特許第6863395号(P6863395)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863395
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20210412BHJP
   F24F 1/0063 20190101ALI20210412BHJP
   F24F 1/0068 20190101ALI20210412BHJP
   F24F 13/30 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   F24F1/0007 401A
   F24F1/0063
   F24F1/0068
   F24F13/30
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-26580(P2019-26580)
(22)【出願日】2019年2月18日
(65)【公開番号】特開2020-133984(P2020-133984A)
(43)【公開日】2020年8月31日
【審査請求日】2020年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】森本 康介
(72)【発明者】
【氏名】秋田 和洋
(72)【発明者】
【氏名】中谷 英敏
(72)【発明者】
【氏名】和阪 学弘
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 渉
【審査官】 浅野 弘一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−096949(JP,U)
【文献】 特開2018−096609(JP,A)
【文献】 特開2004−183953(JP,A)
【文献】 実開昭55−089923(JP,U)
【文献】 特開2002−310496(JP,A)
【文献】 実開昭56−123977(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 1/0063
F24F 1/0068
F24F 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置される空気調和装置(100)であって、
圧縮機(1)と、
熱源側熱交換器または利用側熱交換器のいずれか一方である第1熱交換器(3)と、
熱源側熱交換器または利用側熱交換器の他方である第2熱交換器(6)と、
前記圧縮機と前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを収容するケーシング(10)と、
前記圧縮機と前記第1熱交換器との間の冷媒ガス配管である第1配管(61、61a、61b)と、
前記圧縮機と前記第2熱交換器との間の冷媒ガス配管である第2配管(62)と、
を備え、
前記第1熱交換器が、前記第2熱交換器の下方に配置されており、
前記圧縮機が、前記第1熱交換器の下方に配置されており、
前記第1熱交換器は、前記第1配管が接続される第1端部(3a)を有し、
前記第1端部を、前記熱交換器の前記第1端部に繋がる部分の延長方向から見た時、前記第2配管と、前記第1配管の少なくとも一部が重複配置されており、
前記第1配管の重複配置されている部分を第1部分(611b)とし、
上面視において、前記第2配管は前記第1部分よりも前記第1端部から離れている、
空気調和装置。
【請求項2】
前記第1熱交換器は、連続する4側面(33a〜33d)を有している、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記第1熱交換器の上端と下端との間の高さ範囲の50%以上100%以下の範囲で、前記第1端部を、前記熱交換器の前記第1端部に繋がる部分の延長方向から見た時、前記第2配管と、前記第1配管の少なくとも一部重複配置されている、
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記第1配管は複数に分岐して前記第1熱交換器に接続されている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記空気調和装置は、さらに、前記第2配管の周りに配置される緩衝材(621)を、備えている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記空気調和装置は、さらに、
