特許第6863437号(P6863437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6863437液体収容容器及びその液体収容容器を用いる前処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863437
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】液体収容容器及びその液体収容容器を用いる前処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20210412BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   G01N1/10 N
   G01N35/02 B
   G01N35/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-209502(P2019-209502)
(22)【出願日】2019年11月20日
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3209316号
【原出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2020-38217(P2020-38217A)
(43)【公開日】2020年3月12日
【審査請求日】2019年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】花房 信博
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−544076(JP,A)
【文献】 特開2004−269038(JP,A)
【文献】 特開平08−308816(JP,A)
【文献】 特開2010−060474(JP,A)
【文献】 特開2003−054607(JP,A)
【文献】 特表2014−517916(JP,A)
【文献】 特開平07−167754(JP,A)
【文献】 特表2008−542775(JP,A)
【文献】 特開2008−249651(JP,A)
【文献】 特開2016−080558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 − 1/44 、
35/00 −37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端から液の吸入と吐出を行なうためのプローブと、
液体を収容するための液体収容容器と、を備えた装置であって、
前記液体収容容器は、
上端面に開口を有し、内部に液体を収容する空間を有する容器本体と、
前記容器本体の上端面の前記開口を封止し、前記容器本体の内部に挿入される前記プローブにより貫通可能な弾性材料からなるセプタムと、
前記セプタムの直上に設けられ、前記セプタム上面の水分を吸収する吸水性の吸水部材と、を備え
前記吸水部材は、前記容器本体の内部に挿入される前記プローブを通過させるための貫通孔を中央部に有し、前記貫通孔の内径は前記プローブの外径よりも大きい、装置
【請求項2】
前記吸水部材は、ろ紙、綿、ガーゼ、吸水性高分子体のいずれかにより構成されている請求項1に記載の装置
【請求項3】
前記液体収容容器は、前記容器本体の上端部に装着され、前記セプタム及び吸水部材を保持するキャップをさらに備えている請求項1又は2に記載の装置
【請求項4】
前記セプタムと前記吸水部材は前記容器本体の上端部の外径と略同一の外径を有する請求項に記載の装置
【請求項5】
前記キャップは、前記容器本体の内部に挿入される前記プローブを通過させるための開口を有し、その開口の周囲部が前記吸水部材の上面周縁部と係合するように構成されている請求項又はに記載の装置
【請求項6】
料の前処理に必要な液体を内部に収容した前記液体収容容器が設置される液体収容容器設置部と、
前記プローブを用いて前記液体収容容器設置部に設置された前記液体収容容器から前処理に必要な液体を採取するように前記プローブを駆動するプローブ駆動機構と、
