(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するロボットの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下では、ロボットがいわゆるシール材を塗布する作業を行う場合について主に説明するが、作業内容は、シール材の塗布に限らず、ワークのピッキングや、塗装、溶接などであってもよい。
【0011】
また、以下に示す実施形態では、「直交」、「垂直」、「平行」、「一致」、「重なる」あるいは「対称」といった表現を用いるが、厳密に「直交」、「垂直」、「平行」、「一致」あるいは「対称」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0012】
まず、実施形態に係るロボット10について
図1および
図2を用いて説明する。
図1は、実施形態に係るロボット10の斜視図であり、
図2は、実施形態に係るロボット10の側面図である。なお、
図1および
図2には、説明をわかりやすくするために、鉛直上向きが正方向であるZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、以下の説明で用いる他の図面においても示す場合がある。
【0013】
図1に示すように、ロボット10は、第1軸A1〜第7軸A7の7軸を有するいわゆる垂直多関節ロボットである。また、ロボット10は、基端側から先端側へ向けて、台座14と、ベース部15と、下部アーム16と、上部アーム17と、第1アーム11と、第2アーム12と、手首部13とを備える。
【0014】
ここで、第1アーム11および第2アーム12は、先端側がいわゆる二股形状を有しており、
図1に示した姿勢において、上下方向(Z軸に沿った向き)に開放された「開放空間」が確保されている。
【0015】
また、第1アーム11には、第1軸A1に沿う第1貫通孔11cが設けられている。なお、第1貫通孔11cの基端側(X軸負方向側)の開口は開口11cbであり、先端側(X軸正方向側)の開口は開口11caである。ここで、第1貫通孔11cの中心軸は、第1軸A1と一致していることが好ましい。
【0016】
これは、第1貫通孔11cに外部ケーブルを挿通した場合に、外部ケーブルが第1アーム11の回転の影響を受けにくいためである。ここで、外部ケーブルとしては、気体や液体あるいは電力を供給するケーブルや、これらのケーブルをまとめて被覆したケーブルを用いることができる。
【0017】
また、第2アーム12には、
図1に示したように、第1軸A1と第4軸A4とが重なる姿勢において、第1軸A1に沿う第2貫通孔12cが設けられている。なお、第2貫通孔12cの基端側(X軸負方向側)の開口は開口12cbであり、先端側(X軸正方向側)の開口は開口12caである。
【0018】
ここで、第2貫通孔12cの中心軸は、第1軸A1と一致していることが好ましい。これは、
図1に示した姿勢において、第1貫通孔11cへ挿通した外部ケーブルを第2貫通孔12cへ挿通しやすいためである。
【0019】
さらに、上部アーム17には、第1軸A1に沿う貫通孔17cが設けられている。なお、貫通孔17cの基端側(X軸負方向側)の開口は開口17cbであり、先端側(X軸正方向側)の開口は開口17caである。また、手首部13には、第1軸A1と第4軸A4とが重なる姿勢において、第1軸A1に沿う貫通孔13cが形成されている。そして、上記したように、第1アーム11には第1貫通孔11cおよび開放空間が、第2アーム12には、第2貫通孔12cおよび開放空間が、それぞれ設けられている。
【0020】
つまり、上部アーム17の貫通孔17cは、第1アーム11の第1貫通孔11cに連通しており、第1貫通孔11cは、第1アーム11の開放空間に連通している。また、第1アーム11の開放空間は、第2アーム12の第2貫通孔12cに連通しており、第2貫通孔12cは、第2アーム12の開放空間に連通している。そして、第2アーム12の開放空間は、手首部13の貫通孔13cに連通している。
【0021】
すなわち、ロボット10は、
図1に示した姿勢において、上部アーム17の貫通孔17cと、手首部13の貫通孔13cとが、第1軸A1に沿って一直線状に連通している。したがって、上部アーム17から手首部13にかけて、手首部13に装着されるエンドエフェクタ用の外部ケーブルを挿通しやすい。なお、貫通孔17c、第1貫通孔11c、第2貫通孔12cおよび貫通孔13cの径は同程度であることが好ましい。