膨張弁(5)と、
前記膨張弁と前記第1熱交換器との間の冷媒液配管である第3配管(63)を備え、
前記第3配管は、前記第1端部に接続されている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記第2熱交換器は、前記第2配管が接続される第3端部(6a)を有し、
前記ケーシングは、上面視において、少なくとも4つの角部(111a〜111d)を有し、
前記第1端部と前記第3端部は、上面視において、同一の角部(111d)に配置されている、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ケーシング内に熱源側熱交換器および利用側熱交換器を収容する空気調和装置。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2006−242510号公報)は、凝縮器と蒸発器を両方とも1つの筐体に収容し、局所的な冷房を行う空気調和装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の空気調和装置においては、利用側熱交換器および熱源側熱交換器をともに1つの筐体内に含むため、筐体内の冷媒配管は相当複雑になる。しかし、従来は、この課題について、あまり多くの検討はなされて来なかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の空気調和装置は、屋外に配置される空気調和装置である。空気調和装置は、圧縮機と、第1熱交換器と、第2熱交換器と、ケーシングと、第1配管と、第2配管とを備えている。第1熱交換器は、熱源側熱交換器または利用側熱交換器のいずれか一方である。第2熱交換器は、熱源側熱交換器または利用側熱交換器の他方である。ケーシングは、圧縮機と、第1熱交換器と、前記第2熱交換器と、を収容する。第1配管は、圧縮機と第1熱交換器との間の冷媒ガス配管である。第2配管は、圧縮機と前記第2熱交換器との間の冷媒ガス配管である。第1熱交換器は、第2熱交換器の下方に配置されている。第1熱交換器は、第1配管が接続される第1端部を有する。第2配管と、第1配管の少なくとも一部が、第1端部の水平視において重複配置されている。
【0005】
第1観点の空気調和装置は、第2配管と、第1配管の少なくとも一部が、第1端部の水平視において重複配置されているため、コンパクトに、配管を配置することができる。
【0006】
第2観点の空気調和装置は、第1観点の装置であって、第1配管の重複配置されている部分を第1部分とする。上面視において、第2配管は第1部分よりも第1端部から離れている。
【0007】
第2観点の空気調和装置は、上面視において、第2配管は第1配管の第1部分よりも第1端部から離れているため、より、コンパクトに、配管を配置することができる。
【0008】
第3観点の空気調和装置は、第1観点または第2観点の装置であって、第1熱交換器が、連続する4側面を有している。
【0009】
第3観点の空気調和装置においては、第1熱交換器は連続する4側面を有しているので、第1熱交換器の周囲の配管は単純にできる。
【0010】
第4観点の空気調和装置は、第1観点〜第3観点の装置であって、第1熱交換器の上端と下端との間の高さ範囲の50%以上100%以下の範囲で、第2配管と、第1配管の少なくとも一部が第1端部の水平視において重複配置されている。
【0011】
第4観点の空気調和装置は、第1熱交換器の上部で、第2配管と第1配管が重複配置されているために、全体として、第2配管と第1配管を、コンパクトに配置できる。
【0012】
第5観点の空気調和装置は、第1観点〜第4観点の装置であって、第1配管は複数に分岐して第1熱交換器に接続されている。
【0013】
第5観点の空気調和装置は、第1配管は複数に分岐しているので、細い配管を用いることができ、コンパクトに配管を配置することができる。
【0014】
第6観点の空気調和装置は、第1観点〜第5観点の装置であって、さらに、第2配管の周りに配置される緩衝材を、備えている。
【0015】
第6観点の空気調和装置において、緩衝材は、配管と配管の間の隙間を埋めて、断熱しながら、配管を支持する役割を有する。
【0016】
第7観点の空気調和装置は、第1観点〜第6観点の装置であって、さらに、第3配管を有する。第3配管は、膨張機と第1熱交換器との間の冷媒液配管である。第3配管は、第1端部に接続されている。
