知する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−197739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、移動状態の条件として報知条件テーブルに危険エリアを予め設定しておく必要がある。報知条件テーブルに危険エリアを登録するためには、そのエリアが危険か否かを予め把握しなければならない。しかしながら、どのような場所を危険エリアとして設定するかの判断が難しいという問題点があった。例えば、児童が公園で遊ぶことを想定した場合、複数人の子どもで遊んでいれば誘拐される危険性を低減させられると考えられて安全エリアとなるが、一人で遊んでいれば誘拐される危険性が増して危険エリアとなる。
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、受信した位置情報に基づいて危険度を正確に判断することができる監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の監視システムは、対象者が所持する対象者端末と、前記対象者端末の位置を監視する見守り監視装置と、前記対象者を見守る見守り者が所持する見守り者端末とがネットワークによって接続されている監視システムであって、前記対象者端末は、現在位置を計測する位置計測部と、前記位置計測部によって計測された現在位置を位置情報として前記見守り監視装置に送信する位置情報送信部とを具備し、前記見守り監視装置は、複数の前記対象者端末から受信した位置情報を位置蓄積情報として記憶する位置蓄積情報記憶部を具備し、前記見守り監視装置もしくは前記見守り者端末は、前記対象者端末から受信した位置情報に基づいて、前記対象者端末の予定ルートからの逸脱距離を計測する逸脱距離計測部と、前記位置蓄積情報に基づいて、予定ルートを逸脱した前記対象者端末の周辺に存在する他の前記対象者端末を検索する蓄積情報検索部と、予定ルートを逸脱した前記対象者端末の前記逸脱距離が予め設定された閾移動距離以上であり、且つ周辺に他の前記対象者端末が存在しない場合、ルート異常と判断して前記見守り者端末から前記見守り者に報知させるルート監視部とを具備し、前記見守り監視装置もしくは前記見守り者端末は、出発地点からの出発時刻と到着地点への到着時刻とが設定されたスケジュール情報を記憶するスケジュール記憶部と、前記スケジュール情報及び地図情報に基づいて、前記出発地点から前記到着地点までの予定ルートを算出し、算出した予定ルートを通って前記到着時刻までに前記到着地点に着ける出発限界時刻を算出するルート算出部と、前記対象者端末が前記出発限界時刻に到達しても前記出発地点に位置する場合、スケジュール異常と判断して前記見守り者端末から前記見守り者に報知させるスケジュール監視部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、予定ルートを逸脱した対象者が1人か否かを判断でき、受信した位置情報に基づいて危険度を正確に判断することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る監視システムの実施の形態の概略構成を示すシステム構成図である。
図2図1に示す対象者端末を所持する対象者の予定ルート例を示す図である。
図3図1に示す見守り監視装置の構成を示すブロック図である。
図4図1に示す対象者端末及び見守り者端末の構成を示すブロック図である。
図5図1に示す見守り監視装置のスケジュール監視動作を説明するフローチャートである。
図6図1に示す見守り監視装置のルート監視動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付してある。
【0010】
本実施の形態の監視システムは、図1を参照すると、見守り監視装置10と、対象者端末30、30〜30と、見守り者端末50、50〜50とがインターネット等のネットワーク60によって接続されている。本実施の形態の監視システムでは、対象者端末30、30〜30を高齢者や年少者(例えば、児童)等の見守りの対象者にそれぞれ所持してもらい、対象者端末30、30〜30の位置をそれぞれの対象者の位置として、見守り監視装置10によって見守り監視する。そして、見守り監視装置10は、対象者の行動を見守る身守り者が所持する見守り者端末50、50〜50に監視状況を通知する。
【0011】
対象者端末30と、対象者端末30〜30とは同様の構成である。また、見守り者端末50と、見守り者端末50〜50とは同様の構成である。以下、対象者Aが対象者端末30を、対象者Aを見守る身守り者Bが見守り者端末50を所持するものとして説明する。
【0012】
見守り監視装置10は、サーバー等の情報処理装置である。見守り監視装置10は、クラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバーで構成しても良い。見守り監視装置10は、図3を参照すると、ネットワーク部11と、記憶部12と、制御部13とを備えている。
