特許第6863347号(P6863347)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田中央研究所の特許一覧

<>
  • 特許6863347-水溶液系二次電池 図000004
  • 特許6863347-水溶液系二次電池 図000005
  • 特許6863347-水溶液系二次電池 図000006
  • 特許6863347-水溶液系二次電池 図000007
  • 特許6863347-水溶液系二次電池 図000008
  • 特許6863347-水溶液系二次電池 図000009
  • 特許6863347-水溶液系二次電池 図000010
  • 特許6863347-水溶液系二次電池 図000011
  • 特許6863347-水溶液系二次電池 図000012
  • 特許6863347-水溶液系二次電池 図000013
  • 特許6863347-水溶液系二次電池 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863347
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】水溶液系二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/36 20100101AFI20210412BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20210412BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20210412BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20210412BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20210412BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20210412BHJP
【FI】
   H01M10/36 A
   H01M4/48
   H01M4/62 Z
   H01M4/505
   H01M4/525
   H01M4/485
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-144139(P2018-144139)
(22)【出願日】2018年7月31日
(65)【公開番号】特開2020-21609(P2020-21609A)
(43)【公開日】2020年2月6日
【審査請求日】2019年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志賀 亨
(72)【発明者】
【氏名】長谷 陽子
【審査官】 川村 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−174810(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/135323(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/114141(WO,A1)
【文献】 特開2017−027944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00− 4/84
H01M 10/00−10/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質を有する正極と、
Li基準電位で1.2V以上2.5V以下の範囲内に酸化還元電位を有しNb及びRuのうち1以上を含む金属酸化物(ただし、チタン含有酸化物を除く)を負極活物質として有し、導電材としてのZn、Al、Mg、Si、Sn及びTaBのうち1以上の粉体を含む負極と、
前記正極と前記負極との間でアルカリ金属イオンを伝導する水溶液系電解液と、
を備えた水溶液系二次電池。
【請求項2】
前記負極は、Nb25、NbO2及びRuO2のうち1以上を前記負極活物質として有している、請求項1に記載の水溶液系二次電池。
【請求項3】
正極活物質を有する正極と、
Li基準電位で1.2V以上2.5V以下の範囲内に酸化還元電位を有しNb、Ru及びTiのうち1以上を含む金属酸化物を負極活物質として有し、導電材としてのMg、Si及びTaBのうち1以上の粉体を含む負極と、
前記正極と前記負極との間でアルカリ金属イオンを伝導する水溶液系電解液と、
を備えた水溶液系二次電池。
【請求項4】
前記負極は、前記負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を有し、前記導電材としてMg粉末を含む、請求項に記載の水溶液系二次電池。
【請求項5】
正極活物質を有する正極と、
