(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ケーシングは、コンテナの輸送時には横揺れなどの外力を受ける。ケーシングの側板と側板延長部が別部材であるため、ケーシングは、外力を受けると、ねじれ変形するおそれがある。そのため、上記構成では、ケーシングを、ねじれ変形に耐える十分な強度を有する構成にするのが困難である。
【0006】
本開示の目的は、コンテナ用冷凍装置のケーシングの強度を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、
コンテナ本体(1)の開口端に装着されるケーシング(11)を備えた、コンテナ用冷凍装置を前提とする。
【0008】
第1の態様のコンテナ用冷凍装置は、
上記ケーシング(11)が、上記コンテナ本体(1)の庫外側に位置する庫外ケーシング(12)と、該庫外ケーシング(12)に固定され且つ上記コンテナ本体(1)の庫内側に位置する庫内ケーシング(13)とを有し、
上記庫外ケーシング(12)は、該庫外ケーシング(12)の左右の縁部に、上記ケーシング(11)の上端部から下端部に亘って連続する柱部材(50)を有し、
上記庫内ケーシング(13)は、該庫内ケーシング(13)の左右の縁部に、上記ケーシング(11)の上端部から下端部に亘って連続する側板(41)を有し、
上記柱部材(50)と上記側板(41)とが固定され
、
上記庫内ケーシング(13)は、左右の縁部の間で且つ上記ケーシング(11)の下側部分に、上記コンテナ本体(1)の庫内側へ膨出する膨出部(11a)を有し、
上記側板(41)は、上記庫内ケーシング(13)の膨出部(13a)の側面に位置する第1部分と、上記膨出部(13a)の上方に位置する第2部分とを有し、
上記第1部分と第2部分とが一体に構成されている
ことを特徴とする。
ことを特徴とする。
【0009】
第1の態様では、ケーシング(11)の上端部から下端部に亘って連続するように庫外ケーシング(12)の左右の縁部に設けられた柱部材(50)と、ケーシング(11)の上端部から下端部に亘って連続するように庫内ケーシング(13)の左右の縁部に設けられた側板(41)とが固定される。この第1の態様では、側板(41)がケーシング(11)の上端部から下端部まで連続しているため、外力に対する強度が高く、ケーシング(11)のねじれ変形を抑えられる。
【0010】
本開示の第2の態様は、
第1の態様において、
上記側板(41)は、上記コンテナ本体(1)の長手方向の幅寸法が上端から下端まで同じである
ことを特徴とする。
【0011】
本開示の第3の態様は、
第1または第2の態様において、
上記側板(41)の第1部分は、上記庫内ケーシング(13)の膨出部(13a)の側面と一体的に形成される
ことを特徴とする。
【0012】
第3の態様では、側板(41)をケーシング(11)の膨出部(11a)と一体的に形成することにより、庫内ケーシング(13)の側板(41)が膨出部(11a)の側面を兼ねる構成となる。このことにより、ケーシング(11)の構成を簡素化し、且つケーシング(11)の十分な強度も得ることができる。
【0013】
本開示の第4の態様は、
第1から第3の態様の何れか1つにおいて、
上記庫内ケーシング(13)は、互いに組み合わされる複数の板金部品(41〜44)を備え、
上記側板(41)は、上記板金部品の一つである
ことを特徴とする。
【0014】
本開示の
第5の態様は、
第1から第4のいずれか1つの態様において、
上記庫外ケーシング(12)と上記庫内ケーシング(13)の両方が金属材料により形成され、
上記ケーシング(11)は、上記庫外ケーシング(12)と上記庫内ケーシング(13)の間に介在し且つ上記柱部材(50)及び上記側板(41)に固定される中間部材(60)を備え、
上記中間部材(60)は、上記柱部材(50)及び上記側板(41)よりも熱伝導率の低い樹脂材料により形成される
ことを特徴とする。
【0015】
本開示の第6の態様は、
コンテナ本体(1)の開口端に装着されるケーシング(11)を備えた、コンテナ用冷凍装置であって、
上記ケーシング(11)が、上記コンテナ本体(1)の庫外側に位置する庫外ケーシング(12)と、該庫外ケーシング(12)に固定され且つ上記コンテナ本体(1)の庫内側に位置する庫内ケーシング(13)とを有し、