【0017】
第8観点の空気調和装置は、第1観点〜第7観点の装置であって、第2熱交換器は、第2端部を有する。第2端部には、第2配管が接続される。ケーシングは、上面視において、少なくとも4つの角部を有する。第1端部と第2端部は、上面視において、同一の角部に配置されている。
【0018】
第8観点の空気調和装置は、第1端部と第2端部が同一の角部に配置されるため、配管がまとめやすくなり、メンテナンスが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の空気調和装置100の冷媒回路を示す図である。
図2】第1実施形態の空気調和装置100の外観斜視図である。
図3A】第1実施形態の空気調和装置100の内部の構成を示す斜視図である。
図3B】第1実施形態の空気調和装置100の内部の構成を示すたて断面図である。
図4】第1実施形態の第1熱交換器3付近の斜視図である。
図5】第1実施形態の第1熱交換器3の側面33dを正面から見た図である。
図6図5のAA断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
(1)空気調和装置100の冷媒回路の構成
第1実施形態の空気調和装置100の冷媒回路を図1に、外観の斜視図を図2に示す。本実施形態の空気調和装置は、屋外に配置され、ヒートポンプを用いて、屋外の暖房、冷房、除湿などを行う空気調和装置である。ここで、屋外とは、外気にさらされる空間を意味する。たとえば、公園、野外競技場など、屋根の無いところの場合もあれば、屋根がある戸外空間、東屋や、ベランダのような場所、レストランの戸外の席であってもよい。
【0021】
空気調和装置100は、冷房、または、除湿のみを行う冷房専用機であってもよい。空気調和装置100は、暖房のみを行う、暖房専用機であってもよい。空気調和装置100は、冷房、除湿に加えて、暖房を行う、空気調和装置であってもよい。
【0022】
本実施形態の空気調和装置100は、図1に示すような冷媒回路全体を一つのケーシングの中に含む、空気調和装置である。空気調和装置100は、図1に示すように、圧縮機1、アキュムレーター8、四方切換弁2、第1熱交換器3、膨張弁5、第2熱交換器6を備えている。これらの機器は、配管61〜67で接続され、冷媒は各機器を循環して、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。空気調和装置100は、さらに、第1熱交換器3、第2熱交換器6にそれぞれ空気を送る第1ファン4、第2ファン7を備えている。本実施形態の第1熱交換器3、第2熱交換器6は、ともに、冷媒と空気で熱交換を行う熱交換器である。本実施形態においては、第1熱交換器3は、利用側熱交換器であり、第2熱交換器6は、熱源側熱交換器である。
【0023】
第1配管61は、四方切換弁2と第1熱交換器3を接続する冷媒ガス配管である。第2配管62は、四方切換弁2と第2熱交換器6を接続する冷媒ガス配管である。第3配管63は、膨張弁5と第1熱交換器3を接続する冷媒液配管である。第4配管64は、膨張弁5と第2熱交換器6とを接続する冷媒液配管である。第5配管65は、圧縮機1と四方切換弁2を接続する冷媒ガス配管である。第6配管66は、四方切換弁2と、アキュムレーター8を接続する冷媒ガス配管である。第7配管67は、アキュムレーター8と圧縮機1を接続する冷媒ガス配管である。
【0024】
なお、第1配管61〜第7配管67は、1本のパイプで構成されていても良いし、複数の直列、並列な配管で構成されていても良い。配管の途中に冷媒回路の別の構成部品を含んでも良い。
【0025】
冷房、除湿の場合は、第1熱交換器3、第2熱交換器6は、それぞれ冷凍サイクルの蒸発器、放熱器として機能する。冷媒は、圧縮機1、第5配管65、四方切換弁2、第2配管62、第2熱交換器6、第4配管64、膨張弁5、第3配管63、第1熱交換器3、第1配管61、四方切換弁2、第6配管66、アキュムレーター8、第7配管67、圧縮機1の順に流れる。
【0026】
暖房の場合は、第1熱交換器3、第2熱交換器6は、それぞれ放熱器、蒸発器として機能する。冷媒は、圧縮機1、第5配管65、四方切換弁2、第1配管61、第1熱交換器3、第3配管63、膨張弁5、第4配管64、第2熱交換器6、第2配管62、四方切換弁2、第6配管66、アキュムレーター8、第7配管67、圧縮機1の順に流れる。
【0027】