Li基準電位で1.2V以上2.5V以下の範囲内に酸化還元電位を有しNb、Ru及びTiのうち1以上を含む金属酸化物を負極活物質として有し、導電材としてのZn、Al、Mg、Si、Sn及びTaBのうち1以上の粉体を含む負極と、
前記正極と前記負極との間でアルカリ金属イオンを伝導する水溶液系電解液と、
を備え
前記負極は、前記導電材が負極合材のうち40質量%以上60質量%以下の範囲で含まれている、
水溶液系二次電池。
【請求項6】
正極活物質を有する正極と、
Li基準電位で1.2V以上2.5V以下の範囲内に酸化還元電位を有しNb、Ru及びTiのうち1以上を含む金属酸化物を負極活物質として有し、導電材としてのZn、Al、Mg、Si、Sn及びTaBのうち1以上の粉体を含む負極と、
前記正極と前記負極との間でアルカリ金属イオンを伝導する水溶液系電解液と、
を備え
負極容量を正極容量で除算した負極/正極容量比が1.2以上2.4以下の範囲である、
水溶液系二次電池。
【請求項7】
正極活物質を有する正極と、
Li基準電位で1.2V以上2.5V以下の範囲内に酸化還元電位を有しNb、Ru及びTiのうち1以上を含む金属酸化物を負極活物質として有し、導電材としてのZn、Al、Mg、Si、Sn及びTaBのうち1以上の粉体を含む負極と、
前記正極と前記負極との間でアルカリ金属イオンを伝導する水溶液系電解液と、
を備え
前記水溶液系電解液は、スルホン酸アルカリ基を2以上有するスルホン酸化合物のうち1以上を含んでいる、
水溶液系二次電池。
【請求項8】
正極活物質を有する正極と、
Li基準電位で1.2V以上2.5V以下の範囲内に酸化還元電位を有しNb、Ru及びTiのうち1以上を含む金属酸化物を負極活物質として有し、導電材としてのZn、Al、Mg、Si、Sn及びTaBのうち1以上の粉体を含む負極と、
前記正極と前記負極との間でアルカリ金属イオンを伝導する水溶液系電解液と、
を備え
前記水溶液系電解液は、キャリアの支持塩とは異なるカチオンを含む添加剤が添加されかつ該カチオンがMg、Ca、Csのうちの1以上である、
水溶液系二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、水溶液系二次電池を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電デバイスとして用いられるLiイオン電池の課題の一つとして、電解液の不燃化が挙げられる。この課題に対して、水溶液を電解液とする二次電池が開発されている。近年、水溶液系二次電池において、作動電圧が2.0Vを超えるものが提案されている(例えば、非特許文献1,2参照)。非特許文献1には、正極活物質をLiMn24、負極活物質をMo68とし、Li(CF3SO22N(LiTFSA)を高濃度に溶解した電解液を用いており、作動電圧2.1Vを示すとしている。また、非特許文献2には、正極活物質をLiNi0.5Mn1.54、負極活物質をLi4Ti512とし、LiTFSAとLi(C25SO22N(LiBETI)とを3:1で高濃度に溶解した電解液を用いており、作動電圧3.0Vを示すとしている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Science 20 Nov 2015:Vol.350,Issue6263,pp.938-943
【非特許文献2】Nature Energy 1, Article number: 16129 (2016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水溶液系二次電池では、LiTFSAの水溶液は、電極の構成によっては充放電の電位により電気分解することがあり、キャリアとなるイオン(例えば、Liイオン)が消費されてしまうことがあった。このため、水溶液系二次電池では、放電容量が小さくなることがあった。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、充放電特性をより向上した水溶液系二次電池を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、特定の金属粉や化合物粉を導電材として負極に添加すると、充放電特性をより向上することができることを見いだし、本明細書で開示する発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本明細書で開示する水溶液系二次電池は、
正極活物質を有する正極と、
Li基準電位で1.2V以上2.5V以下の範囲内に酸化還元電位を有しNb、Ru及びTiのうち1以上を含む金属酸化物を負極活物質として有し、導電材としてのZn、Al、Mg、Si、Sn及びTaBのうち1以上の粉体を含む負極と、
前記正極と前記負極との間でアルカリ金属イオンを伝導する水溶液系電解液と、
