特許第6863365号(P6863365)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863365
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】監視装置、監視システムおよび監視方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20210412BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20210412BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20210412BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   H02J13/00 301D
   H02J7/00 Y
   H01M10/48 P
   H01M10/42 P
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-507244(P2018-507244)
(86)(22)【出願日】2017年3月14日
(86)【国際出願番号】JP2017010078
(87)【国際公開番号】WO2017163991
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2020年2月17日
(31)【優先権主張番号】特願2016-57587(P2016-57587)
(32)【優先日】2016年3月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】長野 洋幸
(72)【発明者】
【氏名】厚木 正孝
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−208067(JP,A)
【文献】 特開2014−223003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R31/36−31/396
H01M10/42−10/48
H02J7/00−7/12
H02J7/34−7/36
H02J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象として対応付けられた2つ以上の電池部に蓄えられた電力を用いて駆動する複数の監視回路のうち特定の監視回路が、所定期間内において複数の前記電池部のうち最も電圧値が低い低圧電池部と対応付けられている割合を所定の閾値と比較した比較結果と、前記特定の監視回路と対応づけられた低圧電池部が2つ以上であるか否かを示す情報とを用いて、前記特定の監視回路のリーク電流が第1の基準以上であるか否かを判定する判定手段、を備える監視装置。
【請求項2】
前記判定手段は、所定期間の長さに応じて異なる前記閾値を用いる、請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記所定期間が短いほど大きい前記閾値を用いる、請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記所定期間は、前記電池部が充電、放電または充放電されている期間である、請求項1から3のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記所定期間は、前記電池部が充電されている期間である、請求項1から4のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記低圧電池部が充電および放電していない待機期間中における電圧値の低下量をさらに用いて、前記特定の監視回路のリーク電流が第2の基準以上であるか否かを判定する、請求項1から5のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項7】
充放電可能な複数の電池部と、
前記複数の電池部のうち監視対象として対応づけられた2つ以上の電池部に蓄えられた電力を用いて駆動し、前記対応付けられた電池部の電圧値を監視する複数の監視手段と、
前記複数の電池部のうち最も電圧値が低い低圧電池部を検出する検出手段と、
所定期間内において前記複数の監視手段のうち特定の監視手段が前記低圧電池部として検出された電池部と対応付けられている割合と第1の閾値との比較結果と、前記特定の監視手段と対応づけられた低圧電池部が2つ以上であるか否かを示す情報とを用いて、前記特定の監視手段のリーク電流が第1の基準以上であるか否かを判定する判定手段と、を備える監視システム。
【請求項8】
充放電可能な複数の電池部と、前記複数の電池部のうち監視対象として対応づけられた2つ以上の電池部に蓄えられた電力を用いて駆動し、前記対応付けられた電池部の電圧値を監視する複数の監視手段とを有する監視システムにおける監視方法であって、