上記庫外ケーシング(12)は、該庫外ケーシング(12)の左右の縁部に、上記ケーシング(11)の上端部から下端部に亘って連続する柱部材(50)を有し、
上記庫内ケーシング(13)は、該庫内ケーシング(13)の左右の縁部に、上記ケーシング(11)の上端部から下端部に亘って連続する側板(41)を有し、
上記柱部材(50)と上記側板(41)とが固定され、
上記庫外ケーシング(12)と上記庫内ケーシング(13)の両方が金属材料により形成され、
上記ケーシング(11)は、上記庫外ケーシング(12)と上記庫内ケーシング(13)の間に介在し且つ上記柱部材(50)及び上記側板(41)に固定される中間部材(60)を備え、
上記中間部材(60)は、上記柱部材(50)及び上記側板(41)よりも熱伝導率の低い樹脂材料により形成される
ことを特徴とする。
【0016】
第5,第6の態様では、庫外ケーシング(12)と庫内ケーシング(13)の間に、柱部材(50)及び側板(41)よりも熱伝導率の低い樹脂材料で形成した中間部材(60)を設けている。よって、庫外の熱が庫外ケーシング(12)から庫内ケーシング(13)に伝達され難い。その結果、例えば外気温度が35℃程度の高温環境で庫内空間を約0℃に冷却するような場合に、庫外の熱が庫外ケーシング(12)から庫内ケーシング(13)に伝達されるのを抑制できる。
【0017】
本開示の第7の態様は、
第6の態様において、
上記庫内ケーシング(13)は、左右の縁部の間で且つ上記ケーシング(11)の下側部分に、上記コンテナ本体(1)の庫内側へ膨出する膨出部(11a)を有する
ことを特徴とする。
【0018】
第7の態様では、膨出部(11a)を有するケーシング(11)のねじれ変形を抑えられる。
【0019】
本開示の第8の態様は、
第6の態様において、
上記庫内ケーシング(13)は、左右の縁部の間で且つ上記ケーシング(11)の下側部分に、上記コンテナ本体(1)の庫内側へ膨出する膨出部(11a)を有し、
上記側板(41)の下側部分は、上記庫内ケーシング(13)の膨出部(13a)の側面と一体的に構成される
ことを特徴とする。
【0020】
第8の態様では、側板(41)をケーシング(11)の膨出部(11a)と一体的に形成することにより、庫内ケーシング(13)の側板(41)が膨出部(11a)の側面を兼ねる構成となる。このことにより、ケーシング(11)の構成を簡素化し、且つケーシング(11)の十分な強度も得ることができる。
【0021】
本開示の
第9の態様は、
第6の態様において、
上記柱部材(50)と上記中間部材(60)、及び上記側板(41)と上記中間部材(60)をそれぞれ固定する、上下に間隔をあけて配置される複数の締結部材(70)を備える
ことを特徴とする。
【0022】
本開示の
第10の態様は、
第7または第8の態様において、
上記柱部材(50)と上記中間部材(60)、及び上記側板(41)と上記中間部材(60)をそれぞれ固定する、上下に間隔をあけて配置される複数の締結部材(70)を備える
ことを特徴とする。
【0023】
第9,第10の態様では、樹脂材料により形成される中間部材(60)を、リベットなどの締結部材(70)を用いて柱部材(50)及び中間部材(60)に強固に締結できる。
【0024】
本開示の
第11の態様は、
第10の態様において、
上記膨出部(11a)の上方に配置される複数の上記締結部材(70)の間隔(D1)は、上記膨出部(11a)の下端から上端までの範囲内に配置される複数の上記締結部材(70)の間隔(D2)より狭い
ことを特徴とする。
【0025】
第11の態様では、各締結部材(70)の間隔を、膨出部(11a)の上端から下端までの範囲、言い換えると膨出部(11a)が存在する範囲よりも、膨出部(11a)の上端より上方の膨出部(11a)が存在しない範囲を狭くしている。膨出部(11a)の上方は膨出部(11a)が存在しないために締結強度が弱くなるおそれがあるが、締結部材(70)の間隔を狭めることで締結強度を確保できる。
【0026】
本開示の
第12の態様は、
第6から第11の態様の何れか1つにおいて、
上記中間部材(60)は、上記庫内ケーシング(13)に留めるように構成された第1留め部(61)を有する
