特許第6863401号(P6863401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大正製薬株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863401
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】固形製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20210412BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20210412BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20210412BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20210412BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20210412BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20210412BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20210412BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   A61K31/192
   A61P11/00
   A61P19/02
   A61P29/00
   A61P29/00 101
   A61P1/02
   A61K9/20
   A61K47/04
   A61K47/26
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-83504(P2019-83504)
(22)【出願日】2019年4月25日
(62)【分割の表示】特願2015-108396(P2015-108396)の分割
【原出願日】2015年5月28日
(65)【公開番号】特開2019-116506(P2019-116506A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2019年4月25日
(31)【優先権主張番号】特願2014-125119(P2014-125119)
(32)【優先日】2014年6月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】桑田 亜矢
(72)【発明者】
【氏名】浜下 智宏
【審査官】 梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−203690(JP,A)
【文献】 特開2011−225624(JP,A)
【文献】 特開平10−167958(JP,A)
【文献】 医薬品添加物辞典2007,株式会社薬事日報社,2007年 7月25日,第1刷,pp.93,97,189,286.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/192
A61K 9/20
A61K 47/04
A61K 47/26
A61P 1/02
A61P 11/00
A61P 19/02
A61P 29/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロキソプロフェン又はその塩、及び二酸化ケイ素を含有し、二酸化ケイ素の含有量がロキソプロフェン又はその塩1質量部に対し0.1〜0.45質量部であり、日本薬局方第十六改正の崩壊試験法による崩壊試験を行ったとき崩壊時間が60秒以内である錠剤(ただし、クロスポビドンで被覆された顆粒を圧縮成形して得られる錠剤であって、該顆粒がその内部にもクロスポビドンを含む口腔内崩壊性錠剤、及び第一の造粒物に二酸化ケイ素を含む分散液を付与して第二の造粒物を製造し、第二の造粒物を打錠して得た口腔内崩壊錠は除く)。
【請求項2】
ロキソプロフェン又はその塩がロキソプロフェンナトリウムである、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
二酸化ケイ素が、軽質無水ケイ酸である、請求項1に記載の錠剤。
【請求項4】
ロキソプロフェン又はその塩の含有量が、製剤全質量に対して5.0〜40.0質量%である請求項1に記載の錠剤。
【請求項5】
さらに、糖又は糖アルコールを含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の錠剤。
【請求項6】
糖又は糖アルコールが、マンニトール、ショ糖及び粉糖からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロキソプロフェン又はその塩を含有する固形製剤に関し、適度な硬度を有し、外観安定性にも優れた、水なしで服用可能な固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ロキソプロフェンは、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の一種であり、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛、急性上気道炎や、手術後・外傷後・抜歯後等の消炎・鎮痛・解熱に有効なものとして知られている(非特許文献1)。
