(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記回収運転の後に通常運転を再開する際に、前記蒸発器と前記逆止弁との間の前記冷媒配管中の前記冷媒の圧力が前記基準圧力より大きい場合に、前記通常運転の再開を禁止する請求項3に記載のショーケース。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0012】
実施の形態1.
図1から
図7を参照しながら、この発明の実施の形態1について説明する。
図1はショーケースの全体構成を模式的に示す図である。
図2はショーケースの制御系統の構成を示すブロック図である。
図3はショーケースの動作の一例を示すフロー図である。
図4から
図6はショーケースの構成の変形例を模式的に示す図である。そして、
図7はショーケースの動作の別例を示すフロー図である。
【0013】
この実施の形態に係るショーケース100は、スーパー、コンビニエンスストア等に設置されて飲料や食品等を貯蔵陳列するオープンショーケースである。なお、ショーケース100は、貯蔵室を開閉する戸を備えたクローズド(リーチイン)ショーケースであってもよい。
【0014】
図1に示すように、ショーケース100は、筐体1を備えている。筐体1は、全体として直方体の箱状を呈する。筐体1には、貯蔵室3及び機械室2が形成されている。貯蔵室3は、筐体1における上側に配置されている。筐体1の下側は、機械室2になっている。なお、ここで説明する構成例は、1つの筐体1に貯蔵室3及び機械室2が設けられているいわゆる一体型のショーケース100と呼ばれるものである。しかし、この構成に限られず、貯蔵室3と機械室2とが、それぞれ別の筐体に設けられていてもよい。
【0015】
貯蔵室3は、その内部に冷却対象となる飲料、生鮮食品等の貯蔵物を収納可能な空間である。貯蔵室3には、生鮮食品等を陳列するための複数の陳列棚4が、上下方向に配列されて取り付けられている。貯蔵室3の少なくとも1つの面には、開口5が形成されている。そして、この開口5を通じて陳列棚4上に食品を出し入れできる。ここで説明する構成例では、貯蔵室3の前面に開口5がある。すなわち、貯蔵室3は、筐体1の前面で開口されている。
【0016】
ショーケース100は、冷媒回路を備えている。
図1に示すように、冷媒回路は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13及び蒸発器14が、この順序で循環的に冷媒配管17により接続されて構成されている。冷媒配管17等を含む冷媒回路には、冷媒が封入されている。
【0017】
冷媒回路に封入される冷媒は、地球温暖化係数(GWP)の小さいものを用いることが地球環境保護上の観点からいって望ましい。また、冷媒回路に封入される冷媒は可燃性である。この冷媒は空気よりも平均分子量が大きい。すなわち、冷媒は、空気よりも密度が大きく、大気圧下で空気より重い。したがって、冷媒は、空気中では重力方向の下方へと沈んでいく性質を持っている。
【0018】
このような冷媒として、具体的に例えば、テトラフルオロプロペン(CF3CF=CH2:HFO−1234yf)、ジフルオロメタン(CH2F2:R32)、プロパン(R290)、プロピレン(R1270)、エタン(R170)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)、1.1.1.2−テトラフルオロエタン(C2H2F4:R134a)、ペンタフルオロエタン(C2HF5:R125)、1.3.3.3−テトラフルオロ−1−プロペン(CF3−CH=CHF:HFO−1234ze)、二酸化炭素(CO2:R744)等の中から選ばれる1つ以上の冷媒からなる(混合)冷媒を用いることができる。
【0019】
圧縮機11は、冷媒を圧縮して当該冷媒の圧力及び温度を高める。圧縮された冷媒は、圧縮機11から吐出される。圧縮機11は、例えば、ロータリ圧縮機、スクロール圧縮機、レシプロ圧縮機等を用いることができる。
【0020】
凝縮器12は、圧縮機11から吐出された冷媒と周囲の空気との間で熱交換させ、冷媒を放熱させて凝縮させる。凝縮器ファン15は、凝縮器12により加熱された空気を送り出すとともに、凝縮器12の周囲に新たな空気を送り込むことで、凝縮器12における熱交換を促進する。