ことを特徴とする。
【0027】
本開示の
第13の態様は、
第12の態様において、
上記庫内ケーシング(13)は、上下方向に延びる板状縁部(49c)を備え、
上記第1留め部(61)は、上下方向に伸び、上記板状縁部(49c)に掛けられる断面U字状の鉤部(65)を有する
ことを特徴とする。
【0028】
第12,第13の態様では、中間部材(60)は、締結部材(70)に加えて、第1留め部(61)も用いて庫内ケーシング(13)に留められる。リベットのような締結部材(70)を用いる場合は、樹脂製の中間部材(60)に締結部材(70)を通す貫通穴が形成されるため、中間部材(60)の貫通穴の周囲からひび割れが広がるおそれがある。これに対して、第9,第10の態様では、留め部も力を受けるために、ひび割れの発生を抑えられる。特に、第10の態様では、簡単な構成の第1留め部(61)により、中間部材(60)のひび割れを抑制できる。
【0029】
本開示の
第14の態様は、
第6から第11の態様の何れか1つにおいて、
上記中間部材(60)は、上記庫外ケーシング(12)に留めるように構成された第2留め部(62)を有する
ことを特徴とする。
【0030】
本開示の
第15の態様は、
第14に態様において、
上記庫外ケーシング(12)の上記柱部材(50)には、上下方向に延びる溝(53)が形成され、
上記第2留め部(62)は、上下方向に伸び、上記柱部材(50)の溝(53)にはまり込む突部(66)を有する
ことを特徴とする。
【0031】
第14,第15の態様では、中間部材(60)は、締結部材(70)に加えて、第2留め部(62)も用いて庫外ケーシング(12)に留められる。リベットのような締結部材(70)を用いる場合は、樹脂製の中間部材(60)に締結部材(70)を通す貫通穴が形成されるため、中間部材(60)の貫通穴の周囲からひび割れが広がるおそれがある。これに対して、第11,第12の態様では、留め部も力を受けるため、ひび割れの発生を抑えられる。特に、第12の態様では、簡単な構成の第2留め部(62)により、中間部材(60)のひび割れを抑制できる。
【0032】
本開示の
第16の態様は、
第1から
第15の態様の何れか1つにおいて、
上記庫内ケーシング(13)は、互いに組み合わされる複数の板金部品(41〜44)を備え、
上記側板(41)は、上記板金部品の一つであり、且つ上記板金部品のうちで最も厚さ寸法が大きい
ことを特徴とする。
【0033】
第16の態様では、側板(41)がケーシング(11)の複数の板金部品(41〜44)のうちで最も厚さ寸法が大きい部品であり、側板(41)自体の剛性が高い。よって、ケーシング(11)の強度を十分に高められる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態は、コンテナ用冷凍装置に関するものである。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0036】
図1及び
図2に示す本実施形態のコンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送等に用いられるコンテナ本体(1)の貨物収容空間(S3)の冷蔵又は冷凍を行うものである。コンテナ本体(1)は、長手方向の端部が開口端になった箱状に形成されている。
【0037】
コンテナ用冷凍装置(10)は、冷凍サイクルを利用してコンテナ本体(1)の庫内空間
(S2,S3)の空気を冷却する冷媒回路(20)を備えている(
図4参照)。コンテナ本体(1)の庫内空間(S2,S3)は、例えば植物(図示せず)が箱詰めされた状態で収納される貨物収容空間(S3)と、後述する冷媒回路(20)の構成部品の一部が収納される庫内収納空間(S2)とを含んでいる。
【0038】
〈コンテナ用冷凍装置の全体構造〉
コンテナ用冷凍装置(10)はケーシング(11)を有する。ケーシング(11)は、箱状のコンテナ本体(1)の上記開口端に取り付けられ、その開口端を塞ぐ。ケーシング(11)は、コンテナ本体(1)の庫外側に位置する庫外ケーシング(12)と、コンテナ本体(1)の庫内側に位置する庫内ケーシング(13)とを備える。庫外ケーシング(12)及び庫内ケーシング(13)は、例えば、例えばアルミニウム合金によって構成される。