【0022】
さらに、上記したように、第1アーム11および第2アーム12には「開放空間」が確保されている。したがって、かかる開放空間に計器類などの外部機器を収容することができる。これにより、ロボット10の表面から外部機器がはみ出すことがないので、ロボット10の可動範囲を広げることができる。また、かかる開放空間を利用して外部機器や外部ケーブルのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0023】
また、エンドエフェクタ用の外部ケーブルをロボット10に挿通した場合には、上記した開放空間が、ロボット10の姿勢変化に伴って姿勢が変化する外部ケーブルの逃げ空間となるので、外部ケーブルの急な屈曲を避けることができる。
【0024】
以下、ロボット10の構成についてさらに詳細に説明する。台座14は、床などの設置面に固定される。ベース部15は、台座14に支持され、設置面と垂直な第5軸A5まわりに回転する。下部アーム16は、ベース部15に支持され、第5軸A5と垂直な第6軸A6まわりに旋回する。上部アーム17は、下部アーム16に支持され、第6軸A6と平行な第7軸A7まわりに旋回する。
【0025】
第1アーム11は、上部アーム17に基端側が支持され、第7軸A7と垂直な第1軸A1まわりに回転する。また、第1アーム11は、第1軸A1に沿う第1貫通孔11cが設けられた第1基端部11aと、第1延伸部11bとを有する。第1延伸部11bは、第1基端部11aにおける第1貫通孔11cの開口11caを避けた位置から第1軸A1に沿って先端側へ延伸する。
【0026】
ここで、
図1には、第1延伸部11bが、開口11caを挟むように2つ設けられ、2つの第1延伸部11bで第2アーム12を支持する場合を示したが、2つのうち一方を省略して第1延伸部11bを1つ、すなわち、第1アーム11をいわゆる片持ち形状としてもよい。
【0027】
第2アーム12は、第1アーム11の先端側に基端側が支持され、第1軸A1と直交する第2軸A2まわりに旋回する。また、第2アーム12は、第1軸A1と第4軸A4とが重なる姿勢において、第1軸A1に沿う第2貫通孔12cが設けられた第2基端部12aと、第2延伸部12bとを有する。第2延伸部12bは、第2基端部12aにおける第2貫通孔12cの開口12caを避けた位置から第1軸A1に沿って先端側へ延伸する。
【0028】
ここで、
図1には、第2延伸部12bが、開口12caを挟むように2つ設けられ、2つの第2延伸部12bで手首部13を支持する場合を示したが、2つのうち一方を省略して第2延伸部12bを1つ、すなわち、第2アーム12をいわゆる片持ち形状としてもよい。
【0029】
手首部13は、第2アーム12の先端側に基端側が支持され、第2軸A2と平行な第3軸A3まわりに旋回するとともに、第3軸A3と直交する第4軸A4まわりに先端側が回転する。また、手首部13には、第1軸A1と第4軸A4とが重なる姿勢において、第1軸A1に沿う貫通孔13cが設けられる。なお、手首部13の先端側には、作業内容に応じて各種のエンドエフェクタが着脱可能に固定される。
【0030】
次に、ロボット10の側面形状について
図2を用いて説明する。なお、
図2に示したロボット10の姿勢と、
図1に示したロボット10の姿勢とは同一である。また、
図1で既に説明した事項については説明を省略する。
【0031】
図2に示すように、第6軸A6は、第5軸A5に対して水平向きにオフセットしている。このように、第6軸A6をオフセットすることで、ロボット10の先端を第5軸A5からより遠い位置に到達させることができる。
【0032】
また、第1軸A1は、
図2に示した姿勢において、第7軸A7に対して上方にオフセットしている。このように、第1軸A1をオフセットすることで、上部アーム17を時計回りに旋回して下部アーム16と上部アーム17とを折り畳んだ姿勢をとった場合であっても、下部アーム16と上部アーム17とを干渉しにくくすることができる。
【0033】
また、
図2に示したように、第1軸A1と第4軸A4とが重なる姿勢において、上部アーム17の貫通孔17c、第1アーム11の第1貫通孔11c、第2アーム12の第2貫通孔12cおよび手首部13の貫通孔13cは、第1軸A1に沿って一直線状に配置される。
【0034】
次に、第1アーム11、第2アーム12および手首部13の構成について、
図3Aおよび
図3Bを用いてさらに詳細に説明する。
図3Aは、第1アーム11以降の上面図であり、