【0021】
膨張弁13は、凝縮器12で凝縮された冷媒を膨張させ、当該冷媒を減圧する。ここで説明する構成例では、膨張弁13は、リニア電子膨張弁(LEV:Linear Electric expansion Valve)である。したがって、膨張弁13を閉じることで、冷媒の流通を阻止できる。
【0022】
蒸発器14は、膨張弁13で減圧された冷媒と周囲の空気との間で熱交換させ、冷媒に吸熱させて蒸発させる。この際、冷媒と熱交換を行った空気は冷却される。すなわち、蒸発器14は冷却器として働く。蒸発器ファン16は、冷却器としての蒸発器14により冷却された空気を送り出すとともに、蒸発器14の周囲に新たな空気を送り込むことで、蒸発器14における熱交換を促進する。
【0023】
以上のように構成された冷媒回路を冷媒が循環することで、蒸気圧縮冷凍サイクルが実現される。この冷媒回路により実現された冷凍サイクルは、蒸発器14側と凝縮器12側との間で熱を移動させるヒートポンプとして働く。なお、蒸発器ファン16及び凝縮器ファン15は、例えばプロペラファン、ラインフローファン、シロッコファン等である。
【0024】
機械室2の内部には、圧縮機11、凝縮器12、凝縮器ファン15及び膨張弁13が収容されている。機械室2には、給気口31及び排気口32が形成されている。給気口31は、機械室2内に外気を導入するための開口である。排気口32は、凝縮器12を通過した空気を機械室2外に排出するための開口である。ここで説明する構成例では、給気口31は、貯蔵室3の開口5と同じ側、すなわち、筐体1の前面に配置されている。排気口32は、給気口31の反対側、すなわち、筐体1の背面に配置されている。
【0025】
機械室2の内部には、給気口31から排気口32まで通じる機械室風路が形成されている。凝縮器12及び凝縮器ファン15は、この機械室風路中に配置されている。そして、凝縮器ファン15は、機械室風路中に凝縮器12を通過する空気流を生成するファンである。
【0026】
貯蔵室3内には吹出口22及び吸込口21が形成されている。筐体1には、吸込口21から吹出口22に至る貯蔵室風路が設けられている。この貯蔵室風路は、貯蔵室3とは区画されている。貯蔵室風路中には、蒸発器14及び蒸発器ファン16が収容されている。すなわち、蒸発器14は、吹出口22を介して貯蔵室3の内部と通じた貯蔵室風路中に配置されている。そして、蒸発器ファン16は、貯蔵室風路中に蒸発器14を通過する空気流を生成する。
【0027】
蒸発器ファン16が駆動されると、蒸発器14を通過して生成された冷気が吹出口22から貯蔵室3内に吹き出される。吹出口22は、貯蔵室3の上側の内壁面の前端部において、貯蔵室3に臨むようにして下側に向かって開口している。吹出口22から吹き出された冷気は、開口5の開口面に沿って降下する。これにより、貯蔵室3の開口5には、冷気のエアカーテンが形成される。貯蔵室3内の空気の一部は、吸込口21から吸い込まれる。吸込口21から吸い込まれた空気は、貯蔵室風路を通る際に蒸発器14で冷却されて、吹出口22から再び貯蔵室3内に吹き出される。
【0028】
ショーケース100は、ヒータ19を備えている。ヒータ19は、貯蔵室3内の貯蔵物を保温するためのものである。ここで説明する構成例では、ヒータ19は、それぞれの陳列棚4の下面部に設けられている。ヒータ19に通電されると、ヒータ19は発熱して、陳列棚4に置かれた貯蔵物を加熱し、貯蔵物を保温できる。
【0029】
この実施の形態のショーケース100は、逆止弁18を備えている。逆止弁18は、蒸発器14と圧縮機11との間の冷媒配管17に設けられている。逆止弁18は、一方向のみ冷媒の流通が可能である。この実施の形態では、冷媒は、蒸発器14から圧縮機11へのみ冷媒の流通が可能である。すなわち、逆止弁18は、蒸発器14から圧縮機11へと向かう冷媒の流通を許可する。そして、逆止弁18は、圧縮機11から蒸発器14へと向かう冷媒の流通を禁止する。このような逆止弁18を備えることで、圧縮機11の動作が停止して、冷媒回路内の冷媒の流れが停止していても、圧縮機11から蒸発器14へと冷媒は流れない。
【0030】