前記プローブにより前処理に必要な液体が添加された試料の前処理を実行するための前処理部と、をさらに備えた請求項1から5のいずれか一項に記載の装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば全血、血清、血漿、ろ紙血、尿などの生体由来試料に含まれる成分のうち、分析に不要な特定成分を除去して必要成分を試料として抽出する抽出処理などの前処理を自動的に行なう前処理装置において、試料に添加する試薬を収容しておくための液体収容容器と、その液体収容容器を用いる前処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体試料などの試料の定量分析などを実行する際、その生体試料から分析に不要な特定成分を除去して必要成分を試料として抽出する処理や、抽出された試料の濃縮や乾固をする乾固処理を行なう必要がある場合がある。かかる前処理を自動的に実行する前処理装置として、従来から種々のものが提案され、実施されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前処理装置では、一般に、試薬や内部標準液を収容する容器からプローブを用いて目的の液を採取し、その液を試料に添加するという動作を行なう。試薬や内部標準液を収容した容器は装置内の所定の位置に配置され、中に収容されている試薬や内部標準液が蒸発して濃縮されることを防止するために、その容器の上面がセプタムによって封止されている。セプタムの材質は弾力性を有する弾性材料であるため、容器内の液を採取する際はプローブがセプタムを貫通して、プローブの先端を容器内に挿入して内部の液を吸入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−60474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような前処理装置では、液の分注を行なった後のプローブは内面や外面の洗浄が行われ、洗浄後のプローブの外面には水滴が付着している。外面に水滴の付着したプローブが試薬や内部標準液を採取するために容器上面のセプタムを貫通する際、プローブ外面に付着した水がセプタムによって拭われてセプタムの上面に溜まってしまうことがあった。プローブの分注回数(プローブがセプタムを貫通する回数)が数十回〜数百回にもなると、セプタムの上面に溜まる水は数μL〜数十μLにもなる。
【0006】
セプタムの上面に水が溜まると、プローブがセプタムを貫通する際にセプタムとプローブとの間に生じた僅かな隙間から水が容器内へ侵入し、容器内の試薬や内部標準液の希釈や劣化を引き起こし、分析データの再現性や分析精度の低下の原因となる。プローブが貫通しやすいようにセプタムに切込みが入っている場合があるが、そのような場合にはセプタム上面に溜まった水が容器内へさらに侵入しやすくなる。
【0007】
そこで、本発明は、セプタムにより上端面が封止された液体収容容器からプローブによって液を採取する際に、プローブ外面に付着した水がその液体収容容器内へ侵入することを抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる液体収容容器は、上端面に開口を有し、内部に液体を収容する空間を有する容器本体と、前記容器本体の上端面の前記開口を封止し、前記容器本体の内部に挿入されるプローブにより貫通可能な弾性材料からなるセプタムと、前記セプタムの直上に設けられ、前記セプタム上面の水分を吸収する吸水性の吸水部材と、を備えている。
【0009】
吸水部材は、セプタムのプローブが貫通する部分の周囲を囲うように設けられることが好ましい。そうすれば、プローブがセプタムを貫通する際にセプタムによって拭われてセプタム上に溜まった水をその周囲の吸水部材によって効率的に吸収することができる。
【0010】
上記の場合の具体的に吸水部材の構造として、前記容器本体の内部に挿入されるプローブを通過させるための貫通孔を中央部に有するか又は前記プローブによって貫通可能な程度の厚みを有する構造が挙げられる。
【0011】
前記吸水部材の材質としては、ろ紙、綿、ガーゼ、吸水性高分子体のいずれかが挙げられる。「吸水性高分子体」は、例えばシート状のものを用いることができる。
【0012】
本発明の液体収容容器の好ましい実施形態では、前記容器本体の上端部に装着され、前記セプタム及び吸水部材を保持するキャップをさらに備えている。これにより、容器本体の上面にセプタム及び吸水部材を安定的に保持することができる。
【0013】
