特許第6863431号(P6863431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863431
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】熱交換器及びそれを備えた空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20210412BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20210412BHJP
   F28F 17/00 20060101ALI20210412BHJP
   F28F 9/22 20060101ALI20210412BHJP
   F28F 1/02 20060101ALI20210412BHJP
   F24F 1/16 20110101ALI20210412BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   F28F9/02 301E
   F28F9/02 301D
   F28D1/047 Z
   F28F17/00 501A
   F28F9/22
   F28F1/02 B
   F24F1/16
   F25B39/00 D
【請求項の数】14
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2019-186122(P2019-186122)
(22)【出願日】2019年10月9日
(62)【分割の表示】特願2017-183571(P2017-183571)の分割
【原出願日】2017年9月25日
(65)【公開番号】特開2020-3209(P2020-3209A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2019年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健
(72)【発明者】
【氏名】神藤 正憲
(72)【発明者】
【氏名】織谷 好男
(72)【発明者】
【氏名】山田 甲樹
(72)【発明者】
【氏名】松田 浩彰
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−322699(JP,A)
【文献】 特開2017−133815(JP,A)
【文献】 特開2015−087074(JP,A)
【文献】 特開2004−076961(JP,A)
【文献】 特開2015−055411(JP,A)
【文献】 特開平09−145187(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/041450(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F24F 1/16
F25B 39/00
F28D 1/047
F28F 1/02
F28F 9/22
F28F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒回路(6)において、冷媒を分流するガス側分流部材(75)と、冷媒を分流する液側分流部材(85)との間に配置される、熱交換器(11)であって、
上下方向である段方向に多段に配置されるとともに内部に冷媒の通路(63b)が形成された複数の扁平管(63)と、
隣り合う前記扁平管の間を空気が流れる複数の通風路に区画する複数のフィン(64)と、
前記ガス側分流部材(75)から延びるガス側冷媒分流枝管(77A〜77J)と、前記液側分流部材(85)から延びる第1の液側冷媒分流管(87A)と、前記複数の扁平管(63)とが接続される、第1ヘッダ集合管(70)と、
前記液側分流部材(85)から延びる第2〜第N(Nは3以上の整数)の液側冷媒分流管(87B〜87J)と、前記複数の扁平管(63)とが接続される、第2ヘッダ集合管(80)と、
を備え、
前記扁平管は、前記段方向に多段に並ぶ複数の熱交換パス(60A〜60J)に区分されており、
前記熱交換パスのうち最下段の前記扁平管(63AU、63AD)を含む熱交換パスを第1熱交換パス(60A)とすると、
前記第2ヘッダ集合管(80)の内部には、前記第1熱交パス(60A)に区分された複数の前記扁平管の端部と連通する第1縦折り返し空間(82A)が形成されており、
前記第1熱交パス(60A)以外の他の前記熱交換パス(60B〜60J)では、
前記第1ヘッダ集合管(70)に接続された前記ガス側冷媒分流枝管(77B〜77J)から、前記扁平管(63)を経て、前記第2ヘッダ集合管(80)に接続された前記第2〜第Nの液側冷媒分流管(87B〜87J)へと、
または、
前記第2ヘッダ集合管(80)に接続された前記第2〜第Nの液側冷媒分流管(87B〜87J)から、前記扁平管(63)を経て、前記第1ヘッダ集合管(70)に接続された前記ガス側冷媒分流枝管(77B〜77J)へと、
冷媒が流れ、
前記第1熱交換パス(60A)では、
前記第1ヘッダ集合管(70)に接続された前記ガス側冷媒分流管(77A)から、前記扁平管(63)及び前記第2ヘッダ集合管(80)の前記第1縦折り返し空間(82A)を経て、前記第1ヘッダ集合管(70)に接続された前記第1の液側冷媒分流管(87A)へと、
または、
前記第1ヘッダ集合管(70)に接続された前記第1の液側冷媒分流管(87A)から、前記扁平管(63)及び前記第2ヘッダ集合管(80)の前記第1縦折り返し空間(82A)を経て、前記第1ヘッダ集合管(70)に接続された前記ガス側冷媒分流管(77A)へと、
冷媒が流れる、
熱交換器(11)。
【請求項2】
前記第1熱交換パスの前記パス有効長は、他の前記熱交換パスの前記パス有効長の2倍以上である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1熱交換パスは、最下段の前記扁平管を含む第1下段側熱交換部(61AL、62AL)と、前記第1下段側熱交換部の上側において前記第1下段側熱交換部に直列に接続された第1上段側熱交換部(61AU、62AU)と、を有している、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1下段側熱交換部、及び、前記第1上段側熱交換部は、前記熱交換器が前記冷媒の放熱器として使用される場合に、前記第1下段側熱交換部が前記第1熱交換パスの入口になるように構成されている、
請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
各前記熱交換パスは、直列に接続された複数の熱交換部(61AU、61AL、61B〜61J、62AU、62AL、62B〜62J)を有しており、
前記第1熱交換パスを構成する前記熱交換部(61AU、61AL、62AU、62AL)の数は、他の前記熱交換パスを構成する前記熱交換部(61B〜61J、62B〜62J)の数よりも多い、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記扁平管は、前記空気が前記通風路を通過する通風方向である列方向に多列に配置されており、
前記第1熱交換パス以外の各前記熱交換パスは、前記列方向の風上側の風上側熱交換部(62B〜62J)と、前記風上側熱交換部の風下側において前記風上側熱交換部に直列に接続された風下側熱交換部(61B〜61J)と、を有しており、
前記第1熱交換パスは、前記列方向の風上側でかつ最下段の前記扁平管(63AU)を含む第1風上下段側熱交換部(62AL)と、前記第1風上下段側熱交換部の上側の第1風上上段側熱交換部(62AU)と、前記風上側熱交換部の風下側でかつ最下段の前記扁平管(63AD)を含む第1風下下段側熱交換部(61AL)と、前記第1風下下段側熱交換部の上側の第1風下上段側熱交換部(61AU)と、を有しており、
前記第1風上下段側熱交換部、前記第1風上上段側熱交換部、前記第1風下下段側熱交換部、及び、前記第1風下上段側熱交換部は、直列に接続されている、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第1風上下段側熱交換部、前記第1風上上段側熱交換部、前記第1風下下段側熱交換部、及び、前記第1風下上段側熱交換部は、前記冷媒の放熱器として使用される場合に、前記第1風上下段側熱交換部又は前記第1風下下段側熱交換部が前記第1熱交換パスの入口になるように構成されている、
請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第1風上下段側熱交換部、前記第1風上上段側熱交換部、前記第1風下下段側熱交換部、及び、前記第1風下上段側熱交換部は、前記冷媒の放熱器として使用される場合に、前記第1風上下段側熱交換部又は前記第1風上上段側熱交換部が前記第1熱交換パスの入口になるように構成されている、
請求項6に記載の熱交換器。
【請求項9】
各前記熱交換パスにおける前記通路の流路断面積をパス有効断面積とすると、前記第1熱交換パスの前記パス有効断面積が、他の前記熱交換パス(60B〜60J)の前記パス有効断面積よりも小さい、
請求項1に記載の熱交換器(11)。
【請求項10】
前記第1熱交換パスの前記パス有効断面積は、他の前記熱交換パスの前記パス有効断面積の0.5倍以下である、
請求項9に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記扁平管は、前記通路となる複数の貫通孔を有しており、
前記第1熱交換パスを構成する前記扁平管の前記貫通孔(63bA)のサイズは、他の前記熱交換パスを構成する前記扁平管の前記貫通孔(63b)のサイズよりも小さい、
及び/又は、
前記第1熱交換パスを構成する前記扁平管の前記貫通孔(63bA)の数は、他の前記熱交換パスを構成する前記扁平管の前記貫通孔(63b)の数よりも少ない、
請求項9又は10に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記第1熱交換パスを構成する前記扁平管の数は、他の前記熱交換パスを構成する前記扁平管の数よりも少ない、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記フィンは、前記空気が前記通風路を通過する通風方向の風下側から風上側に沿って延びており前記扁平管が挿入される複数の切り欠き部(64a)と、隣り合う前記切り欠き部間に挟まれた複数のフィン主部(64b)と、前記切り欠き部よりも前記通風方向の風上側に複数の前記フィン主部と連続して延びるフィン風上部(64c)と、を有している、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の熱交換器を備えた空気調和装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器及びそれを備えた空気調和装置、特に、上下方向である段方向に多段に配置されるとともに内部に冷媒の通路が形成された複数の扁平管と、隣り合う扁平管の間を空気が流れる複数の通風路に区画する複数のフィンと、を有し、扁平管が段方向に多段に並ぶ複数の熱交換パスに区分された熱交換器及びそれを備えた空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気調和装置の室外ユニットに収容される室外熱交換器として、上下方向である段方向に多段に配置されるとともに内部に冷媒の通路が形成された複数の扁平管と、隣り合う扁平管の間を空気が流れる複数の通風路に区画する複数のフィンと、を有する、熱交換器が採用される場合がある。そして、このような熱交換器として、例えば、特許文献1(国際公開第2013/161799号)に示すように、扁平管が段方向に多段に並ぶ複数の熱交換パスに区分されたものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の熱交換器は、暖房運転と除霜運転とを切り換えて行う空気調和装置に採用されることがある。ここで、空気調和装置が暖房運転を行う場合には、上記従来の熱交換器が冷媒の蒸発器として使用され、空気調和装置が除霜運転を行う場合には、上記従来の熱交換器が冷媒の放熱器として使用される。具体的には、上記従来の熱交換器が冷媒の蒸発器として使用される場合には、気液二相状態の冷媒が分岐して各熱交換パスに流入し、各熱交換パスにおいて加熱され、各熱交換パスから流出して合流する。また、上記従来の熱交換器が冷媒の放熱器として使用される場合には、ガス状態の冷媒が分岐して各熱交換パスに流入し、各熱交換パスにおいて冷却され、各熱交換パスから流出して合流する。
【0004】
しかし、上記従来の熱交換器を採用した空気調和装置では、暖房運転時に、最下段の熱交換パスにおける着霜量が多くなりやすい傾向がある。このため、除霜運転時に、最下段の熱交換パスに付着した霜を融かすのに必要な時間が、最下段の熱交換パスよりも上段側の他の熱交換パスに付着した霜を融かすのに必要な時間よりも長くなってしまい、除霜運転後においても最下段の熱交換パスにおいて霜の融け残りが発生して除霜が不十分となる場合がある。
【0005】
本発明の課題は、上下方向である段方向に多段に配置されるとともに内部に冷媒の通路が形成された複数の扁平管と、隣り合う扁平管の間を空気が流れる複数の通風路に区画する複数のフィンと、を有し、扁平管が段方向に多段に並ぶ複数の熱交換パスに区分された熱交換器が、暖房運転と除霜運転とを切り換えて行う空気調和装置に採用される場合に、最下段の熱交換パスにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点にかかる熱交換器は、上下方向である段方向に多段に配置されるとともに内部に冷媒の通路が形成された複数の扁平管と、隣り合う扁平管の間を空気が流れる複数の通風路に区画する複数のフィンと、を有しており、扁平管が、段方向に多段に並ぶ複数の熱交換パスに区分されている。そして、ここでは、熱交換パスのうち最下段の扁平管を含む熱交換パスを第1熱交換パスとし、各熱交換パスにおける冷媒の流れの一端から他端に至るまでの間の通路の長さをパス有効長とすると、第1熱交換パスのパス有効長が、他の熱交換パスのパス有効長よりも長い。
【0007】
まず、上記従来の熱交換器が暖房運転(冷媒の蒸発器として使用する場合)と除霜運転(冷媒の放熱器として使用する場合)とを切り換えて行う空気調和装置に採用される場合に、暖房運転時に、最下段の熱交換パスにおける着霜量が多くなりやすい原因について説明する。
【0008】
上記従来の熱交換器では、各熱交換パスが同一の形状(管長さや冷媒の通路となる貫通孔のサイズや数)を有する扁平管が同じ本数だけ直列に接続されることによって構成されている。すなわち、上記従来の熱交換器は、各熱交換パスのパス有効長がいずれも同じになるように構成されている。
【0009】
この従来の構成では、暖房運転時に、最下段の扁平管を含む最下段の熱交換パスに液状態の冷媒が流入しやすく、冷媒の温度が十分に上昇しないままで最下段の熱交換パスを流出してしまうため、その結果、最下段の熱交換パスにおける着霜量が多くなりやすい傾向が現れる。すなわち、上記従来の熱交換器の構成では、暖房運転時に最下段の熱交換パスに液状態の冷媒が流入しやすく、冷媒の温度が十分に上昇しないままで最下段の熱交換パスを流出してしまうことが、最下段の熱交換パスにおける着霜量が多くなりやすい原因であると推定される。
【0010】
そこで、ここでは、上記従来の熱交換器とは異なり、上記のように、最下段の扁平管を含む最下段の第1熱交換パスのパス有効長を、他の熱交換パスのパス有効長よりも長くしている。
【0011】
そして、この構成を有する熱交換器を暖房運転と除霜運転とを切り換えて行う空気調和装置に採用した場合には、第1熱交換パスのパス有効長が長くなることによって、第1熱交換パスにおける冷媒の流れ抵抗を大きくすることができる。このため、暖房運転時に第1熱交換パスに液状態の冷媒が流入しにくくなり、最下段の熱交換パスを流れる冷媒の温度が上昇しやすくなるため、第1熱交換パスにおける着霜を抑制することができる。しかも、ここでは、第1熱交換パスのパス有効長が長くなることによって、第1熱交換パスにおける伝熱面積を大きくすることができるため、最下段の熱交換パスを流れる冷媒の温度の上昇を促進することができる。これにより、上記従来の熱交換器を採用する場合に比べて、除霜運転時の第1熱交換パスにおける融け残りを減らすことができる。
【0012】
このように、ここでは、上記の構成を有する熱交換器を暖房運転と除霜運転とを切り換えて行う空気調和装置に採用することによって、最下段の熱交換パスにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0013】
第2の観点にかかる熱交換器は、第1の観点にかかる熱交換器において、第1熱交換パスのパス有効長が、他の熱交換パスのパス有効長の2倍以上である。
【0014】
ここでは、上記のように、第1熱交換パスのパス有効長を十分に長くしているため、第1熱交換パスにおける冷媒の流れ抵抗や伝熱面積を十分に大きくして、最下段の熱交換パスにおける着霜抑制の効果を高めることができる。
【0015】
第3の観点にかかる熱交換器は、第1又は第2の観点にかかる熱交換器において、第1熱交換パスが、最下段の扁平管を含む第1下段側熱交換部と、第1下段側熱交換部の上側において第1下段側熱交換部に直列に接続された第1上段側熱交換部と、を有している。
【0016】
ここでは、上記のように、第1熱交換パスを第1上段側熱交換部及び第1下段側熱交換部が直列に接続された構成にすることによって、第1熱交換パスのパス有効長を長くすることができる。
【0017】
第4の観点にかかる熱交換器は、第3の観点にかかる熱交換器において、第1下段側熱交換部、及び、第1上段側熱交換部が、熱交換器が冷媒の放熱器として使用される場合に、第1下段側熱交換部が第1熱交換パスの入口になるように構成されている。
【0018】
第1熱交換パスを第1上段側熱交換部及び第1下段側熱交換部が直列に接続された構成にすると、暖房運転から除霜運転に切り換える際に、最下段の扁平管を含む第1下段側熱交換部に液状態の冷媒が溜まりやすい。
【0019】
そこで、ここでは、上記のように、熱交換器が冷媒の放熱器として使用される場合に、第1熱交換パスを構成する第1上段側熱交換部及び第1下段側熱交換部のうち最下段の扁平管を含む第1下段側熱交換部を第1熱交換パスの入口になるように構成している。
【0020】
そうすると、除霜運転時には、第1熱交換パスにガス状態の冷媒を流入させる際に、ガス状態の冷媒が第1下段側熱交換部に流入することになる。すなわち、ここでは、除霜運転時に、最下段の扁平管を含む第1下段側熱交換部が冷媒の流れの上流側に位置することになる。このため、ここでは、第1熱交換パスを構成する第1上段側熱交換部及び第1下段側熱交換部のうち最下段の扁平管を含む第1下段側熱交換部にガス状態の冷媒を流入させて、最下段の第1下段側熱交換部に溜まる液状態の冷媒を積極的に加熱して蒸発させて、最下段の第1熱交換パスの温度を速やかに上昇させることができる。これにより、ここでは、除霜運転時の第1熱交換パスにおける融け残りをさらに減らすことができる。
【0021】
第5の観点にかかる熱交換器は、第1又は第2の観点にかかる熱交換器において、各熱交換パスが、直列に接続された複数の熱交換部を有しており、第1熱交換パスを構成する熱交換部の数が、他の熱交換パスを構成する熱交換部の数よりも多い。
【0022】
ここでは、上記のように、各熱交換パスを複数の熱交換部が直列に接続された構成にするとともに、第1熱交換パスを構成する熱交換部の数を他の熱交換パスよりも多くすることによって、第1熱交換パスのパス有効長を長くすることができる。
【0023】
第6の観点にかかる熱交換器は、第1又は第2の観点にかかる熱交換器において、扁平管が、空気が通風路を通過する通風方向である列方向に多列に配置されている。第1熱交換パス以外の各熱交換パスは、列方向の風上側の風上側熱交換部と、風上側熱交換部の風下側において風上側熱交換部に直列に接続された風下側熱交換部と、を有している。第1熱交換パスは、列方向の風上側でかつ最下段の扁平管を含む第1風上下段側熱交換部と、第1風上下段側熱交換部の上側の第1風上上段側熱交換部と、風上側熱交換部の風下側でかつ最下段の前記扁平管を含む第1風下下段側熱交換部と、第1風下下段側熱交換部の上側の第1風下上段側熱交換部と、を有している。そして、第1風上下段側熱交換部、第1風上上段側熱交換部、第1風下下段側熱交換部、及び、第1風下上段側熱交換部は、直列に接続されている。
【0024】
ここでは、上記のように、第1熱交換パス以外の各熱交換パスを風上側熱交換部及び風下側熱交換部が直列に接続された構成にし、かつ、第1熱交換パスを第1風上下段側熱交換部、第1風上上段側熱交換部、第1風下下段側熱交換部及び第1風下上段側熱交換部が直列に接続された構成にすることによって、第1熱交換パスのパス有効長を長くすることができる。
【0025】
第7の観点にかかる熱交換器は、第6の観点にかかる熱交換器において、第1風上下段側熱交換部、第1風上上段側熱交換部、第1風下下段側熱交換部、及び、第1風下上段側熱交換部が、冷媒の放熱器として使用される場合に、第1風上下段側熱交換部又は第1風下下段側熱交換部が第1熱交換パスの入口になるように構成されている。
【0026】
第1熱交換パスを第1風上下段側熱交換部、第1風上上段側熱交換部、第1風下下段側熱交換部及び第1風下上段側熱交換部が直列に接続された構成にすると、暖房運転から除霜運転に切り換える際に、最下段の扁平管を含む第1風上下段側熱交換部や第1風下下段側熱交換部に液状態の冷媒が溜まりやすい。
【0027】