冷房と暖房の切換は、四方切換弁2により冷媒の流れを変更することにより、行われる。空気調和装置100が冷房専用機である場合には、四方切換弁2は不要である。空気調和装置100が暖房兼用機である場合には、圧縮機から熱源側熱交換器へ冷媒を流すことで熱源側熱交換器の除霜を行うデフロスト運転のために、四方切換弁2を備えていてもよい。
【0028】
空気調和装置100において用いる冷媒としては、たとえば、R32単体、R32を含む混合冷媒である。R32を含む混合冷媒の例としては、R452B、R410A、R454Bである。R452Bは、R32が67.0wt%、R125が7.0wt%、R1234yfが26.0%である。R410Aは、R32が50wt%、R125が50wt%である。R454Bは、R32が72.5wt%、R1234yfが27.5wt%である。
【0029】
(2)空気調和装置100の各部品の配置
(2−1)空気調和装置の主要部品の配置
空気調和装置100の外観の斜視図を図2に、化粧部材、一部の支柱等を取り除いて、主な内部の構成を表示した斜視図、縦断面図を図3A図3Bに示す。
【0030】
本実施形態の空気調和装置100では、ケーシング10の中に、圧縮機1、第2熱交換器6、第1熱交換器3、第2ファン7、第1ファン4、配管61〜67が収容されている。ケーシング10は、水平断面が、略正方形の直方体形状を有している。水平断面は、多角形、長方形であってもよい。円形であってもよい。ケーシング10は、4本の支柱11a〜11dと、天板13と底板12とを有している。ケーシング10は4つの側面20a〜20dと、側面と側面の間に4つの角部111a〜111dと、を有している。支柱11a〜11dは、角部111a〜111dに鉛直に配置されている。ケーシング10の内部の空間は中間板14〜17によって仕切られている。中間板は、ケーシング10の構造の補強にも寄与している。中間板14〜17は設計により適宜の枚数、適宜の位置に配置される。天板13、底板12、および複数の中間板14、15、16、17は、4本の支柱11a〜11dに固定されている。また、本明細書においては、上記支柱、中間板等に直接または間接に取り付けられた構造部材を含めてケーシング10と呼ぶことがある。
【0031】
ケーシング10の4側面20a〜20dの外側には、化粧部材50が取り付けられている。熱交換器3,6の前面において、化粧部材50には複数の孔が形成されており、孔を通じて空気が流通可能になっている。各側面20a〜20dの化粧部材は、適宜、上下、左右に分割されている。
【0032】
ケーシング10の内部には、上から順に、第2ファン7、第2熱交換器6(熱源側熱交換器)、第1ファン4、第1熱交換器3(利用側熱交換器)、圧縮機1が配置されている。第2ファン7は、第2熱交換器6に空気を流通させる。第1ファン4は、第1熱交換器3に空気を流通させる。底板12と中間板17の間には、圧縮機1だけでなく、アキュムレーター8、四方切換弁2、膨張弁5が配置されている。
【0033】
底板12のさらに下には、4つのキャスターが取り付けられている。したがって、空気調和装置100は、移動可能である。
【0034】
第2ファン7は、プロペラファンである。ターボファン、シロッコファンであってもよい。第2ファン7は、天板13の中央部に吹出し口を開けて、天板の中央部から上方に空気を排出できるように取り付けられている。図示されていないが天板13の中央部の吹出し口にはさらにメッシュ状の板が配置されている。
【0035】
第2熱交換器6は、冷媒を流通させる伝熱管と、冷媒と空気との熱交換を推進する金属製フィンを含んでいる。第2熱交換器6は、ケーシング10の4側面20a〜20dの全ての面に配置されている。
【0036】
第1ファン4は、ターボファンである。プロペラファン、シロッコファンであってもよい。第1ファン4は、中間板15、16の間に、中間板15の中央部に吊り下げるように取り付けられている。第1ファン4は、第2ファン7のモータと別のモータで駆動され、独立に制御可能である。
【0037】
第1熱交換器3は、冷媒を空気と熱交換させながら流通させる伝熱管と、冷媒と空気との熱交換を促進する金属製フィンとを含んでいる。第1熱交換器3は、ケーシング10の4側面20a〜20dの全ての面に配置されている。
【0038】
(2−2)第1熱交換器3と第1配管61〜第4配管64の配置