【0039】
庫外ケーシング(12)は、コンテナ本体(1)の開口端を塞ぐようにコンテナ本体(1)の開口の周縁部に取り付けられて固定される。庫外ケーシング(12)は、下部に、コンテナ本体(1)の庫内側へ膨出する第1膨出部(12a)を有する。
【0040】
庫内ケーシング(13)は、庫外ケーシング(12)と対向して配置され、庫外ケーシング(12)に固定される。庫内ケーシング(13)は、下部に、庫外ケーシング(12)の下部に対応して庫内側へ膨出する第2膨出部(13a)を有する。
図2に示すように、第2膨出部(13a)は第1膨出部(12a)を庫内側から覆う。庫内ケーシング(13)と庫外ケーシング(12)との間の空間には、断熱材(14)が充填される。
【0041】
庫外ケーシング(12)と庫内ケーシング(13)を組み合わせた状態で、ケーシング(11)の下部には、第1膨出部(12a)と第2膨出部(13a)により、コンテナ本体(1)の庫内側に向かって膨出する膨出部(11a)が形成される。ケーシング(11)におけるコンテナ本体(1)の庫外側には、第1膨出部(12a)の内側に庫外収納空間(S1)が形成される。ケーシング(11)におけるコンテナ本体(1)の庫内側には、第2膨出部(13a)の上方に庫内収納空間(S2)が形成される。
【0042】
ケーシング(11)には、メンテナンス時に開閉可能な開閉扉(16)が幅方向に並んで2つ設けられる。ケーシング(11)の庫外収納空間(S1)には、後述する庫外ファン(25)と隣接する位置に電装品ボックス(17)が配設される。
【0043】
図2に示すように、上記ケーシング(11)の庫内側には、仕切板(18)が配設される。仕切板(18)は、略矩形状の板部材により構成され、ケーシング(11)の庫内側の面と空間を隔てて対向する。この仕切板(18)によって、コンテナ本体(1)の庫内収納空間(S2)と貨物収容空間(S3)とが区画される。
図3に仮想線で示す仕切板(18)は、ケーシング(11)の側板(41)、中央ステー(43)、及び側部ステー(44)で支持される。
【0044】
仕切板(18)の上端とコンテナ本体(1)内の天井面との間には吸込口(18a)が形成される。コンテナ本体(1)の貨物収容空間(S3)の空気は、吸込口(18a)を介して庫内収納空間(S2)に取り込まれる。仕切板(18)の下端には、庫内収納空間(S2)へ空気を吹き出す吹き出し口(18b)が形成される。
【0045】
図4に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備えている。冷媒回路(20)は、圧縮機(21)と、凝縮器(放熱器)(22)と、膨張弁(膨張機構)(23)と、蒸発器(24)とが、冷媒配管(28)によって順に接続された閉回路である。
【0046】
図1及び
図2に示すように、圧縮機(21)及び凝縮器(庫外熱交換器)(22)は、庫外収納空間(S1)に収納される。凝縮器(22)の上方には、庫外ファン(25)が配設される。庫外ファン(25)は、庫外ファンモータ(25a)に駆動されて回転し、コンテナ本体(1)の庫外の空気を庫外収納空間(S1)の内部へ誘引して凝縮器(22)へ送る。凝縮器(22)では、凝縮器(22)の内部の冷媒と庫外の空気とが熱交換する。
【0047】
蒸発器(24)は、庫内収納空間(S2)に収納される。
図3に示すように、庫内収納空間(S2)における蒸発器(24)の上方には、ケーシング(11)の幅方向に並んで2つの庫内ファン(26)が配設される。庫内ファン(26)は、庫内ファンモータ(26a)に駆動されて回転し、コンテナ本体(1)の庫内空気を吸込口(18a)から誘引して蒸発器(24)へ吹き出す。蒸発器(24)では、その内部を流れる冷媒と庫内空気とが熱交換する。庫内空気は、蒸発器(24)を通過する際に冷媒に放熱して冷却される。冷却された庫内空気は、吹出口(18b)からコンテナ本体(1)の貨物収容空間(S3)へ吹き出される。ケーシング(11)の側板(41)には、庫内に設けられる図示しない温度センサのケーブルを引き出すための開口(41a)が設けられる。
【0048】