そこで、ここでは、上記のように、熱交換器が冷媒の放熱器として使用される場合に、第1熱交換パスを構成する第1風上下段側熱交換部、第1風上上段側熱交換部、第1風下下段側熱交換部及び第1風下上段側熱交換部のうち最下段の扁平管を含む第1風上下段側熱交換部又は第1風下下段側熱交換部を第1熱交換パスの入口になるように構成している。
【0028】
そうすると、除霜運転時には、第1熱交換パスにガス状態の冷媒を流入させる際に、ガス状態の冷媒が第1風上下段側熱交換部又は第1風下下段側熱交換部に流入することになる。すなわち、ここでは、除霜運転時に、最下段の扁平管を含む第1風上下段側熱交換部又は第1風下下段側熱交換部が冷媒の流れの上流側に位置することになる。このため、ここでは、第1熱交換パスを構成する第1風上下段側熱交換部、第1風上上段側熱交換部、第1風下下段側熱交換部及び第1風下上段側熱交換部のうち最下段の扁平管を含む第1風上下段側熱交換部又は第1風下下段側熱交換部にガス状態の冷媒を流入させて、最下段の第1風上下段側熱交換部又は第1風下下段側熱交換部に溜まる液状態の冷媒を積極的に加熱して蒸発させて、最下段の第1熱交換パスの温度を速やかに上昇させることができる。これにより、ここでは、除霜運転時の第1熱交換パスにおける融け残りをさらに減らすことができる。
【0029】
第8の観点にかかる熱交換器は、第6の観点にかかる熱交換器において、第1風上下段側熱交換部、第1風上上段側熱交換部、第1風下下段側熱交換部、及び、第1風下上段側熱交換部が、冷媒の放熱器として使用される場合に、第1風上下段側熱交換部又は第1風上上段側熱交換部が第1熱交換パスの入口になるように構成されている。
【0030】
各熱交換パスが、列方向の風上側に位置する風上側熱交換部(第1熱交換パスについては、第1風上下段側熱交換部及び第1風上上段側熱交換部)と、列方向の風下側に位置する風下側熱交換部(第1熱交換パスについては、第1風下下段側熱交換部及び第1風下上段側熱交換部)と、を有する構成にすると、暖房運転時に風上側熱交換部に付着する霜の量が多くなりやすい。このため、除霜運転時に最下段の第1熱交換パス(特に、第1風上下段側熱交換部及び第1風上上段側熱交換部)における融け残りが多くなるおそれがある。
【0031】
そこで、ここでは、上記のように、熱交換器が冷媒の放熱器として使用される場合に、第1熱交換パスを構成する第1風上下段側熱交換部、第1風上上段側熱交換部、第1風下下段側熱交換部及び第1風下上段側熱交換部のうち列方向の風上側に位置する第1風上下段側熱交換部又は第1風上上段側熱交換部を第1熱交換パスの入口になるように構成している。
【0032】
そうすると、除霜運転時には、第1熱交換パスにガス状態の冷媒を流入させる際に、ガス状態の冷媒が第1風上下段側熱交換部又は第1風上上段側熱交換部に流入することになる。すなわち、ここでは、除霜運転時に、列方向の風上側に位置する第1風上下段側熱交換部又は第1風上上段側熱交換部が冷媒の流れの上流側に位置することになる。このため、ここでは、第1熱交換パスを構成する第1風上下段側熱交換部、第1風上上段側熱交換部、第1風下下段側熱交換部及び第1風下上段側熱交換部のうち列方向の風上側に位置する第1風上下段側熱交換部又は第1風上上段側熱交換部にガス状態の冷媒を流入させて、列方向の風上側に位置する第1風上下段側熱交換部や第1風上上段側熱交換部に付着した霜を積極的に加熱して融かすことができる。これにより、ここでは、除霜運転時の第1熱交換パスにおける融け残りをさらに減らすことができる。
【0033】
第9の観点にかかる熱交換器は、上下方向である段方向に多段に配置されるとともに内部に冷媒の通路が形成された複数の扁平管と、隣り合う扁平管の間を空気が流れる複数の通風路に区画する複数のフィンと、を有しており、扁平管が、段方向に多段に並ぶ複数の熱交換パスに区分されている。そして、ここでは、熱交換パスのうち最下段の扁平管を含む熱交換パスを第1熱交換パスとし、各熱交換パスにおける通路の流路断面積をパス有効断面積とすると、第1熱交換パスのパス有効断面積が、他の熱交換パスのパス有効断面積よりも小さい。
【0034】
まず、上記従来の熱交換器が暖房運転(冷媒の蒸発器として使用する場合)と除霜運転(冷媒の放熱器として使用する場合)とを切り換えて行う空気調和装置に採用される場合に、暖房運転時に、最下段の熱交換パスにおける着霜量が多くなりやすい原因について説明する。
【0035】
上記従来の熱交換器では、各熱交換パスが同一の形状(管長さや冷媒の通路となる貫通孔のサイズや数)を有する扁平管が同じ本数だけ直列に接続されることによって構成されている。すなわち、上記従来の熱交換器は、各熱交換パスのパス有効断面積がいずれも同じになるように構成されている。
【0036】
この従来の構成では、暖房運転時に、最下段の扁平管を含む最下段の熱交換パスに液状態の冷媒が流入しやすく、冷媒の温度が十分に上昇しないままで最下段の熱交換パスを流出してしまうため、その結果、最下段の熱交換パスにおける着霜量が多くなりやすい傾向が現れる。すなわち、上記従来の熱交換器の構成では、暖房運転時に最下段の熱交換パスに液状態の冷媒が流入しやすく、冷媒の温度が十分に上昇しないままで最下段の熱交換パスを流出してしまうことが、最下段の熱交換パスにおける着霜量が多くなりやすい原因であると推定される。
【0037】
そこで、ここでは、上記従来の熱交換器とは異なり、上記のように、最下段の扁平管を含む最下段の第1熱交換パスのパス有効断面積を、他の熱交換パスのパス有効断面積よりも小さくしている。
【0038】
そして、この構成を有する熱交換器を暖房運転と除霜運転とを切り換えて行う空気調和装置に採用した場合には、第1熱交換パスのパス有効断面積が小さくなることによって、第1熱交換パスにおける冷媒の流れ抵抗を大きくすることができる。このため、暖房運転時に第1熱交換パスに液状態の冷媒が流入しにくくなり、最下段の熱交換パスを流れる冷媒の温度が上昇しやすくなるため、第1熱交換パスにおける着霜を抑制することができる。これにより、上記従来の熱交換器を採用する場合に比べて、除霜運転時の第1熱交換パスにおける融け残りを減らすことができる。
【0039】
このように、ここでは、上記の構成を有する熱交換器を暖房運転と除霜運転とを切り換えて行う空気調和装置に採用することによって、最下段の熱交換パスにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0040】
第10の観点にかかる熱交換器は、第9の観点にかかる熱交換器において、第1熱交換パスのパス有効断面積が、他の熱交換パスのパス有効断面積の0.5倍以下である。
【0041】
ここでは、上記のように、第1熱交換パスのパス有効断面積を十分に小さくしているため、第1熱交換パスにおける冷媒の流れ抵抗を十分に大きくして、最下段の熱交換パスにおける着霜抑制の効果を高めることができる。
【0042】
第11の観点にかかる熱交換器は、第9又は第10の観点にかかる熱交換器において、扁平管が、通路となる複数の貫通孔を有しており、第1熱交換パスを構成する扁平管の貫通孔のサイズが、他の前記熱交換パスを構成する扁平管の貫通孔のサイズよりも小さい、及び/又は、第1熱交換パスを構成する扁平管の貫通孔の数が、他の熱交換パスを構成する扁平管の貫通孔の数よりも少ない。
【0043】
ここでは、上記のように、扁平管の通路を複数の貫通孔によって形成し、第1熱交換パスを構成する扁平管の複数の貫通孔のサイズを、他の熱交換パスを構成する扁平管の貫通孔のサイズよりも小さくしたり、第1熱交換パスを構成する扁平管の複数の貫通孔の数を、他の熱交換パスを構成する扁平管の貫通孔の数よりも少なくすることによって、第1熱交換パスのパス有効断面積を小さくすることができる。
【0044】
第12の観点にかかる熱交換器は、第1〜第11の観点のいずれかにかかる熱交換器において、第1熱交換パスを構成する扁平管の数が、他の熱交換パスを構成する扁平管の数よりも少ない。
【0045】
第1熱交換パスを構成する扁平管の数が他の熱交換パスを構成する扁平管の数よりも少ない構成を採用すると、冷媒を分岐して各熱交換パスに流入させる際に、偏流が発生しやすくなる。
【0046】
しかし、ここでは、上記のように、第1熱交換パスのパス有効長を、他の熱交換パスのパス有効長よりも長くした構成を採用したり、第1熱交換パスのパス有効断面積を、他の熱交換パスのパス有効断面積よりも小さくした構成を採用することによって、第1熱交換パスにおける冷媒の流れ抵抗を大きくしているため、冷媒を分岐して各熱交換パスに流入させる際の偏流の発生を抑制することができる。
【0047】
第13の観点にかかる熱交換器は、第1〜第12の観点のいずれかにかかる熱交換器において、フィンが、空気が通風路を通過する通風方向の風下側から風上側に沿って延びており扁平管が挿入される複数の切り欠き部と、隣り合う切り欠き部間に挟まれた複数のフィン主部と、切り欠き部よりも通風方向の風上側に複数のフィン主部と連続して延びるフィン風上部と、を有している。
【0048】
ここでは、上記のように、フィンに扁平管が挿入される切り欠き部が通風方向の風下側から風上側に沿って延びるように形成され、かつ、切り欠き部よりも通風方向の風上側に切り欠き部間に挟まれる複数のフィン主部と連続して延びるフィン風上部が形成された構成を有している。この構成を有する熱交換器では、除霜運転時にフィン風上部に付着する霜の量が多くなりやすいため、除霜運転時に最下段の第1熱交換パスにおける融け残りが多くなるおそれがある。
【0049】
しかし、ここでは、上記のように、第1熱交換パスのパス有効長を他の熱交換パスのパス有効長よりも長くした構成を採用したり、第1熱交換パスのパス有効断面積を他の熱交換パスのパス有効断面積よりも小さくした構成を採用しているため、フィン風上部に付着する霜を含めた最下段の熱交換パスにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0050】
第14の観点にかかる空気調和装置は、第1〜第13の観点のいずれかにかかる熱交換器を備えている。
【0051】
ここでは、上記第1〜第13の観点のいずれかにかかる熱交換器を採用して空気調和装置を構成しているため、最下段の熱交換パスにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【発明の効果】
【0052】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、第1熱交換パスのパス有効長を他の熱交換パスのパス有効長よりも長くした構成や第1熱交換パスのパス有効断面積を他の熱交換パスのパス有効断面積よりも小さくした構成を有する熱交換器を暖房運転と除霜運転とを切り換えて行う空気調和装置に採用することによって、最下段の熱交換パスにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明の一実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器及びそれを備えた空気調和装置の概略構成図である。
図2】室外ユニットの外観斜視図である。
図3】室外ユニットの正面図(室外熱交換器以外の冷媒回路構成部品を除いて図示)である。
図4】第1実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器の概略斜視図である。
図5図4の熱交換パスの部分拡大斜視図である。
図6】第1実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器の概略構成図(風下側から見た図)である。
図7】第1実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器の概略構成図(風上側から見た図)である。
図8】連結ヘッダの平面断面図である。
図9】第1実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器の第1熱交換パス付近のパス構成を示す図である。
図10】第1実施形態の変形例Aにかかる熱交換器としての室外熱交換器を示す図であって、図9に対応する図である。
図11】第1実施形態の変形例Bにかかる熱交換器としての室外熱交換器を示す図であって、図9に対応する図である。
図12】第1実施形態の変形例Cにかかる熱交換器としての室外熱交換器を示す図であって、図9に対応する図である。
図13】第1実施形態の変形例Dにかかる熱交換器としての室外熱交換器を示す図であって、図9に対応する図である。
図14】第1実施形態の変形例Eにかかる熱交換器としての室外熱交換器を示す図であって、図9に対応する図である。
図15】第1実施形態の変形例Fにかかる熱交換器としての室外熱交換器を示す図であって、図9に対応する図である。
図16】第1実施形態の変形例Gにかかる熱交換器としての室外熱交換器を示す図であって、図9に対応する図である。
図17】第2実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器の概略斜視図である。
図18】第2実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器の概略構成図(風下側から見た図)である。
図19】第2実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器の概略構成図(風上側から見た図)である。
図20】第2実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器の第1熱交換パス付近のパス構成を示す図である。
図21】第2実施形態の変形例Aにかかる熱交換器としての室外熱交換器を示す図であって、図20に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明にかかる熱交換器及びそれを備えた空気調和装置の実施形態及びその変形例について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる熱交換器及びそれを備えた空気調和装置の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0055】
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器11及びそれを備えた空気調和装置1の概略構成図である。
【0056】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、建物等の室内の冷房及び暖房を行うことが可能な装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット3a、3bと、室外ユニット2と室内ユニット3a、3bとを接続する液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5と、室外ユニット2及び室内ユニット3a、3bの構成機器を制御する制御部23と、を有している。そして、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路6は、室外ユニット2と、室内ユニット3a、3bとが冷媒連絡管4、5を介して接続されることによって構成されている。
【0057】
室外ユニット2は、室外(建物の屋上や建物の壁面近傍等)に設置されており、冷媒回路6の一部を構成している。室外ユニット2は、主として、アキュムレータ7、圧縮機8と、四路切換弁10と、室外熱交換器11と、膨張機構としての室外膨張弁12と、液側閉鎖弁13と、ガス側閉鎖弁14と、室外ファン15と、を有している。各機器及び弁間は、冷媒管16〜22によって接続されている。
【0058】
室内ユニット3a、3bは、室内(居室や天井裏空間等)に設置されており、冷媒回路6の一部を構成している。室内ユニット3aは、主として、室内膨張弁31aと、室内熱交換器32aと、室内ファン33aと、を有している。室内ユニット3bは、主として、膨張機構としての室内膨張弁31bと、室内熱交換器32bと、室内ファン33bと、を有している。
【0059】
冷媒連絡管4、5は、空気調和装置1を建物等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管である。液冷媒連絡管4の一端は、室内ユニット2の液側閉鎖弁13に接続され、液冷媒連絡管4の他端は、室内ユニット3a、3bの室内膨張弁31a、31bの液側端に接続されている。ガス冷媒連絡管5の一端は、室内ユニット2のガス側閉鎖弁14に接続され、ガス冷媒連絡管5の他端は、室内ユニット3a、3bの室内熱交換器32a、32bのガス側端に接続されている。
【0060】
制御部23は、室外ユニット2や室内ユニット3a、3bに設けられた制御基板等(図示せず)が通信接続されることによって構成されている。尚、図1においては、便宜上、室外ユニット2や室内ユニット3a、3bとは離れた位置に図示している。制御部23は、空気調和装置1(ここでは、室外ユニット2や室内ユニット3a、3b)の構成機器8、10、12、15、31a、31b、33a、33bの制御、すなわち、空気調和装置1全体の運転制御を行うようになっている。
【0061】
(2)空気調和装置の動作
次に、図1を用いて、空気調和装置1の動作について説明する。空気調和装置1では、圧縮機8、室外熱交換器11、室外膨張弁12及び室内膨張弁31a、31b、室内熱交換器32a、32bの順に冷媒を循環させる冷房運転と、圧縮機8、室内熱交換器32a、32b、室内膨張弁31a、31b及び室外膨張弁12、室外熱交換器11の順に冷媒を循環させる暖房運転と、が行われる。また、暖房運転時においては、室外熱交換器11に付着した霜を融解させるための除霜運転が行われる。ここでは、冷房運転時と同様に、圧縮機8、室外熱交換器11、室外膨張弁12及び室内膨張弁31a、31b、室内熱交換器32a、32bの順に冷媒を循環させる逆サイクル除霜運転が行われる。尚、冷房運転、暖房運転及び除霜運転は、制御部23によって行われる。
【0062】
冷房運転時には、四路切換弁10が室外放熱状態(図1の実線で示される状態)に切り換えられる。冷媒回路6において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機8に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。圧縮機8から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁10を通じて、室外熱交換器11に送られる。室外熱交換器11に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室外熱交換器11において、室外ファン15によって冷却源として供給される室外空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。室外熱交換器11において放熱した高圧の液冷媒は、室外膨張弁12、液側閉鎖弁13及び液冷媒連絡管4を通じて、室内膨張弁31a、31bに送られる。室内膨張弁31a、31bに送られた冷媒は、室内膨張弁31a、31bによって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。室内膨張弁31a、31bで減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器32a、32bに送られる。室内熱交換器32a、32bに送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器32a、32bにおいて、室内ファン33a、33bによって加熱源として供給される室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は冷却され、その後に、室内に供給されることで室内の冷房が行われる。室内熱交換器32a、32bにおいて蒸発した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管5、ガス側閉鎖弁14、四路切換弁10及びアキュムレータ7を通じて、再び、圧縮機8に吸入される。
【0063】
暖房運転時には、四路切換弁10が室外蒸発状態(図1の破線で示される状態)に切り換えられる。冷媒回路6において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機8に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。圧縮機8から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁10、ガス側閉鎖弁14及びガス冷媒連絡管5を通じて、室内熱交換器32a、32bに送られる。室内熱交換器32a、32bに送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器32a、32bにおいて、室内ファン33a、33bによって冷却源として供給される室内空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。これにより、室内空気は加熱され、その後に、室内に供給されることで室内の暖房が行われる。室内熱交換器32a、32bで放熱した高圧の液冷媒は、室内膨張弁31a、31b、液冷媒連絡管4及び液側閉鎖弁13を通じて、室外膨張弁12に送られる。室外膨張弁12に送られた冷媒は、室外膨張弁12によって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。室外膨張弁12で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、室外熱交換器11に送られる。室外熱交換器11に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器11において、室外ファン15によって加熱源として供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒になる。室外熱交換器11で蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁10及びアキュムレータ7を通じて、再び、圧縮機8に吸入される。