前述したように、膨張弁13を閉じることで冷媒の流通を阻止できる。すなわち、膨張弁13は、冷媒の流通を阻止可能な阻止手段を構成している。より詳しく言えば、この実施の形態においては、膨張弁13は阻止手段を兼ねている。阻止手段としての膨張弁13は、凝縮器12と蒸発器14との間の冷媒配管17に設けられている。なお、阻止手段として、膨張弁13とは別の閉止弁を凝縮器12と蒸発器14との間の冷媒配管17に設けてもよい。
【0031】
次に、
図2を参照しながら、この実施の形態のショーケース100の制御系統の構成について説明する。同図に示すように、ショーケース100は制御装置50を備えている。制御装置50は、ショーケース100の運転動作全般を制御する。具体的には、制御装置50は、圧縮機11、凝縮器ファン15、蒸発器ファン16及びヒータ19の動作を制御する。さらに、制御装置50は、前述した阻止手段としての膨張弁13の動作も制御する。
【0032】
ショーケース100は、通常の冷蔵又は冷凍運転(以下、単に「通常運転」ともいう)と、保温運転とが可能である。通常運転とは、貯蔵室3内の貯蔵物を冷却する運転である。保温運転とは、貯蔵室3内の貯蔵物を加熱して保温する運転である。通常運転を行う時には、制御装置50は、膨張弁13を開き、圧縮機11、凝縮器ファン15及び蒸発器ファン16を動作させる。通常運転においては、制御装置50は、ヒータ19への通電を停止させる。
【0033】
一方、保温運転を行う時には、制御装置50は、ヒータ19へ通電させる。保温運転においては、制御装置50は、圧縮機11及び蒸発器ファン16の動作を停止させる。凝縮器ファン15については、保温運転時に動作させてもさせなくともよい。
【0034】
さらに、この実施の形態のショーケース100は、以上の通常運転及び保温運転に加えて、回収運転が可能である。回収運転とは、冷媒回路中の冷媒を、冷媒回路の機械室2側に回収する運転である。回収運転においては、制御装置50は、まず、前述の阻止手段により冷媒の流通を阻止させる。ここで説明する構成例では、制御装置50は膨張弁13を閉止させる。そして、制御装置50は圧縮機11を動作させる。これにより、貯蔵室3の蒸発器14側の冷媒は、圧縮機11に吸い出される。
【0035】
圧縮機11から吐出された高温の気相の冷媒は、凝縮器12を通過して空気と熱交換される。この熱交換により気相の冷媒は液化する。液化した冷媒は凝縮器12を抜け、膨張弁13に到達する。この時、膨張弁13は閉止されているため、液相の冷媒は、主に、圧縮機11と凝縮器12との間の冷媒配管17内、凝縮器12と膨張弁13との間の冷媒配管17内、及び、凝縮器12に回収される。
【0036】
そして、制御装置50は、回収運転を開始してから予め設定した基準時間が経過した場合に、圧縮機11を動作を停止させて当該回収運転を終了させる。この際の基準時間は、冷媒回路に封入された冷媒の充填量及び圧縮機11の能力等のショーケース100の仕様に基づいて、冷媒を機械室2側に移動させるために必要な時間を考慮することで決定できる。
【0037】
前述したように、ここで説明した構成例では逆止弁18が設けられている。このため、回収運転の終了後に圧縮機11を停止したままにしても、圧縮機11から蒸発器14に冷媒が逆流しない。なお、圧縮機11の内部には、逆流を防止する弁等の構造が備えられていることが一般的である。したがって、そのような場合には逆止弁18を省略してもよい。ただし、より確実に機械室2側に回収した冷媒の逆流を防止するという観点からは、逆止弁18を設けることが望ましい。
【0038】
この実施の形態のショーケース100は、保温運転を行う際、回収運転を行なってから保温運転を開始する。すなわち、制御装置50は、ヒータ19による保温を開始させる前に回収運転を行なう。そして、制御装置50は、回収運転の完了後に、ヒータ19による保温を開始させる。
【0039】
前述したように、ショーケース100の通常運転時には、凝縮器ファン15及び蒸発器ファン16が動作している。このため、機械室2側及び貯蔵室3側のいずれであっても、冷媒回路から冷媒の漏洩が発生した場合に凝縮器ファン15又は蒸発器ファン16による空気流で撹拌して漏洩冷媒の拡散を図ることが可能であり、漏洩冷媒が滞留して冷媒濃度が一定以上となる領域が形成されることを抑制できる。