本実施形態のコンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ本体(1)の貨物収容空間(S3)に低酸素濃度の混合ガスを供給して庫内空間(S2,S3)との酸素濃度を調整するための混合ガス供給装置(30)を備える。混合ガス供給装置(30)はユニット化されており、
図1において庫外収納空間(S1)の左下の角部に配置される。混合ガス供給装置(30)の右側には、圧縮機(21)及び圧縮機カバー(27)が配置される。
【0049】
〈庫外ケーシングと庫内ケーシングの具体構造〉
ケーシング(11)の膨出部(11a)は、上述したように、庫外ケーシング(12)の第1膨出部(12a)と庫内ケーシング(13)の第2膨出部(13a)を含む。膨出部(11a)は、ケーシング(11)の左右の縁部の間で且つケーシングの下側部分に形成され、コンテナ本体(1)の庫内側へ膨出している。
【0050】
庫外ケーシング(12)の第1膨出部(12a)は、
図5に示すように、それぞれが板金部品である左右の第1側板(45)、第1背板(46)、第1上板(47)、及び第1底板(48)を有する。第1側板(45)、第1背板(46)、第1上板(47)、及び第1底板(48)で囲まれた空間が庫外収納空間(S1)である。
【0051】
庫内ケーシング(13)の第2膨出部(13a)は、
図6に示すように、それぞれが板金部品である左右の第2側板(41)、第2背板(42)、第2上板(43)、及び第2底板(44)を有する。第2上板(43)の上方に庫内収納空間(S2)が形成される。第2側板(41)はケーシング(11)の上端部から下端部まで連続する部材であり、庫内ケーシング(13)の第2膨出部(13a)の側面と一体的に形成されている。第2側板(41)は、さらに言うと、ケーシング(11)の膨出部(11a)の側面と一体的に形成されている。
【0052】
第2側板(41)は、互いに組み合わされて庫内ケーシング(13)を構成する複数の板金部品(第2側板(41)、第2背板(42)、第2上板(43)、及び第2底板(44))のうち、最も厚さ寸法が大きい。
【0053】
ケーシング(11)を
図6のVII−VII線で切断して平面から観た断面図である
図7と、同じ断面でケーシング(11)を切断した斜視図である
図8に示すように、第1側板(45)と第2側板(41)は空間を隔てて対向する。第1背板(46)と第2背板(42)も、空間を隔てて対向する。また、
図2から明らかなように、第1上板(47)と第2上板(43)、第1底板(48)と第2底板(44)、そして第1前板(49a)と第2前板(49b)も、それぞれ空間を隔てて対向する。以上の空間には、上記断熱材(14)が充填される。
【0054】
庫外ケーシング(12)は、
図5に示すように、その左右の縁部に、ケーシング(11)の上端部から下端部に亘って連続する柱部材(50)を有する。庫内ケーシング(13)は、
図6に示すように、その左右の縁部に、ケーシング(11)の上端部から下端部に亘って連続する上記第2側板(41)を有する。この実施形態のケーシング(11)では、柱部材(50)と上記第2側板(41)とが互いに固定される。
【0055】
本実施形態のコンテナ用冷凍装置(10)のケーシング(11)は、庫外ケーシング(12)と庫内ケーシング(13)の間に介在し、且つ柱部材(50)及び第2側板(41)に固定される中間部材(60)を有する。中間部材(60)は、それぞれが金属材料で形成された柱部材(50)及び第2側板(41)よりも熱伝導率が低い樹脂材料(例えばポリ塩化ビニル)で形成される。中間部材(60)は、ケーシング(11)の左右の側縁部、上縁部、及び下縁部において庫外ケーシング(12)と庫内ケーシング(13)の接触を抑制するように形成された四辺形の枠状の樹脂部材である。
【0056】
柱部材(50)及び第2側板(41)と中間部材(60)との取り付け構造について
図9を用いて説明する。
図9は、
図6のIX−IX線断面における取り付け構造の拡大図である。IX−IX線断面は、開閉扉(16)に対応して第1前板(49a)と第2前板(49b)に形成された開口(19)の高さ方向のほぼ中央における断面である。膨出部(11a)の上端より上方は、図示の断面構造である。膨出部(11a)の上端より下方は、後述するように断面構造が異なる。柱部材(50)は、アルミニウム合金の押し出し成形品であり、各筒状の柱本体(51)と、庫外ケーシング(12)に固定される板状の取付部(52)とが一体に形成され、断面が「P」字状である。