上記実施形態では、前記セプタムと前記吸水部材は前記容器本体の上端部の外径と略同一の外径を有することがさらに好ましい。容器本体の上端部に装着されるキャップの内径は容器本体の上端部の外径と略同一であるから、セプタムと吸水部材の外径を容器本体の上端部の外径と略同一にすれば、セプタムと吸水部材の外径もキャップの内径と略同一になる。したがって、セプタムと吸水部材がキャップの内側に嵌め込まれる形になり、キャップの内周面によってセプタムと吸水部材の位置決めがなされ、セプタムと吸水部材の位置ずれが防止される。
【0014】
ここで、セプタムと吸水部材の外径が容器本体の上端部の外径と略同一であるとは、セプタムと吸水部材の外径が容器本体の上端部の外径と完全に同一である場合のほか、セプタムと吸水部材の外径が容器本体の上端部の外径よりも僅かに小さい場合も含む。セプタムと吸水部材の外径が容器本体の上端部の外径よりも僅かに小さいとは、セプタムと吸水部材の外径が、容器本体の上端面の範囲内で移動しても、容器本体の開口の封止やプローブの通過に影響を与えない程度に容器本体の上端部の外径よりも小さいことを意味する。
【0015】
前記キャップの好ましい形態としては、前記容器本体の内部に挿入されるプローブを通過させるための開口を有し、その開口の周囲部が前記吸水部材の上面周縁部と係合するように構成されている例が挙げられる。
【0016】
本発明に係る前処理装置は、上述の液体収容容器であって、試料の前処理に必要な液体を内部に収容した液体収容容器が設置される液体収容容器設置部と、先端から液の吸入と吐出を行なうためのプローブと、そのプローブを用いて前記液体収容容器設置部に設置された前記液体収容容器から前処理に必要な液体を採取するように前記プローブを駆動するプローブ駆動機構と、前記プローブにより前処理に必要な液体が添加された試料の前処理を実行するための前処理部と、を備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の液体収容容器では、セプタムの直上にセプタム上面の水分を吸収する吸水性の吸水部材を備えているので、洗浄水が外面に付着したプローブがセプタムを貫通することによってセプタムの上面に溜まる水分を吸水部材によって吸収することができる。これにより、セプタムの上面に水が溜まった状態になることが抑制され、プローブがセプタムを貫通する際に生じる隙間から容器本体の内部に水が浸入することを防止することができる。
【0018】
本発明の前処理装置では、試料の前処理に必要な液体を収容する容器として上記の液体収容容器が採用されているので、液体収容容器の上面を封止するセプタムの上面に水が溜まりにくく、セプタム上の水が液体収容容器の内部に侵入して試料の前処理に必要な液体の希釈や劣化されるといった問題が起こりにくい。これにより、分析データの再現性や精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】液体収容容器の一実施例を示す断面図である。
図2】液体収容容器にプローブが挿入される前の状態の一例を示す断面図である。
図3】液体収容容器にプローブが挿入された状態の一例を示す断面図である。
図4】前処理装置の一実施例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る液体収容容器とその液体収容容器を用いる前処理装置の一実施例について、図面を用いて説明する。
【0021】
まず、液体収容容器の一実施例の構造について図1を用いて説明する。
【0022】
この実施例の液体収容容器2は、容器本体4、セプタム6、吸水部材8及びキャップ10からなる。容器本体4は上端面に開口を有し、内部に液を収容する空間4aを有する。キャップ10は、容器本体4の上端面にセプタム6及び吸水部材8を置いた状態で、容器本体4の上端部4bの上方から被せられるようにして容器本体4の上端部4bに取り付けられている。すなわち、セプタム6と吸水部材8はキャップ10によって容器本体4の上端面上に保持されている。
【0023】
容器本体4の上端部4bの外周面とキャップ10の内周面には互いに螺合するネジが設けられており、上端部4bをキャップ10の下面の窪みに嵌め込んで容器本体4とキャップ10とを相対的に回転させることで、キャップ10が容器本体4の上端部4bに取り付けられる。
【0024】
なお、容器本体4の上端部4bへのキャップ10の取付け構造はネジの螺合によるものに限られず、上端部4bに設けられた突起や溝などの構造とキャップ10の一部とを係合させることによってキャップ10を上端部4bに固定するものであってもよい。
【0025】