を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、放電容量をより向上するなど、充放電特性をより向上する水溶液系二次電池を提供することができる。このような効果が得られる理由は、例えば、以下のように考えられる。この水溶液系二次電池では、特定の粉体を導電材として含む。一般的に、水溶液系二次電池では、集電体としてAl箔を用い、導電材としてカーボン系の材料、例えば、カーボンブラックなどを用いる。図1は、水の還元電位と充放電曲線との一例の関係図である。図1では、Alを添加したリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質とし、ニオブ酸化物を負極活物質に用いた一例を示す。図2は、水溶液系二次電池に用いられる材料の電位と電流密度との一例の関係図である。図2では、電解液としてマグネシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(MgTFSA)を3.48mol%添加したものを用いた一例を示す。図1に示すように、水溶液系二次電池では、放電電位が水の還元電位を下回ると水が還元分解されキャリアであるLiイオンが消費される。このため、充放電サイクルを行うと、数回のサイクルで大きな放電容量の低下が起きる。このキャリアの消費は、負極に含まれるカーボン上で起きると推察される(図2参照)。本開示の水溶液系二次電池では、導電材として、Zn、Al、Mg、Si、Sn及びTaBのうち1以上の粉体を用いることにより、これらの粉体が導電性を示すと共に、水溶液の還元分解をより抑制することができるものと推察される。このため、この水溶液系二次電池では、充電容量と放電容量との差がより小さく、且つ放電容量を飛躍的に増大することができるものと推察される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】水の還元電位と充放電曲線との一例の関係図。
図2】電位と電流密度との関係図。
図3】水溶液系二次電池20の一例を示す模式図。
図4】実験例1〜3の充放電曲線。
図5】実験例6の3サイクルまでの充放電曲線。
図6】実験例7、8の充放電曲線。
図7】実験例11、12の充放電曲線。
図8】実験例15の充放電曲線。
図9】実験例17の充放電曲線。
図10】実験例18の充放電曲線。
図11】実験例24、25の充放電曲線。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の水溶液系二次電池は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在しアルカリ金属イオンを伝導する水溶液系電解液と、を備えている。ここで、この水溶液系二次電池のキャリアとなるアルカリ金属イオンは、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのイオンが挙げられ、このうちリチウムやナトリウムのイオンが好ましい。負極は、Li基準電位で1.2V以上2.5V以下の範囲内に酸化還元電位を有し、Nb、Ru及びTiのうち1以上を含む金属酸化物を負極活物質として有するものとする。また、負極には、Zn、Al、Mg、Si、Sn及びTaBのうち1以上の粉体を導電材として含むものとする。なお、以下では、説明の便宜のため、アルカリ金属イオンなど、アルカリ金属元素としてリチウムを主に説明する。
【0011】
本開示の水溶液系二次電池の正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質としては、Li基準電位で3.5V以上4.9V以下の範囲内に酸化還元電位を有するものを用いることが好ましい。このような正極活物質では、二次電池の電圧をより高めることができる。正極活物質は、例えば、Mnを含み、更にCo及びNiのうち1以上を含む遷移金属複合酸化物であるものとしてもよい。具体的には、基本組成式をLi(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)やLi(1-x)Mn24などとするリチウムマンガン複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiaMnb4(a+b=2)などとするリチウムニッケルマンガン複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiaCobMnc2(a+b+c=1)などとするリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物などを用いることができる。なお、「基本組成式」とは、他の元素(例えばAlやMg、Crなど)を含んでもよい趣旨である。また、上記基本組成式のxは1を超えてもよく、a+bやa+b+cが1を超えるものとしてもよい。これらのうち、正極活物質は、LiMn24、LiAl0.1Mn1.94、LiCr0.1Mn1.94、LiNi0.5Mn1.54、LiNi1/3Co1/3Mn1/32などが好ましい。
【0012】
正極に用いられる導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。導電材と結着材との比率は、導電材100質量部に対し、結着材が3〜25質量部であればよい。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