前記複数の電池部のうち最も電圧値が低い低圧電池部の情報を取得し、
所定期間内において、前記複数の監視手段のうち特定の監視手段が前記低圧電池部として検出された電池部と対応付られている割合を算出し、
前記割合と所定の閾値との比較結果と、前記特定の監視手段と対応づけられた低圧電池部が2つ以上であるか否かを示す情報とを用いて、前記特定の監視手段のリーク電流が第1の基準以上であるか否かを判定する、監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置、監視システムおよび監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の二次電池を用いた蓄電システムでは、電池が経時的に劣化したり、異常が発生した場合に必要なメンテナンスを行うために、監視を行っている。例えば特許文献1には、蓄電システム内の電池の平均電圧値に応じた閾値と、各電池の電圧値とを比較し、その結果に基づいて、電池の異常を検出する故障診断装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−301791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電圧値の変化は、必ずしも電池の異常によって引き起こされているとは限らない。例えば、電池の電圧値を監視する監視回路が、監視対象の電池に蓄えられた電力を用いて駆動する場合、リーク電流が大きい(自己消費電流が大きい)監視回路があると、その監視回路と対応付けられた電池の電圧値が低下する。しかしながら、特許文献1に記載の故障診断装置では、このような場合であっても、実際には電池に異常が生じていないにも関わらず、電池の異常と判定されてしまう場合があった。もし、監視回路の異常だった場合には、最終的に電圧値などの監視ができなくなってしまうおそれがある。さらに適切な保守対応がとれなくなってしまう。
【0005】
そこで本発明の目的は、上述した課題を解決する監視装置、監視システムおよび監視方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による監視装置は、
監視対象として対応付けられた2つ以上の電池部に蓄えられた電力を用いて駆動する複数の監視回路のうち特定の監視回路が、所定期間内において複数の前記電池部のうち最も電圧値が低い低圧電池部と対応付けられている割合を所定の閾値と比較した比較結果と、前記特定の監視回路と対応づけられた低圧電池部が2つ以上であるか否かを示す情報とを用いて、前記特定の監視回路のリーク電流が第1の基準以上であるか否かを判定する判定部を有する。
【0007】
また、本発明による監視システムは、
充放電可能な複数の電池部と、
前記複数の電池部のうち監視対象として対応づけられた2つ以上の電池部に蓄えられた電力を用いて駆動し、前記対応付けられた電池部の電圧値を監視する複数の監視回路と、 前記複数の電池部のうち最も電圧値が低い低圧電池部を検出する検出部と、
所定期間内において前記複数の監視回路のうち特定の監視回路が前記低圧電池部として検出された電池部と対応付けられている割合と第1の閾値との比較結果と、前記特定の監視回路と対応づけられた低圧電池部が2つ以上であるか否かを示す情報とを用いて、前記特定の監視回路のリーク電流が第1の基準以上であるか否かを判定する判定部と、を備える。
【0008】
また、本発明による監視方法は、
充放電可能な複数の電池部と、前記複数の電池部のうち監視対象として対応づけられた2つ以上の電池部に蓄えられた電力を用いて駆動し、前記対応付けられた電池部の電圧値を監視する複数の監視回路とを有する監視システムにおける監視方法であって、
前記複数の電池部のうち最も電圧値が低い低圧電池部の情報を取得し、
所定期間内において、前記複数の監視回路のうち特定の監視回路が前記低圧電池部として検出された電池部と対応付られている割合を算出し、
前記割合と所定の閾値との比較結果と、前記特定の監視回路と対応づけられた低圧電池部が2つ以上であるか否かを示す情報とを用いて、前記特定の監視回路のリーク電流が第1の基準以上であるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リーク電流が所定の基準以上である監視回路を判定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る監視システム100の機能構成例を示している。
図2】監視システム100において観測される最低電圧値と、最低電圧値を示した電池部10の識別番号との経時的な変化の一例(正常例)を示す図である。
図3】監視システム100において観測される最低電圧値と、最低電圧値を示した電池部10の識別番号との経時的な変化の他の一例(異常例)を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る監視システム100の判定部13の動作例を示すフローチャートである。