本実施形態において、図1の冷媒回路の部品の空間的な配置を再度確認する。図3A、3Bに示すように、本実施形態の空気調和装置においては、上から順に第2熱交換器6、第1熱交換器3、中間板17より下の機械部品室となっている。機械部品室には、圧縮機1、アキュムレーター8、四方切換弁2、膨張弁5が配置されている。そこで、第1熱交換器3または第2熱交換器6と、四方切換弁2または膨張弁5とを接続する第1配管61〜第4配管64については、ケーシング10内で上下に接続する必要が生じる。特に第2熱交換器6と四方切換弁2または膨張弁5とを接続する第2配管62または第4配管64は、第1熱交換器3の上下に配置されることになる。そこで、第1熱交換器3付近の配管について、次に、詳しく説明する。
【0039】
図4に第1熱交換器3の周辺の斜視図を、図5に、第1熱交換器3の側面33dを正面から見た図を、図6に、第1熱交換器3を図5のAA水平面で切断した断面図を示す。
【0040】
本実施形態の第1熱交換器3は、4側面33a〜33dを有する。第1熱交換器3の伝熱管は、側面33aの第1端部3aから、側面33a、側面33b、側面33c、側面33dに順に配置され、第2端部3bに達する。第2端部3bで、折り返されて、再び、側面33d、側面33c、側面33b、側面33aの順に配置され、第1端部3aに戻る。再び、第1端部3aで折り返されて、側面33aから同様に繰り返される。
【0041】
第1熱交換器3の液側の冷媒出入り口は、第1端部3aの下部である。言い換えると、冷媒液配管である第3配管は、第1端部3aの下部に接続されている。冷房時の冷媒の流れで考えると、第1端部3aの下部に入った液冷媒は、2つに分岐する。その後、それぞれは、伝熱管を流れて、第1端部3aと第2端部3bを何度も往復して、第1端部3aの上部に達する。第1端部3aの上部には、ガス側の冷媒出入り口が配置されている。ガス側の冷媒出入り口には、冷媒ガス配管である第1配管61a、61bが接続されている。伝熱管を流れてガス化した冷媒は、第1配管61a、61bより、第1熱交換器3の外に排出される。第1配管61a、61bは、図5に示すように、途中で合わさり配管61となり、第1熱交換器3の下の空間の四方切換弁2に接続されている(図示せず)。
【0042】
一方、第2熱交換器6は、ほとんど第1熱交換器3と同様の形状であり、第1熱交換器3を上に平行移動したような形状を有している。第2熱交換器6も4面熱交である。第2熱交換器の第3端部6aおよび第4端部(図示せず)も、ケーシング10の同じ角部111dに配置されている。第1端部3aと第3端部6aは、上面視において、同一の角部111dに配置されている。したがって、第1配管61〜第4配管64も同一の角部にまとめられる。したがって、支柱11dを外すことにより、第1端部3aも第3端部6aもメンテナンスを行うことができる。
【0043】
図5は、第1熱交換器3の側面33dを正面から見た図である。配管が見えるように、適宜無関係な部品を消去して示した図である。図6は、図5のAAを含む水平面における空気調和装置100の断面図である。言い換えると、図5図6の矢印の方向から空気調和装置100を見た図である。図5では、第1配管61bは、第1配管61の分岐点Pから第1端部3aへの接続点Qへ、左下から右上に傾斜して配置されている。その手前に、第2配管62が鉛直方向に延びて配置されている。言い換えると、第2配管62と、第1配管61bの少なくとも一部が、第1端部3aの水平視において重複配置されている。この重複配置されている部分(図5の点線部分)を第1部分611bとする。
【0044】
図6において、直線mは、第1熱交換器3の第1端部3aを通り、第1熱交換器3の側面33aと垂直である。第1配管61a、61bおよび第2配管62と、直線mとの距離を、それぞれ、距離d1、距離d2とする。図6より、明らかなように、距離d1は、距離d2より小さい。言い換えると、上面視において、第2配管62は第1配管の第1部分611bよりも第1端部3aから離れている。
【0045】
また、図5より分かるように、第1部分611bは、第1熱交換器の上端Hと下端Lとの間にある。第1部分611bは、第1熱交換器3の上端Hと下端Lとの間の高さ範囲の50%以上100%以下の範囲である。
【0046】
(3)空気調和装置100における空気の流れの説明
(3−1)第1熱交換器3側の空気の流れ
図面を参照して、第1熱交換器3(利用側熱交換器)側の空気の流れを詳細に説明する。図3A図3Bには、本実施形態の空気調和装置100における、主な空気の流れを矢印に示している。