【0040】
これに対し、ショーケース100の保温運転時には、前述したように蒸発器ファン16は停止している。このため、特に貯蔵室3側の冷媒回路から冷媒の漏洩が発生した場合には、漏洩冷媒が拡散されずに滞留して冷媒濃度が一定以上となる領域が形成されやすくなる。この実施の形態のショーケース100によれば、回収運転を行なってから保温運転を開始することで、保温運転中に貯蔵室3側の冷媒回路で折損、腐食等が発生した場合でも、冷媒漏洩を抑制し、又は、冷媒漏洩を最小限に抑えることが可能である。したがって、保温運転時に貯蔵室3内の空気の循環を停止するショーケース100において、保温運転時に冷媒回路の貯蔵室3側で冷媒が漏洩した場合に、冷媒の漏洩量の低減を図ることが可能であり、漏洩冷媒が滞留して冷媒濃度が一定以上の領域が形成されることを抑制できる。凝縮器ファン15については、前述したように保温運転時に動作させてもさせなくともよいが、保温運転時に凝縮器ファン15を動作させておけば、機械室2側の冷媒回路から冷媒の漏洩が発生した場合に凝縮器ファン15による空気流で撹拌して漏洩冷媒の拡散を図ることができる。
【0041】
なお、制御装置50は、回収運転時に蒸発器ファン16及び凝縮器ファン15の一方又は両方を動作させてもよい。このようにすることで、回収運転時に冷媒回路から冷媒の漏洩が発生した場合に漏洩冷媒の拡散を図り、漏洩冷媒が滞留して冷媒濃度が一定以上となる領域が形成されることを抑制できる。また、回収運転時に凝縮器ファン15を動作させる場合、制御装置50は、回収運転時には通常運転時よりも大きな回転数で凝縮器ファン15を動作させると、さらによい。このようにすることで、凝縮器12における熱交換効率を向上させて冷媒は液化を促進できる。したがって、回収運転に必要な時間を短縮して、冷媒の回収をより短時間で完了できる。
【0042】
次に、
図3のフロー図を参照しながら、以上のように構成されたショーケース100における、回収運転及び保温運転の動作の一例を説明する。通常運転中のショーケース100が回収運転を開始すると、まず、ステップS1において、制御装置50は、凝縮器ファン15及び蒸発器ファン16の運転をそのまま継続させる。
【0043】
続くステップS2において、制御装置50は、前述した阻止手段としての膨張弁13を閉止させて、膨張弁13が設けられた箇所における冷媒の流通を阻止する。続くステップS3において、制御装置50は圧縮機11を運転させる。ステップS3の後、処理はステップS4へと進む。
【0044】
ステップS4においては、制御装置50は、回収運転を開始してから前述の基準時間が経過したか否かを確認する。回収運転を開始してから前述の基準時間が経過していない場合、処理はステップS3へと戻り、圧縮機11の運転を継続する。そして、回収運転を開始してから前述の基準時間が経過したら、処理はステップS4からステップS5へと進む。
【0045】
ステップS5では、制御装置50は圧縮機11を停止させる。続くステップS6で、制御装置50は蒸発器ファン16を停止させ、回収運転を終了させる。そして、処理はステップS7へと進み、制御装置50はヒータ19に通電して保温運転を開始させる。ステップS7の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
【0046】
次に、以上のように構成されたショーケース100の変形例について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。これまでに説明した構成例では、回収運転の終了条件を回収運転を開始してからの経過時間により判定していた。
図4及び
図5に示す変形例は、回収運転の終了条件をセンサの検出結果を用いて判定するものである。
【0047】
まず、
図4に示す変形例について同図を参照しながら説明する。この変形例では、ショーケース100は温度センサ41を備えている。温度センサ41は、凝縮器12の温度を検出するセンサである。なお、ここでいう凝縮器12の温度とは、凝縮器12の表面温度又は凝縮器12内を流通する冷媒温度である。そして、制御装置50は、回収運転の開始後に、温度センサ41が検出した凝縮器12の温度が予め設定した基準温度以下になった場合に、圧縮機11を停止させて回収運転を終了させる。