【0013】
本開示の水溶液系二次電池の負極は、負極活物質と集電体とを密着させて形成したものとしてもよいし、例えば負極活物質と結着材と必要に応じて導電材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質は、Li基準電位で1.2V以上2.5V以下の範囲内、より好ましくは1.5V以上2.5V以下の範囲内に酸化還元電位を有するものが好ましい。この範囲にある負極活物質では、水溶液系二次電池の電圧をより高めることができる。この負極活物質は、Nb、Ru及びTiのうち1以上を含む金属酸化物とすることができ、ニオブ酸化物、ルテニウム酸化物及びリチウムチタン複合酸化物のうち1以上とすることができる。具体的には、負極活物質は、Nb25、NbO2、RuO2及びLi4Ti512のうち1以上であるものとしてもよい。負極に用いられる結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、正極と同様のものを用いることができる。
【0014】
この負極には、Zn、Al、Mg、Si、Sn及びTaBのうち1以上の粉体を導電材として含む。これらの金属粉体あるいは化合物粉体は、水溶液系二次電池の放電容量をより高めることができる。この導電材は、Zn、Al、Mg、Si及びSnが好ましく、ZnやMgがより好ましい。特に、この負極は、Al集電体を含み、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を有し、導電材としてMg粉末を含むものがより好ましい。このような構成にすると、放電電位をより向上することができ、エネルギー密度やエネルギー効率などを含む充放電特性をより高めることができる。この負極に含まれる導電材の粒径は、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。導電材の粒径が小さいほど、導電性を高めることができ、負極合材を形成する厚さの調整も行いやすい。導電材は、負極活物質と導電材と結着材とを含む負極合材の全体のうち30質量%以上60質量%以下の範囲で含まれていることが好ましい。導電材の含有量が30質量%以上では、導電材の機能を発揮しやすい。また、導電材の含有量が60質量%以下では、相対的に負極活物質を多くできるため、電池容量の低下をより抑制することができる。なお、導電材の含有量の数値が比較的大きいのは、金属粉体は炭素材料などに比して質量が大きいためである。導電材の含有量は、40質量%以上としてもよいし、45質量%以上としてもよい。また、導電材の含有量は、55質量%以下としてもよいし、50質量%以下としてもよい。なお、負極活物質や導電材などの含有量は、製造時に用いる溶媒などの揮発成分を除いた固形成分で算出するものとする。
【0015】
本開示の水溶液系電解液としては、支持塩を含む水溶液を用いることができる。溶媒は水である。支持塩としては、例えば、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Li(CF3SO22N:LiTFSA)、リチウムビス(フルオロスルホニル)アミド(Li(SO2F)2N:LiFSA)、Li(C25SO22N(LiBETI)のうち1以上が挙げられる。このうち、LiTFSAやLiFSAなどが好ましい。この水溶液系電解液は、LiCF3SO3やLi(C25SO22Nを30体積%以下の範囲で含むものとしてもよい。この支持塩は、その濃度が希薄系から飽和状態まで溶解したものも可能である。このうち、水溶液系電解液としては、作動電圧を高める観点からは、支持塩を高濃度(例えば、5mol/L以上や10mol/L以上、20mol/L以上など)に溶解した水溶液とすることが好ましい。支持塩と水の混合比はモル比で1:2〜1:4であるものとしてもよい。
【0016】
あるいは、水溶液系電解液は、スルホン酸アルカリ基を2以上有するスルホン酸化合物を支持塩とする水溶液としてもよい。このスルホン酸化合物は、例えば、芳香環構造を有する芳香族系スルホン酸化合物としてもよいし、炭素の鎖状構造を有する脂肪族系スルホン酸化合物としてもよい。芳香族系スルホン酸化合物としては、例えば、ビフェニルなど2以上の芳香環が結合した芳香族多環化合物としてもよいし、ナフタレンやアントラセン、ピレンなど2以上の芳香環が縮合した縮合多環化合物としてもよい。なお、水への溶解性を考慮すると芳香環は少ない方が望ましい。この芳香族系スルホン酸化合物としては、例えば、ベンゼンジスルホン酸リチウム、ベンゼンジスルホン酸ナトリウム、ナフタレンジスルホン酸リチウム、ナフタレンジスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、脂肪族系スルホン酸化合物としては、炭素数1〜6の鎖状構造を有するものが挙げられ、末端側にスルホン酸アルカリ基が結合されたものとしてもよい。