【0013】
ネットワーク部11は、ネットワーク60を介して、対象者端末30、30〜30、見守り者端末50、50〜50と各種データを送受信する機能を有する。
【0014】
記憶部12は、半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段である。
記憶部12には、位置蓄積情報14が記憶されると共に、対象者情報15と、見守り者情報16と、スケジュール情報17と、地図情報18とが記憶されている。
【0015】
位置蓄積情報14は、対象者端末30、30〜30から受信した位置情報が、受信時刻と共に蓄積される。
【0016】
対象者情報15は、対象者の属性情報であり、対象者端末30の端末IDと紐づけられている。例えば、対象者が児童である場合、学年やクラスが属性情報として登録される。
【0017】
見守り者情報16は、見守り者の連絡先を示す情報であり、対象者端末30の端末IDと紐づけられて、見守り者端末50の端末IDが登録されている。
【0018】
スケジュール情報17は、対象者毎のスケジュールを示す情報であり、対象者端末30の端末IDと紐づけられている。対象者の行動予定に応じて、出発地点の位置情報(経度緯度)、出発時刻、到着地点の位置情報(経度緯度)、到着時刻がスケジュールとして登録される。図2は、対象者Aの予定ルートを示す図であり、この場合、対象者Aの自宅の位置情報(経度緯度)と、自宅からの出発時刻と、学校の位置情報(経度緯度)と、学校の始業時刻とがスケジュール情報17として設定される。
【0019】
地図情報18は、見守り監視を行うエリアの地図である。なお、地図情報18は、ネットワーク60を介して取得するようにしても良い。
【0020】
制御部13は、ネットワーク部11及び記憶部12にそれぞれ接続され、見守り監視装置10全体の動作制御を実行する。制御部13は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の演算処理回路である。ROMには見守り監視装置10の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部13のCPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、位置情報受信部21、スケジュール監視部22、ルート算出部23、ルート監視部24、逸脱距離計測部25及び蓄積情報検索部26として機能する。
【0021】
位置情報受信部21は、対象者端末30、30〜30から受信した位置情報を位置蓄積情報14として記憶部12に記憶させる。
【0022】
スケジュール監視部22は、以下で説明するスケジュール監視動作を実行する。
【0023】
ルート算出部23は、スケジュール情報17と地図情報18とに基づいて、図2に太線で示すように、出発地点から到着地点までの予定ルートRを算出する。また、ルート算出部23は、算出した予定ルートRを通って到着時刻までに到着地点に着ける出発限界時刻を算出する。
【0024】
ルート監視部24は、以下で説明するルート監視動作を実行する。
【0025】
逸脱距離計測部25は、受信した位置情報と、地図情報18とに基づいて、スケジュール監視動作においてルート算出部23が算出した予定ルートRからの逸脱距離Lを計測する
【0026】
蓄積情報検索部26は、位置蓄積情報14を用いて、対象者Aの現在位置Aの周辺(例えば、10m以内)に位置する他の対象者端末30〜30を検索する。
【0027】
対象者端末30は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の位置検出機能を有する携帯端末であり、見守りの対象者に所持してもらう端末である。対象者端末30は、図4を参照すると、表示部及び入力部として機能するタッチパネル等の操作部31と、スピーカー等の音声出力部32と、モーター等の振動発生部33と、GPS通信部34と、ネットワーク部35と、制御部36とを備えている。
【0028】
GPS通信部34は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を利用して現在位置(緯度経度)を定期的に計測する位置計測部として機能する。
【0029】
ネットワーク部35は、ネットワーク60を介して、見守り監視装置10と各種データを送受信する機能を有する。
【0030】
制御部36は、操作部31、音声出力部32、振動発生部33、GPS通信部34及びネットワーク部35にそれぞれ接続され、対象者端末30全体の動作制御を実行する。制御部36は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の演算処理回路である。ROMには対象者端末30の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部36のCPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、位置情報送信部37として機能する。