【0048】
次に、
図5に示す変形例について同図を参照しながら説明する。この変形例では、ショーケース100は圧力センサ42を備えている。圧力センサ42は、蒸発器14と逆止弁18との間の冷媒配管17に設けられている。そして、圧力センサ42は、蒸発器14と逆止弁18との間の冷媒配管17中の冷媒の圧力を検出する。
【0049】
回収運転において圧縮機11の運転を継続させると、冷媒の回収に伴い圧縮機11の吸入側の圧力は徐々に低下していく。そこで、制御装置50は、回収運転の開始後に、圧力センサ42が検出した圧力、すなわち、蒸発器14側の冷媒配管17中の冷媒の圧力が予め設定された基準圧力以下となった場合に回収運転を終了させる。この回収運転を終了する基準圧力の値を、可能な限り低くすることで、より多くの冷媒を貯蔵室3側から機械室2側に移動させることができる。したがって、回収運転を終了する基準圧力の値は、圧縮機11の運転に許容される最小圧力にするとよい。
【0050】
なお、
図5に示す変形例において、回収運転の後に通常運転を再開する際、制御装置50は、圧力センサ42により検出された圧力が前述の基準圧力より大きい場合に、通常運転の再開を禁止するようにしてもよい。前述したように、回収運転の終了時には蒸発器14側の冷媒配管17中の圧力は基準圧力以下であったはずである。それが、通常運転を再開する際に基準圧力より大きくなったということは、蒸発器14側すなわち貯蔵室3側の冷媒回路に折損、腐食等が生じ、冷媒配管17中に外気が侵入したことで冷媒配管17中の圧力が上昇した可能性がある。このため、通常運転の再開時に圧力センサ42により検出された圧力が前述の基準圧力より大きい場合、制御装置50は、例えば前述の阻止手段としての膨張弁13を閉じたままにして、通常運転の再開を禁止するとよい。
【0051】
以上で説明した構成例では、貯蔵室3の開口5と機械室2の給気口31の両方が、筐体1の前面に配置されている。このため、蒸発器ファン16が停止している保温運転中に貯蔵室3側の冷媒回路で冷媒漏洩が発生し、漏洩した冷媒が貯蔵室3の開口5からショーケース100の外部に漏れ出た場合、凝縮器ファン15が動作していれば、ショーケース100の外部に漏れ出た冷媒を給気口31から機械室2内に吸い込んで拡散させやすいと言える。
【0052】
しかし、前述したように、この実施の形態のショーケース100によれば、保温運転時には冷媒が機械室2側に回収されていることから、機械室2の給気口31及び排気口32のそれぞれは、筐体1の左側面、右側面及び背面のいずれかに配置されていてもよい。例えば、
図6に示すのは、機械室2の給気口31及び排気口32を、筐体1の側面に配置した場合である。このようにすることで、貯蔵室3の開口5がある筐体1の前面に機械室2の給気口31及び排気口32がないため、ショーケース100の外観の意匠性を向上できる。また、貯蔵室3の開口5がある側では貯蔵室3内への物を出し入れ等により埃、異物等が舞いやすい。
図6の例のように貯蔵室3の開口5がある側とは別の筐体1の面に機械室2の給気口31及び排気口32を配置することで、埃、異物等が給気口31及び排気口32から機械室2内に侵入することを抑制できる。
【0053】
なお、回収運転の終了後に保温運転を開始するのではなく、回収運転の開始後、回収運転の終了前に保温運転を開始させてもよい。すなわち、制御装置50は、ヒータ19による保温を開始させる前に、まず、前述の阻止手段により冷媒の流通を阻止させ、冷媒の流通が阻止された状態で圧縮機11を動作させて冷媒を冷媒回路の機械室2側に回収する回収運転を行わせる。そして、制御装置50は、この回収運転中にヒータ19による保温を開始させてもよい。この場合であっても、保温運転の開始時には回収運転の開始前と比較して冷媒回路の貯蔵室3側の冷媒量を減少させることができる。したがって、回収運転の終了前における保温運転中に冷媒回路の貯蔵室3側で冷媒漏洩が発生しても、冷媒漏洩量の低減に一定の効果が得られる。
【0054】