図5図3のステップS102の具体例について説明するための図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る監視システム100の判定部13の動作例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第3の実施形態に係る監視装置20の機能構成を示す図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係る監視装置20の判定部13の動作例を示すフローチャートである。
図9】本発明の第1〜第3の実施形態に係る監視システムを適用可能な蓄電システム400のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、同一の機能を有する構成要素については同じ符号を付することによって重複説明を省略する場合がある。
【0012】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて電池部10aおよび電池部10bのように区別する。ただし、これらの構成要素のそれぞれを特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば電池部10aおよび電池部10bなどを特に区別する必要がない場合には、単に電池部10と称する。
【0013】
<第1の実施形態>
(監視システム100の機能構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る監視システムの機能構成例を示している。この監視システム100は、複数の電池部10a〜10fと、複数の監視回路11aおよび11bと、検出部12と、判定部13とを有する。電池部10は、電池セルまたは複数の電池セルを搭載した電池モジュールや電池パックなどである。監視回路11は、監視対象として複数の電池部10と対応付けられており、監視対象の電池部10の電圧値を取得している。具体的には、監視回路11aは、電池部10a〜10cと対応付けられており、監視回路11bは、電池部10d〜10fと対応付けられている。監視回路11は、監視対象の電池部10に蓄えられた電力を用いて駆動されている。検出部12は、複数の監視回路11が監視する電圧値などの情報を監視回路11から取得して、取得した情報から特定の情報を検出する。例えば検出部12は、取得した電圧値に基づいて、電池部10a〜10fのうち最も低い電圧値を示す低圧電池部を検出する。判定部13は、検出部が検出した情報に基づいて、監視システム100の状態を判定する。例えば判定部13は、低圧電池部の情報と、監視回路11と電池部10との対応関係とに基づいて、他の監視回路11と比較して、リーク電流が所定の基準以上である監視回路11を判定することができる。例えば、監視回路11、検出部12および判定部13は、BMU(Battery Management Unit)に搭載される構成および機能であってもよい。
【0014】
なお、図1では簡単のため、2つの監視回路11と、6つの電池部10とを有する監視システム100の例について説明した。しかしながら、本発明はかかる例に限定されない。電池部10および監視回路11の数については、例示であり、2つ以上の監視回路11のそれぞれが2つ以上の電池部10を監視する構成であればよい。また、電池部10は、図示しない電気負荷や発電設備などと接続されており、蓄電システムを構成している。
【0015】
(電圧値の観測例)
図2および図3は、12個の監視回路11と、48個の電池部10とを有する監視システム100において観測される最低電圧値と、最低電圧値を示した電池部10の識別番号との経時的な変化を表すグラフである。図2および図3の横軸は時刻であり、左端の縦軸は電池電圧であり、右端の縦軸は電池部10の識別番号である。48個の電池部10のそれぞれが1〜48の番号で識別され、連続する4つの番号で識別される電池部10が共通する監視回路11と対応づけられている。具体的には、電池番号が1〜4、5〜8、9〜12・・・41〜44、45〜48の12のグループに分けられ、同じグループ内の電池部10は同じ監視回路11によって監視されている。
【0016】
監視回路11は、個体別にリーク電流が異なる。不良品と言えないレベルであっても、リーク電流が大きい監視回路11を用いていると、その分だけ電池部10に蓄えられた電力が消費されてしまう。このため、監視対象として対応づけられた電池部10の電圧は、監視回路11のリーク電流が大きいほど低下量が大きい。この低下の原因が監視回路11にあると判断できない場合、実際には電池部10には異常が生じていないにも関わらず、電池部10の異常と判断されてしまったり、システムが停止してしまったりすることがある。このため、ここではリーク電流が基準以上である監視回路11を判定する方法を提供する。
【0017】