【0047】
第1ファン4が運転されると、空気は、空気調和装置100の外部、4側面20a〜20dの第1熱交換器3の前面から、化粧部材50を通過して、中間板16、17の間の空間に取り込まれる。空気は、第1熱交換器3を通過し、第1熱交換器3において、冷媒と熱交換を行う。冷媒によって加熱または冷却された空気は、第1ファン4を通過し、中間板15、16の間の空間へ移動し、4側面20a〜20dに設けられた吹出し口31a〜31dから外の空間に、概略水平方向に吹出される。吹出し口31a〜31dは、ケーシング10に形成された穴である。
【0048】
(3−2)第2熱交換器6側の空気の流れ
第2ファン7が運転されると、空気調和装置100の外部の、第2熱交換器6(熱源側熱交換器)が配置されている前面から、化粧部材50を通過して、中間板14、15の間の空間に、空気が取り込まれる。空気は、4側面20a〜20dにおいて、取り込まれる。外部から取り込まれた空気は、第2熱交換器6を通過して、冷媒と熱交換を行う。冷媒によって、加熱または冷却された空気は、空気調和装置100の内部で第2ファン7、天板13の中央の吹出し口を通過して、空気調和装置100の外の上部に、上向きに吹出される。
【0049】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態の空気調和装置100は、ケーシング10の内部に、利用側熱交換器としての第1熱交換器3と、熱源側熱交換器としての第2熱交換器6とを収容している。また、ケーシングの内部では、上から順に、第2熱交換器6、第1熱交換器3、機械室が配置されている。機械室には、圧縮機1、四方切換弁2、膨張弁5が配置されている。第1配管61は、第1熱交換器3と四方切換弁2とを接続している冷媒ガス配管である。第2配管62は、第2熱交換器6と四方切換弁2とを接続している冷媒ガス配管である。第1熱交換器3は、第1配管61a、61bが接続される第1端部3aを有している。
【0050】
本実施形態の空気調和装置においては、第2配管62と、第1配管の少なくとも一部が、第1端部3aの水平視において重複配置されている。
【0051】
本実施形態の空気調和装置100は、このような配置で、コンパクトな配管の配置が実現されている。
【0052】
(4−2)
(4−1)において、第1配管の重複配置されている部分を第1部分611bとする。上面視(断面)において、第2配管62は第1部分611bよりも第1熱交換器3の第1端部3aから離れている。言い換えると、第1端部3aと第1配管61a、61bとの距離d1は、第1端部3aと第2配管62との距離d2よりも短い。なお、ここで、第1端部と配管との距離は、図6に示すように、第1端部3aを通り、第1熱交換器3の側面33aと垂直な直線と、配管との距離で定義する。
【0053】
本実施形態の空気調和装置は、第1熱交換器3の第1端部3aに接続する第1配管61a、61bを、第2配管よりも近くに配置するため、よりコンパクトな配置が実現できる。
【0054】
(4−3)
本実施形態の第1熱交換器3は、連続する4側面33a〜33dを有している。4側面を利用するため、熱交換量が多い。
【0055】
また、第1熱交換器3の冷媒の出入り口は、第1端部3aに集められている。そのため、外部の配管はシンプルである。
【0056】
(4−4)
本実施形態の空気調和装置100においては、第1熱交換器3の上端Hと下端Lとの間の高さ範囲の50%以上100%以下の範囲で、第2配管62と、第1配管61a、61bの少なくとも一部が第1端部3aの水平視において重複配置されている。
【0057】
本実施形態の空気調和装置100は、第1熱交換器3の上部で、第2配管62と第1配管61a、61bが重複配置されているために、全体として、第2配管62と第1配管61a、61bを、コンパクトに配置できる。さらに、第1熱交換器3の上端Hと下端Lとの間の高さ範囲の75%以上100%以下の範囲で、第2配管62と、第1配管61a、61bの少なくとも一部が第1端部3aの水平視において重複配置されている方が望ましい。熱交換器の配管接続付近には配管が密集するため、上記の配置にすると、よりコンパクトに配置できる。
【0058】
(4−5)
本実施形態の空気調和装置100においては、第1配管61は、点Pで、複数の配管61a、61bに分岐している。分岐した第1配管61a、61bは、点Qで、第1熱交換器3の第1端部3aに接続されている。分岐は、3以上に分岐しても良い。第1配管の分岐後の配管の数は、第3配管63の分岐数よりも、多いことが好ましい。これにより、ガス冷媒の冷媒圧力損失を低減することができる。なお、本実施形態では、第3配管63は分岐していない。