【0064】
上記の暖房運転時において、室外熱交換器11における冷媒の温度が所定温度よりも低くなる等によって室外熱交換器11における着霜が検知された場合、すなわち、室外熱交換器11の除霜を開始する条件に達した場合には、室外熱交換器11に付着した霜を融解させる除霜運転を行う。
【0065】
除霜運転は、冷房運転時と同様に、四路切換弁22を室外放熱状態(図1の実線で示される状態)に切り換えて室外熱交換器11を冷媒の放熱器として機能させることによって行われる。これにより、室外熱交換器11に付着した霜を融解させることができる。除霜運転は、除霜前における暖房運転の状態等を考慮して設定された除霜時間が経過するまで、又は、室外熱交換器11における冷媒の温度が所定温度よりも高くなる等によって室外熱交換器11における除霜が完了したものと判定されるまで、行われ、その後、暖房運転に復帰する。尚、除霜運転時の冷媒回路10における冷媒の流れは、冷房運転と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0066】
(3)室外ユニットの全体構成
図2は、室外ユニット2の外観斜視図である。図3は、室外ユニット2の正面図(室外熱交換器11以外の冷媒回路構成部品を除いて図示)である。
【0067】
室外ユニット2は、ケーシング40の側面から空気を吸い込んでケーシング40の天面から空気を吹き出す上吹き型の熱交換ユニットである。室外ユニット2は、主として、略直方体箱状のケーシング40と、送風機としての室外ファン15と、圧縮機や室外熱交換器等の機器7、8、11、四路切換弁や室外膨張弁等の弁10、12〜14及び冷媒管16〜22等を含み冷媒回路6の一部を構成する冷媒回路構成部品と、を有している。尚、以下の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「前面」、「背面」は、特にことわりのない限り、図2に示される室外ユニット2を前方(図面の左斜前側)から見た場合の方向を意味している。
【0068】
ケーシング40は、主として、左右方向に延びる一対の据付脚41上に架け渡される底フレーム42と、底フレーム42の角部から鉛直方向に延びる支柱43と、支柱43の上端に取り付けられるファンモジュール44と、前面パネル45と、を有しており、側面(ここでは、背面及び左右両側面)に空気の吸込口40a、40b、40cと天面に空気の吹出口40dとが形成されている。
【0069】
底フレーム42は、ケーシング40の底面を形成しており、底フレーム42上には、室外熱交換器11が設けられている。ここで、室外熱交換器11は、ケーシング40の背面及び左右両側面に面する平面視略U字形状の熱交換器であり、ケーシング40の背面及び左右両側面を実質的に形成している。また、底フレーム42は、室外熱交換器11の下端部分に接しており、冷房運転や除霜運転時に室外熱交換器11において発生するドレン水を受けるドレンパンとして機能する。
【0070】
室外熱交換器11の上側には、ファンモジュール44が設けられており、ケーシング40の前面、背面及び左右両面の支柱43よりも上側の部分と、ケーシング40の天面と、を形成している。ここで、ファンモジュール44は、上面及び下面が開口した略直方体形状の箱体に室外ファン15が収容された集合体である。ファンモジュール44の天面の開口は、吹出口40dであり、吹出口40dには、吹出グリル46が設けられている。室外ファン15は、ケーシング40内において吹出口40dに面して配置されており、空気を吸込口40a、40b、40cからケーシング40内に取り込んで吹出口40dから排出させる送風機である。
【0071】
前面パネル45は、前面側の支柱43間に架け渡されており、ケーシング40の前面を形成している。
【0072】
ケーシング40内には、室外ファン15及び室外熱交換器11以外の冷媒回路構成部品(図2においては、アキュムレータ7及び圧縮機8を図示)も収容されている。ここで、圧縮機8及びアキュムレータ7は、底フレーム42上に設けられている。
【0073】
このように、室外ユニット2は、側面(ここでは、背面及び左右両側面)に空気の吸込口40a、40b、40cと天面に空気の吹出口40dとが形成されたケーシング40と、ケーシング40内において吹出口40dに面して配置された室外ファン15(送風機)と、ケーシング40内において室外ファン15の下側に配置された室外熱交換器11と、を有している。そして、このような上吹き型のユニット構成では、図3に示すように、室外ファン15の下側に室外熱交換器11が配置されるため、室外熱交換器11を通過する空気の風速は、室外熱交換器11の上部のほうが室外熱交換器11の下部に比べて速くなる傾向がある。
【0074】
(4)第1実施形態の室外熱交換器
<構成>
図4は、第1実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器11の概略斜視図である。図5は、図4の熱交換パス60A〜60Jの部分拡大斜視図である。図6は、第1実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器11の概略構成図(風下側から見た図)である。図7は、第1実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器11の概略構成図(風上側から見た図)である。図8は、連結ヘッダ90の平面断面図である。図9は、第1実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器11の第1熱交換パス60A付近のパス構成を示す図である。尚、図4図6図7及び図9における冷媒の流れを示す矢印は、暖房運転時(室外熱交換器11を冷媒の蒸発器として機能させる場合)の冷媒の流れ方向である。
【0075】
室外熱交換器11は、冷媒と室外空気との熱交換を行う熱交換器であり、主として、第1ヘッダ集合管70と、第2ヘッダ集合管80と、連結ヘッダ90と、複数の扁平管63と、複数のフィン64と、を有している。ここでは、第1ヘッダ集合管70、第2ヘッダ集合管80、連結ヘッダ90、扁平管63及びフィン64のすべてが、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されており、互いにロウ付け等によって接合されている。
【0076】
第1ヘッダ集合管70は、上端及び下端が閉じた縦長中空の筒形状の部材である。第1ヘッダ集合管70は、室外熱交換器11の一端側(ここでは、図4の左前端側、又は、図6の左端側)に立設されている。
【0077】
第2ヘッダ集合管80は、上端及び下端が閉じた縦長中空の筒形状の部材である。第2ヘッダ集合管80は、室外熱交換器11の一端側(ここでは、図4の左前端側、又は、図7の右端側)に立設されている。ここでは、第2ヘッダ集合管80は、第1ヘッダ集合管70よりも空気の通風方向の風上側に配置されている。
【0078】
連結ヘッダ90は、上端及び下端が閉じた縦長中空の筒形状の部材である。第2ヘッダ集合管80は、室外熱交換器11の一端側(ここでは、図4の右前端側、図6の右端側、又は、図7の左端側)に立設されている。
【0079】
扁平管63は、伝熱面となる鉛直方向を向く平面部63aと、内部に形成された冷媒が流れる多数の小さな貫通孔からなる通路63bと、を有する扁平多穴管である。扁平管63は、上下方向(段方向)に多段に配置されるとともに、空気の通風方向(列方向)に多列(ここでは、2列)に配置されている。空気の通風方向の風下側に配置された扁平管63の一端は第1ヘッダ集合管70に接続されており、他端は連結ヘッダ90に接続されている。空気の通風方向の風上側に配置された扁平管63の一端は第2ヘッダ集合管80に接続されており、他端は連結ヘッダ90に接続されている。フィン64は、隣り合う扁平管63の間を空気が流れる複数の通風路に区画しており、複数の扁平管63を差し込めるように、水平に細長く延びる複数の切り欠き64aが形成されている。ここでは、扁平管63の平面部63aが向く方向が上下方向(段方向)であり、かつ、扁平管63の長手方向がケーシング40の側面(ここでは、左右両側面)及び背面に沿う水平方向であるため、切り欠き部64aが延びる方向は、扁平管63の長手方向に交差する水平方向(列方向)を意味しており、ケーシング40内における空気の通風方向(列方向)とも略一致している。切り欠き部64aは、扁平管63が通風方向の風下側から風上側に向かって挿入されるように水平方向(列方向)に細長く延びている。フィン64の切り欠き64aの形状は、扁平管63の断面の外形にほぼ一致している。フィン64の切り欠き部64aは、フィン64の上下方向(段方向)に所定の間隔を空けて形成されている。フィン64は、上下方向(段方向)に隣り合う切り欠き部64a間に挟まれた複数のフィン主部64bと、複数の切り欠き部64aよりも通風方向(列方向)の風上側に複数のフィン主部64bと連続して延びるフィン風上部64cと、を有している。フィン64は、扁平管63と同様に、空気が通風路を通過する方向(通風方向、列方向)に多列(ここでは、2列)に配置されている。
【0080】
室外熱交換器11では、扁平管63が上下方向(段方向)に多段(ここでは、10段)に並ぶ複数の熱交換パス60A〜60Jに区分されている。また、扁平管63は、空気が通風路を通過する通風方向(列方向)に多列(ここでは、2列)に配置されている。具体的には、ここでは、下から上に向かって順に、最下段の熱交換パスである第1熱交換パス60A、第2熱交換パス60B・・・第9熱交換パス60I、第10熱交換パス60Jが形成されている。第1熱交換パス60Aは、最下段の扁平管63AU、63ADを含む2段2列(計4本)の扁平管63を有している。第2及び第3熱交換パス60B、60Cはそれぞれ、12段2列(計24本)の扁平管63を有している。第4熱交換パス60Dは、11段2列(計22本)の扁平管63を有している。第5及び第6熱交換パス60E、60Fはそれぞれ、10段2列(計20本)の扁平管63を有している。第7熱交換パス60Gは、9段2列(計18本)の扁平管63を有している。第8熱交換パス60Hは、8段2列(計16本)の扁平管63を有している。第9熱交換パス60Iは、7段2列(計14本)の扁平管63を有している。第10熱交換パス60Jは、6段2列(計12本)の扁平管63を有している。
【0081】
第1ヘッダ集合管70は、その内部空間が仕切板71によって上下に仕切られることによって、各熱交換パス60A〜60Jに対応する連通空間72A〜72Jが形成されている。また、第1熱交換パス60Aに対応する第1連通空間72Aは、仕切板73によってさらに上下に仕切られることによって、下側の第1ガス側出入口空間72ALと、上側の第1液側出入口空間72AUと、が形成されている。以下の説明では、第1連通空間72A以外の連通空間72B〜72Jをガス側出入口空間72B〜72Jとする。
【0082】
そして、第1ガス側出入口空間72ALは、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63のうち列方向の風下側でかつ最下段の扁平管63AD(第1風下下段側熱交換部61AL)の一端に連通している。第1液側出入口空間72AUは、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63のうち第1風下下段側熱交換部61ALの上側の扁平管63(第1風下上段側熱交換部61AU)の一端に連通している。第2ガス側出入口空間72Bは、第2熱交換パス60Bを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の12本(第2風下側熱交換部61B)の一端に連通している。第3ガス側出入口空間72Cは、第3熱交換パス60Cを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の12本(第3風下側熱交換部61C)の一端に連通している。第4ガス側出入口空間72Dは、第4熱交換パス60Dを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の11本(第4風下側熱交換部61D)の一端に連通している。第5ガス側出入口空間72Eは、第5熱交換パス60Eを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の10本(第5風下側熱交換部61E)の一端に連通している。第6ガス側出入口空間72Fは、第6熱交換パス60Fを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の10本(第6風下側熱交換部61F)の一端に連通している。第7ガス側出入口空間72Gは、第7熱交換パス60Gを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の9本(第7風下側熱交換部61G)の一端に連通している。第8ガス側出入口空間72Hは、第8熱交換パス60Hを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の8本(第8風下側熱交換部61H)の一端に連通している。第9ガス側出入口空間72Iは、第9熱交換パス60Iを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の7本(第9風下側熱交換部61I)の一端に連通している。第10ガス側出入口空間72Jは、第10熱交換パス60Jを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の6本(第10風下側熱交換部61J)の一端に連通している。
【0083】
第2ヘッダ集合管80は、その内部空間が仕切板81によって上下に仕切られることによって、各熱交換パス60A〜60Jに対応する連通空間82A〜82Jが形成されている。以下の説明では、第1連通空間82Aを第1縦折り返し空間82Aとし、第1連通空間82A以外の連通空間82B〜82Jを液側出入口空間82B〜82Jとする。
【0084】
そして、第1縦折り返し空間82Aの下部は、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63のうち列方向の風上側でかつ最下段の扁平管63AU(第1風上下段側熱交換部62AL)の一端に連通している。第1縦折り返し空間82Aの上部は、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63のうち第1風上下段側熱交換部62ALの上側の扁平管63(第1風上上段側熱交換部62AU)の一端に連通している。第2液側出入口空間82Bは、第2熱交換パス60Bを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の12本(第2風上側熱交換部62B)の一端に連通している。第3液側出入口空間82Cは、第3熱交換パス60Cを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の12本(第3風上側熱交換部62C)の一端に連通している。第4液側出入口空間82Dは、第4熱交換パス60Dを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の11本(第4風上側熱交換部62D)の一端に連通している。第5液側出入口空間82Eは、第5熱交換パス60Eを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の10本(第5風上側熱交換部62E)の一端に連通している。第6液側出入口空間82Fは、第6熱交換パス60Fを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の10本(第6風上側熱交換部62F)の一端に連通している。第7液側出入口空間82Gは、第7熱交換パス60Gを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の9本(第7風上側熱交換部62G)の一端に連通している。第8液側出入口空間82Hは、第8熱交換パス60Hを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の8本(第8風上側熱交換部62H)の一端に連通している。第9液側出入口空間82Iは、第9熱交換パス60Iを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の7本(第9風上側熱交換部62I)の一端に連通している。第10液側出入口空間82Jは、第10熱交換パス60Jを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の6本(第10風上側熱交換部62J)の一端に連通している。
【0085】
連結ヘッダ90は、その内部空間が仕切板91によって上下に仕切られることによって、各熱交換パス60A〜60Jに対応する連通空間92A〜92Jが形成されている。また、第1熱交換パス60Aに対応する第1連通空間92Aは、仕切板93によってさらに上下に仕切られることによって、下側の第1下側横折り返し空間92ALと、上側の第1上側横折り返し空間92AUと、が形成されている。以下の説明では、第1連通空間92A以外の連通空間92B〜92Jを横折り返し空間92B〜92Jとする。
【0086】
そして、各横折り返し空間92A〜92Jは、対応する熱交換パス60A〜60Jを構成する扁平管63に連通している。すなわち、第1下側横折り返し空間92ALは、第1熱交換部60Aを構成する扁平管63のうち列方向の風上側でかつ最下段の扁平管63AU(第1風上下段側熱交換部62AL)の他端と、第1熱交換部60Aを構成する扁平管63のうち列方向の風下側でかつ最下段の扁平管63AD(第1風下下段側熱交換部61AL)の他端と、に連通している。第1上側横折り返し空間92AUは、第1熱交換部60Aを構成する扁平管63のうち第1風上下段側熱交換部62ALの上側の扁平管63(第1風上上段側熱交換部62AU)の他端と、第1熱交換部60Aを構成する扁平管63のうち第1風下下段側熱交換部61ALの上側の扁平管63(第1風下上段側熱交換部61AU)の他端と、に連通している。第2横折り返し空間92Bは、第2熱交換パス60Bを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の12本(第2風上側熱交換部62B)の他端と、第2熱交換パス60Bを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の12本(第2風下側熱交換部61B)の他端と、に連通している。第3横折り返し空間92Cは、第3熱交換パス60Cを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の12本(第3風上側熱交換部62C)の他端と、第3熱交換パス60Cを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の12本(第3風下側熱交換部61C)の他端と、に連通している。第4横折り返し空間92Dは、第4熱交換パス60Dを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の11本(第4風上側熱交換部62D)の他端と、第4熱交換パス60Dを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の11本(第4風下側熱交換部61D)の他端と、に連通している。第5横折り返し空間92Eは、第5熱交換パス60Eを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の10本(第5風上側熱交換部62E)の他端と、第5熱交換パス60Eを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の10本(第5風下側熱交換部61E)の他端と、に連通している。第6横折り返し空間92Fは、第6熱交換パス60Fを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の10本(第6風上側熱交換部62F)の他端と、第6熱交換パス60Fを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の10本(第6風下側熱交換部61F)の他端と、に連通している。第7横折り返し空間92Gは、第7熱交換パス60Gを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の9本(第7風上側熱交換部62G)の他端と、第7熱交換パス60Gを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の9本(第7風下側熱交換部61G)の他端と、に連通している。第8横折り返し空間92Hは、第8熱交換パス60Hを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の8本(第8風上側熱交換部62H)の他端と、第8熱交換パス60Hを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の8本(第8風下側熱交換部61H)の他端と、に連通している。第9横折り返し空間92Iは、第9熱交換パス60Iを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の7本(第9風上側熱交換部62I)の他端と、第9熱交換パス60Iを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の7本(第9風下側熱交換部61I)の他端と、に連通している。第10横折り返し空間92Jは、第10熱交換パス60Jを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の6本(第10風上側熱交換部62I)の他端と、第10熱交換パス60Jを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の6本(第10風下側熱交換部61J)の他端と、に連通している。尚、ここでは、列方向に隣り合う各扁平管63の他端同士を連通させるように仕切板91、93を設けることで、横折り返し空間92A〜92Jが、列方向に隣り合う各扁平管63の他端同士を連通させるように形成されている。しかし、これに限定されるものではなく、同じ熱交換部61A〜61J、62A〜62J内では仕切板91、93を設けないことで、横折り返し空間92A〜92Jが、列方向に隣り合う各熱交換部61A〜61J、62A〜62J間で形成されていてもよい。