【0031】
位置情報送信部37は、GPS通信部34によって計測された位置情報と、対象者端末30の装置識別子である端末IDと、位置情報の検出時刻とを、ネットワーク60経由で見守り監視装置10に送信する。
【0032】
なお、位置情報送信部37は、少なくとも1つ前に計測された位置情報を記憶しており、検出された位置情報が前回と変化がない場合には、見守り監視装置10に送信しない。
【0033】
また、位置情報送信部37は、少なくとも1つ前に見守り監視装置10に送信した位置情報を記憶しており、検出された位置情報との変位距離が閾変位距離以上の場合に送信を行うようにしても良い。この場合、閾変位距離は、出発地点から到着地点までの道のりの長さに基づいて、道のりが長くなるほど、閾変位距離を大きい値に設定しても良い。
【0034】
なお、位置情報送信部37は、見守り監視装置10からスケジュール異常通知やルート異常通知を受信した場合、変位距離が閾変位距離未満であっても位置情報を見守り監視装置10に送信する。
【0035】
見守り者端末50は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の位置検出機能を有する携帯端末であり、対象者の行動を見守る身守り者に所持してもらう端末である。見守り者端末50は、図4を参照すると、表示部及び入力部として機能するタッチパネル等の操作部51と、ネットワーク部52と、制御部53とを備えている。
【0036】
ネットワーク部52は、ネットワーク60を介して、見守り監視装置10と各種データを送受信する機能を有する。
【0037】
制御部53は、操作部51及びネットワーク部52にそれぞれ接続され、見守り者端末50全体の動作制御を実行する。制御部53は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の演算処理回路である。ROMには見守り者端末50の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部53のCPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、蓄積情報出力部54として機能する。
【0038】
蓄積情報出力部54は、受信した対象者Aの位置蓄積情報14及び地図情報18に基づいて、地図上に対象者Aの現在位置や足跡を可視化情報(例えば、アイコン、線等)として重畳し、操作部51に表示させる。
【0039】
次に、本実施の形態の監視システムによるスケジュール監視動作について図5を参照して詳細に説明する。
スケジュール監視部22は、対象者Aのスケジュール情報17に設定されている出発時刻に近づくと、位置蓄積情報14を参照して対象者端末30が出発地点から移動しているか否かを判断する(ステップS101)。
【0040】
図2に示すAのように、ステップS101で出発地点から移動している場合、対象者が予定通りに出発したと判断し、ルート算出部23は、スケジュール情報17と地図情報18とに基づいて、図2に太線で示すように、出発地点から到着地点までの予定ルートRを算出する(ステップS102)。
【0041】
そして、ルート監視部24がルート監視動作を開始し(ステップS103)、スケジュール監視部22は、スケジュール監視動作を終了する。
【0042】
図2に示すAのように、ステップS101で出発地点から移動していない場合、スケジュール監視部22は、対象者端末30からの位置情報の受信を待機すると共に(ステップS104)、出発時刻への到達を待機する(ステップS105)。
【0043】
ステップS104で対象者端末30から位置情報を受信した場合、対象者Aは、予定通りに出発地点から出発したことを意味し、ステップS102に至る。
【0044】
ステップS105で出発時刻に到達すると、スケジュール監視部22は、対象者端末30にスケジュール異常通知を送信する(ステップS106)。
【0045】
これにより、スケジュール異常通知を受信した対象者端末30の制御部36は、操作部31への表示や、音声出力部32からの音声出力や、振動発生部33による振動によって、対象者Aにスケジュール異常、すなわち出発時刻を過ぎたことを報知する。また、スケジュール異常通知の受信により、位置情報送信部37は、変位距離が閾変位距離未満であっても定期的に位置情報を見守り監視装置10に送信する。
【0046】
次に、ルート算出部23は、スケジュール情報17と地図情報18とに基づいて、図2に太線で示すように、出発地点から到着地点までの予定ルートRを算出し、算出した予定ルートRを通って到着時刻までに到着地点に着ける出発限界時刻を算出する(ステップS107)。なお、対象者Aの移動速度は予め設定されているものとする。
【0047】
次に、スケジュール監視部22は、対象者端末30からの位置情報の受信を待機すると共に(ステップS108)、ステップS104で算出した出発限界時刻への到達を待機する(ステップS109)。
【0048】