図3Bは、第1アーム11以降の側面図である。なお、
図3Aおよび
図3Bでは、第1アーム11における基端側の記載を省略している。
【0035】
図3Aに示すように、第1アーム11の第1基端部11aは、第2アーム12を第2軸A2まわりに旋回させる動力を発生する動力源M1を内部に収容する。なお、動力源M1は、たとえば、モータなどのアクチュエータである。
【0036】
また、一方の第1延伸部11bの内部には、動力源M1からの動力を第2アーム12へ伝達する伝達部T1が設けられる。ここで、伝達部T1は、たとえば、プーリおよびベルトであるが、シャフトおよびギアなどの他の機構を用いることとしてもよい。
【0037】
また、他方の第1延伸部11bの内部には、第1アーム11から第2アーム12へ配策される内部ケーブルCの一部を収容する空間が設けられる。なお、内部ケーブルCは、たとえば、第2軸A2に沿って設けられる中空シャフトなどを経由して第1アーム11および第2アーム12間に配策される。
【0038】
このように、一方の第1延伸部11bに伝達部T1を配置し、他方の第1延伸部11bに内部ケーブルCの収容空間を設けることで、第1延伸部11b内の空間を効率的に利用することができる。また、伝達部T1と内部ケーブルCの収容空間とを別々の第1延伸部11bに設けることで、第1延伸部11bを細く形成することができる。
【0039】
ここで、
図3Bに示すように、動力源M1は、第1貫通孔11cを避けた位置に収容される。なお、
図3Bでは、第1貫通孔11cを上方(Z軸正方向)に避けた位置に動力源M1を収容する場合を示したが、第1貫通孔11cを下方(Z軸負方向)に避けた位置に動力源M1を収容することとしてもよい。
【0040】
なお、動力源M1のサイズが小さい場合には、
図3Bにおいて、第1貫通孔11cと重なっても構わない。つまり、第1貫通孔11cを左右方向(Y軸正負方向)に避けた位置に動力源M1を収容すればよい。
【0041】
また、
図3Aに示すように、第2アーム12の第2基端部12aは、手首部13を第3軸A3まわりに旋回させる動力を発生させる動力源M2と、手首部13を第4軸A4まわりに回転させる動力を発生させる動力源M3とを内部に収容する。
【0042】
このように、動力源を第2基端部12aに収容することで、第2延伸部12bを細く形成することができる。なお、動力源M2および動力源M3の収容位置を入れ替えてもよい。また、動力源M2および動力源M3は、たとえば、モータなどのアクチュエータである。
【0043】
また、一方の第2延伸部12bの内部には、動力源M2からの動力を手首部13へ伝達する伝達部T2が設けられる。また、他方の第2延伸部12bの内部には、動力源M3からの動力を手首部13へ伝達する伝達部T3が設けられる。ここで、伝達部T2および伝達部T3は、たとえば、プーリおよびベルトであるが、シャフトおよびギアなどの他の機構を用いることとしてもよい。
【0044】
ここで、
図3Bに示すように、動力源M2および動力源M3は、第2貫通孔12cを避けた位置に収容される。なお、
図3Bでは、第2貫通孔12cを上方(Z軸正方向)に避けた位置に動力源M2および動力源M3を収容する場合を示したが、第2貫通孔12cを下方(Z軸負方向)に避けた位置に動力源M2および動力源M3を収容することとしてもよい。また、動力源M2および動力源M3のうち一方を第2貫通孔12cの上方に他方を下方にそれぞれ収容することとしてもよい。
【0045】
なお、動力源M2あるいは動力源M3のサイズが小さい場合には、
図3Bにおいて、第2貫通孔12cと重なっても構わない。つまり、第2貫通孔12cを左右方向(Y軸正負方向)に避けた位置に動力源M2あるいは動力源M3を収容すればよい。
【0046】
また、
図3Aに示すように、手首部13は、第3軸A3まわりに旋回する旋回部13aを基端側に、第4軸A4まわりに回転する回転部13bを先端側に、それぞれ備える。なお、貫通孔13cは、旋回部13aおよび回転部13bを貫通する。
【0047】
また、
図3Aに示すように、第2アーム12の基端側は、いわゆる二股形状を有している。このように、第2アーム12の基端側を二股形状とすることで、2つの二股形状が向かいあうため、第1アーム11における上記した「開放空間」をより広げることができる。
【0048】
また、手首部13の基端側も、いわゆる二股形状を有している。このように、手首部13の基端側を二股形状とすることで、2つの二股形状が向かいあうため、第2アーム12における上記した「開放空間」をより広げることができる。