【0087】
また、第1ヘッダ集合管70及び第2ヘッダ集合管80には、暖房運転時に室外膨張弁12(図1参照)から送られる冷媒を各液側出入口空間72AU、82B〜82Jに分流して送る液側分流部材85と、冷房運転時に圧縮機8(図1参照)から送られる冷媒を各ガス側出入口空間72AL、72B〜72Jに分流して送るガス側分流部材75と、が接続されている。
【0088】
液側分流部材85は、冷媒管20(図1参照)に接続される液側冷媒分流器86と、液側冷媒分流器86から延びており各液側出入口空間72AU、82B〜82Jに接続される液側冷媒分流管87A〜87Fと、を有している。ここで、液側冷媒分流管87A〜87Fは、キャピラリチューブを有しており、熱交換パス60A〜60Jへの分流比率に応じた長さのものが使用されている。
【0089】
ガス側分流部材75は、冷媒管19(図1参照)に接続されるガス側冷媒分流母管76と、ガス側冷媒分流母管76から延びており各ガス側出入口空間72AL、72B〜72Jに接続されるガス側冷媒分流枝管77A〜77Jと、を有している。
【0090】
これにより、第1熱交換パス60A以外の熱交換パス60B〜60Jは、列方向の風上側の風上側熱交換部62B〜62Jと、風上側熱交換部62B〜62Jの風下側において風上側熱交換部62B〜62Jに直列に接続された風下側熱交換部61B〜61Jと、を有している。すなわち、第2熱交換パス60Bは、第2ガス側出入口空間72Bに連通する第2風下側熱交換部61Bを構成する12本の扁平管63と、第2風下側熱交換部61Bの風上側に位置しており第2液側出入口空間82Bに連通する第2風上側熱交換部62Bを構成する12本の扁平管63と、が第2横折り返し空間92Bを通じて直列に接続された構成を有している。第3熱交換パス60Cは、第3ガス側出入口空間72Cに連通する第3風下側熱交換部61Cを構成する12本の扁平管63と、第3風下側熱交換部61Cの風上側に位置しており第3液側出入口空間82Cに連通する第3風上側熱交換部62Cを構成する12本の扁平管63と、が第3横折り返し空間92Cを通じて直列に接続された構成を有している。第4熱交換パス60Dは、第4ガス側出入口空間72Dに連通する第4風下側熱交換部61Dを構成する11本の扁平管63と、第4風下側熱交換部61Dの風上側に位置しており第4液側出入口空間82Dに連通する第4風上側熱交換部62Dを構成する11本の扁平管63と、が第4横折り返し空間92Dを通じて直列に接続された構成を有している。第5熱交換パス60Eは、第5ガス側出入口空間72Eに連通する第5風下側熱交換部61Eを構成する10本の扁平管63と、第5風下側熱交換部61Eの風上側に位置しており第5液側出入口空間82Eに連通する第5風上側熱交換部62Eを構成する10本の扁平管63と、が第5横折り返し空間92Eを通じて直列に接続された構成を有している。第6熱交換パス60Fは、第6ガス側出入口空間72Fに連通する第6風下側熱交換部61Fを構成する10本の扁平管63と、第6風下側熱交換部61Fの風上側に位置しており第6液側出入口空間82Fに連通する第6風上側熱交換部62Fを構成する10本の扁平管63と、が第6横折り返し空間92Fを通じて直列に接続された構成を有している。第7熱交換パス60Gは、第7ガス側出入口空間72Gに連通する第7風下側熱交換部61Gを構成する9本の扁平管63と、第7風下側熱交換部61Gの風上側に位置しており第7液側出入口空間82Gに連通する第7風上側熱交換部62Gを構成する9本の扁平管63と、が第7横折り返し空間92Gを通じて直列に接続された構成を有している。第8熱交換パス60Hは、第8ガス側出入口空間72Hに連通する第8風下側熱交換部61Hを構成する8本の扁平管63と、第8風下側熱交換部61Hの風上側に位置しており第8液側出入口空間82Hに連通する第8風上側熱交換部62Hを構成する8本の扁平管63と、が第8横折り返し空間92Hを通じて直列に接続された構成を有している。第9熱交換パス60Iは、第9ガス側出入口空間72Iに連通する第9風下側熱交換部61Iを構成する7本の扁平管63と、第9風下側熱交換部61Iの風上側に位置しており第9液側出入口空間82Iに連通する第9風上側熱交換部62Iを構成する7本の扁平管63と、が第9横折り返し空間92Iを通じて直列に接続された構成を有している。第10熱交換パス60Jは、第10ガス側出入口空間72Jに連通する第10風下側熱交換部61Jを構成する6本の扁平管63と、第10風下側熱交換部61Jの風上側に位置しており第10液側出入口空間82Jに連通する第10風上側熱交換部62Jを構成する6本の扁平管63と、が第10横折り返し空間92Jを通じて直列に接続された構成を有している。第1熱交換パス60Aは、列方向の風上側でかつ最下段の扁平管63AUを含む第1風上下段側熱交換部62ALと、第1風上下段側熱交換部62ALの上側の第1風上上段側熱交換部62AUと、風上側熱交換部62AL、62AUの風下側でかつ最下段の前記扁平管63ADを含む第1風下下段側熱交換部61ALと、第1風下下段側熱交換部61ALの上側の第1風下上段側熱交換部61AUと、を有している。すなわち、第1熱交換パス60Aは、第1ガス側出入口空間72ALに連通する第1風下下段側熱交換部61ALを構成する最下段の扁平管63ADと、第1風下下段側熱交換部61ALの風上側に位置する第1風上下段側熱交換部62ALを構成する最下段の扁平管63AUと、第1風上下段側熱交換部62ALの上側に位置する第1風上上段側熱交換部62AUを構成する扁平管63と、第1液側出入口空間72AUに連通する第1風下上段側熱交換部61AUを構成する扁平管63と、が順に直列に接続された構成を有している。ここでは、第1ガス側出入口空間72ALに連通する第1風下下段側熱交換部61ALを構成する最下段の扁平管63ADは、第1下側横折り返し空間92ALを通じて、第1風上下段側熱交換部62ALを構成する最下段の扁平管63AUに直列に接続されている。第1風上下段側熱交換部62ALを構成する最下段の扁平管63AUは、第1縦折り返し空間82Aを通じて、第1風上上段側熱交換部62AUを構成する扁平管63に直列に接続されている。第1風上上段側熱交換部62AUを構成する扁平管63は、第1上側横折り返し空間92AUを通じて、第1風下上段側熱交換部61AUを構成する扁平管63に直列に接続されている。
【0091】
<動作(冷媒の流れ)>
次に、上記の構成を有する室外熱交換器11における冷媒の流れについて説明する。
【0092】
冷房運転時には、室外熱交換器11は、圧縮機8(図1参照)から吐出された冷媒の放熱器として機能する。尚、ここでは、図4図6図7及び図9における冷媒の流れを示す矢印とは反対の方向に冷媒が流れることになる。
【0093】
圧縮機8(図1参照)から吐出された冷媒は、冷媒管19(図1参照)を通じてガス側分流部材75に送られる。ガス側分流部材75に送られた冷媒は、ガス側冷媒分流母管76から各ガス側冷媒分流枝管77A〜77Jに分流されて、第1ヘッダ集合管70の各ガス側出入口空間72AL、72B〜72Jに送られる。
【0094】
第1ガス側出入口空間72AL以外の各ガス側出入口空間72B〜72Jに送られた冷媒は、各熱交換パス60B〜60Jの風下側熱交換部61B〜61Jを構成する扁平管63に分流される。各扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によって放熱して、連結ヘッダ90の各横折り返し空間92B〜92Jを通じて、各熱交換パス60B〜60Jの風上側熱交換部62B〜62Jを構成する扁平管63に送られる。各扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によってさらに放熱して、第2ヘッダ集合管80の各液側出入口空間82B〜82Jにおいて合流する。すなわち、冷媒は、風下側熱交換部61B〜61J、風上側熱交換部62B〜62Jの順に、熱交換パス60B〜60Jを通過するのである。このとき、冷媒は、過熱ガス状態から飽和液状態又は過冷却液状態になるまで放熱する。
【0095】
第1ガス側出入口空間72ALに送られた冷媒は、第1熱交換パス60Aの第1風下下段側熱交換部61ALを構成する扁平管63(最下段の扁平管63AD)に送られる。この扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によって放熱して、連結ヘッダ90の第1下側横折り返し空間92ALを通じて、第1熱交換パス60Aの第1風上下段側熱交換部62ALを構成する扁平管63(最下段の扁平管63AU)に送られる。この扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によってさらに放熱して、第2ヘッダ集合管80の第1縦折り返し空間82Aを通じて、第1熱交換パス60Aの第1風上上段側熱交換部62AUを構成する扁平管63に送られる。この扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によってさらに放熱して、連結ヘッダ90の第1上側横折り返し空間92AUを通じて、第1熱交換パス60Aの第1風下上段側熱交換部61AUを構成する扁平管63に送られる。この扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によってさらに放熱して、第1ヘッダ集合管70の第1液側出入口空間72AUに送られる。すなわち、冷媒は、第1風下下段側熱交換部61AL、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風下上段側熱交換部61AUの順に、第1熱交換パス60Aを通過するのである。このとき、冷媒は、過熱ガス状態から飽和液状態又は過冷却液状態になるまで放熱する。
【0096】
各液側出入口空間72AU、82B〜82Jに送られた冷媒は、液側冷媒分流部材85の液側冷媒分流管87A〜87Jに送られて、液側冷媒分流器86において合流する。液側冷媒分流器86において合流した冷媒は、冷媒管20(図1参照)を通じて室外膨張弁12(図1参照)に送られる。
【0097】
暖房運転時には、室外熱交換器11は、室外膨張弁12(図1参照)において減圧された冷媒の蒸発器として機能する。尚、ここでは、図4図6図7及び図9における冷媒の流れを示す矢印の方向に冷媒が流れることになる。
【0098】
室外膨張弁12において減圧された冷媒は、冷媒管20(図1参照)を通じて液側冷媒分流部材85に送られる。液側冷媒分流部材85に送られた冷媒は、液側冷媒分流器86から各液側冷媒分流管87A〜87Fに分流されて、第1及び第2ヘッダ集合管70、80の各液側出入口空間72AU、82B〜82Jに送られる。
【0099】
第1液側出入口空間72AU以外の各液側出入口空間82B〜82Jに送られた冷媒は、各熱交換パス60B〜60Jの風上側熱交換部62B〜62Jを構成する扁平管63に分流される。各扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によって加熱されて、連結ヘッダ90の各横折り返し空間92B〜92Jを通じて、各熱交換パス60B〜60Jの風下側熱交換部62B〜62Jを構成する扁平管63に送られる。各扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によってさらに加熱されて、第1ヘッダ集合管70の各ガス側出入口空間72B〜72Jにおいて合流する。すなわち、冷媒は、風上側熱交換部62B〜62J、風下側熱交換部61B〜61Jの順に、熱交換パス60B〜60Jを通過するのである。このとき、冷媒は、液状態又は気液二相状態から蒸発して過熱ガス状態になるまで加熱される。
【0100】
第1液側出入口空間72AUに送られた冷媒は、第1熱交換パス60Aの第1風下上段側熱交換部61AUを構成する扁平管63に送られる。この扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によって加熱されて、連結ヘッダ90の第1上側横折り返し空間92AUを通じて、第1熱交換パス60Aの第1風上上段側熱交換部62AUを構成する扁平管63に送られる。この扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によってさらに加熱されて、第2ヘッダ集合管80の第1縦折り返し空間82Aを通じて、第1熱交換パス60Aの第1風上下段側熱交換部62ALを構成する扁平管63(最下段の扁平管63AU)に送られる。この扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によってさらに加熱されて、連結ヘッダ90の第1下側横折り返し空間92ALを通じて、第1熱交換パス60Aの第1風下下段側熱交換部61ALを構成する扁平管63(最下段の扁平管63AD)に送られる。この扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によってさらに加熱されて、第1ヘッダ集合管70の第1ガス側出入口空間72ALに送られる。すなわち、冷媒は、第1風下上段側熱交換部61AU、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風下下段側熱交換部61ALの順に、第1熱交換パス60Aを通過するのである。このとき、冷媒は、液状態又は気液二相状態から蒸発して過熱ガス状態になるまで加熱される。
【0101】
各ガス側出入口空間72AL、72B〜72Jに送られた冷媒は、ガス側冷媒分流部材75のガス側冷媒分流枝管77A〜77Jに送られて、ガス側冷媒分流母管76において合流する。ガス側冷媒分流母管76において合流した冷媒は、冷媒管19(図1参照)を通じて圧縮機8(図1参照)の吸入側に送られる。
【0102】
除霜運転時には、室外熱交換器11は、冷房運転時と同様に、圧縮機8(図1参照)から吐出された冷媒の放熱器として機能する。尚、除霜運転時の室外熱交換器11における冷媒の流れは、冷房運転時と同様であるため、ここでは説明を省略する。但し、冷房運転時とは異なり、除霜運転時は、冷媒が、主として、熱交換パス60A〜60Jに付着した霜を融解させつつ放熱することになる。
【0103】
<特徴>
本実施形態の室外熱交換器11(熱交換器)及びそれを備えた空気調和装置1には、以下のような特徴がある。
【0104】
−A−
本実施形態の熱交換器11は、上記のように、上下に配列されるとともに内部に冷媒の通路が形成された複数の扁平管63と、隣り合う扁平管63の間を空気が流れる複数の通風路に区画する複数のフィン64と、を有している。扁平管63は、段方向に多段に並ぶ複数(ここでは、10個)の熱交換パス60A〜60Jに区分されている。そして、各熱交換パス60A〜60Jにおける冷媒の流れの一端から他端に至るまでの通路63bの長さをパス有効長LA〜LJとすると、最下段の扁平管63AU、63ADを含む第1熱交換パス60Aのパス有効長LAが、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くなっている。具体的には、第2〜第10熱交換パス60B〜60Jはそれぞれ、冷媒の流れの一端としての各液側出入口空間82B〜82Jから冷媒の流れの他端としての各ガス側出入口空間72B〜72Jに至るまでの間に、各風上側熱交換部62B〜62Jを構成する扁平管63と、各風下側熱交換部61B〜61Jを構成する扁平管63と、が直列に接続されている。このため、各第2〜第10熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJは、各風上側熱交換部62B〜62Jを構成する扁平管63の通路63b、及び、各風下側熱交換部61B〜61Jを構成する扁平管63の通路63bを加算した長さ(扁平管2本分の通路63bの長さ)である。第1熱交換パス60Aは、冷媒の流れの一端としての第1液側出入口空間72AUから冷媒の流れの他端としての第1ガス側出入口空間72ALに至るまでの間に、第1風下上段側熱交換部61AUを構成する扁平管63と、第1風上上段側熱交換部62AUを構成する扁平管63と、第1風上下段側熱交換部62ALを構成する最下段の扁平管63AUと、第1風下下段側熱交換部61ALを構成する最下段の扁平管63ADと、が直列に接続されている。このため、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAは、第1風下上段側熱交換部61AUを構成する扁平管63の通路63b、第1風上上段側熱交換部62AUを構成する扁平管63の通路63b、第1風上下段側熱交換部62ALを構成する最下段の扁平管63AUの通路63b、及び、第1風下下段側熱交換部61ALを構成する最下段の扁平管63ADの通路63bを加算した長さ(扁平管4本分の通路63bの長さ)である。このように、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAは、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くなっている。
【0105】
これに対して、従来の熱交換器では、各熱交換パスが同一の形状(管長さや冷媒の通路となる貫通孔のサイズや数)を有する扁平管が同じ本数だけ直列に接続されることによって構成されている。すなわち、上記従来の熱交換器は、各熱交換パスのパス有効長がいずれも同じになるように構成されている。そして、このような従来の熱交換器が暖房運転(冷媒の蒸発器として使用する場合)と除霜運転(冷媒の放熱器として使用する場合)とを切り換えて行う空気調和装置に採用されると、暖房運転時に、最下段の熱交換パスにおける着霜量が多くなりやすくなる。まず、その原因について説明する。
【0106】
この従来の構成では、暖房運転時に、最下段の扁平管を含む最下段の熱交換パスに液状態の冷媒が流入しやすく、冷媒の温度が十分に上昇しないままで最下段の熱交換パスを流出してしまうため、その結果、最下段の熱交換パスにおける着霜量が多くなりやすい傾向が現れる。すなわち、従来の熱交換器の構成では、暖房運転時に最下段の熱交換パスに液状態の冷媒が流入しやすく、冷媒の温度が十分に上昇しないままで最下段の熱交換パスを流出してしまうことが、最下段の熱交換パスにおける着霜量が多くなりやすい原因であると推定される。
【0107】
そこで、ここでは、従来の熱交換器とは異なり、上記のように、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aのパス有効長LAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くしている。
【0108】
そして、この構成を有する熱交換器11を暖房運転と除霜運転とを切り換えて行う空気調和装置1に採用した場合には、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAが長くなることによって、第1熱交換パス60Aにおける冷媒の流れ抵抗を大きくすることができる。このため、暖房運転時に第1熱交換パス60Aに液状態の冷媒が流入しにくくなり、最下段の熱交換パス60Aを流れる冷媒の温度が上昇しやすくなるため、第1熱交換パス60Aにおける着霜を抑制することができる。しかも、ここでは、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAが長くなることによって、第1熱交換パス60Aにおける伝熱面積を大きくすることができるため、最下段の熱交換パス60Aを流れる冷媒の温度の上昇を促進することができる。これにより、従来の熱交換器を採用する場合に比べて、除霜運転時の第1熱交換パス60Aにおける融け残りを減らすことができる。
【0109】
このように、ここでは、上記の構成を有する熱交換器11を暖房運転と除霜運転とを切り換えて行う空気調和装置1に採用することによって、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0110】
−B−
また、本実施形態の熱交換器11では、上記のように、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJの2倍にしているため、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAが十分に長くなっている。このため、第1熱交換パス60Aにおける冷媒の流れ抵抗や伝熱面積を十分に大きくすることができ、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜抑制の効果を高めることができるようになっている。