容器本体4の上端面の開口はセプタム6によって封止されている。セプタム6は、後述するプローブ127(図2から図4を参照)で貫通可能な、例えばシリコーンゴムなど弾力性を有する弾性材料によって構成されている。セプタム6の弾力性により、プローブ127が貫通することによって形成される穴がプローブ127を引き抜かれた後で塞がれ、容器本体4の内部空間4aの密閉が維持される。
【0026】
セプタム6の直上に、例えば、ろ紙、綿、ガーゼ、吸水性高分子体(例えば、シート状のもの)などからなる吸水性の吸水部材8が設けられている。この実施例では、吸水部材8の中央部にプローブ127を通過させるための貫通孔8aが設けられている。ただし、必ずしも貫通孔8aが設けられている必要はなく、吸水部材8がプローブ127によって貫通可能な厚みを有するものであってもよい。
【0027】
セプタム6と吸水部材8の外径は、容器本体4の上端部4bの外径と略同一である。容器本体4の上端部4bの外径とキャップ10の内径とが略同一であることから、セプタム6と吸水部材8の外径もキャップ10の内径と略同一である。これにより、セプタム6と吸水部材8はキャップ10によって位置決めがなされている。
【0028】
キャップ10にはプローブ127(図2から図4を参照)を通過させるための開口10aが設けられている。開口10aは、プローブ127の外径よりも大きく、かつセプタム6及び吸水部材8の外径よりも小さい内径を有する。これにより、キャップ10の内側下面が吸水部材8の上面周縁部と係合し、セプタム6及び吸水部材8が容器本体4の上端面から脱落することを防止している。
【0029】
吸水部材8は、図2に示されているように、洗浄された後のプローブ127が容器本体4の内部空間4a内へ挿入される際に、プローブ127の外面に付着した洗浄水の水滴が容器本体4の内部空間4a内へ侵入することを防止するために設けられている。
【0030】
図3に示されているように、プローブ127がセプタム6を貫通して容器本体4の内部空間4aへ侵入していく際に、プローブ127の外面に付着した水滴はセプタム6によって拭われ、セプタム6の上面に溜まることになる。セプタム6の上面に水滴が溜まった状態でプローブ127によるセプタム6の貫通が繰り返されると、プローブ127がセプタム6を貫通する際にプローブ127とセプタム6との間に生じる隙間から、セプタム6の上面に溜まった水が内部空間4a内へ侵入する虞がある。
【0031】
この実施例では、セプタム6の直上に吸水部材8が設けられているため、セプタム6によって拭われたプローブ127の外面の水滴が吸水部材8によって吸収され、セプタム6上に大量の水が溜まることが抑制される。これにより、洗浄された後のプローブ127によるセプタム6の貫通回数が多くなっても洗浄水が容器本体4の内部空間4aへ侵入しにくくなり、内部空間4aに収容されている試薬や内部標準液の希釈や劣化といった問題の発生を抑制することができる。
【0032】
次に、上記の液体収容容器2を用いる前処理装置の一実施例について図4を用いて説明する。
【0033】
この実施例の前処理装置100は、前処理容器150を試料ごとに1つずつ用いて必要な前処理項目を実行する。前処理装置100には、各前処理項目を実行するための複数の処理ポートが設けられており、試料を収容した前処理容器をいずれかの処理ポートに設置することで、その前処理容器に収容された試料に対し各処理ポートに対応する前処理項目が実行されるようになっている。
【0034】
前処理容器150は搬送アーム124によって搬送される。搬送アーム124は先端側に前処理容器150を保持するための保持部125を有し、保持部125が円弧状の軌道を描くようにその基端部を保持する鉛直軸129を回転中心として水平面内において回転する。前処理容器150の搬送先である各処理ポートやその他のポートは、すべて保持部125が描く円弧状の軌道に沿って設けられている。
【0035】
試料を収容した試料容器106を設置するための試料設置部102が設けられ、その近傍に試料設置部102に設置された試料容器から試料を採取するサンプリングアーム120が設けられている。試料設置部102には複数の試料容器106を保持するサンプルラック104が円環状に設置される。
【0036】
サンプリングアーム120は、基端部を鉛直軸122が貫通し、軸122を中心とする水平面内での回転動作及び軸122に沿った鉛直方向への上下動を行なう。サンプリングノズル120aはサンプリングアーム120の先端側でその先端が鉛直下方向を向くように保持されており、サンプリングアーム120によって水平面内における円弧状の軌道を描く移動と鉛直方向への上下動を行なう。