また、回収運転の終了後に保温運転を開始するのではなく、回収運転の開始前に保温運転を開始させてもよい。すなわち、制御装置50は、まず、ヒータ19による保温を開始し、その後で、前述の阻止手段により冷媒の流通を阻止させ、冷媒の流通が阻止された状態で圧縮機11を動作させて冷媒を冷媒回路の機械室2側に回収する回収運転を開始させる。この場合であっても、保温運転中に、回収運転の開始前と比較して冷媒回路の貯蔵室3側の冷媒量を減少させることができる。したがって、回収運転の終了前における保温運転中に冷媒回路の貯蔵室3側で冷媒漏洩が発生しても、冷媒漏洩量の低減に一定の効果が得られる。また、ヒータ19への通電を回収運転よりも先に開始することで、貯蔵室3の保温効果を早期に得ることが可能である。
【0055】
さらに、圧縮機11と蒸発器14との間の冷媒配管17に逆止弁18が設けられている場合、回収運転において圧縮機11を動作させずに、ヒータ19による間接的な蒸発器14の加熱作用を利用して冷媒回路の貯蔵室3側の冷媒を冷媒回路の機械室2側に移動させてもよい。次に、
図7のフロー図を参照しながら、この場合のショーケース100の動作の一例を説明する。まず、ステップS11において、制御装置50は、凝縮器ファン15及び蒸発器ファン16の運転を継続させる。
【0056】
続くステップS12において、制御装置50は、前述した阻止手段としての膨張弁13を閉止させて、膨張弁13が設けられた箇所における冷媒の流通を阻止する。続くステップS13において、制御装置50は圧縮機11を停止させる。ステップS13の後、処理はステップS14へと進む。
【0057】
ステップS14においては、制御装置50はヒータ19への通電を開始させる。ヒータ19に通電することで、貯蔵室3内の空気が加熱される。そして、蒸発器ファン16により、貯蔵室3内の温められた空気を蒸発器14に通過させ、蒸発器14を加熱する。すると、蒸発器14中の冷媒が加熱され、圧力が上昇する。ステップS12で膨張弁13が閉止されているため、蒸発器14側の冷媒は、逆止弁18を通過して圧縮機11側へ流れる。逆止弁18により圧縮機11側から蒸発器14側への冷媒の流通は阻止される。このため、冷媒は冷媒回路の貯蔵室3側から機械室2側へと移動する。
【0058】
続くステップS15において、制御装置50は、ステップS14でヒータ19への通電を開始してから、予め設定された時間が経過したか否かを確認する。そして、ヒータ19への通電を開始してから予め設定された時間が経過したら、処理はステップS16へと進む。続くステップS16で、制御装置50は蒸発器ファン16を停止させ、ショーケース100は保温運転に完全に移行する。ステップS16の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
【0059】
この
図7に示す動作例でも、保温運転時おける冷媒回路の貯蔵室3側の冷媒量を、通常運転時よりも減少させることができる。したがって、保温運転中に冷媒回路の貯蔵室3側で冷媒漏洩が発生した際における冷媒漏洩量の低減に一定の効果が得られる。
【0060】
なお、以上で説明したショーケース100の各構成例において、膨張弁13として通電が無い場合に閉止する電磁弁としてもよい。これにより、停電時に冷媒回路の貯蔵室3側で冷媒漏洩が発生した場合に、膨張弁13及び逆止弁18よりも機械室2側の冷媒回路中の冷媒が漏洩することを阻止し、蒸発器14に折損や腐食等が発生すると、冷媒回路内の冷媒が全量漏洩してしまうが、無通電時に閉止する電磁弁を設置することで、漏洩する冷媒量の低減を図ることができる。
【課題】貯蔵室内の空気の循環が停止された保温運転時に冷媒回路の貯蔵室側で冷媒が漏洩した場合に、冷媒の漏洩量の低減を図ることが可能なショーケースを提供することにある。
【解決手段】この発明に係るショーケースは、冷媒配管により圧縮機と凝縮器と膨張弁と蒸発器とが順に接続された冷媒回路と、貯蔵室内の貯蔵物を保温するためのヒータと、凝縮器と蒸発器との間の冷媒配管に設けられ、冷媒の流通を阻止可能な阻止手段と、圧縮機、ヒータ及び阻止手段を制御する制御装置と、を備える。蒸発器は、吹出口を介して貯蔵室の内部と通じた風路中に配置される。圧縮機及び凝縮器は、機械室内に配置される。制御装置は、ヒータによる保温を開始させる前に、阻止手段により冷媒の流通を阻止させた状態において圧縮機を動作させて冷媒を冷媒回路の機械室側に回収する回収運転を行なった後、ヒータによる保温を開始させる。