【0111】
尚、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAは、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJの2倍に限定されるものではない。例えば、第1熱交換パス60Aを構成する熱交換部(扁平管)をさらに上段側に増やして直列に接続することによって、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAを扁平管6本分の通路63bの長さにする等のように、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJの2倍以上にしてもよい。
【0112】
−C−
また、本実施形態の熱交換器11では、上記のように、第1熱交換パス60Aが、最下段の扁平管63AU、63ADを含む第1下段側熱交換部62AL、61ALと、第1下段側熱交換部62AL、61ALの上側において第1下段側熱交換部62AL、61ALに直列に接続された第1上段側熱交換部62AU、61AUと、を有している。特に、ここでは、扁平管63が、空気が通風路を通過する通風方向である列方向に多列(2列)に配置されている。第1熱交換パス60A以外の各熱交換パス60B〜60Jは、列方向の風上側の風上側熱交換部62B〜62Jと、風上側熱交換部62B〜62Jの風下側において風上側熱交換部62B〜62Jに直列に接続された風下側熱交換部61B〜61Jと、を有している。第1熱交換パス60Aは、列方向の風上側でかつ最下段の扁平管63AUを含む第1風上下段側熱交換部62ALと、第1風上下段側熱交換部62ALの上側の第1風上上段側熱交換部62AUと、風上側熱交換部62AL、62AUの風下側でかつ最下段の前記扁平管63ADを含む第1風下下段側熱交換部61ALと、第1風下下段側熱交換部61ALの上側の第1風下上段側熱交換部61AUと、を有している。そして、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風下下段側熱交換部61AL及び第1風下上段側熱交換部61AUは、直列に接続されている。
【0113】
このため、ここでは、上段側と下段側との直列接続を有しない他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJに比べて第1熱交換パス60Aのパス有効長LAを長くすることができる。特に、ここでは、第1熱交換パス60A以外の各熱交換パス60B〜60Jを風上側熱交換部62B〜62J及び風下側熱交換部61B〜61Jが直列に接続された構成にし、かつ、第1熱交換パス60Aを第1風上下段側熱交換部62AL、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風下下段側熱交換部61AL及び第1風下上段側熱交換部61AUが直列に接続された構成にすることによって、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAを長くすることができる。
【0114】
−D−
また、本実施形態の熱交換器11では、上記のように、各熱交換パス60A〜60Jが、直列に接続された複数の熱交換部61A〜61J、62A〜62Jを有しており、第1熱交換パス61Aを構成する熱交換部61AL、61AU、62AL、61AUの数(4個)が、他の熱交換パス60B〜60Jを構成する熱交換部61B〜61J、62B〜62Jの数(各パス2個ずつ)よりも多くなっている。このため、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJに比べて第1熱交換パス60Aのパス有効長LAを長くすることができる。
【0115】
−E−
また、本実施形態の熱交換器11では、冷媒の放熱器として使用される場合に、第1下段側熱交換部62AL、61AL及び第1上段側熱交換部62AU、61AUのうち、第1下段側熱交換部の1つである第1風下下段側熱交換部61ALが第1熱交換パス60Aの入口になるように構成されている。特に、ここでは、冷媒の放熱器として使用される場合に、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風下下段側熱交換部61AL、及び、第1風下上段側熱交換部61AUのうち、第1風下下段側熱交換部61ALが第1熱交換パス60Aの入口になるように構成されている。
【0116】
上記のように、第1熱交換パス60Aを、第1上段側熱交換部62AL、61AL及び第1下段側熱交換部62AU、61AUが直列に接続された構成にすると、暖房運転から除霜運転に切り換える際に、最下段の扁平管63AU、63ADを含む第1下段側熱交換部62AU、61AUに液状態の冷媒が溜まりやすい。
【0117】
そこで、ここでは、上記のように、熱交換器11が冷媒の放熱器として使用される場合に、第1熱交換パス60Aを構成する第1下段側熱交換部62AL、61AL及び第1上段側熱交換部62AU、61AUのうち、最下段の扁平管(ここでは、最下段の扁平管63AD)を含む第1下段側熱交換部の1つである第1風下下段側熱交換部61ALを第1熱交換パス60Aの入口になるように構成している。
【0118】
そうすると、除霜運転時には、第1熱交換パス60Aにガス状態の冷媒を流入させる際に、ガス状態の冷媒が第1下段側熱交換部(ここでは、第1風下下段側熱交換部61AL)に流入することになる。すなわち、ここでは、除霜運転時に、最下段の扁平管を含む第1下段側熱交換部(ここでは、最下段の扁平管63ADを含む第1風下下段側熱交換部61AL)が冷媒の流れの上流側に位置することになる。このため、ここでは、第1熱交換パス60Aを構成する第1下段側熱交換部62AL、61AL及び第1上段側熱交換部62AU、61AUのうち、最下段の扁平管を含む第1下段側熱交換部(ここでは、最下段の扁平管63ADを含む第1風下下段側熱交換部61AL)にガス状態の冷媒を流入させて、最下段の第1下段側熱交換部(ここでは、第1風下下段側熱交換部61AL)に溜まる液状態の冷媒を積極的に加熱して蒸発させて、最下段の第1熱交換パス60Aの温度を速やかに上昇させることができる。これにより、ここでは、除霜運転時の第1熱交換パス60Aにおける融け残りをさらに減らすことができる。
【0119】
−F−
また、本実施形態の熱交換器11では、上記のように、第1熱交換パス60A以外の熱交換パス60B〜60Jが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第2ヘッダ集合管80に形成された液側出入口空間82B〜82J、風上側熱交換部62B〜62J、連結ヘッダ90に形成された横折り返し空間92B〜92J、風下側熱交換部62B〜62J、第1ヘッダ集合管70に形成されたガス側出入口空間72B〜72Jの順に冷媒が流れるように構成されている。また、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1ヘッダ集合管70に形成された第1液側出入口空間72AU、第1風下上段側熱交換部61AU、連結ヘッダ90に形成された第1上側横折り返し空間92AU、第1風上上段側熱交換部62AU、第2ヘッダ集合管80に形成された第1縦折り返し空間82A、第1風上下段側熱交換部62AL、連結ヘッダ90に形成された第1下側横折り返し空間92AL、第1風下下段側熱交換部61AL、第1ヘッダ集合管70に形成された第1ガス側出入口空間72ALの順に冷媒が流れるように構成されている。
【0120】
そして、ここでは、上記のように、熱交換パス60A〜60Jのガス冷媒側の出入口がいずれも、風下側の熱交換部61AL、61B〜61Jに配置されているため、ガス側出入口空間72AL、72B〜72Jをいずれも、第1ヘッダ集合管70にまとめて形成することができる。
【0121】
また、ここでは、上記のように、熱交換パス60A〜60Jの連結ヘッダ90における折り返し方向がいずれも横方向であるため、連結ヘッダ90の内部空間を各段上下に仕切るだけの簡単な構造によって構成することができる。
【0122】
また、ここでは、上記のように、熱交換器11が冷媒の蒸発器として使用される場合に、最下段の第1熱交換パス60Aを構成する第1熱交換部61AU、62AU、62AL、61ALのうち、冷媒の流れの上流側に位置する第1下段側熱交換部62AL、61ALが、第1熱交換パス60Aの上段側の第2熱交換パス60Bを構成する第2熱交換部61B、62Bから離れて配置されている。このため、第1熱交換パス60Aと第2熱交換パス60Bとの間の熱ロスを抑えることができ、これにより、最下段の熱交換パス60Aを流れる冷媒の温度の上昇を妨げにくくして、第1熱交換パス60Aにおける着霜の抑制に寄与することができる。
【0123】
−G−
また、本実施形態の熱交換器11では、上記のように、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63の数が、他の熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63の数よりも少なくなっている。
【0124】
ここで、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63の数が他の熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63の数よりも少ない構成を採用すると、冷媒を分岐して各熱交換パス60A〜60Jに流入させる際に、偏流が発生しやすくなる。
【0125】
しかし、ここでは、上記のように、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くした構成を採用することによって、第1熱交換パス60Aにおける冷媒の流れ抵抗を大きくしているため、冷媒を分岐して各熱交換パス60A〜60Jに流入させる際の偏流の発生を抑制することができる。
【0126】
また、ここでは、第1熱交換パス60Aを除いた各第2熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63の数が、室外ファン15(送風機)によって得られる空気の風速が速い部分に対応する熱交換部の扁平管63の数よりも、室外ファン15(送風機)によって得られる空気の風速が遅い部分に対応する熱交換部の扁平管63の数のほうが多くなるようにしている。なぜなら、冷媒と空気との熱交換を行う熱交換器においては、空気の風速が速い部分ほど熱交換効率が高く、空気の風速が遅い部分ほど熱交換効率が低くなるからである。具体的には、空気の風速が最も速い第10熱交換パス60Jを構成する扁平管63の本数(6段2列の計12本)よりも、第10熱交換部60Jよりも空気の風速が遅い第9熱交換パス60Iを構成する扁平管63の本数(7段2列の計14本)のほうが多くなる、というように、空気の風速が遅い下側の熱交換パスほど、熱交換パスを構成する扁平管63の本数が多くなるようにしている。
【0127】
このため、ここでは、熱交換器11の大部分(最下段の第1熱交換パス60A以外の熱交換パス60B〜60J)については、空気の風速が遅い下側の熱交換パスほど、熱交換パスを構成する扁平管63の数を多くすることで、風速分布と熱交換効率との関係に対応させるようにしている。しかも、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aについては、着霜量と融け残りの問題を考慮して、パス有効長LAが長いものとしつつ、他の熱交換パス60B〜60Jとは異なり、扁平管63の本数を少なくしている。
【0128】
−H−
また、本実施形態の熱交換器11では、上記のように、フィン64が、空気が通風路を通過する通風方向の風下側から風上側に沿って延びており扁平管63が挿入される複数の切り欠き部64aと、隣り合う切り欠き部64a間に挟まれた複数のフィン主部64bと、切り欠き部64aよりも通風方向の風上側に複数のフィン主部64bと連続して延びるフィン風上部64cと、を有している。
【0129】
このようなフィン構成を有する熱交換器11では、除霜運転時にフィン風上部64cに付着する霜の量が多くなりやすいため、除霜運転時に最下段の第1熱交換パス60Aにおける融け残りが多くなるおそれがある。
【0130】
しかし、ここでは、上記のように、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAを他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くした構成を採用しているため、フィン風上部64cに付着する霜を含めた最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0131】
<変形例>
−A−
上記実施形態の室外熱交換器11(熱交換器)では、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風下上段側熱交換部61AU、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風下下段側熱交換部61ALの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成になっている(図4図9参照)。しかし、第1熱交換部61AU、61AL、62AU、62ALの接続構成は、これに限定されるものではない。
【0132】
例えば、図10に示すように、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風下上段側熱交換部61AU、第1風下下段側熱交換部61AL、第1風上下段側熱交換部62ALの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成であってもよい。尚、冷媒の放熱器として使用される場合は、冷媒の流れが逆になる。
【0133】
ここでも、上記実施形態と同様に、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAが、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くなるため、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0134】
また、ここでは、冷媒の放熱器として使用される場合に、第1風上下段側熱交換部62ALが第1熱交換パス60Aの入口になるため、上記実施形態と同様に、除霜運転時に、第1風上下段側熱交換部62ALに溜まる液状態の冷媒を積極的に加熱して蒸発させることで最下段の第1熱交換パス60Aの温度を速やかに上昇させることができ、第1熱交換パス60Aにおける融け残りをさらに減らすことができる。しかも、第1風上下段側熱交換部62ALは、列方向の風上側に位置している。ここで、各熱交換パス60A〜60Jが、列方向の風上側に位置する風上側熱交換部62A〜62J(第1熱交換パス60Aについては、第1風上下段側熱交換部62AL及び第1風上上段側熱交換部62AU)と、列方向の風下側に位置する風下側熱交換部61A〜61J(第1熱交換パス60Aについては、第1風下下段側熱交換部61AL及び第1風下上段側熱交換部61AU)と、を有する構成にすると、暖房運転時に風上側熱交換部62A〜62Jに付着する霜の量が多くなりやすい。このため、除霜運転時に最下段の第1熱交換パス60A(特に、第1風上下段側熱交換部62AL及び第1風上上段側熱交換部61AL)における融け残りが多くなるおそれがある。しかし、ここでは、上記のように、熱交換器11が冷媒の放熱器として使用される場合に、列方向の風上側に位置する第1風上下段側熱交換部62ALを第1熱交換パス60Aの入口になるように構成している。このため、除霜運転時には、第1熱交換パス60Aにガス状態の冷媒を流入させる際に、ガス状態の冷媒が第1風上下段側熱交換部62ALに流入することになる。すなわち、ここでは、除霜運転時に、列方向の風上側に位置する第1風上下段側熱交換部62ALが冷媒の流れの上流側に位置することになる。このため、ここでは、第1熱交換パス60Aを構成する第1風上下段側熱交換部62AL、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風下下段側熱交換部61AL及び第1風下上段側熱交換部61AUのうち列方向の風上側に位置する第1風上下段側熱交換部62ALにガス状態の冷媒を流入させて、列方向の風上側に位置する第1風上下段側熱交換部62ALに付着した霜を積極的に加熱して融かすことができる。これにより、ここでは、除霜運転時の第1熱交換パス60Aにおける融け残りをさらに減らすことができる。
【0135】
また、ここでは、上記実施形態とは異なり、第1液側出入口空間72AUが第1風上上段側熱交換部62AUと連通させるために第2ヘッダ集合管80に形成され、第1ガス側出入口空間72ALが第1風上下段側熱交換部62ALと連通させるために第2ヘッダ集合管80に形成されることになる。しかも、第1縦折り返し空間82Aが第1風下下段側熱交換部61ALと第1風下上段側熱交換部61AUとの間を連通させるために第1ヘッダ集合管70に形成されることになる。そして、ここでは、熱交換パス60A〜60Jの液冷媒側の出入口がいずれも、風上側の熱交換部62AU、62B〜62Jに配置されるため、液側出入口空間72AU、82B〜82Jをいずれも、第2ヘッダ集合管80にまとめて形成することができる。また、ここでは、上記実施形態と同様に、熱交換パス60A〜60Jの連結ヘッダ90における折り返し方向がいずれも横方向であるため、連結ヘッダ90の内部空間を各段上下に仕切るだけの簡単な構造によって構成することができる。また、ここでは、上記実施形態と同様に、熱交換器11が冷媒の蒸発器として使用される場合に、最下段の第1熱交換パス60Aを構成する第1熱交換部61AU、62AU、62AL、61ALのうち、冷媒の流れの下流側に位置する第1下段側熱交換部62AL、61ALが、第1熱交換パス60Aの上段側の第2熱交換パス60Bを構成する第2熱交換部61B、62Bから離れて配置される。このため、第1熱交換パス60Aと第2熱交換パス60Bとの間の熱ロスを抑えることができ、これにより、最下段の熱交換パス60Aを流れる冷媒の温度の上昇を妨げにくくして、第1熱交換パス60Aにおける着霜の抑制に寄与することができる。
【0136】
−B−
上記実施形態の室外熱交換器11(熱交換器)では、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風下上段側熱交換部61AU、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風下下段側熱交換部61ALの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成になっている(図4図9参照)。しかし、第1熱交換部61AU、61AL、62AU、62ALの接続構成は、これに限定されるものではない。
【0137】
例えば、図11に示すように、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風下下段段側熱交換部61AL、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風下上段側熱交換部61AUの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成であってもよい。尚、冷媒の放熱器として使用される場合は、冷媒の流れが逆になる。
【0138】
ここでも、上記実施形態と同様に、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAが、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くなるため、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0139】
また、ここでは、第1液側出入口空間72AU及び第1ガス側出入口空間72ALが、上記実施形態と同様に、第1ヘッダ集合管70に形成されるが、両出入口空間の上下位置が反対になる。すなわち、第1液側出入口空間72AUが第1風下下段側熱交換部61ALに連通し、第1ガス側出入口空間72ALが第1風下上段側熱交換部61AUに連通されることになる。そして、ここでは、上記実施形態と同様に、熱交換パス60A〜60Jのガス冷媒側の出入口がいずれも、風下側の熱交換部61AL、61B〜61Jに配置されるため、ガス側出入口空間72AL、72B〜72Jをいずれも、第1ヘッダ集合管70にまとめて形成することができる。しかも、上記実施形態とは異なり、第1液側出入口空間72AUが、第1ガス側出入口空間72ALと第2ガス側出入口空間72Bとの上下方向間に配置されずに、第1ガス側出入口空間72ALの下側に配置されることになるため、第1ヘッダ集合管70の構造を簡単化したり、第1ヘッダ集合管70の長さを短くすることができる。また、ここでは、上記実施形態と同様に、熱交換パス60A〜60Jの連結ヘッダ90における折り返し方向がいずれも横方向であるため、連結ヘッダ90の内部空間を各段上下に仕切るだけの簡単な構造によって構成することができる。
【0140】
−C−