ロキソプロフェンナトリウムは薬物同士または機器、容器に対する付着性が強いため、特別に配慮した処方でなければ製剤化が困難である。これらの問題を解消する例として、添加物の総吸水能が1.7以上、好ましくは2.0以上とするロキソプロフェンナトリウム製剤(特許文献1)及び高粘度ヒドロキシプロピルセルロース、軟質無水ケイ酸及びステアリン酸マグネシウムを含み、その総吸水能が1.4以上1.7未満である製剤基剤とよりなるロキソプロフェンナトリウム製剤(特許文献2)がある。
【0003】
一方、水なしで服用可能な製剤は、特に小児や高齢者など嚥下能力の低い人達にも服用しやすい優れた製剤である(非特許文献2)。また、水なしで服用可能なため、服用シーンを選ばず、水がない状況下でも服用できるというメリットがある。そのため、利便性を考え、ロキソプロフェン又はその塩を含有する口腔内崩壊錠の研究がなされている。
しかし、ロキソプロフェンを配合した製剤は崩壊性が極めて悪いため、特に水なしで服用する製剤の開発にあたっては、その改善が要求される。
【0004】
今までに、ロキソプロフェン又はその塩を含有する口腔内崩壊錠又はチュアブル錠の例として、ロキソプロフェン、シクロデキストリン誘導体及び結合剤からなる口腔内速溶性製剤(特許文献3)がある。しかしながら、特許文献3の製剤は、凍結乾燥法により製造するものであり、特殊な設備が必要である。また、ロキソプロフェンによる口腔・咽喉頭部への不快感を改善したチュアブル錠が報告されている(特許文献4)。しかしながら、特許文献4では崩壊性などの錠剤物性については言及されていない。
これまで錠剤の硬度と崩壊性、及び外観安定性に着目した、水なしで服用可能なロキソプロフェン含有製剤の例は、報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−74153号公報
【特許文献2】特許第2711528号公報
【特許文献3】特開平10−167958号公報
【特許文献4】特開2010−270019号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】第十六改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C−5359−5364頁
【非特許文献2】第十六改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第A−33−34頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、ロキソプロフェン又はその塩を含有する水なし服用固形製剤を製造するにあたって、その崩壊性を改善するため、一般的な崩壊剤の配合を試みた。しかしながら、崩壊剤の配合量を増やしても、崩壊性の改善には至らなかった。
したがって、本発明の目的は、ロキソプロフェン又はその塩を含有する製剤に関し、適度な硬度を有し、口腔内で速やかに崩壊でき、かつ、外観安定性にも優れた水なしで服用可能な固形製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために種々の検討を行ったところ、二酸化ケイ素をロキソプロフェン又はその塩1質量部に対し0.1〜0.45質量部含有せしめると、口腔内において速やかな崩壊性を示しながら、外観安定性に優れた水なしで服用可能な固形製剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は
(1)ロキソプロフェン又はその塩、及び二酸化ケイ素を含有し、二酸化ケイ素の含有量がロキソプロフェン又はその塩1質量部に対し0.1〜0.45質量部であることを特徴とする、水なしで服用可能な固形製剤、
(2)口腔内崩壊錠又はチュアブル錠である(1)に記載の固形製剤、
(3)ロキソプロフェン又はその塩がロキソプロフェンナトリウムである、(1)に記載の固形製剤、
(4)二酸化ケイ素が、軽質無水ケイ酸である、(1)に記載の固形製剤、
(5)ロキソプロフェン又はその塩の含有量が、製剤全質量に対し5.0〜40.0質量%である(1)に記載の固形製剤、
(6)さらに、糖又は糖アルコールを含有する、(1)〜(5)のいずれかに記載の固形製剤、
(7)糖又は糖アルコールが、マンニトール、ショ糖及び粉糖からなる群から選ばれる少なくとも1種である、(6)に記載の固形製剤、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、口腔内で速やかに崩壊し且つ、所望の適度な硬度を有し、外観安定性に優れたロキソプロフェン又はその塩を含有する水なしで服用可能な固形製剤の製造が可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のロキソプロフェン又はその塩を含有する水なしで服用可能な固形製剤について詳述し説明する。
【0012】
本発明の製剤中におけるロキソプロフェン又はその塩には、ロキソプロフェンのみならず、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらには水やアルコール等との溶媒和物が含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、ロキソプロフェン又はその塩としては、ロキソプロフェンナトリウム二水和物(化学名:Monosodium 2-[4-[(2-oxocyclopentyl)methyl]phenyl]propanoate dihydrate)が好ましい。
本発明の固形製剤中におけるロキソプロフェン又はその塩の含有量は、その薬効を示す量であれば特に限定されるものではないが、固形製剤全質量に対して、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で0.5〜50.0質量%、好ましくは1.0〜50.0質量%、特に好ましくは1.0〜40.0質量%、最も好ましいのは5.0〜40.0質量%である。