【0049】
なお、第2アーム12および手首部13の基端側における二股形状のいずれか一方、あるいは両方を省略することとしてもよい。また、
図3Aおよび
図3Bでは、内部ケーブルCが第2アーム12に収容される動力源M2および動力源M3に接続されることとしたが、第2アーム12や手首部13に配置されるセンサー等の機器類へ接続されることとしてもよい。
【0050】
次に、ロボット10におけるアーム長について
図4を用いて説明する。
図4は、アーム長を比較した側面図である。なお、
図4に示したロボット10の姿勢と、
図2に示したロボット10の姿勢とは同一である。また、
図4では、下部アーム16における基端側の記載を省略している。
【0051】
図4に示すように、上部アーム17および第1アーム11を一つのアームとみなした場合のアームの長さをアーム長L1とし、第2アーム12の長さをアーム長L2とする。ここで、アーム長L1は、第1軸A1に沿った向きにおける第7軸A7と第2軸A2との距離である。また、アーム長L2は、第2軸A2と第3軸A3との距離である。
【0052】
ここで、アーム長L2は、アーム長L1よりも短いことが好ましい。このようにすることで、第1アーム11および第2アーム12を狭小な空間へ挿入した場合であっても、第2アーム12の姿勢変更を行いやすい。
【0053】
さらに、アーム長L1とアーム長L2との比は、「2:1」〜「4:1」の範囲であることが好ましく、「3:1」程度であることがさらに好ましい。これは、アーム長L2を、アーム長L1に対して短くしすぎると、狭小な空間における手首部13の到達範囲が狭まってしまうためである。
【0054】
次に、ロボット10の作業対象となるワークWについて
図5Aおよび
図5Bを用いて説明する。
図5Aは、ワークWの一例を示す模式図であり、
図5Bは、ワークWの使用例を示す模式図である。なお、
図5Aおよび
図5Bでは、模式図としてワークWを斜め上方からみた斜視図を示している。
【0055】
図5Aに示すように、ワークWは、たとえば、5枚の板材B1〜板材B5を組み合せて得られる上面が開放された箱体である。具体的には、矩形状の板材B1が底面となり、板材B1の各辺から立ち上がる4枚の矩形状の板材B2〜板材B5が側面となるように接着剤などでそれぞれ接合される。
【0056】
ここで、ワークWに真水や海水といった液体を入れる場合、接合する部位からの液体漏れが問題となる。そこで、各板材の接合部位(辺と辺とが接する部位)をワークWの内側からシールする必要がある。
【0057】
図5Aに示した場合では、底面の4つの辺に相当するシール部位S12、シール部位S13、シール部位S14およびシール部位S15と、側面の角に相当するシール部位S23、シール部位S34、シール部位S45およびシール部位S25がシールの対象領域となる。
【0058】
図5Bに示すように、シール後のワークWは、魚などを生きたまま収容する生け簀や水槽として用いられる。ここで、板材B1〜板材B5は、たとえば、透明性のあるガラスやアクリル等の樹脂といった材料とする部材である。
【0059】
なお、ワークWを床面の凹部に収容する場合や、鑑賞性を重視しない場合には、板材B1〜板材B5を非透明性の部材、たとえば、ステンレスやアルミなどの金属としてもよい。また、このように、金属の部材を用いる場合には、部材同士を接着する代わりに、溶接することとしてもよい。
【0060】
また、ワークWの形状は、
図5Aおよび
図5Bに示した形状に限らず、ロボット10が内部に侵入可能な形状であり、複数の部材が接合された形状であれば足りる。
【0061】
次に、ロボット10およびワークWの配置について、
図6を用いて説明する。
図6は、ロボット10およびワークWの配置例を示す図である。なお、
図6では、ロボット10aおよびロボット10bの2台のロボット10を対称面61について対称に配置している。ここで、対称面61は、ワークWを対称に切断する面に相当する。また、ロボット10aおよびロボット10bの先端には、シール材を吐出するエンドエフェクタEが取り付けられている。
【0062】
また、
図6に示すように、ワークWの上方には、障害物Dがあり、各ロボット10は、ワークWと、障害物Dとの隙間から侵入しつつ、ワークWの内側に対して作業を行う。また、
図6に示すように、ロボット10aは、対称面61よりもロボット10a寄りのシール作業を担当し、ロボット10bは、対称面61よりもロボット10b寄りのシール作業を担当する。