上記実施形態の室外熱交換器11(熱交換器)では、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風下上段側熱交換部61AU、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風下下段側熱交換部61ALの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成になっている(図4図9参照)。しかし、第1熱交換部61AU、61AL、62AU、62ALの接続構成は、これに限定されるものではない。
【0141】
例えば、図12に示すように、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風下下段側熱交換部61AL、第1風下上段側熱交換部61AU、第1風上上段側熱交換部62AUの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成であってもよい。尚、冷媒の放熱器として使用される場合は、冷媒の流れが逆になる。
【0142】
ここでも、上記実施形態と同様に、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAが、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くなるため、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0143】
また、ここでは、熱交換器11が冷媒の放熱器として使用される場合に、列方向の風上側に位置する第1風上上段側熱交換部62AUを第1熱交換パス60Aの入口になるように構成している。このため、除霜運転時には、第1熱交換パス60Aにガス状態の冷媒を流入させる際に、ガス状態の冷媒が第1風上上段側熱交換部62AUに流入することになる。すなわち、ここでは、除霜運転時に、上記変形例Aと同様に、列方向の風上側に位置する第1風上下段側熱交換部62ALが冷媒の流れの上流側に位置することになる。このため、ここでは、第1熱交換パス60Aを構成する第1風上下段側熱交換部62AL、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風下下段側熱交換部61AL及び第1風下上段側熱交換部61AUのうち列方向の風上側に位置する第1風上上段側熱交換部62AUにガス状態の冷媒を流入させて、列方向の風上側に位置する第1風上上段側熱交換部62AUに付着した霜を積極的に加熱して融かすことができる。これにより、ここでは、除霜運転時の第1熱交換パス60Aにおける融け残りをさらに減らすことができる。
【0144】
また、ここでは、第1液側出入口空間72AU及び第1ガス側出入口空間72ALが、上記変形例A(図10参照)と同様に、第2ヘッダ集合管80に形成されるが、両出入口空間の上下位置が反対になる。すなわち、第1液側出入口空間72AUが第1風上下段側熱交換部62ALに連通し、第1ガス側出入口空間72ALが第1風上上段側熱交換部62AUに連通されることになる。そして、ここでは、上記変形例Aと同様に、熱交換パス60A〜60Jの液冷媒側の出入口がいずれも、風上側の熱交換部62AL、62B〜62Jに配置されるため、液側出入口空間72AU、82B〜82Jをいずれも、第2ヘッダ集合管80にまとめて形成することができる。しかも、上記変形例Aとは異なり、第1ガス側出入口空間72ALが、第1液側出入口空間72AUと第2液側出入口空間82Bとの上下方向間に配置されずに、第1液側出入口空間72AUの下側に配置されることになるため、第2ヘッダ集合管80の構造を簡単化したり、第2ヘッダ集合管80の長さを短くすることができる。また、ここでは、上記実施形態と同様に、熱交換パス60A〜60Jの連結ヘッダ90における折り返し方向がいずれも横方向であるため、連結ヘッダ90の内部空間を各段上下に仕切るだけの簡単な構造によって構成することができる。
【0145】
−D−
上記実施形態の室外熱交換器11(熱交換器)では、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風下上段側熱交換部61AU、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風下下段側熱交換部61ALの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成になっている(図4図9参照)。しかし、第1熱交換部61AU、61AL、62AU、62ALの接続構成は、これに限定されるものではない。
【0146】
例えば、図13に示すように、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風下上段側熱交換部61AU、第1風下下段側熱交換部61AL、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風上上段側熱交換部62AUの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成であってもよい。尚、冷媒の放熱器として使用される場合は、冷媒の流れが逆になる。また、上記実施形態では、連結ヘッダ90の第1熱交換パス60Aに対応する第1連通空間92Aを仕切る仕切板93が、第1連通空間92Aを上下に仕切るように設けられている。しかし、ここでは、第1風下上段側熱交換部61AUと第1風下下段側熱交換部61ALとの間の縦の折り返し接続、及び、第1風上下段側熱交換部62ALと第1風上上段側熱交換部62AUとの間の縦の折り返し接続が必要になるため、仕切板93(図示せず)が第1連通空間92Aを風上側と風下側とに仕切るように設けられることになる。また、上記実施形態では、第2ヘッダ集合管80の第1熱交換パス60Aに対応する第1連通空間82Aが第1縦折り返し空間となっているが、ここでは、第1ヘッダ集合管70の第1連通空間72Aを上下に仕切る仕切板73と同様に、第1連通空間82Aを上下に仕切る仕切板(図示せず)が設けられる。そして、ここでは、第1風下下段側熱交換部61ALと第1風上下段側熱交換部62ALとの間の横の折り返し接続が必要になるため、第1ヘッダ集合管70の第1連通空間72Aと第2ヘッダ集合管80の第2連通空間82Aとの間を連通させる連通管(図示せず)が設けられることになる。
【0147】
ここでも、上記実施形態と同様に、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAが、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くなるため、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0148】
また、ここでは、熱交換器11が冷媒の蒸発器として使用される場合に、空気の流れと第1熱交換パス60Aにおける冷媒の流れとが全体として対向流の関係をなすように構成している。このため、暖房運転時には、空気と第1熱交換パス60Aを流れる冷媒との熱交換が促進されて、最下段の第1熱交換パス60Aを流れる冷媒の温度が上昇しやすくなるため、第1熱交換パス60Aにおける着霜抑制の効果を高めることができる。
【0149】
また、ここでは、熱交換器11が冷媒の放熱器として使用される場合に、上記変形例Cと同様に、列方向の風上側に位置する第1風上上段側熱交換部62AUを第1熱交換パス60Aの入口になるように構成している。このため、除霜運転時には、第1熱交換パス60Aにガス状態の冷媒を流入させる際に、ガス状態の冷媒が第1風上上段側熱交換部62AUに流入することになる。すなわち、ここでは、除霜運転時に、上記変形例Cと同様に、列方向の風上側に位置する第1風上上段側熱交換部62AUが冷媒の流れの上流側に位置することになる。このため、ここでは、第1熱交換パス60Aを構成する第1風上下段側熱交換部62AL、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風下下段側熱交換部61AL及び第1風下上段側熱交換部61AUのうち列方向の風上側に位置する第1風上上段側熱交換部62AUにガス状態の冷媒を流入させて、列方向の風上側に位置する第1風上上段側熱交換部62AUに付着した霜を積極的に加熱して融かすことができる。これにより、ここでは、除霜運転時の第1熱交換パス60Aにおける融け残りをさらに減らすことができる。
【0150】
−E−
上記実施形態の室外熱交換器11(熱交換器)では、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風下上段側熱交換部61AU、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風下下段側熱交換部61ALの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成になっている(図4図9参照)。しかし、第1熱交換部61AU、61AL、62AU、62ALの接続構成は、これに限定されるものではない。
【0151】
例えば、図14に示すように、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風下上段側熱交換部61AU、第1風下下段側熱交換部61ALの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成であってもよい。尚、冷媒の放熱器として使用される場合は、冷媒の流れが逆になる。また、ここでは、上記変形例Dと同様に、仕切板93(図示せず)が第1連通空間92Aを風上側と風下側とに仕切るように設けられ、第1連通空間82Aを上下に仕切る仕切板(図示せず)が設けられ、第1ヘッダ集合管70の第1連通空間72Aと第2ヘッダ集合管80の第2連通空間82Aとの間を連通させる連通管(図示せず)が設けられることになる。
【0152】
ここでも、上記実施形態と同様に、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAが、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くなるため、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0153】
また、ここでは、冷媒の放熱器として使用される場合に、第1風下下段側熱交換部61ALが第1熱交換パス60Aの入口になるため、上記実施形態と同様に、除霜運転時に、第1風上下段側熱交換部62ALに溜まる液状態の冷媒を積極的に加熱して蒸発させることで最下段の第1熱交換パス60Aの温度を速やかに上昇させることができ、第1熱交換パス60Aにおける融け残りをさらに減らすことができる。
【0154】
また、ここでは、熱交換パス60A〜60Jのガス冷媒側の出入口がいずれも、風下側の熱交換部61AL、61B〜61Jに配置されるため、ガス側出入口空間72AL、72B〜72Jをいずれも、第1ヘッダ集合管70にまとめて形成することができる。また、ここでは、熱交換パス60A〜60Jの液冷媒側の出入口がいずれも、風上側の熱交換部62AL、62B〜62Jに配置されるため、液側出入口空間82AL、82B〜82Jをいずれも、第2ヘッダ集合管80にまとめて形成することができる。
【0155】
−F−
上記実施形態の室外熱交換器11(熱交換器)では、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風下上段側熱交換部61AU、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風下下段側熱交換部61ALの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成になっている(図4図9参照)。しかし、第1熱交換部61AU、61AL、62AU、62ALの接続構成は、これに限定されるものではない。
【0156】
例えば、図15に示すように、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風下下段側熱交換部61AL、第1風下上段側熱交換部61AUの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成であってもよい。尚、冷媒の放熱器として使用される場合は、冷媒の流れが逆になる。また、ここでは、上記変形例Dと同様に、仕切板93(図示せず)が第1連通空間92Aを風上側と風下側とに仕切るように設けられ、第1連通空間82Aを上下に仕切る仕切板(図示せず)が設けられ、第1ヘッダ集合管70の第1連通空間72Aと第2ヘッダ集合管80の第2連通空間82Aとの間を連通させる連通管(図示せず)が設けられることになる。
【0157】
ここでも、上記実施形態と同様に、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAが、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くなるため、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0158】
また、ここでは、熱交換パス60A〜60Jのガス冷媒側の出入口がいずれも、風下側の熱交換部61AU、61B〜61Jに配置されるため、ガス側出入口空間72AL、72B〜72Jをいずれも、第1ヘッダ集合管70にまとめて形成することができる。また、ここでは、熱交換パス60A〜60Jの液冷媒側の出入口がいずれも、風上側の熱交換部62AU、62B〜62Jに配置されるため、液側出入口空間82AL、82B〜82Jをいずれも、第2ヘッダ集合管80にまとめて形成することができる。
【0159】
−G−
上記実施形態の室外熱交換器11(熱交換器)では、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風下上段側熱交換部61AU、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風上下段側熱交換部62AL、第1風下下段側熱交換部61ALの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成になっている(図4図9参照)。しかし、第1熱交換部61AU、61AL、62AU、62ALの接続構成は、これに限定されるものではない。
【0160】
例えば、図16に示すように、第1熱交換パス60Aが、冷媒の蒸発器として使用される場合に、第1風下下段側熱交換部61AL、第1風下上段側熱交換部61AU、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風上下段側熱交換部62ALの順に冷媒が流れるように直列に接続された構成であってもよい。尚、冷媒の放熱器として使用される場合は、冷媒の流れが逆になる。また、ここでは、上記変形例Dと同様に、仕切板93(図示せず)が第1連通空間92Aを風上側と風下側とに仕切るように設けられ、第1連通空間82Aを上下に仕切る仕切板(図示せず)が設けられ、第1ヘッダ集合管70の第1連通空間72Aと第2ヘッダ集合管80の第2連通空間82Aとの間を連通させる連通管(図示せず)が設けられることになる。
【0161】
ここでも、上記実施形態と同様に、第1熱交換パス60Aのパス有効長LAが、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くなるため、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0162】
また、ここでは、熱交換器11が冷媒の蒸発器として使用される場合に、空気の流れと第1熱交換パス60Aにおける冷媒の流れとが全体として対向流の関係をなすように構成している。このため、暖房運転時には、空気と第1熱交換パス60Aを流れる冷媒との熱交換が促進されて、最下段の第1熱交換パス60Aを流れる冷媒の温度が上昇しやすくなるため、第1熱交換パス60Aにおける着霜抑制の効果を高めることができる。
【0163】
また、ここでは、冷媒の放熱器として使用される場合に、第1風上下段側熱交換部62ALが第1熱交換パス60Aの入口になるため、上記実施形態と同様に、除霜運転時に、第1風上下段側熱交換部62ALに溜まる液状態の冷媒を積極的に加熱して蒸発させることで最下段の第1熱交換パス60Aの温度を速やかに上昇させることができ、第1熱交換パス60Aにおける融け残りをさらに減らすことができる。しかも、第1風上下段側熱交換部62ALは、列方向の風上側に位置している。このため、除霜運転時には、第1熱交換パス60Aにガス状態の冷媒を流入させる際に、ガス状態の冷媒が第1風上下段側熱交換部62ALに流入することになる。すなわち、ここでは、除霜運転時に、上記変形例Aと同様に、列方向の風上側に位置する第1風上下段側熱交換部62ALが冷媒の流れの上流側に位置することになる。このため、ここでは、第1熱交換パス60Aを構成する第1風上下段側熱交換部62AL、第1風上上段側熱交換部62AU、第1風下下段側熱交換部61AL及び第1風下上段側熱交換部61AUのうち列方向の風上側に位置する第1風上下段側熱交換部62ALにガス状態の冷媒を流入させて、列方向の風上側に位置する第1風上下段側熱交換部62ALに付着した霜を積極的に加熱して融かすことができる。これにより、ここでは、除霜運転時の第1熱交換パス60Aにおける融け残りをさらに減らすことができる。
【0164】
−H−
上記実施形態及びその変形例の室外熱交換器11(熱交換器)では、第1熱交換パスを構成する扁平管63の本数が最下段の扁平管63AU、63ADを含む2列2段(計4本)であり、これら4本の扁平管63がそれぞれ熱交換部61AU、61AL、62AU、62ALを構成するとともに、これら4つの熱交換部間が直列に接続されているが、これに限定されるものではない。例えば、第1熱交換パスを構成する扁平管63の本数が最下段の扁平管63AU、63ADを含む2列4段(計8本)とし、これら8本の扁平管63の各2本ずつが熱交換部61AU、61AL、62AU、62ALを構成するとともに、これら4つの熱交換部間が直列に接続されていてもよい。
【0165】
また、上記実施形態及びその変形例の熱交換器11では、熱交換パスを構成する熱交換部の列数が2列であるが、これに限定されるものではない。例えば、熱交換パスを構成する熱交換部の列数を1列とし、第1熱交換パス60Aが複数段の扁平管63を有するとともに上下に複数回折り返して直列に接続させることによって、他の熱交換パス60B〜60Jよりもパス有効長が長くなるように構成したものであってもよい。
【0166】
このように、上記実施形態及びその変形例の熱交換器11では、熱交換パスの段数(10段)や熱交換部の列数(2列)、扁平管63の数(87本)、各熱交換パス60A〜60Jを構成する扁平管63の数等が規定されているが、これらの数は例示に過ぎず、これらの数に限定されるものではない。
【0167】
(5)第2実施形態の室外熱交換器
<構成>
図17は、第2実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器11の概略斜視図である。図18は、第2実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器11の概略構成図(風下側から見た図)である。図19は、第2実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器11の概略構成図(風上側から見た図)である。図20は、第2実施形態にかかる熱交換器としての室外熱交換器11の第1熱交換パス60A付近のパス構成を示す図である。尚、図17図20における冷媒の流れを示す矢印は、暖房運転時(室外熱交換器11を冷媒の蒸発器として機能させる場合)の冷媒の流れ方向である。
【0168】
室外熱交換器11は、冷媒と室外空気との熱交換を行う熱交換器であり、主として、第1ヘッダ集合管70と、第2ヘッダ集合管80と、連結ヘッダ90と、複数の扁平管63と、複数のフィン64と、を有している。ここでは、第1ヘッダ集合管70、第2ヘッダ集合管80、連結ヘッダ90、扁平管63及びフィン64のすべてが、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されており、互いにロウ付け等によって接合されている。
【0169】
第1ヘッダ集合管70は、上端及び下端が閉じた縦長中空の筒形状の部材である。第1ヘッダ集合管70は、室外熱交換器11の一端側(ここでは、図17の左前端側、又は、図18の左端側)に立設されている。
【0170】
第2ヘッダ集合管80は、上端及び下端が閉じた縦長中空の筒形状の部材である。第2ヘッダ集合管80は、室外熱交換器11の一端側(ここでは、図17の左前端側、又は、図19の右端側)に立設されている。ここでは、第2ヘッダ集合管80は、第1ヘッダ集合管70よりも空気の通風方向の風上側に配置されている。
【0171】
連結ヘッダ90は、上端及び下端が閉じた縦長中空の筒形状の部材である。第2ヘッダ集合管80は、室外熱交換器11の一端側(ここでは、図17の右前端側、図18の右端側、又は、図19の左端側)に立設されている。
【0172】