【0057】
図9に示すように、中間部材(60)は、「+」のような断面形状を有する。図の上側の1辺は、庫内ケーシング(13)に留めるように構成された第1留め部(61)を構成する。図の下側の1辺は、庫外ケーシング(12)に留めるように構成された第2留め部(62)を構成する。図の左側の1辺は、庫外ケーシング(12)と庫内ケーシング(13)との間で挟まれる断熱部(63)を構成する。図の右側の1辺は、ケーシング(11)をコンテナ本体(1)に装着するときのシール部(64)を構成する。
【0058】
庫外ケーシング(12)の柱部材(50)と中間部材(60)、及び庫内ケーシング(13)の第2側板(41)と中間部材(60)は、それぞれ、締結部材である複数のリベット(70)で固定される。ケーシング(11)の側面図である
図10に示すように、複数のリベット(70)は上下に間隔をあけて配置される。膨出部(11a)の上方に配置されるリベット(70)同士の間隔(D1)は、膨出部(11a)の下端から上端までの範囲内に配置されるリベット(70)同士の間隔(D2)よりも狭い。
【0059】
庫内ケーシング(13)は、第2前板(49b)の左右の縁部が折り返されることで形成された板状縁部(49c)を有する。板状縁部(49c)は庫内ケーシング(13)の上下方向に延びる。中間部材(60)の第1留め部(61)は、板状縁部(49c)に掛けられる断面U字状の鉤部(65)を有する。鉤部(65)は、庫内ケーシング(13)の上下方向に延びる。
【0060】
中間部材(60)は、枠の左右の縁部となるケーシングの上下方向の全体、さらには上縁部及び下縁部を含めた枠の全体が同じ断面形状である。
【0061】
一方、庫内ケーシング(13)の第2前板(49b)は、膨出部(11a)よりも上方にのみ設けられ、膨出部(11a)の上端より下方には設けられない。そのため、膨出部(11a)の上端より下方には板状縁部(49c)は存在しない。このように膨出部(11a)の上端より下方は板状縁部(49c)が存在しない点で、
図9の断面とは構造が異なる。板状縁部(49c)が膨出部(11a)の上端より下方には存在しないため、第1留め部(61)は、膨出部(11a)よりも上方でのみ鉤部(65)が板状縁部(49a)を挟み付ける状態で第2側板(41)に留められ、膨出部(11a)の上端部より下方ではリベット(70)のみで第2側板(41)に留められる。
【0062】
庫外ケーシング(12)の柱部材(50)には、庫外ケーシング(12)の左右縁部の外側の面に、柱本体(51)の上下方向へ延びる溝(53)が形成される。中間部材(60)の第2留め部(62)は、柱部材(50)の溝(53)にはまり込む突部(66)を有する。突部(66)は、庫外ケーシング(13)の上下方向に延びる。柱部材(50)はケーシング(11)の上下方向の全体に存在する。そのため、第2留め部(62)は、ケーシング(11)の上下方向の全体に亘って、リベット(70)と突部(66)とで柱部材(50)に留められる。
【0063】
−運転動作−
この実施形態のコンテナ用冷凍装置(10)の運転時は、冷媒回路(20)の圧縮機(21)が起動され、冷媒回路(20)において冷凍サイクルの動作が行われる。冷媒は冷媒回路(20)を循環し、蒸発器(24)で庫内空気から吸熱して蒸発する一方、凝縮器(22)で庫外空気へ放熱して凝縮するサイクルを繰り返す。庫内空間(S2,S3)の空気は、庫内ファン(26)により貨物収容空間(S3)と庫内収納空間(S2)の間で循環し、蒸発器(24)を通過するときに冷媒に吸熱されて冷却される。
【0064】
−実施形態1の効果−
本実施形態では、庫外ケーシング(12)が、その左右の縁部に、ケーシング(11)の上端部から下端部に亘って連続する柱部材(50)を有する。庫内ケーシング(13)は、庫内ケーシング(13)の左右の縁部に、ケーシング(11)の上端部から下端部に亘って連続する側板(41)を有する。そして、本実施形態では、柱部材(50)と側板(41)とが固定される。
【0065】