【0063】
たとえば、
図6に示すように、ロボット10aは、第1アーム11に対して第2アーム12を折り曲げ、さらに、第2アーム12に対して手首部13を折り曲げる姿勢でシール部位S12に対するシール作業を行う。
【0064】
なお、ロボット10aが、対称面61側のシール作業を行う場合には、
図6に示す姿勢よりも、第2アーム12を対称面61側へ旋回させ、さらに、手首部13を対称面61側へ旋回させることで、エンドエフェクタEの吐出口を対称面61側へ向けた姿勢をとればよい。
【0065】
ここで、ロボット10aおよびロボット10bは、
図4等に示したように、第2アーム12が短めであるので、自分寄りのシール部位をシールする場合であっても、アーム等が対称面61を超えることがない。つまり、ロボット10aとロボット10bとが干渉しないため、複数のロボット10間における排他動作などの複雑な動作制御を行う必要がない。
【0066】
なお、
図6には、2台のロボット10を示したが、タクトタイムに余裕がある場合には、1台のロボット10でワークWのシール作業を行うこととしてもよい。また、
図6ではワークWの搬送機構を省略したが、ワークWを搬送するベルトコンベアなどの搬送機構を設けることとしてもよい。
【0067】
次に、実施形態に係るロボットシステム1の構成について
図7を用いて説明する。
図7は、ロボットシステム1の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、ロボットシステム1は、ロボット10と、ロボット制御装置100とを備える。なお、ロボット10は、ロボット制御装置100に接続されている。また、複数のロボット10をロボット制御装置100に接続することとしてもよい。
【0068】
ロボット制御装置100は、制御部110と、記憶部120とを備える。制御部110は、受付部111と、動作制御部112とを備える。記憶部120は、教示情報121を記憶する。なお、
図7には、説明を簡略化するために、1台のロボット制御装置100を示したが、ロボット10にそれぞれ対応するロボット制御装置100を用いることとしてもよい。この場合、各制御装置を束ねる上位の制御装置を設けることとしてもよい。
【0069】
ここで、ロボット制御装置100は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0070】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部110の受付部111および動作制御部112として機能する。
【0071】
また、受付部111および動作制御部112の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0072】
また、記憶部120は、たとえば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、教示情報121を記憶することができる。なお、ロボット制御装置100は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。さらに、上記したように、ロボット制御装置100を複数台の相互に通信可能な装置として構成してもよく、上位または下位の装置と通信可能な階層式の装置として構成してもよい。
【0073】
制御部110は、ロボット10の動作制御を行う。なお、ロボット制御装置100が複数台で構成される場合には、制御部110は、ロボット制御装置100間の同期をとる処理を併せて行うこととしてもよい。
【0074】
受付部111は、ワークWの有無や形状、シーリング箇所に関する情報を受け付ける。そして、受付部111は、受け付けた情報に応じてロボット10の動作タイミングや動作内容を決定し、決定した動作タイミングや動作内容を動作制御部112へ通知する。たとえば、受付部111は、ワークWが所定位置に配置されたタイミングを取得し、取得したタイミングに基づいてロボット10を動作させるよう動作制御部112へ指示する。
【0075】
動作制御部112は、受付部111からの指示および教示情報121に基づいてロボット10を動作させる。動作制御部112は、ロボット10の動力源であるモータ等のアクチュエータにおけるエンコーダ値を用いつつフィードバック制御を行うなどしてロボット10の動作精度を向上させる。
【0076】