図2の例では、低圧電池部は、特定の電池部10に集中することなく様々な識別番号の電池部10に分散している。具体的に、図2の例では、0:00から17:00の間では識別番号9〜16の電池部10に低圧電池部が分散しており、他の時間帯では他の電池部10に分散していることがわかる。即ち、異なる監視回路11に対応付けられている電池部10に、低圧電池部が分散していることが分かる。これに対して、図3の例では、低圧電池部が、識別番号45〜48の電池部10に集中している。これらの電池部10は、同じ監視回路11に対応づけられている。通常は、複数の電池部10の電圧が均一になるように充電、放電が行われ、電圧にばらつきが生じた場合には電圧差を小さくなるように補正する動作(バランス動作)が行われる。そのため、低圧電池部が特定の電池部10に集中する場合、何らかの異常が発生している可能性が高い。電池部10自体に異常が発生している場合には、複数の電池部10が同時に異常を起こす可能性は低いため、低圧電池部は、異常を起こした1つの電池部10に集中すると考えられる。また、図2に示す例のように低圧電池部が複数の電池部10に低圧電池部が分散する場合には、電池部10および蓄電システムには異常はみられないと考えられる。これに対して、図3に示した例のように、特定の監視回路11が監視する複数(少なくとも2以上)の電池部10に低圧電池部が集中する場合、特定の監視回路11のリーク電流が大きいと考えられる。このため、特定の監視回路11が低圧電池部と対応付けられている割合が所定の閾値以上であり、且つ、特定の監視回路11と対応付けられた低圧電池部が2つ以上ある場合、特定の監視回路11のリーク電流が大きいと考えられる。このような特徴を利用して、低圧電池部の情報と、電池部10と監視回路11との対応関係とを用いて、他の監視回路11と比較して、リーク電流が所定の基準以上大きい監視回路11を検出することができる。また、図2および図3のいずれにおいても、電池部10が充電も放電もしていない待機期間と考えられる電池電圧の変動がない期間では、低圧電池部の入れ替わりが少ないことがわかる。このため、上記の特徴を判断する期間は、電池部10が充電、放電、または充放電されている期間であることがより好ましい。
【0018】
(判定部13の動作例)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る監視システム100の判定部13の動作例を説明するためのフローチャートである。判定部13は、所定期間に取得された低圧電池部の情報を検出部12から取得する。ここで用いられる期間は、長いほど判定精度が高くなる。例えば、判定部13は、電池部10が満充電の状態から完全放電するまでの1サイクルの期間の情報から判定を実施してもよい。判定部13は、電池部10が充電及び放電されている期間の情報から判定を実施してもよい。判定部13は、特に電池部10が充電されている期間の情報から判定を実施してもよい。ここで、電池部10が充電されている期間の情報から判定を実施するのがよい理由を説明する。劣化したセルがある場合、充電時に抵抗が大きくなり電圧が高く表れる傾向がある。そのため、充電時にも同じ監視回路11に対応付けられている電池部に低圧電池部が集中する場合には、監視回路の自己消費電流が大きいと考えることができる。また、監視回路11に異常が生じていない場合、電池部10が充放電すると、低圧電池部が入れ替わる可能性が高いため、所定期間の間に充放電を行う期間を含むことが好ましい(ステップS101)。
【0019】
判定部13は、取得した低圧電池部の情報と、電池部10と監視回路11との対応関係を示す情報とを用いて、各監視回路11について、低圧電池部と対応付けられていた割合を算出する。割合は、所定期間のうちに、各監視回路11について低圧電池部と対応付けられていた時間の割合でもよい。また、割合は、所定の時間間隔で取得した、各監視回路11と低圧電池部との対応関係の割合でもよい。その際、電池部10が充電、放電又は充放電されている期間において、所定の時間間隔で10点の情報を取得し、その10点において各監視回路11が低圧電池部と対応付けられている割合を算出したほうがよい。例えば、電池部10が1Cで充電される(完全放電された状態から1時間で充電完了となる)場合には、6分毎に各監視回路11について低圧電池部との対応関係を取得し、その割合を算出する。電池部10と監視回路11との対応関係は、図示しない記憶部に記憶されており、判定部13は、記憶部から対応関係の情報を取得する。
【0020】
図5は、図4のステップS102の具体例について説明するための図である。簡単のため、図5では、図1に示す構成の監視システム100において、10回低圧電池部を検知したサンプルを示す。この例において、電池部10a、10bおよび10cは監視回路11aと対応付けられており、電池部10d、10eおよび10fは監視回路11bと対応付けられている。したがって、サンプルNo.1〜10が取得された期間内において、監視回路11aが低圧電池部と対応付けられている割合は80%であり、監視回路11bが低圧電池部と対応付けられている割合は20%である。
【0021】