【0013】
本発明の二酸化ケイ素においては、例えば軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などが挙げられるが、好ましくは軽質無水ケイ酸である。また、本発明の固形製剤中に含まれる二酸化ケイ素の含有量は、ロキソプロフェンまたはその塩1質量部に対して、好ましくは0.1〜0.45質量部、特に好ましくは0.2〜0.3質量部である。さらに二酸化ケイ素の含有量は流動性、錠剤物性及び圧縮成形性という観点から固形製剤全質量に対して上限値は6.5質量%となる。
【0014】
本発明の糖又は糖アルコールとしては、例えばマンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、粉糖、ブドウ糖、乳糖等が挙げられるがより好ましいのは、マンニトール、ショ糖又は粉糖である。
【0015】
本発明の二酸化ケイ素の添加方法は、特に限定されるものではない。例えばロキソプロフェンと同時に配合し造粒する内部添加、造粒溶媒中に二酸化ケイ素を分散させて造粒する液添加、ロキソプロフェンを含有する顆粒に二酸化ケイ素を混合する後末添加による方法等が挙げられる。
【0016】
本発明の水なしで服用な可能な固形製剤としては、例えば口腔内崩壊錠やチュアブル錠、顆粒剤が挙げられる。口腔内崩壊錠とは、通常の咀嚼条件での口腔内における崩壊時間が極めて速い錠剤を意味する。また、チュアブル錠とは、噛み砕いて服用する錠剤を意味する。口腔内崩壊錠またはチュアブル錠は服用しやすく、例えば、通常の錠剤を服用しにくい、小児や老人への投与にも、好適な剤型である。
【0017】
また、本発明の固形製剤中にはロキソプロフェン又はその塩の他に、本発明の効果を損なわない質的、量的範囲で、通常用いられる他の有効成分(例えば鎮咳去痰剤、気管支拡張剤、中枢興奮剤、抗ヒスタミン薬、催眠鎮静薬、鎮痙薬、胃腸薬、制酸剤、解熱鎮痛消炎薬、ビタミン剤、制吐剤、生薬など)を配合しうる。
【0018】
本発明の固形製剤には、本発明の効果に支障のない限り、水なしで服用可能な固形製剤の製造に一般に用いられる種々の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤として、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、酸味剤、発泡剤、甘味剤、嬌味剤、香料、滑沢剤、着色剤等が挙げられる。本発明の口腔内崩壊錠またはチュアブル錠の大きさ、形状は、特に限定されず、また、割線を有する分割錠としてもよい。
【0019】
本発明の固形製剤の製造に当たっては、特に制約なく従来から行われている製造方法を使用することができる。本発明のロキソプロフェン又はその塩を含有する水なしで服用可能な固形製剤は、口腔内で優れた崩壊性を示すものであり、好ましくは日本薬局方による崩壊試験において、崩壊時間が60秒以内、さらに好ましくは30秒以内である。また製剤工程、さらには流通過程において損傷することのない適度な強度を有し、錠剤硬度は引張強度に換算して0.5MPa以上の外観安定性が良好な製剤である。
【実施例】
【0020】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものではない。なお、錠剤の引張強度が0.5MPa以上となるよう、以下の機器及び条件で錠剤径9.5mmの錠剤を製造した。
【0021】
実施例1〜2、比較例1〜3
機器 :卓上簡易錠剤成型機(商品名:HANDTAB;市橋精機)
打錠圧:3〜10kN
実施例3〜5
機器 :小型回転式錠剤機(商品名:VELA5;菊水製作所)
打錠圧:5〜7kN
【0022】
(実施例1)
ロキソプロフェンナトリウム二水和物204.3mg、軽質無水ケイ酸27mg、マンニトール614.4mg、トウモロコシデンプン260mg、ヒドロキシプロピルセルロース63mgを混合した粉体に、マンニトール154mg、軽質無水ケイ酸6mgを溶解・分散させた水溶液を添加した後、乳鉢で練合し、十分乾燥させた。その後22メッシュの篩に通し、造粒物を製造した。得られた造粒物にステアリン酸マグネシウム10mg、アスパルテーム36mg、クロスポピドン123.6mgを混合した後、打錠し、錠剤を得た。
【0023】
(実施例2)
ロキソプロフェンナトリウム二水和物204.3mg、軽質無水ケイ酸54mg、マンニトール1228.8mg、トウモロコシデンプン520mg、ヒドロキシプロピルセルロース126mgを混合した粉体に、マンニトール308mg、軽質無水ケイ酸12mgを溶解・分散させた水溶液を添加した後、乳鉢で練合し、十分乾燥させた。その後、実施例1と同様に造粒物を製造し、得られた造粒物にステアリン酸マグネシウム、アスパルテーム、クロスポピドンを表1に示すように秤量し混合した後、打錠し、錠剤を得た。
【0024】
(実施例3)
ロキソプロフェンナトリウム二水和物204.3mg、軽質無水ケイ酸15.7mg、マンニトール357.2mg、トウモロコシデンプン151.2mgを混合した粉体に、マンニトール154mg、軽質無水ケイ酸6mg、ヒドロキシプロピルセルロース63mgを溶解・分散させた水溶液を加えて、流動層造粒機にて造粒物を製造した。得られた造粒物にステアリン酸マグネシウム10.8mg、アスパルテーム32.4mg、クロスポピドン108mg、香料22.7mgを混合した後、打錠し、錠剤を得た。
【0025】
(実施例4)