ステップS105で位置情報を受信すると、スケジュール監視部22は、対象者端末30が出発地点から移動しているか否かを判断する(ステップS110)。
【0049】
ステップS110で出発地点から移動していない場合、スケジュール監視部22は、ステップS108に戻って、対象者端末30からの次の位置情報の受信を待機する。
【0050】
ステップS102で対象者端末30が出発地点から移動している場合、対象者Aは、出発時間は遅れたが到着時刻には到着地点に着けることを意味し、ステップS102に至る。
【0051】
対象者Aが出発地点から出発することなく、ステップS109で出発限界時刻に到達すると、スケジュール監視部22は、見守り者端末50にスケジュール異常通知を送信し(ステップS111)、スケジュール監視動作を終了する。
【0052】
これにより、スケジュール異常通知を受信した見守り者端末50の制御部53は、操作部51に対象者Aが出発限界時刻を過ぎても出発していないことを示すメッセージを表示させ、見守り者Bにスケジュール異常を報知する。
【0053】
次に、本実施の形態の監視システムによるルート監視動作について図6を参照して詳細に説明する。
ルート監視部24は、対象者端末30からの位置情報の受信を待機する(ステップS201)。
【0054】
ステップS104で対象者端末30からの位置情報を受信すると、逸脱距離計測部25は、受信した位置情報と、地図情報18とに基づいて、スケジュール監視動作においてルート算出部23が算出した予定ルートRからの逸脱距離Lを計測する(ステップ202)。なお、本実施の形態では、図2に示すL、Lのように、逸脱距離Lは予定ルートRからの道のりとしたが、直線距離としても良い。
【0055】
次に、ルート監視部24は、ステップ202で計測した逸脱距離L=0か否かを判断する(ステップ203)。なお、予定ルートRは、誤差等を鑑みてある程度の面積を有する情報であり、逸脱距離L=0である場合には、図2に示すAのように、対象者Aが予定ルートR上にいることを意味する。
【0056】
ステップ203で逸脱距離L=0の場合、ルート監視部24は、対象者端末30が到着地点に到着したか否かを判断し(ステップS204)、対象者端末30が到着地点に到着した場合、ルート監視動作を終了する。
【0057】
ステップS204で対象者端末30が到着地点に到着していない場合、ルート監視部24は、ステップS201に戻って位置情報の受信を待機する。
【0058】
ステップ203で逸脱距離L=0でない場合、ルート監視部24は、逸脱距離Lが予め設定された閾移動距離Lth未満であるか否かを判断する(ステップS205)。
【0059】
対象者Aの現在位置が図2に示すAで、ステップS205で逸脱距離Lが予め設定された閾移動距離Lth未満である場合、ルート監視部24は、対象者端末30にルート異常通知を送信し(ステップS206)、ステップS201に戻る。
【0060】
これにより、ルート異常通知を受信した対象者端末30の制御部36は、操作部31への表示や、音声出力部32からの音声出力や、振動発生部33による振動によって、対象者Aにルート異常、すなわち予定ルートRから外れていることを報知する。また、ルート異常通知の受信により、位置情報送信部37は、変位距離が閾変位距離未満であっても定期的に位置情報を見守り監視装置10に送信する。
【0061】
対象者Aの現在位置が図2に示すAで、ステップS205で逸脱距離Lが予め設定された閾移動距離Lth以上である場合、蓄積情報検索部26は、位置蓄積情報14を用いて、対象者Aの現在位置Aの周辺(例えば、10m以内)に位置する他の対象者端末30〜30を検索する(ステップS207)。
【0062】
次に、ルート監視部24は、ステップS207の検索結果に基づいて、他の対象者端末30〜30が存在するか否かを、すなわち対象者Aの周辺に他の対象者がいるか否か判断する(ステップS208)。
【0063】
ステップS208で他の対象者端末30〜30が存在する場合、ルート監視部24は、ステップS201に戻る。
【0064】
ステップS208で他の対象者端末30〜30が存在しない場合、ルート監視部24は、ルート異常通知を、対象者Aの位置蓄積情報14及び地図情報18と共に見守り者端末50に送信し(ステップS209)、ステップS201に戻る。なお、ステップS209では、緊急網(例えば警察や学校等)に個人情報と警戒状態である旨を通知するようにしても良い。
【0065】
これにより、ルート異常通知を受信した見守り者端末50の制御部53は、操作部51に対象者Aが一人で危険エリアにいることを示すメッセージを表示させ、見守り者Bにルート異常を報知する。また、蓄積情報出力部54は、受信した対象者Aの位置蓄積情報14及び地図情報18に基づいて、地図上に対象者Aの現在位置や足跡を可視化情報(例えば、アイコン、線等)として重畳し、操作部51に表示させる。
【0066】
なお、ステップS207では、周辺に位置する他の対象者端末30〜30を検索するように構成したが、対象者情報15に基づいて、周辺に位置し、指定した属性の他の対象者端末30〜30を検索するようにしても良い。例えば、同学年や同じクラスの対象者を指定することが可能である。