図4の説明に戻る。判定部13は、算出した割合と所定の第1の閾値の大きさを比較し、算出した割合が所定の第1の閾値以上であるか否かを判断する。ここで判定部13が用いる第1の閾値は、監視システム100のシステム構成や対象とする期間の長さに応じて定められる。例えば第1の閾値は、監視回路11の数が多いほど小さい値であってよい。
第1の閾値は、所定の期間が短いほど大きい値であってよい。また第1の閾値は、特定の監視回路11に対応付けられた電池部10に低圧電池部が偏っていることを判定するための値であり、例えば80%である。判定部13は、ステップS102で算出した割合のうち最も値の大きいものを第1の閾値と比較する(ステップS103)。
【0022】
算出した割合が所定の第1の閾値以上である場合、判定部13は、算出した割合が最も高い監視回路11と対応付けられた低圧電池部が2つ以上であるか否かを判断する(ステップS104)。監視回路11と対応付けられた低圧電池部が2つ以上である場合、判定部13は、その監視回路11のリーク電流が、第1の基準以上であると判定する(ステップS105)。
【0023】
算出した割合が所定の第1の閾値より小さい場合、および監視回路と対応付けられた低圧電池部が1つである場合、判定部13は、その監視回路11のリーク電流が第1の基準よりも小さいと判定する(ステップS106)。
【0024】
図4に示した動作は、例えば、定期的に実行されてもよいし、所定の開始操作が行われたときに実行されてもよい。上記の手順で検出される状態は、他の監視回路11と比較して、特定の監視回路11のリーク電流が大きく、その影響で特定の監視回路11の監視対象の電池部10の電力が偏って消費された状態である。このため、監視回路11のリーク電流が所定の基準以上である場合であっても、蓄電システムの動作自体には影響が小さく、異常な状態とは言えないこともある。このため、監視システム100は、判定部13が特定の監視回路11のリーク電流が基準以上であると判定した場合、第1の閾値の定め方によっては、電圧低下の原因を特定するための参考情報として通知してもよい。或いは、第1の閾値の定め方によっては、監視システム100は、判定部13が特定の監視回路11のリーク電流が基準以上であると判定した場合、システムの異常として監視システム100の管理者などに通知することもできる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態によれば、監視システム100の複数の監視回路11は、監視対象として対応付けられた電池部10に蓄えられた電力を用いて駆動する。そして複数の監視回路11のうち、特定の監視回路11が、低圧電池部と対応付けられている割合が所定の第1閾値と比較される。この比較結果と、特定の監視回路11と対応付けられた低圧電池部が2つ以上であるか否かを示す情報とを用いて、特定の監視回路11のリーク電流が所定の第1の基準以上であるか否かが判定される。この構成により、他の監視回路11と比較して、リーク電流が大きい監視回路11を特定することが可能になる。このため、電池部10に異常が発生していないにも関わらず、監視回路11のリーク電流が大きいため電池部10の電圧が低下している場合、電圧低下の原因が監視回路11にあることを特定することが可能になる。したがって、監視システム100において、電池部10の異常の誤検知を抑制することができる。
【0026】
また、本実施形態によれば、第1の閾値として所定期間の長さに応じて異なる値が用いられる。具体的には、所定期間が短いほど大きい第1の閾値が用いられる。この構成により、リーク電流が大きい監視回路11の判定精度をより高めることができる。
【0027】
また、本実施形態によれば、所定期間として、電池部10が充電、放電または充放電されている期間を用いることができる。電池部10が充電、放電または充放電されている期間は、待機期間と比較して、リーク電流が大きい監視回路11を含む場合にみられる特徴が電圧値に現れやすい。このため、リーク電流が大きい監視回路11の判定精度をより高めることができる。
【0028】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る監視システム100の機能構成は、第1の実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。本実施形態では、検出部12および判定部13の動作が第1の実施形態と異なるため、以下、相違点について主に説明する。
【0029】
(判定部13の動作例)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る監視システム100の判定部13の動作例について説明するためのフローチャートである。判定部13は、第1の基準判定を行う(ステップS200)。ステップS200に示す第1の基準判定は、図4のステップS101〜ステップS106に相当する。判定部13は、第1の基準判定を行い、判定結果が第1の基準以上であるか否かを判定する(ステップS201)。判定結果が第1の基準以上である場合、判定部13は、低圧電池部の待機状態における電圧低下量を検出部12から取得する(ステップS202)。