扁平管63は、伝熱面となる鉛直方向を向く平面部63aと、内部に形成された冷媒が流れる多数の小さな貫通孔からなる通路63bと、を有する扁平多穴管である。扁平管63は、上下方向(段方向)に多段に配置されるとともに、空気の通風方向(列方向)に多列(ここでは、2列)に配置されている。空気の通風方向の風下側に配置された扁平管63の一端は第1ヘッダ集合管70に接続されており、他端は連結ヘッダ90に接続されている。空気の通風方向の風上側に配置された扁平管63の一端は第2ヘッダ集合管80に接続されており、他端は連結ヘッダ90に接続されている。フィン64は、隣り合う扁平管63の間を空気が流れる複数の通風路に区画しており、複数の扁平管63を差し込めるように、水平に細長く延びる複数の切り欠き64aが形成されている。ここでは、扁平管63の平面部63aが向く方向が上下方向(段方向)であり、かつ、扁平管63の長手方向がケーシング40の側面(ここでは、左右両側面)及び背面に沿う水平方向であるため、切り欠き部64aが延びる方向は、扁平管63の長手方向に交差する水平方向(列方向)を意味しており、ケーシング40内における空気の通風方向(列方向)とも略一致している。切り欠き部64aは、扁平管63が通風方向の風下側から風上側に向かって挿入されるように水平方向(列方向)に細長く延びている。フィン64の切り欠き64aの形状は、扁平管63の断面の外形にほぼ一致している。フィン64の切り欠き部64aは、フィン64の上下方向(段方向)に所定の間隔を空けて形成されている。フィン64は、上下方向(段方向)に隣り合う切り欠き部64a間に挟まれた複数のフィン主部64bと、複数の切り欠き部64aよりも通風方向(列方向)の風上側に複数のフィン主部64bと連続して延びるフィン風上部64cと、を有している。フィン64は、扁平管63と同様に、空気が通風路を通過する方向(通風方向、列方向)に多列(ここでは、2列)に配置されている。
【0173】
室外熱交換器11では、扁平管63が上下方向(段方向)に多段(ここでは、10段)に並ぶ複数の熱交換パス60A〜60Jに区分されている。また、扁平管63は、空気が通風路を通過する通風方向(列方向)に多列(ここでは、2列)に配置されている。具体的には、ここでは、下から上に向かって順に、最下段の熱交換パスである第1熱交換パス60A、第2熱交換パス60B・・・第9熱交換パス60I、第10熱交換パス60Jが形成されている。第1熱交換パス60Aは、最下段の扁平管63AU、63ADを含む2段2列(計4本)の扁平管63を有している。第2及び第3熱交換パス60B、60Cはそれぞれ、12段2列(計24本)の扁平管63を有している。第4熱交換パス60Dは、11段2列(計22本)の扁平管63を有している。第5及び第6熱交換パス60E、60Fはそれぞれ、10段2列(計20本)の扁平管63を有している。第7熱交換パス60Gは、9段2列(計18本)の扁平管63を有している。第8熱交換パス60Hは、8段2列(計16本)の扁平管63を有している。第9熱交換パス60Iは、7段2列(計14本)の扁平管63を有している。第10熱交換パス60Jは、6段2列(計12本)の扁平管63を有している。
【0174】
第1ヘッダ集合管70は、その内部空間が仕切板71によって上下に仕切られることによって、各熱交換パス60A〜60Jに対応する連通空間72A〜72Jが形成されている。以下の説明では、連通空間72A〜72Jをガス側出入口空間72A〜72Jとする。
【0175】
そして、第1ガス側出入口空間72Aは、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63のうち列方向の風下側でかつ最下段の扁平管63ADを含む2本(第1風下側熱交換部61A)の一端に連通している。第2ガス側出入口空間72Bは、第2熱交換パス60Bを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の12本(第2風下側熱交換部61B)の一端に連通している。第3ガス側出入口空間72Cは、第3熱交換パス60Cを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の12本(第3風下側熱交換部61C)の一端に連通している。第4ガス側出入口空間72Dは、第4熱交換パス60Dを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の11本(第4風下側熱交換部61D)の一端に連通している。第5ガス側出入口空間72Eは、第5熱交換パス60Eを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の10本(第5風下側熱交換部61E)の一端に連通している。第6ガス側出入口空間72Fは、第6熱交換パス60Fを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の10本(第6風下側熱交換部61F)の一端に連通している。第7ガス側出入口空間72Gは、第7熱交換パス60Gを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の9本(第7風下側熱交換部61G)の一端に連通している。第8ガス側出入口空間72Hは、第8熱交換パス60Hを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の8本(第8風下側熱交換部61H)の一端に連通している。第9ガス側出入口空間72Iは、第9熱交換パス60Iを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の7本(第9風下側熱交換部61I)の一端に連通している。第10ガス側出入口空間72Jは、第10熱交換パス60Jを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の6本(第10風下側熱交換部61J)の一端に連通している。
【0176】
第2ヘッダ集合管80は、その内部空間が仕切板81によって上下に仕切られることによって、各熱交換パス60A〜60Jに対応する連通空間82A〜82Jが形成されている。以下の説明では、連通空間82A〜82Jを液側出入口空間82A〜82Jとする。
【0177】
そして、第1液側出入口空間82Aは、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63のうち列方向の風上側でかつ最下段の扁平管63AUを含む2本(第1風上側熱交換部62A)の一端に連通している。第2液側出入口空間82Bは、第2熱交換パス60Bを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の12本(第2風上側熱交換部62B)の一端に連通している。第3液側出入口空間82Cは、第3熱交換パス60Cを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の12本(第3風上側熱交換部62C)の一端に連通している。第4液側出入口空間82Dは、第4熱交換パス60Dを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の11本(第4風上側熱交換部62D)の一端に連通している。第5液側出入口空間82Eは、第5熱交換パス60Eを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の10本(第5風上側熱交換部62E)の一端に連通している。第6液側出入口空間82Fは、第6熱交換パス60Fを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の10本(第6風上側熱交換部62F)の一端に連通している。第7液側出入口空間82Gは、第7熱交換パス60Gを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の9本(第7風上側熱交換部62G)の一端に連通している。第8液側出入口空間82Hは、第8熱交換パス60Hを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の8本(第8風上側熱交換部62H)の一端に連通している。第9液側出入口空間82Iは、第9熱交換パス60Iを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の7本(第9風上側熱交換部62I)の一端に連通している。第10液側出入口空間82Jは、第10熱交換パス60Jを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の6本(第10風上側熱交換部62J)の一端に連通している。
【0178】
連結ヘッダ90は、その内部空間が仕切板91によって上下に仕切られることによって、各熱交換パス60A〜60Jに対応する連通空間92A〜92Jが形成されている。以下の説明では、連通空間92A〜92Jを横折り返し空間92A〜92Jとする。
【0179】
そして、各横折り返し空間92A〜92Jは、対応する熱交換パス60A〜60Jを構成する扁平管63に連通している。すなわち、第1横折り返し空間92Aは、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63のうち列方向の風上側でかつ最下段の扁平管63AUを含む2本(第1風上側熱交換部62A)の他端と、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63のうち列方向の風下側でかつ最下段の扁平管63ADを含む2本(第1風下側熱交換部61A)の他端と、に連通している。第2横折り返し空間92Bは、第2熱交換パス60Bを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の12本(第2風上側熱交換部62B)の他端と、第2熱交換パス60Bを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の12本(第2風下側熱交換部61B)の他端と、に連通している。第3横折り返し空間92Cは、第3熱交換パス60Cを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の12本(第3風上側熱交換部62C)の他端と、第3熱交換パス60Cを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の12本(第3風下側熱交換部61C)の他端と、に連通している。第4横折り返し空間92Dは、第4熱交換パス60Dを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の11本(第4風上側熱交換部62D)の他端と、第4熱交換パス60Dを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の11本(第4風下側熱交換部61D)の他端と、に連通している。第5横折り返し空間92Eは、第5熱交換パス60Eを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の10本(第5風上側熱交換部62E)の他端と、第5熱交換パス60Eを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の10本(第5風下側熱交換部61E)の他端と、に連通している。第6横折り返し空間92Fは、第6熱交換パス60Fを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の10本(第6風上側熱交換部62F)の他端と、第6熱交換パス60Fを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の10本(第6風下側熱交換部61F)の他端と、に連通している。第7横折り返し空間92Gは、第7熱交換パス60Gを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の9本(第7風上側熱交換部62G)の他端と、第7熱交換パス60Gを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の9本(第7風下側熱交換部61G)の他端と、に連通している。第8横折り返し空間92Hは、第8熱交換パス60Hを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の8本(第8風上側熱交換部62H)の他端と、第8熱交換パス60Hを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の8本(第8風下側熱交換部61H)の他端と、に連通している。第9横折り返し空間92Iは、第9熱交換パス60Iを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の7本(第9風上側熱交換部62I)の他端と、第9熱交換パス60Iを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の7本(第9風下側熱交換部61I)の他端と、に連通している。第10横折り返し空間92Jは、第10熱交換パス60Jを構成する扁平管63のうち列方向の風上側の6本(第10風上側熱交換部62I)の他端と、第10熱交換パス60Jを構成する扁平管63のうち列方向の風下側の6本(第10風下側熱交換部61J)の他端と、に連通している。尚、ここでは、列方向に隣り合う各扁平管63の他端同士を連通させるように仕切板91を設けることで、横折り返し空間92A〜92Jが、列方向に隣り合う各扁平管63の他端同士を連通させるように形成されている。しかし、これに限定されるものではなく、同じ熱交換部61A〜61J、62A〜62J内では仕切板91を設けないことで、横折り返し空間92A〜92Jが、列方向に隣り合う各熱交換部61A〜61J、62A〜62J間で形成されていてもよい。
【0180】
また、第1ヘッダ集合管70及び第2ヘッダ集合管80には、暖房運転時に室外膨張弁12(図1参照)から送られる冷媒を各液側出入口空間82A〜82Jに分流して送る液側分流部材85と、冷房運転時に圧縮機8(図1参照)から送られる冷媒を各ガス側出入口空間72A〜72Jに分流して送るガス側分流部材75と、が接続されている。
【0181】
液側分流部材85は、冷媒管20(図1参照)に接続される液側冷媒分流器86と、液側冷媒分流器86から延びており各液側出入口空間82A〜82Jに接続される液側冷媒分流管87A〜87Fと、を有している。ここで、液側冷媒分流管87A〜87Fは、キャピラリチューブを有しており、熱交換パス60A〜60Jへの分流比率に応じた長さのものが使用されている。
【0182】
ガス側分流部材75は、冷媒管19(図1参照)に接続されるガス側冷媒分流母管76と、ガス側冷媒分流母管76から延びており各ガス側出入口空間72A〜72Jに接続されるガス側冷媒分流枝管77A〜77Jと、を有している。
【0183】
これにより、熱交換パス60A〜60Jは、列方向の風上側の風上側熱交換部62A〜62Jと、風上側熱交換部62A〜62Jの風下側において風上側熱交換部62A〜62Jに直列に接続された風下側熱交換部61A〜61Jと、を有している。すなわち、第1熱交換パス60Aは、第1ガス側出入口空間72Aに連通する第1風下側熱交換部61Aを構成する最下段の扁平管63ADを含む2本の扁平管63と、第1風下側熱交換部61Aの風上側に位置しており第1液側出入口空間82Aに連通する第1風上側熱交換部62Aを構成する最下段の扁平管63AUを含む2本の扁平管63と、が第1横折り返し空間92Aを通じて直列に接続された構成を有している。第2熱交換パス60Bは、第2ガス側出入口空間72Bに連通する第2風下側熱交換部61Bを構成する12本の扁平管63と、第2風下側熱交換部61Bの風上側に位置しており第2液側出入口空間82Bに連通する第2風上側熱交換部62Bを構成する12本の扁平管63と、が第2横折り返し空間92Bを通じて直列に接続された構成を有している。第3熱交換パス60Cは、第3ガス側出入口空間72Cに連通する第3風下側熱交換部61Cを構成する12本の扁平管63と、第3風下側熱交換部61Cの風上側に位置しており第3液側出入口空間82Cに連通する第3風上側熱交換部62Cを構成する12本の扁平管63と、が第3横折り返し空間92Cを通じて直列に接続された構成を有している。第4熱交換パス60Dは、第4ガス側出入口空間72Dに連通する第4風下側熱交換部61Dを構成する11本の扁平管63と、第4風下側熱交換部61Dの風上側に位置しており第4液側出入口空間82Dに連通する第4風上側熱交換部62Dを構成する11本の扁平管63と、が第4横折り返し空間92Dを通じて直列に接続された構成を有している。第5熱交換パス60Eは、第5ガス側出入口空間72Eに連通する第5風下側熱交換部61Eを構成する10本の扁平管63と、第5風下側熱交換部61Eの風上側に位置しており第5液側出入口空間82Eに連通する第5風上側熱交換部62Eを構成する10本の扁平管63と、が第5横折り返し空間92Eを通じて直列に接続された構成を有している。第6熱交換パス60Fは、第6ガス側出入口空間72Fに連通する第6風下側熱交換部61Fを構成する10本の扁平管63と、第6風下側熱交換部61Fの風上側に位置しており第6液側出入口空間82Fに連通する第6風上側熱交換部62Fを構成する10本の扁平管63と、が第6横折り返し空間92Fを通じて直列に接続された構成を有している。第7熱交換パス60Gは、第7ガス側出入口空間72Gに連通する第7風下側熱交換部61Gを構成する9本の扁平管63と、第7風下側熱交換部61Gの風上側に位置しており第7液側出入口空間82Gに連通する第7風上側熱交換部62Gを構成する9本の扁平管63と、が第7横折り返し空間92Gを通じて直列に接続された構成を有している。第8熱交換パス60Hは、第8ガス側出入口空間72Hに連通する第8風下側熱交換部61Hを構成する8本の扁平管63と、第8風下側熱交換部61Hの風上側に位置しており第8液側出入口空間82Hに連通する第8風上側熱交換部62Hを構成する8本の扁平管63と、が第8横折り返し空間92Hを通じて直列に接続された構成を有している。第9熱交換パス60Iは、第9ガス側出入口空間72Iに連通する第9風下側熱交換部61Iを構成する7本の扁平管63と、第9風下側熱交換部61Iの風上側に位置しており第9液側出入口空間82Iに連通する第9風上側熱交換部62Iを構成する7本の扁平管63と、が第9横折り返し空間92Iを通じて直列に接続された構成を有している。第10熱交換パス60Jは、第10ガス側出入口空間72Jに連通する第10風下側熱交換部61Jを構成する6本の扁平管63と、第10風下側熱交換部61Jの風上側に位置しており第10液側出入口空間82Jに連通する第10風上側熱交換部62Jを構成する6本の扁平管63と、が第10横折り返し空間92Jを通じて直列に接続された構成を有している。
【0184】
そして、ここでは、図20に示すように、第1熱交換パス60Aを構成する4本の扁平管63の冷媒の通路63bAとなる貫通孔の数(ここでは、3個)が、他の熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63の冷媒の通路63bとなる貫通孔の数(ここでは、7個)よりも少なくなっている。尚、ここでは、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管の貫通孔63bAの1個あたりのサイズ(径や流路断面積)は、他の熱交換パス60B〜60Dを構成する扁平管の貫通孔63bの1個あたりのサイズと同じである。
【0185】
<動作(冷媒の流れ)>
次に、上記の構成を有する室外熱交換器11における冷媒の流れについて説明する。
【0186】
冷房運転時には、室外熱交換器11は、圧縮機8(図1参照)から吐出された冷媒の放熱器として機能する。尚、ここでは、図17図20における冷媒の流れを示す矢印とは反対の方向に冷媒が流れることになる。
【0187】
圧縮機8(図1参照)から吐出された冷媒は、冷媒管19(図1参照)を通じてガス側分流部材75に送られる。ガス側分流部材75に送られた冷媒は、ガス側冷媒分流母管76から各ガス側冷媒分流枝管77A〜77Jに分流されて、第1ヘッダ集合管70の各ガス側出入口空間72AL、72B〜72Jに送られる。
【0188】
各ガス側出入口空間72A〜72Jに送られた冷媒は、各熱交換パス60A〜60Jの風下側熱交換部61A〜61Jを構成する扁平管63に分流される。各扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によって放熱して、連結ヘッダ90の各横折り返し空間92A〜92Jを通じて、各熱交換パス60A〜60Jの風上側熱交換部62A〜62Jを構成する扁平管63に送られる。各扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によってさらに放熱して、第2ヘッダ集合管80の各液側出入口空間82A〜82Jにおいて合流する。すなわち、冷媒は、風下側熱交換部61A〜61J、風上側熱交換部62A〜62Jの順に、熱交換パス60A〜60Jを通過するのである。このとき、冷媒は、過熱ガス状態から飽和液状態又は過冷却液状態になるまで放熱する。
【0189】
各液側出入口空間82A〜82Jに送られた冷媒は、液側冷媒分流部材85の液側冷媒分流管87A〜87Jに送られて、液側冷媒分流器86において合流する。液側冷媒分流器86において合流した冷媒は、冷媒管20(図1参照)を通じて室外膨張弁12(図1参照)に送られる。
【0190】
暖房運転時には、室外熱交換器11は、室外膨張弁12(図1参照)において減圧された冷媒の蒸発器として機能する。尚、ここでは、図17図20における冷媒の流れを示す矢印の方向に冷媒が流れることになる。
【0191】
室外膨張弁12において減圧された冷媒は、冷媒管20(図1参照)を通じて液側冷媒分流部材85に送られる。液側冷媒分流部材85に送られた冷媒は、液側冷媒分流器86から各液側冷媒分流管87A〜87Fに分流されて、第1及び第2ヘッダ集合管70、80の各液側出入口空間82A〜82Jに送られる。
【0192】