【0059】
本実施形態の空気調和装置100においては、第1配管は複数に分岐しているので、細い配管を用いることができ、コンパクトに配管を配置することができる。
【0060】
(4−6)
本実施形態の空気調和装置100は、第2配管62の周りに配置される緩衝材621を、備えている。緩衝材621は、一般に防露筒とも呼ばれているものである。
【0061】
本実施形態の空気調和装置100においては、緩衝材621は、配管と配管との間の隙間を埋めて、断熱しながら、配管を支持する役割を有する。
【0062】
(4−7)
本実施形態の空気調和装置100は、さらに、膨張弁5と、第3配管63を有する。第3配管63は、膨張弁5と第1熱交換器3とを接続する冷媒液配管である。第3配管63は、第1熱交換器3の第1端部3aに接続されている。
【0063】
本実施形態の空気調和装置100においては、第3配管63は、第1熱交換器3の第1端部3aの下部に接続され、第1熱交換器3の上部での配管の配置には影響を及ぼさない。
【0064】
(4−8)
本実施形態の空気調和装置100においては、第2熱交換器6は、第3端部6aを有する。第3端部6aには、第2配管62が接続される。ケーシング10は、上面視において、少なくとも4つの角部111a〜111dを有する。第1端部3aと第3端部6aは、上面視において、同一の角部111dに配置されている。
【0065】
本実施形態の空気調和装置100は、第1端部3aと第3端部6aが同一の角部111dに配置されるため、配管をまとめやすくなり、配管の交換等のメンテナンスが容易になる。
【0066】
(5)変形例
(5−1)変形例1A
第1実施形態においては、第1熱交換器3が利用側熱交換器であり、第2熱交換器6が熱源側熱交換器であった。変形例1Aでは、逆に、第1熱交換器3が熱源側熱交換器であり、第2熱交換器6が利用側熱交換器である。言い換えると、利用側熱交換器が熱源側熱交換器の上にある。変形例1Aの空気調和装置は、下側の第1熱交換器3で熱交換した空気を上に向けて排気する。したがって、空気の流れとしては、第1実施形態とは異なる。変形例1Aの空気調和装置も、第1実施形態と同様に、上記(4−1)〜(4−8)の構成と作用効果を有する。
【0067】
(5−2)変形例1B
第1実施形態の第1熱交換器3は、連続する4側面33a〜33dを有していた。変形例1Bの第1熱交換器は、連続する2側面(33aと33b、33cと33d)を有する熱交換器を2つ並べたものである。そして2つの熱交換器は、角部111bで接続して用いられている。第1配管61、第2配管62との接続部は、第1実施形態の第1熱交換器3と同様に、角部111dである。変形例1Bの空気調和装置は、第1実施形態と同様に、(4−1)〜(4−2)、(4−4)〜(4−8)の構成と作用効果を有する。
【0068】
(5−3)変形例1C
第1実施形態の空気調和装置100は、四方切換弁2を有し、冷房、暖房を切り換えて運転することができた。変形例1Cの空気調和装置は、四方切換弁を有さず、冷房専用機である。変形例1Aにおいては、第1配管は、圧縮機1と第1熱交換器3とを接続する冷媒ガス配管である。第2配管は、アキュムレーター8と第2熱交換器6とを接続する冷媒ガス配管である。変形例1Cの空気調和装置は、第1実施形態と同様に、(4−1)〜(4−8)の構成と作用効果を有する。
【0069】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0070】
1 圧縮機
2 四方切換弁
3 第1熱交換器
3a 第1端部
3b 第2端部
5 膨張弁
6 第2熱交換器
6a 第3端部
8 アキュムレーター
10 ケーシング
20a〜20d (ケーシング10の)側面
33a〜33d (第1熱交換器3の)側面
61〜67 第1配管〜第7配管
61a、61b 第1配管(分岐部分)
611b (第1配管の)第1部分
621 緩衝材
100 空気調和装置
111a〜111d 角部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2006−242510号公報
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6