ロキソプロフェンナトリウム二水和物204.3mg、軽質無水ケイ酸24mgを混合した粉体に、軽質無水ケイ酸18mgを溶解・分散させた水溶液を加えて、流動層造粒機にて造粒物aを製造した。また、軽質無水ケイ酸7mg、マンニトール637.3mg、トウモロコシデンプン256mg、ヒドロキシプロピルセルロース37mg、粉糖74mgを混合した粉体に、マンニトール126.7mgを溶解・分散させた水溶液を加えて、流動層造粒機にて造粒物bを製造した。得られた造粒物a、造粒物bにステアリン酸マグネシウム10mg、アスパルテーム36mg、クロスポピドン123mgを混合した後、打錠し、錠剤を得た。
【0026】
(実施例5)
ロキソプロフェンナトリウム二水和物204.3mg、軽質無水ケイ酸24mgを混合した粉体に、軽質無水ケイ酸18mgを溶解・分散させた水溶液を加えて、流動層造粒機にて造粒物aを製造した。また、軽質無水ケイ酸2.5mg、マンニトール223mg、トウモロコシデンプン89.6mg、ヒドロキシプロピルセルロース13mg、粉糖25.9mgを混合した粉体に、マンニトール44.3mgを溶解・分散させた水溶液を加えて、流動層造粒機にて造粒物bを製造した。得られた造粒物a、造粒物bと、ステアリン酸マグネシウム4.6mg、アスパルテーム36mg、クロスポピドン55.3mgを混合した後、打錠し、錠剤を得た。
【0027】
(比較例1)
ロキソプロフェンナトリウム二水和物204.3mg、マンニトール647.4mg、トウモロコシデンプン260mg、ヒドロキシプロピルセルロース63mgを混合した粉体に、マンニトール154mgを溶解・分散させた水溶液を添加した後、乳鉢で練合し、十分乾燥させた。その後、実施例1と同様に造粒物を製造し、得られた造粒物にステアリン酸マグネシウム、アスパルテーム、クロスポピドンを表1に示すように秤量し混合した後、打錠し、錠剤を得た。
【0028】
(比較例2)
ロキソプロフェンナトリウム二水和物204.3mg、軽質無水ケイ酸90mg、マンニトール552mg、トウモロコシデンプン260mg、ヒドロキシプロピルセルロース63mgを混合した粉体に、マンニトール154mg、軽質無水ケイ酸6mgを溶解・分散させた水溶液を添加した後、乳鉢で練合し、十分乾燥させた。その後、実施例1と同様に、造粒物を製造し、得られた造粒物にステアリン酸マグネシウム、アスパルテーム、クロスポピドンを表1に示す通りに秤量し混合した後、打錠し、錠剤を得た。
【0029】
(比較例3)
ロキソプロフェンナトリウム二水和物204.3mg、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム27mg、マンニトール614.4mg、トウモロコシデンプン260mg、ヒドロキシプロピルセルロース63mgを混合した粉体に、マンニトール154mg、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム6mgを溶解・分散させた水溶液を添加した後、乳鉢で練合し、十分乾燥させた。その後、実施例1と同様に、造粒物を製造し、得られた造粒物にステアリン酸マグネシウム、アスパルテーム、クロスポピドンを表1に示すように秤量し混合した後、打錠し、錠剤を得た。
実施例1〜5及び比較例1〜3の処方を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
(試験例)
<評価方法>
実施例1〜5及び比較例1〜3の錠剤について、以下の各試験方法により硬度試験、崩壊時間の測定及び外観評価を行った。
(1)硬度試験
シュロイニゲル錠剤硬度計(シュロイニゲル社製)を用いて測定した。実施例1〜5の錠剤の硬度を3回ずつ測定した。また得られた結果を下記の[数1]を用い計算し、引張強度を算出し、その平均値を求めた。
【0032】
【数1】
【0033】
F:錠剤硬度(N)
D:錠剤直径(mm)
t:錠剤厚さ(mm)
【0034】
【表2】
【0035】
表2に示すように、実施例1〜5及び比較例1〜3の錠剤は、引張強度がすべて0.5MPa以上であり、適度な強度を有する錠剤であることが分かった。
【0036】
(2)崩壊試験
日本薬局方第十六改正に記載されている崩壊試験法に従い測定した。それぞれの錠剤の崩壊時間を3回ずつ測定し、その平均値を求めた。
【0037】
(3)外観評価
得られた錠剤を、密栓した状態で保存し、65℃条件下に2週間保存した後の外観を専門パネラー2名で観察し、製造直後品との相対比較で下記の評価基準に従い行った。
【0038】
<評価基準>
著しい変色:++
やや変色:+
変色なし:−
(結果)
それぞれの錠剤の崩壊時間、外観評価結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
表3に示すように、実施例1〜5の錠剤は、崩壊時間が60秒以内であり、かつ、外観評価においても良好な結果を示した。特に、実施例4及び実施例5の錠剤は、崩壊時間が30秒以内の優れた崩壊性を示した。一方、処方中に二酸化ケイ素を含有していない比較例1や、二酸化ケイ素の含有量がロキソプロフェンナトリウム1質量部に対して0.45質量部を超える量を配合した比較例2、二酸化ケイ素の代わりにメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを含有した比較例3は崩壊時間、外観評価のいずれかについて満足できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、口腔内で水がなくても速やかに崩壊あるいは溶解し、かつ所望の適度な硬度を有し、外観安定性に優れたロキソプロフェンまたはその塩を含有した製剤の提供が可能となる。