【0030】
ステップS201の詳細について説明する。まず検出部12は、待機状態(充電も放電も行っていない状態)において、監視回路11から取得した電圧値に基づいて、各電池部10の電圧低下量を検出する。監視回路11のリーク電流に起因して電池部10の電圧値が低下している場合、電池部10が充電も放電も行っていなくても、電力が消費されて電圧値が低下するという特徴がある。このため、判定部13は、検出部12から低圧電池部の電圧低下量を取得する。
【0031】
また、ステップS202の動作においては、検出部12は、所定期間内に低圧電池部として検出された各電池部10の電圧低下量を検出してもよい。或いは、検出部12は、図4のステップS102において算出した割合が第1の閾値より大きいと判定された監視回路に対応付けられた2つ以上の電池部10の電圧低下量を検出してもよい。後者の場合には、その他の電池部(好ましくは最も電圧値が高い高圧電池部)の電圧低下量をさらに取得してもよい。判定部13は、上記の通り検出部12が検出した電圧低下量を取得する。
【0032】
ここで、一般的に、複数の電池部10から構成される蓄電システムにおいては電池部10同士の電圧差が大きくなった場合には、電圧差を小さくなるように補正する動作(バランス動作)が行われている。バランス動作は、電池部10同士の電圧差が所定の電圧差以内であれば、電圧差が小さくなるように補正することが可能である。しかしバランス動作は、電池部10同士の電圧差が所定の電圧差以上になった場合には、電圧差を縮めることができないため、充放電動作を行う度に電圧差が大きくなってしまう。所定の電圧は、バランス動作を行うバランス回路の能力に応じて設定されるものであり、バランス回路の種類及びバランス動作の方法などに応じて変わる。
【0033】
図6の説明に戻る。判定部13は、電圧低下量が第2の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS203)。電圧低下量が第2の閾値以上である場合、判定部13は、特定の監視回路11のリーク電流が第2の基準以上であり、リーク電流が第1の基準よりも大幅に大きい(レベル大)と判定する(ステップS204)。ステップS203で電圧低下量が第2の閾値より小さい場合、判定部13は、特定の監視回路11のリーク電流が第2の基準よりも小さく、この監視回路11は、第1の基準よりはリーク電流が大きいが、度合は小さい(レベル小)と判定する(ステップS205)。
【0034】
本発明の第2の実施形態では、各監視回路11が低圧電池部と対応付けられていた割合に加えて、低圧電池部の待機状態における電圧低下量を用いて、監視回路11のリーク電流の大きさを判定することが可能になる。低圧電池部の待機状態における電圧低下量は、監視回路11のリーク電流の大きさに応じた値となるため、低圧電池部の待機状態における電圧低下量を用いることで、リーク電流が大きい監視回路11の判定精度を向上させることができる。また、電圧低下量の情報を用いることで、基準よりも大きいと判定された監視回路11のリーク電流の大きさについて、さらにレベルの大小を判定することが可能である。本実施形態において、第2の閾値の値を調整することで、バランス動作によって補正可能な範囲か否か判定することができるようになる。本実施形態では、すなわち、レベル小(バランス動作によって補正可能な範囲)と判定された場合には、バランス動作によって補正可能なため、その時点での監視回路11の交換は不要であると判断できる。一方、レベル大(バランス動作によって補正可能な範囲外)と判定された場合には、バランス動作によって補正できないため、監視回路11の交換が不要であると判断することができる。
【0035】
なお、図6の例では、低圧電池部の待機状態における電圧低下量は、第2の閾値と値の大きさを比較することで、リーク電流が基準以上であるか否かを判定するために用いられたが、かかる例に限定されない。低圧電池部の待機状態における電圧低下量は、リーク電流の大きさを示す値として用いられてもよい。例えば、高圧電池部の待機状態における電圧低下量と、低圧電池部の待機状態における電圧低下量との差を、リーク電流の大きさを示す値として用いることができる。
【0036】
また、ステップS203において、判定部13は、ステップS102で算出した割合が第1の閾値以上であると判定された監視回路11に対応付けられた2つ以上の電池部の電圧低下量(以下、第1電圧低下量と称する)を用いることができる。この場合判定部13は、第1電圧低下量をその他の監視回路11に対応付けられた電池部10の電圧低下量と比較することにより、レベルの大小を判定してもよい。さらに、第1電圧低下量は、2つ以上の電池部の電圧低下量の平均値を用いてもよいし、その中で最も電圧低下量の大きい値を用いてもよい。
【0037】
<第3の実施形態>