【0037】
サンプリングノズル120aの軌道上で、かつ搬送アーム124の保持部125の軌道上の位置に分注ポート132が設けられている。分注ポート132は前処理容器150に対してサンプリングノズル120aが試料を分注するためのポートである。
【0038】
試料設置部102の内側に、図1から図3を用いて説明した液体収容容器2を試薬容器として設置するための試薬設置部108(液体収容容器設置部)が設けられている。試薬設置部108に設置された液体収容容器2から試薬を採取するための試薬アーム126(プローブ駆動機構)が設けられている。試薬アーム126は基端が搬送アーム124と共通の鉛直軸129によって支持されており、水平面内において回転するとともに上下動を行なうようになっている。試薬アーム126の先端部にプローブ127が設けられている。プローブ127は、その先端が鉛直下方向を向いた状態で設けられており、搬送アーム124の保持部125と同一の円弧状の軌道を描く水平面内の移動と上下動を行なう。
【0039】
試薬設置部108は試料設置部102とは独立して水平面内で回転する。試薬設置部108には複数の液体収容容器2が円環状に配置され、試薬設置部108が回転することによって液体収容容器2がその回転方向に搬送され、所望の液体収容容器2が所定の試薬採取位置に配置されるようになっている。試薬採取位置とは、試薬アーム126のプローブ127の軌道に沿った位置であって、プローブ127により試薬の採取を行なうための位置である。プローブ127は所定の試薬を吸入した後、分注ポート132に設置された前処理容器150に対して吸入した試薬を分注することで、試料への試薬の添加を行なう。
【0040】
試料設置部102や試薬設置部108とは異なる位置に、前処理容器設置部112が設けられている。前処理容器設置部112は、未使用の前処理容器150を円環状に設置するようになっている。前処理容器設置部112は水平面内において回転して前処理容器150を円周方向に移動させ、任意の前処理容器を搬送アーム124の保持部125の軌道に沿った位置に配置する。搬送アーム124は、保持部125の軌道に沿った位置に配置された未使用の前処理容器150を保持することができる。
【0041】
前処理容器150を収容して特定の前処理項目を実行するための前処理部のポートとして、濾過ポート130、撹拌ポート136a、温調ポート138及び140が設けられている。
【0042】
濾過ポート130は、濾過ポート130に設置された前処理容器150に対して負圧を付加するように構成されている。濾過ポート130は前処理として試料の濾過を行なう前処理部を構成する。撹拌部136も前処理部をなすものである。撹拌部136は、各撹拌ポート136aを個別に水平面内で周期的に動作させる機構を有し、各撹拌ポート136aに配置された前処理容器150内の試料溶液を撹拌するものである。
【0043】
この前処理装置100は前処理のなされた試料をこの前処理装置100に隣接配置された試料注入装置(例えば、オートサンプラなど)側へ転送するための試料転送装置142を、筐体側縁部に備えている。試料転送装置142はラックピニオン機構を有する駆動機構により水平面内で一方向(図4の矢印の方向)へ移動する移動部144を備えている。移動部144の上面に、抽出試料を収容する前処理容器150を設置するための転送ポート143が設けられている。
【0044】
分注ポート132の近傍で搬送アーム124の保持部125の軌道に沿う位置に、使用済みの前処理容器150を廃棄するための廃棄ポート134を備えている。また、サンプリングノズル120aの軌道に沿う位置に、サンプリングノズル120aの洗浄を行なうための洗浄ポート145を備えている。図示は省略されているが、プローブ127の軌道に沿う位置に、プローブ127の外面及び内面の洗浄を行なうための洗浄ポートが設けられている。
【符号の説明】
【0045】
2 液体収容容器
4 容器本体
4a 容器本体の内部空間
4b 容器本体の上端部
6 セプタム
8 吸水部材
8a 貫通孔
10 キャップ
10a キャップの開口
100 前処理装置
108 試薬設置部(液体収容容器設置部)
126 試薬アーム(プローブ駆動機構)
127 プローブ
130 濾過ポート(前処理部)
136a 撹拌ポート(前処理部)
図1
図2
図3
図4