この脂肪族系スルホン酸化合物としては、例えば、プロパンジスルホン酸リチウム(PDSL)やプロパンジスルホン酸ナトリウム(PDSN)などが挙げられる。これらの有機化合物は、水への溶解度ができるだけ高いことが望ましい。このスルホン酸化合物の支持塩は、その濃度が希薄系から飽和状態まで溶解したものも利用可能である。この支持塩の濃度は、0.5mol/L以上であることが好ましく、1.0mol/L以上であることがより好ましく、1.5mol/L以上であることが更に好ましい。また、支持塩の濃度は、より高いことが好ましく、飽和状態が好ましい。プロパンジスルホン酸リチウムを支持塩の例として説明すると、0.5mol/L以上3.79mol/L以下の範囲が好ましい。この濃度が0.5mol/L以上では、水溶液系電解液の電位窓が2.0V以上とすることができ、高い作動電圧を得ることができる。この水溶液系電解液は、電位窓がLi基準電位において、1.7V以上4.9V以下の範囲であるものとしてもよい。この電位窓の下限値はより低いことが好ましく、上限値はより高いことが好ましい。この水溶液系電解液を用いる際は、電位窓の下限電位から、負極活物質としてNb25、NbO2、RuO2及びLi4Ti512のうち1以上を用いることができる。水溶液系電解液の電位窓は、水溶液系電解液のサイクリックボルタモグラムを測定し、その曲線の平坦領域から求めることができる。
【0017】
この水溶液系電解液は、キャリアの支持塩とは異なるカチオンを含む添加剤が添加されていることが好ましい。この添加剤としては、例えば、カチオンとしてMg、Ca及びCsなどを含むものが挙げられる。この添加剤は、上述した支持塩と同じアニオンを含むものを用いることができる。具体的には、MgTFSA、CaTFSA、CsTFSAなどが挙げられる。この添加剤は、例えば、1.0mol%以上含まれているものとしてもよいし、5.0mol%以下含まれているものとしてもよい。
【0018】
本開示の水溶液系二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、水溶液系二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。あるいは、濾紙をセパレータとして用いてもよい。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
【0019】
この水溶液系二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図3は、本明細書で開示する水溶液系二次電池20の一例を示す模式図である。この水溶液系二次電池20は、カップ形状の電池ケース21と、正極活物質を有しこの電池ケース21の下部に設けられた正極22と、負極活物質を有し正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、絶縁材により形成されたガスケット25と、電池ケース21の開口部に配設されガスケット25を介して電池ケース21を密封する封口板26と、水溶液系電解液27とを備えている。この水溶液系二次電池20は、Zn、Al、Mg、Si、Sn及びTaBのうち1以上の粉体を導電材として負極23に含む。
【0020】
本開示の水溶液系二次電池は、正極内の正極活物質量に対する負極内の負極活物質量から求められる容量比(負極活物質容量/正極活物質容量)が1.2以上2.4以下の範囲であることが好ましい。この容量比が1.2以上では、より安定的に水溶液系二次電池の出力特性を高めることができる。また、導電材としてZn、Al、Mg、Si、Sn及びTaBのうち1以上の粉体を用いることにより、容量比を2.4以下としても十分な放電容量を示すことができる。この容量比は、1.5以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましい。なお、セルの容積などを考慮すると、この容量比は、5以下であるものとしてもよい。水溶液系電解液の電位窓の下限電位は還元分解電位に相当し、この電位を下回ると電解液が負極において電気分解する。負極では、放電開始時から徐々に電位が低下することから、負極の容量をより大きくすると、正極での容量との兼ね合いからこの電位低下をより抑制することができる。このような理由から、容量比はより大きいことが望ましい。なお、この容量比は、水溶液系二次電池の用途に合わせて適宜設定すればよい。
【0021】
以上詳述した水溶液系二次電池では、放電容量をより向上するなど、充放電特性をより向上することができる。このような効果が得られる理由は、例えば、以下のように考えられる。この水溶液系二次電池では、例えば、一般的に導電材として用いられる炭素材料ではない、Zn、Al、Mg、Si、Sn及びTaBのうち1以上の特定の粉体を導電材として負極に含む。これらの導電材は、負極での水の電気分解をより抑制することができ、その結果、放電容量がより向上するものと推察される。
【0022】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0023】