【0067】
また、ステップS208で他の対象者端末30〜30が存在する場合、ルート監視部24は、対象者及び周辺に位置する他の対象者の位置蓄積情報14と、周辺に位置する他の対象者の対象者情報15と、地図情報18とを見守り者端末50に送信するようにしても良い。この場合、見守り者端末50において、蓄積情報出力部54は、地図上に対象者Aの現在位置や足跡を、周辺に位置する他の対象者の現在位置や属性(学年やクラス)をそれぞれ可視化情報(例えば、アイコン、線等)として重畳し、操作部51に表示させることができる。従って、見守り者Bは、対象者Aが本当に安全であるか否かを確認することができる。
【0068】
さらに、対象者端末30において、地図情報18はネットワーク60上から取得するようにしても良い。
【0069】
以上の実施の形態では、見守り監視装置10でスケジュール監視動作及びルート監視動作を実行するように構成したが、見守り監視装置10の機能の一部もしくは全部を見守り者端末50に持たせても良い。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態によれば、対象者が所持する対象者端末30、30〜30と、対象者端末対象者が所持する対象者端末30、30〜30と、対象者端末30、30〜30の位置を監視する見守り監視装置10と、対象者を見守る見守り者が所持する見守り者端末50、50〜50とがネットワークに60よって接続されている監視システムであって、対象者端末50、50〜50は、現在位置を計測する位置計測部として機能するGPS通信部34と、GPS通信部34によって計測された現在位置を位置情報として見守り監視装置10に送信する位置情報送信部37とを具備し、見守り監視装置10は、複数の対象者端末30、30〜30から受信した位置情報を位置蓄積情報14として記憶する位置蓄積情報記憶部(記憶部12)を具備し、見守り監視装置10もしくは見守り者端末50、50〜50は、対象者端末30から受信した位置情報に基づいて、対象者端末30の予定ルートRからの逸脱距離Lを計測する逸脱距離計測部25と、位置蓄積情報14に基づいて、予定ルートを逸脱した対象者端末30の周辺に存在する他の対象者端末30〜30を検索する蓄積情報検索部26と、予定ルートRを逸脱した対象者端末30の逸脱距離Lが予め設定された閾移動距離Lth以上であり、且つ周辺に他の対象者端末30〜30が存在しない場合、ルート異常と判断して見守り者端末50から見守り者に報知させるルート監視部24とを具備する。
この構成により、予定ルートを逸脱した対象者Aが1人か否かを判断でき、受信した位置情報に基づいて危険度を正確に判断することができる。
【0071】
さらに、本実施の形態において、ルート監視部24は、予定ルートRを逸脱した対象者端末30の逸脱距離Lが閾移動距離Lth以上であり、且つ周辺に他の対象者端末30〜30が存在する場合、周辺に存在する他の対象者端末30〜30の情報を見守り者端末50から見守り者に報知させる。
この構成により、見守り者端末50において、対象者Aの周辺に位置する他の対象者の情報(現在位置や属性)を操作部51に表示させることができ、見守り者Bは、対象者Aが本当に安全であるか否かを確認することができる。
【0072】
さらに、本実施の形態において、見守り監視装置10もしくは見守り者端末50、50〜50は、出発地点からの出発時刻と到着地点への到着時刻とが設定されたスケジュール情報17を記憶するスケジュール記憶部(記憶部12)と、スケジュール情報17及び地図情報18に基づいて、出発地点から到着地点までの予定ルートRを算出し、算出した予定ルートRを通って前記到着時刻までに前記到着地点に着ける出発限界時刻を算出するルート算出部23と、対象者端末30が出発限界時刻に到達しても前記出発地点に位置する場合、スケジュール異常と判断して見守り者端末50から見守り者に報知させるスケジュール監視部22とを具備する。
この構成により、見守り者Bに対象者Aがスケジュール通りに行動できていないことを報知することができる。
【0073】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0074】
10 見守り監視装置
11 ネットワーク部
12 記憶部
13 制御部
14 位置蓄積情報
15 対象者情報
16 見守り者情報
17 スケジュール情報
18 地図情報
21 位置情報受信部
22 スケジュール監視部
23 ルート算出部
24 ルート監視部
25 逸脱距離計測部
26 蓄積情報検索部
30、30〜30 対象者端末
31 操作部
32 音声出力部
33 振動発生部
34 GPS通信部
35 ネットワーク部
36 制御部
37 位置情報送信部
50、50〜50 見守り者者端末
51 操作部
52 ネットワーク部
53 制御部
54 蓄積情報出力部
60 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6