ここで、従来のコンテナ用冷凍装置では、一般に庫内ケーシングが繊維強化プラスチックで形成されている。ケーシングの側板は、膨出部に対応する部分のみが庫内ケーシングと一体に形成され、膨出部よりも上方の部分には、上記側板とは別の板状の部材(側板延長部)が取り付けられている。このように、従来のコンテナ用冷凍装置は、膨出部の側板の上方に別部材の側板延長部が取り付けられているため、ケーシングの十分な強度を得ることが困難である。言い換えると、従来のコンテナ用冷凍装置のケーシングは、コンテナの輸送時などに作用する、ケーシングをねじれ変形させようとする外力に対する十分な剛性を持たせるのが困難である。
【0066】
これに対して、本実施形態では、ケーシング(11)の上端部から下端部に亘って連続するように庫外ケーシング(12)の左右の縁部に設けられた柱部材(50)と、ケーシング(11)の上端部から下端部に亘って連続するように庫内ケーシング(13)の左右の縁部に設けられた第2側板(41)とが固定される構造を採用している。本実施形態では、第2側板(41)がケーシング(11)の上端部から下端部まで連続しているため、側板(41)と柱部材(50)がともに外力に対抗する。言い換えると、従来の構造では強度部材として機能していない側板を、本実施形態では、ケーシングの上端から下端まで連続する部材にすることにより、強度部材として用いている。そのため、本実施形態のコンテナ用冷凍装置(10)では、外力に対するケーシング(11)の強度を高くすることができ、ケーシング(11)のねじれ変形を抑えられる。
【0067】
本実施形態では、第2側板(41)の下側部分が、庫内ケーシング(13)の第2膨出部(13a)の側面と一体的に形成されている。第2側板(41)の下側部分は、さらに言うと、ケーシング(11)の膨出部(11a)の側面と一体である。
【0068】
このように、第2側板(41)をケーシング(11)の膨出部(11a)と一体的に形成することにより、庫内ケーシング(13)の第2側板(41)が膨出部(11a)の側面を兼ねる。このことにより、ケーシング(11)の構成を簡素化し、且つケーシング(11)の十分な強度も得ることができる。
【0069】
本実施形態では、庫内ケーシング(13)は、互いに組み合わされる複数の板金部品(41〜44)を備える。第2側板(41)は、これらの板金部品(41〜44)の一つであり、且つこれらの板金部品(41〜44)のうちで最も厚さ寸法が大きい。
【0070】
この構成によれば、第2側板(41)がケーシング(11)の複数の板金部品(41〜44)のうちで最も厚さ寸法が大きい品であるから、第2側板(41)自体が高い剛性を有する。よって、ケーシング(11)の強度を十分に高められる。また、庫内ケーシング(13)を板金部品の組み合わせ構造にすることにより、FRP(繊維強化プラスチック)で庫内ケーシング(13)を形成する場合よりも低コスト化を図ることができる。
【0071】
本実施形態では、庫外ケーシング(12)と庫内ケーシング(13)の両方が金属材料により形成される。ケーシング(11)は、庫外ケーシング(12)と庫内ケーシング(13)の間に介在し且つ柱部材(50)及び第2側板(41)に固定される中間部材(60)を備える。中間部材(60)は、柱部材(50)及び第2側板(41)よりも熱伝導率の低い樹脂材料により形成される。
【0072】
この構成によれば、庫外ケーシング(12)と庫内ケーシング(13)の間に設けられた熱伝導率の低い中間部材(60)により、庫外の熱が庫外ケーシング(12)から庫内ケーシング(13)に伝達され難い。その結果、例えば外気温度が35℃程度の高温環境で庫内空間を約0℃に冷却するような場合に、庫外の熱が庫外ケーシング(12)から庫内ケーシング(13)に伝達されるのを抑制できる。
【0073】
上記構成によれば、庫外ケーシング(12)と上記庫内ケーシング(13)の両方が金属材料により形成され、高強度である。そのため、樹脂材料で形成される中間部材に負荷がかかるのを抑制できる。
【0074】
本実施形態では、柱部材(50)と中間部材(60)、及び側板(41)と中間部材(60)を、上下に間隔をあけて配置される複数のリベット(70)で固定するようにしている。特に、膨出部(11a)の上方に配置される複数のリベット(70)の間隔を、膨出部(11a)の下端から上端までの範囲内に配置される複数のリベット(70)の間隔より狭くしている。