例えば上述した実施形態では、リチウムをアルカリ金属元素の主として説明したが、特にこれに限定されず、ナトリウムやカリウムとしてもよい。例えば、支持塩をLiTFSAやLiFSAとして説明したが、NaTFSAやNaFSAとしてもよい。
【実施例】
【0024】
以下には、本明細書で開示する水溶液系二次電池を具体的に作製した例を実験例として説明する。なお、実験例1、6、7、10、11、13、15、16、17〜19、22、24が実施例に該当し、実験例2〜5、8、9、12、14、20、21、23、25が比較例に該当する。
【0025】
[実験例1]
正極は以下のように作製した。スピネル型のアルミニウム置換リチウムマンガン酸化物(三井住友金属鉱山製:Li1.1Al0.1Mn1.94)と、導電材(東海カーボン製TB5500)、結着材としてのPVdF(呉羽化学製♯1320)をN−メチルピロリドン(NMP)と共に湿式混合した。混合には、混練機(シンキー製泡とり錬太郎)を用いた。これを20μm厚のアルミニウム箔上に塗工し、150℃で真空乾燥した。その後、直径14mmに打ち抜き、これをプレスして正極とした。正極合材層の厚さは40μmであった。活物質:導電材:結着材の最終的な割合は、質量比で77:14:9であった。また、正極活物質の目付け量は、6.55mg/cm2であった。負極は以下のように作製した。Nb25(アルドリッチ製)と導電材としての亜鉛ナノ粉末(アルドリッチ製、1μm以下(カタログ値))、結着材としての結着材としてのPVdF(呉羽化学製♯9305)をNMPと共に湿式混合し負極合材を得た。この負極合材を、アルミニウム箔上に塗工し、150℃で真空乾燥した。その後、直径14mmに打ち抜き、これをプレスして負極とした。負極合材層の厚さは40μmであった。活物質:金属粒子:結着材の最終的な割合は、質量比で39.9:54.3:5.8であった。また、正極活物質の目付け量は、6.55mg/cm2であった。仕込み量から計算された負極活物質と正極活物質の容量比は2.11であった。
【0026】
上記正極と負極とをセパレータを挟んで対向させ、電解液を入れて加圧型コインセルを組んだ。電解液として、Li(CF3SO22N(LiTFSA、キシダ化学製)を溶解した水溶液(22.2mol/L)に添加剤としてのMg(TFSA)2をモル比で3.5%添加したものを用いた。 また、セパレータとして、濾紙(桐山製5C)を用いた。得られたものを実験例1のセルとした。このセルを用い、25℃で0.1mA/cm2の電流密度で2.7Vまで充電し、その後0.04mA/cm2の電流密度で1.2Vまで放電させた。1サイクル目における実験例1のセルの正極活物質あたりの放電容量は、100mAh/gであった。なお、実験例1〜14の正極及び負極の詳細と、負極容量/正極容量の容量比、電解液の詳細、及び1サイクル目の放電用をまとめて表1、2に示した。
【0027】
[実験例2〜5]
負極において、Nb25とカーボンブラック(CB:東海カーボン製TB5500)とPVdFとを質量比で80:12:8とし、負極/正極容量比を1.79とした以外は、実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例2のセルとした。実験例2のセルの正極活物質あたりの放電容量は、78mAh/gであった。また、電解液にMg(TFSA)2を含まないものを用い、負極/正極容量比を3.18とした以外は実験例2と同様の工程を経て得られたものを実験例3のセルとした。この実験例3の正極活物質あたりの放電容量は、65mAh/gであった。また、負極/正極容量比を2.49とした以外は実験例3と同様の工程を経て得られたものを実験例4のセルとした。この実験例4の正極活物質あたりの放電容量は、50mAh/gであった。また、負極/正極容量比を1.61とした以外は実験例3と同様の工程を経て得られたものを実験例5のセルとした。この実験例5の正極活物質あたりの放電容量は、32mAh/gであった。
【0028】
[実験例6]
負極において、Nb25と亜鉛ナノ粉末とPVdFとを質量比で56:38:6とし、負極/正極容量比を2.05とした以外は、実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例6のセルとした。実験例6のセルの正極活物質あたりの放電容量は、102mAh/gであった。
【0029】
[実験例7]
正極活物質にスピネル型のリチウムマンガン酸化物(LiMn24:アルドリッチ)を用い、電解液にプロパンジスルホニルリチウム(PDSL)の水溶液(濃度3.79mol/L)を用い、正極の活物質と導電材と結着材との質量比を76:11:13とし、負極/正極容量比を2.08とした以外は実験例6と同様の工程を経て得られたものを実験例7のセルとした。実験例7の正極活物質あたりの放電容量は、102mAh/gであった。
【0030】
[実験例8、9]