各液側出入口空間82A〜82Jに送られた冷媒は、各熱交換パス60A〜60Jの風上側熱交換部62A〜62Jを構成する扁平管63に分流される。各扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によって加熱されて、連結ヘッダ90の各横折り返し空間92A〜92Jを通じて、各熱交換パス60A〜60Jの風下側熱交換部62A〜62Jを構成する扁平管63に送られる。各扁平管63に送られた冷媒は、その通路63bを流れる間に室外空気との熱交換によってさらに加熱されて、第1ヘッダ集合管70の各ガス側出入口空間72A〜72Jにおいて合流する。すなわち、冷媒は、風上側熱交換部62A〜62J、風下側熱交換部61A〜61Jの順に、熱交換パス60A〜60Jを通過するのである。このとき、冷媒は、液状態又は気液二相状態から蒸発して過熱ガス状態になるまで加熱される。
【0193】
各ガス側出入口空間72A〜72Jに送られた冷媒は、ガス側冷媒分流部材75のガス側冷媒分流枝管77A〜77Jに送られて、ガス側冷媒分流母管76において合流する。ガス側冷媒分流母管76において合流した冷媒は、冷媒管19(図1参照)を通じて圧縮機8(図1参照)の吸入側に送られる。
【0194】
除霜運転時には、室外熱交換器11は、冷房運転時と同様に、圧縮機8(図1参照)から吐出された冷媒の放熱器として機能する。尚、除霜運転時の室外熱交換器11における冷媒の流れは、冷房運転時と同様であるため、ここでは説明を省略する。但し、冷房運転時とは異なり、除霜運転時は、冷媒が、主として、熱交換パス60A〜60Jに付着した霜を融解させつつ放熱することになる。
【0195】
<特徴>
本実施形態の室外熱交換器11(熱交換器)及びそれを備えた空気調和装置1には、以下のような特徴がある。
【0196】
−A−
本実施形態の熱交換器11は、上記のように、上下に配列されるとともに内部に冷媒の通路が形成された複数の扁平管63と、隣り合う扁平管63の間を空気が流れる複数の通風路に区画する複数のフィン64と、を有している。扁平管63は、段方向に多段に並ぶ複数(ここでは、10個)の熱交換パス60A〜60Jに区分されている。そして、各熱交換パス60A〜60Jにおける通路63bの流路断面積をパス有効断面積SA〜SJとすると、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAが、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくなっている。具体的には、第2〜第10熱交換パス60B〜60Jはそれぞれ、冷媒の通路63bとなる7個の貫通孔を有する扁平管63によって構成されている。このため、各第2〜第10熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJは、冷媒の通路63bとなる7個の貫通孔の流路断面積であり、貫通孔1個あたりの流路断面積をsとすると、パス有効断面積SB〜SJは、7×sとなる。第1熱交換パス60Aは、冷媒の通路63bAとなる3個の貫通孔を有する扁平管63(最下段の扁平管63AU、63ADを含む)によって構成されている。このため、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAは、冷媒の通路63bとなる3個の貫通孔の流路断面積であり、貫通孔1個あたりの流路断面積をsとすると、パス有効断面積SAは、3×sとなる。このように、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAは、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくなっている。
【0197】
これに対して、従来の熱交換器では、各熱交換パスが同一の形状(管長さや冷媒の通路となる貫通孔のサイズや数)を有する扁平管が同じ本数だけ直列に接続されることによって構成されている。すなわち、上記従来の熱交換器は、各熱交換パスのパス有効断面積がいずれも同じになるように構成されている。そして、このような従来の熱交換器が暖房運転(冷媒の蒸発器として使用する場合)と除霜運転(冷媒の放熱器として使用する場合)とを切り換えて行う空気調和装置に採用されると、暖房運転時に、最下段の熱交換パスにおける着霜量が多くなりやすくなる。まず、その原因について説明する。
【0198】
この従来の構成では、暖房運転時に、最下段の扁平管を含む最下段の熱交換パスに液状態の冷媒が流入しやすく、冷媒の温度が十分に上昇しないままで最下段の熱交換パスを流出してしまうため、その結果、最下段の熱交換パスにおける着霜量が多くなりやすい傾向が現れる。すなわち、従来の熱交換器の構成では、暖房運転時に最下段の熱交換パスに液状態の冷媒が流入しやすく、冷媒の温度が十分に上昇しないままで最下段の熱交換パスを流出してしまうことが、最下段の熱交換パスにおける着霜量が多くなりやすい原因であると推定される。
【0199】
そこで、ここでは、従来の熱交換器とは異なり、上記のように、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくしている。
【0200】
そして、この構成を有する熱交換器11を暖房運転と除霜運転とを切り換えて行う空気調和装置1に採用した場合には、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAが小さくなることによって、第1熱交換パス60Aにおける冷媒の流れ抵抗を大きくすることができる。このため、暖房運転時に第1熱交換パス60Aに液状態の冷媒が流入しにくくなり、最下段の熱交換パス60Aを流れる冷媒の温度が上昇しやすくなるため、第1熱交換パス60Aにおける着霜を抑制することができる。これにより、従来の熱交換器を採用する場合に比べて、除霜運転時の第1熱交換パス60Aにおける融け残りを減らすことができる。
【0201】
このように、ここでは、上記の構成を有する熱交換器11を暖房運転と除霜運転とを切り換えて行う空気調和装置1に採用することによって、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0202】
尚、ここでは、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくした構成を得るために、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63として、他の熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63よりも貫通孔の数が少なくなるように成形された扁平管を使用しているが、これに限定されるものではない。例えば、すべての熱交換パス60A〜60Jに対して、同一の形状(管長さや冷媒の通路となる貫通孔のサイズや数)を有する扁平管63を使用するとともに、第1及び第2ヘッダ集合管70、80の第1出入口空間72A、82Aに第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63の貫通孔63bAのいくつかを塞ぐ部分を形成することによって、第1熱交換パス60Aを構成する貫通孔63bAの数が少なくなるようにしてもよい。
【0203】
−B−
本実施形態の熱交換器11では、上記のように、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJの0.4倍にしているため、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAが十分に小さくなっている。第1熱交換パス60Aにおける冷媒の流れ抵抗を十分に大きくして、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜抑制の効果を高めることができるようになっている。
【0204】
尚、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAは、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJの0.4倍に限定されるものではない。但し、冷媒の流れ抵抗を大きくする効果を十分に得るためには、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJの0.5倍以下にすることが好ましい。
【0205】
−C−
また、本実施形態の熱交換器11では、上記のように、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63の数が、他の熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63の数よりも少なくなっている。
【0206】
ここで、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63の数が他の熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63の数よりも少ない構成を採用すると、冷媒を分岐して各熱交換パス60A〜60Jに流入させる際に、偏流が発生しやすくなる。
【0207】
しかし、ここでは、上記のように、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくした構成を採用することによって、第1熱交換パス60Aにおける冷媒の流れ抵抗を大きくしているため、冷媒を分岐して各熱交換パス60A〜60Jに流入させる際の偏流の発生を抑制することができる。
【0208】
また、ここでは、第1熱交換パス60Aを除いた各第2熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63の数が、室外ファン15(送風機)によって得られる空気の風速が速い部分に対応する熱交換部の扁平管63の数よりも、室外ファン15(送風機)によって得られる空気の風速が遅い部分に対応する熱交換部の扁平管63の数のほうが多くなるようにしている。なぜなら、冷媒と空気との熱交換を行う熱交換器においては、空気の風速が速い部分ほど熱交換効率が高く、空気の風速が遅い部分ほど熱交換効率が低くなるからである。具体的には、空気の風速が最も速い第10熱交換パス60Jを構成する扁平管63の本数(6段2列の計12本)よりも、第10熱交換部60Jよりも空気の風速が遅い第9熱交換パス60Iを構成する扁平管63の本数(7段2列の計14本)のほうが多くなる、というように、空気の風速が遅い下側の熱交換パスほど、熱交換パスを構成する扁平管63の本数が多くなるようにしている。
【0209】
このため、ここでは、熱交換器11の大部分(最下段の第1熱交換パス60A以外の熱交換パス60B〜60J)については、空気の風速が遅い下側の熱交換パスほど、熱交換パスを構成する扁平管63の数を多くすることで、風速分布と熱交換効率との関係に対応させるようにしている。しかも、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aについては、着霜量と融け残りの問題を考慮して、パス有効断面積SAが小さいものとしつつ、他の熱交換パス60B〜60Jとは異なり、扁平管63の本数を少なくしている。
【0210】
−D−
また、本実施形態の熱交換器11では、上記のように、フィン64が、空気が通風路を通過する通風方向の風下側から風上側に沿って延びており扁平管63が挿入される複数の切り欠き部64aと、隣り合う切り欠き部64a間に挟まれた複数のフィン主部64bと、切り欠き部64aよりも通風方向の風上側に複数のフィン主部64bと連続して延びるフィン風上部64cと、を有している。
【0211】
このようなフィン構成を有する熱交換器11では、除霜運転時にフィン風上部64cに付着する霜の量が多くなりやすいため、除霜運転時に最下段の第1熱交換パス60Aにおける融け残りが多くなるおそれがある。
【0212】
しかし、ここでは、上記のように、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも長くした構成を採用しているため、フィン風上部64cに付着する霜を含めた最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0213】
<変形例>
−A−
上記実施形態の室外熱交換器11(熱交換器)では、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくする構成を得るために、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63の貫通孔63bAの数を、他の熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63の貫通孔63bの数よりも少なくしている(図17図20参照)。しかし、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくする構成は、これに限定されるものではない。
【0214】
例えば、図21に示すように、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63の貫通孔63bAのサイズを、他の熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63の貫通孔63bのサイズよりも小さくすることによって、最下段の第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくする構成を得るようにしてもよい。
【0215】
ここでも、上記実施形態と同様に、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAが、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくなるため、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0216】
また、この場合においても、第1熱交換パス60Aにおける冷媒の流れ抵抗を十分に大きくするために、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJの0.5倍以下にすることが好ましい。図21に示されるような四角形状の貫通孔を有する扁平管を使用した構成であれば、例えば、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63の四角形状の貫通孔63bAのサイズ(縦長さや横長さ)を他の熱交換パス60B〜60Jを構成する四角形状の貫通孔63bのサイズ(縦長さや横長さ)の0.7倍以下にすることによって流路断面積を0.5倍以下にすればよい。
【0217】
−B−
上記実施形態の室外熱交換器11(熱交換器)では、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくする構成を得るために、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63の貫通孔63bAの数を、他の熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63の貫通孔63bの数よりも少なくしている。また、上記変形例Aの室外熱交換器11(熱交換器)では、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくする構成を得るために、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63の貫通孔63bAのサイズを、他の熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63の貫通孔63bのサイズよりも小さくしている。
【0218】
しかし、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくする構成を得る手法は、上記いずれか1つに限られるものではなく、両者を同時に適用してもよい。すなわち、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63の貫通孔63bAの数を、他の熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63の貫通孔63bの数よりも少なくするとともに、第1熱交換パス60Aを構成する扁平管63の貫通孔63bAのサイズを、他の熱交換パス60B〜60Jを構成する扁平管63の貫通孔63bのサイズよりも小さくしてもよい。
【0219】
ここでも、上記実施形態と同様に、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAが、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくなるため、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【0220】
−C−
上記実施形態及びその変形例の室外熱交換器11(熱交換器)では、第1熱交換パスを構成する扁平管63の本数が最下段の扁平管63AU、63ADを含む2列2段(計4本)であるが、これに限定されるものではない。例えば、第1熱交換パスを構成する扁平管63の本数が最下段の扁平管63AU、63ADだけの2列1段(計2本)とし、これら2本の扁平管63の各1本ずつが熱交換部61A、62Aを構成してもよいし、また、第1熱交換パスを構成する扁平管63の本数が最下段の扁平管63AU、63ADを含む3本の2列3段(計6本)とし、これら6本の扁平管63の各3本ずつが熱交換部61A、62Aを構成してもよい。
【0221】
また、上記実施形態及びその変形例の熱交換器11では、熱交換パスを構成する熱交換部の列数が2列であるが、これに限定されるものではない。例えば、熱交換パスを構成する熱交換部の列数を1列とし、貫通孔63b、63bAのサイズや数によって、第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAが他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくなるように構成したものであってもよい。
【0222】
このように、上記実施形態及びその変形例の熱交換器11では、熱交換パスの段数(10段)や熱交換部の列数(2列)、扁平管63の数(87本)、各熱交換パス60A〜60Jを構成する扁平管63の数等が規定されているが、これらの数は例示に過ぎず、これらの数に限定されるものではない。
【0223】
(6)他の実施形態の室外熱交換器
上記第1実施形態及びその変形例の室外熱交換器11(熱交換器)では、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすために、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aのパス有効長LAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くしている。また、上記第2実施形態及びその変形例の熱交換器11では、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすために、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくしている。
【0224】
しかし、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすための手法は、上記いずれか1つに限られるものではなく、両者を同時に適用してもよい。すなわち、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aのパス有効長LAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効長LB〜LJよりも長くするとともに、最下段の扁平管63AU、63ADを含む最下段の第1熱交換パス60Aのパス有効断面積SAを、他の熱交換パス60B〜60Jのパス有効断面積SB〜SJよりも小さくしてもよい。
【0225】
ここでも、上記第1及び第2実施形態と同様に、最下段の熱交換パス60Aにおける着霜を抑制して除霜運転時の融け残りを減らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0226】
本発明は、上下方向である段方向に多段に配置されるとともに内部に冷媒の通路が形成された複数の扁平管と、隣り合う扁平管の間を空気が流れる複数の通風路に区画する複数のフィンと、を有し、扁平管が段方向に多段に並ぶ複数の熱交換パスに区分された熱交換器に対して、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0227】
60A〜60J 熱交換パス
61A〜61J、62A〜62J 熱交換部
61AL 第1風下下段側熱交換部
61AU 第1風下上段側熱交換部
62AL 第1風上下段側熱交換部
62AU 第1風上上段側熱交換部
63、63AU、63AD 扁平管
63b、63bA 冷媒の通路、貫通孔
64 フィン
64a 切り欠き部
64b フィン主部
64c フィン風上部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0228】
【特許文献1】国際公開第2013/161799号
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