【0075】
この構成によれば、樹脂材料により形成される中間部材(60)を、リベット(70)を用いて柱部材(50)及び中間部材(60)に強固に締結できる。また、各リベット(70)の間隔を、膨出部(11a)の上端から下端までの範囲、言い換えると膨出部(11a)が存在する範囲よりも、膨出部(11a)の上端よりも上方の、膨出部(11a)が存在しない範囲において狭くしている。膨出部(11a)の上方は膨出部(11a)が存在しないために締結強度が弱くなるおそれがあるが、間隔を狭めることで締結強度を確保できる。
【0076】
本実施形態では、中間部材(60)が、庫内ケーシング(13)に留めるように構成された第1留め部(61)を有する。また、庫内ケーシング(13)は、上下方向に延びる板状縁部(49c)を備え、第1留め部(61)は、上下方向に伸び、上記板状縁部(49c)に掛けられる断面U字状の鉤部(65)を有する。
【0077】
この構成では、中間部材(60)は、締結部材(70)とは別に、第1留め部(61)により庫内ケーシング(13)に留められる。リベット(70)を用いる場合は、樹脂製の中間部材(60)に締結部材(70)を通す貫通穴が形成されるため、中間部材(60)の貫通穴の周囲からひび割れ(クラック)が広がるおそれがある。これに対して、本実施形態では、第1留め部(61)も力を受けるために、ひび割れの発生を、簡単な構成の第1留め部(61)により抑えられる。
【0078】
本実施形態では、中間部材(60)は、庫外ケーシング(12)に留めるように構成された第2留め部(62)を有する。また、庫外ケーシング(12)の柱部材(50)には、上下方向に延びる溝(53)が形成され、記第2留め部(62)は、上下方向に伸び、上記柱部材(50)の溝(53)にはまり込む突部(66)を有する。
【0079】
本実施形態では、中間部材(60)は、締結部材(70)とは別に、第2留め部(62)により庫外ケーシング(12)に留められる。リベットのような締結部材(70)を用いる場合は、樹脂製の中間部材(60)に締結部材(70)を通す貫通穴が形成されるため、中間部材(60)の貫通穴の周囲からひび割れが広がるおそれがある。これに対して、本実施形態では、第2留め部(62)も力を受けるため、クラックの発生を、簡単な構成の第2留め部(62)により抑えられる。
【0080】
以上のように、本実施形態によれば、樹脂製の中間部材(60)を柱部材(50)及び側板(42)にリベット(70)で固定するだけでなく、板状縁部(49c)に掛けられる断面U字状の鉤部(65)と、柱部材(50)の溝(53)にはまり込む突部(66)を設けることにより、中間部材の一部に負荷が集中するのを抑え、そのことにより、中間部材の損傷を抑えられる。
【0081】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0082】
上記実施形態では、庫内ケーシング(13)の第2側板(41)を膨出部(11a)の側面と一体に構成している。この第2側板(41)は、上下方向の全長のうち、膨出部(11a)に対応する下側の部分を膨出部(11a)の側面を構成する別部材と重ねて固定することで一体化する部材にしてもよい。
【0083】
上記実施形態において、庫内ケーシング(13)の第2側板(41)を、庫内ケーシング(13)の複数の板金部材(41〜44)のうちで最も板厚が大きい板金部材にしているが、ケーシングの十分な強度が得られる限りは、第2側板(41)の厚さ寸法を各板金部材(41〜44)のうちで最も大きくしなくてもよい。
【0084】
上記実施形態において、第1留め部(61)に設けている鉤部(65)の構成は、庫内ケーシング(13)の構成に応じて変更してもよい。第2留め部(62)に設けている突部(66)の構成は、庫外ケーシング(12)の構成に応じて変更してもよい。
【0085】
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態及び変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。