実験例2の負極を用い、負極/正極容量比を3.32とした以外は実験例7と同様の工程を経て得られたものを実験例8のセルとした。実験例8の正極活物質あたりの放電容量は、46mAh/gであった。負極/正極容量比を4.43とした以外は実験例8と同様の工程を経て得られたものを実験例9のセルとした。実験例9の正極活物質あたりの放電容量は、66mAh/gであった。
【0031】
[実験例10]
PDSLの水溶液(濃度3.79mol/L)に4.5mol%のセシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(CsTFSA)を加えたものを電解液に用い、負極/正極容量比を1.87とした以外は実験例7と同様の工程を経て得られたものを実験例10のセルとした。実験例10の正極活物質あたりの放電容量は、93mAh/gであった。
【0032】
[実験例11、12]
負極活物質としてチタン酸リチウム(Li4Ti512:LTO,石原産業製)を用い、負極の活物質と導電材と結着材との質量比を54:40:6とし、負極/正極容量比を1.69とした以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例11のセルとした。実験例11の正極活物質あたりの放電容量は、97mAh/gであった。導電材としてCBを用い、負極の活物質と導電材と結着材との質量比を80:15:5とし、負極/正極容量比を3.43とした以外は実験例11と同様の工程を経て得られたものを実験例12のセルとした。実験例12の正極活物質あたりの放電容量は、22mAh/gであった。
【0033】
[実験例13、14]
下記の正極を用いた以外は実験例1と同様の工程を経て得られたセルを実験例10とした。正極活物質としてのスピネル型のニッケル置換リチウムマンガン酸化物(LiNi0.5Mn1.54 :アルドリッチ社製)と導電材としてのCB(東海カーボン製TB5500)と、結着材としてのPVdF(クレハ化学製♯1320)とをN−メチルピロリドン(NMP)とともに湿式混合し正極合材を得た。この正極合材ペーストをAl箔上に塗工し、150℃で真空乾燥した。その後、直径14mmに打ち抜き、これをプレスして正極に用いた。正極合材の厚さは40μmであった。活物質と導電材と結着材との最終的な割合は質量比で75:12:13であった。また、負極/正極容量比が2.39であり、正極活物質の目付け量は、6.55mg/cm2であった。実験例13の正極活物質あたりの放電容量は、71mAh/gであった。また、実験例2の負極を用い、負極/正極容量比を3.65とした以外は実験例13と同様の工程を経て得られたものを実験例14のセルとした。実験例14の正極活物質あたりの放電容量は、56mAh/gであった。
【0034】
[実験例15〜19]
導電材の微粉末としてMg粉末(高純度化学製、180μm以下)を負極に用い、負極の活物質と導電材と結着材との割合を質量比で50:44:6とし、負極/正極容量比を2.09とした以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例15のセルとした。また、導電材の微粉末としてAl粉末(高純度化学製、3μm以下)を負極に用い、負極の活物質と導電材と結着材との割合を質量比で48:47:5とし、負極/正極容量比を1.79とした以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例16のセルとした。また、導電材の微粉末としてSi粉末(高純度化学製、45μm以下)を負極に用い、負極の活物質と導電材と結着材との割合を質量比で51:44:5とし、負極/正極容量比を2.29とした以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例17のセルとした。また、導電材の微粉末としてSn粉末(アルドリッチ製、10μm以下)を負極に用い、負極の活物質と導電材と結着材との割合を質量比で48:47:5とし、負極/正極容量比を2.23とした以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例18のセルとした。また、導電材の微粉末としてTaB粉末(アルドリッチ製、10μm以下)を負極に用い、負極の活物質と導電材と結着材との割合を質量比で42:53:5とし、負極/正極容量比を1.69とした以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例19のセルとした。
【0035】
[実験例20、21]
導電材の微粉末としてCo粉末(高純度化学製、平均粒径5μm)を負極に用い、負極の活物質と導電材と結着材との割合を質量比で50:45:5とした以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例20のセルとした。また、導電材の微粉末としてTe粉末(高純度化学製、45μm以下)を負極に用い、負極の活物質と導電材と結着材との割合を質量比で49:46:5とした以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例21のセルとした。