図7は、本発明の第3の実施形態に係る監視装置20の機能構成を示す図である。監視装置20は、判定部13を備える。判定部13は、複数の監視回路のうち、特定の監視回路が、複数の前記電池部のうち最も電圧値が低い低圧電池部と対応付けられている割合を所定の第1の閾値と比較する。ここで監視回路は、監視対象として対応付けられた電池部に蓄えられた電力を用いて駆動する。判定部13は、比較結果と、特定の監視回路と対応付けられた低圧電池部が2つ以上であるか否かを示す情報とを用いて、特定の監視回路のリーク電流が所定の第1の基準以上であるか否かを判定する。
【0038】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る監視装置20の判定部13の動作例を説明するためのフローチャートである。判定部13は、特定の監視回路が低圧電池部と対応付けられている割合と、特定の監視回路と対応付けられた低圧電池部が2つ以上であるか否かを示す情報とを用いて、監視回路のリーク電流が所定の第1の基準以上であるか否かを判定する(ステップS301)。
【0039】
<ハードウェア構成例>
第1〜第3の実施形態を用いて説明した本発明の監視システム100は、電池部を含む様々な蓄電システムに対して適用することができる。例えば、この監視システム100は、各家庭内で使用する電力を蓄える蓄電池を含む蓄電システムに対して適用可能である。
【0040】
図9は、本発明の第1〜第3の実施形態に係る監視システムを適用可能な蓄電システム400のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【0041】
蓄電システム400は、蓄電池401と、HEMS(Home Energy Management Sysmte)402と、スマートメーター403と、モニター404と、分電盤405と、電気負荷406と、発電装置407と、電気自動車408とを含む。蓄電システム400は、インターネット600および電力事業者の所有する送電網500とそれぞれ接続されている。
【0042】
蓄電池401は、電池セルなど繰り返し充電および放電することが可能な二次電池を含む。蓄電池401は、発電装置407で発電した電気や、図示しない商用電源から供給された電気を蓄えることができ、蓄えた電気を電気負荷406などに供給することができる。
【0043】
HEMS402は、エネルギーの使用状況を把握し、蓄電システム400が全体として効率良く運転できるように制御および管理する制御装置である。HEMS402は、例えば、インターネット600上のサーバ601と接続することができ、蓄電システム400内のエネルギーの使用状況をサーバ601に報告したり、サーバ601からの指示に従って動作したりすることができる。またHEMS402は、蓄電池401や電気負荷406などと通信路で接続されており、蓄電池401や電気負荷406などの動作を制御することもできる。HEMS402は、モニター404を用いて、蓄電システム400内のエネルギーの使用状況や蓄電システム400内で発生した異常を通知することができる。
【0044】
蓄電池401、スマートメーター403、電気負荷406、発電装置407および電気自動車408などは、分電盤405を介して接続されている。これにより、スマートメーター403を介して送電網500から送られてきた電気や、発電装置407が発電した電気が、電気負荷406または蓄電池401に供給されたり、蓄電池401や電気自動車408に蓄えられた電気が電気負荷406に供給されたりする。
【0045】
スマートメーター403は、通信機能を有する電力メーターであり、スマートメーター403をHEMS402と接続することで、蓄電システム400内と電力会社の双方で電気の使用状況を把握することができるようになる。
【0046】
モニター404は、HEMS402と接続されており、電気の使用状況など蓄電システム400に関する情報を出力する出力装置の一例である。モニター404は、蓄電システム400の専用モニターであってもよいし、パーソナルコンピュータ(PC)、テレビ受像装置、スマートフォン、タブレット端末などの装置であってもよい。
【0047】
電気負荷406は、蓄電システム400内で電力を消費する装置であり、例えばテレビ受像機、PC、エアーコンディショナー、照明器具などである。
【0048】
発電装置407は、例えば太陽光発電装置などであり、太陽光などのエネルギー源から電気を作り出す。発電装置407で作られた電気は、蓄電池401や電気自動車408に蓄えられたり、電力事業者に売却されたりする。
【0049】
電気自動車408は、電池セルを備えた自動車であり、蓄電システム400と接続することで、蓄電池として使用することができる。電気自動車408は、蓄えた電気を電気使用量が多い時や停電時に電気負荷406に供給することができる。
【0050】
(監視システムの機能構成とハードウェア構成の対応関係)