教示情報121は、ロボット10へ動作を教示するティーチング段階で作成され、ロボット10の動作経路を規定するプログラムである「ジョブ」を含んだ情報である。なお、
図6に示したように、ワークWを挟んで左右対称な位置に各ロボット10を配置する場合には、教示データを共用したり、反転利用したりすることが可能となる。したがって、ロボットシステム1によれば、かかる教示データを含んだ教示情報121の生成の手間とコストとを抑制することができる。
【0077】
上述してきたように、実施形態に係るロボット10は、第1アーム11と、第2アーム12と、手首部13とを備える。第1アーム11は、第1軸A1まわりに回転する。第2アーム12は、第1アーム11の先端側に基端側が支持され、第1軸A1と直交する第2軸A2まわりに旋回する。手首部13は、第2アーム12の先端側に基端側が支持され、第2軸A2と平行な第3軸A3まわりに旋回するとともに、先端側が第3軸A3と直交する第4軸A4まわりに回転する。
【0078】
また、第1アーム11は、第1軸A1に沿う第1貫通孔11cが設けられた第1基端部11aと、第1基端部11aにおける第1貫通孔11cの開口11caを避けた位置から第1軸A1に沿って先端側へ延伸する第1延伸部11bとを有する。
【0079】
第2アーム12は、第1軸A1と第4軸A4とが重なる姿勢において、第1軸A1に沿う第2貫通孔12cが設けられた第2基端部12aと、第2基端部12aにおける第2貫通孔12cの開口12caを避けた位置から第1軸A1に沿って先端側へ延伸する第2延伸部12bとを有する。
【0080】
このように、実施形態に係るロボット10によれば、第1延伸部11bの第1貫通孔11c側と、第2延伸部12bの第2貫通孔12c側とに外部機器を配置可能なスペースを確保することができる。したがって、ロボット10を動作させた場合に外部機器がワークW等に干渉せず、結果的に、ロボット10の可動範囲を広げることができる。
【0081】
なお、上述した実施形態では、ワークWとして水槽や生け簀を例示したが、ワークWを車両のボディとすることとしてもよい。つまり、製造途中の車両の窓等からロボット10を侵入させて内部から部材の接合部位をシールすることとしてもよい。
【0082】
また、上述した実施形態では、第1アーム11を支持する構成として、第5軸A5まわりに回転するベース部15、第6軸A6まわりに旋回する下部アーム16および第7軸A7まわりに旋回する上部アーム17の3軸の構成を例示した。しかしながら、これに限らず、昇降機構付きの水平リンク等の他のアーム構成で第1アーム11を支持することとしてもよい。
【0083】
また、上述した実施形態では、第1貫通孔11cおよび第2貫通孔12cが、部材の内部を通過する場合を例示したが、第1貫通孔11cおよび第2貫通孔12cについて、延伸向きの一部あるいは全部を外部に開放することとしてもよい。すなわち、第1貫通孔11cおよび第2貫通孔12cは、一部あるいは全部が外部に開放されていてもよい。
【0084】
この点について、
図8Aおよび
図8Bを用いて説明する。
図8Aは、貫通孔の変形例その1を示す模式図であり、
図8Bは、貫通孔の変形例その2を示す模式図である。なお、
図8Aおよび
図8Bは、第1貫通孔11cについての例示であるが、第2貫通孔12cについても同様とすることができる。
【0085】
図8Aに示すように、第1基端部11aの一部を切欠いた形状とすることで、第1貫通孔11cを外部へ開放することとしてもよい。なお、
図8Aでは、上側(Z軸正方向側)を切り欠いた形状としたが、側方側や下側を切り欠いた形状としてもよい。
【0086】
また、
図8Bに示すように、切欠き部分を覆う着脱可能なカバーCVを設けることとしてもよい。なお、第1基端部11aの形状を
図8Aに示した形状としつつ、第1基端部11aの外周に沿った形状のカバーCVを設けることとしてもよい。
【0087】
このように、外部から第1貫通孔11cあるいは第2貫通孔12cへのアクセスを可能とすることで、メンテナンス性を向上させることができる。なお、第1基端部11aと、第2基端部12aとで、切欠きの向きを異ならせることとしてもよい。
【0088】
また、上述した実施形態では、ロボット10を7軸のロボットとする例を示したが、ロボット10を8軸以上のロボットとしてもよい。
【0089】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施例に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。