【0036】
[実験例22、23]
負極活物質としてルテニウム酸化物(RuO2、アルドリッチ製、50μm以下)、導電材の微粉末としてZn粉末とAl粉末とを用い、負極の活物質とZn粉末とAl粉末と結着材との割合を質量比で51:33:11:5とし、負極/正極容量比を2.22とした以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例22のセルとした。また、導電材をCBとし、負極の活物質と導電材と結着材との割合を質量比で76:16:8とし、負極/正極容量比を3.89とした以外は実験例22と同様の工程を経て得られたものを実験例23のセルとした。
【0037】
[実験例24、25]
負極活物質としてLTO、導電材の微粉末としてMg粉末とAl粉末とを用い、負極の活物質とMg粉末とAl粉末と結着材との割合を質量比で52:29:19:5とし、負極/正極容量比を1.39とした以外は実験例7と同様の工程を経て得られたものを実験例24のセルとした。導電材をCBとし、負極の活物質と導電材と結着材との割合を質量比で81:12:7とした以外は実験例24と同様の工程を経て得られたものを実験例25のセルとした。
【0038】
(結果と考察)
図4は、実験例1〜3の充放電曲線である。図5は、実験例6の3サイクルまでの充放電曲線である。図6は、実験例7、8の充放電曲線である。図7は、実験例11、12の充放電曲線である。図8は、実験例15の充放電曲線である。図9は、実験例17の充放電曲線である。図10は、実験例18の充放電曲線である。図11は、実験例24、25の充放電曲線である。表1、2に実験例1〜25の正極、負極、電解液の構成及び1サイクル目の放電容量をまとめて示した。図4に示すように、実験例1〜3は、ほぼ同程度の充電容量を示した一方、Zn粉末を用いた実験例1では、大きく放電容量が向上した。これは、おそらくカーボンブラックを負極の導電材として用いると水の電気分解によりLiが消費されて放電容量が低下する一方、Zn粉末ではそのようなLiの消費をより低減することができるためであると推察された。また、図5に示すように、実験例6では、サイクル特性が好適であることがわかった。
【0039】
図6に示すように、スピネル型のリチウムマンガン酸化物を負極活物質とし、導電材をCBとし、電解液にPDSLの水溶液を用いた実験例8においても、充電容量と放電容量との差が大きかった。一方、Zn粉末を負極に用いた実験例7では、充電容量及び放電容量の向上が認められた。また、図7に示すように、LTOを負極活物質とする場合においても、Zn粉末を用いることによって、充放電容量をより向上することができることがわかった。
【0040】
図8〜10、表2に示すように、Mg粉末、Al粉末、Si粉末、Sn粉末、TaB粉末においても、Zn粉末と同様に、充放電容量をより向上することができることがわかった。また、図8に示すように、Mg粉末においては、放電曲線の電位が2V以上を示し、且つ分極も少ないため、エネルギー密度やエネルギー効率をより高めることができ、特に好ましいことがわかった。一方、Co粉末やTe粉末においては、そのような効果は認められなかった。このため、導電性を有する特定の金属及び化合物において、水溶液系二次電池の負極に添加すると、水の電気分解などにより生じうるロスをより抑制することができることがわかった。
【0041】
以上より、Zn、Al、Mg、Si、Sn及びTaBのうち1以上の粉体を導電材として負極に含む水溶液系二次電池では、放電容量をより向上することができることがわかった。また、その導電材は、200μm以下の粒径、より好ましくは、50μm以下の粒径であることが好ましいことがわかった。また、導電材の粉体は、30質量%以上60質量%以下の範囲で含まれることが好ましいことがわかった。また、この水溶液系二次電池では、負極/正極容量比が1.2以上2.4以下の範囲においても、高い放電容量を示すことができることがわかった。特に、Al集電体と、負極活物質としてのLTOと、導電材としてMg粉末とを含む負極が好ましいことがわかった。なお、導電材は、特に電解液の分解抑制に寄与するものと推察され、放電容量の向上は、正極活物質ではなく、負極や電解液の組成に依拠するものと推察された。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
なお、本開示は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本明細書で開示する水溶液系二次電池は、エネルギー産業、例えば電池産業の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
20 水溶液系二次電池、21 電池ケース、22 正極、23 負極、24 セパレータ、25 ガスケット、26 封口板、27 水溶液系電解液。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11