図1に示した監視システム100の機能構成と、図9に示すハードウェア構成との対応関係の一例について説明する。図1に示した監視システム100を図9の蓄電システム400に適用する場合、電池部10は、例えば蓄電池401や電気自動車408に備えられた二次電池である。電池部10が蓄電池401に備えられた二次電池である場合、監視回路11、検出部12、判定部13は、例えば蓄電池401内の一部品として実現することができる。或いは、検出部12、判定部13は、HEMS402やスマートメーター403の機能として実現されてもよい。或いは、検出部12および判定部13は、インターネット600上のサーバ601内に備えられていてもよい。
【0051】
或いは、監視システム100は、電気自動車408の機能として備えることもできる。
電気自動車408は、電池部10、監視回路11、検出部12および判定部13の機能を有することができる。
【0052】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術的思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0053】
例えば、上記実施形態で示したフローチャートの各ステップが実行される順序は、必ずしも記載された順序である必要はない。特に記載がない限り、当業者が想到し得る各種の変更を加えることが可能である。
【0054】
上記実施形態の監視システムを適用可能な蓄電システムとして、家庭内蓄電システムを例に挙げたが、本発明はかかる例に限定されない。電池部10を用いる様々な蓄電システムに対して、上記実施形態の監視システムを適用することが可能である。このとき監視システム100の各機能は、1つの装置で実現されてもよいし、複数の装置で実現されてもよい。そのハードウェア構成については、様々な変更を加えることができる。
【0055】
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1) 監視対象として対応付けられた2つ以上の電池部に蓄えられた電力を用いて駆動する複数の監視回路のうち特定の監視回路が、所定期間内において複数の前記電池部のうち最も電圧値が低い低圧電池部と対応付けられている割合を所定の閾値と比較した比較結果と、前記特定の監視回路と対応づけられた低圧電池部が2つ以上であるか否かを示す情報とを用いて、前記特定の監視回路のリーク電流が第1の基準以上であるか否かを判定する判定部、を備える監視装置。
(付記2) 前記判定部は、所定期間の長さに応じて異なる前記閾値を用いる、付記1に記載の監視装置。
(付記3) 前記判定部は、前記所定期間が短いほど大きい前記閾値を用いる、付記2に記載の監視装置。
(付記4) 前記所定期間は、前記電池部が充電、放電または充放電されている期間である、付記1から3のいずれか1項に記載の監視装置。
(付記5) 前記所定期間は、前記電池部が充電されている期間である、付記1から4のいずれか1項に記載の監視装置。
(付記6) 前記判定部は、前記低圧電池部が充電および放電していない待機期間中における電圧値の低下量をさらに用いて、前記特定の監視回路のリーク電流が第2の基準以上であるか否かを判定する、付記1から5のいずれか1項に記載の監視装置。
(付記7) 充放電可能な複数の電池部と、
前記複数の電池部のうち監視対象として対応づけられた2つ以上の電池部に蓄えられた電力を用いて駆動し、前記対応付けられた電池部の電圧値を監視する複数の監視回路と、 前記複数の電池部のうち最も電圧値が低い低圧電池部を検出する検出部と、
所定期間内において前記複数の監視回路のうち特定の監視回路が前記低圧電池部として検出された電池部と対応付けられている割合と第1の閾値との比較結果と、前記特定の監視回路と対応づけられた低圧電池部が2つ以上であるか否かを示す情報とを用いて、前記特定の監視回路のリーク電流が第1の基準以上であるか否かを判定する判定部と、を備える監視システム。
(付記8) 充放電可能な複数の電池部と、前記複数の電池部のうち監視対象として対応づけられた2つ以上の電池部に蓄えられた電力を用いて駆動し、前記対応付けられた電池部の電圧値を監視する複数の監視回路とを有する監視システムにおける監視方法であって、
前記複数の電池部のうち最も電圧値が低い低圧電池部の情報を取得し、
所定期間内において、前記複数の監視回路のうち特定の監視回路が前記低圧電池部として検出された電池部と対応付られている割合を算出し、
前記割合と所定の閾値との比較結果と、前記特定の監視回路と対応づけられた低圧電池部が2つ以上であるか否かを示す情報とを用いて、前記特定の監視回路のリーク電流が第1の基準以上であるか否かを判定する、監視方法。
【0056】
この出願は、2016年3月22日に出願された日本出願特願2016−57587を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0057】
10 電池部
11 監視回路
12 検出部
13 判定部
20 監視装置
100 監視システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9